説明

電池異常予見システム

【課題】単電池(例えば二次電池)が異常な状態となる前に、異常な状態に陥る可能性のある単電池を予見することのできる電池異常予見システムを提供することを課題としている。
【解決手段】複数の単電池11a〜11−n(nは2以上の自然数)それぞれの状態を示すパラメータ値を取得し、取得したパラメータ値が正常な値であるか否かを判別する正常範囲判定部と、正常な値であると判別された複数のパラメータ値を、所定の間隔によって分割された範囲にそれぞれ分類し、分類したパラメータ値の統計処理を行う統計処理部と、統計処理部で統計処理された結果に基づき、複数の単電池の状態を判別し、判別した結果に基づき、複数の単電池の状態が通常状態から異常状態に推移しうる状態にあるか否かを判別する状態判別部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池からなる組電池が搭載された電池異常予見システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば複数の単電池(例えば二次電池)により構成された組電池が、電気自動車などの電池システムで利用されている。電池システムに搭載された組電池では、所定の容量を備えた個々の二次電池に対して充放電が行われ、この充放電により発生する電力を利用して電力負荷を稼動させる。しかしながら、このような充放電を繰り返した後における各二次電池の容量(「残存容量」とも称する)は、各二次電池の製造ばらつきや、温度や湿度などの使用雰囲気によって、個々に異なる値となっていく場合がある。このように、残存容量が異なった二次電池に対して充放電を繰り返すと、特定の二次電池の劣化が他の二次電池の劣化に比べて進んでしまうことがある。
【0003】
このため、各二次電池の内部抵抗値を測定し、測定された内部抵抗値に基づき、各二次電池の劣化を検出しながら充放電を制御する技術が開発されている(例えば下記特許文献1を参照)。このような技術は、二次電池や当該二次電池を複数用いた組電池の性能や信頼性を向上させるものである。
【0004】
そして、仮にいずれかの二次電池に異常が発生した場合には、ユーザ(単電池が駆動対象とする機器・システム及びその使用者)へ、その二次電池の異常について警告(表示)を行うことが提案されている(例えば下記特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−118790号公報
【特許文献2】特開2003−125540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に例示されるような従来の技術においては、二次電池が異常な状態であることを検出した後にユーザへ警告を通知している。このため、二次電池の異常発生の警告を受けて、その対応として機器・システムを停止せざるを得ないことになった場合には、電池システムを現時点において動作させる必要性があるにも関わらず動作できないことになってしまう。この点、例えば予備の二次電池を電池システムに備蓄しておくことも考えられるが、この備蓄した二次電池をどのように切り替え制御するかにつき継続した開発が必要となる。
【0007】
このような事象は、電池システムにとって好ましいものとは言えず、例えば高速走行中の電気自動車に搭載された組電池で異常が発生した場合を想定すると、安全性の観点からもさらなる改良が求められる。
この発明は、上記した従来の課題を一例に鑑みて為されたもので、安全性や利便性をより向上させた電池システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の電池異常予見システムは、複数の単電池それぞれの状態を示すパラメータ値を取得し、取得した前記パラメータ値が正常な値であるか否かを判別する正常範囲判定部と、前記正常な値であると判別された複数のパラメータ値を、所定の間隔によって分割された範囲にそれぞれ分類し、前記分類した前記パラメータ値の統計処理を行う統計処理部と、前記統計処理部で統計処理された結果に基づき、前記複数の単電池の状態を判別し、前記判別した結果に基づき、前記複数の単電池の状態が通常状態から異常状態に推移しうる状態にあるか否かを判別する状態判別部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、判別に必要な処理の負荷を抑えつつ、システムに搭載される複数の単電池が異常な状態となる前に当該異常な状態に陥る可能性のある単電池を予見することができる。従って、安全性に優れた電池システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態による二次電池異常予見システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る各電池セルの接続、組電池とCMU、BMUとの接続関係を示す機能ブロック図である。
【図3】同実施形態に係る電圧取得部が取得した第1電池セル〜第20電池セルの各電圧値の一例を示す図である。
