説明

電子部品実装装置

【課題】簡易かつ安価な構成で、部品実装のタクトタイムを短縮すると共に、搭載ヘッド同士の衝突を回避できる電子部品実装装置を提供すること。
【解決手段】X軸部13に支持されたLヘッド5aをX軸方向に移動させるX1モータ14aと、X軸部13に支持されたRヘッド5bをX軸方向に移動させるX2モータ14bとを、Lヘッド5aとRヘッド5bとのX軸方向における中間位置を示す和動モード位置指令と、Lヘッド5aとRヘッド5bとのX軸方向における間隔を示す差動モード位置指令とで駆動制御し、和動モード位置指令によりLヘッド5aおよびRヘッド5bのX軸方向における中間位置制御を行い、差動モード位置指令によりLヘッド5aおよびRヘッド5bのX軸方向における間隔制御を行うよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置に関し、特に、複数の搭載ヘッドにより基板に対して電子部品を実装する電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の搭載ヘッドを用いて部品実装のタクトタイムを短縮する電子部品実装装置が知られている。図8(a)に示すように、この電子部品実装装置81は、X軸方向に離間してYL軸部82aおよびYR軸部82bを配置し、YL軸部82aおよびYR軸部82b上にY軸方向に移動可能にXF軸部83aおよびXR軸部83bを支持して構成される。XF軸部83aは、搭載ヘッドとしてのXFヘッド84aをX軸方向に移動可能に支持し、XR軸部83bは、搭載ヘッドとしてのXRヘッド84bをX軸方向に移動可能に支持している。
【0003】
電子部品実装装置81においては、XF軸部83aおよびXR軸部83bがY軸方向に駆動されると共に、XFヘッド84aおよびXRヘッド84bがX軸方向に駆動されることで、基板Wの所定の位置に電子部品が実装される。このように2つの搭載ヘッドにより電子部品が実装されることで、1つの搭載ヘッドにより電子部品を実装する構成と比べてタクトタイムが短縮されると共に、1つの搭載ヘッドを有する電子部品実装装置を2台配置する構成と比べて設置スペースおよびコストが低減される。
【0004】
また、このような複数の搭載ヘッドを有する電子部品実装装置では、搭載ヘッド同士の衝突を回避するような制御が行われている。例えば、図8に示す電子部品実装装置81では、XFヘッド84aとXRヘッド84bとが同時に基板W上に侵入しないように制御される。具体的には、図8(b)に示すように、一方の搭載ヘッド(XFヘッド84a)が基板Wに電子部品を搭載している間に、他方の搭載ヘッド(XRヘッド84b)が基板Wの手前で待機するように制御される。
【0005】
そして、一方の搭載ヘッドにより電子部品の搭載が完了すると、他方の搭載ヘッドが基板W上に侵入する前に、一方の搭載ヘッドが基板W上から高速で退避される。このような制御により、一方の搭載ヘッドと他方の搭載ヘッドとの衝突が回避されている。また、2つの搭載ヘッドの衝突を回避する制御として、搭載ヘッドの衝突を予測するものが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の電子部品実装装置では、2つの搭載ヘッドの位置、速度、加速度から搭載ヘッドの衝突が予測される場合に、2つの搭載ヘッドに制動を掛けることで衝突が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−231722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図8(b)に示す電子部品実装装置では、一方の搭載ヘッドによる電子部品の搭載時に、他方の搭載ヘッドが基板手前で待機しなければならず、さらに、搭載ヘッドが常に高速で移動できるとは限らないため、タクトタイム上は不利となっている。また、2つの搭載ヘッドの移動が個別制御されるため、2つの搭載ヘッドの衝突を確実に回避することが困難となっていた。
【0008】
特許文献1に記載の電子部品実装装置では、2つの搭載ヘッドの位置、速度、加速度を算出し、衝突の判定および制動指令を算出するため、制御構成が煩雑となると共に、高性能の演算器が必要である。また、制動関数を元に停止距離が判断されるが、停止距離の摩擦による変化や経年変化等の影響を考慮して、実際の停止距離については余裕を見越した距離を取らざるを得ない。このため、2つの搭載ヘッド間の距離が広く設定され、タクトタイム上は不利になるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、簡易かつ安価な構成で、部品実装のタクトタイムを短縮すると共に、搭載ヘッド同士の衝突を回避できる電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電子部品実装装置は、基板を保持するステーションと、前記ステーションをY軸方向に移動させるステーション移動機構と、電子部品を前記基板に対して搭載する一対の搭載ヘッドと、前記一対の搭載ヘッドをX軸方向に離間して支持するX軸部と、前記X軸部において前記各搭載ヘッドをX軸方向に移動させる一対のX軸モータとを有するX軸移動機構とを備え、前記一対のX軸モータを、前記X軸方向における前記一対の搭載ヘッドの中間位置を示す和動モード位置指令と、前記X軸方向における前記一対の搭載ヘッドの間隔を示す差動モード位置指令とで駆動制御し、前記和動モード位置指令により前記一対の搭載ヘッドの前記X軸方向における中間位置制御を行い、前記差動モード位置指令により前記一対の搭載ヘッドの前記X軸方向における間隔制御を行うことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、和動モード位置指令および差動モード位置指令により一対のX軸モータが相互に関連して駆動され、X軸方向において一対の搭載ヘッドが位置制御および間隔制御される。このように、一対の搭載ヘッドが相互に関連して駆動されるため、一対の搭載ヘッドが個別に駆動制御される構成と比べて、搭載ヘッド同士の衝突の危険を回避しつつ高速駆動が可能となる。また、差動モード位置指令の値が一定以上となるように設定されることで、一対の搭載ヘッドに所定以上の間隔を維持させた状態を容易に制御できる。さらに、衝突判定等の複雑な演算処理がないため、高性能な演算器が不要である。したがって、簡易かつ安価な構成で、一対の搭載ヘッドによりタクトタイムを短縮すると共に、搭載ヘッド同士の衝突を回避できる。
【0012】
また本発明は、上記電子部品実装装置において、前記一対のX軸モータのそれぞれに対する位置指令を、前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換して、前記一対の搭載ヘッドを制御することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、一対のX軸モータに対する通常の位置指令が和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換されるため、上位のコントローラを変更することなく、既存のコントローラを使用できる。
【0014】
また本発明は、上記電子部品実装装置において、前記一対のX軸モータのそれぞれに対する位置指令を、2次アダマール行列に基づいて前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、簡易な処理により、一対のX軸モータに対する通常の位置指令を和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換できる。
【0016】
また本発明は、上記電子部品実装装置において、前記差動モード位置指令で示される値が所定値よりも小さい場合には、当該所定値よりも大きくなるように前記差動モード位置指令の値を調整することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、差動モード位置指令の値が、常に所定値よりも大きくなるように調整されるため、一対の搭載ヘッドの間隔を常に所定以上に維持し、搭載ヘッド同士の衝突を確実に回避できる。
