露出ボックスおよびそれを用いた配線装置
【課題】複数の配線器具が造営面に設置される際に、施工を容易にするとともにデザイン性を損なわない露出ボックスおよびそれを用いた配線装置を提供する。
【解決手段】配線装置は、露出ボックス2と、露出ボックス2に固定される複数の配線器具とを備える。露出ボックス2は、造営面に取り付けられる箱体3を備え、箱体3は、造営面に取り付けるための取付部313,313,……と、配線器具に接続される電線が収納される収納部33と、各々が配線器具を固定する複数の器具固定部327,327,328,328とを備える。
【解決手段】配線装置は、露出ボックス2と、露出ボックス2に固定される複数の配線器具とを備える。露出ボックス2は、造営面に取り付けられる箱体3を備え、箱体3は、造営面に取り付けるための取付部313,313,……と、配線器具に接続される電線が収納される収納部33と、各々が配線器具を固定する複数の器具固定部327,327,328,328とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線器具を露出して造営面に取り付けるために用いられる露出ボックスおよびそれを用いた配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋の外壁などに取り付けられる屋外用の配線器具が種々知られている。近年では、電気自動車(EV:ElectricVehicle)またはプラグインハイブリッド自動車(PHEV:Plug-in Hybrid ElectricVehicle)の充電用コンセントの需要が高まっており、上記コンセントについて種々市販され開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような配線器具が屋外に取り付けられる際、外部電源と配線器具との間を電気的に接続するための電線が収納される露出ボックスが用いられる。図12は、電気自動車の充電用コンセント941とスイッチ942とを配線器具94として用いる場合の従来の配線装置9を示す。図12に示す従来の配線装置9は、コンセント941を固定する第1のボックス91と、スイッチ942を固定する第2のボックス92とを備え、第1のボックス91と第2のボックス92との間には、内部を電線(図示せず)が通っている配管93が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−81962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図12に示すような2つのボックス(第1のボックス91、第2のボックス92)を備える従来の配線装置9では、施工の際に、第1のボックス91と第2のボックス92との間の距離と配管93の長さとを合わせる必要があるため、施工の手間がかかるという問題があった。また、従来の配線装置9では、第1のボックス91と第2のボックス92との間に設けられた配管93が露出しているため、デザイン性を損なうという問題もあった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みて為された発明であり、本発明の目的は、複数の配線器具が造営面に設置される際に、施工を容易にするとともにデザイン性を損なわない露出ボックスおよびそれを用いた配線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の露出ボックスは、造営面に取り付けられる箱体を備え、前記箱体は、前記造営面に取り付けるための取付部と、配線器具に接続される電線が収納される収納部と、各々が前記配線器具を固定する複数の器具固定部とを有することを特徴とする。
【0008】
この露出ボックスにおいて、前記複数の器具固定部に固定される前記配線器具は、コンセントと、当該コンセントの通電のオンオフを切り替えるスイッチとであることが好ましい。
【0009】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有することが好ましい。
【0010】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の背面に設けられた第1の電線引き込み部と、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の前記背面とは異なる他の面に設けられた第2の電線引き込み部とを有することが好ましい。
【0011】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部および前記第2の電線引き込み部を含むことが好ましい。
【0012】
この露出ボックスにおいて、前記箱体の少なくとも上面に設けられ、前記コンセントに差し込まれるプラグに接続されているケーブルが巻かれる保持部を備えることが好ましい。
【0013】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記配線器具に前記電線が接続されるように当該電線が挿通される挿通部が形成され、前記配線器具に設けられたパッキンが取り付けられるパッキン取付部を前記挿通部の周囲に有することが好ましい。
【0014】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部および前記カバー部は、当該ベース部と当該カバー部とを接合するねじ取付部を含み、前記ねじ取付部は、前記パッキン取付部の内側に設けられていることが好ましい。
【0015】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部を複数有するとともに、前記第1の電線引き込み部の各々の周囲に、当該ベース部と前記造営面との間に挿入されるパッキンが取り付けられる背面側パッキン取付部を有することが好ましい。
【0016】
この露出ボックスにおいて、前記配線器具は、当該配線器具を前記箱体に固定するための一対の取付孔が上下方向に形成された取付枠を有し、前記複数の器具固定部の各々は、前記箱体において上下方向に設けられ前記取付枠の前記取付孔とともにねじが挿通される一対の孔部であり、前記配線器具を露出して固定することが好ましい。