【図4】同実施形態に係る組電池の異常予見を判別する手順を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る組電池の異常予見を判別する手順のうち、予見判定について詳述したフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る組電池の電圧の分布を棒グラフにより示した図(正規分布)の一例である。
【図7】同実施形態に係る組電池の電圧の分布を棒グラフにより示した図(2つの極大値を有する分布)の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明に係る電池システムについて詳細に説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態による電池システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の電池システムは、組電池を構成する単電池(例えば二次電池)が異常をきたす前に、当該単電池の状態が通常状態から異常状態に推移しうる状態にあることを示す(予見する)機能を備えている。以下、当該機能を備えた電池システムを「電池異常予見システム」と称し、このうち二次電池を搭載した二次電池異常予見システムを例にしてその具体的な構成について説明する。
図1は、本実施形態による二次電池異常予見システム1の構成を示すブロック図である。
二次電池異常予見システム1は、例えば電気自動車である。当該二次電池異常予見システム1は、組電池10、上位制御装置18、表示部40、電力負荷50、およびBMS(Battery Management System)25を含んで構成されている。組電池10と当該組電池の監視制御装置であるBMS25は、1つのバッテリーモジュール(図示略)として構成可能であり、二次電池異常予見システム1の外部から二次電池異常予見システム1の内部へはめ込まれる。このようにバッテリーモジュールとすることで、二次電池異常予見システム1の外部から当該バッテリーモジュールを容易に交換することが可能となっている。
【0013】
電力負荷50、上位制御装置18、および表示部40は、二次電池異常予見システム1に予め組み込まれている。また、二次電池異常予見システム1における上位制御装置18およびBMS25を併せて単に制御装置という場合もある。
ここで、本発明の二次電池異常予見システム1(電池システム)は、電気自動車以外にも、例えば、フォークリフトなどの産業車両や電車、電力負荷50である電気モータにプロペラまたはスクリューを接続した飛行機または船などの移動体であってもよい。さらに、二次電池異常予見システム1は、例えば家庭用の電力貯蔵システムや、風車や太陽光のような自然エネルギー発電と組み合わせた系統連系円滑化蓄電システムなどの定置用のシステムであってもよい。すなわち、二次電池異常予見システム1は、組電池10を構成する複数の二次電池による電力の充放電を利用するシステムを総称するものである。
【0014】
組電池10は、複数の単電池として二次電池11a〜11hを含み、二次電池異常予見システム1の電力負荷50に電力を供給するものである。本実施形態では、複数の二次電池11a〜11d、11e〜11hはそれぞれ直列に接続される(それぞれを「電池列」と称する)とともに、この電池列がさらに並列に接続されることにより、組電池10が構成される。以下、二次電池11a〜11hを総称して「二次電池11」と称する。この場合、並列に隣り合う電池列同士は、例えばスイッチを介して互いに接続され、後述の予見判定処理を行うに際して、BMU30における状態判別部33(後述)が、他の列の影響を排除するため適宜解列することで、電池列ごとに1つずつ予見判定を行うことにしてもよい。
二次電池11のそれぞれには、温度値、電圧値、電流値等の計測情報を計測する各種センサーが取り付けられており、これらセンサーにより計測され且つ出力された計測情報は、後で詳述するBMS25に入力される。以下、二次電池11として、複数の正極板と複数の負極板がセパレータを介して交互に積層されて電池容器に収容された積層型リチウムイオン二次電池を例にして説明する。しかしながら、この積層型リチウムイオン二次電池に限定されず、それぞれ帯状の正極板と負極板がセパレータを介して電池容器内で捲回された捲回型リチウムイオン二次電池や、一次電池を含む他の電池を用いることも可能である。
【0015】
上位制御装置18は、ユーザの指示(例えば、ユーザによるアクセルの踏み込み量)に応じて電力負荷50を制御するとともに、BMS25から送信される組電池10の関連情報(上記計測情報に関連した情報であり、BMS25にて演算される各二次電池11の充電率SOCなどを含む)を受信し、表示部40を制御して、適宜、当該関連情報を表示部40に表示させる。上位制御装置18は、後述する予見判定処理をBMS25に行わせるために、所定のタイミングでBMS25に判定開始信号を出力する。当該所定のタイミングは、例えば数秒毎、数分毎、あるいは1時間毎や24時間毎など所定時間毎であってもよいし、不定期(例えば劣化判定開始の指示がユーザにより行われたとき)に上記判定開始信号を出力してもよい。
