説明

電磁波遮蔽材料用感光材料及び電磁波遮蔽材料の製造方法

【課題】製造時(感光材料の塗布乾燥、巻き取り、露光、及び現像処理等)のプレッシャーカブリ抑制し、透明性を向上した電磁波遮蔽材料の製造方法。
【解決手段】透明支持体上に設けられた少なくとも1層以上のハロゲン化銀を含む感光性層を露光し、現像処理することにより金属メッシュ層を形成する電磁波遮蔽材料用感光材料において、該支持体と該感光性層との間に、ハロゲン化銀を含まない非感光性層を設け、かつ下記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする電磁波遮蔽材料用感光材料。
0.1<A1/A2<3.0・・・(1)
0.0<B1/B2<1.2・・・(2)
式中、非感光性層及び感光性層の乾燥膜厚をそれぞれA1、A2、非感光性層及び感光性層のスクラッチ強度をそれぞれB1、B2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、電子レンジ、CRT及びフラットパネルディスプレイなどの電子機器から発生する電磁波や、無線LANなどに用いられる電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽材料用感光材料及び電磁波遮蔽材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパソコン、TVなどに用いられるディスプレイ装置などに代表されるような電子機器の使用機会が増加しているが、これらの電子機器からは一般的に電磁波が放出され、それにより、電子、電気機器の誤動作、障害あるいは人体に対しても害を与える可能性があるなど、いわゆる電磁波障害(EMI)が生じることが知られている。それに伴い、このようなEMIを低減する必要性が高まっており、欧米を中心に電磁波放出の強さに関する規格又は規制が設けられ、最近の電子機器にはこれらの基準を満たすことが求められている。
【0003】
また、無線LAN技術の進歩により、複雑な配線を行わなくても電子機器間で情報の送受信を行うことができるようになり利便性が高まった一方で、電磁波の盗聴による機密漏洩の危険性や、無線電磁波の相互干渉による伝送スピードの遅れ発生など、解決を望まれる課題が存在している。
【0004】
電磁波を遮蔽する方法として、例えば高い誘電損失,導電損失,磁性損失を示すいわゆる電磁波吸収材料を用いる方法が知られている。しかし、これらの材料は、一般的に不透明であるため、CRTやフラットパネルディスプレイ、あるいは窓ガラスのように視認性を必要とする機材には用いることができず、その用途は限られていた。
【0005】
電磁波遮蔽性能と、透明性を両立させる手段として、例えば銀などの導電性材料の薄膜をスパッタ法などにより透明基材上に形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかし、これら金属薄膜の場合には、高い電磁波遮蔽性能を付与するためには金属薄膜層の厚さを厚くする必要があり、その場合透過率が低下してしまい、高い電磁波遮蔽性能と透過率の両立は困難であった。またスパッタ法は一般に真空環境を必要とするため、生産性向上の観点からの課題も挙げられていた。
【0007】
高い電磁波遮蔽性能と透過率を両立できる電磁波遮蔽材料として、導電性パターンを用いる材料があり、その具現化手段として様々な方法が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。しかし、いずれも作製方法が煩雑であり、大量生産するための連続生産性という観点からは技術が不十分であり、改良が望まれていた。また、導電性パターンを用いた電磁波遮蔽材料の中でも、感光性ハロゲン化銀への露光、現像プロセスを利用して導電性パターンを作製する方法は、パターンの形成が容易であり、しかも安価に大量に透明電磁波遮蔽材料を作製できる有用な方法として公開されている。
【0008】
その中の一つとして、感光性ハロゲン化銀への露光、現像プロセスを利用した別な方法として、ハロゲン化銀乳剤層に露光・現像を行い直接的に現像銀を形成して、それを触媒としてめっき等を行うことにより導電性パターンを作製した電磁波遮蔽材料が知られている(例えば、特許文献5〜7参照。)。これらの材料においては、感光性ハロゲン化銀乳剤を支持体上に保持するためバインダーを用いるが、導電性を高めるため、Ag/バインダー比をできるだけ高くする方が好ましいとされている。
【0009】
このように感光性ハロゲン化銀粒子を有する感光材料を利用して透明電磁波遮蔽材料を作製する方法が知られており、その一部は実用化され始めている。
【0010】
しかし、このような透明性の高い電磁波遮蔽材料は、例えばプラズマディスプレイパネルのようなフラットディスプレイパネルに用いたり、あるいはオフィスの窓ガラスに用いるなど、その透過性を生かしてフィルムの向こう側にあるものがはっきりと見えることが期待される。
【0011】
しかし、Ag/バインダー比の高い感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光材料を用いた場合、取扱時の擦り傷や圧力によりカブリを生じ、像の視認性が低下するという現象があった。
【0012】
これらのカブリを減少させる方法として、ハロゲン化銀乳剤層の上側に保護層を形成し感光材料を用いることにより、シールド性、透明性の両立を図った透光性電磁波シールド膜の製造方法が開示されている(例えば、特許文献8参照。)。
【0013】
しかしながら、その効果は十分では無く、更なる改善が強く望まれていた。
【特許文献1】特開2004−179405公報
【特許文献2】特開平5−327274号公報
【特許文献3】特開平11−170421号公報
【特許文献4】特開2003−23290号公報
【特許文献5】特開2004−221564号公報
【特許文献6】特開2004−221565号公報
【特許文献7】国際公開特許01/51276号パンフレット
【特許文献8】特開2006−12935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、第1に塗布、乾燥、巻き取り等の電磁波遮蔽材料用感光材料の製造工程におけるプレッシャーカブリや、露光、現像等の電磁波遮蔽材料形成の処理時のプレッシャーカブリを抑制することを目的とするものであり、更には形成された電磁波遮蔽材料の遮蔽性と透明性の両立を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
【0016】
1.透明支持体上に設けられた少なくとも1層以上のハロゲン化銀を含む感光性層を露光し、現像処理することにより金属メッシュ層を形成する電磁波遮蔽材料用感光材料において、該透明支持体と該感光性層との間に、ハロゲン化銀を含まない非感光性層を設け、かつ次式(1)、(2)を満たすことを特徴とする電磁波遮蔽材料用感光材料。
