説明

電磁ポンプ

【課題】電磁ポンプの組み付け性をより向上させる。
【解決手段】ストレーナ90をストレーナ面が形成された円盤部92と円盤部92の外周縁から直交方向に延びる脚部94とにより形成し、ストレーナ90を吸入用逆止弁70のプラグ78に被せるように取り付けてサブアッシー化する。そして、シリンダに、ピストンとスプリングとサブアッシー化した吸入用逆止弁70およびストレーナ90とをこの順に挿入し、その後、シリンダカバーを取り付けることにより電磁ポンプ20として組み付ける。これにより、ストレーナ90のサイズが小さいものであっても、ストレーナ90の組み付けとその位置合わせを容易にすることができ、電磁ポンプの組み付け性をより向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ内をピストンが往復動することにより作動流体を圧送する電磁ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電磁ポンプとしては、中空円筒形状のシリンダと、シリンダ内を往復動するピストンと、ピストンを往動させる電磁力を発生させる電磁部と、ピストンを復動させるスプリングと、シリンダの端面に配置された吸入用逆止弁と、ピストンに内蔵された吐出用逆止弁と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電磁ポンプでは、シリンダと吸入用逆止弁とピストン(吐出用逆止弁)とにより囲まれる空間をポンプ室とし、電磁力およびスプリングの推力を用いてピストンを往復動させることにより作動油を圧送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−21593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁ポンプでは、ポンプ室内にゴミなど異物が進入しないようにストレーナを配置することが一般的であり、この場合、吸入用逆止弁の吸入口にストレーナを配置することが考えられる。しかしながら、電磁ポンプのサイズが小さいと、ストレーナのサイズも小さくならざるを得ず、ストレーナの組み付けが困難となる。
【0005】
本発明の電磁ポンプは、組み付け性をより向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁ポンプは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電磁ポンプは、
シリンダ内をピストンが往復動することにより作動流体を圧送する電磁ポンプであって、
前記ピストンを押圧する電磁力を発生させる電磁部と、
前記ピストンを電磁力とは逆方向に付勢する付勢部材と、
ストレーナ面が形成された盤状の盤状部と、該盤状部の外周縁から延びる側部とを有するストレーナ部材と、
筒形状に形成され筒側面を前記側部が囲むようにして前記ストレーナ部材が被せられる載置部を有し、前記ストレーナ面を介して作動流体を吸入可能な吸入用逆止弁と、
前記シリンダの端部を覆うカバー部材と、
を備え、
前記シリンダ内に前記電磁部とは反対側から前記ピストンと前記付勢部材と前記吸入用逆止弁と前記ストレーナ部材とがこの順に挿入され、前記ストレーナ面を押圧するように前記カバー部材が取り付けられてなる
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の電磁ポンプでは、ストレーナ部材を、ストレーナ面が形成された盤状の盤状部と円盤部の外周縁から延びる側部とを有するものとして形成し、吸入用逆止弁を、筒側面をストレーナ部材の側部が囲むようにしてストレーナ部材が被せられる筒形状の載置部を有するものとして形成し、シリンダ内に電磁部とは反対側からピストンと付勢部材と吸入用逆止弁とストレーナ部材とをこの順に挿入し、ストレーナ面を押圧するようにカバー部材を取り付けることにより形成される。これにより、ストレーナ部材のサイズが小さい場合でも、吸入用逆止弁に対するストレーナ部材の組み付けと位置合わせとを容易にすることができる。この結果、電磁ポンプの組み付け性をより向上させることができる。
【0009】