【0018】
また本発明は、上記電子部品実装装置において、前記搭載ヘッドに対し、前記基板に搭載される前記電子部品を供給する電子部品供給装置を備えることができる。
【0019】
本発明の他の電子部品実装装置は、電子部品を基板に対して搭載する搭載ヘッドをY軸方向に離間して支持する一対のX軸部と、前記一対のX軸部のそれぞれにおいて、前記各搭載ヘッドをX軸方向に移動させる一対のX軸モータとを有するX軸移動機構と、前記一対のX軸部を支持するY軸部と、前記Y軸部において前記一対のX軸部をY軸方向に移動させる一対のY軸モータとを有するY軸移動機構とを備え、前記一対のY軸モータを、前記Y軸方向における前記一対のX軸部の中間位置を示す和動モード位置指令と、前記Y軸方向における前記一対のX軸部の間隔を示す差動モード位置指令とで駆動制御し、前記和動モード位置指令により前記一対のX軸部の前記Y軸方向における中間位置制御を行い、前記差動モード位置指令により前記一対のX軸部の前記Y軸方向における間隔制御を行うことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、和動モード位置指令および差動モード位置指令により一対のY軸モータが相互に関連して駆動され、Y軸方向において一対のX軸部が位置制御および間隔制御される。このように、一対のX軸部が相互に関連して駆動されるため、一対のX軸部が個別に駆動制御される構成と比べて、搭載ヘッド同士の衝突の危険を回避しつつ高速駆動が可能となる。また、差動モード位置指令の値が一定以上となるように設定されることで、一対のX軸部に所定以上の間隔を維持させた状態を容易に制御できる。さらに、衝突判定等の複雑な演算処理がないため、高性能な演算器が不要である。したがって、簡易かつ安価な構成で、一対の搭載ヘッドによりタクトタイムを短縮すると共に、搭載ヘッド同士の衝突を回避できる。
【0021】
また本発明は、上記他の電子部品実装装置において、前記一対のY軸モータのそれぞれに対する位置指令を、前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換して、前記一対のX軸部を制御することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、一対のY軸モータに対する通常の位置指令が和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換されるため、上位のコントローラを変更することなく、既存のコントローラを使用できる。
【0023】
また本発明は、上記他の電子部品実装装置において、前記一対のY軸モータのそれぞれに対する位置指令を、2次アダマール行列に基づいて前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、簡易な処理により、一対のY軸モータに対する通常の位置指令を和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換できる。
【0025】
また本発明は、上記他の電子部品実装装置において、前記差動モード位置指令で示される値が所定値よりも小さい場合には、当該所定値よりも大きくなるように前記差動モード位置指令の値を調整することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、差動モード位置指令の値が、常に所定値よりも大きくなるように調整されるため、一対のX軸部の間隔を常に所定以上に維持し、搭載ヘッド同士の衝突を確実に回避できる。
【0027】
また本発明は、上記他の電子部品実装装置において、前記搭載ヘッドに対し、前記基板に搭載される前記電子部品を供給する電子部品供給装置を備えることができる。
【0028】
また本発明は、上記他の電子部品実装装置において、前記Y軸移動機構は、前記一対のX軸部の一方の端部および他方の端部を支持する一対のY軸部と、前記一対のX軸部の一方の端部を支持するY軸部において前記一対のX軸部をY軸方向に移動させる一対のY軸モータと、前記一対のX軸部の他方の端部を支持するY軸部において前記一対のX軸部をY軸方向に移動させる他の一対のY軸モータとを有し、前記一対のY軸モータおよび前記他の一対のY軸モータを、前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令とで駆動制御することを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、搭載ヘッドが支持されたX軸部の両端側が、一対のY軸部により両持ち支持されることで、X軸部を安定した状態でY軸方向に移動させることができる。
【0030】
また本発明は、上記他の電子部品実装装置において、前記一対のX軸部のそれぞれに2つの搭載ヘッドが支持され、前記一対のX軸部においてX軸方向に位置する2つのX軸モータを、前記X軸方向における2つの搭載ヘッドの中間位置を示すヘッド和動モード位置指令と、前記X軸方向における2つの搭載ヘッドの間隔を示すヘッド差動モード位置指令とで駆動制御し、前記ヘッド和動モード位置指令により2つの搭載ヘッドの前記X軸方向における中間位置制御を行い、前記ヘッド差動モード位置指令により2つの搭載ヘッドの前記X軸方向における間隔制御を行うことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、各X軸部にそれぞれ2つの搭載ヘッドが支持され、計4つの搭載ヘッドによりタクトタイムをさらに短縮することができる。また、ヘッド和動モード位置指令およびヘッド差動モード位置指令により各X軸部に支持された2つX軸モータが相互に関連して駆動され、X軸方向において2つの搭載ヘッドが位置制御および間隔制御される。このように、X軸方向およびY軸方向において、各搭載ヘッドが位置制御および間隔制御されるため、X軸方向およびY軸方向における搭載ヘッド同士の衝突の危険を回避しつつ高速移動が可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、簡易かつ安価な構成で、部品実装のタクトタイムを短縮すると共に、搭載ヘッド同士の衝突を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る電子部品実装装置の第1の実施の形態を示す図であり、電子部品実装装置の上面模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品実装装置における位置指令の変換処理の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品実装装置の制御系のブロック線図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電子部品実装装置の上面模式図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る電子部品実装装置の制御系のブロック線図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る電子部品実装装置における位置指令の変換処理の説明図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る電子部品実装装置の上面模式図である。
【図8】本発明に係る電子部品実装装置の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の第1の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
第1の実施の形態は、1つの軸上を移動する2つの搭載ヘッドの各モータに与えられる通常の位置指令を、搭載ヘッド間の重心位置(中間位置)と搭載ヘッド間の間隔とを目標値として制御する仮想モード座標系の和動モード位置指令と差動モード位置指令に変換し、仮想モードでのモータ駆動制御を行うように構成されている。
