説明

電極基板、タッチパネル装置および表示装置

【課題】より確実に過度の電圧変動を低減して輻射ノイズの発生を抑制することにより、駆動用ICチップの動作の安定化を図ることができるとともに、製造工程の容易化および製造コストの低廉化を図る。
【解決手段】電極基板2の端子部2aにおける駆動用ICチップ11の実装位置の近傍であり、かつ駆動用ICチップ11と外部配線9との間における端子電極10に、誘電体15および導電体16が順次積層されてなるバイパスコンデンサ17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動用ICチップが直接実装された電極基板、この電極基板を備えたタッチパネル装置、およびこの電極基板を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示駆動用ICチップが直接実装された電極基板を有するCOG(Chip on Glass)型の表示装置が用いられている。
【0003】
従来のCOG型の液晶表示装置は、対向して配置される一対の電極基板を有し、両電極基板のうち一方の電極基板は、他方の電極基板に対向して形成される表示駆動部、および他方の電極基板から平面形状において突出して形成された端子部を有している。両電極基板における相互に対向する表示駆動部には、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)からなる表示駆動に用いられる複数の駆動用透明電極が設けられており、各駆動用透明電極は、端子部に延設されて電極端子部とされている。また、端子部には、各駆動用透明電極から独立して配置され、例えばフレキシブル配線基板等の外部配線の電極に接続される複数の端子電極が設けられている。さらに、端子部には、駆動用ICチップが各電極端子部および各端子電極に導電接続されて実装されており、この表示駆動用ICチップは、各端子電極を介してフレキシブル配線基板に導電接続されている。そして、表示駆動用ICチップを制御する制御信号は、図示しない駆動回路からフレキシブル配線基板を介して表示駆動用ICチップに出力されるようになっている。
【0004】
このような液晶表示装置においては、駆動回路から出力された制御信号等による過度の電圧変動によって発生する輻射ノイズを低減すること等を目的として、駆動回路から表示駆動用ICチップの間の電源ラインにバイパスコンデンサが挿入されるようになっており、従来より、チップ型のバイパスコンデンサがフレキシブル配線基板に実装されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−271721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述のようにチップ型のバイパスコンデンサがフレキシブル配線基板に実装されている表示装置の場合、バイパスコンデンサの実装作業に手間がかかり、表示装置の製造コストも上昇してしまうという問題を有していた。
【0007】
また、過度の電圧変動を確実に低減するためには、なるべく表示駆動用ICチップの近傍にバイパスコンデンサが設けられることが好ましい。しかし、電極基板の端子部には、各駆動用透明電極の電極端子や各端子電極が設けられており、さらに表示装置の小型化の要請等から端子部自体が小さく形成されるため、端子部にチップ型のバイパスコンデンサを実装する空間を確保することは困難であった。また、端子部にチップ型のバイパスコンデンサを実装する場合、フレキシブル配線基板に実装する場合と同様に、実装作業に手間がかかり、表示装置の製造コストも上昇してしまうという問題を有していた。
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制することによって、駆動用ICチップの動作の安定化を図ることができるとともに、製造工程の容易化および製造コストの低廉化を図ることが可能な電極基板、タッチパネル装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る電極基板の特徴は、センサー駆動または表示駆動を行う駆動部と端子部とを有し、前記駆動部に複数の駆動用電極が設けられ、前記端子部に、前記各駆動用電極が延設されて電極端子部とされ、かつ外部配線に接続される複数の端子電極が前記各駆動用電極から独立して設けられるとともに、前記各電極端子部および前記各端子電極に導電接続される駆動用ICチップが実装される電極基板において、前記端子部における前記駆動用ICチップの実装位置の近傍であり、かつ前記駆動用ICチップと前記外部配線との間における前記端子電極に、誘電体および導電体が順次積層されてなるバイパスコンデンサが設けられている点にある。
【0010】