また、上位制御装置18は、上記関連情報の少なくとも一部が異常値であると判断した場合には、ユーザに対して警告を掲示する。具体的には、表示部40に内蔵された異常ランプを点灯させる等(光学的表示であればよいので、後述のモニターの画面に異常である旨の表示をしてもよい)するとともに、表示部40に内蔵されたブザー等の音響装置を作動させて警報を鳴らし、光と音により視覚および聴覚を刺激してユーザの注意を促す。
表示部40は、例えば上記音響装置を備えた液晶パネル等のモニターであり、上位制御装置18からの制御に基づいて組電池10を構成する二次電池11の上記関連情報の表示等を行う。なお、この表示部40は、本明細書で用いる「掲示部」の一例であり、掲示部の他の例としては、例えば上記ブザーや後述するスピーカー等が挙げられる。
電力負荷50は、電気自動車の車輪に接続された電気モータやインバータ等の電力変換器である。電力負荷50は、ワイパーなどを駆動する電気モータであってもよい。
【0016】
次に、図2を用いて、BMS25を構成するCMU(Cell Monitor Unit)20とBMU30(Battery Management Unit)との接続関係、および二次電池11とCMU20との接続関係を詳述する。
本実施形態では、図1のように上記電池列毎にそれぞれCMU20−1、20−2が設けられている。以下、CMU20−1、20−2を総称する場合には「CMU20」と記載する。なお、説明の簡略化のため、二次電池11e〜11hおよびCMU20−2に関する記載はそれぞれ二次電池11a〜11dおよびCMU20−1と同様であるので省略し、二次電池11a〜11dおよびCMU20−1について説明を継続する。
CMU20は、図示しないADC(Analog Digital Converter)を備えており、各二次電池11に設けられた上記各種センサーが検知して出力する複数の上記計測情報をそれぞれアナログ信号として受ける。そして、CMU20は、これらアナログ信号をADCによってそれぞれに対応するデジタル信号に変換した後、上記関連情報や予見判定(後述)を演算するための複数のパラメータ値としてBMU30へ出力する。
【0017】
次に、各種センサーの設置態様について説明する。図2に示すように、二次電池11a〜11dのそれぞれに一対一に対応して、電圧計Va〜Vdの各々が設けられている。具体的には、対応する二次電池11の正極端子と負極端子との間に各電圧計Va〜Vdがそれぞれ接続され、これら電圧計Va〜Vdは、対応する二次電池11の電圧値をそれぞれ計測している。
また、二次電池11a〜11dのそれぞれに一対一に対応して、図1のように温度計Ta〜Tdの各々が設けられている。具体的には、対応する二次電池11の電池容器の外面(設置位置は任意に選択可能である)に各温度計Ta〜Tdがそれぞれ設けられ、各温度計Ta〜Tdは、対応する二次電池11の温度値をそれぞれ計測している。
【0018】
さらに、電力負荷50に加えることができる最大電圧を測定するため、組電池10の正極端子と負極端子の間に電圧計24が接続されている。本実施形態では、例えば所定の電池列(二次電池11a〜11dがバスバー12によって直列接続された構成)の両端に存在する二次電池11aの正極端子と二次電池11dの負極端子との間に電圧計24が接続されている。
また、組電池10を流れる電流値を計測する電流計Iaが、組電池10と電力負荷50との間に設けられている。なお、上記電流計Iaおよび電圧計24も、上記各種センサーの一例である。
上記に加え、二次電池11における電池容器の電位を、上記計測情報として測定してもよい。具体的には、各二次電池11の正極端子と電池容器とを、所定の抵抗を介して電気的に接続する。その一方で、容器電圧測定用の電圧計を、各二次電池11の負極端子と電池容器とにそれぞれ接続する。これにより、各二次電池11における電池容器の電位(「缶電位」と称する)が測定できる。
【0019】
各二次電池11に接続されるCMU20は、パラメータ値出力部21を含んで構成されている。
パラメータ値出力部21は、上記した各二次電池11の電圧値、温度値および缶電位、ならびに電圧計24から取得される組電池10全体の電圧値や電流計Iaから取得される電流値等の上記計測情報を検出する。また、パラメータ値出力部21は、上記したADCを含んでおり、検出した上記計測情報をADCによってデジタル信号に変換した後にパラメータ値としてBMU30へ出力する。
【0020】
BMU30は、CMU20から入力された組電池10および各二次電池11それぞれの上記パラメータ値に基づいて、上位制御装置18から上記判定開始信号が入力されるたびに、後述する予見判定処理を行い、その判定結果を上位制御装置18に出力する。
図2に示すように、BMU30は、正常範囲判別部31、統計処理部32、状態判別部33および出力部34を含んで構成されている。
BMU30は、CMU20および上位制御装置18とデータを送受信する不図示のバスを介して接続されており、この上位制御装置18の指令に応じて、電力負荷50に対する電力供給の開始や停止を制御する。
次に、BMU30の各構成を用いて、BMS25により実行される予見判定の処理について詳述する。
なお、以下では、BMS25(本実施形態ではBMS25を構成するBMU30)が行う予見判定の一例として、本実施形態に係る組電池10の電圧値の状態に基づいて予見判定を行う手順を説明する。なお、BMS25は、他の種類のパラメータ値(各二次電池11の温度値や缶電位など)に基づいても予見判定を行うことができるが、電圧値の場合と同様のため、その説明は省略する。