【0017】
本発明の配線装置は、前記露出ボックスと、前記露出ボックスに固定される複数の配線器具とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、複数の配線器具が造営面に設置される際に、複数の配線器具を1つの箱体に固定することができるので、複数の配線器具を別々のボックスに固定する場合とは異なり、ボックス同士を連結する作業を省くことができる。また、本発明では、内部に電線が通っている配管が露出することがないため、デザイン性を損なわない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1に係る露出ボックスであって、(a)は外観斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図2】同上に係る露出ボックスであって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は側面図、(e)は背面図である。
【図3】同上に係る配線装置の外観斜視図である。
【図4】同上に係るコンセントの外観斜視図である。
【図5】同上に係るスイッチの外観斜視図である。
【図6】同上に係る配線装置の施工手順を示す斜視図である。
【図7】同上に係る配線装置の配線図である。
【図8】同上に係る配線装置の変形例の外観斜視図である。
【図9】同上に係る配線装置の他の変形例の外観斜視図である。
【図10】同上に係る配線装置の他の変形例の外観斜視図である。
【図11】実施形態2に係る配線装置であって、(a)は外観斜視図、(b)はケーブルが保持部に巻かれている状態の側面図である。
【図12】従来の配線装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施形態1,2では、造営面に取り付けられる露出ボックスおよびそれを用いた配線装置について説明する。各実施形態では、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車の充電用として用いられる場合について説明する。ただし、各実施形態の配線装置は、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車の充電用として用いられることに限定されず、さまざまな用途に用いられる。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1に係る配線装置1は、図3に示すように、露出ボックス2と、露出ボックス2に固定された2台の配線器具4,4とを備えている。本実施形態の配線器具4は、一方がコンセント41であり、他方がコンセント41の通電のオンオフを切り替えるスイッチ42である。なお、下記の説明中に記載する上下左右および前後の向きは、それぞれ図中に示した直交座標の向きに対応する。
【0022】
露出ボックス2は、図1に示すように、壁面7(図6参照)に取り付けられる1つの箱体3を備え、箱体3は、背面側(後側)に設けられたベース部31と、ベース部31とは別体のカバー部32とを備えている。箱体3には、ベース部31とカバー部32とによって、各配線器具4と外部電源8とを電気的に接続するための電線6(図7参照)が収納される収納部33が形成されている。箱体3は、壁面7に対し、ベース部31の長手方向を上下方向(鉛直方向)とするように取り付けられる。
【0023】
ベース部31は、例えば合成樹脂成形品であり、矩形状の背面部311と、背面部311の下端から前方に突出して設けられた下面部312とを一体に備えている。
【0024】
背面部311には、壁面7(図6参照)に箱体3をねじ止めするための複数の取付部313,313,……が形成されている。各取付部313の形状は、横長であるか縦長であるかのいずれかであり、幅が取付ねじ(図示せず)の軸部の径より長く取付ねじの頭部の径よりも短く形成されている。
【0025】
ベース31の前面側には、背面部311から前方に突出して設けられた複数(図示例では8つ)のねじ取付部314,314,……が設けられている。各ねじ取付部314は、ベース部31とカバー部32とを接合するために設けられ、ねじ穴315が形成されている。各ねじ穴315は、背面側に貫通していてもよいし、背面側に貫通していなくてもよい。さらに、ベース部31の前面側には、背面部311の上側および左右の周囲に沿って前方に突出する突出壁316と、突出壁316および下面部312で囲まれた領域を複数の小領域に区切るように前方に突出する複数(図示例では5つ)の仕切壁317,317,……とが一体に設けられている。
【0026】
また、背面部311には、電線6(図7参照)を外部から収納部33へ引き込むための第1の電線引き込み部となる複数(図示例では2つ)の第1の引込用ノックアウト部318,318が形成されている。背面部311の背面側には、図2に示すように、第1の電線引き込み部となる各第1の引込用ノックアウト部318の周囲にベース部31と壁面7との間に挿入されるパッキン35が取り付けられる背面側パッキン取付部319が設けられている。
【0027】
下面部312には、図2に示すように、電線6を外部から収納部33へ引き込むための第2の電線引き込み部となる第2の引込用ノックアウト部341が形成されている。
【0028】
図1に示すカバー部32は、後方に開口した箱状に形成された合成樹脂成形品であり、矩形状の正面部321と、正面部321の両端から後方に延びて設けられた2つの側面部322,322と、正面部321の上端から後方に延びて設けられた上面部323とを一体に備えている。
【0029】
正面部321には、配線器具4に電線6が接続されるように電線6が挿通される2つの開口(挿通部)324,324が長手方向に形成されている。また、正面部321には、配線器具4に設けられたパッキン415,425が取り付けられるパッキン取付部325,325が開口324,324の周囲に設けられている。すなわち、開口324を囲むようにパッキン415,425が取り付けられる。さらに、カバー部32は、ベース部31とカバー部32とを接合する複数(図示例では8つ)のねじ取付部326,326,……をパッキン取付部325の内側に備えている。取付ねじ37がねじ取付部314,326に挿通されることによって、カバー部32がベース部31に取り付けられる。