こうした本発明の電磁ポンプにおいて、前記ストレーナ部材は、前記吸入用逆止弁に組み付けられた状態で前記シリンダ内に配置されてなるものとすることもできる。この態様の本発明の電磁ポンプにおいて、前記吸入用逆止弁は、筒状の第1の筒状部と、前記載置部が形成され前記第1の筒状部よりも外径が大きな筒状の第2の筒状部とが形成された段付き筒状部材を有し、前記側部は、前記第2の筒状部の外周よりも内方に屈曲された爪が形成され、前記ストレーナ部材は、前記爪を前記段付き筒状部材の段差に引っ掛けることにより前記吸入用逆止弁に組み付けられてなるものとすることもできる。こうすれば、吸入用逆止弁にストレーナ部材を載置した際にその脱落を防止することができるから、電磁ポンプの組み付け性をさらに向上させることができる。この態様の本発明の電磁ポンプにおいて、前記ストレーナ部材は、前記盤状部の面に直交する方向に所定のクリアランスをもって前記爪が前記段付き筒状部材の段差に引っ掛けられてなるものとすることもできる。こうすれば、カバー部材を取り付けた際にカバー部材によりストレーナ部材の当接面を均一な圧力をもって押圧することができる。
【0010】
また、本発明の電磁ポンプにおいて、前記吸入用逆止弁は、中空部を有し前記ピストン側の面で前記付勢部材を支持する本体と、前記中空部に配置されるボールおよび第2の付勢部材と、前記ボールの座部をなし前記中空部に前記ボールおよび前記第2の付勢部材が配置された状態で該中空部に圧入されるプラグと、を備え、前記載置部は、前記プラグに形成されてなるものとすることもできる。
【0011】
さらに、本発明の電磁ポンプにおいて、前記ピストンに内蔵され、前記吸入用逆止弁を介して吸入された作動流体を吐出可能な吐出用逆止弁を備え、前記ピストンは、前記吐出用逆止弁が組み付けられた状態で前記シリンダに配置されてなるものとすることもできる。こうすれば、シリンダ内にピストンと吐出用逆止弁とを容易に配置することができ、電磁ポンプの組み付け性をさらに向上させることができる。
【0012】
また、本発明の電磁ポンプにおいて、前記側部は、前記載置部の筒側面を所定間隔をもって囲む複数本の脚部として形成されてなるものとすることもできる。この態様の本発明の電磁ポンプにおいて、前記盤状部は、外周縁から径方向に切り欠き溝が形成され、前記脚部は、前記切り欠き溝から延びるよう形成されてなるものとすることもできる。こうすれば、ストレーナ部材の脚部を容易に盤状部の外周縁から屈曲させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例としての電磁ポンプ20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】吸入用逆止弁70の組み付けの様子を示す説明図である。
【図3】吸入用逆止弁70の組み付け後の外観を示す外観図である。
【図4】ストレーナ90の外観を示す外観図である。
【図5】ピストン60に吐出用逆止弁80を組み付ける様子を示す説明図である。
【図6】ピストン60に吐出用逆止弁80を組み付けた後の外観を示す外観図である。
【図7】シリンダ50にピストン60,吐出用逆止弁80,スプリング46,吸入用逆弁70,ストレーナ90を組み付ける様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の一実施例としての電磁ポンプ20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電磁ポンプ20は、電磁力を発生させるソレノイド部30と、ソレノイド部30の電磁力により作動するポンプ部40と、を備える。なお、電磁ポンプ20は、例えば、エンジンと自動変速機とを搭載する車両における、自動変速機が備える摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)を油圧駆動するための油圧制御装置の一部として構成することができる。
【0016】
ソレノイド部30は、底付き円筒部材としてのソレノイドケース31に、電磁コイル32,可動子としてのプランジャ34,固定子としてのコア36が配置されている。ソレノイド部30は、電磁コイル32に電流を印加することにより、ソレノイドケース31,プランジャ34,コア36を磁束が周回する磁気回路を形成し、プランジャ34が吸引されてプランジャ34の先端に当接するシャフト38を押し出す。
【0017】
ポンプ部40は、ソレノイド部30からの電磁力とスプリング46の付勢力とによりピストン60を往復動させることにより作動油を圧送するピストンポンプとして構成されており、一端がソレノイド部30のソレノイドケース31に接合された中空円筒状のシリンダ50と、シリンダ50内を摺動可能に配置され基端面がソレノイド部30のシャフト38の先端に同軸上に当接するピストン60と、ピストン60の先端面に当接しソレノイド部30からの電磁力が作用する方向とは逆向きにピストン60を付勢するスプリング46と、スプリング46をピストン60の先端面とは反対側から支持しポンプ室56へ吸入する方向の作動油の流れを許可し逆方向の流れを禁止する吸入用逆止弁70と、吸入用逆止弁70の吸入口に配設され吸入される作動油に含まれるゴミなどの異物を捕捉するストレーナ90と、ピストン60に内蔵されポンプ室56から吐出する方向の作動油の流れを許可し逆方向の流れを禁止する吐出用逆止弁80と、シリンダ50内にピストン60と吐出用逆止弁80とスプリング46と吸入用逆止弁70とが配置された状態でシリンダ50の他端を覆うシリンダカバー48と、を備える。ポンプ部40は、吸入ポート42がシリンダカバー48の軸中心に形成され、吐出ポート44がシリンダ50の側面に周方向の一部を切り欠くようにして形成されている。