本発明に係る電極基板によれば、電極基板を駆動する駆動回路から表示駆動用ICチップの間の電源ラインにおける駆動用ICチップのより近傍に、バイパスコンデンサを設けることができるので、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制することができる。これとともに、チップ型のバイパスコンデンサを用いることなく、所定の各端子電極に誘電体および導電体を順次積層することによりバイパスコンデンサを設けることができるので、電極基板の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係るタッチパネル装置は、センサ駆動部および端子部を有する電極基板を備え、前記センサ駆動部に複数の駆動用電極が設けられ、前記端子部に、前記各駆動用電極が延設されて電極端子部とされ、かつ外部配線に接続される複数の端子電極が前記各駆動用電極から独立して設けられるとともに、前記各電極端子部および前記各端子電極に導電接続される駆動用ICチップが実装されているタッチパネル装置において、前記端子部における前記駆動用ICチップの実装位置の近傍であり、かつ前記駆動用ICチップと外部配線との間における前記端子電極に、誘電体および導電体が順次積層されてなるバイパスコンデンサが設けられている点にある。ここで、導電体は金属であってもよいし、透明導電体であってもよい。
【0012】
本発明に係るタッチパネル装置によれば、電極基板の端子部のうち、タッチパネル装置を駆動する駆動回路から入力表示駆動用ICチップの間の電源ラインにおける駆動用ICチップのより近傍に、バイパスコンデンサを設けることができるので、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制することができる。これとともに、チップ型のバイパスコンデンサを用いることなく、所定の各端子電極に誘電体および導電体を順次積層することによりバイパスコンデンサを容易に設けることができるので、タッチパネル装置の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0013】
本発明に係るタッチパネル装置において、前記各駆動用電極として、第1方向に伸びる第1駆動用透明電極、および第1方向と交差する第2方向に伸びる第2駆動用透明電極を有し、前記各第1駆動用透明電極および前記各第2駆動用透明電極は、同一の前記電極基板の一面に交差して設けられ、前記交差する各交差領域において、いずれか一方の前記各第1駆動用透明電極または前記各第2駆動用透明電極が、他方の前記各第2駆動用透明電極または前記各第1駆動用透明電極上に設けられた絶縁体を介してブリッジ配線によって導通されることにより、それぞれ交差して設けられており、前記各駆動用電極および前記各端子電極、前記絶縁体および前記誘電体、前記ブリッジ配線および前記導電体が、それぞれ同一の工程で製造されていることが好ましい。ここで、ブリッジ配線は、金属であってもよいし、透明電極形成材であってもよい。
【0014】
これにより、本発明に係るタッチパネル装置は、各駆動用電極、各端子電極、絶縁体、およびブリッジ配線を製造する工程によって、同時にバイパスコンデンサを形成することができるので、バイパスコンデンサを備えたタッチパネル装置の製造工程の容易化をより図ることができ、これにともない、タッチパネル装置の製造コストのさらなる低廉化を図ることができる。
【0015】
本発明に係る表示装置の特徴は、対向して配置される一対の基板を備え、前記一対の基板のうち一方の基板は、他方の基板に対向して形成される表示駆動部と、前記他方の基板と比較して平面形状において大きく形成された端子部とを有する電極基板であり、前記表示駆動部に複数の駆動用電極が設けられており、前記端子部に、前記各駆動用電極が延設されて電極端子部とされ、かつ外部配線に接続される複数の端子電極が前記各駆動用電極から独立して設けられるとともに、前記各電極端子部および前記各端子電極に導電接続される駆動用ICチップが実装されている表示装置において、前記端子部における前記駆動用ICチップの実装位置の近傍であり、かつ前記駆動用ICチップと前記外部配線との間における前記端子電極に、前記誘電体および前記導電体が順次積層されてなるバイパスコンデンサが設けられている点にある。ここで、導電体は、駆動用電極と同一材料であってもよいし、金属導電体であってもよい。
【0016】
本発明に係る表示装置によれば、表示装置を駆動する駆動回路から表示駆動用ICチップの間の電源ラインにおける表示駆動用ICチップのより近傍に、バイパスコンデンサを設けることができるので、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制することができる。これとともに、チップ型のバイパスコンデンサを用いることなく、所定の各電極に誘電体および導電体を順次積層することにより、容易にバイパスコンデンサを設けることができるので、表示装置の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0017】