【0030】
また、正面部321の各開口324の上縁において左右方向(水平方向)の中央部から下方へ延びて前後に開口した筒状の器具固定部327が設けられている。器具固定部327には、取付枠416,426の取付孔418,427(図7参照)とともに取付ねじ(図示せず)が挿通される孔部329が形成されている。また、正面部321の各開口324の下縁において左右方向の中央部から上方へ延びて前後に開口した筒状の器具固定部328が設けられている。器具固定部328には、取付枠416,426の取付孔418,427とともに取付ねじが挿通される孔部329が形成されている。これにより、配線器具4を露出して固定することができる。すなわち、カバー部32の正面部321には器具固定部327,328の組み合わせが2組存在し、2組の組み合わせの各々が配線器具4を固定する。なお、器具固定部327の孔部329と器具固定部328の孔部329との間の距離は、予め規定された間隔である。
【0031】
次に、本実施形態の配線器具4について説明する。図4に示すコンセント41は、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車の充電に用いられる屋外用コンセントである。
【0032】
コンセント41は、ボディ411と、ボディ411の下面から3つの栓刃挿入口417,417,417を露出させた状態でボディ411に収納されるコンセントブロック412と、ボディ411の前面、側面および上面を覆う化粧カバー413と、半円状のコンセントカバー414とを備えている。コンセントカバー414は、ボディ411の下面から露出した栓刃挿入口417,417,417を覆うように、ボディ411に対して回動自在に支持されている。化粧カバー413は、中空状に形成された合成樹脂成形品であり、ボディ411の上面、前面および側面を覆ってボディ411に着脱自在に固定される。また、ボディ411の後面はパッキン415および取付枠416で覆われている。
【0033】
栓刃挿入口417,417,417は、前方に向かうにつれて鉛直方向の上方に傾斜しており、プラグ43(図3参照)の栓刃(図示せず)のうちの一対の電圧側栓刃および接地側栓刃が挿入される略長方形の一対の平型栓刃挿入口と、プラグ43の栓刃のうちの接地極の栓刃が挿入される略半円状のピン型栓刃挿入口とにより構成されている。
【0034】
また、コンセント41は、図7に示すように、パッキン415と、取付枠416とを備えている。パッキン415は、例えば軟質塩化ビニルなどの弾性材料からなり、ボディ411の後方に取り付けられている。このパッキン415でボディ411と箱体3(図1参照)との間を密着することにより、ボディ411と箱体3との間から雨水などの水がコンセント41の内部および箱体3の内部に浸入することを抑制している。このパッキン415の上端中央部および下端中央部には、コンセント41を箱体3に取り付けるための取付ねじ(図示せず)が挿通される取付孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0035】
取付枠416は、例えば金属または樹脂などで形成された部材であり、パッキン415の後方からこのパッキン415の内部に収納されて設けられている。取付枠416の上端中央部および下端中央部には、上述の取付ねじが挿通される取付孔418がそれぞれ形成されている。上端中央部の取付孔418と下端中央部の取付孔418との間の距離は、予め規定された間隔であり、器具固定部327の孔部329と器具固定部328の孔部329との間の距離と同じである。
【0036】
上述のようにボディ411の後方にはパッキン415が設けられ、パッキン415の後方には、取付枠416が収納されている。図示しない2つの取付ねじを、ボディ411に形成された取付孔(図示せず)と、パッキン415に形成された取付孔(図示せず)と、取付枠416に形成された取付孔418とにそれぞれ挿通することで、コンセント41と箱体3との間にパッキン415と取付枠416とが挟まれる態様で、それぞれの位置が維持されて露出ボックス2に固定される。
【0037】
図5に示すスイッチ42は、コンセント41に差し込まれたプラグ43(図3参照)と外部電源8(図7参照)との間の通電のオンオフを切り替える装置である。スイッチ42は、両端間の通電のオンオフを切り替えるスイッチ本体421と、スイッチ本体421の前面に取り付けられて押操作される操作ハンドル422と、操作ハンドル422の周囲に設けられた枠体423と、枠体423に開閉自在に取り付けられた蓋部424とを備えている。さらに、スイッチ42は、パッキン425と、スイッチ本体421が取り付けられた取付枠426(図7参照)とを備えている。
【0038】
スイッチ本体421は、外部電源8からの電線6が一端に接続され、コンセント41からの電線6が他端に接続されている。スイッチ本体421のオンオフによって、外部電源8とコンセント41との間が通電状態になったり、絶縁状態になったりする。
【0039】
図7に示す取付枠426は、例えば金属または樹脂などで形成された部材であり、スイッチ本体221が取り付けられている。取付枠426の上端中央部および下端中央部には、取付孔427がそれぞれ形成されている。上端中央部の取付孔427と下端中央部の取付孔427との間の距離は、予め規定された間隔であり、器具固定部327の孔部329と器具固定部328の孔部329との間の距離と同じである。各取付孔427に挿通される取付ねじ(図示せず)をカバー部32の孔部329に締結することで、スイッチ42と箱体3との間にパッキン425と取付枠426とが挟まれる態様で、スイッチ42が箱体3に取り付けられる。
【0040】
蓋部424には、蓋部424の施錠するロック機構部428が設けられている。これにより、他人が無断でスイッチ42のオンオフを行うことを防止できる。
【0041】
なお、スイッチ42は、上記に限定されず、例えばEEスイッチなどセンサ機能を有するスイッチなどであってもよい。
【0042】
