説明

電子部品実装装置

【課題】搬送対象の電子部品を適切に確認することができ、効率よく高い精度で電子部品を搭載することができる電子部品実装装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ヘッド支持体に固定され、ノズルで吸着した電子部品またはノズルで吸着する対象の電子部品を撮影するカメラユニットと、を有し、カメラユニットは、画像を撮影するカメラとカメラの前記ノズルに近い側に隣接して配置されカメラの撮影領域に向けて光を照射する第1照明部とカメラの前記ノズルから遠い側に隣接して配置されカメラの撮影領域に向けて光を照射する第2照明部と第1照明部から照射される光の一部を遮蔽するバッフルとで構成されるカメラモジュールと、ヘッド支持体に固定されカメラと第1照明部と第2照明部とバッフルとを支持するブラケットと、を備えることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をノズルで吸着して移動させ、基板上に搭載する電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を搭載(実装)する電子部品実装装置は、ノズルを備えるヘッドを有し、当該ノズルで電子部品を吸着して基板上に搭載する。電子部品実装装置は、ヘッドのノズルを基板の表面に直交する方向に移動させることで、部品供給部にある部品を吸着し、その後、ヘッドを基板の表面に平行な方向に相対的に移動させ、吸着している部品の搭載位置に到着したらヘッドのノズルを基板の表面に直交する方向に移動させ基板に近づけることで吸着した電子部品を基板上に搭載する。電子部品実装装置は、特許文献1に記載されているように、ノズルを備えるヘッドとともに移動し、ノズルが吸着する電子部品を撮影するカメラを備える装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−103426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品搭載装置は、特許文献1に記載されているように、ヘッドに設けたカメラで搬送対象の電子部品を撮影し撮影した画像を解析することで電子部品の状態を適切に確認することができる。ここで、ヘッドに設けたカメラで画像を撮影した場合、撮影した画像が不鮮明で電子部品の状態を判定しにくい場合がある。電子部品の状態を判定しにくいと誤判定が生じる恐れがあり、電子部品の搭載の精度にも悪影響がおよぶ恐れがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送対象の電子部品を適切に確認することができ、効率よく高い精度で電子部品を搭載することができる電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置であって、電子部品を吸着するノズルと前記ノズルを駆動するノズル駆動部と前記ノズルおよび前記ノズル駆動部とを支持するヘッド支持体とを備えるヘッド本体と、前記ヘッド支持体に固定され、前記ノズルで吸着した電子部品または前記ノズルで吸着する対象の電子部品を撮影するカメラユニットと、を有し、前記カメラユニットは、画像を撮影するカメラと、前記カメラの前記ノズルに近い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第1照明部と、前記カメラの前記ノズルから遠い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第2照明部と、前記第1照明部から照射される光の一部を遮蔽するバッフルと、で構成されるカメラモジュールと、前記ヘッド支持体に固定され前記カメラと前記第1照明部と前記第2照明部と前記バッフルとを支持するブラケットと、を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記バッフルは、前記第1照明部および前記第2照明部から照射された後、反射して前記カメラに入射する光の一部を遮蔽することが好ましい。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置であって、電子部品を吸着するノズルと前記ノズルを駆動するノズル駆動部と前記ノズルおよび前記ノズル駆動部とを支持するヘッド支持体とを備えるヘッド本体と、前記ヘッド支持体に固定され、前記ノズルの先端を撮影するカメラユニットと、を有し、前記カメラユニットは、画像を撮影するカメラと、前記カメラの前記ノズルに近い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第1照明部と、前記カメラの前記ノズルから遠い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第2照明部と、前記第1照明部および前記第2照明部から照射された後、反射して前記カメラに入射する光の一部を遮蔽するバッフルと、で構成されるカメラモジュールと、前記ヘッド支持体に固定され前記カメラと前記第1照明部と第2照明部と前記バッフルとを支持するブラケットと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記バッフルは、前記第2照明部から照射される光は遮蔽しないことが好ましい。
【0010】
また、前記ブラケットは、前記カメラと前記第1照明部と第2照明部と前記バッフルとを内蔵するカメラモジュール保持領域が形成され、前記カメラモジュール保持領域は、前記ノズルと対向する面に開口が形成され、前記バッフルは、前記開口から少なくとも一部が露出していることが好ましい。
【0011】
また、前記バッフルは、前記カメラと対向する領域よりも前記第1照明部と対向する領域の方が前記開口からの露出量が多いことが好ましい。
【0012】
また、前記バッフルは、前記カメラと前記第1照明部と第2照明部との配列方向に延在する第1面と、前記第1面の前記第1照明部側の端部に連結し前記第1面の延在方向に直交する方向かつ前記ノズルから離れる方向に延在する第2面とを有するL字の板形状であり、前記第1面の前記ノズル側の端部が前記開口から露出していることが好ましい。
【0013】
また、前記バッフルは、前記第1面の前記第1照明部側の前記ノズル側の端部が、前記第2面の前記第1照明部側の辺よりも前記第1照明部側に突出していることが好ましい。
【0014】
また、前記ヘッド本体は、複数の前記ノズルが一列で配置されており、前記カメラユニットは、前記ノズル毎に対応して配置された複数の前記カメラモジュールを備え、前記カメラモジュールは、前記カメラと前記第1照明部と第2照明部とが前記ノズルの配列方向に平行に配列されていることが好ましい。
【0015】
また、前記第1照明部は、前記ノズルを通り、前記配列方向に直交する面に配置されていることが好ましい。
【0016】
また、前記ノズルに吸着された前記電子部品にレーザ光を照射し、前記電子部品の形状を検出するレーザ認識装置をさらに有し、前記ブラケットは、前記レーザ認識装置を支持する支持機構であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる電子部品実装装置は、搬送対象の電子部品を適切に確認することができ、効率よく高い精度で電子部品を搭載することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。
【図3】図3は、図2に示すヘッドの撮像カメラユニットおよびノズルの概略構成を示す上面図である。
【図4】図4は、撮像カメラユニットのブラケットの概略構成を示す模式図である。
【図5】図5は、バッフルの形状を示す正面図である。
【図6】図6は、ブラケットの開口を外側から見た状態を示す図である。
【図7】図7は、モジュールとノズルとフィーダ部との相対関係を示す模式図である。
【図8】図8は、第1照明部から照射される光と反射光との関係を示す模式図である。
【図9】図9は、バッフルを設けない場合に第1照明部から照射される光と反射光との関係を示す模式図である。
【図10A】図10Aは、バッフルの他の実施形態の形状を示す正面図である。
【図10B】図10Bは、バッフルの他の実施形態の形状を示す正面図である。
【図10C】図10Cは、バッフルの他の実施形態の形状を示す正面図である。
【図10D】図10Dは、バッフルの他の実施形態の形状を示す正面図である。
【図10E】図10Eは、バッフルの他の実施形態の形状を示す正面図である。
【図11】図11は、電子部品実装装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、撮像カメラユニットの概略構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、撮像カメラユニットの動作を説明するための説明図である。
【図14】図14は、撮像カメラユニットの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図15】図15は、撮像カメラユニットの動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。
【0021】
図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載(実装)する装置である。電子部品実装装置10は、基板搬送部12と、部品供給装置14と、ヘッド15と、XY移動機構16と、を有する。なお、基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材(はんだ等)が付着している。
【0022】