また、本発明に係る表示装置において、前記電極基板に設けられた複数の駆動用電極と、前記他方の基板に設けられ、前記複数の駆動用電極と交差する他方側の駆動用電極とを有するパッシブマトリクス型の表示装置とすることにより、パッシブマトリクス型の表示装置においてもチップ型のバイパスコンデンサを用いることなく容易にバイパスコンデンサを設けることができ、表示装置の製造コストの低廉化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように、本発明に係る電極基板、タッチパネル装置および表示装置によれば、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制し、駆動用ICチップの動作の安定化を図ることができるとともに、製造工程の容易化および製造コストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る電極基板を用いたタッチパネル装置の一実施形態を示を部分的に透過する概略平面図
【図2】(a)図1のタッチパネル装置において駆動用電極を形成した工程を示す概略平面図、(b)図1のタッチパネル装置において絶縁体を形成した工程を示す概略平面図
【図3】(a)図1のタッチパネル装置の要部を示す概略平面図、(b)(a)のA−A線における概略断面側面図
【図4】本発明に係る電極基板を用いた表示装置の一実施形態を示す概略平面図
【図5】図4の表示装置のB−B線における概略側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電極基板の実施形態について図1乃至図5を参照して説明する。
【0021】
まず、第1の実施形態に係る電極基板を用いたタッチパネル装置の一例について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る電極基板を用いたタッチパネル装置を示す部分的に透過する概略平面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るタッチパネル装置1は、センサー駆動を行うセンサ駆動部2aおよび端子部2bを備えた電極基板2を有している。センサ駆動部2aには、タッチパネル装置1のタッチ位置を検出するために用いられる複数の駆動用電極5として、第1方向に伸びるITO等からなる第1駆動用透明電極5a、および第1方向と交差する第2方向に伸びる例えばITO等からなる第2駆動用透明電極5bが透明基材3の一方の面にパターニングして設けられている。各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bは、端子部2bに延設されて電極端子部5ca、5cbとされている。なお、電極端子部5ca、5cbは、第1駆動用透明電極5a、第2駆動用透明電極5bと同一の材料で構成されていなくてもよい。例えば、アルミニウム等の金属材料であってもよい。
【0024】
各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bは、同一の電極基板2上に交差して設けられている。各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bが交差する各交差領域において、いずれか一方の各第1駆動用透明電極5aまたは各第2駆動用透明電極5bが、いずれか他方の各第2駆動用透明電極5bまたは各第1駆動用透明電極5a上に設けられた絶縁体7を介してブリッジ配線8によって導通されることによりそれぞれ交差して設けられている。図1に示すタッチパネル装置1において、各第1駆動用透明電極5aは、それぞれ第1方向に沿って並ぶ複数の分断された電極単位5aaによって形成され、各第2駆動用透明電極5bは第2方向に沿って並ぶ複数の分断された電極単位5baによって形成されている。図2(a)に示すように、各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bが交差する各交差領域において、第1駆動用透明電極5aの第1方向に配列された各電極単位5aa同士は、それぞれ接続部5abにより接続されている。また、第2駆動用透明電極5bの各電極単位5baは、前記各交差領域において、第1駆動用透明電極5aの接続部5ab上に設けられた絶縁体7を介してブリッジ配線8によって導通されている。
【0025】
なお、本発明に係るタッチパネル装置は、図1に示す構成に限定されるものではない。例えば、各第1駆動用透明電極および各第2駆動用透明電極が交差する各交差領域のうち所定の交差領域において、第1駆動用透明電極の各電極単位同士が接続部により接続され、他の交差領域において第2駆動用透明電極の各電極単位同士を接続部により接続する。また、第1駆動用透明電極の各電極単位を、前記他の領域において、第2駆動用透明電極の各電極単位を接続する接続部上に設けられた絶縁体を介してブリッジ配線によって導通する。そして、第2駆動用透明電極の各電極単位を、前記所定の交差領域において、第1駆動用透明電極の各電極単位を接続する接続部上に設けられた絶縁体を介してブリッジ配線によって導通するようにしてもよい。
