説明

電極加工装置

【課題】半導体ウェーハに形成された複数の半導体デバイスの表面高さにバラツキがあっても、各デバイスに形成された複数のバンプ(電極)の長さを均一に加工することを可能とする。
【解決手段】一次工程で全体的に切削された各バンプ4の長さを二次工程において測定するとともに、均一長さにするための必要切削量を各X・Y座標に設定する。そして各X・Y座標ごとに第2の切削手段200の第2の切削バイト203によってバンプ4の先端を切削し、全てのバンプ4の長さを均一にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体ウェーハ等の板状のワークの表面に形成された複数のデバイスの表面から突出する突起状の電極の先端を切削して該電極の高さを揃えるといった加工を施す電極加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICやLSI等の電子回路が表面に形成された半導体デバイス(半導体チップ)は、携帯電話やパソコン等の各種電気・電子機器に広く用いられている。半導体チップは、多数の半導体チップが形成された半導体ウェーハをダイシング装置等によって個々に分割することにより得られている。
【0003】
近年、電子・電気機器の軽量化や小型化を可能にするために、半導体デバイスの電極に50〜100μmの突起状のバンプを電極として形成し、このバンプを実装基板に形成された電極に直接接合するようにしたフリップチップと呼ばれる半導体デバイス技術が開発され、実用に供されている。また、インターポーザーと呼ばれる基板に、複数の半導体デバイスを併設したり積層したりして小型化を図る技術も開発され、実用化されている。このような各技術は、半導体デバイスの表面に形成した複数の上記バンプを介して基板どうしを接合するため、各バンプの高さを揃える必要がある。
【0004】
一方、半導体デバイスの表面に複数のバンプを形成する技術としては、金等のワイヤーの先端を加熱溶融して形成したボールを、半導体デバイスに予め形成されている電極に超音波併用熱圧着してそのボールの頭を破断する方法が知られている(特許文献1:図2)。また、この他には、メッキによってバンプを成長させる方法や、金属からなる小球を超音波で接合する方法等が実用化されている。しかるに、これらのバンプ形成方法においては、複数のバンプの高さを揃えて形成することは困難である。そこで、回転する切削工具(バイト)によりバンプの先端を切削、除去して高さを揃える加工装置が提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−347464号公報
【特許文献2】特開2004−319697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、複数のバンプの先端を均一に揃えても、ウェーハに形成された各デバイスの表面高さにバラツキがあると、バンプ個々の長さにバラツキが生じることになる。バンプの長さが異なっていると、メモリーやLED等のデバイスにおいては電気抵抗や電気容量、あるいは導通速度等の電気的性能に関する品質が安定しないという問題が起こる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ウェーハに形成された複数のデバイスの表面高さにバラツキがあっても、各デバイスに形成された複数のバンプ(電極)の長さを均一に加工することができるような電極加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、X軸方向および該X軸方向と直交するY軸方向に対して平行な保持面を有するチャックテーブルと、前記保持面に対して直交するZ軸方向と平行に回転軸が延びる第1のスピンドルと、該第1のスピンドルの下端に装着された切削バイト装着基板と、該切削バイト装着基板の回転軸心から偏心位置に配設された第1の切削バイトとを有し、前記チャックテーブルの前記保持面に保持されたワークの表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられた複数の突起状の電極の先端を回転する該第1の切削バイトで切削する第1の切削手段と、該第1の切削手段をZ軸方向に送る第1の切削手段Z軸方向送り手段と、前記第1の切削手段のZ軸方向における移動位置を検出する第1の切削手段Z軸方向位置検出手段と、前記チャックテーブルをX軸方向に送るチャックテーブルX軸方向送り手段とを具備する電極加工装置において、前記チャックテーブルの前記保持面に対して直交するZ軸方向と平行に回転軸が延びる第2のスピンドルと、該第2のスピンドルの回転軸心の延長線上に設けられた第2の切削バイトとを有し、前記第1の切削手段で切削された前記電