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の面積が広い面(表面)がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、基板8を電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定の位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定の位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定の位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程(例えば、リフロー)を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組み合わせ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
【0023】
部品供給装置14は、基板8上に搭載する電子部品を多数保持する保持部26と、保持部26が保持する電子部品をヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で吸着可能な状態とするフィーダ部28と、を有する。なお、部品供給装置14としては、種々の構成を用いることができるが、本実施形態は、テープに電子部品を貼り付けた保持部26と、テープを一定量送り、電子部品を所定位置に露出した状態にするフィーダ部28とで構成されたテープフィーダである。また、部品供給装置14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
【0024】
ヘッド15は、部品供給装置14に保持された電子部品を吸着し、吸着した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に搭載する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。
【0025】
XY移動機構16は、ヘッド15を図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給装置14のフィーダ部28と対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向(双方向)に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
【0026】
次に、図2および図3を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図2は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図であり、図3は、図2に示すヘッドの撮像カメラユニットおよびノズルの概略構成を示す上面図である。ヘッド15は、図2に示すように、ヘッド本体30と撮像カメラユニット36とレーザ認識装置38と、を有する。また、フィーダ部28は、ヘッド15と対向する面がアッパーカバー42で覆われており、アッパーカバー42に形成された開口に電子部品44が露出している。
【0027】
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図3に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。
【0028】
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32およびノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、撮像カメラユニット36およびレーザ認識装置38も支持している。
【0029】
ノズル32は、電子部品44を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口33を有し、この開口33から空気を吸引することで、先端に電子部品44を吸着し、保持する。なお、ノズル32は、開口33が形成され電子部品44を吸着する先端部に連結されたシャフト32aを有する。シャフト32aは、先端部を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト32aは、内部に開口33とノズル駆動部34の吸引機構とを接続する空気管(配管)が配置されている。
【0030】
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32をθ方向に回転させ、ノズル32の開口33で電子部品44を吸着させる。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板の表面に対して直交する方向となる。また、θ方向とは、Z軸(すなわち、Z軸駆動部が前記第1吸着部及び前記第2吸着部を移動させる方向と平行な軸)を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、ノズル32の回動方向となる。
【0031】
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、例えば、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、直動リニアモータでノズル32のシャフトをZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口33をZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ軸方向に回転させる機構として、例えばモータとシャフト32aに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でシャフト32aに伝達し、シャフト32aをθ軸方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ軸方向に回転させる。
【0032】
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口33で電子部品44を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口33と連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り替える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口33から空気を吸引するか否かを切り替える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口33から空気を吸引することで開口33に電子部品44を吸着させ、電磁弁を閉じ開口33から空気を吸引しないことで開口33に吸着していた電子部品44を開放する、つまり開口33で電子部品44を吸着しない状態とする。
【0033】
また、ヘッド本体30は、ヘッド支持体31とともに移動し、自身と対向する位置に配置された部材(例えば、基板8)との距離を検出(計測)する距離センサをさらに備えていてもよい。ヘッド本体30は、距離センサで距離を検出することで、ヘッド支持体31と基板8との相対位置や、ヘッド支持体31とフィーダ部28との相対位置を検出することができる。なお、本実施形態では、距離センサと基板8等の距離に基づいて、ヘッド支持体31と基板8等の距離を算出する演算を、後述するヘッド制御部210で行う。
【0034】
撮像カメラユニット36は、ノズル32で吸着した電子部品44またはノズル32で吸着する対象の電子部品44を撮影して、電子部品44の状態を検出するユニットである。ここで、電子部品44の状態とは、ノズル32で電子部品44を正しい姿勢で吸着しているか、ノズル32で吸着する対象の電子部品44がフィーダ部28の所定位置に配置されているか、ノズル32で吸着した電子部品44が基板8上の所定位置に搭載されたか、等である。撮像カメラユニット36は、ブラケット50と複数のカメラモジュール51とを有する。ブラケット50は、図2に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8およびフィーダ部28側に連結されている。ブラケット50は、複数のカメラモジュール51を支持する。また、複数のカメラモジュール51は、それぞれのブラケット50の内部に固定され、カメラ52、第1照明部54、第2照明部56およびバッフル58で構成される。また、カメラモジュール51は、図3に示すように、1つのノズル32に対して1つ配置されている。つまり本実施形態では、6つのノズル32に対して、6つのカメラモジュール51が配置されている。カメラモジュール51は、対応するノズル32が吸着する電子部品44を撮影する。撮像カメラユニット36の構成については後述する。
【0035】
レーザ認識装置38は、ブラケット50によって支持されている。具体的には、レーザ認識装置38は、ブラケット50の、カメラモジュール51が配置されている領域よりも下側、つまり基板8およびフィーダ部28側に部分に内蔵されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品44に対して、レーザ光を照射することで、電子部品44の形状を検出する装置である。レーザ認識装置38は、ノズル32で吸着した電子部品44の一方向の形状を検出したら、ノズル駆動部34によりノズル32を移動または回転させて電子部品44を移動または回動させて、他の方向の形状を検出する。レーザ認識装置38は、このように、複数の方向からの形状を検出することで、電子部品44の三次元形状を正確に検出することができる。
【0036】
次に、図2および図3に加え、図4から図6を用いて、撮像カメラユニット36の各部について説明する。図4は、撮像カメラユニットのブラケットの概略構成を示す模式図であり、図5は、バッフルの形状を示す正面図であり、図6は、ブラケットの開口を外側から見た状態を示す図である。