【0026】
また、端子部2bには、外部配線9としてのフレキシブル配線基板9に導電接続される複数の端子電極10が、各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bから独立して設けられている。
【0027】
電極基板2の端子部2b上に設けられた各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bの電極端子部5ca、5cb、および各端子電極10は、タッチパネル装置1のセンサ駆動部2aにおけるタッチ位置の静電容量変化を検出するための駆動用ICチップ11の各ランド11aにそれぞれ導通されるようになっており、これにより、電極基板2の端子部2bには、駆動用ICチップ11が実装されるようになっている。駆動用ICチップ11は、フレキシブル配線基板9を介して、タッチパネル装置1の駆動の制御を行う駆動回路(図示せず)に導電接続されている。
【0028】
さらに、図3(a)(b)に示すように、端子部2b上における駆動用ICチップ11の実装位置の近傍で、かつ駆動用ICチップ11とフレキシブル配線基板9との間には、所定の各端子電極10に、誘電体15および導電体16が順次積層されてなるバイパスコンデンサ17が設けられている。
【0029】
本実施形態においては、各ランド11aに接続される各端子電極10のうち各ランド11aのVdd端子に接続される端子電極10aが長さ方向に並列配置されるように分断して形成されている。また、各ランド11aのVss端子に接続され、前記端子電極10aに隣位する端子電極10bには、長さ方向の途中部分において端子電極10aの方向に突出する凸部10cが形成されており、凸部10cは、分断して形成された端子電極10aの間に配置されるようになっている。また、分断された端子電極10aは、誘電体15を介して、導電体16と接続されている。ここで、Vssにつながる端子電極10bの凸部10cと導電体16とは、重なり合うように形成され、重なり面積を大きくするために、導電体16は端子電極10bの方向に突出する凸部を有している。そして、各端子電極10a、10bに、誘電体15、および導電体16を順次積層することにより、バイパスコンデンサ17として機能するようになっている。
【0030】
また、本実施形態において、誘電体15は絶縁体7と同一の材料および同一の工程によって同時に製造されることが好ましく、また、導電体16はブリッジ配線8と同一の材料および同一の工程によって同時に製造されることが好ましい。
【0031】
続いて、本実施形態に係るタッチパネル装置1の製造工程について説明する。
【0032】
本タッチパネル装置1の製造工程は、透明基材3の一方の面に、ITOのスパッタリング等により所定の膜厚の透明電極膜を成膜し、この透明電極膜をフォトリソグラフィ等により所定のパターン形状に加工することにより、図2(a)に示すように、第1方向に伸びる各第1駆動用透明電極5a、第2方向に伸びる各第2駆動用透明電極5bを形成する電極形成工程を有する。この電極形成工程において、は、透明基材3におけるセンサ駆動部2aに、各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bを形成するとともに、各第1駆動用透明電極5aおよび各第2駆動用透明電極5bを端子部2bに延設された電極端子部5ca、5cbを形成し、さらに、端子部2bに各端子電極10を形成する。ここで、各第1駆動用透明電極5aとは、第1方向に沿って並ぶ複数の分断された電極単位5aa、前記所定の交差領域においてこれら各電極単位5aaを接続する第1駆動用透明電極5aの接続部5ab、および所定の電極単位5aaと電極端子部5caを接続する電極5acをいい、また、各第2駆動用透明電極5bとは、Y方向に沿って並ぶ複数の分断された電極単位5ba、および所定の電極単位5baと電極端子部5cbを接続する電極5bcをいう。
【0033】
また、本タッチパネル装置1の製造工程は、各接続部5abと各ブリッジ配線8とを絶縁状態とする絶縁体7を形成する絶縁体形成工程を有する。この絶縁体形成工程においては、端子部2b上における駆動用ICチップ11の実装位置の近傍で、かつ駆動用ICチップ11とフレキシブル配線基板9との間であって所定の各端子電極10に相当する位置に配置される誘電体15を形成する。絶縁体7および誘電体15は、所定の形状に形成されたマスクパターン等を用いて同時に形成されることが好ましい。なお、前記絶縁体7および誘電体15は、絶縁性が高くかつ透明性の高い材料が好ましく、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。また、絶縁体7および誘電体15の形状精度の向上性として、これらの材料は感光性樹脂で形成されることが好ましい。