極の先端を選択的に切削する第2の切削手段と、該第2の切削手段をY軸方向に送る第2の切削手段Y軸方向送り手段と、前記第2の切削手段をZ軸方向に送る第2の切削手段Z軸方向送り手段と、前記チャックテーブルのX軸方向における移動位置を検出するチャックテーブルX軸方向位置検出手段と、前記第2の切削手段のY軸方向における移動位置を検出する第2の切削手段Y軸方向位置検出手段と、前記第2の切削手段のZ軸方向における移動位置を検出する第2の切削手段Z軸方向位置検出手段と、前記ワークの表面の各X・Y座標における前記デバイスの表面高さ位置および前記電極の先端高さ位置を検出する高さ検出手段と、前記チャックテーブルX軸方向位置検出手段、前記第2の切削手段Y軸方向位置検出手段および前記第2の切削手段Z軸方向位置検出手段で検出された各位置情報と、前記高さ検出手段で検出された各X・Y座標における前記デバイスの表面高さ位置情報および前記電極の先端高さ位置情報とに基づいて、前記チャックテーブルX軸方向送り手段、前記第2の切削手段Y軸方向送り手段および前記第2の切削手段Z軸方向送り手段を制御する制御手段とを具備することを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、第1の切削手段で電極の先端を切削した後、制御手段は、各X・Y座標におけるデバイスの表面高さ位置情報および切削後の各電極の先端高さ位置情報を比較することにより、切削後の電極の長さを認識し、かつ、電極の長さにバラツキがあるか否かを把握することができる。そして電極の長さにバラツキがあった場合、全ての電極の長さを均一にすべく、第2の切削手段で切削が必要な電極の先端を必要量切削するといった制御が制御手段によってなされる。その結果、デバイスの表面高さにバラツキがあっても全ての電極の長さが均一になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体ウェーハ等のワークに形成された複数のデバイスの表面高さにバラツキがあっても、各デバイスに形成された複数のバンプ(電極)の長さを均一に加工することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の一実施形態でバンプが加工される半導体ウェーハの斜視図、(b)は該半導体ウェーハの表面に形成された半導体デバイスの平面図、(c)は該半導体ウェーハの側面を模式的に示す図である。
【図2】一実施形態に係る電極加工装置の全体斜視図である。
【図3】同装置の全体斜視図であって第1の切削手段の構成を明らかにする図である。
【図4】第1の切削手段の下端部を示す斜視図である。
【図5】一次工程で第1の切削手段によりバンプが切削される様子を示す側面図である。
【図6】一実施形態の電極加工装置が具備する高さ検出手段を示す斜視図である。
【図7】二次工程でバンプの長さを高さ検出手段で検出する様子を示す側面図である。
【図8】一実施形態の電極加工装置が具備する第2の切削手段を示す斜視図である。
【図9】二次工程で第2の切削手段によりバンプが切削される様子を示す側面図である。
【図10】一実施形態の電極加工装置が具備する制御系のブロック図である。
【図11】二次工程の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)半導体ウェーハ
図1(a)は、一実施形態に係るワークである円板状の半導体ウェーハ(以下、ウェーハと略称)を示している。このウェーハ1はシリコンウェーハ等であって、表面に多数の半導体デバイス2が形成されている。これら半導体デバイス2は、分割予定ライン3によって格子状に区画された矩形領域の表面にICやLSI等の図示せぬ電子回路が形成されることにより構成されている。
【0013】
各半導体デバイス2には、図1(b),(c)に示すように、表面から突出する複数の突起状電極(以下、バンプと称する)4が、メッキ等の形成手段によって設けられている。これらバンプ4は、半導体デバイス2の表面からの高さ(長さ)が例えば150μm程度とされるが、形成したままの状態であることから、図1(c)に示すように高さが不均一で先端(頂部)が揃っていない。ウェーハ1は、最終的には分割予定ライン3に沿って切断、分割され、多数の半導体デバイス(半導体チップ)2に個片化される。
【0014】
個片化された後の半導体デバイス2は、フリップチップ等の実装技術によって各バンプ4が実装基板等の電極に直接接合されて実装されるが、そのためには、各バンプ4の高さが均一で頂部が揃っていなければならない。以下、バンプ4の高さを均一に加工する電極加工装置の一実施形態を説明する。
【0015】
(2)電極加工装置