次に、本実施形態に係る配線装置1の施工方法について図6を用いて説明する。まず、露出ボックス2のベース部31を壁面7に取り付ける(図6(a)参照)。続いて、ベース部31の下面部312の第2の引込用ノックアウト部341を打ち抜いて第2の電線引き込み部とし、第2の電線引き込み部から電線6を引き込む(図6(b)参照)。その後、ベース部31の前面側にカバー部32を取り付ける(図6(c)参照)。その後、第2の電線引き込み部から引き込んだ電線6を用いてコンセント41およびスイッチ42について配線し、コンセント41およびスイッチ42をカバー部32に取り付ける(図6(d)参照)。この際、カバー部32には、正面部321の各開口324に配線器具4を保持する取付枠416,426がカバー部32の開口324に跨る形で2本のビスによって器具固定部327,328の孔部329にねじ止めされる。なお、コンセント41およびスイッチ42についての配線は、図7に示すとおりである。
【0043】
以上の説明より、本実施形態の露出ボックス2では、複数(2台)の配線器具4,4が造営面(壁面7)に設置される際に、複数の配線器具4,4を1つの箱体3に固定することができる。これにより、複数の配線器具4,4を別々のボックスに固定する場合とは異なり、ボックス同士を連結する作業を省くことができる。
【0044】
また、本実施形態では、複数の配線器具4,4を別々のボックスに固定する場合とは異なり、内部に電線が通っている配管が露出することがないため、デザイン性を損なわない。
【0045】
本実施形態では、箱体3として、ベース部31とカバー部32とが別体で設けられている。これにより、施工の際に、ベース部31のみを先に造営面(壁面7)に取り付けた後、カバー部32が取り付ける前に、前面側から電線6を引き込むことができるので、造営面への取付を容易にすることができる。
【0046】
また、本実施形態の箱体3には、背面部311に第1の引込用ノックアウト部318,318が設けられ、下面部312および上面部323に第2の引込用ノックアウト部341,342が設けられている。これにより、電線6の引き込み方向の自由度を高めることができる。
【0047】
さらに、本実施形態のベース部31には、第1の引込用ノックアウト部318,318および第2の引込用ノックアウト部341が設けられている。これにより、施工の際に、ベース部31だけを先に造営面(壁面7)に取り付けてから、電線6の引き込み方向を選択して電線6の引き込みを行うことができるので、造営面への取付を容易にすることができる。
【0048】
本実施形態では、配線器具4のパッキン415,425が取り付けられるパッキン取付部325,325が開口324,324の周囲に設けられていることによって、開口324,324から水が浸入することを抑制できる。
【0049】
また、本実施形態では、ねじ取付部314,……,326,……が背面側パッキン取付部319の内側に設けられていることによって、ねじ取付部314,……,326,……から水が浸入することを抑制できる。
【0050】
本実施形態では、ベース部31が複数の第1の引込用ノックアウト部318,318を備えている。これにより、造営面(壁面7)からの電線6の引き出し位置に関係なく、使用しやすい高さに箱体3を設置することができる。
【0051】
また、第1の引込用ノックアウト部318の各々の周囲に、パッキン35が取り付けられる背面側パッキン取付部319が設けられていることによって、第1の引込用ノックアウト部318から箱体3の内部への水の浸入を抑制することができる。この際に、電線6を引き込む位置に応じてパッキン35の取付を変更することができる。
【0052】
本実施形態では、配線器具4を取り付ける際に用いられる取付枠416,426によって、各配線器具4を共通の方法で箱体3に固定することができる。その結果、任意の組み合わせの配線器具4を箱体3に固定することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、コンセント41の通電をスイッチ42によって手元でオンオフすることができるので、必要なときだけ上記通電が可能となり、安全性を高めることができる。
【0054】
なお、露出ボックス2は、2つの配線器具4,4を固定することに限定されず3以上の配線器具4,4,……を固定することができるように器具固定部327,328を備えていてもよい。以下の実施形態2においても同様である。
【0055】
また、露出ボックス2は、複数の配線器具4,4を上下方向に並べて固定するのではなく、図8に示すように、複数の配線器具4,4を左右方向に並べて固定してもよい。以下の実施形態2においても同様である。
【0056】
さらに、配線装置1は、図9に示すように、露出ボックス2に固定される全ての配線器具4,4がコンセント41,41であってもよい。さらに、配線装置1は、図10に示すように、露出ボックス2が複数の配線器具4,4を左右方向に並べて固定した状態で、全ての配線器具4,4がコンセント41,41であってもよい。以下の実施形態2においても同様である。
【0057】
(実施形態2)
実施形態2に係る配線装置1は、図11に示すように、ケーブル44を保持する保持部(上側保持部材5、ベース部31の下面部312)を露出ボックス2に備えている点で、実施形態1に係る配線装置1(図3参照)と相違する。なお、実施形態1の配線装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態の露出ボックス2では、図11に示すような上側保持部材5がカバー部32の上面部323に接して設けられている。上側保持部材5は、先端側が斜め上方向に折り曲げられた板状の部材であり、一部が上面部323に接する基片51と、基片51の先端から斜め上方向に延びて設けられた先端片52とを一体に備えている。また、上側保持部材5には、カバー部32の第2の引込用ノックアウト部341に相当する位置に開口53が形成されている。上側保持部材5は、カバー部32の上面部323にねじ止めによって取り付けられる。
【0059】
本実施形態のベース部31の下面部312は、カバー部32の正面部321の位置よりも前方に延びて設けられて先端側が斜め下方向に折り曲げられた形状を有し、基片361と、基片361の先端から斜め下方向に延びて設けられた先端片362とを一体に備えている。