【0017】
0.1<A1/A2<3.0・・・(1)
0.0<B1/B2<1.2・・・(2)
式中、非感光性層及び感光性層の乾燥膜厚をそれぞれA1、A2、非感光性層及び感光性層のスクラッチ強度をそれぞれB1、B2とする。
【0018】
2.前記非感光性層が親水性バインダーにより形成されていることを特徴とする前記1に記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【0019】
3.前記非感光性層に、該親水性バインダーに相溶性の無い材料が分散添加されていることを特徴とする前記2記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【0020】
4.前記親水性バインダーに相溶性の無い材料がポリマーラテックスであることを特徴とする前記3記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【0021】
5.前記親水性バインダーに相溶性の無い材料が油滴であることを特徴とする前記3記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【0022】
6.前記1〜5の何れか1項に記載の電磁波遮蔽材料用感光材料を露光、現像、定着処理を行い、金属メッシュを形成することを特徴とする電磁波遮蔽材料の製造方法。
【0023】
7.前記定着処理後、更に物理現像及びめっき処理を行うことを特徴とする前記6に記載の電磁波遮蔽材料の製造方法。
【発明の効果】
【0024】
従来の層構成(ハロゲン化銀感光性層1層)に対し、支持体とハロゲン化銀乳剤層との間に衝撃吸収層として非感光性層を設けることで、感光性層の塗布乾燥、巻き取り、及び露光、現像処理時の搬送におけるプレッシャーカブリを抑制できることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0026】
本発明は、透明支持体上に設けられた少なくとも1層以上のハロゲン化銀を含む感光性層を露光し、現像処理することにより金属メッシュ層を形成する電磁波遮蔽材料用感光材料において、該支持体と該感光性層との間に、ハロゲン化銀を含まない非感光性層を設け、かつ下記式(1)、(2)を満たすことにより、プレッシャーカブリを大きく低減出来ることを見出したものである。
【0027】
0.1<A1/A2<3.0・・・(1)
0.0<B1/B2<1.2・・・(2)
式中、非感光性層及び感光性層の乾燥膜厚をそれぞれA1、A2、非感光性層及び感光性層のスクラッチ強度をそれぞれB1、B2とする。
【0028】
本発明の感光性ハロゲン化銀を含有する電磁波遮蔽材料用感光材料の作製について、順次説明する。
【0029】
本発明においては、透明支持体上にハロゲン化銀を含有しない非感光性層を有し、その上に感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有するハロゲン化銀乳剤含有層を少なくとも1層以上設けられているが、ハロゲン化銀乳剤含有層は、この他に、硬膜剤、硬調化剤、活性剤等を含有することができる。
【0030】
〔透明支持体〕
本発明においては、透明支持体として例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等を用いることができる。また、これらプラスチックフィルム以外に、石英ガラス、ソーダガラス等も用いることが可能である。
【0031】
中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
【0032】
本発明においては、透明性、等方性、接着性等の観点から、透明支持体としてはセルロースエステルフィルムまたはポリエステルフィルムを用いることが特に好ましい。
【0033】
本発明の電磁波遮蔽材料をディスプレイの表示画面に用いる場合には、高い透明性が要求されるため、支持体自体の透明性も高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはガラス板の全可視光域の平均透過率は好ましくは85〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。また、本発明では、色調調節剤として前記プラスチックフィルムまたはガラス板を本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0034】
本発明に用いる支持体の厚さには特に制限はないが、透過率の維持及び取り扱い性の観点から、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。
【0035】
〔非感光性層〕
透明支持体上に、衝撃吸収層となる非感光性層を形成する材料としては、特に制限はないが、その上に形成される感光性層との接着性や衝撃吸収性を考慮して選択することが必要であり、後述するハロゲン化銀粒子を含有する感光性層の形成に用いられる水溶性或いは非水溶性のバインダー及び硬膜剤を用いることが好ましい。
【0036】
更に、非感光性層には親水性バインダーが用いられることが好ましい。また、非感光性層には、親水性バインダーと共に、親水性バインダーとは相溶性の無い材料が分散物として分散されていることが好ましく、相溶性の無い材料としては油滴やポリマーラテックスが好ましい材料として挙げられる。
【0037】
油滴としては、パラフィンワックス、カルナウバワックス、高沸点有機溶媒、例えばDBP(ジブチルフタレート)やTCP(トリクレジルホスフェート)等を挙げることができる。
【0038】
ポリマーラテックスとしては、エチレン性不飽和基を有するモノマーを乳化重合により得られるポリマーラテックスを挙げることが出来る。
【0039】
非感光層にこれらの材料を分散物として含有させることにより、本発明の衝撃吸収層の効果をより高めることができ、感光性層のプレッシャーカブリをより効果的に低減することが出来る。
【0040】
〔ハロゲン化銀乳剤含有層〕
本発明において、非感光性層の上に形成される感光性層には感光性ハロゲン化銀が含有される。感光性ハロゲン化銀の含有量は、銀換算で0.05g/m2以上3g/m2未満である態様が好ましく、特に好ましくは銀換算で0.3g/m2以上1g/m2未満である態様である。感光性ハロゲン化銀の含有量が0.05g/m2未満の場合、電磁波遮蔽性能を十分に得ることが困難になりやすい。これは、後述する物理現像または金属めっき処理の触媒となる現像銀核の量が不十分となり、有効な導電性メッシュを形成しにくくなるためと推定される。また、感光性ハロゲン化銀の含有量が3g/m2以上である場合、バインダーに対するハロゲン化銀の量が相対的に多くなるため、被膜が脆弱になりやすく、十分な被膜強度を維持することが困難となる。