図2および図3は、一実施形態に係る電極加工装置10を示している。この装置10では、バンプ4の高さを全体的に揃える一次工程と、一次工程の後にバンプ4の長さを均一にする二次工程とが行われる。図2の符号200,300は、それぞれ二次工程で作動する第2の切削手段および高さ検出手段であり、図3は、一次工程で作動する第1の切削手段100を図示するために、第2の切削手段200および高さ検出手段300を上方に退避させた図としている。以下、一次工程と二次工程、および二次工程の後の後処理工程に関する構成ならびに動作を順に説明していく。なお、この装置10では、制御手段50によって各動作が自動制御されるようになっている。
【0016】
(2−1)一次工程
図2で符号11は直方体状の基台11であり、ウェーハ1は、この基台11上の所定箇所に着脱自在にセットされる供給側のカセット12A内に複数が積層して収納される。供給側のカセット12A内に収納されているウェーハ1は、上下動が可能な旋回式アームを有する搬送ロボット13によって引き出され、半導体デバイス2が形成されている表面側を上に向けて位置決めテーブル14上に載置され、ここで所定の搬送開始位置に位置決めされる。
【0017】
次にウェーハ1は、供給アーム15によって位置決めテーブル14から取り上げられ、真空運転されている円板状のチャックテーブル16上に、表面側を上に向けて同心状に載置される。チャックテーブル16は、上面にウェーハ1に対応した寸法の多孔質材からなる円形状の保持面16aを有しており、ウェーハ1はその保持面16aに裏面が吸着されて保持される。チャックテーブル16は、保持面16aがZ軸方向(鉛直方向)に直交する状態に配設されている。
【0018】
図4に示すように、チャックテーブル16は、基台11上においてX軸方向に移動可能に設けられたテーブルベース(チャックテーブルX軸方向送り手段)17に支持されており、ウェーハ1はテーブルベース17およびチャックテーブル16を介してX軸方向奥側(図2、図3でX1方向側)の加工位置に送り込まれる。加工位置の上方には、図3に示す第1の切削手段100が配設されている。基台11上には、テーブルベース17の移動路を塞いで切削屑等が基台11内に落下することを防ぐ蛇腹状のカバー18が伸縮自在に設けられている。
【0019】
X軸方向に移動する上記テーブルベース17のX軸方向における移動位置は、チャックテーブルX軸方向位置検出手段175(図10参照)によって検出されるようになっている。該検出手段175で検出されるチャックテーブル16のX軸方向における位置情報は、制御手段50に供給される。そして、制御手段50により、該制御手段50に供給されたX軸方向における位置情報に基づき、テーブルベース17に支持されているチャックテーブル16のX軸方向における移動量および位置が制御される。
【0020】
図3に示すように、第1の切削手段100は、基台11の奥側の端部に立設されたコラム131に、Z軸方向に沿って昇降可能に設けられている。すなわちコラム131にはZ軸方向に延びるガイド132が設けられており、第1の切削手段100は、スライダ133を介してガイド132に摺動自在に装着されている。そして第1の切削手段100は、サーボモータ111によって駆動されるボールねじ式のZ軸方向送り手段(第1の切削手段Z軸方向送り手段)110が作動することにより、スライダ133を介してZ軸方向に昇降する。
【0021】
第1の切削手段100は、図3および図4に示すように、Z軸方向と平行な方向に回転軸が延びる第1のスピンドル101と、第1のスピンドル101の下端に装着された切削バイト装着基板102と、切削バイト装着基板102に配設された第1の切削バイト103とを有している。図3に示すように、第1のスピンドル101はスライダ133に固定されたハウジング104内に支持されており、上端部に固定されたスピンドルモータ105によって回転駆動させられる。
【0022】
図4に示すように、切削バイト装着基板102は円板状で、第1のスピンドル101の下端に同心状に固定されている。そしてこの切削バイト装着基板102の下面の外周部に、マウント106を介して第1の切削バイト103が設けられている。すなわち第1の切削バイト103は、第1のスピンドル101の回転軸から偏心位置に配設されている。
【0023】
第1の切削バイト103の刃はダイヤモンド等によって形成されており、第1の切削バイト103はその刃を下に向けてマウント106に着脱可能に装着されている。第1の切削手段100においては、第1のスピンドル101の回転軸のY軸方向位置がチャックテーブル16の中心のY軸方向位置と一致している。第1の切削バイト103は第1のスピンドル101と一体回転し(第1のスピンドル101は、例えば図4に示すB方向に回転する)、その切削外径すなわち刃先の回転軌跡外径は、ウェーハ1の直径よりも大きく設定されている。
