説明

電気自動車電池残量案内表示装置

【課題】電気自動車の電池残量の表示を、周囲の施設への往復可能回数等によって表示し、利用者が直感的に、容易に現在の電池容量を理解できるようにした「電気自動車電池残量案内表示装置」とする。
【解決手段】電気自動車の電源をオンしたとき、周囲のよく行く施設をリスト表示し、各施設毎に現在の電池残量で走行できる往復回数を表示するか、或いは現在地から頻繁に利用する走行ルートを現在の電池残量で走行可能な回数と共にリスト表示する。それにより現在の電池残量を、日頃利用する施設や走行ルートとの関係で、直感的にわかりやすく表示できる。そのリスト表示は走行可能回数順、或いは日頃の走行履歴を蓄積したデータにより、走行した回数順に表示してもよい。また、現在の電池残量で走行できる距離或いは往復走行可能距離を表示する従来形式と切り替えて表示しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の走行用モータに電力を供給する電池の残量を、利用者の直感で良くわかるように案内することができるようにした、電気自動車電池残量案内表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年はモータで走行する電気自動車が次第に広く普及しようとしている。電気自動車においては車両に備えた電池に蓄えた電力によりモータを駆動して走行するものであるが、走行用電池は改良が続けられているものの、満充電状態で160km程度走行すると充電しなければならないのが現状である。
【0003】
また、電気自動車の走行用電池は必ずしも走行用に限らず、前照灯やエアコンを初め、車内の各種機器の電源ともなっており、極めて重要な存在である。そのため、電気自動車においては常に電池残量に注意を払う必要があり、今後の走行予定を考慮して、常に電池残量を確認していなければならない。
【0004】
このような電気自動車の電池に対する充電は、ガソリンスタンドと同様の充電スタンドで行うことは多いものの、一般家庭でこの電気自動車を使うときには、家庭用電源に接続する充電器を利用することが、コスト及び電池残量管理、更には充電待ち時間の有効活用等の面から一般的な使用形態となるものと考えられている。
【0005】
電気自動車の電池残量の管理に際しては、一般家庭で使用するときには家に帰ってきたときいつも充電器に接続しておくことも考えられるが、電池は使用していないときでも自然放電があり、満充電にするための充電が少しずつ頻繁継続することとなり、好ましくない。また、1回の充電で160km程度走行できる場合は、一般家庭で通勤、或いは日常の買い物程度に使用するときには10km〜20km程度の場所を往復するくらいであり、必ずしも毎日充電する必要もない。
【0006】
そのため、ある程度の余裕をみながら、そろそろ充電しておいた方が良い、と判断されるときに充電をしておくことが通常の使用形態となる。したがって、利用者が常日頃、今後の車両の使用予定を考慮して電池残量を日常的にチェックし、各人の判断で充電を行うこととなる。
【0007】
その際の電池残量のチェックは、車両の車内機器用の電源をオンにして、車両のメーターに表示される電池残量計を確認することとなるが、電池残量計の多くのものは満充電量に対して例えば60%等の割合の表示を行い、また現在の電池で走行できる単位電力あたりの標準走行距離によって、これからの走行予定距離等を考慮して、家での充電、走行途中での充電等を検討する。
【0008】
このような電気自動車の電池残量管理は、その車両にナビゲーション装置を搭載している場合には。ナビゲーション用の画面に電池残量を表示することが考えられている。その際には例えば図11(a)に示すように、ナビゲーションの地図画面等の片隅に、「走行電池残量」の表示部分を設け、現在の電池残量の満充電に対する割合を例えば「27%」のようにグラフ化して表示し、その電池残量で走行できる距離を例えば「43km」のように表示することが考えられる。
【0009】
このような表示により、各種のメーターの中であまり目立たない電池残量のメーター表示が、ナビゲーション画面に表示されることにより、電気自動車にとって極めて重要な電池残量の確認が容易となる。しかしながら前記のように電池残量の割合や走行可能距離数だけでは、現在の電池残量で実際にどの程度走行できるのかを把握することは困難である。そのため、例えば図11(b)に示すように、電池残量の確認用画面において、現在の電池残量で走行できる範囲、特に往復走行できる範囲を、「現在の往復可能範囲」として表示することが考えられている。
【0010】
なお、現在の電池残量で走行できる範囲を地図上に表示するに際して、走行可能な範囲を示す境界線が現在表示している地図の外側までに広がっているとき、地図表示外の境界に関連する各種の情報をその画面内に表示するようにした技術は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−169423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のように、電気自動車にとって極めて重要な電池残量の管理に際して、従来の技術では多くの場合、現在の電池残量の満充電時に対する割合や、現在の電池残量で走行可能な距離、その距離を地図上に示すこと、更には現在の電池残量で往復可能な距離、その距離を地図上に示すこと等が提案されているが、前記のようにこの電気自動車が一般家庭で通勤や買い物等で日常的に使用する場合、このような表示では、日常的な走行で、実際にどの程度走行できるかは容易に把握することができない。
【0013】
即ち、従来の技術ではこれからいつもの買い物に行こうとしたとき、途中で電池切れにならないかを直ちに把握できず、行き先を指定して往復の距離数を確認し、現在の電池残量で走行可能な距離と比較して、電池切れにならないか、或いはどの程度余裕があるかを確認する必要がある。
【0014】
このように、従来の技術ではこの電気自動車特有の使用形態を考慮していない。即ち頻繁に充電する必要があるものの、使用していないときに常に充電しておくことは必ずしも好ましくなく、しかも多くの場合は遠距離走行用として用いずに、主として日常的に通勤や、ほとんど決まった場所への買い物等のために用いる、という電気自動車の使用形態にはわかりやすい情報が提供されていない。
【0015】