また、本実施形態の要旨の理解をより容易にするために、組電池10では20個(n=20)の二次電池11(第1二次電池11a〜第20二次電池11t)が直列に接続されているものとし、この組電池10に1つのCMU20が接続されていることとする。そして、第1二次電池11a〜第20二次電池11tに、各種センサーの例として、それぞれ第1電圧計Va〜第20電圧計Vtが接続されていることとする。
【0021】
図3は、CMU20のパラメータ値出力部21が取得した第1二次電池11a〜第20二次電池11tの各電圧値の一例を示す図である。パラメータ値出力部21は、予め定められた所定の周期、例えば1秒間隔で、第1二次電池11a〜第20二次電池11tの各電圧値を取得する。本実施形態では、図3に示すように、二次電池11の番号と当該二次電池11の電圧値とが関連づけられている。具体的には、組電池10は直列に接続されているため、例えば、第20二次電池11tの負極と、所定の番号に対応する二次電池11の正極との間の電圧値を計測することにより、当該所定の番号の二次電池11の位置を特定することができる。したがって、BMS25は、二次電池11の位置(所定の番号に対応)と、当該位置に対応した二次電池11の電圧値とを関連付けることが可能となる。
【0022】
正常範囲判別部31は、パラメータ値出力部21から出力された複数のパラメータ値(上記した温度値や缶電圧等であり、本実施形態では複数の電圧値)に基づき、各パラメータ値が予め定められた所定の範囲内にあるか否かを判別する。
具体的な判別の態様は次のとおりである。すなわち、図4に示すとおり、パラメータ値出力部21は、組電池10を構成する各二次電池11の電圧値を取得する(ステップS1)。このとき、CMU20は、組電池10を構成する各二次電池11の位置と、対応する二次電池11の電圧値を関連付ける(図3を参照)。
そして、パラメータ値出力部21は、第1二次電池11a〜第20二次電池11tについて、すべての電圧値を取得したか否かを判別する(ステップS2)。
全ての電圧値を取得していない場合(ステップS2;No)、全ての電圧値を取得するまでステップS1とステップS2を繰り返す。
一方、全ての電圧値を取得した場合(ステップS2;Yes)、パラメータ値出力部21は、取得した上記電圧値(電圧値V〜V20)をデジタル信号としてのパラメータ値にそれぞれ変換した後に、当該パラメータ値をBMU30の正常範囲判別部31に出力する。
【0023】
正常範囲判別部31は、入力された全てのパラメータ値が、正常範囲であるか(所定の範囲内にあるか)否かを判別する(ステップS3)。ここで、「所定の範囲内にある」とは、組電池10を構成する各二次電池11が、想定された仕様を満たすに充分な状態にあることであり、二次電池11の製造者により予め設定された値となっている。この所定の範囲を示す情報(電圧の上限値Vpおよび下限値Vs)は、例えば予めBMU30のメモリ(図示略)内に記録される。
したがって、正常範囲判別部31は、この上限値Vpと下限値Vsとを読み取り、全ての二次電池11a〜11tの電圧値(V〜V20)が、この下限値Vs以上で且つ上限値Vp以下であるかを判定する。そして、正常範囲判別部31は、全ての二次電池11の電圧値が、下限値Vs以上で且つ上限値Vp以下であると判定した場合には、組電池10を構成する全ての単電池11の電圧値が正常な状態であると判定する。
【0024】
そして、電圧値V〜V20がすべて正常範囲内である場合(ステップS3;Yes)、正常範囲判別部31はこれら電圧値V〜V20を統計処理部32に出力する。そして、これら電圧値V〜V20に基づき、BMS25は、後述する予見判定を行う(ステップS5)。一方で、電圧値V〜V20のうち1つでも正常範囲の外である場合(ステップS3;No)、BMU30は、該当する二次電池11が正常範囲外に電圧レベルがある(すなわち、異常電圧である)とする判別結果を、表示部40に警告表示として出力する制御を行う(ステップS4)。このとき、BMU30は、組電池10の出力を制限する制御(例えば組電池10からの出力を50%に制限したり、徐々に出力をゼロにする等)を行ってもよい。また、BMU30は、警告表示に換えて又は加えて、電気自動車に備わったスピーカー等から音声による警告を行ってもよい。
【0025】
次にBMS25が行う予見判定につき、図5等を用いて説明を継続する。本実施形態において、BMS25は、正常範囲内と判定された上記複数のパラメータ値(電圧値)に基づいて度数分布を生成し、当該度数分布が正規分布であるか否かを簡易に判定することで、組電池10の異常を予見する。以下、この予見判定について詳述する。
統計処理部32には、正常範囲判別部31から各二次電池11のパラメータ値(各二次電池11の温度値、電圧値、缶電位や、組電池10全体の電圧値や電流値など)が入力される。統計処理部32は、例えば、入力された各々の電圧値に基づいて統計処理(度数分布を生成)を行い、統計処理した情報を状態判別部33に出力する。なお、統計処理部32は、他のパラメータ値についても同様に統計処理を行い、統計処理した情報(後述)を状態判別部33に出力してもよい。