【0018】
ピストン60は、円筒形状のピストン本体62と、ピストン本体62よりも外径が小さく端面がソレノイド部30のシャフト38の先端に当接された円筒形状のシャフト部64と、からなる段付き形状に形成されており、ソレノイド部30のシャフト38に連動してシリンダ50内を往復動する。ピストン60には、軸中心に円筒形状の底付き中空部62aが形成されており、この中空部62aに吐出用逆止弁80が配置されている。また、中空部62aは、ピストン60の先端面からピストン本体62内部を貫通しシャフト部64内部の途中まで延伸されている。シャフト部64には、径方向に互いに90度の角度で交差する2本の貫通孔64a,64bが形成されている。シャフト部64の周囲には吐出ポート44が形成されており、中空部62aは2本の貫通孔64a,64bを介して吐出ポート44と連通する。
【0019】
吸入用逆止弁70は、シリンダ50内に嵌挿され内部に底付きの中空部72aが形成されると共にこの中空部72aの底に軸中心で中空部72aとポンプ室56とを連通させる中心孔72bが形成された弁本体72と、ボール74と、ボール74に付勢力を付与するスプリング76と、ボール74の座部をなしボール74の外径よりも小さな内径の中心孔79を有するプラグ78と、を備える。図2に吸入用逆止弁70の組み付けの様子を示し、図3に吸入用逆止弁70の組み付け後の外観を示す。吸入用逆止弁70は、図示するように、弁本体72の中空部72aに、スプリング76,ボール74の順に挿入した後、プラグ78を中空部72aに圧入することにより行なわれる。プラグ78は、弁本体72の中空部72aに圧入が可能な外径を有する円筒部78aと、円筒部78aの端縁から径方向に延伸されたフランジ部78bとを有するフランジ付きの円筒部材として形成されており、フランジ部78bの端面を覆うようにストレーナ90が取り付けられている。
【0020】
図4にストレーナ90の外観を示す。ストレーナ90は、図示するように、中心領域に多数の細孔92aが形成されてストレーナ面をなす円盤部92と、互いに120度の角度間隔をもって円盤部92の外周縁から直交方向に延びる3本の脚部94とにより構成されている。円盤部92は径方向に6本の切り欠き溝92bが形成されており、脚部94は切り欠き溝92bから屈曲されて直交方向に延びている。また、脚部94は、その先端が内方に屈曲された爪94aが形成されている。このため、ストレーナ90は、図3に示すように、3本の脚部94がフランジ部78bの外周面を囲むようにフランジ部78bに被せられると、爪94aがフランジ部78bと円筒部78aとの段差部分に引っ掛かり、脱落しないようになっている。また、ストレーナ90の脚部94は、プラグ78に取り付けられたときに、円盤部92とフランジ部78bとの互いの当接面に若干のクリアランスが確保されるよう長さが調整されている。実施例では、このようにして吸入用逆止弁70とストレーナ90を組み付けることにより、これらをサブアッシーとしている(図3参照)。
【0021】
吸入用逆止弁70は、入力側の圧力P1と出力側の圧力P2との差圧(P1−P2)がスプリング76の付勢力に打ち勝つ所定圧力以上のときには、スプリング76の収縮を伴ってボール74がプラグ78の中心孔79から離されることにより開弁し、上述した差圧(P1−P2)が所定圧力未満のときには、スプリング76の伸張を伴ってボール74がプラグ78の中心孔79に押し付けられて中心孔79を塞ぐことにより閉弁する。
【0022】
吐出用逆止弁80は、ボール84と、ボール84に対して付勢力を付与するスプリング86と、ボール84の外径よりも小さな内径の中心孔89を有する環状部材としてのプラグ88と、を備える。図5に吐出用逆止弁80の組み付けの様子を示し、図6に吐出用逆止弁80の組み付け後の外観を示す。吐出用逆止弁80は、図示するように、ピストン60の中空部62aに、スプリング86,ボール84の順に挿入した後、プラグ88を中空部62aに圧入することにより行なわれる。なお、プラグ88は、スナップリングなどの固定部材によりピストン60に固定することができる。実施例では、このようにしてピストン60に吐出用逆止弁80を組み付けることにより、これらをサブアッシーとしている(図6参照)。