【0034】
さらに、本タッチパネル装置1の製造工程は、各接続部5abと絶縁状態によって配置され、接続部5abによって導通されていない各第2駆動用透明電極5bの電極単位5ba同士を導通させるブリッジ配線8を形成するブリッジ配線形成工程を有する。このブリッジ配線形成工程においては、さらに、所定の各端子電極10に相当する位置に誘電体15を介して導電体16を形成する。ブリッジ配線8および導電体16は、所定の形状に形成されたマスクパターン等を用いて同時に形成されることが好ましい。また、ブリッジ配線8および導電体16は、アルミニウム、モリブデン、金の金属材料が好ましい。金属材料を用いる場合には、例えば、モリブデン−アルミニウム−モリブデン等の多層構造とすることもできる。さらに合金としてもよい。例えば、モリブデンにニオブを添加させたり、アルミニウムにネオジムを添加させてもよい。さらに、ITO等の透明導電体であってもよい。
【0035】
これにより、タッチパネル装置1の製造工程においては、各駆動用電極5および各端子電極10、絶縁体7および誘電体15、ブリッジ配線8および導電体16が、それぞれ同一の工程およびそれぞれ同一の材料によって製造されている。このため、各第1駆動用透明電極5a、各第2駆動用透明電極5b、および各端子電極10を形成する電極形成工程、ブリッジ配線8を形成するブリッジ配線工程、および各交差領域において各第2駆動用透明電極5bを各第1駆動用透明電極5aの接続部5abから絶縁する絶縁体7を形成する絶縁体形成工程によって、同時にバイパスコンデンサ17を形成することができる。
【0036】
このタッチパネル装置1の製造工程の順序は、電極形成工程の後に、絶縁体形成工程およびブリッジ配線形成工程を行ってもよいし、また、ブリッジ配線形成工程の後に、絶縁体形成工程および電極形成工程を行ってもよい。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0038】
本実施形態に係るタッチパネル装置1によれば、電極基板2の端子部2b上における駆動用ICチップ11の実装位置の近傍であって、駆動用ICチップ11とフレキシブル配線基板9との間において、所定の各端子電極10に、誘電体15および導電体16を順次積層することにより、バイパスコンデンサ17を設けることができる。これにより、駆動回路から駆動用ICチップ11の間の電源ラインにおける駆動用ICチップ11のより近傍に、バイパスコンデンサ17を設けることができるので、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制し、駆動用ICチップ11を確実に駆動させることができる。これとともに、チップ型のバイパスコンデンサ17を用いることなく、所定の各端子電極10に誘電体15および導電体16を順次積層することによりバイパスコンデンサ17を容易に設けることができるので、電極基板2、ひいてはこの電極基板2を用いたタッチパネル装置1の製造工程の容易化および製造コストの低廉化を図ることができる。
【0039】
したがって、本実施形態に係るタッチパネル装置1によれば、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制することによって、駆動用ICチップ11の動作の安定化を図ることができるとともに、電極基板2およびこの電極基板2を用いたタッチパネル装置1の製造工程の容易化および製造コストの低廉化を図ることができる。特に、駆動用ICチップ11の実装位置の近傍で、かつ、駆動用ICチップ11の電源ラインにバイパスコンデンサ17を接続することにより、電圧変動に伴う輻射ノイズを確実に抑制することができる。
【0040】
また、各駆動用電極5および各端子電極10、絶縁体7および誘電体15、ブリッジ配線8および導電体16を、それぞれ同一の工程によって製造すれば、同時にバイパスコンデンサ17を形成することができるので、よりタッチパネル装置1の製造工程の容易化を図ることができ、これにともない、タッチパネル装置1の製造コストのさらなる低廉化を図ることができる。
【0041】
続いて、本発明における第2の実施形態に係る電極基板を用いた表示装置の一例について、図4および図5を参照して説明する。
【0042】
図4は、本実施形態に係る電極基板22を用いた表示装置を示す概略平面図、図5は、図4の表示装置における概略側面断面図である。本実施形態においては、表示装置として液晶表示装置21を用いて説明するが、本発明に係る電極基板22が用いられる表示装置は、液晶表示装置21に限定されるものではない。例えば、有機EL表示装置、プラズマ表示装置であってもよい。
【0043】