したがって本発明は、電気自動車の前記のような使用形態を考慮し、利用者にとってわかりやすい電池残量の表示、及び特定の場所に走行するときの、現在の電池残量で走行する際の電池残量の余裕の程度等を、利用者が直感的に、容易に理解できるように表示することができるようにした電気自動車電池残量案内表示装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る電気自動車電池残量案内表示装置は、前記課題を解決するため、走行先としての施設または走行ルートを表示する走行先選定用リスト表示手段と、電気自動車の走行用の電池残量を検出する電気自動車走行用電池残量検出手段と、前記走行先選定用リスト表示手段で表示する走行先としての施設または走行ルートについて、前記電気自動車走行用電池残量検出手段で検出した現在の電池残量で、前記表示する走行先が施設であるときには現在地から当該施設に往復できる回数を表示し、前記走行先が走行ルートであるときには当該走行ルートを走行できる回数を表示する電気自動車走行用電池残量表示処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、前記走行先選定用リスト表示手段で表示する走行先としての施設または走行ルートについて、前記表示する施設または走行ルートが複数ある時には、前記現在地から当該施設に往復できる回数順、または走行ルートを走行できる回数順に表示することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、走行履歴データを蓄積する走行履歴データ蓄積手段と、前記走行履歴データ蓄積手段で蓄積したデータにより、現在地から周囲の施設への走行回数、または走行ルート毎の走行回数を取得する行動パターン取得手段とを備え、前記走行先選定用リスト表示手段では、前記行動パターン取得手段で取得した前記施設への走行回数順、または走行ルートの走行回数順に表示することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、前記電気自動車走行用電池残量表示処理手段には、前記走行先選定用リスト表示手段で表示する走行先としての施設または走行ルートについて、前記電気自動車走行用電池残量検出手段で検出した現在の電池残量で、前記表示する走行先が施設であるときには現在地から当該施設に往復できる回数を表示し、前記走行先が走行ルートであるときには当該走行ルートを走行できる回数を表示する走行可能回数演算表示手段と、現在の電池残量で片道走行可能な距離、または往復走行可能な距離を表示する走行可能距離表示手段とを備えると共に、前記走行可能回数演算表示手段による表示と、前記走行可能距離表示手段による表示のいずれかの表示形式を選択して表示する電池残量表示形式選択手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、利用者が走行先としての任意の施設、または任意の走行ルートを指定したとき、前記走行先選定用リスト表示手段では、前記指定した施設または走行ルートを表示し、前記表示した走行先が施設であるときには現在地から当該施設に往復できる回数を表示し、前記走行先が走行ルートであるときには当該走行ルートを走行できる回数を表示することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、走行履歴データを蓄積する走行履歴データ蓄積手段と、前記走行履歴データ蓄積手段で蓄積したデータにより、近日中に走行する予定を検出する近日中走行予定検出手段とを備え、前記電気自動車走行用電池残量表示処理手段では、前記近日中走行予定検出手段で検出した近日中に走行する予定の走行路を、現在の電池残量で何回走行できるかを表示することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、走行履歴データを蓄積する走行履歴データ蓄積手段と、前記走行履歴データ蓄積手段で蓄積したデータにより、現在地から周囲の施設への走行回数、または走行ルート毎の走行回数を取得する行動パターン取得手段とを備え、前記走行先選択用リスト表示手段では、全ジャンルの中から、または指定したジャンルの中から、走行回数の多い順または現在の電池残量で走行回数の多い順に、走行先としての施設または走行ルートを表示することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、前記走行先選択用リスト表示手段では、車両の電源スイッチをオンしたときには、全ジャンルの中から走行回数の多い順に施設をリスト表示することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る他の電気自動車電池残量案内表示装置は、前記電気自動車電池残量案内表示装置において、前記電気自動車走行用電池残量表示処理手段で現在の電池残量では走行先の施設には1回も往復できず、または走行ルートを1回も走行できないことを検出ときには、その旨の警告出力を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上記のように構成したので、電気自動車の使用形態を考慮し、現在の電池残量、及び特定の場所に走行するときの、現在の電池残量で走行する際の電池残量の余裕の程度等を、利用者が直感的に、容易に理解できるように表示することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の機能ブロック図である。
【図2】同実施例における電気自動車電池残量走行可能回数表示処理を行う作動フロー図である。
【図3】図2に続く作動フロー図である。
【図4】図3に続く作動フロー図である。
【図5】図4における行動パターンデータ蓄積処理を行う作動フロー図である。
【図6】図2のステップS11以降に行う作動フロー図である。
【図7】本発明の実施例の表示例を示す図である。
【図8】他の表示例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例の作動を示す図である。
【図10】本発明の更に他の実施例の表示処理例を示す図である。
【図11】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0027】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明における電気自動車電池残量案内表示装置の実施例の機能ブロック図であり、本発明を各種の態様で実施することができるようにした機能ブロック図を示している。なお、同図において、各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。
【0028】
図1に示す実施例においては、電気自動車の走行用電池の現在の残量を検出するため、電気自動車走行用電池残量検出部1を備えている。これは従来のガソリン自動車等の燃料表示と同様に、電気自動車では走行用モータに電力を供給するため大型のバッテリを備えており、従来よりこのバッテリの残存電力量、即ち電池残量を検出してフロントパネルの各種メーターと共に表示しているので、その検出信号を取り込むことによって現在の電池残量を検出し、取り込むことができる。
【0029】
電気自動車走行用電池残量表示処理部2では、前記のように電気自動車走行用電池残量検出部1で取り込んだ現在の電池残量を表示するための処理を行う。電池残量表示形式選択部3では、その表示に際して、走行可能回数演算表示部4と、走行可能距離表示部7のいずれかを選択するようにしている。その選択に際しては、予め初期設定しているときには原則としてその設定のとおりに選択して表示するが、途中で利用者の選択によって表示形式を切り替えることができるようにしている。