【0035】
図1は、第1の実施の形態に係る電子部品実装装置の上面模式図である。先ず、電子部品実装装置の概略構成について説明する。本実施の形態に係る電子部品実装装置1は、上面視矩形状のベースフレーム2の略中央に、基板Wが保持されるステーション3が設けられている。ステーション3は、図示しない移動機構によりY軸方向に移動可能に構成されている。ステーション3の上方には2つの搭載ヘッドをY軸方向と直交するX軸方向へ独立に移動させるX軸移動機構4が配設されている。Lヘッド5aおよびRヘッド5bが、X軸移動機構4によってX軸方向へ移動する2つの搭載ヘッドである。ベースフレーム2のX軸方向の両側に、Y軸方向に延在する一対の支持台11a、11bが設けられている。
【0036】
X軸移動機構4は、一対の支持台11a、11bに両持ちで支持されたX軸部13と、X軸部13に移動可能に支持されたX1モータ14aおよびX2モータ14bとを有している。X1モータ14aは、Lヘッド5aを支持し、X2モータ14bは、Rヘッド5bを支持している。Lヘッド5aおよびRヘッド5bは、X1モータ14aおよびX2モータ14bによりそれぞれX軸方向に移動される。なお、上記した各種モータは、一軸方向に移動可能であればよく、例えば、サーボモータやリニアモータでもよい。この場合、各軸部は、各種モータに対応して構成され、例えば、ボールネジやガイド等で構成される。
【0037】
また、ベースフレーム2上には、ステーション3に対して基板Wを搬入する搬入部6と、ステーション3から基板Wを搬出する搬出部7とが設けられている。搬入部6は、電子部品の実装時には、X軸方向における一方の端部から基板Wを取り込み、Lヘッド5aおよびRヘッド5bの下方に位置させる。また、搬出部7は、電子部品の実装完了時には、X軸方向における他方の端部から基板Wを搬出する。
【0038】
ベースフレーム2上のY軸方向の両端位置には、複数のフィーダ(部品供給装置)8からなるフィーダ群が配置されている。複数のフィーダ8は、X軸方向に並んでおり、Lヘッド5aおよびRヘッド5bに対して電子部品を連続的に供給する。なお、電子部品は、例えば、IC、抵抗器、コンデンサ等であり、基板Wに実装可能なであれば、どのようなものでもよい。また、フィーダ8は、テープフィーダやバルクフィーダ等、基板Wに実装する電子部品に応じて変更可能である。
【0039】
Lヘッド5aおよびRヘッド5bは、それぞれ複数の吸着ノズル16を有し、これら吸着ノズル16により各フィーダ8から電子部品を吸着保持する。この場合、複数の吸着ノズル16は、X軸方向に一列に設けられており、各吸着ノズル16間の間隔が各フィーダ8間の間隔に略一致されている。このため、Lヘッド5aおよびRヘッド5bは、各フィーダ8から一度に複数の電子部品を吸着可能となっている。なお、各吸着ノズル16間の間隔は、各フィーダ8間の間隔に必ずしも略一致している必要がなく、フィーダ8から電子部品が吸着できれば、どのように構成されていてもよい。
【0040】
また、ベースフレーム2内には、電子部品実装装置1の各部を統括制御する制御部9が設けられている。制御部9は、各種処理を実行するプロセッサや、メモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。また、メモリには、搭載ヘッドやモータ等の各部の動作を制御する制御プログラム等が記憶されている。
【0041】
ここで、本実施の形態における仮想モードでのモータ駆動制御の内容について詳しく説明する。本実施の形態に係る電子部品実装装置1では、X1モータ14a、X2モータ14bに与えられる通常の位置指令が、Lヘッド5aおよびRヘッド5bを1ヘッドとみなした仮想モードにおける和動モード位置指令と差動モード位置指令とに変換される。和動モード位置指令は、Lヘッド5aとRヘッド5bとの重心位置(中間位置)を示し、差動モード位置指令は、Lヘッド5aとRヘッド5bとの間隔を示す。仮想モードでは、2つの搭載ヘッドの「重心位置」と「間隔」とで位置指令がなされるので、指示する「間隔」を零以下とはならないようにすることで、本質的に衝突成分を含まない制御を実現でき、Lヘッド5aとRヘッド5bとの衝突を確実に回避して、X1モータ14a、X2モータ14bを同時に駆動することができる。
【0042】
和動モード位置指令および差動モード位置指令は、X1モータ14aに入力される通常の位置指令をX1、X2モータ14bに入力される通常の位置指令をX2とした場合、以下の式(1)、(2)により算出される。
和動モード位置指令 com=(X1+X2)/2 …(1)
差動モード位置指令 dif=X2−X1 …(2)
【0043】
具体的には、図2(a)に示すように、通常の位置指令X1=0、通常の位置指令X2=1000が入力されると、和動モード位置指令com=500、差動モード位置指令dif=1000に変換される。また、図2(b)に示すように、通常の位置指令X1=200、通常の位置指令X2=600が入力されると、和動モード位置指令com=400、差動モード位置指令dif=400に変換される。
【0044】
さらに、図2(c)に示すように、通常の位置指令X1=500、通常の位置指令X2=800が入力されると、和動モード位置指令com=650、差動モード位置指令dif=300に変換される。このようにして変換された和動モード位置指令で示されるLヘッド5aとRヘッド5bとの中間位置、および差動モード位置指令で示されるLヘッド5aとRヘッド5bとの間隔を満たすように、X1モータ14a、X2モータ14bの駆動が制御される。
【0045】
通常の位置指令は、2次アダマール行列を用いて、和動モード位置指令、差動モード位置指令に変換することができる。ただし、通常の位置指令を仮想モードの和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換する関数は、2次アダマール行列に限定されるものではない。通常の位置指令から和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換可能であれば、どのような方法を用いて変換してもよい。
【0046】
本実施の形態では、衝突成分を含まない制御を実現する観点から、差動モード位置指令の値が、常に所定値よりも大きく(例えば、dif>0)なるように制御される。X-X1>(0+α)であれば、Lヘッド5aとRヘッド5bとの間隔が常に所定距離α以上に維持されるため、衝突成分を含まない制御が可能となる。なお、差動モード位置指令の値を所定値以上とする方法としては、例えば、差動モード位置指令の値が所定値以下(dif≦0)の場合に、所定値よりも大きくなるような任意の値を付加してもよい。
【0047】
次に、以上のような仮想モードでモータ駆動制御する制御系の構成について説明する。
図3は仮想モードでモータ駆動制御する制御系の構成図である。X1モータ14aに対して通常の位置指令X1が入力され、X2モータ14bに対して通常の位置指令X2が入力される。加算要素p51は、位置指令X1に、引き出し点p52を介して入力された位置指令X2を加算し、その加算結果(X1+X2)を1/2演算要素e51に入力して1/2を乗算する。すなわち、通常の位置指令(X1、X2)から和動モード位置指令(com=(X1+X2)/2)が演算されたことになる。一方、減算要素p53は、位置指令X2から、引き出し点p54を介して入力された位置指令X1を減算する。その減算結果が差動モード位置指令(dif=X2-X1)になる。
【0048】
減算要素p61は、和動モード位置指令からX1モータ14aおよびX2モータ14bからフィードバックされた位置制御量を減算して位置偏差を求め、その位置偏差に比例要素e62で位置ゲインKpを乗算して、X1モータ14aに対する速度指令に変換する。
【0049】