図4および図5に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置21は、電極基板22として第1電極基板22を有するとともに、第1電極基板22に対向して配置される第2電極基板23を有している。第1電極基板22は、第2電極基板23に対向して画像表示部となる表示駆動部22a、および第2電極基板23と比較して平面形状において大きく形成された端子部22bを有している。
【0044】
本実施形態における液晶表示装置21は、パッシブマトリクス型であり、第1電極基板22および第2電極基板23は、それぞれガラス材等からなる板状の透明基材26、27を有している。第1電極基板22の透明基材26における表示駆動部22aであって第2電極基板23に対向する面には、例えばITO等からなる複数の駆動用電極25aとして第1駆動用透明電極25aが一方向に並列して設けられており、各第1駆動用透明電極25aは、端子部22bに延設されて電極端子部25caとされている。また、端子部22bには、外部配線29としてのフレキシブル配線基板29に導電接続される複数の端子電極30が、各第1駆動用透明電極25aから独立して設けられている。なお、電極端子部25caは、第1駆動用透明電極25aと異なる材料、例えば金属であってもよい。
【0045】
第2電極基板23の透明基材27における第1電極基板22に対向する面には、ITO等からなる複数の第2駆動用透明電極25bが第1駆動用透明電極25aに交差して前記一方向と直交する方向に並列して設けられており、第1電極基板22および第2電極基板23は、相互に対向する面の外周部分に配置されたシール材28によって一体に形成され、シール材28により囲まれた部分には、液晶32が配置されている。
【0046】
第1電極基板22には、シール材28の配置位置に配置される図示しない導電材を介して第2電極基板23の第2駆動用透明電極25bに導通される複数の電極端子部25cbが、表示駆動部22aから端子部22bの所定の位置に設けられている。
【0047】
端子部22b上に設けられた各第1駆動用透明電極25aの電極端子部25ca、各第2駆動用透明電極25bに導通される各電極端子部25cb、および各端子電極30は、それぞれ駆動用ICチップ31として表示駆動用ICチップ31の各ランド31aに導通されるようになっている。これにより、第1電極基板22の端子部22bには、表示駆動用ICチップ31が実装されるようになっている。表示駆動用ICチップ31は、フレキシブル配線基板29を介して液晶表示装置21の駆動を制御する駆動回路(図示せず)に導電接続されている。
【0048】
さらに、端子部22b上における表示駆動用ICチップ31の実装位置の近傍であり、かつ表示駆動用ICチップ31とフレキシブル配線基板29との間には、所定の各端子電極30に、誘電体35および導電体36が順次積層されてなるバイパスコンデンサ37が設けられている。本実施形態においても、前述の図3(a)(b)に示す本発明に係る電極基板22を用いたタッチパネル装置の実施形態と同様に、各ランド31aに接続される各端子電極30のうち各ランド31aのVdd端子およびVss端子に接続される端子電極30に、誘電体35、および導電体36を順次積層することにより、バイパスコンデンサ37として機能させるようになっている。本実施形態においては、例えば、誘電体35の一例として、アクリル系樹脂膜を挙げることができ、導電体36の一例として、例えば、アルミニウム膜を挙げることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る液晶表示装置21において、液晶表示装置21の視認側にタッチパネル装置を配置してもよい。
【0050】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0051】
本実施形態に係る液晶表示装置21によれば、第1電極基板22の端子部22b上における表示駆動用ICチップ31の実装位置の近傍であって、表示駆動用ICチップ31とフレキシブル配線基板29との間において、所定の各端子電極30に、誘電体35および導電体36を順次積層することにより、バイパスコンデンサ37を設けることができる。これにより、駆動回路から表示駆動用ICチップ31の間の電源ラインにおける表示駆動用ICチップ31のより近傍に、バイパスコンデンサ37を設けることができるので、過度の電圧変動を確実に低減して輻射ノイズの発生を抑制することができる。これとともに、特にパッシブマトリクス型の表示装置において、チップ型のバイパスコンデンサ37を用いることなく、所定の各電極に誘電体35および導電体36を順次積層することにより、バイパスコンデンサ37を容易に設けることができるので、液晶表示装置21の製造工程の簡易化および製造コストの低廉化を図ることができる。
【0052】