【0041】
本発明において、感光性層のバインダー量は10mg/m2以上0.2g/m2以下の場合が、導電性と被膜物性の両立という観点から特に好ましい態様である。バインダー量が10mg/m2未満の場合、バインダーに対するハロゲン化銀の量が相対的に多くなるため、被膜が脆弱になりやすく、十分な被膜強度を維持することが困難となる。また、バインダー量が0.1g/m2より多い場合には、感光性ハロゲン化銀粒子の粒子間距離が大きくなるため、現像銀ネットワークが形成されにくくなり、有効な導電性メッシュを形成しにくくなるとともに、温度、湿度変化に対する耐久性も不十分となり本発明の効果が得られなくなる。
【0042】
〔ハロゲン化銀粒子〕
本発明で用いられるハロゲン化銀粒子の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、導電性のよい金属銀を得るためには、感度の高い微粒子が好ましく、沃臭化銀粒子が好ましく用いられる。沃素を多く含むようにすると感度も高く微粒子にすることができる。
【0043】
ハロゲン化銀粒子が現像され金属銀粒子になった後の表面比抵抗を下げ、電磁波を効率的に遮蔽するためには、現像銀粒子同士の接触面積ができるだけ大きくなる必要がある。そのためには表面積比を高めるためにハロゲン化銀粒子サイズが小さい程よいが、小さすぎる粒子は凝集して大きな塊状になりやすく、その場合接触面積は逆に少なくなってしまうので最適な粒子径が存在する。本発明において、ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、球相当径で0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μmである。なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径を表す。ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、ハロゲン化銀粒子の調製時の温度、pAg、pH、銀イオン溶液とハロゲン溶液の添加速度、粒子径コントロール剤(例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、テトラザインデン化合物類、核酸誘導体類、チオエーテル化合物類等)を適宜組み合わせて制御することができる。
【0044】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、3角形平板状、4角形平板状等)、8面体状、14面体状等、さまざまな形状であることができる。感度を高くするためにアスペクト比が2以上や4以上、さらに8〜16であるような平板粒子も好ましく使用することができる。粒子サイズの分布には特に限定はないが、露光によるパターン形成時に、パターンの輪郭をシャープに再現させ、高い導電性を維持しながら透明性を高めるという観点からは、狭い分布が好ましい。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、さらに好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0045】
変動係数=S/R
(式中、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、さらに他の元素を含有していてもよい。例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特に鉄イオン、ロジウムイオン、ルテニウムイオンやイリジウムイオン等の第8〜10族金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。
【0046】
これらの金属イオンは、塩や錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることもできる。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等を挙げることができる。具体的な化合物の例としては、臭化ロジウム酸カリウムやイリジウム酸カリウム等が挙げられる。
【0047】
本発明において、ハロゲン化銀に含有される前記金属イオン化合物の含有率は、ハロゲン化銀1モル当たり、10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
【0048】
ハロゲン化銀粒子に上述の金属イオンを含有させるためには、該金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の場所で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体あるいは一部にわたって連続的に行うことができる。
【0049】
本発明では、さらに感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感としては、例えば、金、パラジウム、白金増感等の貴金属増感、無機イオウ、または有機イオウ化合物によるイオウ増感等のカルコゲン増感、塩化錫、ヒドラジン等還元増感等を利用することができる。
【0050】
また、ハロゲン化銀粒子には分光増感を施すことが好ましい。
【0051】
好ましい分光増感色素としては、シアニン、カルボシアニン、ジカルボシアニン、複合シアニン、ヘミシアニン、スチリル色素、メロシアニン、複合メロシアニン、ホロポーラー色素等を挙げることができ、当業界で用いられている分光増感色素を単用あるいは併用して使用することができる。
【0052】
特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素である。これらの色素類には、その塩基性異節環核として、シアニン色素類に通常利用される核の何れをも通用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核及びこれらの核に脂環式炭化水素環が融合した核、及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核等である。これらの核は、炭素原子上で置換されてもよい。
【0053】
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核等の5から6員異節環核を適用することができる。
