説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】例えば、タッチパネル機能を有する液晶装置において、指等の指示手段を正確に検知する。
【解決手段】受光素子(191)及び(192)の夫々は、液晶装置(1)の動作時に、入射光(L2´)を受光し、各受光素子の受光感度に応じた出力電流を出力する。受光素子(191)及び(192)の夫々は、相互に電気的に並列に接続されている。より具体的には、受光素子(191)及び(192)は、導電膜(199)を介して相互に電気的に接続されているため、受光素子(191)及び(192)の少なくとも一方から出力された出力電流に応じて、読み出し信号線に出力信号が読み出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、指等の指示手段が表示面を指示することによって当該表示面を介して各種情報を入力可能なタッチパネル機能を有する液晶装置等の電気光学装置、及びそのような電気光学装置を具備してなる直視型ディスプレイ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例である液晶装置では、複数の画素部毎に、或いは任意の個数の画素部を一群とする群毎に光センサを配置し、画素部を透過する透過光による画像表示、及び指等の指示手段を介した当該液晶装置への情報の入力を可能にする、所謂タッチパネル機能を有する液晶装置が提案されている。このような液晶装置では、指或いは指示部材等の指示手段が液晶装置の表示面に触れたこと、或いは表示面上で動いたことが光センサによって検知され、当該液晶装置への情報の入力が可能になっている。
【0003】
このような液晶装置に搭載される光センサは、例えば縦型PINダイオード或いは横型PINダイオード等のフォトダイオード(例えば、特許文献1乃至4参照。)及び容量が相互に電気的に接続された回路構造を含んで構成されている。容量に蓄積された電荷は、入射光を受光したフォトダイオードに発生した光電流に応じて放電され、当該放電によって変化した電位に基づいて画像の階調レベルが特定される。より具体的には、例えば、画像が表示される表示領域のうち指示手段に重なる領域に配置された光センサ、言い換えれば指示手段の影に重なる領域に配置された光センサは、指示手段の影に対応した入射光の光量を検出し、指示手段に重ならない領域に配置された光センサは、指示手段によって遮られない外光を入射光としてその光量を検出し、光量の差に応じた各画像部分の階調レベルに差が設けられた画像が取得される。したがって、この種の液晶装置では、画像を表示する表示面から入射する入射光の光量を検出し、各光センサによって検出された入射光の光量の夫々に応じて階調レベルが特定された画像部分からなる画像に基づいて指示手段の位置が特定可能になる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−333369号公報
【特許文献2】特開平6−18846号公報
【特許文献3】特開平6−194681号公報
【特許文献4】特開2004−45875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光センサに用いられるPINダイオード等のフォトダイオードは、当該ダイオードに照射される光の波長に対する受光感度がダイオードの素子構造、サイズ及び構成材料等の素子設計に応じて相互に異なる。したがって、液晶装置等の電気光学装置が画像を表示する表示面から当該電気光学装置の表示領域に入射する光を広い波長帯域の全ての範囲で正確に検出することが困難となる技術的問題点がある。このため、例えば、PINダイオードが、特定の波長帯域に含まれる波長を有する光に対して高い感度を有し、他の波長帯域に含まれる波長を有する光に対して低い感度を有する場合には、当該他の波長帯域に含まれる光を遮る指示手段を正確に検知することが困難になり、タッチパネル機能が光の広い波長帯域において確保されないことになる。
【0006】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、指示手段によって遮られた光の波長帯域によらず、広い波長帯域において高い感度で指示手段を検知可能なタッチパネル機能を有する液晶装置等の電気光学装置、及びそのような電気光学装置を具備してなる直視型ディスプレイ等の電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上の表示領域に形成された複数の画素部と、前記表示領域に形成されており、表示面に入射する光の波長に対する受光感度を示す受光感度特性が相互に異なる第1受光素子及び第2受光素子とを備える。
【0008】
本発明に係る電気光学装置によれば、複数の画素部は、基板上の表示領域において、例えば、マトリクス状に配列されており、各画素部が各々に供給された画像信号に応じた輝度で光を表示領域に出射することによって、表示領域に画像が表示される。
【0009】
第1受光素子及び第2受光素子は、前記表示領域に形成されており、当該電気光学装置の表示面に入射する光を受光する。第1受光素子及び第2受光素子が、表示領域に入射した光を検出することによって、例えば、表示面を指示する指等の指示手段が検知される。このような第1受光素子及び第2受光素子は、表示面に入射する光の波長に対する受光感度を示す受光感度特性が相互に異なっている。より具体的は、例えば、素子構造、サイズ、或いは構成材料等の各種素子設計が相互に異なるように形成されることによって、受光感度特性が相互に異なるように第1受光素子及び第2受光素子の夫々が基板上に形成されている。
【0010】
ここで、「受光感度特性」とは、受光感度のピーク波長と、光の波長に対する受光感度の変化とによって特定される光の検出性能を意味する。したがって、本発明に係る電気光学装置によれば、その動作時に第1受光素子及び第2受光素子を動作させることによって、これら受光素子の夫々における光の波長に対する受光感度の和が、第1受光素子及び第2受光素子含む受光部の受光感度になる。よって、本発明に係る電気光学装置によれば、受光感度特性が相互に異なる第1受光素子及び第2受光素子を同時に動作させることによって、表示面に入射する光のうち検出可能な光の波長帯域を一つの受光素子を用いる場合に比べて広げることが可能であり、一方の受光素子のみでは検出できない波長帯域の光も検出できる。加えて、第1受光素子及び第2受光素子の両方で光を検出可能な波長帯域では、一つの受光素子を用いて光を検出場合に比べて、受光感度を高めることが可能である。
【0011】
よって、本発明に係る電気光学装置によれば、例えば、表示面を指示する指示手段によって遮られた光の波長が光の検出機会毎に異なる場合であっても、確実に指示手段を検知することができ、当該電気光学装置のタッチパネル機能を高めることが可能になる。
【0012】
本発明に係る電気光学装置の一の態様では、前記第1受光素子及び前記第2受光素子は、互いに電気的に並列に接続されていてもよい。
【0013】