【0037】
撮像カメラユニット36は、ブラケット50と、6つのカメラモジュール51と、を有する。ブラケット50は、図2から図4に示すように、ヘッド支持体31の下面に連結された部材である。ブラケット50は、図4に示すように、6つのカメラモジュール51をそれぞれ支持する6つのカメラモジュール保持領域60と、6つのノズル32の通路であるノズル用開口66と、が形成されている。6つのカメラモジュール保持領域60は、X軸方向に列状に配置されており、隣接するカメラモジュール保持領域60との境界に仕切り板62が配置されている。つまり、カメラモジュール保持領域60は、仕切り板62によってそれぞれの領域に分割されている。また、カメラモジュール保持領域60は、Y軸方向に直交する2つの面のうちノズル32側の面に開口64が形成されている。つまりカメラモジュール保持領域60は、開口64が形成されることでノズル32側の面が露出している。ノズル用開口66は、ブラケット50のノズル32が通過する領域に形成された開口である。ノズル用開口66は、1つの開口であり、形成された空間に6つのノズル32が配置されている。なお、ブラケット50は、レーザ認識装置38を支持する支持体でもある。また、ブラケット50は、1つの部材で構成しても複数の部材を連結して構成してもよい。
【0038】
次にカメラモジュール51について説明する。なお、6つのカメラモジュール51は、対応して配置されたノズルが異なるのみで同様の構成である。そこで以下では、代表して1つのカメラモジュール51について説明する。カメラモジュール51は、カメラ52と第1照明部54と第2照明部56とバッフル58とを有する。カメラ52は、ノズル32で吸着した電子部品44またはノズル32で吸着する対象の電子部品44を撮影する撮像部である。なお、カメラ52は、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)や、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等の受光素子を二次元配列し、各受光素子で受光信号を検出することで画像を取得する。第1照明部54と第2照明部56とは、カメラ52の撮影領域に向けて光を照射する発光素子である。なお、発光素子としてはLED(Light Emitting Diode)や、半導体レーザ等を用いることができる。バッフル58は、第1照明部54から照射される光の一部を遮蔽し、第1照明部54および第2照明部56から照射された後、反射してカメラ52に入射する光の一部を遮蔽する板状の部材である。
【0039】
次に、カメラモジュール51の各部の配置関係を説明する。カメラモジュール51は、図2に示すようにYZ平面において、電子部品44が載置されている面とノズル32の移動の軌跡とを結んだ線との交点に対して、つまりノズル32の吸着対象の電子部品44を吸着、または基板8に搭載する位置(以下「吸着搭載動作位置」という。)に対して、斜め上に配置されている。なお、図2ではカメラ52のみを示すが、第1照明部54、第2照明部56も同様に、吸着搭載動作位置に対して斜め上に配置されている。
【0040】
次に、カメラモジュール51は、図3に示すようにXY平面において、カメラ52と第1照明部54と第2照明部56とをX軸方向に列状に配置している。つまりノズル32が配列方向と平行に配列している。また、カメラモジュール51は、カメラ52の両側面にそれぞれ第1照明部54と第2照明部56とを配置している。また、カメラモジュール51は、X軸方向における位置つまりX軸座標において、第1照明部54とノズル32とが同一位置に配置されている。したがって、第1照明部54とノズル32とを結んだ線は、Y軸方向と平行な線となる。このように、第1照明部54は、ノズル32を通り配列方向に直交する面に上に配置される。次に、カメラ52は、第1照明部54のX軸方向の端部に隣接して配置されている。このため、カメラ52とノズル32とを結んだ線は、Y軸方向に対して所定角度傾斜した線となる。次に、第2照明部56は、カメラ52の第1照明部54と隣接していない側のX軸方向の端部に隣接して配置されている。このため、第2照明部56とノズル32とを結んだ線は、Y軸方向に対して所定角度傾斜した線となる。また、第2照明部56とノズル32とを結んだ線と、Y軸方向と、のなす角は、カメラ52とノズル32とを結んだ線と、Y軸方向と、のなす角よりも大きい角度となる。このように、カメラモジュール51は、XY平面において、第1照明部54がカメラ52よりもノズル32に近い位置に配置され、カメラ52が第2照明部56よりもノズル32に近い位置に配置される。
【0041】
カメラモジュール51は、図3に示すようにXY平面において、バッフル58を、カメラ52、第1照明部54および第2照明部56よりもノズル32側に配置している。また、カメラモジュール51は、バッフル58を、カメラ52、第1照明部54および第2照明部56よりも下側に配置している。
【0042】
次に、図3から図5、特に図5を用いて、バッフル58の形状について説明する。バッフル58は、カメラ52と第1照明部54と第2照明部56との配列方向(つまりX軸方向)に延在する第1面72と、第1面72の第1照明部54の端部に連結し第1面72の延在方向に直交する方向(つまりY軸方向)かつノズル32から離れる方向(図5中下方向)に延在する第2面73とを有するL字の板形状である。バッフル58の第1面72は、ノズル32側の端部の一部に、他の面よりもノズル32側に突出した第1露出部74と、第2露出部76とが形成されている。ここで、第1露出部74は、X軸方向において、第1面72の中央部近傍に形成されている。また、第2露出部76は、X軸方向において、第1面72の第1照明部54側の端部に形成されている。また、第2露出部76は、第1露出部74と繋がっており、第1露出部74よりもノズル32側に突出している。これにより、第1面72は、ノズル32側の端部の形状が第2照明部56側から第1照明部54側に向かうに従って突出量が多くなる形状となる。また、バッフル58は、第1面72の第1照明部54側のノズル32側の端部が、第2面73の第1照明部54側の端辺77よりも第1照明部54側に突出した突出部78が形成されている。さらに、バッフル58は、第2面73のノズル32側の端部の近傍に第2照明部56側(図5中右側)に向けて凹んだ凹部79が形成されている。ここで、バッフル58は、図4に示すように、第2面73の端辺77がブラケット50の仕切り板62に突き当てられている。また、バッフル58は、凹部79が仕切り板62のノズル32側の端部と接触している。バッフル58は、端辺77を仕切り板62に突き当て、凹部79を仕切り板62のノズル32側の端部と接触させることで、カメラモジュール保持領域60の所定位置に支持される。
【0043】
カメラモジュール51は、以上のような配置関係であり、図6に示すように、カメラ52の画像を取得する部分と第1照明部54および第2照明部56の光を照射する部分とが、ブラケット50の開口64に向けて露出して配置されている。また、カメラモジュール51は、バッフル58の第1面72のノズル32側の端部に形成された第1露出部74と、第2露出部76とが、開口64から露出している。また、図6に示すように、第1露出部74は、カメラ52の近傍で開口64から露出する。第2露出部76は、第1照明部54の近傍で開口64から露出する。
【0044】
次に、図7から図9を用いて、バッフル58の機能について説明する。ここで、図7は、カメラモジュールとノズルとフィーダ部との相対関係を示す模式図であり、図8は、第1照明部から照射される光と反射光との関係を示す模式図であり、図9は、バッフルを設けない場合に第1照明部から照射される光と反射光との関係を示す模式図である。
【0045】
カメラモジュール51は、上述したような位置関係であり、図7に示すように、第1照明部54と吸着搭載動作位置(XY平面上ではノズル32の位置)を結ぶ直線82の経路上にバッフル58の第2露出部76が重なり、カメラ52と吸着搭載動作位置を結ぶ直線84の経路上にバッフル58の第1露出部74が重なる。また、カメラモジュール51は、第2照明部56と吸着搭載動作位置とを結ぶ直線86の経路上にバッフル58は露出しない。つまり、バッフル58は、直線86の経路の近傍の部分が開口64に露出していない。これにより、図8に示すように、第1照明部54から照射された照射光90の鉛直方向に近い側の領域の照射光がバッフル58により遮断される。これにより、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に最も近い照射光は、矢印92の照射光となる。これに対して、バッフル58を設けない構成とすると第1照明部54から照射された照射光90は、鉛直方向に近い側の照射光が遮断されない。このため、図9に示すように、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に最も近い光は、矢印94の位置の照射光となる。このように、バッフル58を設けることで、吸着搭載動作位置のアッパーカバー42および電子部品44のうち、カメラ52に近い側の一部に照射光90が照射されることを抑制できる。これにより、図9に示すように矢印94の照射光がアッパーカバー42で反射され、カメラ52に入射することを抑制できる。
【0046】