【0030】
走行可能回数演算表示部4では、後述するように、走行先選定用リスト表示部17において、特定の走行先や特定の走行ルートについて走行先を選択して表示する際に、それらの走行先について、現在の電池残量では何回走行できるかを演算して表示する。その中の特定施設往復走行回数5の表示に際しては、走行先選定用リスト表示部17の特定施設選定用リスト表示部18で特定の施設を選定するリストを表示するとき、その特定施設について、現在地からその特定施設に往復すると仮定すると、何回往復できるかを表示する。
【0031】
また、特定ルート走行回数6を表示する際には、走行先選定用リスト表示部17の特定ルート選定用リスト表示部25で、特定のルートを選定するリストを表示するとき、それらの走行ルートについて、現在の電池残量で何回走行できるか演算して表示する。したがって、走行可能回数演算表示部4では、前記のように走行先選定用リスト表示部17において、特定施設選定用リスト表示部18でリスト表示処理を行ったときには、特定施設往復走行回数5の表示を行い、特定ルート選定用リスト表示部25でリスト表示処理を行ったときには、特定ルート走行回数6の表示を行う。
【0032】
走行可能距離表示部7においては、前記図11に示すような従来から行われている、或いは提案されている電池残量の表示を行うものであり、その中の片道走行可能距離8では、現在の電池残量で平均的に走行可能な距離の表示を行う。また、往復走行可能距離9では、現在の電池残量で平均的に走行するとき、往復できる距離を表示する。その際には図11に示すように適宜走行可能な距離範囲を示す地図上への表示等、従来から提案されている各種の表示を行うことができる。
【0033】
本発明においては前記のように、特に走行可能回数演算表示部4を備え、例えば電気自動車の主電源を入れたとき、モニタ16に示すような画面を表示する。図示の例においては、走行選択用リスト表示部17の特定施設選定用リスト表示部18で、この車両が現在自宅に存在する時、日頃最も走行する施設として「マルキYM店」と、その次によく行く施設として「エビリア」をリスト表示し、その施設に現在の電池残量で何回行けるのかをそれぞれ表示した例を示している。
【0034】
それにより、利用者がこの表示を見て、現在の電池残量を、常日頃行っている施設をイメージし、そこに例えば22回行ける、のような走行の感覚で電池残量を理解することができ、従来の片道走行可能距離や往復走行可能距離のような、感覚では理解しにくい表示を行わないようにすることができる。但し、各人の趣味によって、或いは従来の表示に慣れている人の場合は、電池残量表示形式選択部3で、走行可能距離表示部7を選択することができるようにしている。
【0035】
行動パターン取得部10においては、車両が備えている走行履歴データ蓄積部14で、日常の走行時に、例えば図9(d)に示すような各種の項目の走行データを記録しておき、このデータを検索することにより各種の処理を行う。その中の施設毎走行回数算出部11では、蓄積している施設についてのデータを用い、それぞれの走行回数を算出する。その算出結果により、後述する走行先選定用リスト表示部17における特定施設選定用リスト表示部18の表示順序選択部21において、特に特定施設往復走行履歴回数順22でリスト表示を行うためのデータとして用いる。
【0036】
また、走行ルート毎走行回数算出部12では、蓄積している走行ルートに関するデータを用い、各走行ルートについて走行回数を算出する。その算出結果により、走行先選定用リスト表示部17における特定ルート選定用リスト表示部25の表示順序選択26において、特に走行履歴回数順27でリスト表示するときに用いる。
【0037】
行動パターン取得部10の近日中走行予定検出部13では、走行履歴データ蓄積部14の行動パターンのデータにより、後述するように、例えば図9(a)に示すような行動パターンを検出する。それにより今後の走行予定に基づいて、明日のために、或いは数日後等の近日中の走行のために、充電の必要があるか、或いはどの程度必要があるか等を知ることができる。
【0038】
また、車両の電源スイッチをオンしたときに、直ちにこれからの行き先として選択する可能性が高い施設を表示し、しかもその施設に現在の電池残量で何回往復できるかの表示を行うこともできる。それにより、特別の操作を行うことなく、現在の電池残量を感覚的に知ることができ、途中での充電の必要性を含めて、これからの走行予定を直ちにたてることが可能となる。
【0039】
走行履歴データ蓄積部14においては、前記のように図9(d)に示すような種々の走行履歴データを、日常の走行時に常に収集して記録しておくものであり、そのデータにより前記のように行動パターン取得部10で種々の行動パターンに関するデータを利用することができるようにしている。
【0040】
現在位置取込部15では、ナビゲーション装置等が備えているGPS受信データや、車速パルス及びジャイロを用いた自立航法等によって現在位置を取得するものであり、この現在位置の取得によって、車両がこれから走行しようとする施設の予測や、走行ルートの予測を行い、更には現在の位置の周囲の施設の検索と走行する施設の選択等のために用いる。
【0041】
モニタ16はナビゲーション装置のディスプレイを用いることが、地図表示等のために好ましいが、必ずしもナビゲーション装置は必要なく、例えば車両のヘッドユニットのディスプレイ部分への表示等、種々の機器のディスプレイを用いることができる。特に前記のような電池残量を出力する機器と、携帯情報端末等とがブルートゥース等の通信手段で接続できるときには、そのデータを携帯機器側に出力して、所定の表示を行うようにすることもできる。その際には本発明の電気自動車電池残量案内表示装置は、それらの機器のシステムとして用いることとなる。
【0042】
走行先選定用リスト表示部17においては、車両の主電源をオンしたとき直ちに表示処理を行い、或いは走行先の施設を選択するためのリスト表示に際して、更には利用者の指定による行き先表示を含めて、種々のリスト表示を行う。その中には、特定の施設を選択するための特定施設選定用リスト表示部18と、特定の走行ルートを選定するための特定ルート選定用リスト表示部25とを備えている。
【0043】
特定施設選定用リスト表示部18においては、走行先として特定の施設を選定するためのリストを表示するものであり、その中の全ジャンル内選定用19のリスト表示部では、例えば車両の主電源をオンしたとき、前記走行履歴データ蓄積部14に蓄積している施設データのうち、現在地から走行した全ジャンルの施設を検索して、走行回数順等の各種順序で表示する。
【0044】