この態様によれば、表示面に入射した光が第1受光素子及び第2受光素子の夫々に照射されることによって、これら受光素子の夫々に生じる光電流の電流値の和に応じた出力信号が、表示面に入射した光に対する出力値として出力される。したがって、例えば、第1受光素子及び第2受光素子の一方に生じた光電流が微弱であっても、指示手段を検知可能な光電流が他方の受光素子から出力されるため、一方の受光素子を用いて指示手段を検知する場合に比べて、正確に指示手段を検知可能である。即ち、表示面に入射した光を検出可能なように、第1受光素子及び第2受光素子の一方が他方の受光素子が検出できない波長帯域の光を検出することによって、一つの受光素子を用いて指示手段を検知する場合に比べて、正確に指示手段を検知できる。
【0014】
加えて、この態様によれば、第1受光素子及び第2受光素子を相互に電気的に接続する端子部等の接続手段をこれら受光素子で共用することができ、電気光学装置の構造を簡略な構造にすることが可能である。
【0015】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記画素部は、前記基板上の一の層に形成された一の半導体層を含む画素スイッチング用素子を有しており、前記第1受光素子は、前記一の層に形成された他の半導体層の一部を構成する第1受光層を有しており、前記第2受光素子は、前記一の層と異なる他の層に形成された第2受光層を有しており、前記一の半導体層及び前記他の半導体層は、互いに共通の工程によって形成されていてもよい。
【0016】
この態様によれば、画素スイッチング用素子は、例えば、一の層に形成された一の半導体層を活性層として含むTFT等の半導体素子である。第1受光素子が有する第1受光層は、例えば、画素スイッチング用TFTの活性層が形成された一の層と同層に形成された他の半導体層の一部を構成している。他方、前記第2受光素子は、前記一の層と異なる他の層に形成された第2受光層を有している。したがって、第1受光素子及び第2受光素子の夫々が有する第1受光層及び第2受光層の夫々は、基板上において互いに異なる層に形成されている。
【0017】
前記一の半導体層及び前記他の半導体層は、基板上の一の層に形成されているため、互いに共通の工程によって形成することができる。より具体的には、例えば、ポリシリコン層等の半導体層を一の層に形成した後、一の半導体層及び他の半導体層の夫々を画素スイッチング用素子及び第1受光層の夫々のレイアウトに応じた平面パターンとなるように、同時に、或いは並行してパターニングすることによって、相互に共通の工程で形成可能である。
【0018】
したがって、この態様によれば、別々の工程によって第1受光素子及び第2受光素子を形成する場合に比べて、電気光学装置の製造プロセスを簡便化することが可能である。
【0019】
この態様では、前記第1受光層及び前記第2受光層のサイズは相互に異なっていてもよい。
【0020】
この態様によれば、優先的に検出される光を設定することが可能である。より具体的には、例えば、検出すべき光の波長に応じて、記第1受光層及び前記第2受光層のうち当該波長を含む波長帯域で光を検出可能な一方の受光層のサイズを他方より大きく設定しておくことによって、当該一方の受光層によって検出可能な光を優先的に検出できることになり、検出可能な光の波長帯域を広げつつ、特定の波長帯域の検出性能を選択的に高めることが可能である。
【0021】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記第1受光素子及び前記第2受光素子は、前記基板上において互いに重なるように形成されていてもよい。
【0022】
この態様によれば、前記第1受光素子及び前記第2受光素子のうち一方の受光素子によって検出可能な波長帯域から外れた波長を有する光は、当該一方の受光素子を透過して他方の受光素子に照射され、当該他方の受光素子に検出される。したがって、表示領域のうち第1受光素子及び第2受光素子が占める領域の割合を狭めつつ、これら受光素子を含む光センサ部による光の検出性能を低下させることがない。したがって、例えば、液晶装置等の電気光学装置において、複数の画素部による画像表示を阻害しないように、これら画素部における開口領域、即ち、画素部が占める領域のうち配線等によって遮光されない実質的に光が透過する領域に第1受光素子及び第2受光素子を形成した場合であっても、これら受光素子が相互に重ならないように配置されている場合に比べて、開口領域を広げることが可能である。したがって、この態様によれば、電気光学装置が表示領域に表示する画像の輝度を低下させることなく、且つタッチパネル機能も確保できる利点がある。
【0023】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記第1受光素子及び前記第2受光素子は、前記基板上において互いに重ならないように形成されていてもよい。
【0024】
この態様によれば、表示面に入射した光が第1受光素子及び第2受光素子の夫々に直接、即ち、第1受光層及び第2受光層の一方の受光層に他方の受光層を介すことなく照射されるため、これら受光素子の夫々の受光感度特性に応じて広い波長帯域全体で光を検出することが可能である。加えて、この態様によれば、これら受光素子の夫々によって検出可能な光の波長帯域を超えた広い波長帯域の範囲内で光を検出可能である。
【0025】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記第1受光素子は、前記他の半導体層の一部を構成し、且つ前記第1受光層に電気的に接続されたP型導電領域及びN型導電領域が前記第1受光層の受光面に重ならない横型PINダイオードであってもよい。
【0026】
この態様によれば、P型導電領域及びN型導電領域の夫々が第1受光層に重なることによって生じる可能性がある受光感度の低下を生じさせることなく第1受光層を形成できる。
【0027】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記第2受光素子は、前記第2受光層と、前記第2受光層の両面の夫々において前記第2受光層に重なり、且つ前記第2受光層に電気的に接続されたP型導電領域及びN型導電領域とを有する縦型PINダイオードであってもよい。
【0028】
この態様によれば、順次P型導電領域、第2受光層、及びN形導電領域を形成することによって、例えば、第1受光素子上に第2受光素子としての縦型PINダイオードを形成可能である。
【0029】
この態様では、前記縦型PINダイオードは、前記P型導電領域及び前記N型導電領域のうち前記第2受光層上に形成された上側領域に重なり、且つ前記上側領域上において前記上側領域に電気的に接続された透明な上電極を有していてもよい。
【0030】
この態様によれば、縦型PINダイオードの上層側から光が当該縦型PINダイオードに入射する場合であっても、上電極によって光が遮られることがなく、指示手段によって遮られた光を正確に検出可能である。
【0031】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記縦型PINダイオードは、前記P型導電領域及び前記N型導電領域のうち前記第2受光層下に形成された下側領域に重なり、且つ前記下側領域下において前記下側領域に電気的に接続された透明な下電極を有していてもよい。
【0032】
