説明

電気駆動機械の監視装置

【課題】センサ部23の設置に対する制限が少なく、センサ部23を容易に設置できる監視装置21を提供する。
【解決手段】センサ部23をモータの外部に配置する。センサ部23には、モータの稼働時に発生する磁束を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子35を設ける。センサ部23から出力する電気信号に基づいてモータの稼働を判定する回転判定部43を設ける。回転判定部43の判定に基づいてモータの起動回数や稼働時間を積算する積算部44を設ける。積算部44で積算された稼働時間を表示する表示部27を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動機械の起動回数を積算表示する電気駆動機械の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、コンベヤでは、モータの稼働でローラやベルトを回転駆動して搬送物を搬送しているが、そのモータの起動回数を把握することにより、ベルトなどの寿命、コンベヤのメンテナンス時期やトラブル発生時期などを把握することが可能になる。
【0003】
モータの起動回数を把握するためには、モータに対する電圧の印加を直接検知して起動回数として積算する電圧検知方法、モータを稼働させる開閉機器の接点の開閉信号を入力して起動回数として積算する接点開閉検知方法(例えば、特許文献1参照。)、モータに駆動電流を流す電線の周囲を挟み込むように電流センサを装着し、モータに対する電流の通電を検知して起動回数として積算する電流通電検知方法などがある(例えば、特許文献2参照。)。そして、これらの検知方式を用いてモータの起動回数を積算表示する監視装置がある。
【特許文献1】特開2004−15874号公報(第4頁、図2)
【特許文献2】特開2002−365311号公報(第4頁、図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電圧検知方式や設定開閉検知方式を用いた監視装置の場合、モータの電気回路に対する配線が必要となり、配線には専門知識が必要で、配線場所が制限されたり、絶縁処理が必要となるなど、容易に設置できない問題がある。
【0005】
また、電流通電検知方法を用いた監視装置の場合、電流センサの解析範囲が限定されるため、電流値によって電流センサや装置本体を換える必要があり、さらに、電流センサのサイズも限定されるため、電流センサを装着する電線の径によっては正常に装着できないなど、設置に制限を受けることがある問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、センサ部の設置に対する制限が少なく、センサ部を容易に設置できる電気駆動機械の監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の電気駆動機械の監視装置は、電気駆動機械の外部に配置され、電気駆動機械の稼働時に発生する磁束を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子を有するセンサ部と、このセンサ部から出力される電気信号に基づいて電気駆動機械の稼働を判定する稼働判定部と、この稼働判定部の判定に基づいて電気駆動機械の起動回数を積算する積算部と、この積算部で積算された起動回数を表示する表示部とを具備しているものである。
【0008】
請求項2記載の電気駆動機械の監視装置は、電気駆動機械の外部に配置され、電気駆動機械の稼働時に発生する磁束を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子を有するセンサ部と、このセンサ部から出力される電気信号に基づいて電気駆動機械の稼働を判定する稼働判定部と、この稼働判定部の判定に基づいて電気駆動機械の起動回数および稼働時間を積算する積算部と、この積算部で積算された起動回数および稼働時間を表示する表示部とを具備しているものである。
【0009】
請求項3記載の電気駆動機械の監視装置は、請求項1または2記載の電気駆動機械の監視装置において、センサ部は、電気駆動機械の外部にセンサ部を結束する結束手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の電気駆動機械の監視装置によれば、電気駆動機械の稼働時に発生する磁束を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子を有するセンサ部を用い、このセンサ部を電気駆動機械の外部に配置するだけで、電気駆動機械の起動回数を積算表示できるため、センサ部の設置に対する制限が少なく、センサ部を容易に設置できる。
【0011】