以上のように、電子部品実装装置10は、撮像カメラユニット36のカメラモジュール51にバッフル58を設け、第2照明部56で第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に近い側の照射光90を遮蔽することで、照射光90の反射光がカメラ52に入射することを抑制し、カメラ52で撮影した画像に反射光が映りこむことを抑制できる。これにより、カメラ52で撮影した画像に白とび等が発生じることを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。このように、電子部品実装装置10は、カメラ52で高品質な画像を撮影できることで、ノズル32の先端、ノズル32で吸着した電子部品44、フィーダ部28に載置されている電子部品44、基板8に搭載された電子部品44を撮影した高品質な画像を取得することができる。したがって、電子部品実装装置10は、搬送対象の電子部品44を適切に確認することができ、効率よく高い精度で電子部品44を搭載することができる。
【0047】
また、電子部品実装装置10は、バッフル58の第1照明部54がカメラ52の鉛直方向に近い側の部分を遮蔽し、開口64よりも狭くすることで、第1照明部54および第2照明部56から照射された後、反射してカメラ52に入射する光の少なくとも一部、具体的にはカメラ52の鉛直方向に近い側からカメラ52に入射する光の一部を遮蔽する。このように、電子部品実装装置10は、撮影対象を撮影する領域以外からの反射光がカメラ52に到達することを抑制することができる。これにより、カメラ52で撮影した画像に白とび等が発生することを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。
【0048】
また、電子部品実装装置10は、光を遮蔽するバッフル58を、カメラ52の鉛直方向下側に配置することで、カメラ52の撮影領域よりも鉛直方向下側の部分に向けて照射される照射光90および鉛直方向下側の部分で反射される反射光を遮蔽することができる。これにより、バッフル58は、第1照明部54および第2照明部56から照射され、フィーダ部28のアッパーカバー42や基板8で反射された光のうち、カメラ52に到達しやすい光を選択的に遮蔽することができる。これにより、カメラ52で撮影した画像に白とび等が発生することを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。また、バッフル58により光を選択的に遮蔽することで、吸着搭載動作位置を好適に照明することができ、撮影画像の明るさを維持することができる。
【0049】
また、電子部品実装装置10は、バッフル58の第2露出部76を第1露出部74よりも露出させることで、第1照明部54から照射される照射光90をより好適に遮蔽することができ、カメラ52の撮影領域にバッフル58の一部が入ることを抑制することができる。また、電子部品実装装置10は、第2照明部56から照射される照射光90をバッフル58で遮蔽しないことで、つまり、第2照明部56から照射される照射光90の通過する領域にはバッフル58を配置しないことで、反射光がカメラ52に到達しにくい照射光90で吸着搭載動作位置を照明することができる。これにより、カメラ52で高品質な画像を撮影することができる。
【0050】
また、電子部品実装装置10は、バッフル58の第1面72の第1照明部54側の端部であり、かつ、第2面73のノズル32側の端部に、第2面73の端辺77よりも第1照明部54側に突出している突出部78を設けることで、バッフル58とカメラモジュール保持領域60との間に隙間ができることを抑制することができ、開口64で第2露出部76よりも第1照明部54側に光が漏れることを抑制することができる。
【0051】
また、カメラモジュール51は、YZ平面において吸着搭載動作位置に対して斜め上となりかつY軸方向に対して所定角度傾斜した位置にカメラ52を配置している。これにより、吸着搭載動作位置にある電子部品44をX軸、Y軸、Z軸のいずれの方向からも斜めから撮影することができ、電子部品44の三次元形状をより好適に判定することができ、電子部品44の垂直軸線を中心とする水平方向の回転角度および上下方向の傾き角度をより簡単に認識することができる。
【0052】
また、電子部品実装装置10は、カメラ52の側面のそれぞれに照明部を配置することで、撮影領域に影ができることを抑制し、高品質な画像を撮影することができる。また、電子部品実装装置10は、2つの照明部のうち、よりノズル32(吸着搭載動作位置)に近い第1照明部54から照射される照射光90をバッフル58で遮蔽することで、照射光90の反射光がよりカメラ52に到達しやすい照明部の照射光90を選択的に遮蔽することができる。
【0053】
なお、バッフル58は、上述した各種効果を得る事ができるため、図5に示す形状とすることが好ましいがこれには限定されない。以下、図10Aから図10Eを用いて、バッフルの他の形状について説明する。ここで、図10Aから図10Eは、それぞれバッフルの他の実施形態の形状を示す正面図である。なお、図10Aから図10Eに示すバッフルは、いずれもバッフル58と同様にカメラ52と第1照明部54と第2照明部56との配列方向(つまりX軸方向)に延在する第1面と、第1面の第1照明部54の端部に連結し第1面の延在方向に直交する方向(つまりY軸方向)かつノズル32から離れる方向(図5中下方向)に延在する第2面とを有するL字の板形状である。
【0054】
図10Aに示すバッフル100は、第1面102と第2面103とを有する。また、バッフル100の第1面102は、ノズル32側の端部の一部に、他の面よりもノズル32側に突出した露出部104が形成されている。ここで、露出部104は、X軸方向において、第1面102の中央部近傍から第1照明部54側の端部に形成されている。また、バッフル100は、第1面102の第1照明部54側のノズル32側の端部が、第2面103の前記第1照明部54側の端辺107よりも第1照明部54側に突出した突出部108が形成されている。これにより、第2面103の第1照明部54側の面は、端辺107と突出部108とで段差が形成される。さらに、バッフル100は、突出部108に第2照明部56側に凹んだ凹部109が形成されている。
【0055】
電子部品実装装置10は、開口64に対する露出部104の露出量がカメラ52に対応する領域と、第1照明部54に対応する領域とで同一となるバッフル100としても、カメラ52に入射する光の量は低減し、画像が暗くなる可能性はあるが上記と同様の効果を得ることができる。また、突出部108を、端辺107と繋がった形状としても仕切り板62のノズル32側の端部をつき当てることができる。また、突出部108を設けることで、光の漏れを抑制することができる。
【0056】
図10Bに示すバッフル110は、第1面112と第2面113とを有する。また、バッフル110の第1面112は、ノズル32側の端部の一部に、他の面よりもノズル32側に突出した露出部114が形成されている。ここで、露出部114は、X軸方向において、第1照明部54側の端部の一定領域、具体的には第1照明部54に対応する領域に形成されている。また、バッフル110は、第1面112の第1照明部54側のノズル32側の端部が、第2面113の前記第1照明部54側の端辺117よりも第1照明部54側に突出した突出部118が形成されている。これにより、第2面113の第1照明部54側の面は、端辺117と突出部118とで段差が形成される。さらに、バッフル110は、突出部118に第2照明部56側に凹んだ凹部119が形成されている。
【0057】
電子部品実装装置10は、開口に対する露出部を第1照明部54に対応する領域のみに設けたバッフル110とすることで、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に近い側の照射光を遮蔽することで、照射光90の反射光がカメラ52に入射することを抑制することができ、高品質な画像を撮影することができる。なお、バッフル110は、反射光の一部は、カメラ52に入射するが、撮影画像を明るくすることができる。また、突出部118を、端辺117と繋がった形状としても仕切り板62のノズル32側の端部をつき当てることができる。また、突出部118を設けることで、光の漏れを抑制することができる。
【0058】
図10Cに示すバッフル120は、第1面122と第2面123とを有する。また、バッフル120の第1面122は、ノズル32側の端部の一部に、他の面よりもノズル32側に突出した露出部124が形成されている。ここで、露出部124は、X軸方向において、第1面122の中央部近傍から第1照明部54側の端部に形成されている。さらに、バッフル120は、第2面123の第1面122側の端部に第2照明部56側に凹んだ凹部129が形成されている。つまり、バッフル120は、突出部が形成されていない点を除いてバッフル100と同様の形状である。
【0059】
電子部品実装装置10は、開口64に対する露出部124の露出量がカメラ52に対応する領域と、第1照明部54に対応する領域とで同一となるバッフル120としても、カメラ52に入射する光の量は低減し、画像が暗くなる可能性はあるが上記と同様の効果を得ることができる。
【0060】
図10Dに示すバッフル130は、第1面132と第2面133とを有する。また、バッフル130の第1面132は、ノズル32側の端部の一部に、他の面よりもノズル32側に突出した露出部134が形成されている。ここで、露出部134は、X軸方向において、第1照明部54側の端部の一定領域、具体的には第1照明部54に対応する領域に形成されている。さらに、バッフル130は、第2面133の第1面132側の端部に第2照明部56側に凹んだ凹部139が形成されている。つまり、バッフル130は、突出部が形成されていない点を除いてバッフル110と同様の形状である。
【0061】
電子部品実装装置10は、開口64に対する露出部134を第1照明部54に対応する領域のみに設けたバッフル130とすることで、第1照明部54から照射され吸着搭載動作位置に到達する照射光90のうち鉛直方向に近い側の照射光90を遮蔽することで、照射光90の反射光がカメラ52に入射することを抑制することができ、高品質な画像を撮影することができる。なお、バッフル110は、反射光の一部は、カメラ52に入射するが、撮影画像を明るくすることができる。