【0024】
一次工程では、上記第1の切削手段100によりバンプ4の先端が次のようにして切削される。まず、第1の切削バイト103の刃先がバンプ4の先端を切削する所定の加工高さになる位置に、第1の切削手段100がZ軸方向送り手段110によって下方へ送られるとともに、第1のスピンドル101がスピンドルモータ105により回転駆動される。
【0025】
第1の切削手段100のZ軸方向送り手段110には、第1の切削手段100のZ軸方向における移動位置すなわち高さ位置を検出する第1の切削手段Z軸方向位置検出手段150が付随して設けられている(図10参照)。該検出手段150で検出される第1の切削手段100の高さ位置情報は制御手段50に供給され、バンプ切削時には、制御手段50により、該制御手段50に供給された高さ位置情報に基づき上記Z軸方向送り手段110による第1の切削手段100の送り量が制御される。
【0026】
第1の切削手段100の第1の切削バイト103が所定の加工高さ位置にセットされ、第1のスピンドル101が運転されたら、テーブルベース17がX軸方向奥側に移動し、ウェーハ1が第1の切削手段100の下方に当たる加工位置に向けて送られていく。このウェーハ1の加工送りに伴い、バンプ4の先端がX軸方向奥側から手前側(図2、図3でX2方向側)に向かって第1の切削バイト103により切削されていく。そしてウェーハ1が切削バイト装着基板102に覆われるまで移動した時点で、全てのバンプ4の先端が切削される。
【0027】
ウェーハ1の表面の全てのバンプ4が切削されたら、第1の切削手段100が上昇してウェーハ1から退避し、一方、テーブルベース17がX軸方向手前側に移動し、ウェーハ1が供給アーム15からチャックテーブル16上に載置された着脱位置に一旦戻される。
【0028】
さて、第1の切削手段100で全てのバンプ4が切削されると、図5に示すように、各バンプ4の先端の高さはチャックテーブル16の保持面16aと平行に揃った状態となる。なお、図5は第1の切削バイト103によってバンプ4を切削した状態を装置手前側(図2でX1側)から見た図であり、同図で矢印は図4のB方向に対応する第1の切削バイト103の回転方向を示している。しかしながら同図に示すようにウェーハ1の厚さが均一ではない場合(図示のウェーハ1は左側から右側に向かって厚さが漸次薄くなっている)には、各バンプ4の、半導体デバイス2の表面から先端までの高さ、すなわち長さは異なっており、バラツキが生じている。このようにバンプ4の長さが不均一であると、電気抵抗や電気容量、あるいは導通速度等の電気的性能に関する品質が安定しないという問題が起こることは、前述の通りである。そこで本実施形態の電極加工装置10では、バンプ4の長さを均一にする二次工程が、次の要領で行われる。
【0029】
(2−2)二次工程
上記の着脱位置から加工位置までの間のテーブルベース17の移動路上には、高さ検出手段300と、第2の切削手段200とが、X軸方向手前側から奥側に向かってこの順に配設されている。高さ検出手段300は非接触式の距離測定手段であり、例えば、測定対象物に光を照射した際の反射に基づいて距離を算出する光学式のものなどが好適に用いられる。この高さ検出手段300は、図6に示すように、テーブルベース17の移動路をまたぐ門型フレーム331の梁部332に設けられたガイドレール333に沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。
【0030】
高さ検出手段300では、図7に示すように、チャックテーブル16に保持されたウェーハ1の半導体デバイス2の表面に出射される光等の測定波300aと、バンプ4の先端に出射される測定波300bとにより、各半導体デバイス2の高さ位置と各バンプ4の先端高さ位置とが検出される。各半導体デバイス2の表面高さおよび各バンプ4の先端高さの検出は、上記一次工程が終了した後、チャックテーブル16をX軸方向に移動させながら、かつ、高さ検出手段300をY軸方向に移動させながら行われる。これによってウェーハ1の表面の各X・Y座標における各半導体デバイス2の表面高さ位置および各バンプ4の先端高さ位置が検出される。そして検出された各X・Y座標における半導体デバイス2の表面高さ位置情報およびバンプ4の先端高さ位置情報は制御手段50に供給される。
【0031】
制御手段50では、各X・Y座標における半導体デバイス2の表面高さ位置情報および各バンプ4の先端高さ位置情報が記憶される。さらに制御手段50では、半導体デバイス2の表面高さ位置情報とバンプ4の先端高さ位置情報をそれぞれ比較することによって各バンプ4の長さが認識されるとともに、各X・Y座標におけるバンプ4の長さのバラツキ程度が把握される。そしてこの後、第2の切削手段200によってバンプ4の先端が選択的に切削され、全てのバンプ4の長さが均一に加工される。