具体的な統計処理は次のとおり行われる。すなわち、まず統計処理部32は、入力された全ての電圧値V〜V20を分類するための分割数Nを設定する(ステップS101)。分割数Nは正の整数であり、例えば次に示す式(1)に基づいて設定される。
(V−V):W1≒N:1 ・・・(1)
ここで、W1は、後述する度数分布における所定幅の電圧値であり、実験等により予め算出される。かかる式(1)に示されるように、このW1は、上記した上限値Vpと下限値Vsの幅との比で規定され、上記度数分布が正規分布であるか否かを判定するための指標として用いられる。なお、このW1の値を小さくすれば、分割数Nは大きくなり、より細かい範囲に分割して複数のパラメータ値を分類することになる。
ところで、本実施形態の要旨はBMS25の処理負荷を抑制しつつ簡易に組電池10の異常予見を行うことにある(詳しくは後述する)。かような観点から、本実施形態ではW1の値を比較的大きく設定する。例えば、上記した上限値Vp、下限値Vsをそれぞれ、4.2V、2.7Vとし、W1を0.3Vとすると、式(1)から分割数Nは5となる。
以下では分割数を5として説明するが、上記した上限値Vp、下限値Vs、W1および分割数Nの値は一例であり、二次電池11や二次電池異常予見システムの仕様に応じて適宜設定されることは言うまでもない。
なお、電圧値の上限値Vpと下限値Vsとの差分に対応した分割数を、当該差分に関連付けて予めメモリ(不図示)に記憶させておいてもよい。この場合、例えば、差分ΔT1の場合の分割数は5、差分ΔT2の場合の分割数は7のように、上述したBMU30内のメモリ(図示略)に予め記憶させておく。
【0026】
統計処理部32は、算出した分割数(サンプリング数)Nに基づいて、横軸を電圧値、縦軸を度数として、取得した電圧値をそれぞれ度数分布として分類する(ステップS102)。
図6に、上記した度数分布の一例を示す。図6に示す棒グラフでは、縦軸は度数であり、横軸は電圧値となっている。このうち、棒g401は、第1範囲として抽出された電圧値の度数を表している。棒g402は、第2範囲として抽出された電圧値の度数を表している。棒g403は、第3範囲として抽出された電圧値の度数を表している。棒g404は、第4範囲として抽出された電圧値の度数を表している。棒g405は、第5範囲として抽出された電圧値の度数を表している。本実施形態では、上限値Vpが4.2V、下限値Vsが2.7Vで分割数が5である。したがって、上記第1範囲は2.7V≦第1範囲<3.0V、上記第2範囲は3.0V≦第2範囲<3.3V、上記第3範囲は3.3V≦第3範囲<3.6V、上記第4範囲は3.6V≦第4範囲<3.9V、上記第5範囲は3.9V≦第5範囲≦4.2Vとなる。
次に、統計処理部32は、取得した各電圧値が、各範囲内において何個ずつあるかをカウントする(度数Pをカウントする)。そして、統計処理部32は、算出した各範囲(第1範囲〜第N範囲(Nは本実施形態では「5」))のそれぞれの度数Pn(1≦n≦N)を、各度数Pnを算出した範囲の範囲番号に対応づけて、状態判別部33へ出力する。
【0027】
次に、状態判別部33は、統計処理部32により作成された度数分布に基づき、当該度数分布のピークを算出する(ステップS103)。
より具体的には、各範囲の度数を受信した状態判別部33は、まず、N個に分類された隣り合う範囲間におけるn番目の範囲とn−1番目の範囲の度数の差分Zn(nは正の整数であり、且つ、1≦n≦N)を、電圧値の低い方から順に算出し、算出した度数の差分Znが正の値であるか負の値であるか又は0であるかを判別する。すなわち、度数分布に存在する各範囲のうち電圧値の低い方の範囲からn番目の範囲に属する度数をPnとすると、状態判別部33は、下記一般式(2)を用いて度数の差分Znを求める。
(n)=P(n)−P(n‐1) (1≦n≦N) ・・・(2)
ただし、P(0)=0である。
例えば、図6に示した例では、5つに分かれた各範囲間の度数の差分Znにおける計算は次のとおりとなる。すなわち、左端Z(1)は「第1範囲に属する度数P−0=正の値」、Z(2)は「第2範囲に属する度数P−第1範囲に属する度数P=正の値」、Z(3)は「第3範囲に属する度数P−第2範囲に属する度数P=正の値」、Z(4)は「第4範囲に属する度数P−第3範囲に属する度数P=負の値」、Z(5)は「第5範囲に属する度数P−第4範囲に属する度数P=負の値」となる。
【0028】
そして、状態判別部33は、第1範囲〜第N範囲のうち、上記算出した度数の差分Znの値が変曲する箇所、例えば上記差分の値が正から負となる隣り合った2つの範囲を特定する。そして、状態判別部33は、第1範囲〜第N範囲の棒グラフからなる組を仮に山に見立てたとき、当該2つの範囲のうち、範囲番号の小さい範囲の棒グラフが当該山のピークに相当することを認識し、記憶する。例えば図6に示す度数分布の例では、度数の差分Z(3)とZ(4)とで差分の値が正から負へと変化しており、上記特定される範囲は第3範囲と第4範囲である。よって、状態判別部33は、第1範囲〜第N範囲の棒グラフ(g401〜g405)からなる組を仮に山に見立てたとき、第3範囲に当該山のピークがある旨を算出し、第3範囲に当該ピークがある旨の記憶処理を行う。