この態様によれば、縦型PINダイオードを透過した光を横型PINダイオードで検出可能になり、指示手段を正確に検出可能である。
【0033】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備してなる。
【0034】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、タッチパネル機能を各々有する携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、テレビ電話、POS端末等の各種電子機器を実現できる。
【0035】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明に係る電気光学装置及び電子機器の各実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係る電気光学装置の一例としてタッチパネル機能を有する液晶装置を挙げている。
【0037】
<1−1:液晶装置の全体構成>
先ず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る液晶装置1の全体構成を説明する。図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置1の平面図であり、図2は、図1のII−II´断面図である。本実施形態に係る液晶装置1は、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式で駆動される。
【0038】
図1及び図2において、液晶装置1では、TFTアレイ基板10と、対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素部が設けられた表示領域である画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0039】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0040】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。尚、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域が存在する。言い換えれば、本実施形態においては特に、TFTアレイ基板10の中心から見て、この額縁遮光膜53より以遠が周辺領域として規定されている。
【0041】
液晶装置1は、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、及びセンサ用走査回路204を備えている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域において、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺の一方に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。センサ用走査回路204は、画像表示領域10aを介して走査線駆動回路104に向かい合うように設けられている。走査線駆動回路104及びセンサ用走査回路204は、額縁遮光膜53に覆われるように形成された複数の配線105によって相互に電気的に接続されている。
【0042】
TFTアレイ基板10上の周辺領域には、後述する光センサ部から出力された出力信号を処理するとともに、光量調整部による光量の絞り量を制御する回路部を含む制御回路部201が形成されている。制御回路部201または後述するその機能の一部である受光信号処理回路部215は画像表示領域10aとの接続を簡単にするためにデータ線駆動回路101と一体に形成することが好ましい。
【0043】
外部回路接続端子102は、外部回路及び液晶装置1を電気的に接続する接続手段の一例であるフレキシブル(FPC)基板200に設けられた接続端子に接続されている。液晶装置1が有するバックライトは、FPC200に搭載されたIC回路等から構成されるバックライト制御回路202によって制御される。
【0044】
対向基板20の4つのコーナー部には、TFTアレイ基板10及び対向基板20間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10及び対向基板20間で電気的な導通をとることができる。
【0045】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0046】
液晶装置1は、第1偏光板301、第2偏光板302、及びバックライト206を備えている。第1偏光板301は、対向基板20上に配置されている。第2偏光板302は、TFTアレイ基板10の図中下側においてバックライト206及びTFTアレイ基板10間に配置されている。液晶装置1は、その動作時に、第1偏光板301の両面のうち対向基板20に臨まない側に位置する表示面301sに画像を表示する。
【0047】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の回路部に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
【0048】
<1−2:液晶装置の回路構成>
次に、図3を参照しながら、液晶装置1の回路構成を説明する。図3は、液晶装置1の主要な回路構成を示したブロック図である。
【0049】
図3において、液晶装置1は、データ線駆動回路部101、走査線駆動回路部104、センサ感度調整回路部205、センサ用走査回路204、受光信号処理回路215、画像処理回路部216、及び表示部110を備えている。図1に示した制御回路部201は、センサ感度調整回路部205、受光信号処理回路部215及び画像処理回路部216を備えて構成されている。
【0050】
表示部110は、後述するようにマトリクス状に配列された複数の画素部72から構成されている。データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、走査信号及び画像信号を所定のタイミングで表示部110に供給し、各画素部を駆動する。
【0051】
センサ用走査回路部204は、液晶装置1の動作時に、後述する光センサ部を動作させるための信号を各光センサ部に供給する。受光信号処理回路部215は、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに設けられた光センサ部から出力された受光信号を処理する。
【0052】
画像処理回路部216は、受光信号処理回路部215から供給された処理済信号に基づいて構成される画像データを処理する。画像処理回路部216は、表示部110が有する複数の光センサ部の夫々の受光信号に基づいて特定された画像から、表示面301sを指示する指等の指示手段を識別できた場合に、画像表示領域10aにおいて表示面301sを指示する指示手段の位置を特定し、特定された指示手段の位置をタッチ位置情報として外部回路部に出力する。他方、画像処理回路部216は、指示手段の位置が特定できない場合には、光センサ部の感度を補正するための補正信号をデータ線駆動回路101に供給する。この補正信号に基づいて、後述する光量調節部が入射光の光量を絞る絞り量が光量調節部毎に調節される。