減算要素p62は、X1モータ14aに対する速度指令から、X1モータ14aおよびX2モータ14bからフィードバックされた速度制御量を減算して速度偏差を求める。加算要素p63は、1/2演算要素e63から入力された速度偏差に、X2モータ14bに対する速度偏差に+1/2が乗算されたものを加算する。すなわち、加算要素p63において速度偏差(和動モード位置指令com)に差動モード位置指令(dif)に+1/2を乗算した+dif/2を加算して、X1モータ14aに対するトルク指令を演算する。
【0050】
一方、差動モード位置指令は、リミッタe52に入力される。リミッタe52は、差動モード位置指令が所定値以下の場合には所定値より大きくなるように調整し、減算要素p71に出力する。減算要素p71は、差動モード位置指令から、X1モータ14aおよびX2モータ14bからフィードバックされた位置制御量の差分を減算して位置偏差を求める。比例要素e72は、位置偏差に位置ゲインKpを乗算し、速度指令として減算要素p72に出力する。
【0051】
減算要素p72は、速度指令から、X1モータ14aおよびX2モータ14bからフィードバックされた速度制御量の差分を減算して速度偏差を求める。1/2演算要素e73は、速度偏差(dif)に−1/2を乗算し、減算要素p73に出力する。減算要素p73は、1つのモータに対する速度偏差(和動モード位置指令comに相当)から+1/2を乗算した速度偏差を減算する。すなわち、減算要素p73において速度偏差から差動モード位置指令に+1/2を乗算した+dif/2を減算して、X2モータ14bに対するトルク指令を演算する。
【0052】
以上のようにして、仮想モード座標系でX1モータ14aに対するトルク指令、およびX2モータ14bに対するトルク指令が求められた。演算要素e64は、X1モータ14aに対するトルク指令の単位を変換して、加算要素p64に出力する。加算要素p64は、トルク指令に外乱オブザーバe66からの推定量を加算し、比例要素e65および外乱オブザーバe66に出力する。比例要素e65は、トルク指令にトルク定数Ktを乗算し、減算要素p65に出力する。減算要素p65は、比例要素e65の出力から外乱τdism1を減算し、X1モータ14aに入力する。X1モータ14aの出力は、フィードバック用の速度制御量として、外乱オブザーバe66、加算要素p66、積分要素e67に出力される。
【0053】
外乱オブザーバe66は、加算要素p64からのトルク指令とX1モータ14aからの速度制御量とを入力として、外乱τdism1を推定し、演算要素e68に出力する。演算要素e68は、外乱オブザーバe66からの外乱τdism1の推定量の単位を変換して、加算要素p64に出力する。また、加算要素p66は、X1モータ14aからのフィードバック用の速度制御量に、X2モータ14bからのフィードバック用の速度制御量を加算し、比例要素e69に出力する。比例要素e69は、速度制御量に速度ゲインKvを乗算し、速度偏差を求めるために減算要素p62に出力する。
【0054】
積分要素e67は、速度制御量を位置制御量に変換し、加算要素p67に出力する。加算要素p67は、このフィードバック用の位置制御量に、X2モータ14bからのフィードバック用の位置制御量を加算し、位置偏差を求めるために減算要素p61に出力する。
【0055】
一方、演算要素e74は、トルク指令の単位を変換して、加算要素p74に出力する。加算要素p74は、トルク指令に外乱オブザーバe76からの推定量を加算し、比例要素e75および外乱オブザーバe76に出力する。比例要素e75は、トルク指令にトルク定数Ktを乗算し、減算要素p75に出力する。減算要素p75は、比例要素e75の出力から外乱τdism3を減算し、X2モータ14bに入力する。X2モータ14bの出力は、フィードバック用の速度制御量として、外乱オブザーバe76、減算要素p76、積分要素e77に出力される。
【0056】
外乱オブザーバe76は、加算要素p74からのトルク指令とX2モータ14bからの速度制御量とを入力として、外乱τdism3を推定し、演算要素e78に出力する。演算要素e78は、外乱オブザーバe76からの外乱τdism3の推定量の単位を変換して、加算要素p74に出力する。また、減算要素p76は、X1モータ14aからのフィードバック用の速度制御量から、X2モータ14bからのフィードバック用の速度制御量を減算し、比例要素e79に出力する。比例要素e79は、速度制御量に速度ゲインKvを乗算し、速度偏差を求めるために減算要素p72に出力する。
【0057】
積分要素e77は、速度制御量を位置制御量に変換し、減算要素p77に出力する。減算要素p77は、X1モータ14aからのフィードバック用の位置制御量から、このフィードバック用の位置制御量を減算し、位置偏差を求めるために減算要素p71に出力する。
【0058】
図3に示す制御系では、通常の位置指令X1、X2が和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換され、この和動モード位置指令および差動モード位置指令に応じて、X1モータ14aおよびX2モータ14bが駆動制御される。具体的には、X1モータ14aの実際の制御量をC3、X2モータ14bの実際の制御量をC4とした場合、以下の式(6)を満たすように制御される。
【数1】

【0059】
すなわち、X1モータ14aおよびX2モータ14bは、Lヘッド5aとRヘッド5bとを離間させた状態で、Lヘッド5aとRヘッド5bとの中間位置を基準として駆動制御される。この場合、Lヘッド5aおよびRヘッド5bが衝突することがないため、Lヘッド5aとRヘッド5bとを近づけた状態で動作させることも可能である。よって、基板Wに対する電子部品の実装時に、Lヘッド5aとRヘッド5bとの間隔を余分に広げる必要がなく、Lヘッド5aおよびRヘッド5bの移動量を小さくできる。また、上記した制御系では、外乱オブザーバe66、e76が用いられるため、X1モータ14aおよびX2モータ14bに対する各種外乱の影響を除去して、ロバストな制御系となっている。
【0060】
また、上記した制御系では、差動モード位置指令(dif=X-X)が所定値以下の場合には、差動モード位置指令が所定値より大きく調整される構成としたが、この構成に限定されるものではない。差動モード位置指令が所定値以下の場合には、上位コントローラにエラーを出力し、モータをエラー停止する構成としてもよい。なお、所定値とは、例えば「0」に設定されていてもよいし、Lヘッド5aとRヘッド5bとの間隔に余裕を持たせた値に設定されていてもよい。また、上記した制御系では、速度演算にP制御を用いているが、PI制御、PD制御、PID制御を用いてもよい。
【0061】
以上のように、本実施の形態に係る電子部品実装装置1によれば、和動モード位置指令および差動モード位置指令によりX1モータ14aおよびX2モータ14bが相互に関連して駆動され、X軸方向においてLヘッド5aおよびRヘッド5bが位置制御および間隔制御される。このように、Lヘッド5aおよびRヘッド5bが所定以上の間隔を維持した状態で同時に駆動されるため、搭載ヘッド同士の衝突の危険を回避しつつ高速駆動が可能となる。さらに、衝突判定等の複雑な演算処理がないため、高性能な演算器が不要である。したがって、簡易かつ安価な構成で、一対の搭載ヘッドによりタクトタイムを短縮すると共に、Lヘッド5aおよびRヘッド5bの衝突を回避できる。
【0062】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係る電子部品実装装置は、平行に配置される一対のX軸部のそれぞれに搭載ヘッドを支持させ、一対のX軸部の各モータに与えられる通常の位置指令を、X軸部間の重心位置(中間位置)とX軸部間の間隔とを目標値として制御する仮想モード座標系の和動モード位置指令と差動モード位置指令に変換し、仮想モードでのモータ駆動制御を行うように構成されている。
【0063】