【0054】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組み合わせを用いてもよい。増感色素の組み合わせは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。
【0055】
これらの増感色素をハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、プロパノール、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤へ添加してもよい。また、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22089号等に記載のように、酸または塩基を共存させて水溶液としたり、米国特許第3,822,135号、同第4,006,025号等に記載のようにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤へ添加してもよい。また、フェノキシエタノール等の実質上水と非混和性の溶媒に溶解した後、水または親水性コロイド分散したものを乳剤に添加してもよい。特開昭53−102733号、同58−105141号に記載のように親水性コロイド中に直接分散させ、その分散物を乳剤に添加してもよい。
【0056】
〔バインダー〕
本発明に係る感光性層において、ハロゲン化銀粒子を均一に分散させ、かつハロゲン化銀粒子を支持体上の非感光性層上に担持し、ハロゲン化銀乳剤含有層と非感光性層の接着性を確保する目的でバインダーを用いる。本発明に用いることができるバインダーには、特に制限がなく、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれも用いることができるが、現像性向上の観点からは、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
【0057】
本発明に係る感光性層には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0058】
〔硬膜剤〕
前述の非感光性層及び感光性層を支持体上に塗布形成し、本発明に係る感光材料が形成される。非感光性層及び感光性層の乾燥膜厚およびスクラッチ硬度を特定の範囲とするため硬膜剤が用いられる。
【0059】
用いられる硬膜剤としては特に限定されないが、従来のハロゲン化銀写真感光材料に用いられたアルデヒド系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、クロロ−s−トリアジン系、アクリロイル系等の硬膜剤が好ましく用いられる。
【0060】
(紫外線吸収剤)
本発明においては、電磁波遮蔽材料の紫外線による劣化を避けるために紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
【0061】
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物等を好ましく使用することができる。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。これら紫外線吸収剤の添加層については特に制限はないが、ハロゲン化銀乳剤含有層に用いられるバインダーの紫外線による劣化を防止するという観点から、ハロゲン化銀乳剤含有層への直接添加、あるいはハロゲン化銀乳剤含有層よりも外光に近い方に設けられる態様が好ましい。ハロゲン化銀乳剤含有層あるいは、それに隣接する層に添加する場合は、好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、例えば特開平1−250944号公報記載の一般式[III−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物などが好ましく用いられる。これらの紫外線吸収剤は、例えばジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等の燐酸エステル類などに代表される高沸点有機溶媒に分散した形で添加する態様が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤を支持体中に直接添加する態様も好ましく用いられ、この場合、例えば特表2004−531611号に記載されたような態様も好ましく用いることができる。
【0062】
〔硬調化剤〕
本発明においては、エッジが明瞭な導電性パターンを描くために、感光材料は硬調である態様が好ましく、その方法として、塩化銀含有量を高くして粒径の分布を狭くする方法、あるいはヒドラジン化合物やテトラゾリウム化合物を硬調化剤として使用することが好ましい。ヒドラジン化合物は、−NHNH−基を有する化合物であり、代表的なものを下記一般式(1)で示す。
【0063】
一般式(1) T−NHNHCO−V、T−NHNHCOCO−V
式中、Tは各々置換されてもよいアリール基、ヘテロ環基を表す。Tで表されるアリール基はベンゼン環やナフタレン環を含むもので、この環は置換基を有してもよく、好ましい置換基として直鎖、分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ドデシル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数2〜21のメトキシ基、エトキシ基等)、脂肪族アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜21のアルキル基を持つ、アセチルアミノ基、ヘプチルアミノ基等)、芳香族アシルアミノ基等が挙げられ、これらの他に、例えば上記のような置換または未置換の芳香族環が−CONH−、−O−、−SO2NH−、−NHCONH−、−CH2CH=N−、等の連結基で結合しているものも含む。Vは水素原子、置換されてもよいアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル、トリフロロメチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(ピリジル基、ピペリジル基、ピロリジル基、フラニル基、チオフェン基、ピロール基等)を表す。
【0064】
上述のヒドラジン化合物は、米国特許第4,269,929号の記載を参考にして合成することができる。ヒドラジン化合物はハロゲン化銀粒子含有層中、またはハロゲン化銀粒子含有層に隣接する親水性コロイド層中、さらには他の親水性コロイド層中に含有せしめることができる。
【0065】
特に好ましいヒドラジンの化合物を下記に挙げる。
(H−1):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{〔4−(3−n−ブチルウレイド)フェニル〕}ヒドラジン