【0053】
<1−3:液晶装置の具体的な構成>
次に、図4乃至図11を参照しながら、液晶装置1の具体的な構成を詳細に説明する。図4は、液晶装置1の画像表示領域10aにおける各種素子、配線等の等価回路である。図5は、図4に示した光検出回路部の電気的な構成を詳細に示した回路図である。図6は、画素部の図式的平面図である。図7は、図6のVII−VII´断面図である。図8は、図6のVIII−VIII´断面図である。図9は、図6のIX−IX´断面図である。図10は、図8に示した断面を詳細に示した断面図である。尚、図4では、TFTアレイ基板10上にマトリクス状に配置された複数の画素部のうち実質的に画像の表示に寄与する部分の回路構成と共に光検出回路部を示している。図7乃至図10では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0054】
図4を参照しながら、画素部72の回路構成を説明する。図4において、液晶装置1の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素部72の夫々は、赤色を表示するサブ画素部72R、緑色を表示するサブ画素部72G、及び青色を表示するサブ画素部72Bを含んで構成されており、画像表示領域10aに形成された複数の光検出回路部250の夫々に電気的に接続されている。したがって、液晶装置1は、カラー画像を表示可能な表示装置である。
【0055】
サブ画素部72R、72G及び72Bの夫々は、画素電極9a、本発明の「画素スイッチング用素子」の一例であるTFT30、及び液晶素子50aを備えている。
【0056】
TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、液晶装置1の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0057】
TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、液晶装置1は、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
【0058】
液晶層50に含まれる液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各サブ画素部の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各サブ画素部の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置1からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。蓄積容量70は、画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶素子50aと並列に付加されている。容量電極線300は、蓄積容量70が有する一対の電極のうち固定電位側の電極である。
【0059】
次に図5を参照しながら、光検出回路部250の詳細な回路構成を説明する。
【0060】
図5において、光検出回路部250は、光量調節部82及び光センサ部150を備えている。
【0061】
光量調節部82は、液晶素子50b、調節制御TFT130、及び蓄積容量170を備えて構成されている。光量調節部82は、複数の光検出回路部250の夫々に含まれており、制御回路部201の制御下において、画像表示領域10aにおいて互いに独立してその動作が制御される。
【0062】
液晶素子50bは、調節制御TFT130及び蓄積容量170の夫々に電気的に接続されており、液晶素子50bが有する液晶部分の配向状態が調節制御TFT130によって制御され、光センサ部150に入射する入射光の光量を調節する。蓄積容量170が有する一対の容量電極の一方は、固定電位線300に電気的に接続されている。
【0063】
調節制御TFT130のゲート及びソースの夫々は、走査線3a及び信号線6a1の夫々に電気的に接続されている。調節制御TFT130は、走査線3aを介して供給された選択信号が供給されることによってそのオンオフが切り換え可能に構成されている。調節制御TFT130は、そのオンオフに応じて信号線6a1を介して供給された調節信号を液晶素子50bに供給する。液晶素子50bは、調節信号に応じて液晶部分の配向状態が制御されることによって光センサ部150に入射する入射光の光量を調節する。
【0064】
光センサ部150は、本発明の「第1受光素子」及び「第2受光素子」の夫々一例である受光素子191及び192、蓄積容量152、リセットTFT163、信号増幅用TFT154、及び出力制御用TFT155を備えて構成されている。
【0065】
受光素子191及び192は、画像表示領域10aにおいて液晶装置1の表示面301sから入射する入射光L2のうち光調節部82によって光量が調節された入射光L2´(図7乃至図9参照。)を受光する。リセット用TFT163のソース、ゲート及びドレインの夫々は、受光素子191及び192、リセット用信号線350、及び信号増幅用TFT154の夫々に電気的に接続されている。信号増幅用TFT154のソース、ゲート及びドレインの夫々は、電源線351、受光素子191及び192、出力制御用TFT155の夫々に電気的に接続されている。出力制御用TFT155のソース、ゲート及びドレインの夫々は、信号増幅用TFT154、選択信号線353、及び読み出し信号線6a2の夫々に電気的に接続されている。
【0066】
受光素子191及び192が入射光L2´を受光した際には、受光素子191及び192の両方、或いはこれら受光素子の一方に光電流が生じ、リセット用TFT163、電圧増幅用TFT154、及び出力制御用TFT155の夫々の動作に応じて、受光素子191及び192に電気的に接続された電源線352及びノードa間の電圧Vに対応した信号が読み出し信号線6a2に読み出される。
【0067】
次に、図6乃至図10を参照しながら、液晶装置1の具体的な構成を説明する。
【0068】
図6において、画素部72は、X方向に沿って配列された3つのサブ画素部72R、72G及び72B、並びに、光検出回路部250を有している。
【0069】
サブ画素部72R、72G及び72Bサブ画素部の夫々は、開口部73R、73G及び73Bの夫々を有している。液晶装置1の動作時において、開口部73R、73G及び73Bの夫々から赤色光、緑色光、及び青色光の夫々が出射されることによって液晶装置1によるカラー画像の表示が可能になる。加えて、サブ画素部72R、72G及び72Bの夫々は、各サブ画素部をスイッチングするTFT30を有している。
【0070】
光検出回路部250は、調節制御TFT130、開口部83、及びTFT回路部80を有している。受光素子191及び192を含む受光部は、表示面301sに入射する入射光を検出する。TFT回路部80は、リセット用TFT163、電圧増幅用TFT154、及び出力制御用TFT155を含んで構成されており、開口部83に臨む受光素子191及び192の動作を制御すると共に、受光素子191及び192が生成する光電流に応じた電圧の変化を読み出し線6a2に出力する。