次に、状態判別部33は、統計処理部32から入力された度数分布において、同じ度数を示すピークが存在するかを判定する(ステップ104)。この場合には、第1範囲〜第N範囲の棒グラフからなる組を仮に山に見立てたとき、当該山には同じ高さの複数のピークが存在することになるので当該度数分布は正規分布とはなっておらず、BMS25は、組電池10に異常が予見される状態と判定し(ステップS105)、この判定結果を出力部34へ出力する(ステップS108)。
【0029】
一方、ステップS104で上記度数分布において同じ値のピークが存在しない場合(すなわち各範囲間で度数が最大となる最大ピークが1つの場合)、状態判別部33は、(a)他のピークがないか、(b)最大ピークの属する範囲の度数に対する他のピークの属する範囲の度数の割合(比)が所定値以下であるか判定する(ステップS106)。
具体的には、上記(b)については、最大ピークの属する範囲の度数をPm、他のピークの属する範囲の度数をPc(mとcは正の整数であって、いずれもN以下の数であり、m≠cである)とすると、状態判別部33は、下記式(3)を満たすか否かを判定する。
Pc≦Pm/T ・・・(3)
ここで、Tは正の整数であり、最大ピークの高さが他のピークの高さに対してどの程度突出しているかを規定する数値である。このTの値をどう設定するかは、二次電池11や二次電池異常予見システムの仕様に拠り、実験等によって予め規定されるが、他のピークの高さが最大ピークの高さの25%程度であれば一般的に上記山のピークは実質的に1つとみなすことができるので、4≦Tとするのが望ましい。
このように、式(3)を満たす場合には、当該度数分布は正規分布であると判別される(見做される)。そして、他のピークがないか、式(3)を満たす場合(ステップS106でYes)、BMS25は、組電池10を正常な状態と判定し、この判定結果を出力部34へ出力する。本実施形態では、例えばT=7として、以下の説明を続ける。
例えば図6に示す度数分布では、棒g403の範囲で変曲する箇所が1つ存在し、最大ピークを示す範囲の度数は、棒g403の範囲の度数となる。一方、他のピークは存在しないので、式(3)による判定は実施されずに当該度数分布は正規分布であると判別される。
【0030】
度数分布の他の例を図7に示す。当該図7に示す度数分布の各範囲間における度数の差分Znの計算結果は次のとおりとなる。すなわち、Z(1)は「第1範囲に属する度数P−0=正の値」、Z(2)は「第2範囲に属する度数P−第1範囲に属する度数P=負の値」、Z(3)は「第3範囲に属する度数P−第2範囲に属する度数P=正の値」、Z(4)は「第4範囲に属する度数P−第3範囲に属する度数P=負の値」、Z(5)は「第5範囲に属する度数P−第4範囲に属する度数P=負の値」となり、ピークが棒g411と棒g413の箇所で計2つ存在することになる。
また、上述のとおり、状態判別部33には、各ピークの属する範囲の度数もそれぞれの当該範囲に対応づけて入力されているため(すなわち、各度数Pnを算出した範囲の範囲番号に対応づけて各度数Pnが入力されている)、いずれの範囲が最大ピークとなっているか判別することが可能であり、これにより棒g413の度数を最大ピークと判定する。
次に、状態判別部33は、上記式(3)に基づき、他のピーク(棒g411)の度数≦(最大ピークである棒g413の度数)/7の関係を満たすか判別する。
そして、式(3)の関係を満たす場合には、ピークが複数あるものの、当該度数分布は正規分布であると見做せるので、組電池10は正常な状態であると判定する。
一方、式(3)の関係を満たさない場合、すなわち、最大ピークの他に無視できない他のピークが存在する場合には、当該度数分布は正規分布とは見做せないとして、組電池10に異常が予見されると判定する。
なお、図7に示す例では、ピークが合計2つある場合を例にしたが、3つ以上ある場合についても同様に判定が可能であることは明らかであるので説明を省略する。
以上で示した予見判定の処理を行った後、状態判別部33は、判定の結果を出力部34に出力することにより、図4のステップS5の予見判定が終了する。
【0031】
なお、第1二次電池11a〜第20二次電池11tのうち、いくつかの二次電池11が使用開始後に交換された場合にも、図7のような分布と判別される場合もありうる。このような場合にはユーザが意図して劣化状態のばらつきを生じさせたとして、BMS25は当該交換についての情報をメモリ(図示略)に保持するとともに、所定の期間経過後(例えば図示略のバランス回路によってある程度電圧が均等化された後)に予見判定の処理を開始してもよい。
【0032】
図4に戻り、出力部34は、状態判別部33における予見判定の結果に基づき、異常が予見されない(すなわち、組電池10が正常な状態と状態判別部33で判定された)場合にはそのまま処理を終了する。なお、この場合において、出力部34は、上位制御部18を介して表示部40に組電池10が正常である旨の表示を行ってもよい。一方で、ステップS6にて組電池10に異常が予見される場合には、出力部34は、上位制御部18を介して掲示部(例えば表示部40)に異常を予見する掲示を行う制御をする(ステップS7)。異常を予見する掲示としては、例えば表示部40に、異常を予見する内容を含む文字列や記号などを表示することが考えられる。また、表示部40への上記表示に加え、又は換えて、音声によって異常を予見する出力を行ってもよいし、電気自動車に装着されるハザードランプなどを点滅させてもよい。