(H−2):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{4−〔2−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−3):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−4):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニルスルホンアミドフェニル}ヒドラジン
(H−5):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−(4−(3−(4−クロロフェニル−4−フェニル−3−チア−ブタンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニル)ヒドラジン
(H−6):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジン
(H−7):1−(1−メチレンカルボニルピリジニウム)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジンクロライド。
【0066】
硬調化剤としてヒドラジンを使用するときに、ヒドラジンの還元作用を強化するためにアミン化合物またはピリジン化合物を好ましく用いることができる。ヒドラジン化合物の還元作用を促進するアミン化合物としては、分子中にピペリジン環またはピロリジン環が少なくとも1個、チオエーテル結合が少なくとも1個、エーテル結合が少なくとも2個あることが特に好ましい。
【0067】
ヒドラジンの還元作用を促進する化合物として、上述のアミン化合物の他にピリジニウム化合物やホスホニウム化合物も好ましく用いることができる。オニウム化合物は、正電荷を帯びているため、負電荷に帯電しているハロゲン化銀粒子に吸着して、現像時の現像主薬からの電子注入を促進することにより硬調化を促進するものと考えられている。好ましいピリジニウム化合物は、特開平5−53231号、同6−242534号のビスピリジニウム化合物を参照することができる。特に好ましいピリジニウム化合物は、ピリジニウムの1位または4位で連結してビスピリジニウム体を形成しているものである。塩としては、ハロゲンアニオンとして、塩素イオンや臭素イオン等が好ましく、他に4フッ化ほう素イオン、過塩素酸イオン等が挙げられるが、塩素イオンまたは4フッ化ほう素イオンが好ましい。
【0068】
ヒドラジン化合物、アミン化合物、ピリジニウム化合物、及びテトラゾリウム化合物はハロゲン化銀1モル当たり1×10-6〜5×10-2モル含有するのが好ましく、特に1×10-4〜2×10-2モルが好ましい。これらの化合物の添加量を調節して硬調化度γを6以上にすることは容易である。
【0069】
これらの化合物はハロゲン化粒子を含む層または他の親水性コロイド層に添加して使用する。水溶性の場合には水溶液にして、水不溶性の場合にはアルコール類、エステル類、ケトン類等の水に混和しうる有機溶媒の溶液としてハロゲン化銀粒子溶液または親水性コロイド溶液に添加すればよい。また、これらの有機溶媒に溶けないときには、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等で0.01〜10μmの大きさの微粒子にして添加することができる。微粒子分散の方法は、写真添加剤である染料の固体分散の技術を好ましく応用することができる。例えば、ボールミル、遊星回転ボールミル、振動ボールミル、ジェットミル等の分散機を使用して所望の粒子径にすることができる。分散時に界面活性剤を使用すると分散後の安定性を向上させることができる。
【0070】
〔感光材料の作製〕
前述の透明支持体上に、前述の非感光性層及びハロゲン化銀を含有する感光性層を塗布して、電磁波遮蔽材料用感光材料が形成される。塗布方法としては、従来のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法に用いられる単層毎の塗布乾燥であっても、同時重層塗布で有ってもよく、また、乾燥方法も従来公知の方法を用いることが出来る。
【0071】
〔露光〕
本発明に係るハロゲン化銀乳剤含有層を有する感光材料においては、後述する現像・補力処理により、導電性パターンを形成するために、感光材料の露光を行う。露光に用いられる光源としては例えば、可視光線、紫外線等の光、電子線、X線等の放射線等が挙げられるが、紫外線または近赤外線を用いることが好ましい。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、波長分布の狭い光源を用いてもよい。
【0072】
可視光線は必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
【0073】
また、本発明では、露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、迅速なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、迅速、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
【0074】
レーザー光源としては、具体的には、紫外半導体、青色半導体レーザー、緑色半導体レーザー、赤色半導体レーザー、近赤外レーザー等が好ましく用いられる。
【0075】
ハロゲン化銀乳剤含有層を画像状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた集光式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、面々接触露光、近接場露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることができる。露光に用いられるレーザーの出力は、ハロゲン化銀粒子の感度、露光スピード、装置の光学系により異なるが、概ね数十μW〜5W程度である態様が好ましい。
【0076】
〔現像処理〕
本発明では、感光材料を露光した後、現像処理が行われる。現像処理は、発色現像主薬を含有しない、いわゆる黒白現像処理であることが好ましい。
【0077】
現像処理液としては、現像主薬としてハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム、クロルハイドロキノン等のハイドロキノン類の他に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン等のピラゾリドン類及びN−メチルパラアミノフェノール硫酸塩等の超加成性現像主薬と併用することができる。また、ハイドロキノンを使用しないでアスコルビン酸やイソアスコルビン酸等レダクトン類化合物を上記超加成性現像主薬と併用することが好ましい。