【0023】
吐出用逆止弁80は、入力側の圧力(吸入用逆止弁70の出力側の圧力)P2と出力側の圧力P3との差圧(P2−P3)がスプリング86の付勢力に打ち勝つ所定圧力以上のときには、スプリング86の収縮を伴ってボール84がプラグ88の中心孔89から離されることにより開弁し、上述した差圧(P2−P3)が所定圧力未満のときには、スプリング86の伸張を伴ってボール84がプラグ88の中心孔89に押し付けられて中心孔89を塞ぐことにより閉弁する。
【0024】
シリンダ50は、内壁51とピストン60の先端面と吸入用逆止弁70のスプリング46側の面とにより囲まれる空間によりポンプ室56を形成する。ポンプ室56は、スプリング46の付勢力によりピストン60が移動すると、ポンプ室56内の容積の拡大に伴って吸入用逆止弁70が開弁すると共に吐出用逆止弁80が閉弁して吸入ポート42を介して作動油を吸入し、ソレノイド部30の電磁力によりピストン60が移動すると、ポンプ室56内の容積の縮小に伴って吸入用逆止弁70が閉弁すると共に吐出用逆止弁80が開弁して吸入した作動油を吐出ポート44を介して吐出する。
【0025】
また、シリンダ50は、ピストン本体62が摺動する内壁52と、シャフト部64が摺動する内壁54とが段差をもって形成されており、段差部分に吐出ポート44が形成されている。この段差部分は、ピストン本体62とシャフト部64との段差部分の環状の面とシャフト部64の外周面とにより囲まれる空間を形成する。この空間は、ピストン本体62を隔ててポンプ室56とは反対側に形成されるから、ポンプ室56の容積が拡大する際に容積が縮小し、ポンプ室56の容積が縮小する際に容積が拡大する。このとき、この空間の容積変化は、ピストン60のポンプ室56側からの圧力を受ける面積(受圧面積)が吐出ポート44側から圧力を受ける面積(受圧面積)よりも大きいため、ポンプ室56の容積変化よりも小さくなる。このため、この空間は第2のポンプ室58として機能する。即ち、スプリング46の付勢力によりピストン60が移動すると、ポンプ室56の容積の拡大分に相当する量の作動油が吸入ポート42から吸入用逆止弁70を介してポンプ室56に吸入される一方で第2のポンプ室58の容積の縮小分に相当する量の作動油が第2のポンプ室58から吐出ポート44を介して吐出され、ソレノイド部30の電磁力によりピストン60が移動すると、ポンプ室56の容積の縮小分に相当する量の作動油がポンプ室56から吐出用逆止弁80を介して第2のポンプ室58に送り出されると共にポンプ室56の容積の縮小分と第2のポンプ室58の容積の拡大分との差分に相当する量の作動油が吐出ポート44を介して吐出されることになる。したがって、ピストン60の一回の往復動で作動油が吐出ポート44から2回吐出されるから、吐出ムラを少なくすることができ、吐出性能を向上させることができる。
【0026】
図7は、実施例の電磁ポンプ20の組み付けの様子を示す説明図である。実施例の電磁ポンプ20の組み付けは、シリンダ50に、サブアッシー化されたピストン60および吐出用逆止弁80と、スプリング46と、サブアッシー化された吸入用逆止弁70およびストレーナ90とをこの順に挿入し、その後、シリンダカバー48を取り付けることにより行なわれる。なお、シリンダ50の外周面とシリンダカバー48の内周面は、それぞれ図示しない螺旋状の溝が彫りこまれており、シリンダカバー48の取り付けは、シリンダカバー48をシリンダ50に被せてねじ込むことにより行なわれる。シリンダカバー48が取り付けられると、シリンダカバー48の環状の押圧面48aでストレーナ90の外周縁が押圧され、ストレーナ90が固定される。
【0027】
以上説明した実施例の電磁ポンプ20によれば、ストレーナ90をストレーナ面が形成された円盤部92と円盤部92の外周縁から直交方向に延びる脚部94とにより形成し、ストレーナ90を吸入用逆止弁70のプラグ78に被せるように取り付けて吸入用逆止弁70とストレーナ90とをサブアッシー化し、シリンダ50に、ピストン60とスプリング46とサブアッシー化した吸入用逆止弁70およびストレーナ90とをこの順に挿入し、その後、シリンダカバー48を取り付けることにより電磁ポンプ20として組み付けるから、ストレーナ90のサイズが小さいものであっても、ストレーナ90の組み付けとその位置合わせを容易にすることができ、電磁ポンプ20の組み付け性をより向上させることができる。しかも、ストレーナ90の脚部94の先端に、内方に屈曲した爪94aを形成するから、ストレーナ90をプラグ78に取り付けた際にストレーナ90の脱落を抑制することができる。さらに、プラグ78(フランジ部78b)に取り付けた際にストレーナ90とフランジ部78bとの互いの当接面に若干のクリアランスが確保されるよう脚部94の長さを調整しているから、サブアッシー化された吸入用逆止弁70およびストレーナ90をシリンダ50内に配置してシリンダカバー48を取り付けた際にシリンダカバー48の押圧面48aによりストレーナ90の外周縁を均一な圧力で押圧して固定することができる。また、ストレーナ90の円盤部92に切り欠き溝92bを形成し、脚部94を切り欠き溝92bから延びるように形成したから、脚部94を円盤部92の直交方向に成形し易くすることができる。