また、ジャンル別選定用20のリスト表示部では、例えば図7(a)に示すような、近くの施設検索画面表示中におけるジャンル選択画面において、「マーケット」を選定する、等のジャンル別選択を行い、同図(c)に示すようなリスト表示を行う。図示の例では各施設について、地図画面の各施設の対応する位置に目印を付け、リスト表示部分と対応表示を行った例を示している。
【0045】
表示順序選択部21では、全ジャンル内選定用19のリスト表示においても、ジャンル別選定用20のリスト表示に際しても、そのリスト表示をどのような順序で表示するかの選択を行う。その中の特定施設走行履歴回数順22を選択したときには、前記のように走行履歴データ蓄積部14のデータを用い、各特定施設について、今までの走行回数が多い順に表示を行う。
【0046】
それに対して特定施設往復走行可能回数順23の表示順序選択を行ったときには、各特定施設について、現在の電池残量で走行可能な回数順で表示を行うものであるが、これは現在地からの距離の順序にほぼ等しくなる。但し、本発明においては、車両が走行する距離を、前記のようにこの車両の現在の電池残量による走行回数で表示することにより走行コストを考慮した順序にすることができる。また、各施設の距離、及び現在の電池残量自体を感覚的に理解できるようにするため、前記のように各特定施設について、現在の電池残量で種々の距離を表示することとしている。
【0047】
なお、特定施設往復走行可能回数順23にリストを並べるときには、前記電気自動車走行用電池残量表示処理部2における走行可能回数演算表示部4の、特に特定施設往復走行回数5の演算結果を利用する。
【0048】
特定施設選定用リスト表示部18における任意指定施設24では、前記特定施設選定のためにリスト表示して、その中から任意の施設を選定する以外に、利用者が施設を直接入力して指定することもできるようにしている。
【0049】
特定ルート選定用リスト表示部25では、これから走行しようとする走行先を、前記のような特定の施設に絞って決める以外に、複数の施設を選択して、必要に応じて更に走行順序を指定して、これからの走行先を決めようとするとき、この特定ルート選定用リスト表示部26でリスト表示する。ここでは、走行履歴データ蓄積部14に蓄積している走行履歴データを用い、例えば勤務先の会社等から家に帰るときに、特定の施設を通ってから帰宅することが多いことを検出したとき、しかもその施設は時々変わるような場合には、それらの走行ルートをリスト表示する。
【0050】
その中の表示順序選択部26では、前記リスト表示する順序を選択するものであり、その中の走行履歴回数順27では走行回数が多い順に表示し、走行可能回数順28では、現在の電池残量でそのルートを何回走行できるかの順序で表示を行う。
【0051】
走行可能回数順28のリスト表示は、前記特定施設往復走行可能回数順23と同様の趣旨により、多くの場合は走行必要距離順であるが、各ルートの走行コストを考慮し、また本発明の前記趣旨により、電池残量もわかりやすく表示するため、この画面表示に際しても上記のように表示する。なお、特定施設往復走行可能回数順23にリストを並べるときには、前記電気自動車走行中電池残量表示処理部2における走行可能回数演算表示部4の、特に特定ルート走行回数6の演算結果を利用する。
【0052】
任意指定ルート29では、特定ルート選定用リスト表示部25の表示に際して、走行履歴データを用いたリスト表示を行う以外に、前記任意指定施設24と同様に、利用者が任意のルートを指定するために備えている。したがって、ここでは利用者が任意の位置の施設を、任意の順序で指定することができる。ここで利用者が任意の施設を任意の順序で走行する指定を行ったときには、推奨ルート30の機能によって、指定した施設を経由地として、最も距離が短い、或いは渋滞を考慮して早く走行できるルート等を演算し、推奨ルートが存在するときにはそれを提示する。
【0053】
また、図1には特に電池残量を特定施設への往復走行可能回数や、特定ルートの走行可能回数によって表示する例を示したものであるが、その表示に際して特定の施設には往復できないとき、それを選択しようとする際には走行不能でること、または途中で充電が必要であること等を表示し、更に警告音、或いは警告案内を音声出力することもできる。
【0054】
前記のような機能ブロックからなる本発明の電気自動車電池残量案内表示装置においては、例えば図2、及びその続きのフローである図3に示す作動フローにしたがって順に作動することにより実施することができる。以下にその作動フローに基づき、本発明の作動を順に説明する。
【0055】
図2に示す電気自動車電池残量走行可能回数表示処理の例においては、最初こ電気自動車の電源スイッチをONすることから開始している(ステップS1)。次いでこのような電源スイッチをONにした状態でこの電気自動車の電池残量案内を行う案内形式を初期設定している(ステップS2)。即ち、本発明においては図1の電気自動車走行用電池残量表示処理部2に電池残量表示形式選択部3を備え、走行可能回数演算表示部4における本発明の電池残量による走行可能回数の表示形式と、電池残量での走行可能距離表示部7における従来の表示形式とを選択するようにしているので、ステップS1では予め初期設定を行っている。この初期設定値はその後電源スイッチをOFFしても消えることはない。
【0056】
前記のように電気自動車の電源スイッチをONして初期設定を行った後において、その後改めて電源スイッチをONにした状態を含め、電源をONにしたとき、往復可能回数案内形式を選択しているか否かを判別する(ステップS3)。前記初期設定において往復可能回数案内形式を選択していないと判別したときには、ステップS4に進んで、その後往復可能回数案内形式を選択したか否かを判別し、前記初期設定に関わらず、その後この走行可能回数案内形式を選択したときには、ステップS5に進む。
【0057】
それに対して、ステップS4において、その後も走行可能回数案内形式を選択していないときには、ステップS10に進み、電池残量を従来形式である走行可能距離で表示する。この処理は図1の電気自動車走行用電池残量表示処理部2で、電池残量表示形式選択部3が、走行可能距離表示部7で、片道走行可能距離8、或いは往復走行可能距離9を、前記のような各種手法で表示することにより行う。但し、図2においては、本来電池残量走行可能回数表示を行う処理を示しているため、ステップS10の処理を行っているときには、ステップS4に戻り、その後走行可能回数案内形式を選択するまでこの表示を継続する。
【0058】
ステップS3において走行可能回数案内形式を選択していると判別したときには、前記ステップS4でその後走行可能回数案内形式を選択したときと共にステップS5に進み、現在位置を検出する。その後図2の例では蓄積した走行履歴データを読み込み、現在地から直接行く全ジャンルの施設の内、走行回数順にリスト表示し(ステップS6)、次いでリスト内に現在の電池残量で走行可能な回数を表示する(ステップS7)。
【0059】