【0062】
図10Eに示すバッフル140は、第1面142と第2面143とを有する。また、バッフル140の第1面142は、ノズル32側の端部に、他の面よりもノズル32側に突出した露出部144が形成されている。ここで、露出部144は、X軸方向において、第1面142の第1照明部54側の端部から第2照明部56側の端部まで形成されている。また、バッフル140は、第1面142の第1照明部54側のノズル32側の端部が、第2面143の前記第1照明部54側の端辺147よりも第1照明部54側に突出した突出部148が形成されている。これにより、第2面143の第1照明部54側の面は、端辺147と突出部148とで段差が形成される。さらに、バッフル140は、突出部148に第2照明部56側に凹んだ凹部149が形成されている。
【0063】
電子部品実装装置10は、第1照明部54の端部から第2照明部56の端部まである露出部144を設け、第1照明部54、カメラ52、第2照明部56の鉛直方向側の一部の領域を塞ぐ形状となるバッフル140としても、カメラ52に入射する光の量はバッフル100より低減し、画像が暗くなる可能性はあるが上記と同様の効果を得ることができる。また、突出部148を、端辺147と繋がった形状としても仕切り板62のノズル32側の端部をつき当てることができる。また、突出部148を設けることで、光の漏れを抑制することができる。
【0064】
なお、バッフルの形状は、上記実施形態にも限定されず、第1照明部54およびカメラ52の少なくとも一方の鉛直方向側の領域を塞ぐ形状であればよい。例えば、バッフルは、L字形状に限定されず、第1照明部54、カメラ52および第2照明部56の配列方向が長手方向となる細長い板形状としてもよい。また、バッフルは、第1照明部54およびカメラ52の少なくとも一方の鉛直方向側の領域を塞ぐ量が第2照明部56の鉛直方向側の領域を塞ぐ量よりも大きい形状とすることが好ましい。これにより、吸着搭載動作位置に到達する光の量の低減を抑制しつつ、反射光がカメラ52に入射することを抑制でき、高品質な画像を撮影することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、より好適な画像が撮影できるため、第1照明部54とノズル32と結んだ線がY軸方向と平行となる関係としたがこれには限定されない。カメラモジュール51は、第1照明部54が、カメラ52よりもノズル32に近い位置に配置されていればよい。
【0066】
また、上記実施形態では、バッフル58をカメラモジュール51毎に別々に設けたがこれに限定されない。電子部品実装装置10および撮像カメラユニット36は、複数のバッフルを一体で成形し、複数のカメラモジュール51に対し1つのバッフルを設けてもよい。例えば、本実施形態のバッフル58を繋げて、1つのバッフルとしてもよい。このように、複数のバッフルを一体で成形することで、部品の点数を減らすことができ、カメラモジュール間で、バッフルの相対位置のずれが生じることを抑制できる。
【0067】
また、電子部品実装装置10は、バッフル58を移動させる移動機構を備えることも好ましい。つまり、使用用途等に応じて、バッフル58の位置を調整し、開口64への露出量、つまりバッフル58が遮蔽する照射光90、反射光の量を調整する移動機構を備えることも好ましい。なお、バッフル58の移動機構としては、ラックアンドピニオン機構や、リニアモータにより、一方向にバッフル58を移動させる機構を用いることができる。電子部品実装装置10は、バッフル58の位置を調整可能にすることで、画像の品質の低下しない使用状況の場合、バッフル58の露出量を少なくしより多くの光で撮影対象を撮影し、白とび等が発生する恐れがある使用状況の場合、バッフル58の露出量を多くし、反射光がカメラ52に到達することを抑制して撮影対象を撮影することができる。これにより、使用状況により適した条件で画像を撮影することができ、より高品質な画像を撮影することができる。
【0068】
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。図11は、電子部品実装装置の概略構成を示すブロック図であり、図12は、撮像カメラユニットの概略構成を示すブロック図である。
【0069】
電子部品実装装置10は、図11に示すように、制御機能として、ヘッド制御部210と、制御部212と、カメラ用コンピュータ214と、撮像制御部220と、を有する。また、電子部品実装装置10は、カメラ用コンピュータ214と制御部212とを接続する配線230と、撮像制御部220とカメラ用コンピュータ214とを接続する配線232と、も有する。各種処理部、コンピュータは、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、ヘッド制御部210と制御部212は、一体の制御機能としてもよい。また、図11では、説明のために、上述した電子部品実装装置10の各部である、フィーダ部28と、フィーダ部28に保持された電子部品44と、基板8と、基板に搭載された電子部品44aと、ヘッド支持体31と、ノズル32と、ノズル駆動部34と、ブラケット50およびカメラ52を含む撮像カメラユニット36と、も示す。
【0070】
ヘッド制御部210は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサおよび制御部212に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部210は、制御部212から供給される操作指示および各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品の吸着/開放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。
【0071】
制御部212は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部212は、例えば、基板8の搬送動作、部品供給装置14による電子部品44の供給動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作等を制御する。また、制御部212は、上述したようにヘッド制御部210に各種指示を送り、ヘッド制御部210の制御動作も制御する。
【0072】
カメラ用コンピュータ214は、各種演算処理を実行可能な演算処理部である。制御部212で取得した各種情報からカメラ52での撮影に必要な各種情報を取得し、カメラ52の撮影条件を決定する。なお、撮影条件とは、撮影タイミング、具体的には、撮影を行うノズル32の位置や、カメラ52の露出や倍率等の条件である。カメラ用コンピュータ214は、決定した撮影条件を撮像制御部220に送る。また、カメラ用コンピュータ214は、カメラ52で取得し撮像制御部220から送られる画像データを解析する。カメラ用コンピュータ214は、画像データを解析した結果を制御部212に送る。カメラ用コンピュータ214は、解析した結果としてエラーが発生したか、またそのエラーの内容のみを送るようにしてもよい。なお、カメラ用コンピュータ214は、第1照明部54および第2照明部56の動作も制御する。具体的には、カメラ用コンピュータ214は、第1照明部54および第2照明部56に供給する電圧値、電流値を制御し、第1照明部54および第2照明部56から照射する照射光の光量や、発光させるか否かを制御する。
【0073】
ここで、カメラ用コンピュータ214と、制御部212とは、配線230で接続されている。配線230は、各種情報を送受信する信号線である。配線230としては、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))の配線を用いることが好ましい。
【0074】
撮像制御部220は、カメラ52の撮影動作を制御し、カメラ52で撮影した画像のデータを取得する。撮像制御部220は、カメラ用コンピュータ214から送られる指示に基づいて撮影条件を決定し、決定した撮影条件でカメラ52を制御し画像を取得する。なお、撮像制御部220は、制御部212、カメラ用コンピュータを介して、撮影対象のノズル32を駆動するノズル駆動部34のZ軸方向の駆動機構のエンコーダ信号を取得し、Z軸方向におけるノズル32の位置の情報を取得することができる。撮像制御部220は、エンコーダ信号に基づいて取得したノズル32の位置がカメラ用コンピュータ214で決定された所定位置であることを検出したら、画像の撮影および取得を行う。撮像制御部220は、撮影した画像のデータをカメラ用コンピュータ214に送る。
【0075】
ここで、撮像制御部220は、図12に示すように、各カメラ52に対応して1つずつ配置されている。1つの撮像制御部220は、対応するカメラ52での撮影動作を制御する。それぞれの撮像制御部220は、多重部222と配線232を介してカメラ用コンピュータ214と接続されている。
【0076】
多重部222は、マルチプレクサ(multiplexer)とデマルチプレクサ(demultiplexer)等で構成される。多重部222は、それぞれの撮像制御部220から出力される信号(データ)を多重化し、配線232を介してカメラ用コンピュータ214に送る。また、多重部222は、カメラ用コンピュータ214から1本の配線232で送られるそれぞれの撮像制御部220への信号を分割し、それぞれの撮像制御部220に対して送る。
【0077】
配線232は、1本の配線であり、カメラ用コンピュータ214と多重部222を介した6つの撮像制御部220とを接続する。ここで、配線232としては、IEEE1394方式の配線を用いることが好ましい。電子部品実装装置10は、多重部222および配線232を用いて、6つの撮像制御部220のそれぞれで取得した画像データをカメラ用コンピュータ214にシリアル転送で送信する。電子部品実装装置10は、以上のような構成である。