【0060】
上側保持部材5および下面部312には、図11(b)に示すように、コンセント41に差し込まれたプラグ43に接続されているケーブル44が巻かれる。すなわち、上側保持部材5および下面部312は、保持部に相当する。
【0061】
以上の説明より、本実施形態では、上側保持部材5および下面部312にケーブル44が巻かれることによって、ケーブル44を容易に保持することができる。これにより、ケーブル44が地面などに放置されることがなくなる。
【0062】
なお、本実施形態の変形例として、配線装置1は、保持部として上側保持部材5のみを備える構成であってもよい。
【0063】
また、各実施形態において、配線装置1は、露出ボックス2と複数の配線器具4,4とを施工前に予め一体に備えていてもよい。これにより、施工の手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 配線装置
2 露出ボックス
3 箱体
31 ベース部
313 取付部
314 ねじ取付部
318 第1の引込用ノックアウト部(第1の電線引き込み部)
319 背面側パッキン取付部
32 カバー部
324 開口(挿通部)
325 パッキン取付部
326 ねじ取付部
327,328 器具固定部
329 孔部
33 収納部
341,342 第2の引込用ノックアウト部(第2の電線引き込み部)
35 パッキン
4 配線器具
41 コンセント
415 パッキン
416 取付枠
418 取付孔
42 スイッチ
425 パッキン
426 取付枠
427 取付孔
43 プラグ
44 ケーブル
5 上側保持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線器具を露出して造営面に取り付けるために用いられる露出ボックスおよびそれを用いた配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋の外壁などに取り付けられる屋外用の配線器具が種々知られている。近年では、電気自動車(EV:ElectricVehicle)またはプラグインハイブリッド自動車(PHEV:Plug-in Hybrid ElectricVehicle)の充電用コンセントの需要が高まっており、上記コンセントについて種々市販され開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような配線器具が屋外に取り付けられる際、外部電源と配線器具との間を電気的に接続するための電線が収納される露出ボックスが用いられる。図12は、電気自動車の充電用コンセント941とスイッチ942とを配線器具94として用いる場合の従来の配線装置9を示す。図12に示す従来の配線装置9は、コンセント941を固定する第1のボックス91と、スイッチ942を固定する第2のボックス92とを備え、第1のボックス91と第2のボックス92との間には、内部を電線(図示せず)が通っている配管93が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−81962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図12に示すような2つのボックス(第1のボックス91、第2のボックス92)を備える従来の配線装置9では、施工の際に、第1のボックス91と第2のボックス92との間の距離と配管93の長さとを合わせる必要があるため、施工の手間がかかるという問題があった。また、従来の配線装置9では、第1のボックス91と第2のボックス92との間に設けられた配管93が露出しているため、デザイン性を損なうという問題もあった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みて為された発明であり、本発明の目的は、複数の配線器具が造営面に設置される際に、施工を容易にするとともにデザイン性を損なわない露出ボックスおよびそれを用いた配線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の露出ボックスは、造営面に取り付けられる箱体を備え、前記箱体は、前記造営面に取り付けるための取付部と、配線器具に接続される電線が収納される収納部と、各々が前記配線器具を固定する複数の器具固定部とを有することを特徴とする。
【0008】
この露出ボックスにおいて、前記複数の器具固定部に固定される前記配線器具は、コンセントと、当該コンセントの通電のオンオフを切り替えるスイッチとであることが好ましい。
【0009】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有することが好ましい。
【0010】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の背面に設けられた第1の電線引き込み部と、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の前記背面とは異なる他の面に設けられた第2の電線引き込み部とを有することが好ましい。
【0011】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部および前記第2の電線引き込み部を含むことが好ましい。
【0012】
この露出ボックスにおいて、前記箱体の少なくとも上面に設けられ、前記コンセントに差し込まれるプラグに接続されているケーブルが巻かれる保持部を備えることが好ましい。
【0013】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記配線器具に前記電線が接続されるように当該電線が挿通される挿通部が形成され、前記配線器具に設けられたパッキンが取り付けられるパッキン取付部を前記挿通部の周囲に有することが好ましい。
【0014】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部および前記カバー部は、当該ベース部と当該カバー部とを接合するねじ取付部を含み、前記ねじ取付部は、前記パッキン取付部の内側に設けられていることが好ましい。
