説明

電気加熱調理器

【課題】扉の開閉に連動し網が前後にスライドする利便性を確保しつつ調理物への加熱むらを低減した電気加熱調理器を提供すること。
【解決手段】本体1と、加熱室3を形成し前面を開口する内筐体4と、内筺体4の前方に軸支部6を備え軸支部6による軸支により回転自在開閉し把手を備える扉5と、調理物を乗せる網9と、網9の上方に調理物を加熱する上ヒーター7と、網9の下方に調理物を加熱する下ヒーター8と、網9を保持する内筐体4から加熱室3側に突出した載置部19と、扉5の開閉に連動し網9を前後にスライドさせるフック20を扉5に備える構成とした電気加熱調理器とすることにより、網が扉の開閉に連動し前後にスライドする利便性を確保しつつ加熱室からの熱の放出を低減することにより調理物への加熱むらを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭で使用されると共にオーブントースター等のヒーターを備えた電気加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気加熱調理器は、図5に示されるように、本体50の外郭を構成する外板61と、本体50の前面に開口51を有する加熱室52と、開口51を回動開閉する扉53と、加熱室52内の上下に調理物を加熱する加熱手段として上ヒーター54と下ヒーター55を配置し、上ヒーター54と下ヒーター55の間には、調理物を載せる網56を配置している。本体50の底部分には本体50を支える脚60を配置している。扉53の本体50前方側に開閉操作時につかむ部分である把手57を配置している。扉53の加熱室52側には扉53の開放に連動し網56を引き出すフック58を配置している。加熱室52を構成する内筐体62には、左右の両側壁に前後方向に長穴64と、長穴64に貫通し内筐体62の左右を横断し本体後方よりばねにて引っ張り力を受ける支持軸65を設け、支持軸65にて網56の本体後方側を支持している。本体50の底部63には調理物から発生するくずを受け本体50の外へ取出すことのできる屑受皿59を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−151077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、内筐体62に長穴64を設け、支持軸65を貫通させる構成としていることにより、加熱室52内の熱が、長穴64から放出されるため、長穴64近傍の温度が低下することにより調理物への加熱むらが発生するという課題を有していた。また、長穴64を無くすと、網56を支持する手段がなく、網56を支持することができないという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、扉の開閉に連動し網が前後にスライドする利便性を確保しつつ調理物への加熱むらを低減した電気加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気加熱調理器は、内筐体に穴を設けず、内筐体から突出した載置部を配置し、扉の開閉に連動して、網を前後にスライドさせるフックを扉に設けたものである。
【0007】
これによって調理物への加熱むらを低減することにより調理性能を向上させ、さらに扉の開閉に連動して網が前後にスライドする利便性の両方を満足させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気加熱調理器は、加熱室を構成する内筐体に穴を無くし、扉の開閉に連動して網が前後にスライドする構成とすることにより、操作性を維持しながら加熱むらを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における電気加熱調理器の扉閉止状態の縦断面図
【図2】同電気加熱調理器の斜視図
【図3】同電気加熱調理器の扉開放状態の縦断面図
【図4】同電気加熱調理器の他の扉開放状態の縦断面図
【図5】従来の電気加熱調理器の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、本体と、加熱室を形成し前面を開口する内筐体と、前記内筺体の前方に設けられた軸支部により軸支され回転自在に開閉する、把手を備えたる扉と、調理物を乗せる網と、前記網の上方に調理物を加熱する上ヒーターと、前記網の下方に調理物を加熱する下ヒーターと、前記網を保持する前記内筐体から前記加熱室側に突出した載置部と、前記扉に設けられ、前記扉の開閉に連動して前記網を前後にスライドさせるフックとを備えた電気加熱調理器とすることにより、網が扉の開閉に連動し前後にスライドする利便性を確保しつつ加熱室からの熱の放出を低減することにより調理物への加熱むらを低減することができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明のフックが網の一部を挟むように配置した後方突起と前方突起により構成し、扉の開閉操作において前記前方突起の先端が前記網より上方に位置する構成としたことにより、扉の開放動作において網の前方方向の移動範囲を規制することにより網が前方へ脱落することを防止することができる。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気加熱調理器の扉閉止状態の縦断面図、図2は同電気加熱調理器の斜視図、図3は同電気加熱調理器の扉開放状態の縦断面図、図4は同電気加熱調理器の他の扉開放状態の縦断面図を示すものである。
【0013】