【0032】
第2の切削手段200は、図8に示すように、Z軸方向と平行に回転軸が延びる第2のスピンドル201と、第2のスピンドル201の下端に設けられた第2の切削バイト203とを有している。第2のスピンドル201は直方体状のハウジング204内に支持されており、図示せぬスピンドルモータによって回転駆動させられる。第2の切削バイト203は第2のスピンドル201の下端に同心状に固定された丸棒状のもので、円形状の下端面が刃面に形成されている。この第2の切削バイト203の刃面の面積は、複数の隣接し合う複数のバンプ4の先端が一括して切削され得る程度の大きさ(例えばφ数mm程度)とされる。
【0033】
第2の切削手段200は、図2および図3に示すように、テーブルベース17の移動路をまたぐ門型フレーム231に、Z軸方向に沿って昇降可能に、かつ、Y軸方向に沿って移動可能に設けられている。すなわち門型フレーム231にはガイド232を介してスライダ233がZ軸方向に昇降可能に装着されており、このスライダ233に、ガイド234を介して第2のスピンドル201のハウジング204がY軸方向に移動可能に装着されている。
【0034】
スライダ233は、サーボモータ211によって駆動されるボールねじ式のZ軸方向送り手段(第2の切削手段Z軸方向送り手段)210が作動することにより、Z軸方向に昇降するようになっている。また、ハウジング204は、サーボモータ221によって駆動されるボールねじ式のY軸方向送り手段(第2の切削手段Y軸方向送り手段)220が作動することにより、Y軸方向に移動するようになっている。したがって第2の切削手段200はスライダ233ごとZ軸方向に昇降可能であり、かつ、第2の切削手段200自体がY軸方向に移動可能となっている。
【0035】
第2の切削手段200によると、第2のスピンドル201を運転して第2の切削バイト203を回転させながらZ軸方向送り手段210によって下方に切削送りすることにより、バンプ4の先端が第2の切削バイト203によって潰されるようにして切削される。
【0036】
第2の切削手段200のZ軸方向送り手段210には、第2の切削手段200のZ軸方向における移動位置すなわち高さ位置を検出する第2の切削手段Z軸方向位置検出手段250が付随して設けられている(図10参照)。また、第2の切削手段200のY軸方向送り手段220には、第2の切削手段200のY軸方向における移動位置を検出する第2の切削手段Y軸方向位置検出手段260が付随して設けられている。
【0037】
第2の切削手段Z軸方向位置検出手段250で検出される第2の切削手段200の高さ位置情報は制御手段50に供給され、バンプ切削時には、制御手段50により、該制御手段50に供給された高さ位置情報に基づき上記Z軸方向送り手段210による第2の切削手段200の送り量が制御される。
【0038】
また、第2の切削手段Y軸方向位置検出手段260で検出される第2の切削手段200のY軸方向における位置情報も制御手段50に供給され、制御手段50により、該制御手段50に供給されたY軸方向における位置情報に基づき、上記Y軸方向送り手段220による第2の切削手段200のY軸方向における移動量および位置が制御される。
【0039】
二次工程は、制御手段50によって図11に示すようにして進行する。まず、高さ検出手段300で全てのバンプ4の長さが検出され、バンプ4の長さのバラツキ程度が把握される(ステップS1)。次いで、目標とするバンプ4の長さに対して現状のバンプ4がどの程度長いかが認識されるとともに、目標長さにするために必要な切削量が、各X・Y座標に設定される(ステップS2)。
【0040】
次いで、設定された切削量にしたがって各バンプ4の先端を第2の切削手段200の第2の切削バイト203で切削する(ステップS3)。それには、チャックテーブル16のX軸方向への移動と、第2の切削手段200のY軸方向への移動によって第2の切削バイト203を切削対象のバンプ4が存在するX・Y座標に移動させ、続いて、回転させた第2の切削バイト203を下方に送り、該切削バイト203の刃面をバンプ4の先端に押し付けて切削する。第2の切削バイト203の送り量は、バンプ4の長さが目的長さになる量に制御される。そして、このような第2の切削バイト203によるバンプ長さの調整が全てのバンプ4に行き渡るまで各X・Y座標ごとに繰り返し行われる。
【0041】
図9は、矢印方向に第2の切削バイト203を移動させることにより該第2の切削バイト203でバンプ4を選択的に切削している様子を示しており、バンプ4は、X・Y座標に対応する複数個が同時に切削される。バンプ4の切削量は目標長さに応じたものになるが、例えば、一次工程を含めて合計で数μm〜数十μm程度である。