【0078】
また、現像処理液には保恒剤として亜硫酸ナトリウム塩や亜硫酸カリウム塩、緩衝剤として炭酸ナトリウム塩や炭酸カリウム塩、現像促進剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロパンジオール等を適宜使用できる。
【0079】
現像処理で用いられる現像処理液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチルベンゾトリアゾール等の含窒素ヘテロ環化合物を挙げることができる。
【0080】
本発明においては、露光後に行われる現像処理が、定着前物理現像を含んでいることが好ましい。ここで言う定着前物理現像とは、後述の定着処理を行う前に、露光により潜像を有するハロゲン化銀粒子の内部以外から銀イオンを供給し、現像銀を補強するプロセスのことを示す。現像処理液から銀イオンを供給するための具体的な方法としては、例えば予め現像処理液中に硝酸銀等を溶解しておき銀イオンを溶かしておく方法、あるいは現像液中に、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム等のようなハロゲン化銀溶剤を溶解しておき、現像時に未露光部のハロゲン化銀を溶解させ、潜像を有するハロゲン化銀粒子の現像を補力する方法等が挙げられる。
【0081】
本発明においては、現像液中に予めハロゲン化銀溶剤を溶解しておく処方を用いた方が、未露光部でのカブリ発生による、フィルムの透過率低下を抑制できるため好ましい。
【0082】
本発明における現像処理においては、露光されたハロゲン化銀粒子の現像終了後に、未露光部分のハロゲン化銀粒子を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を行う。本発明における定着処理は、ハロゲン化銀粒子を用いた写真フィルムや印画紙等で用いられる定着液処方を用いることができる。定着処理で使用する定着液は、定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等を使用することができる。定着時の硬膜剤として硫酸アルミウム、硫酸クロミウム等を使用することができる。定着剤の保恒剤としては、現像処理液で述べた亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸等を使用することができ、その他にクエン酸、蓚酸等を使用することができる。
【0083】
本発明に使用する水洗水には、防黴剤としてN−メチル−イソチアゾール−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−5−クロロ−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−4,5−ジクロロ−3−オン、2−ニトロ−2−ブロム−3−ヒドロキシプロパノール,2−メチル−4−クロロフェノール、過酸化水素等を使用することができる。
【0084】
〔補力処理〕
本発明においては、上述の現像処理によって形成された現像銀同士の接触を補助し、導電性を高めるために補力処理を行うことが好ましい。本発明において補力処理とは、現像処理中、あるいは処理後に、予め感光材料中に含有されていない導電性物質源を外部から供給し、導電性を高める処理のことを指し、具体的な方法としては、例えば物理現像、あるいはめっき処理等を挙げることができる。物理現像は、潜像を有するハロゲン化銀乳剤を含有する感光材料を、銀イオンあるいは銀錯イオンと還元剤を含有する処理液に浸漬することで、これを施すことができる。本発明においては、物理現像の現像開始点が潜像核だけでなく、現像銀が物理現像開始点となった場合についても物理現像と定義し、これを好ましく用いることができる。
【0085】
本発明において、めっき処理には従来公知の種々のめっき方法を用いることができ、例えば電解めっき及び無電解めっきを単独、あるいは組み合わせて実施することができる。中でも、めっき効率が高く、不要な部分へのめっき付着による透過率の低下が発生しにくい電解めっきを好ましく用いることができる。電解めっきに用いることができる金属としては、例えば銅、ニッケル、コバルト、すず、銀、金、白金、その他各種合金を用いることができるが、めっき処理が比較的容易であり、かつ高い導電性を得やすいという観点から、電解銅めっきを用いることが特に好ましい。
【0086】
なお、補力処理は現像中、現像後定着前、定着処理後のいずれのタイミングにおいても実施可能であるが、フィルムの透明性を高く維持するという観点から、定着処理後に実施することが好ましい。
【0087】
本発明において、物理現像または金属めっきにより付与された金属量が、感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍以上100倍以下である態様が好ましい。この値は、物理現像または金属めっきを施す前後において、感光材料中に含有される金属を、例えば蛍光X線分析などで定量することによって求めることができる。物理現像または金属めっきにより付与された金属量が、感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍未満である場合、導電性がやや低下する傾向となりやすく、また、100倍より大きい場合には、導電性パターン部以外の不要な部分への金属析出による透過率の低下が生じやすい傾向となる。
【0088】
尚、本発明においては、物理現像または金属めっきという記載は、物理現像またはめっき処理の少なくとも1方の処理を施すことを意味し、物理現像及び金属めっきの両方を含んでも良いことを意味し、本発明においては物理現像及び金属めっきの両方の処理を施すことが好ましい。
【0089】
〔酸化処理〕
本発明においては、現像処理あるいは物理現像またはめっき処理後に酸化処理を行うことが好ましい。酸化処理により、不要な金属成分をイオン化して溶解除去することが可能となり、フィルムの透過率をより高めることが可能となる。
【0090】
酸化処理に用いる処理液としては、例えばFe(III)イオンを含む水溶液を用いて処理する方法、あるいは過酸化水素、過硫酸塩、過硼酸塩、過燐酸塩、過炭酸塩、過ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、有機過酸化物等の過酸化物を含む水溶液を用いて処理する方法など、従来公知の酸化剤を含有する処理液を用いることができる。酸化処理は、現像処理終了後から、めっき処理前の間に行われる態様が、短時間処理で効率的に透過率向上を行うことができるため好ましい態様であり、特に好ましくは、物理現像終了後に行う態様である。