即ち、図2の例では、この車両の電源スイッチを入れたとき、予め走行可能回数案内形式を選択しているときには、直ちに利用者が現在位置から最も走行回数の多い施設を、走行回数順に案内することにしている。それにより、利用者が車両の電源を入れると、直ちにいつも行く店等に、現在の電池残量では何回往復できるかの表示がなされ、電池残量を感覚的に知ることができるようにしている。
【0060】
また、各施設について現在の電池残量では走行できないものについては、例えば図8(a)及びその一部拡大図である図8(c)に示すように、「往復走行可能回数の代わりに、「途中充電必要」のような表示を行う。なお、後述する各種作動時において往復走行可能回数、或いは特定の行動パターンについての走行可能回数表示に際しても、現在の電池残量ではそれらの走行ができないときには、前記のような「途中充電必要」の表示を行う。この表示は現在の電池残量に対する警告表示ともなる。
【0061】
その後図2の例では、走行パターンによる電池残量案内を行うか否かを判別している(ステップS8)。即ち、本発明においては図1に示すように、特定施設に対する往復走行回数の表示と、特定のルートを何回走行可能かを表示する処理を行っているため、ここではいずれの処理を行うかの判別をしている。但し、前記ステップS6においては、現在の電池残量を何らの操作も行うことなく直ちに表示するようにしているため、図示の例では特定施設に何回往復できるかの表示を行う初期設定がなされている例を示している。
【0062】
ステップS8において、特に走行パターンによる電池残量案内を行う指示がない場合には、そのまま図3のステップS21に進み、その指示があったときにはステップS11において図6のステップS51に進む。ステップS9で図3のステップS21に進んだときには、そのまま前記特定施設に対する往復走行可能回数の表示を継続した状態で、行き先をジャンルで選択するか否かを判別している。図2の例ではステップS6において、全ジャンルの施設の内、走行回数順にリスト表示を行っているので、そのままでよいときにはステップS21においてステップS25に進む。
【0063】
それに対して、より詳細な行き先の検討をするため、ジャンル毎のリストを表示してもらいたいときにはステップS22に進んで、最寄り検索機能等を用いて、ジャンルの選択指示を行う。この状態は図7(a)に示しており、同図においては、「近くの施設検索」として、「ジャンル選択」の表示を行い、その中の「マーケット」を選択しようとしている状態を示している。これらの表示態様の切替処理は図1の走行先選定用リスト表示部17における特定施設選定用リスト表示部18において、全ジャンル内選定用19を選択するか、ジャンル別選定用20を選択するかによって切り替えている。
【0064】
その後ステップS23において、前記のように指定したジャンルの中で、頻繁に行く施設の順にリスト表示を行う。即ち、図示の例では前記ステップS6で行っているように、複数施設について、走行回数順にリスト表示する初期設定を行っているため、ジャンルを選択した場合においても、走行回数順、即ち頻繁に行く施設の順にリスト表示を行っている。
【0065】
その後、ステップS24に進み、リスト表示した施設について、現在の電池残量で往復走行可能な回数を表示する。図7(c)にはその状態を示しており、同図には同図(a)で前記のように「マーケット」のジャンルを選択してリスト表示した例を示している。
【0066】
図7(c)の中にリスト表示した各施設の案内表示について、例えば同図(b)に拡大して示すように、そのマーケットのアイコンと共に、その店が「マルキYM店」であること、その店は現在地の「自宅」から7kmあり、現在の電池残量では22回走行できることを示している。
【0067】
図3の例ではその後、表示リストを現在地から往復可能回数順に並び替えるか否かを判別している(ステップS25)。即ち図示の例では前記図2のステップS6の説明で述べたように、初期設定が走行回数順にリスト表示しているため、利用者がそのような表示よりも現在地から往復可能回数順に並び替えた方が良いか否かを判別している。
【0068】
ステップS25において現在地から往復可能回数順に並び替えると判別したとき、即ちモニタに表示される表示順設定部分等で利用者がその旨の指示を行ったときにはステップS26に進み、表示リストを現在地から往復可能回数順に並び替える。このような現在地からの往復可能回数順は、前記のように多くの場合現在地からの距離の順となるが、それ以外に走行コスト等を加味した順序となり、単なる距離の順とはなならない場合がある。
【0069】
この表示形式を選択したときには、各施設の現在地からの距離の他、現在の電池残量に対する各施設の位置関係を、現在の電池残量での往復可能回数順で表示し、利用者にとって直感的にわかりやすい電池残量表示と、各施設の現在地からの位置関係を表示することができる。特にこのような往復可能回数による複数の施設の案内表示には、単なる距離の比較以外に、各施設に行くときの道路幅に応じた走行速度制限等により、走行時間等の走行コストも加味され、各施設と現在地との関係をよりわかりやすく表示することができる。
【0070】
その後前記ステップS25で表示リストを現在地から往復可能回数順に並び替えないと判別したときと共にステップS27に進み、利用者が任意の施設を指定するか否かを判別する。この判別は、前記と同様に、画面に表示された「行き先入力」等の表示に対する指示等によって、利用者がその指示を行ったことを検出することによって判別することができる。
【0071】
ステップS27で利用者が任意の施設を指定することを指示したときにはステップS28に進んで、利用者が任意の施設を指定する。この時の指定は、例えば地図上に示された各施設のアイコンに対するタッチ、或いは前記図7(a)に示すような近くの施設検索によって指示することができる。
【0072】
その後前記各処理と同様に、リスト内に現在の電池残量で往復走行可能な回数を表示する。この時のリストは、多くの場合1つの施設のみが表示され、その施設についての往復走行可能回数が表示されることとなる。次いで前記ステップS27において利用者が任意の施設を指定しないと判別したときと共にステップS30に進み、図4のステップS31において車両の走行が開始されるのを待つ。
【0073】
図4のステップS31で車両の走行を開始するときには、ステップS32において、図5に示すような走行履歴データ蓄積処理を行う。走行履歴データの蓄積処理手法としては従来より多様な手法が提案されているが、図5に示す走行履歴データ蓄積処理の例においては、最初に設定目的地及び経由地を記憶している(ステップS41)。
【0074】
その後所定時間毎に走行経路を記憶する(ステップS42)。次いで停車したか否かを判別し(ステップS43)、停車していないときにはステップS42に戻って所定時間毎の走行経路の記録を継続する。それに対して停車したと判別したときには、図示の例ではその停車後例えば10分等の下限所定時間と、3時間等の上限所定時間の間で走行を開始したか否かを判別している。
【0075】
