説明

電源アダプタ

【課題】電源アダプタの不使用時にケーブルを保護すること。
【解決手段】電源アダプタ1は、電源回路を内部に収納している筐体10を有する。筐体10は、外面が内部側に凹陥する凹部23と、この凹部23を成す面に配置された、筐体10と電力供給用ケーブル32との接続部としての取付部33と、を有する。凹部23は、電源アダプタ1の不使用時に、取付部33から筐体10の外部に延出する電力供給用ケーブル32を収容可能なサイズを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電気機器・電子機器を駆動する直流電力を得るために、交流電力を所望の電圧値・電流値の直流電力に変換する電源回路を内蔵するACアダプタのような電源アダプタが、広く用いられている。
【0003】
電源アダプタは、例えば上記のような交流から直流への変換を行う電源回路を内部に収納する筺体を有する。この筺体からは、交流電源又は機器との接続用のケーブルが、それぞれ延出する。なお、ケーブルが筺体から取り外し可能となっているタイプの電源アダプタもある。
【0004】
例えば特許文献1に記載されている従来の電源アダプタは、筺体に切欠部を形成し、電源ケーブル取付部を切欠部に収容することで、電源ケーブルを筺体に巻き付けるときに急角度で折り曲げられる電源ケーブル取付部の断線を回避する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−74919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の電源アダプタにおいては、不使用時に、電源ケーブルを筐体の周囲に巻き付けることで電源アダプタを収納状態とするため、このとき、電源ケーブルがその全長にわたって筐体から突出する。そのため、例えば電源アダプタを誤って床に落下させたとき等、電源ケーブルが外部からの衝撃を受けて損傷する虞がある。
【0007】
本発明の目的は、不使用時にケーブルを保護することができる電源アダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源アダプタは、電源回路を内部に収納している筐体を有する電源アダプタであって、前記筐体は、外面が前記内部側に凹陥する第1の凹部と、前記第1の凹部を成す面に配置された、前記筐体とケーブルとの接続部としての第1の接続部と、を有し、前記第1の凹部は、電源アダプタの不使用時に、前記第1の接続部から前記筐体の外部に延出する前記ケーブルを収容可能なサイズを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源アダプタの不使用時にケーブルを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電源アダプタの上面側を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態に係る電源アダプタの底面側を示す斜視図
【図3】本発明の一実施の形態に係る電源アダプタの上面図
【図4】本発明の一実施の形態に係る電源アダプタの底面図
【図5】本発明の一実施の形態に係る電源アダプタの使用状態を示す図
【図6】本発明の一実施の形態に係る電源アダプタを手で持った状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1〜図4は、本発明の一実施の形態に係る電源アダプタの構成を示す図である。図1は、電源アダプタの上面側を示す斜視図であり、図2は、電源アダプタの底面側を示す斜視図である。また、図3は、電源アダプタの上面図であり、図4は、電源アダプタの底面図である。
【0013】
図1〜図4に示す本実施の形態の電源アダプタ1は、内部に電源回路(図示せず)を収納する筐体10を有する。筐体10は、上部ケース10Aと下部ケース10Bとを重ね合わせて互いに結合することにより形成されている。
【0014】
筐体10は、一対の主面である上面11及び底面12、並びに外周面を成す先端部13、後端部14、右端部15及び左端部16を有し、全体としては直方体の形状を成している。上記の主面及び外周面は、電源アダプタ1の外面を構成する。
【0015】
第2のケースとしての上部ケース10Aには、上面11の後端部14側の部分を筐体10の内部側に凹陥させた凹部21(第3の凹部)が形成されている。
【0016】
また、上部ケース10Aには、上面11と先端部13と右端部15との角部を筐体10の内部側に凹陥させた凹部22(第2の凹部)が形成されている。
【0017】
凹部22を成す面(凹部22の形成面)には、電源ケーブル36(図5参照)を挿通可能な開口部(図示せず)が、電源ケーブル36と筐体10との接続部(第2の接続部)として形成されている。本実施の形態では、電源ケーブル36の一端部は、筐体10の内部に固定されており、電源ケーブル36は、この開口部を介して筐体10の外部に延出する。なお、本実施の形態の電源アダプタ1は、電源ケーブル36を巻き取って筐体10の内部に収納することができるよう構成されている。巻き取り式の電源ケーブル収納構成については、従来周知の構成を採用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0018】
上記開口部は、電源ケーブル36の他端部に設けられているプラグ31より小さいサイズを有する。よって、電源アダプタ1の不使用時、電源ケーブル36を筐体10内に巻き取ったときに、プラグ31は凹部22の形成面に当接するため、この部分のみ筐体10の外部に延出する。
【0019】
凹部22は、電源ケーブル36を筐体10内に巻き取ったときに凹部22の形成面に当接するプラグ31を収容可能なサイズを有する。そのため、電源アダプタ1の不使用時、プラグ31が電源アダプタ1の筐体10の外形から突出しないようにプラグ31を凹部22に収容することができる。
【0020】
第1のケースとしての下部ケース10Bには、底面12の後端部14側の部分を筐体10の内部側に凹陥させた凹部23(第1の凹部)が形成されている。
【0021】
凹部23を成す面(凹部23の形成面)には、電力供給用ケーブル32の一端部を筐体10に取り付けるための取付部33が、電力供給用ケーブル32と筐体10との接続部(第1の接続部)として設けられている。すなわち、本実施の形態では、電力供給用ケーブル32の一端部は、取付部33にて筐体10に固定されており、電力供給用ケーブル32は、この取付部33から筐体10の外部に延出する。なお、図4では、取付部33付近の部分を除いて電力供給用ケーブル32の図示を省略している。