【0091】
(黒化処理)
本発明においては、フィルム表面での外光反射を防止するという観点から、金属めっき処理終了後に黒化処理を施すことが好ましい。このような黒化処理を施した透明電磁波遮蔽材料を例えばPDPなどのディスプレイに用いた場合、外光反射によるコントラストの低下を軽減できるとともに、非使用時の画面の色調を黒く高品位に保つことができ好ましい。黒化処理の方法としては、特に制限はなく、既知の手法を適宜、単独あるいは組み合わせて用いることができる。例えば導電性パターンの最表面が金属銅から成る場合には、亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウムを含んでなる水溶液に浸漬して酸化処理する方法、あるいはピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム、アンモニアを含んで成る水溶液に浸漬し、電解めっきを行うことにより、黒化処理する方法、などを好ましく用いることができる。また、導電性パターンの最表層がニッケル−リン合金被膜から成る場合は、塩化銅(II)または硫酸銅(II)、塩化ニッケルまたは硫酸ニッケル、及び塩酸を含有する酸性黒化処理液中に浸漬する方法を好ましく用いることができる。
【0092】
また、上述の方法以外にも、表面を微粗面化する方法によっても黒化処理が可能であるが、高い導電性を維持するという観点からは、表面の微粗面化よりも、酸化による黒化処理の方法が好ましい。
【0093】
〔電磁波遮蔽層の構成〕
本発明においては、高い透光性と高い電磁波遮蔽性能を付与するために、格子状の細線パターンを露光により描画し、次いで現像処理等を行うことで、導電性のパターンを形成することが好ましい。上記導電性金属部のパターンとしては、直交するメッシュパターンである態様が好ましく、線幅は20μm以下、線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。また画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は18μm未満が好ましく、15μm未満がより好ましく、14μm未満がさらに好ましく、10μm未満がさらにより好ましく、7μm未満が最も好ましい。
【0094】
本発明における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましく、90%以上が最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は90%である。
【実施例】
【0095】
実施例1
(非感光性層の作製)
100μmの二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)支持体の両面に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、非感光性層塗布液U−1を乾燥膜厚0.15μmになるように塗布し、非感光性層を形成した。
【0096】
〈非感光性層塗布液U−1〉
ゼラチン 10g
ラテックス[ブチルアクリレート30質量%、t−ブチルアクリレート20質量%、スチレン25質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート25質量%の共重合体(固形分30%)] 80g
化合物(UL−1) 0.2g
化合物(UL−2) 0.2g
化合物(UL−3) 0.5g
化合物(UL−4):ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.05g
水で仕上げる 1000ml
【0097】
【化1】

【0098】
(感光性層の作製)
〈感光性層塗布液〉
35℃に保温した0.5%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A1液)及び(B1液)を銀電位(EAg)=85mV、pH=5.8に制御しつつ同時添加し、さらに下記(C1液)及び(D1液)をEAg=85mV、pH=5.8に制御しつつ同時添加した。この時、銀電位の制御は10%臭化カリウム水溶液を用い、pHの制御は酢酸または水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0099】
(A1液)
臭化カリウム 104g
沃化カリウム 3.0g
水を加えて 1300ml
(B1液)
硝酸銀 150g
水を加えて 1360ml
(C1液)
臭化カリウム 310g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル
沃化カリウム 10g
水を加えて 4000ml
(D1液)
硝酸銀 480g
水を加えて 4200ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.04μm、粒径分布の変動係数0.13のハロゲン化銀乳剤を得た。
【0100】
更に、チオ硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり2.0mg用い40℃にて80分間化学増感を行い、化学増感終了後に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)をハロゲン化銀1モル当たり500mg添加して、感光性層塗布液を作製した。
【0101】
上述のように非感光性層を塗設した支持体上に、前述のように調製した感光性層塗布液を、表2に示すような乾燥膜厚となるように、塗布、乾燥を行い、実施例−1の感光材料を作製した。
【0102】
なお、硬膜剤(H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン)をゼラチン1g当たり50mgの比率となるようにして添加した。また塗布助剤として、界面活性剤(SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム)を添加し、表面張力を調整した。
【0103】
実施例−2〜実施例−16
ゼラチン、ラテックス及びUL−3の量について、表1、2記載の量に変更した以外は同様の操作を行い、非感光性層塗布液を作製した。これを用いて、表2に示す非感光性層、感光性層の乾燥膜厚となるように、塗設、乾燥を行い、実施例−2〜実施例−16の感光材料を作製した。
【0104】
実施例−17、18
表2に示す乾燥膜厚となるように、感光性層のみをPET支持体に塗設、乾燥し、実施例−17、18の感光材料を作製した。
【0105】