【0078】
電子部品実装装置10は、このように、撮像制御部220とカメラ用コンピュータ214とを接続する配線232と、カメラ用コンピュータ214と制御部212とを接続する配線230とを別々の配線とすることで、各装置間での情報の送受信を別々に行うことができ、情報処理を円滑に実行することができる。
【0079】
また、電子部品実装装置10は、6つの撮像制御部220と接続する配線を1本に纏めカメラ用コンピュータ214と接続する配線232を1本の配線とすることで、装置間をつなげる配線の数を少なくすることができる。これにより、装置構成を簡単にすることができ省スペース化することができる。また、配線232にIEEE1394方式の配線を用い、シリアル転送で画像データの送信を行うことで、配線232を1本にしても、処理遅れを生じさせること無く画像をカメラ用コンピュータ214に送信することができる。
【0080】
次に、図13を用いて電子部品実装装置10の動作、特にヘッド本体30による電子部品44の実装動作について説明する。ここで、図13は、撮像カメラユニットの動作を説明するための説明図である。なお、図13は、ヘッド本体30による電子部品44の吸着から、基板上の搭載位置への移動、基板への電子部品44の搭載の動作におけるノズル32のZ軸方向の位置とノズルの動作状態と、撮像カメラユニット36での画像の撮影タイミングを示している。図13は、ノズルの位置を軌跡250で示し、軌跡250の所定の位置でのノズル32をステップS1からステップS10として示す。ステップS1からステップS10で示すノズル32は、各時点における同一のノズル32である。また、図13では、Z軸方向におけるフィーダ部28の電子部品44が置かれている面および基板8の表面を基準面252とする。
【0081】
まず、電子部品44実装装置10の制御部212は、XY移動機構16を制御して、ヘッド15を部品供給装置14に対面する位置、具体的には、部品供給装置14から供給される電子部品を、ノズル32が吸着できる位置に移動させる。この時、制御部212は、ノズル32をステップS1の高さで維持する。
【0082】
制御部212は、ヘッド15を部品供給装置14のフィーダ部28と対面する位置に移動させたら、ヘッド制御部210よりノズル駆動部34を制御して、軌跡250に示すように、Z軸方向下側、つまりフィーダ部28に近づく方向にノズル32を移動させる。このとき、撮像制御部220は、ノズル32がステップS2の位置まで移動するとカメラ52でノズル32の画像を撮影する。つまり、(1)のタイミングで1枚目の画像を撮影する。
【0083】
その後、制御部212は、ヘッド制御部210によりノズル駆動部34を制御して、ノズル32をZ軸方向下側にさらに移動させ、ノズル32の先端が部品供給装置14に保持された電子部品44と接触する位置であるステップS3の位置まで移動させる。また、制御部212は、時間tでノズル32をステップS2の位置からステップS3の位置まで移動させる。ヘッド制御部210は、ノズル32の先端が電子部品44に接触したら、ノズル駆動部34によりノズル32に電子部品44を吸着させる。また、制御部212は、時間tで電子部品44を吸着させる。
【0084】
制御部212は、ノズル32で電子部品44を吸着させたら、ヘッド制御部210よりノズル駆動部34を制御して、軌跡250に示すように、Z軸方向上側、つまりフィーダ部28から離れる方向にノズル32を移動させる。このとき、撮像制御部220は、ノズル32がステップS4の位置まで移動するとカメラ52でノズル32の画像を撮影する。つまり、(2)のタイミングで2枚目の画像を撮影する。制御部212は、撮像制御部220によりステップS4の位置で2枚目の画像を撮影することで、ノズル32に吸着された電子部品44の画像を撮影することができる。また、制御部212は、時間tでノズル32をステップS3の位置からステップS4の位置まで移動させる。また、制御部212は、時間tでノズル32をステップS2の位置からステップS4の位置まで移動させる。
【0085】
その後、制御部212は、ヘッド制御部210によりノズル駆動部34を制御して、ノズル32をZ軸方向下側にさらに移動させ、ノズルをステップS1と同様の高さであるステップS5の位置まで移動させる。
【0086】
その後、制御部212は、XY移動機構16によりヘッド15を基板8と対面する位置まで移動させる。制御部212は、ヘッド15を基板8と対面する位置まで移動させたら電子部品44と当該電子部品44の基板8の搭載位置とがXY平面において重なるように、XY移動機構16によりヘッド15を移動させる。なお、XY移動機構16によりヘッド15を移動させている間、ヘッド制御部210は、ノズル32の位置を移動させない、これにより、ノズル32はステップS6の高さで位置される。
【0087】
制御部212は、ヘッド15を基板8と対面する位置に移動させたら、ヘッド制御部210よりノズル駆動部34を制御して、軌跡250に示すように、Z軸方向下側にノズル32を移動させる。このとき、撮像制御部220は、ノズル32がステップS7の位置まで移動するとカメラ52でノズル32の画像を撮影する。つまり、(3)のタイミングで3枚目の画像を撮影する。制御部212は、撮像制御部220によりステップS7の位置で3枚目の画像を撮影することで、ノズル32に吸着され基板8に搭載する前の電子部品44の画像を撮影することができる。
【0088】
その後、制御部212は、ヘッド制御部210によりノズル駆動部34を制御して、ノズル32をZ軸方向下側にさらに移動させ、ノズル32の先端に吸着した電子部品44が基板と接触する位置であるステップS8の位置まで移動させる。また、制御部212は、時間tでノズル32をステップS7の位置からステップS8の位置まで移動させる。ヘッド制御部210は、ノズル32の先端が電子部品44に接触したら、ノズル駆動部34によりノズル32で吸着している電子部品44を開放させる。また、撮像制御部220は、ノズル32がステップS8の位置まで移動するとカメラ52でノズル32の画像を撮影する。つまり、(4)のタイミングで4枚目の画像を撮影する。制御部212は、撮像制御部220によりステップS8の位置で4枚目の画像を撮影することで、基板8と接触している電子部品44の画像を撮影することができる。また、制御部212は、時間tで電子部品44の吸着を開放し、基板に搭載させる。
【0089】
制御部212は、電子部品44を基板に搭載したら、ヘッド制御部210よりノズル駆動部34を制御して、軌跡250に示すように、Z軸方向上側、つまりフィーダ部28から離れる方向にノズル32を移動させる。このとき、撮像制御部220は、ノズル32がステップS9の位置まで移動するとカメラ52でノズル32の画像を撮影する。つまり、(2)のタイミングで5枚目の画像を撮影する。また、制御部212は、時間tでノズル32をステップS8の位置からステップS9の位置まで移動させる。ステップS9の位置で5枚目の画像を撮影することで、電子部品44を搭載した後のノズル32の画像を撮影することができる。
【0090】
その後、制御部212は、ヘッド制御部210によりノズル駆動部34を制御して、ノズル32をZ軸方向下側にさらに移動させ、ノズルをステップS1と同様の高さであるステップS10の位置まで移動させる。その後、制御部212は、XY移動機構16によりヘッド15を部品供給装置14と対面する位置まで移動させ、ステップS1となる。電子部品実装装置10は、このように、図13に示す処理を各ノズル32で繰り返すことで基板8上に多数の部品を搭載する。
【0091】
次に、図13および図14を用いて、電子部品実装装置10による電子部品の実装動作のうち吸着動作中の制御部212とカメラ用コンピュータ214と撮像制御部220との間の通信について説明する。ここで、図14は、撮像カメラユニットの動作を説明するためのシーケンス図である。
【0092】
電子部品実装装置10は、ステップS12として、制御部212からカメラ用コンピュータに吸着データを送信する。ここで、吸着データとは、制御部212がヘッド制御部210によりノズル駆動部34を制御しノズル32で吸着する電子部品の情報や吸着タイミング等である。電子部品実装装置10は、ステップS12でカメラ用コンピュータ214に吸着データを送信したら、ステップS14として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮影可能確認コマンドを送信する。カメラ用コンピュータ214は、複数の撮像制御部220のうち、吸着データで電子部品44を吸着するノズルを撮影するカメラ52の動作を制御する撮像制御部220にデータを送信する。また、撮影可能確認コマンドとは、カメラ52および撮像制御部220が画像の撮影が可能であるかを確認するコマンド情報である。なお、撮像制御部220は、撮影可能確認コマンドを受信したら、応答する信号をカメラ用コンピュータ214に送る。また、応答の信号は、撮影不可能な場合のみ送るようにしてもよいし、撮影の可否を示す信号を毎回送ってもよい。
【0093】
電子部品実装装置10は、ステップS14で撮影可能確認コマンドを撮像制御部220に送信したら、ステップS16として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮像条件データを送信する。なお、撮像条件データは、カメラ用コンピュータ214が吸着データに基づいて撮像制御部220での撮影時に必要な条件、例えば、撮影タイミング、倍率、露出、撮影高さ等を抽出したデータである。
【0094】
電子部品実装装置10は、ステップS16で撮像条件データを撮像制御部220に送信したら、ステップS18として、制御部212から吸着データと撮像データをリンクさせる指令をカメラ用コンピュータ214に送信する。カメラ用コンピュータ214は、指令を受信すると、制御部212から送られた吸着データと自身が送信した撮像データを比較し、リンクさせズレ等がある場合には補正を行う。