【0015】
この露出ボックスにおいて、前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部を複数有するとともに、前記第1の電線引き込み部の各々の周囲に、当該ベース部と前記造営面との間に挿入されるパッキンが取り付けられる背面側パッキン取付部を有することが好ましい。
【0016】
この露出ボックスにおいて、前記配線器具は、当該配線器具を前記箱体に固定するための一対の取付孔が上下方向に形成された取付枠を有し、前記複数の器具固定部の各々は、前記箱体において上下方向に設けられ前記取付枠の前記取付孔とともにねじが挿通される一対の孔部であり、前記配線器具を露出して固定することが好ましい。
【0017】
本発明の配線装置は、前記露出ボックスと、前記露出ボックスに固定される複数の配線器具とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、複数の配線器具が造営面に設置される際に、複数の配線器具を1つの箱体に固定することができるので、複数の配線器具を別々のボックスに固定する場合とは異なり、ボックス同士を連結する作業を省くことができる。また、本発明では、内部に電線が通っている配管が露出することがないため、デザイン性を損なわない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1に係る露出ボックスであって、(a)は外観斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図2】同上に係る露出ボックスであって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は側面図、(e)は背面図である。
【図3】同上に係る配線装置の外観斜視図である。
【図4】同上に係るコンセントの外観斜視図である。
【図5】同上に係るスイッチの外観斜視図である。
【図6】同上に係る配線装置の施工手順を示す斜視図である。
【図7】同上に係る配線装置の配線図である。
【図8】同上に係る配線装置の変形例の外観斜視図である。
【図9】同上に係る配線装置の他の変形例の外観斜視図である。
【図10】同上に係る配線装置の他の変形例の外観斜視図である。
【図11】実施形態2に係る配線装置であって、(a)は外観斜視図、(b)はケーブルが保持部に巻かれている状態の側面図である。
【図12】従来の配線装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施形態1,2では、造営面に取り付けられる露出ボックスおよびそれを用いた配線装置について説明する。各実施形態では、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車の充電用として用いられる場合について説明する。ただし、各実施形態の配線装置は、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車の充電用として用いられることに限定されず、さまざまな用途に用いられる。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1に係る配線装置1は、図3に示すように、露出ボックス2と、露出ボックス2に固定された2台の配線器具4,4とを備えている。本実施形態の配線器具4は、一方がコンセント41であり、他方がコンセント41の通電のオンオフを切り替えるスイッチ42である。なお、下記の説明中に記載する上下左右および前後の向きは、それぞれ図中に示した直交座標の向きに対応する。
【0022】
露出ボックス2は、図1に示すように、壁面7(図6参照)に取り付けられる1つの箱体3を備え、箱体3は、背面側(後側)に設けられたベース部31と、ベース部31とは別体のカバー部32とを備えている。箱体3には、ベース部31とカバー部32とによって、各配線器具4と外部電源8とを電気的に接続するための電線6(図7参照)が収納される収納部33が形成されている。箱体3は、壁面7に対し、ベース部31の長手方向を上下方向(鉛直方向)とするように取り付けられる。
【0023】
ベース部31は、例えば合成樹脂成形品であり、矩形状の背面部311と、背面部311の下端から前方に突出して設けられた下面部312とを一体に備えている。
【0024】
背面部311には、壁面7(図6参照)に箱体3をねじ止めするための複数の取付部313,313,……が形成されている。各取付部313の形状は、横長であるか縦長であるかのいずれかであり、幅が取付ねじ(図示せず)の軸部の径より長く取付ねじの頭部の径よりも短く形成されている。
【0025】
ベース31の前面側には、背面部311から前方に突出して設けられた複数(図示例では8つ)のねじ取付部314,314,……が設けられている。各ねじ取付部314は、ベース部31とカバー部32とを接合するために設けられ、ねじ穴315が形成されている。各ねじ穴315は、背面側に貫通していてもよいし、背面側に貫通していなくてもよい。さらに、ベース部31の前面側には、背面部311の上側および左右の周囲に沿って前方に突出する突出壁316と、突出壁316および下面部312で囲まれた領域を複数の小領域に区切るように前方に突出する複数(図示例では5つ)の仕切壁317,317,……とが一体に設けられている。
【0026】
また、背面部311には、電線6(図7参照)を外部から収納部33へ引き込むための第1の電線引き込み部となる複数(図示例では2つ)の第1の引込用ノックアウト部318,318が形成されている。背面部311の背面側には、図2に示すように、第1の電線引き込み部となる各第1の引込用ノックアウト部318の周囲にベース部31と壁面7との間に挿入されるパッキン35が取り付けられる背面側パッキン取付部319が設けられている。
【0027】
下面部312には、図2に示すように、電線6を外部から収納部33へ引き込むための第2の電線引き込み部となる第2の引込用ノックアウト部341が形成されている。
【0028】