この時の下限所定時間は利用者が例えばコンビニで買い物をする程度の時間に設定するものであり、したがって前記のような10分以外に例えば5分等の任意の時間に設定することができる。同様に上限所定時間は利用者が例えばお習い事等に時間を費やす程度の時間を考慮するものであり、したがって前記のような3時間以外に例えば2時間等の任意の時間に設定することができる。これらの時間は、日常の走行時に、同じ場所でいつも同じ程度の時間がかかっているときには、その時間を学習して記憶し、その時間にある程度の余裕をもって設定しても良い。
【0076】
ステップS44において停車後下限所定時間と上限所定時間内で走行を開始したと判別したときにはステップS49に進み、今回停車したその地点を立ち寄り経由地として記憶する。即ち、前記所定時間は、何らかの目的を持って停車したものであり、しかもホテルに宿泊する等の滞在目的地ではないとみなし、立ち寄り地点としての経由地であると判断してこれを行動パターンデータとして記憶しておく。なおここでは、その停車位置が予め登録した自宅、あるいは会社であるときには立ち寄り地点としては記憶しない。
【0077】
それに対してステップS44で、前記下限所定時間と上限所定時間内で走行を開始したものではないと判別したときにはステップS45に進み、その停車は下限所定時間未満であるか否かを判別する。ここで例えば10分等の下限所定時間未満であると判別したときには、そこでの停車は特別の目的はない一時的な停車であると判別してステップS42に戻り、所定時間毎の走行経路の記憶を継続する。
【0078】
なお、前記のような行動パターンを蓄積している内に、同じ場所に頻繁に停車するときには、その場所は定常的な立ち寄り場所として記憶し、その後その場所では、例えば3分、或いは4時間等の前記下限及び下記のような上限所定時間以外であっても、立ち寄り地点に立ち寄ったものとして記憶しておく。
【0079】
ステップS45において下限所定時間未満ではないと判別したときには、その停車は3時間以上等の上限所定時間以上であるので、その際はステップS46に進み、この地点は一連の走行パターンの最終地点として記憶する。即ちここでは、前記3時間等の所定時間以上の停車は、自宅や会社以外の場所であっても、今回の停車位置を最終目的地として一連の走行履歴を走行パターンとして記憶する。
【0080】
上記のような行動パターンデータ蓄積処理を行うことによって、例えば図9(d)にそのデータ項目の一部の例を示すような種々のデータが蓄積され、更にこれらのデータに基づき行動パターンとしての加工データを作成する等によって、種々のこの車両特有の走行パターン、行動パターンのデータを得ることができる。
【0081】
図4のステップS32で上記のような走行履歴データの蓄積処理を、立ち寄り経由地のデータを含めて車両が走行中は定期的にデータ蓄積を行っており、その後自宅や会社等の、長時間車両が停車する場所であり、特に充電も可能として予め登録してある特定地点に到着したか否かを判別する。ここで自宅や会社等の特定地点に到着していないと判別したときには、ステップS32に戻って前記のようなデータの蓄積を継続する。
【0082】
ステップS33において自宅或いは会社等の、予め登録している長時間停車する場所であって、充電も可能な場所に到着したと判別したときには、ステップS34に進んで、行動パターンデータにより今日これからと近日中に車両使用予定は存在するか否かを判別する。
【0083】
行動する予定については前記図5に示すような走行履歴データ蓄積処理によって、図9(d)に示すような種々のデータを蓄積することにより得られるものであるが、それによって例えば図9(a)のカレンダーに示すような行動パターンを知ることができる。なお、この行動パターンは、ある主婦がほぼ自分用として使用する車両の、走行予定の例として示している。
【0084】
同図に示す行動パターンの例においては、この主婦は土曜日と日曜日は運転しないことを定常とし、月、水、金曜日は買い物をし、火曜日と木曜日は習い事に行くこととした例を示している。このような行動パターンは、前記走行履歴蓄積データによって、その走行目的はわからなくても、毎週同じ場所に同じような時間に走行して、ある程度の時間停車し、自宅に戻ってくることがわかるため、図示のカレンダーに示すような行動パターンのデータを得ることができる。
【0085】
図9(a)に示す例においては、現在13日の水曜日であり、前記行動パターンによって、今日は買い物から帰って今自宅に到着したことを前記図4のステップS33において検出すると、ステップS34において、行動パターンデータにより今日これからと近日中に車両を使用する予定は存在するか否かを判別し、今日はこれから走行予定はなく、明日の14日は木曜日のため走行予定があることがわかる。
【0086】
その場合には図4のステップS34において、近日中に車両を使用する予定はあると判別し、ステップS35に進んで、これから予定されている施設への走行は、現在の電池残量で何回往復できるかを演算する。その演算後はステップS36に進み、現在の電池残量でこれから予定される施設への走行は、往復可能であるか否かを判別する。
【0087】
ステップS36において現在の電池残量でこれから予定される施設への走行が可能であると判別したときには、ステップS39に進んで、例えば図9(b)に表示例(1)として示すように、「明日は木曜日です。現在の電池残量では、いつもの場所への走行は12回できます。」のような表示を行う。 なお、利用者が予め「○○曜日は△△を行う」のような登録を行っているときには、「明日は木曜日です。現在の電池残量では、自宅⇒習い事⇒自宅迄の走行は12回できます。」のような表示を行うことも可能である。
【0088】
また、ステップS36において、現在の電池残量が少なく、木曜日の走行はできないと判別したときにはステップS37に進んで、現在の電池残量では、これからの走行予定に支障をきたすので、充電する必要があることを警告出力する。図9(c)にはその趣旨の警告表示を行った例を示しており、図示の例では「明日は木曜日です。現在の電池残量ではいつもの場所への走行は難しいため、充電してください。」と警告表示して例を示している。
【0089】
この表示に際しても、予めこの曜日には「習い事」に行くことを登録しておくと、「・・・自宅⇒習い事⇒自宅迄の走行は難しいため、・・・」の表示を行うことができる。このような警告表示を行うときには、同時に音声により同様の出力を行うことが、利用者がそのような表示を見過ごすことも考慮して、より好ましい。
【0090】
上記のように車両が自宅等に停車したときには、走行履歴データを用いることにより、今後の走行予定を考慮して、充電の必要性を知らせることができ、通常はいつも自宅で空き時間に充電しているのに対して、突然降車直後に家族がその車両を利用することによって、充電するタイミングが変更し、充電し忘れてしまい、翌日のいつもの走行ができなくなってしまうことをできる限り防ぐことができるようになる。
【0091】