請求項2記載の電気駆動機械の監視装置によれば、電気駆動機械の稼働時に発生する磁束を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子を有するセンサ部を用い、このセンサ部を電気駆動機械の外部に配置するだけで、電気駆動機械の起動回数および稼働時間を積算表示できるため、センサ部の設置に対する制限が少なく、センサ部を容易に設置できる。
【0012】
請求項3記載の電気駆動機械の監視装置によれば、請求項1または2記載の電気駆動機械の監視装置の効果に加えて、センサ部の結束手段によって、このセンサ部を電気駆動機械の外部に容易に設置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図4に示すように、電気駆動機械であって回転電気機械であるモータ11は、固定子12およびこの固定子12内に回転可能に配置された回転子13を有し、固定子12の有する固定子巻線に通電することにより回転子13が回転する。図4には、モータ11の稼働時にモータ11に発生する磁束14の瞬時状態を示している。
【0015】
図2に示すように、監視装置21は、装置本体22、モータ11の外部でそのモータ11の稼働時に発生する磁束(漏洩磁束)14を検出可能とする位置に装着されるセンサ部23、これら装置本体22とセンサ部23とを接続するセンサコード24を備えている。
【0016】
装置本体22は、本体ケース26を有し、この本体ケース26の前面には、起動回数や稼働時間をデジタル表示する例えば液晶表示器などの表示部27が設けられ、表示部27のオンや表示部27での表示内容を切り換えるスイッチ28が設けられている。表示部27は一定時間表示後に自動的にオフする機能を有している。
【0017】
本体ケース26内には、センサ部23の出力に基づいて起動回数や稼働時間を表示部27に積算表示させる制御部29、およびこの制御部29や表示部27などに電源を供給する電池30などが収容されている。電池30には、モータ11の寿命を十分にカバーできる寿命と容量を有するものが用いられる。
【0018】
本体ケース26の上部には、装置本体22を引っ掛け設置するための引掛孔31を有するフック部32が突設されている。
【0019】
また、図3に示すように、センサ部23は、例えば樹脂製のセンサケース34を有し、このセンサケース34内にはモータ11の稼働時に発生する磁束14を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子35が収容されている。センサケース34にはこのセンサケース34の両側に貫通して結束バンド取付孔36が形成され、この結束バンド取付孔36に結束手段としての結束バンド37が貫通して着脱可能に取り付けられている。結束バンド37は、汎用品であり、バンド部38を有し、このバンド部38の一端には差込部39が形成され、他端には差込部39が差し込まれる差込孔40aを有しこの差込孔40aに差し込まれた差込部39を差込位置で係止する係止部40が設けられている。
【0020】
図1に監視装置のブロック図を示し、センサ部23の磁気電気変換素子35から出力される電気信号は制御部29に入力される。制御部29では、磁気電気変換素子35から入力される電気信号をアンプ波形整形部42で増幅するとともに波形整形し、この信号に基づいて稼働判定部としての回転判定部43でモータ11が回転しているか否かを判定し、モータ11が起動したときの起動回数やモータ11が回転している間の稼働時間を積算部44で積算する。制御部29の積算部44で積算した起動回数や稼働時間を表示部27で表示する。
【0021】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0022】
監視装置21を例えばコンベヤに適用する場合、センサ部23をコンベヤのモータ11の外部で磁束(漏洩磁束)14を検出可能とする位置に装着し、装置本体22をコンベヤのフレームの外側面など装置本体22の表示部27が見えやすくスイッチ28が操作しやすい場所に装着する。
【0023】
センサ部23をコンベヤのモータ11に装着する場合には、センサ部23をモータ11の外周面に接触配置し、結束バンド37のバンド部38をモータ11の外周面に巻き付けながら、結束バンド37の差込部39を係止部40に差し込み、結束バンド37でモータ11の外周面を締め付けて係止させる。このとき、結束バンド37の長さがモータ11の外径に合わない場合には、モータ11の外径に対応した長さの結束バンド37に交換することができる。
【0024】
そして、コンベヤの稼働時に、モータ11に通電することにより、固定子12に対して回転子13が回転し、コンベヤで搬送物を搬送する駆動力を発生する。
【0025】
図4に示すように、モータ11への通電により、モータ11には固定子12および回転子13を貫通する磁束14が発生し、この磁束14が回転子13の回転とともに回転子13を中心として回転する。