【0022】
凹部23は、取付部33から他端部に設けられたコネクタ34まで例えば数十センチメートルの長さを有する電力供給用ケーブル32を図2に示すように丸めれば、その全長を収容可能なサイズを有する。そのため、電源アダプタ1の不使用時、電力供給用ケーブル32が電源アダプタ1の筐体10の外形から突出しないように電力供給用ケーブル32を凹部23に収容することができる。
【0023】
また、凹部23には、凹部23の底部から突出する一対の突起35が設けられており、これら突起35間にコネクタ34を係止することができるため、凹部23内への電力供給用ケーブル32の収容状態を確実に維持することができる。また、使用時に、電力供給用ケーブル32を容易に取り出すことができる。なお、突起35の高さは、凹部23の深さよりも低い。
【0024】
電源アダプタ1の使用時、使用者は、突起35に係止されているコネクタ34を取り出して、図5に示すように、主に呼吸器疾患等の患者が自宅外等で用いる携帯型医療用酸素濃縮器41のような携帯型機器の接続端子に差し込む。これにより、電源アダプタ1を携帯型機器に接続することができる。そして、使用者は、電源アダプタ1内部に巻き取られている電源ケーブル36を、プラグ31を引くことにより引き出して、プラグ31を外部の交流電源に差し込むことにより、電源アダプタ1を交流電源に接続する。これにより、電源アダプタ1は、交流電力から直流電力を得て、これを携帯型機器に供給することができる。携帯型機器にバッテリーパックが接続されている場合には、この直流電力を利用してバッテリーパックの充電を行うようにしても良い。
【0025】
このように、本実施の形態によれば、電源アダプタ1は、電源アダプタ1の不使用時に筐体10から外部に延出する電力供給用ケーブル32(本実施の形態では、電力供給用ケーブル32の全長)を凹部23内に収容可能である。そのため、電源アダプタ1の不使用時、電力供給用ケーブル32を筐体10の外形から突出させないようにすることができ、外部からの衝撃等により電力供給用ケーブル32を損傷させる可能性を低減させることができる。また、使用者が、筺体10から飛び出した電力供給用ケーブル32に足を引っ掛けたりすることがないため、使用者にとって安全である。
【0026】
また、電源アダプタ1は、電源アダプタ1の不使用時に筐体10から外部に延出する電源ケーブル36(本実施の形態では、電源ケーブル36のプラグ31)を凹部22内に収容可能である。そのため、電源アダプタ1の不使用時、電源ケーブル36を筐体10の外形から突出させないようにすることができ、外部からの衝撃等により電源ケーブル36を損傷させる可能性を低減させることができる。
【0027】
また、電力供給用ケーブル32を収容可能な凹部23と電源ケーブル36を収容可能な凹部22とは、互いに異なる位置に形成されている。したがって、電力供給用ケーブル32と電源ケーブル36とをそれぞれ収容したときに、これらが絡み合うことを回避することができる。
【0028】
また、凹部21、23は、それぞれ上部ケース10A、下部ケース10Bにおいて互いに対応する位置に形成されている。そのため、図6に示すように電源アダプタ1を手で持つ場合に、凹部21、23の縁を指に掛けることができ、例えば高齢者のように握力が比較的弱くても容易に電源アダプタ1をつかむことができる。したがって、本実施の形態の電源アダプタ1は、携帯型機器、特に携帯型医療用機器と併用する電源アダプタとして適している。
【0029】
また、本実施の形態では、電力供給用ケーブル32及び電源ケーブル36はそれぞれ、一端部が筺体10に固定された構成であり、筺体10から取り外し可能ではない。したがって、電力供給用ケーブル32及び電源ケーブル36を紛失する虞がなく、或いは紛失予防のためにこれらのケーブルを筺体10にきつく結び付ける等の必要性もない。したがって、本実施の形態の電源アダプタ1は、医療機器等のように緊急に使用する可能性がある機器と併用する電源アダプタとして適している。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。よって、上記実施の形態は、種々変更して実施可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 電源アダプタ
10 筐体
10A 上部ケース
10B 下部ケース
11 上面
12 底面
13 先端部
14 後端部
15 右端部
16 左端部
21、22、23 凹部
31 プラグ
32 電力供給用ケーブル
33 取付部
34 コネクタ
35 突起
36 電源ケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路を内部に収納している筐体を有する電源アダプタであって、
前記筐体は、
外面が前記内部側に凹陥する第1の凹部と、
前記第1の凹部を成す面に配置された、前記筐体とケーブルとの接続部としての第1の接続部と、を有し、
前記第1の凹部は、電源アダプタの不使用時に、前記第1の接続部から前記筐体の外部に延出する前記ケーブルを収容可能なサイズを有する、
電源アダプタ。
【請求項2】
前記ケーブルは、携帯型機器への電力供給のための電力供給用ケーブルであり、
前記筐体は、
前記第1の凹部とは異なる位置に形成された、前記外面が前記内部側に凹陥する第2の凹部と、
前記第2の凹部を成す面に配置された、前記筐体と電源ケーブルとの接続部としての第2の接続部と、をさらに有し、
第2の凹部は、電源アダプタの不使用時に、前記第2の接続部から前記筐体の外部に延出する前記電源ケーブルを収容可能なサイズを有する、
請求項1に記載の電源アダプタ。
【請求項3】
前記筐体は、前記電源回路を前記内部に収納するよう互いに結合された第1及び第2のケースを有し、
前記第1のケースに、前記第1の凹部が形成され、
前記第2のケースの、前記第1の凹部に対応する位置に、前記外面が前記内部側に凹陥する第3の凹部が形成されている、
請求項1又は2に記載の電源アダプタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−205458(P2012−205458A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70046(P2011−70046)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】