また、異常を予見する旨の表示は、例えば度数分布の形状をグラフ化(例えば、棒グラフ化)して表示するようにしてもよい。さらに、例えば、表示する棒グラフにおける各棒gに含まれる電圧値V〜V20に対応する第1二次電池セル11a〜第20二次電池セル11tの番号、または、第1二次電池セル11a〜第20二次電池11tを識別可能な他の情報を表示するようにしてもよい。
なお、本実施形態では組電池10の第1二次電池セル11a〜第20二次電池11tの電圧値V〜V20を用いて異常を予見する例を説明したが、異なる複数種類のパラメータ値(例えば電圧値と温度値)に基づいて異常予見の処理を行い、これらの判別結果をあわせて表示してもよい。例えば2種類のパラメータ値を用いて予見判定を行う場合には、少なくとも一方のパラメータ値における予見判定で異常が予見されるときに掲示部へ異常を予見する掲示を行うとよい。これによれば、より精度が向上した予見判定を行うことが可能となり、安全性がより向上した二次電池異常予見システム(電池システム)を実現できる。
【0033】
次に、以上で説明した第1実施形態の作用・効果について説明する。
上述したとおり、従来の技術においては、単電池(例えば二次電池)が異常な状態に至ってからユーザへ当該二次単電池が異常となった旨を通知している。このため、場合によっては電池システムを現時点において動作させる必要性があるにも関わらず動作できないことになってしまう。
このような課題を一例に鑑みてなされた本実施形態では、第一に、二次電池が異常をきたす以前に、各二次電池等から得られるパラメータ値に基づいて統計処理を行って状態判別することにより、当該二次電池が将来的に異常となる旨の予見を行うことを特徴としている。したがって、本実施形態によれば、例えば事前に異常となる見込みの二次電池を交換することが可能となり、安全性をより向上させた二次電池予見システムを実現することができる。
ここで、上記した統計処理の手法は、例えば標準偏差や分散を計算するなど種々存在するが、複雑な計算処理を導入した場合などはBMS25の処理の負荷が増大してしまう。電池システムに搭載されるBMS25は、上記したSOCの演算など、その他にも組電池10に関する重要な情報を演算しているため、統計処理はその負荷が低いことが望まれる。そして、本実施形態によれば、各二次電池11から得られるパラメータ値を所定の範囲毎に分類して度数分布を生成し、隣り合う範囲間の度数を計算することによって各二次電池11の異常を予見している。このため、少ない処理負荷で各二次電池11の異常予見を判定することが可能となり、他の重要な情報における演算処理に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0034】
以上のように、本実施形態の二次電池異常予見システム1は、二次電池の状態を示すパラメータ値(上記した電圧、温度、および、容器電圧等)に基づいて統計処理した後に、各パラメータ値の状態に基づいて組電池10の異常を予見するようにした。この結果、二次電池異常予見システム1は、二次電池が異常な状態となる前に、異常な状態に陥る可能性のあること、あるいはその二次電池を掲示等することができる。
なお、本実施形態において、状態判別部33は、極大値の数をカウントして、極大値が複数あるか否かを判別する例を説明したが、極小値の数をカウントするようにしてもよい。
【0035】
本発明は、上記した第1実施形態に示した内容に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。以下、本発明の他の実施形態について説明する。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と相違する点は、パラメータ値の分布の状態に基づいて特定機器(例えば、冷却装置等)の異常(例えば、故障)を推定する点であり、その余の点は第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と重複する点はその説明を適宜省略し、特徴となる相違点に比重を置きつつ説明する。
本実施形態では、パラメータ値として温度値を用いて上記判別処理を行った結果、図7に示すような2つの極大値、すなわち2つのピークを有する分布が得られた場合について説明する。状態判別部33は、棒g411に分類された複数の二次電池11(二次電池11毎に対応する番号が予め設定されている点は上述のとおりである)の番号が、組電池10における二次電池11の実際の配置の特定の位置に集中しているか否かを判別する。例えば、モジュールケースに複数の二次電池を収納して組電池10を構成した場合、モジュールケースに備えられた冷却装置(図示略)近辺に配置された複数の二次電池の温度値がいずれも棒g411に分類されているか否かを判別する。
判別の結果、最大のピークを有する棒g413ではなく、他のピークを有する棒g411に分類された各二次電池が特定の位置(例えば、上記冷却装置の近辺)に集中している場合、当該冷却装置が故障している可能性がある。
【0036】