【0028】
また、実施例の電磁ポンプ20によれば、ピストン60に吐出用逆止弁80を予め組み付けてサブアッシー化してから、ピストン60および吐出用逆止弁80をシリンダ50内に配置するから、電磁ポンプ20の組み付け性をさらに向上させることができる。
【0029】
実施例の電磁ポンプ20では、ストレーナ90に3本の脚部94を形成するものとしたが、4本や5本とするなど、脚部の数は複数であれば何本であっても構わない。
【0030】
実施例の電磁ポンプ20では、3本の脚部94がプラグ78の外周面を囲むようにストレーナ90に脚部94を形成するものとしたが、プラグ78の外周面を完全に覆うようにストレーナ90に側壁を形成するものとしてもよい。
【0031】
実施例の電磁ポンプ20では、ストレーナ90の脚部94の先端に内方に屈曲した爪94aを設けるものとしたが、爪94aを設けないものとしても構わない。
【0032】
実施例の電磁ポンプ20では、ストレーナ90を吸入用逆止弁70に予め取り付けてサブアッシー化してからこれらをシリンダ50内に組み付けるものとしたが、別々に組み付けるものとしても構わない。
【0033】
実施例の電磁ポンプ20では、ストレーナ90の脚部94を、プラグ78(フランジ部78b)に取り付けた際にストレーナ90とフランジ部78bとの互いの当接面に若干のクリアランスが確保されるよう長さを調整するものとしたが、クリアランスを確保しないものとしても構わない。
【0034】
実施例の電磁ポンプ20では、ストレーナ90の円盤部92に切り欠き溝92bを形成するものとしたが、切り欠き溝92bを形成しないものとしてもよい。
【0035】
実施例の電磁ポンプ20では、ピストン60に吐出用逆止弁80を予め内蔵させてサブアッシー化してからこれらをシリンダ50内に組み付けるものとしたが、別々に組み付けるものとしても構わない。また、吐出用逆止弁70をピストン60に内蔵するものとしたが、例えば、シリンダ50外のバルブボディに組み込むなど、吐出用逆止弁80をピストン60に内蔵しないものとしても構わない。
【0036】
実施例の電磁ポンプ20では、ピストン60の一回の往復動で作動油を吐出ポート44から2回吐出するタイプの電磁ポンプとして構成するものとしたが、これに限定されるものではなく、ソレノイド部からの電磁力によりピストンを往動させる際に吸入ポートから作動油をポンプ室に吸入しスプリングの付勢力によりピストンを復動させる際にポンプ室内の作動油を吐出ポートから吐出するものとしたり、スプリングの付勢力によりピストンを復動させる際に吸入ポートから作動油をポンプ室に吸入しソレノイド部からの電磁力によりピストンを往動させる際にポンプ室内の作動油を吐出ポートから吐出するものとするなど、ピストンの往復動に伴って作動流体を吐出することができるものであれば、如何なるタイプの電磁ポンプとしても構わない。
【0037】
実施例の電磁ポンプ20では、自動車に搭載される自動変速機のクラッチやブレーキを油圧駆動するための油圧制御装置に用いるものとしたが、これに限られず、例えば、燃料を移送したり、潤滑用の液体を移送するなど、如何なるシステムに適用するものとしても構わない。
【0038】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、シリンダ50が「シリンダ」に相当し、ピストン60が「ピストン」に相当し、ソレノイド部30が「電磁部」に相当し、スプリング46が「付勢部材」に相当し、ストレーナ90が「ストレーナ部材」に相当し、吸入用逆止弁70が「吸入用逆止弁」に相当し、プラグ78のフランジ部78aが「載置部」に相当し、シリンダカバー48が「カバー部材」に相当する。また、プラグ78が「段付き筒状部材」に相当する。また、弁本体72が「本体」に相当し、スプリング76が「第2の付勢部材」に相当し、プラグ78が「プラグ」にも相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電磁ポンプの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