図4は第2の実施の形態に係る電子部品実装装置の構成図である。図4に示すように、電子部品実装装置21は、搭載ヘッドとしての一対のXFヘッド25aおよびXRヘッド25bをX軸方向およびY軸方向に駆動することにより、基板Wの所定の位置に電子部品を実装するように構成されている。この電子部品実装装置21は、上面視矩形状のベースフレーム22上に、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bをY軸方向に移動するY軸移動機構23と、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bをX軸方向に移動するX軸移動機構24とを設けて構成される。
【0064】
Y軸移動機構23は、ベースフレーム22上に配置されたY軸方向に平行なYL軸部31aおよびYR軸部31bと、YL軸部31aに移動可能に支持されたY1モータ32aおよびY3モータ32cと、YR軸部31bに移動可能に支持されたY2モータ32bおよびY4モータ32dとを有している。Y1モータ32aおよびY2モータ32b、Y3モータ32cおよびY4モータ32dは、それぞれX軸方向に対向して配置されている。
【0065】
X軸移動機構24は、Y1モータ32aおよびY2モータ32bに支持されたXF軸部33aと、Y3モータ32cおよびY4モータ32dに支持されたXR軸部33bと、XF軸部33aに移動可能に支持されたX1モータ34aと、XR軸部33bに移動可能に支持されたX2モータ34bとを有している。XF軸部33aは、X軸方向に延在し、両端側においてY1モータ32aおよびY2モータ32bに両持ちで支持されている。XR軸部33bは、XF軸部33aの後方においてX軸方向に延在し、両端側においてY3モータ32cおよびY4モータ32dに両持ちで支持されている。
【0066】
この場合、XF軸部33aおよびXR軸部33bは、同期制御されたY1−Y4モータ32a−32dにより平行状態でY軸方向に移動される。X1モータ34aは、XFヘッド25aを支持し、X2モータ34bは、XRヘッド25bを支持している。このように、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bは、XF軸部33aおよびXR軸部33bがY軸方向に移動されると共に、X1モータ34aおよびX2モータ34bがX軸移動されることで、X軸方向およびY軸方向に移動される。なお、上記した各種モータは、一軸方向に移動可能であればよく、例えば、サーボモータやリニアモータでもよい。この場合、各軸部は、各種モータに対応して構成され、例えば、ボールネジやガイド等で構成される。
【0067】
ベースフレーム22上のY軸方向の略中間位置には、ベースフレーム22に基板Wを取り込む基板搬送部26が設けられている。基板搬送部26は、X軸方向に延在しており、図示しない搬送ベルト等により基板Wを搬送可能に構成されている。基板搬送部26は、電子部品の実装時には、X軸方向における一方の端部から基板Wを取り込み、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bの下方に位置させる。また、基板搬送部26は、電子部品の実装完了時には、X軸方向における他方の端部から基板Wを搬出する。
【0068】
ベースフレーム22上のY軸方向の両端位置には、複数のフィーダ(部品供給装置)27からなるフィーダ群が配置されている。複数のフィーダ27は、X軸方向に並んでおり、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bに対して電子部品を連続的に供給する。なお、電子部品は、例えば、IC、抵抗器、コンデンサ等であり、基板Wに実装可能なであれば、どのようなものでもよい。また、フィーダ27は、テープフィーダやバルクフィーダ等、基板Wに実装する電子部品に応じて変更可能である。
【0069】
XFヘッド25aおよびXRヘッド25bは、それぞれ複数の吸着ノズル36を有し、これら吸着ノズル36により各フィーダ27から電子部品を吸着保持する。この場合、複数の吸着ノズル36は、X軸方向に一列に設けられており、各吸着ノズル36間の間隔が各フィーダ27間の間隔に略一致されている。このため、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bは、各フィーダ27から一度に複数の電子部品を吸着可能となっている。なお、各吸着ノズル36間の間隔は、各フィーダ27間の間隔に必ずしも略一致している必要がなく、フィーダ27から電子部品が吸着できれば、どのように構成されていてもよい。
【0070】
また、ベースフレーム22内には、電子部品実装装置21の各部を統括制御する制御部29が設けられている。なお、制御部29は、各種処理を実行するプロセッサや、メモリ等により構成されている。メモリには、搭載ヘッドやモータ等の各部の動作を制御する制御プログラム等が記憶されている。
【0071】
本実施の形態に係る電子部品実装装置21では、Y1−Y4モータ32a−32dに与えられる通常の位置指令が、XF軸部33aとXR軸部33bとを1つの軸とみなした仮想モードにおける和動モード位置指令と差動モード位置指令とに変換される。和動モード位置指令は、XF軸部33aとXR軸部33bとの中間位置(重心位置)を示し、差動モード位置指令は、XF軸部33aとXR軸部33bとの間隔を示している。XFヘッド25aおよびXRヘッド25bは、Y1−Y4モータ32a−32dが和動モード位置指令および差動モード位置指令で駆動制御されることで、衝突することなく同時に駆動される。
【0072】
和動モード位置指令および差動モード位置指令は、Y1モータ32aおよびY2モータ32bに入力される通常の位置指令をY1、Y3モータ32cおよびY4モータ32dに入力される通常の位置指令をY2とした場合、以下の式(4)、(5)により算出される。
和動モード位置指令 com=(Y1+Y2)/2 …(4)
差動モード位置指令 dif=Y2−Y1 …(5)
【0073】
具体的には、図6(a)に示すように、通常の位置指令Y1=0、通常の位置指令Y2=1000が入力されると、和動モード位置指令com=500、差動モード位置指令dif=1000に変換される。また、図6(b)に示すように、通常の位置指令Y1=200、通常の位置指令Y2=600が入力されると、和動モード位置指令com=400、差動モード位置指令dif=400に変換される。
【0074】
さらに、図6(c)に示すように、通常の位置指令Y1=500、通常の位置指令Y2=800が入力されると、和動モード位置指令com=650、差動モード位置指令dif=300に変換される。このようにして変換された和動モード位置指令で示されるXF軸部33aとXR軸部33bとの中間位置、および差動モード位置指令で示されるXF軸部33aとXR軸部33bとの間隔を満たすように、Y1−Y4モータ32a−32dの駆動が制御される。
【0075】
なお、本実施の形態では、通常の位置指令が2次アダマール行列を用いて和動モード位置指令、差動モード位置指令に変換されるが、この構成に限定されるものではない。通常の位置指令から和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換可能であれば、どのような方法を用いて変換してもよい。
【0076】
この仮想モードにおいて、差動モード位置指令の値が、常に所定値よりも大きく(例えば、dif>0)なるように制御されてもよい。この制御により、XFヘッド25aとXRヘッド25bとの間隔が常に所定以上に維持されるため、衝突成分を含まない制御が可能となる。なお、差動モード位置指令の値を所定値以上とする方法としては、例えば、差動モード位置指令の値が所定値以下(dif≦0)の場合に、所定値よりも大きくなるような任意の値を付加してもよい。
【0077】
以上のように、Y1−Y4モータ32a−32dが和動モード位置指令および差動モード位置指令により制御されることで、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bに所定以上の間隔を維持させた状態で、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bを同時駆動させることが可能となる。よって、XFヘッド25aとXRヘッド25bとの衝突の危険を回避しつつ、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bを高速で同時駆動でき、部品実装のタクトタイムを短縮できる。