【0095】
なお、電子部品実装装置10は、枠260に囲まれたステップS12からステップS18の処理を吸着位置移動中に実行する。つまり、図13のノズル32がS1に到着する前にステップS12からステップS18の処理を実行する。なお、電子部品実装装置10は、電子部品44を吸着し搭載する処理を実行するノズル32に対して図15に示す処理を実行する。
【0096】
次に、電子部品実装装置10は、ノズル32が吸着位置に移動完了したら、枠262に囲まれたステップS20とステップS22の処理を実行する。つまり、図13のノズル32がS1に到着したことをトリガーとしてステップS20とステップS22の処理を実行する。
【0097】
電子部品実装装置10は、ステップS20として、制御部212からカメラ用コンピュータ214に撮像開始命令を送信し、ステップS22として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮像開始命令を送信する。ここで、撮像開始命令とは、撮像処理を開始させる命令である。撮像制御部220は、撮像開始命令を取得したら、カメラ52を撮影可能な状態で維持し、撮影条件と各種動作状態を比較し、撮影条件を満たしていると判定したら、画像の撮影を行う。具体的には、ノズル32が所定の高さになったことを検出したら、1枚目の画像と2枚目の画像とを撮影する。ここで、撮像制御部220は、ノズル駆動部34のエンコーダ信号を取得することで、ノズル32の位置を監視し、ノズル32が所定の高さ、つまりステップS2またはステップS4の高さとなったことを検出した場合、画像の撮影を行う。
【0098】
次に、電子部品実装装置10は、ノズル32が吸着動作中でかつZ軸上昇中に所定高さ以上となったら、枠264に囲まれたステップS24とステップS26の処理を実行する。ここで、本実施形態では、ノズル32が上限の高さまで移動した場合に、枠264に囲まれたステップS24とステップS26の処理を実行する。つまり、図13のノズル32がS5に到着したことをトリガーとしてステップS24とステップS26の処理を実行する。
【0099】
電子部品実装装置10は、ステップS24として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮像結果取得開始命令を送信する。ここで、撮像結果取得命令とは、カメラ52で撮影した画像のデータをカメラ用コンピュータ214に送る処理を実行させる指令である。電子部品実装装置10は、ステップS24で撮像制御部220が撮像結果取得命令を受信したら、ステップS26として、撮像制御部220からカメラ用コンピュータ214に撮像画像データを送信する。つまり、撮像制御部220は、撮影した画像のデータをカメラ用コンピュータ214に送信する。
【0100】
次に、図13および図15を用いて、電子部品実装装置10による電子部品44の実装動作のうち搭載動作中の制御部212とカメラ用コンピュータ214と撮像制御部220との間の通信について説明する。ここで、図15は、撮像カメラユニットの動作を説明するためのシーケンス図である。
【0101】
電子部品実装装置10は、ステップS52として、制御部212からカメラ用コンピュータに搭載データを送信する。ここで、搭載データとは、制御部212がヘッド制御部210によりノズル駆動部34を制御しノズル32で吸着した電子部品44の情報や吸着した電子部品44を搭載する位置、搭載するタイミング等である。電子部品実装装置10は、ステップS52でカメラ用コンピュータ214に搭載データを送信したら、ステップS54として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮影可能確認コマンドを送信する。カメラ用コンピュータ214は、複数の撮像制御部220のうち、搭載データで電子部品44を吸着するノズルを撮影するカメラ52の動作を制御する撮像制御部220にデータを送信する。また、撮影可能確認コマンドとは、カメラ52および撮像制御部220が画像の撮影が可能であるかを確認するコマンド情報である。なお、撮像制御部220は、撮影可能確認コマンドを受信したら、応答する信号をカメラ用コンピュータ214に送る。また、応答の信号は、撮影不可能な場合のみ送るようにしてもよいし、撮影の可否を示す信号を毎回送ってもよい。
【0102】
電子部品実装装置10は、ステップS54で撮影可能確認コマンドを撮像制御部220に送信したら、ステップS56として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮像条件データを送信する。なお、撮像条件データは、カメラ用コンピュータ214が吸着データに基づいて撮像制御部220での撮影時に必要な条件、例えば、撮影タイミング、倍率、露出、撮影高さ等を抽出したデータである。
【0103】
電子部品実装装置10は、ステップS56で撮像条件データを撮像制御部220に送信したら、ステップS58として、制御部212から搭載データと撮像データをリンクさせる指令をカメラ用コンピュータ214に送信する。カメラ用コンピュータ214は、指令を受信すると、制御部212から送られた吸着データと自身が送信した撮像データを比較し、リンクさせズレ等がある場合には補正を行う。
【0104】
なお、電子部品実装装置10は、枠270に囲まれたステップS52からステップS58の処理を搭載位置移動中に実行する。つまり、図13のノズル32がS6に到着する前にステップS52からステップS58の処理を実行する。なお、電子部品実装装置10は、電子部品44を吸着し搭載する処理を実行するノズル32に対して図15に示す処理を実行する。
【0105】
次に、電子部品実装装置10は、ノズル32が搭載位置に移動完了したら、枠272に囲まれたステップS60とステップS62の処理を実行する。つまり、図13のノズル32がS6に到着したことをトリガーとしてステップS60とステップS62の処理を実行する。
【0106】
電子部品実装装置10は、ステップS60として、制御部212からカメラ用コンピュータ214に撮像開始命令を送信し、ステップS62として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮像開始命令を送信する。ここで、撮像開始命令とは、撮像処理を開始させる命令である。撮像制御部220は、撮像開始命令を取得したら、カメラ52を撮影可能な状態で維持し、撮影条件と各種動作状態を比較し、撮影条件を満たしていると判定したら、画像の撮影を行う。具体的には、ノズル32が所定の高さになったことを検出したら、3枚目の画像と4枚目の画像と5枚目の画像とを撮影する。ここで、撮像制御部220は、ノズル駆動部34のエンコーダ信号を取得することで、ノズル32の位置を監視し、ノズル32が所定の高さ、つまりステップS7、ステップS8またはステップS9の高さとなったことを検出した場合、画像の撮影を行う。また、この場合も1枚目の画像を送信し、次の撮影の準備の時間は、時間tあり、3枚目の画像を送信し、次の撮影の準備の時間は、時間tある。また、4枚目の画像を送信し、次の撮影の準備の時間も、時間tある。これにより、ノズル32の移動中に画像データを送信することができる。
【0107】
次に、電子部品実装装置10は、ノズル32が吸着動作中でかつZ軸上昇中に所定高さ以上となったら、枠264に囲まれたステップS64とステップS66の処理を実行する。ここで、本実施形態では、ノズル32が上限の高さまで移動した場合に、枠274に囲まれたステップS64とステップS66の処理を実行する。つまり、図13のノズル32がS10に到着したことをトリガーとしてステップS64とステップS66の処理を実行する。
【0108】
電子部品実装装置10は、ステップS64として、カメラ用コンピュータ214から撮像制御部220に撮像結果取得開始命令を送信する。ここで、撮像結果取得命令とは、カメラ52で撮影した画像のデータをカメラ用コンピュータ214に送る処理を実行させる指令である。電子部品実装装置10は、ステップS64で撮像制御部220が撮像結果取得命令を受信したら、ステップS66として、撮像制御部220からカメラ用コンピュータ214に撮像画像データを送信する。つまり、撮像制御部220は、撮影した画像のデータをカメラ用コンピュータ214に送信する。
【0109】
電子部品実装装置10は、ステップS12からステップS18の撮影準備の処理を吸着位置移動中、つまりステップS1の前に行い、ステップS52からステップS58の撮影準備の処理を搭載位置移動中、つまりステップS6の前に行うことで、吸着位置または搭載位置の到着後、すぐにノズル32をZ軸方向に移動させることができる。つまり、予め撮影準備をしておくことで、吸着動作、搭載動作で、処理待ちの時間を少なくすることができる。また、本実施形態のように、撮像制御部220とカメラ用コンピュータ214とを接続する配線232と、カメラ用コンピュータ214と制御部212とを接続する配線230とを別々の配線とすることで、それぞれの装置間での情報の送受信を平行して行うことができ、処理を円滑に進めることができる。
【0110】
また、電子部品実装装置10は、撮影画像データの転送もノズル32のZ軸の高さが所定の高さとなったことをトリガーとして実行することで、画像データの転送を待つことなく、次の動作に進むことができる。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品をより短時間でより多く実装することができる。
【0111】
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、1枚目の画像データと2枚目の画像データをステップS26でまとめて送信したがこれに限定されない。電子部品実装装置10は、1枚目の画像データを撮影した後、ノズル32の下降時にノズル32のZ軸の高さが所定の高さとなったことをトリガーとして、時間tの間に画像データを送信してもよい。また、搭載動作の場合も同様に画像データを一枚ずつ送信してもよい。