20 電磁ポンプ、30 ソレノイド部、31 ソレノイドケース、32 電磁コイル、34 プランジャ、36 コア、38 シャフト、40 ポンプ部、42 吸入ポート、44 吐出ポート、46 スプリング、48 シリンダカバー、48a 押圧面、50 シリンダ、51,52,54 内壁、56 ポンプ室、58 第2のポンプ室、60 ピストン、62 ピストン本体、62a 中空部、64 シャフト部、64a,64b 貫通孔、70 吸入用逆止弁、72 弁本体、72a 中空部、72b 中心孔、74 ボール、76 スプリング、78 プラグ、78a 円筒部、78b フランジ部、79 中心孔、80 吐出用逆止弁、84 ボール、86 スプリング、88 プラグ、89 中心孔、90 ストレーナ、92 円盤部、92a 細孔、92b 切り欠き溝、94 脚部、94a 爪。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内をピストンが往復動することにより作動流体を圧送する電磁ポンプであって、
前記ピストンを押圧する電磁力を発生させる電磁部と、
前記ピストンを電磁力とは逆方向に付勢する付勢部材と、
ストレーナ面が形成された盤状の盤状部と、該盤状部の外周縁から延びる側部とを有するストレーナ部材と、
筒形状に形成され筒側面を前記側部が囲むようにして前記ストレーナ部材が被せられる載置部を有し、前記ストレーナ面を介して作動流体を吸入可能な吸入用逆止弁と、
前記シリンダの端部を覆うカバー部材と、
を備え、
前記シリンダ内に前記電磁部とは反対側から前記ピストンと前記付勢部材と前記吸入用逆止弁と前記ストレーナ部材とがこの順に挿入され、前記ストレーナ面を押圧するように前記カバー部材が取り付けられてなる
ことを特徴とする電磁ポンプ。
【請求項2】
前記ストレーナ部材は、前記吸入用逆止弁に組み付けられた状態で前記シリンダ内に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
【請求項3】
請求項2記載の電磁ポンプであって、
前記吸入用逆止弁は、筒状の第1の筒状部と、前記載置部が形成され前記第1の筒状部よりも外径が大きな筒状の第2の筒状部とが形成された段付き筒状部材を有し、
前記側部は、前記第2の筒状部の外周よりも内方に屈曲された爪が形成され、
前記ストレーナ部材は、前記爪を前記段付き筒状部材の段差に引っ掛けることにより前記吸入用逆止弁に組み付けられてなる
ことを特徴とする電磁ポンプ。
【請求項4】
前記ストレーナ部材は、前記盤状部の面に直交する方向に所定のクリアランスをもって前記爪が前記段付き筒状部材の段差に引っ掛けられてなることを特徴とする請求項3記載の電磁ポンプ。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の電磁ポンプであって、
前記吸入用逆止弁は、中空部を有し前記ピストン側の面で前記付勢部材を支持する本体と、前記中空部に配置されるボールおよび第2の付勢部材と、前記ボールの座部をなし前記中空部に前記ボールおよび前記第2の付勢部材が配置された状態で該中空部に圧入されるプラグと、を備え、
前記載置部は、前記プラグに形成されてなる
ことを特徴とする電磁ポンプ。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の電磁ポンプであって、
前記ピストンに内蔵され、前記吸入用逆止弁を介して吸入された作動流体を吐出可能な吐出用逆止弁を備え、
前記ピストンは、前記吐出用逆止弁が組み付けられた状態で前記シリンダに配置されてなることを特徴とする電磁ポンプ。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1項に記載の電磁ポンプであって、
前記側部は、前記載置部の筒側面を所定間隔をもって囲む複数本の脚部として形成されてなる
ことを特徴とする電磁ポンプ。
【請求項8】
請求項7記載の電磁ポンプであって、
前記盤状部は、外周縁から径方向に切り欠き溝が形成され、
前記脚部は、前記切り欠き溝から延びるよう形成されてなる
ことを特徴とする電磁ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−44290(P2013−44290A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183004(P2011−183004)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】