【0078】
ここで、図5を参照して、本実施の形態に係る電子部品実装装置の制御系について説明する。図5は、第2の実施の形態に係る電子部品実装装置の制御系のブロック線図である。なお、図5において、Kpが位置ゲイン、Kvが速度ゲイン、Ktがトルク定数、Jmがモータイナーシャ、Jlが負荷イナーシャ、Sがラプラス演算子を示す。
【0079】
図5に示すように、この制御系においては、Y1モータ32a(Y2モータ32b)に対して通常の位置指令Y1が入力されると共に、Y3モータ32c(Y4モータ32d)に対して通常の位置指令Y2が入力される。このとき、加算要素p1は、位置指令Y1に、引き出し点p2を介して入力された位置指令Y2を加算して、1/2演算要素e1に出力する。1/2演算要素e1は、加算要素p1からの出力に1/2を乗算して、和動モード位置指令に変換する。一方、減算要素p3は、位置指令Y2から、引き出し点p4を介して入力された位置指令Y1を減算して、差動モード位置指令に変換する。
【0080】
減算要素p11は、和動モード位置指令からY1モータ32aおよびY3モータ32cからフィードバックされた位置制御量を減算し、位置偏差として比例要素e12に出力する。比例要素e12は、位置偏差に位置ゲインKpを乗算し、速度指令として減算要素p12に出力する。
【0081】
減算要素p12は、速度指令から、Y1モータ32aおよびY3モータ32cからフィードバックされた速度制御量を減算し、速度偏差として1/2演算要素e13に出力する。加算要素p13は、1/2演算要素e13から入力された速度偏差に、Y3モータ32cに対する速度偏差に1/2が乗算されたものを加算し、トルク指令として演算要素e14に出力する。
【0082】
演算要素e14は、トルク指令の単位を変換して、加算要素p14に出力する。加算要素p14は、トルク指令に外乱オブザーバe16からの推定量を加算し、比例要素e15および外乱オブザーバe16に出力する。比例要素e15は、トルク指令にトルク定数Ktを乗算し、減算要素p15に出力する。減算要素p15は、比例要素e15の出力から外乱τdism1を減算し、Y1モータ32aに入力する。Y1モータ32aの出力は、フィードバック用の速度制御量として、外乱オブザーバe16、加算要素p16、積分要素e17に出力される。
【0083】
外乱オブザーバe16は、加算要素p14からのトルク指令とY1モータ32aからの速度制御量とを入力として、外乱τdism1を推定し、演算要素e18に出力する。演算要素e18は、外乱オブザーバe16からの外乱τdism1の推定量の単位を変換して、加算要素p14に出力する。また、加算要素p16は、Y1モータ32aからのフィードバック用の速度制御量に、Y3モータ32cからのフィードバック用の速度制御量を加算し、比例要素e19に出力する。比例要素e19は、速度制御量に速度ゲインKvを乗算し、速度偏差を求めるために減算要素p12に出力する。
【0084】
積分要素e17は、速度制御量を位置制御量に変換し、加算要素p17に出力する。加算要素p17は、このフィードバック用の位置制御量に、Y3モータ32cからのフィードバック用の位置制御量を加算し、位置偏差を求めるために減算要素p11に出力する。なお、和動モード位置指令は、引き出し点p5を介してY2モータ32bの制御系に入力されるが、Y1モータ32aの制御系と同様な構成なためY2モータ32bの制御系の説明は省略する。
【0085】
一方、差動モード位置指令は、リミッタe2に入力される。リミッタe2は、差動モード位置指令が所定値以下の場合には所定値より大きくなるように調整し、減算要素p31に出力する。減算要素p31は、差動モード位置指令から、Y1モータ32aおよびY3モータ32cからフィードバックされた位置制御量の差分を減算し、位置偏差として比例要素e32に出力する。比例要素e32は、位置偏差に位置ゲインKpを乗算し、速度指令として減算要素p32に出力する。
【0086】
減算要素p32は、速度指令から、Y1モータ32aおよびY3モータ32cからフィードバックされた速度制御量の差分を減算し、速度偏差として1/2演算要素e33に出力する。1/2演算要素e33は、速度偏差に1/2を乗算し、減算要素p33に出力する。減算要素p33は、Y1モータ32aに対する速度偏差から1/2乗算要素e33から入力された速度偏差を減算し、トルク指令として演算要素e34に出力する。
【0087】
演算要素e34は、トルク指令の単位を変換して、加算要素p34に出力する。加算要素p34は、トルク指令に外乱オブザーバe36からの推定量を加算し、比例要素e35および外乱オブザーバe36に出力する。比例要素e35は、トルク指令にトルク定数Ktを乗算し、減算要素p35に出力する。減算要素p35は、比例要素e35の出力から外乱τdism3を減算し、Y3モータ32cに入力する。Y3モータ32cの出力は、フィードバック用の速度制御量として、外乱オブザーバe36、減算要素p36、積分要素e37に出力される。
【0088】
外乱オブザーバe36は、加算要素p34からのトルク指令とY3モータ32cからの速度制御量とを入力として、外乱τdism3を推定し、演算要素e38に出力する。演算要素e38は、外乱オブザーバe36からの外乱τdism3の推定量の単位を変換して、加算要素p34に出力する。また、減算要素p36は、Y1モータ32aからのフィードバック用の速度制御量から、Y3モータ32cからのフィードバック用の速度制御量を減算し、比例要素e39に出力する。比例要素e39は、速度制御量に速度ゲインKvを乗算し、速度偏差を求めるために減算要素p32に出力する。
【0089】
積分要素e37は、速度制御量を位置制御量に変換し、減算要素p37に出力する。減算要素p37は、Y1モータ32aからのフィードバック用の位置制御量から、このフィードバック用の位置制御量を減算し、位置偏差を求めるために減算要素p31に出力する。なお、差動モード位置指令は、引き出し点p6を介してY4モータ32dの制御系に入力されるが、Y2モータ32bの制御系と同様な構成なためY4モータ32dの制御系の説明は省略する。
【0090】
このように構成された電子部品実装装置21の制御系では、通常の位置指令Y1、Y2が和動モード位置指令および差動モード位置指令に変換され、この和動モード位置指令および差動モード位置指令に応じて、Y1−Y4モータ32a−32dが駆動制御される。具体的には、Y1モータ32a(Y2モータ32b)の実際の制御量をC1、Y3モータ32c(Y4モータ32d)の実際の制御量をC2とした場合、以下の式(3)を満たすように制御される。
【数2】

【0091】
すなわち、Y1−Y4モータ32a−32dは、XF軸部33aとXR軸部33bとを離間させた状態で、XF軸部33aとXR軸部33bとの中間位置を基準として駆動制御される。この場合、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bが衝突することがないため、XFヘッド25aとXRヘッド25bとを近づけた状態で動作させることも可能である。よって、基板Wに対する電子部品の実装時に、XFヘッド25aとXRヘッド25bとの間隔を広くとる必要がなく、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bの移動量を小さくできる。また、上記した制御系では、外乱オブザーバe16、e26、e36、e46が用いられるため、Y1−Y4モータ32a−32dに対する各種外乱の影響を除去して、ロバストな制御系となっている。
【0092】