【0026】
回転子13の回転とともに回転する磁束14が磁気電気変換素子35に作用し、この磁気電気変換素子35には図5に示すように正弦波の電気信号が誘起され、この電気信号を装置本体22の制御部29に出力する。
【0027】
装置本体22の制御部29では、磁気電気変換素子35から入力される電気信号をアンプ波形整形部42で増幅するとともに波形整形し、この信号に基づいて回転判定部43でモータ11が回転しているか否かを判定し、モータ11の起動回数およびモータ11が回転している間の稼働時間を積算部44で積算する。そして、制御部29の積算部44で積算した稼働時間を表示部27で表示する。
【0028】
そして、監視装置21によってモータ11の稼働時間を把握できるため、コンベヤの起動回数や稼働時間を把握し、コンベヤのメンテナンス時期やトラブル発生時期などを把握することが可能になる。
【0029】
このように、監視装置21では、モータ11の稼働時に発生する磁束14を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子35を有するセンサ部23を用い、このセンサ部23をモータ11の外部に配置するだけで、モータ11の起動回数や稼働時間を積算表示できるため、センサ部23の設置に対する制限が少なく、センサ部23を容易に設置できる。すなわち、従来の電圧検知方式や接点開閉検知方式のように、モータ11の電気回路に対する配線の必要がないため、専門知識が不要で、配線場所の制限や、絶縁処理の必要がなくなり、また、電流通電検知方法のように、モータ11の容量によって電流センサや装置本体などを換えるような必要がなく、電線の径によって電流センサの装着に制限を受けるようなことがなく、したがって、監視装置21では、センサ部23の設置に対する制限が少なく、センサ部23を容易に設置できる。
【0030】
また、結束バンド37を用いているため、センサ部23をモータ11に対して工具などを必要とせずに容易に着脱できる。
【0031】
なお、監視装置21を適用する電気駆動機械としては、モータ11に限らず、例えばソレノイドなどの稼働時に磁束を発生する電気駆動機械にも同様に適用できる。
【0032】
また、監視装置21は、コンベヤに限らず、電気駆動機械を駆動源として用いた各種装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態を示す監視装置のブロック図である。
【図2】同上監視装置の斜視図である。
【図3】同上監視装置のセンサ部の斜視図である。
【図4】同上監視装置のセンサ部と電気駆動機械の稼働時に発生する磁束との関係を示す説明図である。
【図5】同上監視装置のセンサ部から出力する電気信号の波形図である。
【符号の説明】
【0034】
11 電気駆動機械としてのモータ
21 監視装置
23 センサ部
27 表示部
35 磁気電気変換素子
37 結束手段としての結束バンド
43 稼働判定部としての回転判定部
44 積算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動機械の外部に配置され、電気駆動機械の稼働時に発生する磁束を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子を有するセンサ部と、
このセンサ部から出力される電気信号に基づいて電気駆動機械の稼働を判定する稼働判定部と、
この稼働判定部の判定に基づいて電気駆動機械の起動回数を積算する積算部と、
この積算部で積算された起動回数を表示する表示部と
を具備していることを特徴とする電気駆動機械の監視装置。
【請求項2】
電気駆動機械の外部に配置され、電気駆動機械の稼働時に発生する磁束を検出して電気信号を出力する磁気電気変換素子を有するセンサ部と、
このセンサ部から出力される電気信号に基づいて電気駆動機械の稼働を判定する稼働判定部と、
この稼働判定部の判定に基づいて電気駆動機械の起動回数および稼働時間を積算する積算部と、
この積算部で積算された起動回数および稼働時間を表示する表示部と
を具備していることを特徴とする電気駆動機械の監視装置。
【請求項3】
センサ部は、電気駆動機械の外部にセンサ部を結束する結束手段を備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の電気駆動機械の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−82277(P2007−82277A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263249(P2005−263249)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】