図1から図4において、本体1の外郭は、側面と天面を構成する外板11と後面を構成する後板12と底面を構成する底板13により構成し、本体1の前面に開口2を有する加熱室3を形成する内筐体4と、内筐体4の下部に調理物から排出される屑を受ける屑受皿14と、内筐体4に配置した軸支部6により軸支され開口2を回動開閉し前面に把手15を構成した扉5と、本体1の扉5の下方には加熱動作を制御する制御部を内部に備えた操作部17を配置している。扉5は、加熱室3内の様子が確認できるよう耐熱性のガラス部18とガラス部18の外周を構成する外周枠部16とにより構成している。把手15は、扉5と非接触の手でつかむ部分であるグリップ部21と、扉5とグリップ部21をつなぐアーム部22と、扉5前方部分にガード10Aを構成し、耐熱性が高く熱伝導の小さい材料であるフェノール樹脂で形成している。扉5の開放した状態は、把手15が床面からおよそ30mmの距離にてストッパー27にて停止する。内筐体4内には、上下から調理物を加熱する加熱手段として上ヒーター7と下ヒーター8を配置し、上ヒーター7と下ヒーター8の間には、調理物を載せる網9を配置している。網9は内筐体4両側に設けた内筐体4から加熱室3側に突出した上面がおよそ水平の載置部19で保持されており、扉5の内筐体4側に設けた扉5開放時に上方向きとなり網9の一部を挟むよう構成した後方突起23と前方突起24とにより構成するフック20と係合することにより扉5の開閉に連動し前後にスライドする構成としている。本体1の下面には脚25を配置し、脚25により本体を支持している。
【0014】
以上のように構成された電気加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0015】
まず、把手15のグリップ部21を持って扉5を手前に引き、開口2を開放し、加熱室3内へ調理物を網9の上に置く。扉5を閉め操作部17を操作し、調理を開始させる。調理終了後は、同様に把手15のグリップ部21を持って扉5を手前に引き開放し、調理物
を加熱室3内から取出し、また、グリップ部21を持って扉5を押し上げ扉5を閉める。調理動作時および調理完了直後の加熱室3を構成する内筐体4と扉5は高温となるため、操作には注意が必要である。このときの把手15による扉5の開閉操作であるが、グリップ部21と扉5の間にガード10Aを設けていることにより、グリップ部21を持つ操作を誤って手が扉5の方向へ移動した場合でも扉5の前にガード10Aを設けていることにより手が扉5に触れることはない。さらに扉5を開放した状態で把手15が床面からおよそ30mmの空いていることにより、グリップ部21の下側に手を差し込むことが可能であるため、グリップ部21をつかみやすい。同様に扉5の開閉操作において、網9は載置部19上を前後にスライドするのであるが、扉5の開放操作では、フック20の後方突起23が網9を前方に引き出し、扉5の閉塞操作では、フック20の前方突起24が網9を後方に押し込むことにより、網9は前後にスライドする。扉5を開放した時の前方突起24の先端高さを網9の載置する位置より高くすることにより、図4のように、勢いよく扉5を開放し網9が前方へ脱落しそうになっても網9の前方へのスライドは前方突起24で停止することにより網9および調理物が加熱室3から脱落することはない。加熱室3は上ヒーター7と下ヒーター8の加熱により網9上に置いた調理物を加熱調理する。また、使用者はガラス部18から加熱室3内部の調理物の調理状態を確認しながら調理を行う。網9とフック20であるが、フック20は後方突起23と前方突起24との間が上方に開口しているので、網9は上方向へ引き上げることにより着脱が可能であり、本体1から外してお手入れが可能である。
【0016】
以上のように、本実施の形態においては、扉5に後方突起23と前方突起24を備えたフック20と、内筐体4の両側に加熱室3側に突出する載置部19と、載置部19によって支持される調理物を載せる網9を設けたことにより、扉5の開閉動作に連動し網9をスライドさせ調理物の加熱室3からの出し入れの操作性を向上させることができる。
【0017】
また、前方突起24の扉5開放時の高さを網9より高い位置とすることにより、網9が前方方向へ載置部19から脱落することを防止し、安全に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように、本発明にかかる電気加熱調理器は扉にフックを設け、フックにより扉の開閉に連動し網を前後にスライドさせることにより扉開放時に網から前方へスライドするので、扉の開閉機構を有し、内筐体の内部へ物を出し入れする機器等の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 本体
2 開口
3 加熱室
4 内筐体
5 扉
6 軸支部
7 上ヒーター
8 下ヒーター
9 網
19 載置部
20 フック
23 後方突起
24 前方突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
加熱室を形成し前面を開口する内筐体と、
前記内筺体の前方に設けられた軸支部により軸支され回転自在に開閉する、把手を備えたる扉と、
調理物を乗せる網と、
前記網の上方に調理物を加熱する上ヒーターと、
前記網の下方に調理物を加熱する下ヒーターと、
前記網を保持する前記内筐体から前記加熱室側に突出した載置部と、
前記扉に設けられ、前記扉の開閉に連動して前記網を前後にスライドさせるフックとを、備えた電気加熱調理器。
【請求項2】
前記フックは、前記網の一部を挟むように構成した後方突起と前方突起とを有し、前記扉の開閉操作において、前記前方突起の先端は前記網より上方に位置する請求項1に記載の電気加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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