【0112】
電子部品実装装置10は、「プレースメントモニタ部品有無一時停止する」という操作オプションが実行する設定、つまりONになっている場合、搭載動作の画像データの取得後に部品有無チェック結果取得コマンドをカメラ用コンピュータ214から制御部212に送信する。カメラ用コンピュータ214は、つまり画像データで搭載する電子部品44が2枚目の画像データ、3枚目の画像データおよび4枚目の画像データで電子部品44が確認され、1枚目の画像データ、5枚目の画像データの画像データで電子部品44が確認されない場合、部品有無チェック結果取得コマンドで部品ありと判定したコマンドを出力する。また、電子部品実装装置10は、画像データで電子部品44が吸着されていないと判定したら、エラーコマンドを出力する。電子部品実装装置10は、カメラ用コンピュータ214からエラーコマンドが出力されたら搭載動作を一時停止する。これにより電子部品44が搭載されていない基板を製造することを抑制することができる。
【0113】
また、電子部品実装装置10は、ノズル32の吸着動作時にヘッド本体30でエラーを検出しまたはレーザ認識装置38でエラーを検出し部品を廃棄する場合、制御部212から撮像制御部220およびカメラ52にダミー画像を送信することが好ましい。これにより、電子部品実装装置10は、装置内で既にエラーと判定されている状態で、撮像カメラユニット36でさらにエラーが発生することを抑制できる。これにより、処理を簡単にすることができる。
【0114】
また、電子部品実装装置10は、ノズル32の吸着動作時にヘッド本体30でエラーを検出した場合またはレーザ認識装置38でエラーを検出した場合、発生したエラーの内容を制御部212から撮像制御部220に送信することも好ましい。これにより、撮像制御部220で発生したエラーを認識することができ、発生したエラーに基づいた制御を行うことができる。
【0115】
また、電子部品実装装置10は、電子部品44の搭載動作が正常に完了した場合、電子部品44の搭載が完了したコマンドをカメラ用コンピュータに送信することが好ましい。これにより、動作の完了を確認でき、次の動作に進みやすくすることができる。また、子部品の搭載が完了したコマンドは、搭載前の部品有無を確認の完了直後に実行することが好ましい。
【0116】
また、電子部品実装装置10は、カメラ用コンピュータ214で撮影画像のデータを解析し、前後の画像データや、登録した電子部品44の画像データを比較する場合、撮影画像のデータと比較対象の画像データとを相対的に回転、移動させて、比較することが好ましい。これにより撮影した画像が基板の歪み等の外乱要素でずれた場合も的確に比較することができ、比較の判定をより高い精度で実行することができる。
【0117】
また、上記実施形態では、ヘッド15を1つ有する構成としたが、本発明はこれに限定されず、ヘッドを複数設けてもよい。例えば、ヘッド15を2つ設け、1つの基板に対して、交互に電子部品44を搭載するようにしてもよい。このように、2つのヘッド15で交互に電子部品44を搭載することで、一方のヘッドが電子部品44を基板に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品44を吸着することができる。これにより、基板に電子部品44を搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品44を搭載(実装)することができる。
【符号の説明】
【0118】
8 基板
10 電子部品実装装置
12 基板搬送部
14 部品供給装置
15 ヘッド
16 XY移動機構
22 X軸駆動部
24 Y軸駆動部
26 保持部
28 フィーダ部
30 ヘッド本体
31 ヘッド支持体
32 ノズル
34 ノズル駆動部
36 撮像カメラユニット
38 レーザ認識装置
42 アッパーカバー
44 電子部品
50 ブラケット
52 カメラ
54 第1照明部
56 第2照明部
58 バッフル
60 カメラモジュール保持領域
62 仕切り板
64 開口
66 ノズル用開口
72 第1面
73 第2面
74 第1露出部
76 第2露出部
77 端辺
78 突出部
79 凹部
90 照射光
210 ヘッド制御部
212 制御部
214 カメラ用コンピュータ
220 撮像制御部
222 多重部
230、232 配線
250 軌跡
252 基準面
260、262、264、270、272、274 枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置であって、
電子部品を吸着するノズルと前記ノズルを駆動するノズル駆動部と前記ノズルおよび前記ノズル駆動部とを支持するヘッド支持体とを備えるヘッド本体と、
前記ヘッド支持体に固定され、前記ノズルで吸着した電子部品または前記ノズルで吸着する対象の電子部品を撮影するカメラユニットと、を有し、
前記カメラユニットは、画像を撮影するカメラと、前記カメラの前記ノズルに近い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第1照明部と、前記カメラの前記ノズルから遠い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第2照明部と、前記第1照明部から照射される光の一部を遮蔽するバッフルと、で構成されるカメラモジュールと、前記ヘッド支持体に固定され前記カメラと前記第1照明部と前記第2照明部と前記バッフルとを支持するブラケットと、を備えることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記バッフルは、前記第1照明部および前記第2照明部から照射された後、反射して前記カメラに入射する光の一部を遮蔽することを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置であって、
電子部品を吸着するノズルと前記ノズルを駆動するノズル駆動部と前記ノズルおよび前記ノズル駆動部とを支持するヘッド支持体とを備えるヘッド本体と、
前記ヘッド支持体に固定され、前記ノズルの先端を撮影するカメラユニットと、を有し、
前記カメラユニットは、画像を撮影するカメラと、前記カメラの前記ノズルに近い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第1照明部と、前記カメラの前記ノズルから遠い側に隣接して配置され前記カメラの撮影領域に向けて光を照射する第2照明部と、前記第1照明部および第2照明部から照射された後、反射して前記カメラに入射する光の一部を遮蔽するバッフルと、で構成されるカメラモジュールと、前記ヘッド支持体に固定され前記カメラと前記第1照明部と前記第2照明部と前記バッフルとを支持するブラケットと、を備えることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項4】
前記バッフルは、前記第2照明部から照射される光は遮蔽しないことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記カメラと前記第1照明部と第2照明部と前記バッフルとを内蔵するカメラモジュール保持領域が形成され、
前記カメラモジュール保持領域は、前記ノズルと対向する面に開口が形成され、
前記バッフルは、前記開口から少なくとも一部が露出していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
前記バッフルは、前記カメラと対向する領域よりも前記第1照明部と対向する領域の方が前記開口からの露出量が多いことを特徴とする請求項5に記載の電子部品実装装置。
【請求項7】
前記バッフルは、前記カメラと前記第1照明部と第2照明部との配列方向に延在する第1面と、前記第1面の前記第1照明部側の端部に連結し前記第1面の延在方向に直交する方向かつ前記ノズルから離れる方向に延在する第2面とを有するL字の板形状であり、
前記第1面の前記ノズル側の端部が前記開口から露出していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項8】
前記バッフルは、前記第1面の前記第1照明部側の前記ノズル側の端部が、前記第2面の前記第1照明部側の辺よりも前記第1照明部側に突出していることを特徴とする請求項7に記載の電子部品実装装置。
【請求項9】
前記ヘッド本体は、複数の前記ノズルが一列で配置されており、
前記カメラユニットは、前記ノズル毎に対応して配置された複数の前記カメラモジュールを備え、
前記カメラモジュールは、前記カメラと前記第1照明部と第2照明部とが前記ノズルの配列方向に平行に配列されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項10】
前記第1照明部は、前記ノズルを通り、前記配列方向に直交する面に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の電子部品実装装置。
【請求項11】
前記ノズルに吸着された前記電子部品にレーザ光を照射し、前記電子部品の形状を検出するレーザ認識装置をさらに有し、
前記ブラケットは、前記レーザ認識装置を支持する支持機構であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−195508(P2012−195508A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59635(P2011−59635)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】