このため、BMS25(状態判別部33および出力部34)は、第1実施形態と同様に組電池10を構成する二次電池11につき異常を予見する表示を行う制御に加え、故障している可能性のある冷却装置の情報を掲示部に掲示する制御を行う。
本実施形態によれば、第1実施形態での効果に加え、不具合が生じた可能性のある装置(例えばパラメータ値が温度値であれば冷却装置)を特定することができ、安全性および信頼性がより向上した二次電池異常予見システムを実現することができる。
なお、上記した異常や故障事例が発生した際におけるパラメータの分布の状態を、予め二次電池異常予見システム製造者が取得、もしくはシミュレーション等により算出し、各分布の状態とパラメータとを関連付けて状態判別部33に記憶させておくことが望ましい。
このように予め分布の状態とパラメータとを関連づけて記憶させておき、さらに今回において測定したパラメータの分布の状態と比較することで、今後、このような異常や故障が起きうる状態にあることを精度良く判別することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、図1のようにBMS25としてCMU20とBMU30を備える例を説明したが、これに限られずCMU20の機能をBMU30に組み込んで一体化してもよい。また、BMU30が行う予見判定処理の一部を上位制御装置18が適宜行うようにして、制御装置として予見判定を行ってもよい。
統計処理部32は、BMS25が行う他の処理・演算に影響を与えない範囲内で、取得した複数のパラメータ値に基づき、当該パラメータ値を他の公知の統計処理を行ってもよい。他の統計処理の例としては、取得した各パラメータ値の平均値、標準偏差値、あるいは、分散値を算出することが例示される。
実施形態の図1に示されているCMU20、および、BMU30の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、USB(Universal Serial Bus) I/F(インタフェース)を介して接続されるUSBメモリ、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1・・・二次電池異常予見システム
10・・・組電池
11a〜11t・・・二次電池
20・・・CMU(Cell Monitor Unit)
21・・・パラメータ値出力部
Ia、Ib・・・電流計
Va〜Vh、24・・・電圧計
30・・・BMU(Battery Management Unit)
40・・・表示部
50・・・電力負荷
Ta〜Th・・・温度計
31・・・正常範囲判別部
32・・・統計処理部
33・・・状態判別部
34・・・出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池それぞれの状態を示すパラメータ値を取得し、取得した前記パラメータ値が正常な値であるか否かを判別する正常範囲判定部と、
前記正常な値であると判別された複数のパラメータ値を、所定の間隔によって分割された範囲にそれぞれ分類し、前記分類した前記パラメータ値の統計処理を行う統計処理部と、
前記統計処理部で統計処理された結果に基づき、前記複数の単電池の状態を判別し、前記判別した結果に基づき、前記複数の単電池の状態が通常状態から異常状態に推移しうる状態にあるか否かを判別する状態判別部と、
を備えることを特徴とする電池異常予見システム。
【請求項2】
前記統計処理部は、取得した前記複数のパラメータ値および前記分割された各範囲に基づいて度数分布を生成し、
前記状態判別部は、前記分割された各範囲のうち隣り合う範囲間における度数の差分に基づいて、前記度数分布の状態を判別することを特徴とする請求項1に記載の電池異常予見システム。
【請求項3】
前記統計処理部は、
前記正常な値を規定するパラメータ値の上限値と下限値の差分と、前記所定の間隔と、の割合に基づいて分割数を設定し、
前記状態判別部は、前記度数分布に複数のピークがある場合に、最大のピークに対応する度数と、他のピークに対応する度数と、の比に基づいて、前記通常状態から異常状態に推移しうる状態にあるか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の電池異常予見システム。
【請求項4】
特定機器をさらに備え、
前記状態判別部は、
前記複数のピークがある場合に、上記他のピークの存在する前記範囲に分類された前記単電池が前記特定機器の近辺に配置されている場合には、前記特定機器の異常と判別することを特徴とする請求項3に記載の電池異常予見システム。
【請求項5】
前記状態判別部が判別した結果を掲示する掲示部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の電池異常予見システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−98212(P2012−98212A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247675(P2010−247675)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】