実施例−19、20
コロナ放電処理したPET支持体上に、塗設順序を逆転し、先に感光性層を塗設、次いで非感光性層を塗設した以外は同様の操作を行い、実施例−19、20の感光材料を作製した。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
(電磁波遮断材料の作製)
上述のようにして製造した感光材料に対して、ライン幅が8μm、ライン同士の間隔が300μmの格子状のフォトマスクを介して、紫外線ランプを用いて露光を行った後、下記現像液(DEV−1)を用いて25℃で60秒間現像処理を行った後、下記定着液(FIX−1)を用いて25℃で120秒間の定着処理を行い、ついで水洗処理を行った。さらに、下記物理現像液(PD−1)を用いて、25℃300秒間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。その後、めっき液(EPL−1)を用いて25℃で電解銅めっき処理を行い、電磁波遮断材料を作製した。
【0109】
(DEV−1:現像液)
純水 500ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1リットルとする
(FIX−1:定着液)
純水 750ml
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15ml
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1リットルとする
(PD−1:物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 5g
ハイドロキノン 7g
硝酸銀 3g
水を加えて全量を1リットルとする。
【0110】
(CAT−1:Pd触媒液)
硫酸パラジウム 20mg
水を加えて全量を1リットルとする。
【0111】
(EPL−1:電解めっき液)
硫酸銅(五水和物) 200g
硫酸 50g
水を加えて全量を1リットルとする。
【0112】
(評価)
(スクラッチ強度)
未露光の感光材料を23℃、相対湿度55%の条件下で24時間調湿した後、塗布面に対して、先端の曲率半径が0.15mmのサファイア針を直角にあてがい、60cm/minで試料を移動させながら、サファイア針にかかる荷重を0gから200gまで徐々に増加させた。傷がポリエステル支持体まで到達するときの荷重をスクラッチ強度とし、非感光性層(B1)/感光性層(B2)の強度比にて評価した。
【0113】
なお、評価用試料として、各実施例に相当する非感光性層、感光性層を単層塗設したものを別途作製し、これらを測定した。
【0114】
(カブリ増加量)
劣化試験として、未露光の試料を、暗室下、23℃、相対湿度55%の条件にて、複数のロールを介して30分間連続搬送し、強制的にカブリを発生させた。これを未露光の状態で、前述の現像、定着処理を行い、劣化試験無しのものに対するカブリの増加量ΔDを評価した。
【0115】
◎:ΔD<0.02
○:0.02≦ΔD<0.05
△:0.05≦ΔD<0.1
×:0.1≦ΔD
(視認性)
前述の露光から電解銅めっき処理までを行い作製した透明電磁波遮断材料について、画像及びテキスト文字が印刷されたプリント上に、試料をベース面が下方に位置するように配置し、視点を変えながら画像およびテキスト文字の視認性(鮮鋭感、透明感、コントラスト)を観察し、その見え方を評価した。
【0116】
この評価を20人の被験者に実施してもらい、そのスコアの平均点を求めた。評価素点及び評価は以下のとおりで、各試料に対して1〜5点のポイントがつけられ、その合計ポイントが大きいほど、視認性に優れていることを表す。
【0117】
評価素点
5:鮮鋭感、透明感、コントラストが高く、非常に見やすい。
【0118】
3:鮮鋭感、透明感、コントラストのいずれかがやや劣っているが、気にならないレベルである。
【0119】
1:鮮鋭感、透明感、コントラストのいずれかがやや劣っており、気になるレベルである。
【0120】
評価
◎:4.5≦平均点<5
○:4≦平均点<4.5
△:3≦平均点<4
×:1≦平均点<3
評価した結果を表3に示す。
【0121】
【表3】

【0122】
本発明の下層に非感光性層、上層に感光性層とし、乾燥膜厚及びスクラッチ強度の比を特定の範囲とすることにより、連続搬送試験によるカブリ増加が少なく、視認性も良好な電磁波遮蔽材料が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明支持体上に設けられた少なくとも1層以上のハロゲン化銀を含む感光性層を露光し、現像処理することにより金属メッシュ層を形成する電磁波遮蔽材料用感光材料において、
該透明支持体と該感光性層との間に、ハロゲン化銀を含まない非感光性層を設け、
かつ次式(1)、(2)を満たすことを特徴とする電磁波遮蔽材料用感光材料。
0.1<A1/A2<3.0・・・(1)
0.0<B1/B2<1.2・・・(2)
〔式中、非感光性層及び感光性層の乾燥膜厚をそれぞれA1、A2、非感光性層及び感光性層のスクラッチ強度をそれぞれB1、B2とする。〕
【請求項2】
前記非感光性層が親水性バインダーにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【請求項3】
前記非感光性層に、該親水性バインダーに相溶性の無い材料が分散添加されていることを特徴とする請求項2記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【請求項4】
前記親水性バインダーに相溶性の無い材料がポリマーラテックスであることを特徴とする請求項3記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【請求項5】
前記親水性バインダーに相溶性の無い材料が油滴であることを特徴とする請求項3記載の電磁波遮蔽材料用感光材料。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電磁波遮蔽材料用感光材料を露光、現像、定着処理を行い、金属メッシュを形成することを特徴とする電磁波遮蔽材料の製造方法。
【請求項7】
前記定着処理後、更に物理現像及びめっき処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮蔽材料の製造方法。

【公開番号】特開2008−218784(P2008−218784A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55349(P2007−55349)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】