図1に示すカバー部32は、後方に開口した箱状に形成された合成樹脂成形品であり、矩形状の正面部321と、正面部321の両端から後方に延びて設けられた2つの側面部322,322と、正面部321の上端から後方に延びて設けられた上面部323とを一体に備えている。
【0029】
正面部321には、配線器具4に電線6が接続されるように電線6が挿通される2つの開口(挿通部)324,324が長手方向に形成されている。また、正面部321には、配線器具4に設けられたパッキン415,425が取り付けられるパッキン取付部325,325が開口324,324の周囲に設けられている。すなわち、開口324を囲むようにパッキン415,425が取り付けられる。さらに、カバー部32は、ベース部31とカバー部32とを接合する複数(図示例では8つ)のねじ取付部326,326,……をパッキン取付部325の内側に備えている。取付ねじ37がねじ取付部314,326に挿通されることによって、カバー部32がベース部31に取り付けられる。
【0030】
また、正面部321の各開口324の上縁において左右方向(水平方向)の中央部から下方へ延びて前後に開口した筒状の器具固定部327が設けられている。器具固定部327には、取付枠416,426の取付孔418,427(図7参照)とともに取付ねじ(図示せず)が挿通される孔部329が形成されている。また、正面部321の各開口324の下縁において左右方向の中央部から上方へ延びて前後に開口した筒状の器具固定部328が設けられている。器具固定部328には、取付枠416,426の取付孔418,427とともに取付ねじが挿通される孔部329が形成されている。これにより、配線器具4を露出して固定することができる。すなわち、カバー部32の正面部321には器具固定部327,328の組み合わせが2組存在し、2組の組み合わせの各々が配線器具4を固定する。なお、器具固定部327の孔部329と器具固定部328の孔部329との間の距離は、予め規定された間隔である。
【0031】
次に、本実施形態の配線器具4について説明する。図4に示すコンセント41は、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車の充電に用いられる屋外用コンセントである。
【0032】
コンセント41は、ボディ411と、ボディ411の下面から3つの栓刃挿入口417,417,417を露出させた状態でボディ411に収納されるコンセントブロック412と、ボディ411の前面、側面および上面を覆う化粧カバー413と、半円状のコンセントカバー414とを備えている。コンセントカバー414は、ボディ411の下面から露出した栓刃挿入口417,417,417を覆うように、ボディ411に対して回動自在に支持されている。化粧カバー413は、中空状に形成された合成樹脂成形品であり、ボディ411の上面、前面および側面を覆ってボディ411に着脱自在に固定される。また、ボディ411の後面はパッキン415および取付枠416で覆われている。
【0033】
栓刃挿入口417,417,417は、前方に向かうにつれて鉛直方向の上方に傾斜しており、プラグ43(図3参照)の栓刃(図示せず)のうちの一対の電圧側栓刃および接地側栓刃が挿入される略長方形の一対の平型栓刃挿入口と、プラグ43の栓刃のうちの接地極の栓刃が挿入される略半円状のピン型栓刃挿入口とにより構成されている。
【0034】
また、コンセント41は、図7に示すように、パッキン415と、取付枠416とを備えている。パッキン415は、例えば軟質塩化ビニルなどの弾性材料からなり、ボディ411の後方に取り付けられている。このパッキン415でボディ411と箱体3(図1参照)との間を密着することにより、ボディ411と箱体3との間から雨水などの水がコンセント41の内部および箱体3の内部に浸入することを抑制している。このパッキン415の上端中央部および下端中央部には、コンセント41を箱体3に取り付けるための取付ねじ(図示せず)が挿通される取付孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0035】
取付枠416は、例えば金属または樹脂などで形成された部材であり、パッキン415の後方からこのパッキン415の内部に収納されて設けられている。取付枠416の上端中央部および下端中央部には、上述の取付ねじが挿通される取付孔418がそれぞれ形成されている。上端中央部の取付孔418と下端中央部の取付孔418との間の距離は、予め規定された間隔であり、器具固定部327の孔部329と器具固定部328の孔部329との間の距離と同じである。
【0036】
上述のようにボディ411の後方にはパッキン415が設けられ、パッキン415の後方には、取付枠416が収納されている。図示しない2つの取付ねじを、ボディ411に形成された取付孔(図示せず)と、パッキン415に形成された取付孔(図示せず)と、取付枠416に形成された取付孔418とにそれぞれ挿通することで、コンセント41と箱体3との間にパッキン415と取付枠416とが挟まれる態様で、それぞれの位置が維持されて露出ボックス2に固定される。
【0037】
図5に示すスイッチ42は、コンセント41に差し込まれたプラグ43(図3参照)と外部電源8(図7参照)との間の通電のオンオフを切り替える装置である。スイッチ42は、両端間の通電のオンオフを切り替えるスイッチ本体421と、スイッチ本体421の前面に取り付けられて押操作される操作ハンドル422と、操作ハンドル422の周囲に設けられた枠体423と、枠体423に開閉自在に取り付けられた蓋部424とを備えている。さらに、スイッチ42は、パッキン425と、スイッチ本体421が取り付けられた取付枠426(図7参照)とを備えている。
【0038】
スイッチ本体421は、外部電源8からの電線6が一端に接続され、コンセント41からの電線6が他端に接続されている。スイッチ本体421のオンオフによって、外部電源8とコンセント41との間が通電状態になったり、絶縁状態になったりする。
【0039】