【0071】
図7乃至図9において、液晶装置1は、遮光膜11及び153、平坦化膜20aに埋め込まれた3種類のカラーフィルタ154R、154G及び154B、液晶素子50b、受光素子191及び192、バックライト206、並びに、第1偏光板301、及び第2偏光板302を備えている。
【0072】
バックライト206は、導光板206a、及び表示用光源206bを備えて構成されており、図中TFTアレイ基板10の下側に配置されている。
【0073】
表示用光源206bは、画像表示領域10aに画像を表示するための表示用光L1を生成する。表示用光L1は、可視光であり、各サブ画素部の駆動に応じて液晶層50によって変調される。
【0074】
導光板206aは、例えば、表示用光L1を透過可能なアクリル樹脂で構成されており、表示用光L1を画像表示領域10aに導く。液晶装置1は、画像を表示するために表示用光L1を利用すると共に、表示面301sに接する、或いは指示する指等の指示手段を検知するために外光を利用する。
【0075】
第1偏光層301と、液晶層50と受光素子191及び192の間に配置された不図示の偏光層とは、夫々の光軸が互いに交差するようにクロスニコル配置されている。液晶素子50bは、液晶層50のうち受光素子191及び192に重なる液晶部分と、当該液晶部分を挟持する第1電極159a及び第2電極21aを有している。
【0076】
光量調節部82は、表示面301sから開口部83に入射する入射光L2の光量を調節する絞り機構として機能する。本実施形態では、図5を参照しながら説明したように、液晶素子50bが有する液晶部分の配向状態を制御可能であるため、入射光L2の光量を光量調節部82毎に独立して調節できる。したがって、各画素部において液晶層の配向状態を制御することによって表示用光の光強度を制御する場合と同様に、各光センサ部150の受光素子191及び192に入射する入射光L2´の光量を独立して調節できる。
【0077】
したがって、複数の光量調節部82によれば、画像表示領域10aを構成する複数の領域の夫々において表示面301sから入射する入射光L2の光量の夫々が、各光センサ部150が検出可能な光量の検出可能範囲から外れている場合であっても、光センサ部150毎に、或いは任意の個数の光センサ部150を一群とする群毎に、各光センサ部150に入射する入射光L2´の光量が検出可能範囲に入るように光量が調節される。
【0078】
特に、画像表示領域10aを構成する複数の領域の夫々において、指等の指示手段に遮光される外光等の環境の変化に起因して指示手段をその周囲と識別できない場合、より具体的には、例えば外光の光量が強すぎることによって、表示面301sにおいて指示手段の影が投影される領域と、その領域の周囲の領域との夫々に入射する入射光L2の光量が受光素子191及び192による光量の検出可能範囲から外れている場合には、指示手段の影が投影される領域とその領域の周囲の領域との夫々に入射する入射光L2の光量が検出可能範囲にシフトされるように各光量調節部82が入射光L2の光量を調節する。つまり、複数の光量調節部82の夫々は、各光センサ部150に入射する入射光L2の光量を互いに独立して調節可能な絞り機構として機能する。
【0079】
このように、液晶装置1によれば、光センサ部150に入射する入射光L2の光量が光センサ部による検出可能範囲から外れている場合でも、当該検出可能範囲に光量が含まれるように入射光L2の光量が調節され、検出可能範囲に光量が調節された入射光L2´が光センサ部150に照射されることになる。したがって、液晶装置1によれば、光量調節部82によって光量が調節されることなく、入射光L2が光センサ部150にそのまま入射する場合には識別できなかった指示手段を識別でき、表示面301s上の画像表示領域10aにおける指示手段の位置を特定できる。
【0080】
加えて、複数の光量調節部82の夫々が互いに独立して光量を調節できるため、外光を含む入射光L2の光強度が画像表示領域10a内の各領域で相互に異なる場合であっても、光センサ部150による検出可能範囲から光量が外れている領域について選択的に光量を調節可能であり、指示手段を検出する検出精度を高めることが可能である。
【0081】
したがって、液晶装置1は、光学系の途中にメカニカルな絞り機構が設けられたカメラ等の撮像装置と異なり、本来画像を表示するために用いられる液晶層の一部を利用して入射光L2の光量を調節できることから、液晶装置1内に絞り機構を設けるためのスペースを確保しなくても入射光L2の光量を調節でき、指示手段を検出する検出精度を高めることが可能である。
【0082】
第1電極159aは、TFTアレイ基板10上において画像表示領域10aを構成する複数の画素部72の夫々に設けられた複数の画素電極9aと同層に形成されている。したがって、ITO等の透明導電材料によって構成される画素電極9aを形成する工程と共通の工程によって第1電極159aを形成でき、液晶装置1の製造プロセスを簡便にできる。第2電極21aは、対向電極21が受光素子191及び192に重なる電極部分である。
【0083】
液晶装置1は、光センサ部82から見てTFTアレイ基板10側において画素電極9aに重なるように延びる第2偏光層302を備えている。第2偏光層302は、上述した不図示の偏光層の光軸が延びる方向に沿って延びる光軸を有している。したがって、第2偏光層302によれば、各画素に入射する表示用光L1を直線偏光させることが可能である。
【0084】
尚、第1偏光層301及び第2偏光層302は、延伸されたPVA(ポリビニルアルコール)膜をTAC(トリアセチルセルロース)で構成された保護フィルムによって挟み込んで構成されている。
【0085】
図7乃至図9において、サブ画素部73Rは、表示用光L1が液晶層50によって変調された変調光のうち赤色光を透過可能なカラーフィルタ154Rを介して赤色光L1Rを表示する。サブ画素部73G及び73Bの夫々は、サブ画素部73Rと同様に、カラーフィルタ154G及び154Bの夫々を介して緑色光L1G及び青色光L1Bの夫々を表示する。
【0086】
図7及び図8に示すように、遮光膜153は、開口領域の縁の少なくとも一部を規定する、所謂ブラックマトリクスである。したがって、遮光膜153によれば、非開口領域に形成された画素スイッチング用TFT30等の半導体素子、及びTFT回路部80に表示面301s側から可視光L2が照射されることを低減でき、TFT30及びTFT回路部80に含まれる半導体素子に発生する光リーク電流を低減できる。
【0087】
図6乃至図9に示すように、光センサ部82は、TFTアレイ基板10上において、画素部72の開口領域を互いに隔てる非開口領域に形成されている。また、液晶装置1では、開口部73R、73G及び73Bから表示用光L1R、L1G及びL1Bの夫々が出射される。したがって、液晶装置1によれば、光センサ部82によって表示用光L1R、L1G及びL1Bが遮られることがない。
【0088】