なお、上記した制御系では、差動モード位置指令が所定値以下の場合には、差動モード位置指令が所定値より大きく調整される構成としたが、この構成に限定されるものではない。差動モード位置指令が所定値以下の場合には、上位コントローラにエラーを出力し、モータをエラー停止する構成としてもよい。なお、所定値とは、例えば「0」に設定されていてもよいし、XFヘッド25aとXRヘッド25bとの間隔に余裕を持たせた値に設定されていてもよい。また、上記した制御系では、速度演算にP制御を用いているが、PI制御、PD制御、PID制御を用いてもよい。
【0093】
以上のように、本実施の形態に係る電子部品実装装置21によれば、和動モード位置指令および差動モード位置指令によりY1−Y4モータ32a−32dが相互に関連して駆動され、Y軸方向においてXFヘッド25aおよびXRヘッド25bが位置制御および間隔制御される。このように、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bが所定以上の間隔を維持した状態で同時に駆動されるため、搭載ヘッド同士の衝突の危険を回避しつつ高速駆動が可能となる。さらに、衝突判定等の複雑な演算がないため、高性能な演算器が不要である。したがって、簡易かつ安価な構成で、タクトタイムを短縮すると共に、XFヘッド25aおよびXRヘッド25bの衝突を回避できる。
【0094】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る電子部品実装装置は、X軸部に移動可能に配置された一対の搭載ヘッドと、この一対の搭載ヘッドに対しY軸方向に離間した他の一対の搭載ヘッドとに対し、位置制御および間隔制御を行う点について相違する。したがって、第1の実施の形態と同様な構成についての説明は省略し、相違点について説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品実装装置の上面模式図である。
【0095】
図7に示すように、本実施の形態に係る電子部品実装装置41は、4つの搭載ヘッドをX軸方向およびY軸方向に駆動することにより、基板Wの所定の位置に電子部品を実装するように構成されている。この電子部品実装装置41は、上面視矩形状のベースフレーム42上に、各搭載ヘッドをY軸方向に移動するY軸移動機構43と、各搭載ヘッドをX軸方向に移動するX軸移動機構44とを設けて構成される。
【0096】
Y軸移動機構43は、ベースフレーム42上に配置されたY軸方向に平行なYL軸部51aおよびYR軸部51bと、YL軸部51aに移動可能に支持されたY1モータ52aおよびY3モータ52cと、YR軸部51bに移動可能に支持されたY2モータ52bおよびY4モータ52dとを有している。Y1モータ52aおよびY2モータ52b、Y3モータ52cおよびY4モータ52dは、それぞれX軸方向に対向して配置されている。
【0097】
X軸移動機構44は、Y1モータ52aおよびY2モータ52bに支持されたXF軸部53aと、Y3モータ52cおよびY4モータ52dに支持されたXR軸部53bと、XF軸部53aに移動可能に支持されたX1モータ54aおよびX2モータ54bと、XR軸部53bに移動可能に支持されたX3モータ54cおよびX4モータ54dとを有している。XF軸部53aは、X軸方向に延在し、両端側においてY1モータ52aおよびY2モータ52bに両持ちで支持されている。XR軸部53bは、XF軸部53aの後方においてX軸方向に延在し、両端側においてY3モータ52cおよびY4モータ52dに両持ちで支持されている。
【0098】
この場合、XF軸部53aおよびXR軸部53bは、同期制御されたY1−Y4モータ52a−52dにより平行状態でY軸方向に移動される。X1−X4モータ54a−54dは、それぞれ搭載ヘッドとしてのFLヘッド45a、FRヘッド45b、RLヘッド45c、RRヘッド45dを支持している。なお、上記した各種モータは、一軸方向に移動可能であればよく、例えば、サーボモータやリニアモータでもよい。この場合、各軸部は、各種モータに対応して構成され、例えば、ボールネジやガイド等で構成される。
【0099】
また、ベースフレーム42上のY軸方向の略中間位置には、ベースフレーム42に基板Wを取り込む基板搬送部46が設けられ、ベースフレーム42上のY軸方向の両端位置には、複数のフィーダ47からなるフィーダ群が配置されている。
【0100】
そして、各ヘッド45a−45dが、Y1−Y4モータ52a−52dによりXF軸部53aおよびXR軸部53bを介してY軸方向に移動されると共に、X1−X4モータ54a−54dによりX軸方向に移動されることで、基板W上の所定の位置に電子部品が実装される。これら電子部品実装装置41の各部は、ベースフレーム42内に設けられた制御部49により制御される。
【0101】
本実施の形態に係る電子部品実装装置41の制御系では、Y1−Y4モータ52a−52dに与えられる通常の位置指令が、XF軸部53aとXR軸部53bとを1つの軸とみなした仮想モードにおける和動モード位置指令と差動モード位置指令とに変換される。和動モード位置指令は、XF軸部53aとXR軸部53bとの中間位置(重心位置)を示し、差動モード位置指令は、XF軸部53aとXR軸部53bとの間隔を示している。和動モード位置指令および差動モード位置指令は、上記した式(4)、(5)により算出される。
【0102】
また、X1モータ54aおよびX2モータ54bに与えられる通常の位置指令が、FLヘッド45aとFRヘッド45bとを1つの搭載ヘッドとみなした仮想モードにおけるヘッド和動モード位置指令とヘッド差動モード位置指令とに変換される。ヘッド和動モード位置指令は、FLヘッド45aとFRヘッド45bとの中間位置(重心位置)を示し、ヘッド差動モード位置指令は、FLヘッド45aとFRヘッド45bとの間隔を示している。ヘッド和動モード位置指令およびヘッド差動モード位置指令は、上記した式(1)、(2)により算出される。また、X3モータ54cおよびX4モータ54dについても同様に、ヘッド和動モード位置指令およびヘッド差動モード位置指令により制御される。
【0103】
本実施の形態に係る制御系は、Y1−Y4モータ52a−52dに対しては、図5に示す制御系が用いられる。また、X1モータ54aおよびX2モータ54b、X3モータ54cおよびX4モータ54dに対しては、それぞれ図3に示す制御系が用いられる。したがって、X軸方向において対向する搭載ヘッドが、所定以上の間隔を維持した状態で同時に駆動されると共に、Y軸方向において対向する搭載ヘッドが、所定以上の間隔を維持した状態で同時に駆動される。
【0104】
以上のように、本実施の形態に係る電子部品実装装置41によれば、XF軸部53aおよびXR軸部53bにそれぞれ2つの搭載ヘッドが支持され、計4つの搭載ヘッドによりタクトタイムをさらに短縮することができる。また、和動モード位置指令および差動モード位置指令により、Y1−Y4モータ52a−52dが相互に関連して駆動され、Y軸方向において対向する搭載ヘッドが位置制御および間隔制御される。さらに、ヘッド和動モード位置指令およびヘッド差動モード位置指令により、X1−X4モータ54a−54dが相互に関連して駆動され、X軸方向において対向する搭載ヘッドが位置制御および間隔制御される。このように、X軸方向およびY軸方向において、各搭載ヘッドが位置制御および間隔制御されるため、X軸方向およびY軸方向における搭載ヘッド同士の衝突の危険を回避しつつ高速移動が可能となる。
【0105】
なお、上記した各実施の形態においては、電子部品実装装置が電子部品供給装置としてのフィーダを備える構成としたが、この構成に限定されるものではない。電子部品実装装置は、装置外に配置された電子部品供給装置から電子部品を取得する構成としてもよい。
【0106】
また、上記した各実施の形態においては、通常の位置指令が和動モード位置指令と差動モード位置指令に変換される構成としたが、この構成に限定されるものではない。和動モード位置指令および差動モード位置指令は、制御系に対して直に入力される構成としてもよい。
【0107】