【0042】
(2−3)後処理工程
以上の二次工程が終了したら、ウェーハ1は上記着脱位置に戻され、チャックテーブル16の真空運転が停止される。次いでウェーハ1は、回収アーム21によってスピンナ式洗浄装置22に搬送されて洗浄、乾燥処理され、この後、搬送ロボット13によって回収側のカセット12B内に収容される。
【0043】
(3)一実施形態の作用効果
上記一実施形態の電極加工装置10によれば、二次工程で各X・Y座標ごとに第2の切削手段200でバンプ4を切削してバンプ4の長さを調整することにより、ウェーハ1の厚さが不均一で半導体デバイス2の表面高さにバラツキがあっても、全てのバンプ4の長さを均一にすることができる。したがって、得られる個々の半導体デバイス2においては、電気抵抗や電気容量、あるいは導通速度等の電気的性能に関する品質が安定したものとなる。
【符号の説明】
【0044】
1…ウェーハ
2…半導体デバイス
4…バンプ(電極)
16…チャックテーブル
16a…保持面
17…テーブルベース(チャックテーブルX軸方向送り手段)
50…制御手段
100…第1の切削手段
101…第1のスピンドル
102…切削バイト装着基板
103…第1の切削バイト
110…Z軸方向送り手段(第1の切削手段Z軸方向送り手段)
150…第1の切削手段Z軸方向位置検出手段
175…チャックテーブルX軸方向位置検出手段
200…第2の切削手段
201…第2のスピンドル
203…第2の切削バイト
210…Z軸方向送り手段(第2の切削手段Z軸方向送り手段)
220…Y軸方向送り手段(第2の切削手段Y軸方向送り手段)
250…第2の切削手段Z軸方向位置検出手段
260…第2の切削手段Y軸方向位置検出手段
300…高さ検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向および該X軸方向と直交するY軸方向に対して平行な保持面を有するチャックテーブルと、
前記保持面に対して直交するZ軸方向と平行に回転軸が延びる第1のスピンドルと、該第1のスピンドルの下端に装着された切削バイト装着基板と、該切削バイト装着基板の回転軸心から偏心位置に配設された第1の切削バイトと、を有し、前記チャックテーブルの前記保持面に保持されたワークの表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられた複数の突起状の電極の先端を回転する該第1の切削バイトで切削する第1の切削手段と、
該第1の切削手段をZ軸方向に送る第1の切削手段Z軸方向送り手段と、
前記第1の切削手段のZ軸方向における移動位置を検出する第1の切削手段Z軸方向位置検出手段と、
前記チャックテーブルをX軸方向に送るチャックテーブルX軸方向送り手段と、
を具備する電極加工装置において、
前記チャックテーブルの前記保持面に対して直交するZ軸方向と平行に回転軸が延びる第2のスピンドルと、該第2のスピンドルの回転軸心の延長線上に設けられた第2の切削バイトと、を有し、前記第1の切削手段で切削された前記電極の先端を選択的に切削する第2の切削手段と、
該第2の切削手段をY軸方向に送る第2の切削手段Y軸方向送り手段と、
前記第2の切削手段をZ軸方向に送る第2の切削手段Z軸方向送り手段と、
前記チャックテーブルのX軸方向における移動位置を検出するチャックテーブルX軸方向位置検出手段と、
前記第2の切削手段のY軸方向における移動位置を検出する第2の切削手段Y軸方向位置検出手段と、
前記第2の切削手段のZ軸方向における移動位置を検出する第2の切削手段Z軸方向位置検出手段と、
前記ワークの表面の各X・Y座標における前記デバイスの表面高さ位置および前記電極の先端高さ位置を検出する高さ検出手段と、
前記チャックテーブルX軸方向位置検出手段、前記第2の切削手段Y軸方向位置検出手段および前記第2の切削手段Z軸方向位置検出手段で検出された各位置情報と、前記高さ検出手段で検出された各X・Y座標における前記デバイスの表面高さ位置情報および前記電極の先端高さ位置情報とに基づいて、前記チャックテーブルX軸方向送り手段、前記第2の切削手段Y軸方向送り手段および前記第2の切削手段Z軸方向送り手段を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする電極加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−44569(P2011−44569A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191377(P2009−191377)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】