液晶装置1は、TFTアレイ基板10上において受光素子191及び192の下層側に形成された遮光膜11を備えている。遮光膜11は、金属膜等の遮光性を有する材料から構成されており、バックライト206から出射された可視光である表示用光L1が受光素子191及び192に照射されないように、これら光を遮光する。したがって、遮光膜11によれば、表示用光L1が照射されることに起因して生じる受光素子191及び192の誤動作を低減できる。このような遮光膜11は、TFTアレイ基板10上に形成された他の素子の一部、或いは配線を構成する導電膜等の遮光性を有する膜と同層に共通の工程を用いて形成可能である。
【0089】
加えて、遮光膜11は、TFT回路部80及び画素スイッチング用TFT30に重なるようにTFTアレイ基板10上に延びている。したがって、遮光膜11によれば、画素スイッチング用TFT30、及びTFT回路部80を遮光することもでき、TFT30及びTTF回路部80の誤動作を低減することも可能である。
【0090】
次に、図10を参照しながら、受光素子191及び192の詳細な構成及び配置を説明する。
【0091】
図10において、受光素子191及び192は、平面的に見て開口部83に臨むようにTFTアレイ基板10上に形成されている。
【0092】
受光素子191は、本発明の「第1受光層」の一例である受光層191a´を有している。受光素子191は、本発明の「他の半導体層」の一例である半導体層191aを構成し、且つ受光層191a´に電気的に接続されたP型導電領域191b´及びN型導電領域191c´が受光層191a´の受光面に重ならない横型PINダイオードである。したがって、受光素子191によれば、P型導電領域191b´及びN型導電領域191c´の夫々が受光層191a´に重なることによって生じる可能性がある受光感度の低下を生じさせることがない。
【0093】
受光素子192は、本発明の「第2受光層」の一例である受光層192a´と、受光層192a´の両面の夫々において受光層192a´に重なり、且つ受光層192a´に電気的に接続されたP型導電領域192b´及びN型導電領域192c´とを有する縦型PINダイオードである。したがって、液晶装置1の製造時に、順次P型導電領域192a´、受光層192a´、及びN形導電領域192c´を形成することによって、受光素子191上に受光素子192を容易に形成できる。
【0094】
ここで、絶縁膜41は、本発明の「一の層」の一例であり、TFT30が有する半導体層1aは、絶縁膜41上に形成された、本発明の「一の半導体層」の一例である。受光素子191は、絶縁膜41上に形成された、本発明の「他の半導体層」の一例である半導体層191aを有している。したがって、半導体層1a及び191aは、液晶装置1の製造プロセスにおいて、互いに共通の工程によって形成可能である。より具体的には、半導体層1a及び191aは、例えば、絶縁膜41上にポリシリコン層等の半導体層を形成した後、当該半導体層をTFT30及び受光層191aの夫々のレイアウトに応じた平面パターンとなるように、同時に、或いは並行してパターニングすることによって、同時に、或いは並行して形成可能である。よって、半導体層1aを形成する工程とは別に半導体層191aを形成する工程を設ける場合に比べて、液晶装置1の製造プロセスを簡便化することが可能である。尚、受光素子192は、絶縁膜41と異なる、本発明の「他の層」の一例である絶縁膜43に形成された受光層192a´を有しており、受光素子191が絶縁膜41上に形成された後に形成される。
【0095】
受光素子192は、P型導電領域192b´及びN型導電領域192c´のうち受光層192a´上に形成された、本発明の「上側領域」の一例であるN型導電領域192c´に重なり、且つN型導電領域192c´上においてN型導電領域192c´に電気的に接続された透明な上電極169aを有している。
【0096】
上電極169aは、ITO等の透明導電材料から構成されており、画素電極9aと同時に、或いは並行して絶縁膜43上に形成されている。コンタクトホール184及び端子部94を介してN型導電領域191c´に電気的に接続されている。
【0097】
上電極169aによれば、受光素子192の上層側から入射光L2´が受光素子192に入射した場合に、上電極169aによって入射光L2´が遮られることがなく、指示手段によって遮られた光を正確に検出できる。
【0098】
受光素子192は、P型導電領域192b´及びN型導電領域192c´のうち受光層192a´下に形成された、本発明の「下側領域」の一例であるP型導電領域192b´に重なり、且つP型導電領域192b´下において導電膜199に電気的に接続されている。導電膜199は、ITO等の透明導電材料から構成されており、本発明の「下電極」の一例を構成している。
【0099】
導電膜199によれば、受光素子192によって吸収されることなく当該受光素子192を透過した入射光L2´が受光素子191に照射される。したがって、入射光L2´が受光素子192によって検出されない場合であっても、透過した入射光L2´は、受光素子191によって検出可能になり、指示手段を正確に検知可能になる。
【0100】
入射光L2は、不図示の液晶素子によって光量が調節された後、入射光L2´として受光素子191及び192に照射される。
【0101】
受光素子191は、横型PINダイオードであり、受光素子192は、縦型PINダイオードである。受光素子191及び192は、表示面301sに入射する入射光L2の波長、言い換えれば光量が調節された入射光L2´に対する受光感度を示す受光感度特性が相互に異なる受光素子である。
【0102】
受光素子191及び192の夫々は、液晶装置1の動作時に、入射光L2´を受光し、各受光素子の受光感度に応じた出力電流を出力する。受光素子191及び192の夫々は、図5に示したように、相互に電気的に並列に接続されている。より具体的には、図10に示すように、受光素子191及び192は、導電膜199を介して相互に電気的に接続されているため、受光素子191及び192の少なくとも一方から出力された出力電流に応じて、読み出し信号線6a2に出力信号が読み出される。
【0103】
受光素子191及び192によれば、入射光L2´が受光素子191及び192の夫々に照射されることによって、これら受光素子の夫々に生じる光電流の電流値によってノードa及び電源線352間に生じた電圧V(図5参照)が出力信号、即ち出力値として読み出し線6a2に読み出され、指示手段が検知される。したがって、後述するように、受光素子191及び192の夫々の受光感度特性は相互に異なっているため、例えば、受光素子191及び192の一方に生じた光電流が微弱であっても、指示手段を検知可能な光電流が他方の受光素子から出力され、当該一方の受光素子を用いて指示手段を検知する場合に比べて、正確に指示手段を検知可能である。
【0104】
加えて、受光素子191及び192、並びに導電膜199によれば、受光素子191及び192を電気的に相互に接続する端子部等の接続手段を導電膜199によって共用することができ、配線等をTFTアレイ基板10上に引き回してこれら受光素子を相互に電気的に接続する場合に比べて液晶装置1の構造を簡略な構造にすることが可能である。
【0105】