図9に示す例においては、現在の電池残量で19日までの行動パターンの場合は走行可能であり、その後20日と21日はできたら充電した方が良く、更に22日は片道または途中で残量が無くなる見込みであり、25日以降は充電しないと走行不能であることが、前記のようなデータによって知ることができる。
【0092】
ステップS37で前記のような警告出力を行った後は、前記ステップS34において行動パターンデータにより今日これからと近日中に車両使用予定は存在しないと判別したとき、及びステップS38でこれからの走行予定施設への走行可能回数表示を行った後と共にステップS39に進み、図2のステップS2に戻って、この電気自動車における次の電源スイッチのONを待つこととなる。
【0093】
一方図2のステップS8において、走行パターンによる電池残量案内を行うと判別したときには図6のステップS51に進み(ステップS11)、図6に示すような、走行パターンによる電池残量案内を行う。即ち、ステップS7で前記のように特定の施設を行き先として、往復走行する施設を選択するリスト表示を行うのではなく、例えば会社からの帰宅途中に特定の施設等を利用して自宅に戻る、等の走行パターンのリスト表示を行う指示をしたいときには、図6の作動を行うこととなる。その選択に際しては、最初前記図7(c)に示すような表示がなされている状態で、画面中の「走行パターンによる表示に変更」の表示部分を指示することにより、表示態様を変更することができる。
【0094】
図6に示す例においては、最初現在地での行動パターンの内、頻繁に利用する走行パターンの順にリスト表示し、そのリストの中に、現在の電池残量でその走行パターンは何回走行できるかの表示を行う(ステップS51)。この時には頻繁に利用する走行パターンが1つしかない場合は、それのみを表示することは当然であり、ここではこれもリスト表示したものとみなしている。
【0095】
その時の表示に際しては、例えば図8(c)に示すように、この利用者の行動パターンは「自宅⇒会社⇒ルネスポーツ⇒自宅」の行動をとることが多いことを前記行動パターンデータ蓄積処理のデータによって検出することができ、図示の表示例では、この行動パターンのみについて、走行する各施設の位置を地図上に表示し、各施設については前記図7(c)と同様に、各施設に対する現在の電池残量での往復走行可能回数等を表示し、別のリスト表示として、「自宅⇒会社⇒ルネスポーツ⇒自宅」の行動パターンを各施設のアイコンと共に表示し、その行動パターンの走行については、「行程22km、5回走行可能」と表示した例を示している。
【0096】
ステップS52においてリスト表示した行動パターン以外の場所には行かないと判別したときにはステップS61に進み、リスト表示した行動パターの内、任意のものを指定する。この時には行動パターンが前記のように1つのみしかないときには、その行動パターン表示部分を指示することによってこれを確認指定することができる。
【0097】
また、ステップS52で利用者が前記のように図示されたいつもの行動パターンを今日は行わず、特定の場所に行こうとは思った場合は、ステップS53に進んで、走行予定地点を順に指定する。この時には例えば図8(c)に示すように、「他の行動パターンを指定」の表示部分を指示することによってこの作動モードとなり、走行予定地点を順に指定する入力操作を行う。
【0098】
その後、指定した行動パターンは現在の電池残量で何回走行できるかを表示する(ステップS54)。次いで図6に示す例においては、渋滞や距離優先等を考慮した推奨経路が存在するか否かを判別する(ステップS55)。この処理は、ステップS53で利用者が走行予定地点を順に指定したとき、ナビゲーション装置によって指定した施設を全て通って、例えば会社から自宅に戻る経路を演算し、その中で最も走行コストが小さい、或いは走行時間が少ない経路は存在したときにはこれを表示するか否かを判別することによって行うことができる。
【0099】
ステップS55で渋滞や距離優先を考慮した推奨経路が存在することがわかったときには、ステップS56に進み、その推奨経路を現在の電池残量で走行可能な回数と共に表示する。この状態は図10(a)に示しており、図示の例では通勤で自宅を出るときに、画面に最初に表示された、自宅からよく行く施設のリスト表示画面で、直接施設を複数設定して走行ルートを設定する画面表示にし、図中(1)〜(5)の順に走行する指示を行ったときに、推奨ルートが提示された状態を示している。
【0100】
即ち図10に示す例においては、自宅を出るとき、今日はいつものルートとは違って、会社の帰りに「ヨウーキドー」と「エビリア」に寄って帰りたいと思ったとき、(1)自宅、(2)会社、(3)ヨーキドー、(4)マルキYM店、(5)自宅の順で指示したときの例を示している。
【0101】
ここで同図の例においては、ナビゲーション装置が改めて指定されたルートについて検討した結果、自宅から会社へのルートは変更することなく、「ヨーキドー」と「マルキYM店」の道路上の位置関係から、「ヨーキドー」を通ってから「マルキYM店」に行き自宅に戻るとその行程は26kmであり、現在の電池残量では6回往復できるのに対して、「マルキYM店」に寄ってから「ヨーキドー」に行って帰宅するとその行程は22kmであり、現在の電池残量では7回走行できることがわかったことを表示した例を、同図(a)には画面表示例を示し、同図(b)にはその説明図を示している。
【0102】
図5の例においては上記のようにステップS55で、渋滞や距離優先等を考慮した推奨経路が存在すると判別した後、ステップS56でこれを図10に示すように走行可能回数と共に表示した後、ステップS57で利用者が推奨経路を選択したか否かを判別する。ここで利用者が、例えば画面中の推奨ルートの表示部分を指示する等によってこれを選択すると、ステップS59に進んで、決定した経路は現在の電池残量で走行可能か否かを判別し、走行可能ではないときには電池残量が不足するので途中で充電が必要なことを警告出力する。この時の警告出力においても、前記のように画面に表示する以外に警告音、或いは警告音声で出力することが好ましい。
【0103】
ステップS57において利用者が推奨経路を選択しなかったと判別したとき、即ち図10(a)の画面で利用者が指定したルートの案内画面部分を指示したときには、前記ステップS55で渋滞や距離優先等を考慮した推奨経路が存在しなかったと判別したときと共にステップS62に進み、走行履歴と同じ経路を決定することとなる。その後は前記ステップS52でリスト表示した行動パターン以外の場所に行かないと判別し、ステップS61でリスト表示した行動パターンの内、任意のものを指定した後と共にステップS59に進み、前記のような電池残量による警告出力のチェックを行う。その後はステップS63において図4のステップS31に進み、車両走行後の前記各種の作動を前記のように行う。
【0104】
本発明においては前記のように種々の態様で実施することができるものであるが、更に例えば走行途中、或いは近辺に充電スタンドが存在するときにはその充電スタンドでの充電を考慮した走行ルートを、現在の電池残量による走行可能回数と共に表示する等、更に種々の態様で実施することができる。