また、上記した第1、第3の実施の形態においては、搭載ヘッドを支持したX軸部が、両端側に位置する一対のモータにより移動可能に支持される構成としたが、この構成に限定されるものではない。X軸部は、Y軸方向に移動可能に支持されていればよく、例えば、片側のモータにより片持ちで支持されてもよし、モータとガイドとにより両持ちで支持されてもよい。この構成により、制御構成を簡略化することが可能である。
【0108】
また、上記した実施の形態においては、電子部品が基板に実装される構成としたが、この構成に限定されるものではない。電子部品は、基板以外の基材に実装される構成としてもよい。
【0109】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上説明したように、本発明は、簡易かつ安価な構成で、部品実装のタクトタイムを短縮すると共に、搭載ヘッド同士の衝突を回避できるという効果を有し、特に、複数の搭載ヘッドにより基板に対して電子部品を実装する電子部品実装装置に有用である。
【符号の説明】
【0111】
1、21、41 電子部品実装装置
3 ステーション
23、43 Y軸移動機構
4、24、44 X軸移動機構
5a Lヘッド(搭載ヘッド)
5b Rヘッド(搭載ヘッド)
8、27、47 フィーダ(部品供給装置)
31a、51a YL軸部(Y軸部)
31b、51b YR軸部(Y軸部)
32a、52a Y1モータ(Y軸モータ)
32b、52b Y2モータ(Y軸モータ)
32c、52c Y3モータ(Y軸モータ)
32d、52d Y4モータ(Y軸モータ)
33a、53a XF軸部(X軸部)
33b、53b XR軸部(X軸部)
14a、34a、54a X1モータ(X軸モータ)
14b、34b、54b X2モータ(X軸モータ)
25a XFヘッド(搭載ヘッド)
25b XRヘッド(搭載ヘッド)
13 X軸部
45a FLヘッド(搭載ヘッド)
45b FRヘッド(搭載ヘッド)
45c RLヘッド(搭載ヘッド)
45d RRヘッド(搭載ヘッド)
54c X3モータ(X軸モータ)
54d X4モータ(X軸モータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するステーションと、
前記ステーションをY軸方向に移動させるステーション移動機構と、
電子部品を前記基板に対して搭載する一対の搭載ヘッドと、
前記一対の搭載ヘッドをX軸方向に離間して支持するX軸部と、前記X軸部において前記各搭載ヘッドをX軸方向に移動させる一対のX軸モータとを有するX軸移動機構とを備え、
前記一対のX軸モータを、前記X軸方向における前記一対の搭載ヘッドの中間位置を示す和動モード位置指令と、前記X軸方向における前記一対の搭載ヘッドの間隔を示す差動モード位置指令とで駆動制御し、
前記和動モード位置指令により前記一対の搭載ヘッドの前記X軸方向における中間位置制御を行い、前記差動モード位置指令により前記一対の搭載ヘッドの前記X軸方向における間隔制御を行うことを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記一対のX軸モータのそれぞれに対する位置指令を、前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換して、前記一対の搭載ヘッドを制御することを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記一対のX軸モータのそれぞれに対する位置指令を、2次アダマール行列に基づいて前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換することを特徴とする請求項2に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記差動モード位置指令で示される値が所定値よりも小さい場合には、当該所定値よりも大きくなるように前記差動モード位置指令の値を調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記搭載ヘッドに対し、前記基板に搭載される前記電子部品を供給する電子部品供給装置を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
電子部品を基板に対して搭載する搭載ヘッドをY軸方向に離間して支持する一対のX軸部と、前記一対のX軸部のそれぞれにおいて、前記各搭載ヘッドをX軸方向に移動させるX軸モータとを有するX軸移動機構と、
前記一対のX軸部を支持するY軸部と、前記Y軸部において前記一対のX軸部の各々をY軸方向に移動させる一対のY軸モータとを有するY軸移動機構とを備え、
前記一対のY軸モータを、前記Y軸方向における前記一対のX軸部の中間位置を示す和動モード位置指令と、前記Y軸方向における前記一対のX軸部の間隔を示す差動モード位置指令とで駆動制御し、
前記和動モード位置指令により前記一対のX軸部の前記Y軸方向における中間位置制御を行い、前記差動モード位置指令により前記一対のX軸部の前記Y軸方向における間隔制御を行うことを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項7】
前記一対のY軸モータのそれぞれに対する位置指令を、前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換して、前記一対のX軸部を制御することを特徴とする請求項6に記載の電子部品実装装置。
【請求項8】
前記一対のY軸モータのそれぞれに対する位置指令を、2次アダマール行列に基づいて前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令に変換することを特徴とする請求項7に記載の電子部品実装装置。
【請求項9】
前記差動モード位置指令で示される値が所定値よりも小さい場合には、当該所定値よりも大きくなるように前記差動モード位置指令の値を調整することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【請求項10】
前記搭載ヘッドに対し、前記基板に搭載される前記電子部品を供給する電子部品供給装置を備えたことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【請求項11】
前記Y軸移動機構は、前記一対のX軸部の一方の端部および他方の端部を支持する一対のY軸部と、前記一対のX軸部の一方の端部を支持するY軸部において前記一対のX軸部の各々をY軸方向に移動させる一対のY軸モータと、前記一対のX軸部の他方の端部を支持するY軸部において前記一対のX軸部の各々をY軸方向に移動させる他方の一対のY軸モータとを有し、
前記一方の一対のY軸モータおよび前記他方の一対のY軸モータを、前記和動モード位置指令および前記差動モード位置指令とで駆動制御することを特徴とする請求項6から請求項10のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【請求項12】
前記一対のX軸部のそれぞれに2つの搭載ヘッドが支持され、
前記一対のX軸部においてX軸方向に位置する2つのX軸モータを、前記X軸方向における2つの搭載ヘッドの中間位置を示すヘッド和動モード位置指令と、前記X軸方向における2つの搭載ヘッドの間隔を示すヘッド差動モード位置指令とで駆動制御し、
前記ヘッド和動モード位置指令により2つの搭載ヘッドの前記X軸方向における中間位置制御を行い、前記ヘッド差動モード位置指令により2つの搭載ヘッドの前記X軸方向における間隔制御を行うことを特徴とする請求項11に記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−79924(P2012−79924A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223765(P2010−223765)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】