図10において、調節制御用TFT130は、コンタクトホール131及び132、ソース電極134、ドレイン電極135、並びにゲート電極133aを有している。調節制御用TFT130は、不図示の配線等の接続手段を介して液晶素子50b、信号線6a1、及び蓄積容量170に電気的に接続されており、液晶素子50bを介して入射光L2の光量の絞り量を制御する。
【0106】
TFT30が有する半導体層1aは、例えば低温ポリシリコン層であり、ゲート電極3a1に重なるチャネル領域1a´、ソース領域1b´、及びドレイン領域1c´を含んでいる。チャネル領域1a´には、液晶装置1の動作時に、走査線3aに電気的に接続されたゲート電極3a1からの電界によりチャネルが形成される。絶縁膜42の一部を構成する絶縁膜42aのうちゲート電極3a1及び半導体層1a間に延びる部分は、TFT30のゲート絶縁膜を構成している。ソース領域1b´及びドレイン領域1c´の夫々は、チャネル領域1a´の両側の夫々にミラー対称に形成されている。
【0107】
ゲート電極3a1は、ポリシリコン膜等の導電膜や、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pd、Al等の金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等によって形成されており、ソース領域1b´及びドレイン領域1c´に重ならないように絶縁膜42aを介してチャネル領域1a´上に設けられている。
【0108】
尚、TFT30は、ソース領域1b´及びドレイン領域1c´の夫々に低濃度ソース領域及び低濃度ドレイン領域の夫々が形成されたLDD(Lightly Doped Drain)構造を有していてもよい。
【0109】
コンタクトホール181及び182の夫々は、絶縁膜42を構成する絶縁膜42a、及び42bを半導体層1aまで貫通するように形成されており、ソース領域1b´及びドレイン領域1c´の夫々に電気的に接続されている。ソース電極91及びドレイン電極92の夫々は、絶縁膜42b上に形成され、且つコンタクトホール181及び182の夫々に電気的に接続されている。ソース電極91及びドレイン電極92の夫々は、絶縁膜43aに覆われており、ドレイン電極92は、コンタクトホールを介して画素電極9aに電気的に接続されている。
【0110】
次に、図11を参照しながら、受光素子191及び192の受光感度特性を説明する。図11は、受光素子191及び192の夫々の光に対する受光感度特性線と、これら2つの受光素子を含む光センサ部150の受光感度特性線とを図式的に示した特性図である。
【0111】
図11(a)に示すように、受光素子191及び192の夫々における光の波長に対する受光感度Sが、受光感度特性線Lt及びLvの夫々で示される場合を考える。受光感度特性線Lt及びLvは、互いに等しい光の波長λpt(λpv)で受光感度Sv及びStのピーク値をとる。したがって、受光素子191及び192の夫々が単独で入射光L2´を検出した場合には、受光感度Sは、最大でもピーク値Sv及びSt以上になることはない。
【0112】
しかしながら、受光素子191及び192を電気的に互いに並列に接続し、同時に動作させることによって、これら受光素子191及び192を含む光センサ部150の受光感度は、これら受光素子191及び192の夫々の受光感度Sの和になり、受光感度Sv及びStより大きい受光感度Saを取りうる。
【0113】
よって、液晶装置1によれば、受光感度特性が相互に異なる受光素子191及び192を同時に動作させることによって、受光素子191及び192のうち一方の受光素子を用いて入射光L2´を検出する場合に比べて、入射光L2´の検出感度を高めることが可能である。加えて、受光素子191及び192の一方の受光素子を用いて入射光L2´を検出する場合に比べて、波長λL1及びλH1の波長帯域の範囲内全体で、光センサ部150の受光感度Sを高めることが可能である。
【0114】
したがって、図11(a)に示した受光感度特性Lv及びLtを各々有する受光素子191及び192の両方を用いて入射光L2´を検出することによって、指示手段を検知する検知性能を高めることができ、これに伴い液晶装置1のタッチパネル機能を向上させることが可能である。
【0115】
次に、図11(b)に示すように、受光素子191及び192の夫々における光の波長に対する受光感度Sが、互いに異なる受光感度のピーク値を有する受光感度特性線Lt及びLvの夫々で示される場合を考える。受光感度特性Lv及びLtの夫々は、互いに異なる波長λpv及びλptの夫々で受光感度Sのピーク値として受光感度Sv及びStの夫々をとる。したがって、受光素子191及び192の夫々を単独で用いた場合、入射光L2´のうち、波長λpv以下の波長帯域、或いは波長λpt以上の波長帯域に含まれる光の成分が検出できなくなる。
【0116】
しかしながら、液晶装置1は、受光素子191及び192の両方を動作させることから、波長λL2からλH2の渡る波長帯域全体で入射光L2´を検出可能であり、受光素子191及び192の一方のみを用いて入射光L2´を検出する場合に比べて、検出可能な光の波長帯域を広げることが可能である。
【0117】
よって、液晶装置1によれば、受光素子191及び192を用いることによって、入射光L2´を検出する検出性能を高めることができ、液晶装置1のタッチパネル機能を向上させることが可能である。
【0118】
尚、このように受光感度特性が相互に異なる受光素子191及び192は、例えば、受光素子191及び192の素子構造、サイズ、或いは構成材料等の各種素子設計を相互に異ならせることによって形成可能である。
【0119】
再び、図10において、本実施形態では、受光層191a´及び192a´のサイズは相互に異なっていてもよい。このような受光層191a´及び192a´によれば、検出すべき光の波長に応じて受光素子191及び192の夫々の受光感度特性を設定し、優先的に検出される光を選択することが可能である。より具体的には、例えば、検出すべき光の波長に応じて、受光層191a´及び受光層192a´のうち当該波長を含む波長帯域で光を検出可能な一方の受光層のサイズを他方より大きく設定しておくことによって、当該一方の受光層によって検出可能な光を優先的に検出できることになり、検出可能な光の波長帯域を広げつつ、特定の波長帯域の光を検出する検出性能を高めることが可能である。
【0120】
また、本実施形態に係る液晶装置1のように、受光素子191及び192が、TFTアレイ基板10上において互いに重なるように形成されていることによって、受光素子192によって検出可能な波長帯域から外れた波長を有する光を、受光素子191によって検出することも可能である。したがって、光センサ部150による光の検出性能を高めつつ、画像表示領域10aのうち受光素子191及び192が占める領域(即ち、画像表示に寄与しない領域)の割合を狭めることができる。
【0121】
したがって、例えば、複数の画素部72による画像表示を阻害しないように、これら画素部72における開口領域、即ち、画素部が占める領域のうち配線等によって遮光されない実質的に光が透過する領域に受光素子191及び192を形成した場合であっても、これら受光素子が相互に重ならないように配置されている場合に比べて、画素部72における開口領域を広げることが可能であり、液晶装置1が画像表示領域10aに表示する画像の輝度を低下させることなく、且つタッチパネル機能も確保できる利点がある。