したがって、本実施形態に係る液晶表示装置21によれば、より効率的に過度の電圧変動を低減して輻射ノイズの発生を抑制することによって、表示駆動用ICチップ31の動作の安定化を図ることができるとともに、液晶表示装置21の製造コストの低廉化を図ることができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0054】
例えば、表示装置として、アクティブマトリクス型のものに適用してもよい。また、外部配線の電源回路にチップコンデンサをさらに設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 タッチパネル装置
2 電極基板
2a 駆動部(センサ駆動部)
2b 端子部
5a(5) 駆動用電極(第1駆動用透明電極)
5b(5) 駆動用電極(第2駆動用透明電極)
5ca、5cb 電極端子部
7 絶縁体
8 ブリッジ配線
9 外部配線(フレキシブル配線基板)
10 端子電極
11 駆動用ICチップ
11a ランド
15 誘電体
16 導電体
17 バイパスコンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ駆動または表示駆動を行う駆動部と端子部とを有し、前記駆動部に複数の駆動用電極が設けられ、前記端子部に、前記各駆動用電極が延設されて電極端子部とされ、かつ外部配線に接続される複数の端子電極が前記各駆動用電極から独立して設けられるとともに、前記各電極端子部および前記各端子電極に導電接続される駆動用ICチップが実装される電極基板において、
前記端子部における前記駆動用ICチップの実装位置の近傍であり、かつ前記駆動用ICチップと前記外部配線との間における前記端子電極に、誘電体および導電体が順次積層されてなるバイパスコンデンサが設けられていることを特徴とする電極基板。
【請求項2】
センサ駆動部および端子部を有する電極基板を備え、前記センサ駆動部に複数の駆動用電極が設けられ、前記端子部に、前記各駆動用電極が延設されて電極端子部とされ、かつ外部配線に接続される複数の端子電極が前記各駆動用電極から独立して設けられるとともに、前記各電極端子部および前記各端子電極に導電接続される駆動用ICチップが実装されているタッチパネル装置において、
前記端子部における前記駆動用ICチップの実装位置の近傍であり、かつ前記駆動用ICチップと外部配線との間における前記端子電極に、誘電体および導電体が順次積層されてなるバイパスコンデンサが設けられていることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタッチパネル装置であって、
前記各駆動用電極として、第1方向に伸びる第1駆動用透明電極、および第1方向と交差する第2方向に伸びる第2駆動用透明電極を有し、
前記各第1駆動用透明電極および前記各第2駆動用透明電極は、同一の前記電極基板の一面に交差して設けられ、前記交差する各交差領域において、いずれか一方の前記各第1駆動用透明電極または前記各第2駆動用透明電極が、他方の前記各第2駆動用透明電極または前記各第1駆動用透明電極上に設けられた絶縁体を介してブリッジ配線によって導通されることにより、それぞれ交差して設けられており、
前記各駆動用電極および前記各端子電極、前記絶縁体および前記誘電体、前記ブリッジ配線および前記導電体が、それぞれ同一の工程で製造されているタッチパネル装置。
【請求項4】
対向して配置される一対の基板を備え、
前記一対の基板のうち一方の基板は、他方の基板に対向して形成される表示駆動部と、前記他方の基板と比較して平面形状において大きく形成された端子部とを有する電極基板であり、
前記表示駆動部に複数の駆動用電極が設けられており、前記端子部に、前記各駆動用電極が延設されて電極端子部とされ、かつ外部配線に接続される複数の端子電極が前記各駆動用電極から独立して設けられるとともに、前記各電極端子部および前記各端子電極に導電接続される駆動用ICチップが実装されている表示装置において、
前記端子部における前記駆動用ICチップの実装位置の近傍で、かつ前記駆動用ICチップと前記外部配線との間における前記端子電極に、前記誘電体および前記導電体が順次積層されてなるバイパスコンデンサが設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記電極基板に設けられた複数の駆動用電極と、前記複数の駆動用電極と交差し、前記他方の基板に設けられた他方側の駆動用電極とを有するパッシブマトリクス型の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−227651(P2011−227651A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95934(P2010−95934)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】