【0105】
また、本発明の電気自動車電池残量案内表示装置においては、ナビゲーション装置に適用すると、前記のような種々の態様を直接実施することができるものであるが、本発明の基本的な技術部分は例えば車両のヘッドユニットに組み込んで、表示部分に各種表示を行うことによっても実施することができ、また、携帯機器と通信を行うことにより、携帯機器の地図表示機能等の各種機能を用いつつ、そのディスプレイ部分に各種表示を行うようにする等、システムとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0106】
1 電気自動車走行用電池残量検出部
2 電気自動車走行用電池残量表示処理部
3 電池残量表示形式選択部
4 走行可能回数演算表示部
5 特定施設往復走行回数
6 特定ルート走行回数
7 走行可能距離表示部
8 片道走行可能距離
9 往復走行可能距離
10 行動パターン取得部
11 施設毎走行回数算出部
12 走行ルート毎走行回数算出部
13 近日中走行予定検出部
14 走行履歴データ蓄積部
15 現在位置取込部
16 モニタ
17 走行先選定用リスト表示部
18 特定施設選定用リスト表示部
19 全ジャンル内選定用
20 ジャンル別選定用
21 表示順序選択部
22 特定施設往復走行履歴回数順
23 特定施設往復走行可能回数順
24 任意指定施設
25 特定ルート選定用リスト表示部
26 表示順序選択部
27 走行履歴回数順
28 走行可能回数順
29 任意指定ルート
30 推奨ルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行先としての施設または走行ルートを表示する走行先選定用リスト表示手段と、
電気自動車の走行用の電池残量を検出する電気自動車走行用電池残量検出手段と、
前記走行先選定用リスト表示手段で表示する走行先としての施設または走行ルートについて、前記電気自動車走行用電池残量検出手段で検出した現在の電池残量で、前記表示する走行先が施設であるときには現在地から当該施設に往復できる回数を表示し、前記走行先が走行ルートであるときには当該走行ルートを走行できる回数を表示する電気自動車走行用電池残量表示処理手段とを備えたことを特徴とする電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項2】
前記走行先選定用リスト表示手段で表示する走行先としての施設または走行ルートについて、前記表示する施設または走行ルートが複数ある時には、前記現在地から当該施設に往復できる回数順、または走行ルートを走行できる回数順に表示することを特徴とする請求項1記載の電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項3】
走行履歴データを蓄積する走行履歴データ蓄積手段と、
前記走行履歴データ蓄積手段で蓄積したデータにより、現在地から周囲の施設への走行回数、または走行ルート毎の走行回数を取得する行動パターン取得手段とを備え、
前記走行先選定用リスト表示手段では、前記行動パターン取得手段で取得した前記施設への走行回数順、または走行ルートの走行回数順に表示することを特徴とする請求項1記載の電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項4】
前記電気自走車走行用電池残量表示処理手段には、前記走行先選定用リスト表示手段で表示する走行先としての施設または走行ルートについて、前記電気自動車走行用電池残量検出手段で検出した現在の電池残量で、前記表示する走行先が施設であるときには現在地から当該施設に往復できる回数を表示し、前記走行先が走行ルートであるときには当該走行ルートを走行できる回数を表示する走行可能回数演算表示手段と、
現在の電池残量で片道走行可能な距離、または往復走行可能な距離を表示する走行可能距離表示手段とを備えると共に、
前記走行可能回数演算表示手段による表示と、前記走行可能距離表示手段による表示のいずれかの表示形式を選択して表示する電池残量表示形式選択手段を備えた請求項1記載の電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項5】
利用者が走行先としての任意の施設、または任意の走行ルートを指定したとき、前記走行先選定用リスト表示手段では、前記指定した施設または走行ルートを表示し、前記表示した走行先が施設であるときには現在地から当該施設に往復できる回数を表示し、前記走行先が走行ルートであるときには当該走行ルートを走行できる回数を表示することを特徴とする請求項1記載の電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項6】
走行履歴データを蓄積する走行履歴データ蓄積手段と、
前記走行履歴データ蓄積手段で蓄積したデータにより、近日中に走行する予定を検出する近日中走行予定検出手段とを備え、
前記電気自動車走行用電池残量表示処理手段では、前記近日中走行予定検出手段で検出した近日中に走行する予定の走行路を、現在の電池残量で何回走行できるかを表示することを特徴とする請求項1記載の電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項7】
走行履歴データを蓄積する走行履歴データ蓄積手段と、
前記走行履歴データ蓄積手段で蓄積したデータにより、現在地から周囲の施設への走行回数、または走行ルート毎の走行回数を取得する行動パターン取得手段とを備え、
前記走行先選択用リスト表示手段では、全ジャンルの中から、または指定したジャンルの中から、走行回数の多い順または現在の電池残量で走行回数の多い順に、走行先としての施設または走行ルートを表示することを特徴とする請求項1記載の電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項8】
前記走行先選択用リスト表示手段では、車両の電源スイッチをオンしたときには、全ジャンルの中から走行回数の多い順に施設をリスト表示することを特徴とする請求項7記載の電気自動車電池残量案内表示装置。
【請求項9】
前記電気自動車走行用電池残量表示処理手段で現在の電池残量では走行先の施設には1回も往復できず、または走行ルートを1回も走行できないことを検出ときには、その旨の警告出力を行うことを特徴とする請求項1記載の電気自動車電池残量案内表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−167933(P2012−167933A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26615(P2011−26615)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】