【0122】
また、本実施形態に係る液晶装置1では、受光素子191及び192は、TFTアレイ基板10上において互いに重ならないように形成されていてもよい。このような受光素子191及び192によれば、入射光L2´が受光素子191及び192の夫々に直接、即ち、受光層192a´を介すことなく、受光層191a´に照射されることになるため、これら受光素子の夫々の受光感度特性に応じて広い波長帯域全体で光を検出することが可能である。
【0123】
<2:電子機器>
次に、図12及び図13を参照しながら、上述した液晶装置を具備してなる電子機器の実施形態を説明する。
【0124】
図12は、上述した液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図12において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶パネル1005の背面にバックライトを付加することにより構成されており、正確に各種情報を入力できるタッチパネル機能を有している。
【0125】
次に、上述した液晶装置を携帯電話に適用した例について説明する。図13は、本実施形態の電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図13において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、透過型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。携帯電話1300によれば、高品位の画像表示が可能であると共に、指等の指示手段によって表示面を介して正確に情報を入力可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の平面図である。
【図2】図1のII−II´断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の主要な回路構成を示したブロック図である。
【図4】本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域における等価回路である。
【図5】光検出回路部の電気的な構成を詳細に示した回路図である。
【図6】本実施形態に係る液晶装置が有する画素部周辺の図式的平面図である。
【図7】図6のVII−VII´断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII´断面図である。
【図9】図6のIX−IX´断面図である。
【図10】図8に示した断面を詳細に示した断面図である。
【図11】本実施形態に係る液晶装置が有する2つの受光素子の受光感度特性を示した特性図である。
【図12】本実施形態に係る電子機器の一例を示した斜視図である。
【図13】本実施形態に係る電子機器の他の例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0127】
1・・・液晶装置、10・・・TFTアレイ基板、20・・・対向基板、50・・・液晶層、50a,50b・・・液晶素子、72・・・画素部、82・・・光量調節部、150・・・光センサ部、191,192・・・受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の表示領域に形成された複数の画素部と、
前記表示領域に形成されており、表示面に入射する光の波長に対する受光感度を示す受光感度特性が相互に異なる第1受光素子及び第2受光素子と
を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1受光素子及び前記第2受光素子は、互いに電気的に並列に接続されていること
を特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記画素部は、前記基板上の一の層に形成された一の半導体層を含む画素スイッチング用素子を有しており、
前記第1受光素子は、前記一の層に形成された他の半導体層の一部を構成する第1受光層を有しており、
前記第2受光素子は、前記一の層と異なる他の層に形成された第2受光層を有しており、
前記一の半導体層及び前記他の半導体層は、互いに共通の工程によって形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1受光層及び前記第2受光層のサイズは相互に異なること
を特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1受光素子及び前記第2受光素子は、前記基板上において互いに重なるように形成されていること
を特徴とする請求項3又は4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1受光素子及び前記第2受光素子は、前記基板上において互いに重ならないように形成されていること
を特徴とする請求項3又は4に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1受光素子は、前記他の半導体層の一部を構成し、且つ前記第1受光層に電気的に接続されたP型導電領域及びN型導電領域が前記第1受光層の受光面に重ならない横型PINダイオードであること
を特徴とする請求項3から6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第2受光素子は、前記第2受光層と、前記第2受光層の両面の夫々において前記第2受光層に重なり、且つ前記第2受光層に電気的に接続されたP型導電領域及びN型導電領域とを有する縦型PINダイオードであること
を特徴とする請求項3から6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記縦型PINダイオードは、前記P型導電領域及び前記N型導電領域のうち前記第2受光層上に形成された上側領域に重なり、且つ前記上側領域上において前記上側領域に電気的に接続された透明な上電極を有すること
を特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記縦型PINダイオードは、前記P型導電領域及び前記N型導電領域のうち前記第2受光層下に形成された下側領域に重なり、且つ前記下側領域下において前記下側領域に電気的に接続された透明な下電極を有すること
を特徴とする請求項8又は9に記載の電気光学装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の電気光学装置を具備してなること
を特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−128569(P2009−128569A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302641(P2007−302641)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】