図7に示す取付枠426は、例えば金属または樹脂などで形成された部材であり、スイッチ本体221が取り付けられている。取付枠426の上端中央部および下端中央部には、取付孔427がそれぞれ形成されている。上端中央部の取付孔427と下端中央部の取付孔427との間の距離は、予め規定された間隔であり、器具固定部327の孔部329と器具固定部328の孔部329との間の距離と同じである。各取付孔427に挿通される取付ねじ(図示せず)をカバー部32の孔部329に締結することで、スイッチ42と箱体3との間にパッキン425と取付枠426とが挟まれる態様で、スイッチ42が箱体3に取り付けられる。
【0040】
蓋部424には、蓋部424の施錠するロック機構部428が設けられている。これにより、他人が無断でスイッチ42のオンオフを行うことを防止できる。
【0041】
なお、スイッチ42は、上記に限定されず、例えばEEスイッチなどセンサ機能を有するスイッチなどであってもよい。
【0042】
次に、本実施形態に係る配線装置1の施工方法について図6を用いて説明する。まず、露出ボックス2のベース部31を壁面7に取り付ける(図6(a)参照)。続いて、ベース部31の下面部312の第2の引込用ノックアウト部341を打ち抜いて第2の電線引き込み部とし、第2の電線引き込み部から電線6を引き込む(図6(b)参照)。その後、ベース部31の前面側にカバー部32を取り付ける(図6(c)参照)。その後、第2の電線引き込み部から引き込んだ電線6を用いてコンセント41およびスイッチ42について配線し、コンセント41およびスイッチ42をカバー部32に取り付ける(図6(d)参照)。この際、カバー部32には、正面部321の各開口324に配線器具4を保持する取付枠416,426がカバー部32の開口324に跨る形で2本のビスによって器具固定部327,328の孔部329にねじ止めされる。なお、コンセント41およびスイッチ42についての配線は、図7に示すとおりである。
【0043】
以上の説明より、本実施形態の露出ボックス2では、複数(2台)の配線器具4,4が造営面(壁面7)に設置される際に、複数の配線器具4,4を1つの箱体3に固定することができる。これにより、複数の配線器具4,4を別々のボックスに固定する場合とは異なり、ボックス同士を連結する作業を省くことができる。
【0044】
また、本実施形態では、複数の配線器具4,4を別々のボックスに固定する場合とは異なり、内部に電線が通っている配管が露出することがないため、デザイン性を損なわない。
【0045】
本実施形態では、箱体3として、ベース部31とカバー部32とが別体で設けられている。これにより、施工の際に、ベース部31のみを先に造営面(壁面7)に取り付けた後、カバー部32が取り付ける前に、前面側から電線6を引き込むことができるので、造営面への取付を容易にすることができる。
【0046】
また、本実施形態の箱体3には、背面部311に第1の引込用ノックアウト部318,318が設けられ、下面部312および上面部323に第2の引込用ノックアウト部341,342が設けられている。これにより、電線6の引き込み方向の自由度を高めることができる。
【0047】
さらに、本実施形態のベース部31には、第1の引込用ノックアウト部318,318および第2の引込用ノックアウト部341が設けられている。これにより、施工の際に、ベース部31だけを先に造営面(壁面7)に取り付けてから、電線6の引き込み方向を選択して電線6の引き込みを行うことができるので、造営面への取付を容易にすることができる。
【0048】
本実施形態では、配線器具4のパッキン415,425が取り付けられるパッキン取付部325,325が開口324,324の周囲に設けられていることによって、開口324,324から水が浸入することを抑制できる。
【0049】
また、本実施形態では、ねじ取付部314,……,326,……が背面側パッキン取付部319の内側に設けられていることによって、ねじ取付部314,……,326,……から水が浸入することを抑制できる。
【0050】
本実施形態では、ベース部31が複数の第1の引込用ノックアウト部318,318を備えている。これにより、造営面(壁面7)からの電線6の引き出し位置に関係なく、使用しやすい高さに箱体3を設置することができる。
【0051】
また、第1の引込用ノックアウト部318の各々の周囲に、パッキン35が取り付けられる背面側パッキン取付部319が設けられていることによって、第1の引込用ノックアウト部318から箱体3の内部への水の浸入を抑制することができる。この際に、電線6を引き込む位置に応じてパッキン35の取付を変更することができる。
【0052】
本実施形態では、配線器具4を取り付ける際に用いられる取付枠416,426によって、各配線器具4を共通の方法で箱体3に固定することができる。その結果、任意の組み合わせの配線器具4を箱体3に固定することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、コンセント41の通電をスイッチ42によって手元でオンオフすることができるので、必要なときだけ上記通電が可能となり、安全性を高めることができる。
【0054】
なお、露出ボックス2は、2つの配線器具4,4を固定することに限定されず3以上の配線器具4,4,……を固定することができるように器具固定部327,328を備えていてもよい。以下の実施形態2においても同様である。
【0055】
また、露出ボックス2は、複数の配線器具4,4を上下方向に並べて固定するのではなく、図8に示すように、複数の配線器具4,4を左右方向に並べて固定してもよい。以下の実施形態2においても同様である。
【0056】
さらに、配線装置1は、図9に示すように、露出ボックス2に固定される全ての配線器具4,4がコンセント41,41であってもよい。さらに、配線装置1は、図10に示すように、露出ボックス2が複数の配線器具4,4を左右方向に並べて固定した状態で、全ての配線器具4,4がコンセント41,41であってもよい。以下の実施形態2においても同様である。
【0057】
(実施形態2)
実施形態2に係る配線装置1は、図11に示すように、ケーブル44を保持する保持部(上側保持部材5、ベース部31の下面部312)を露出ボックス2に備えている点で、実施形態1に係る配線装置1(図3参照)と相違する。なお、実施形態1の配線装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態の露出ボックス2では、図11に示すような上側保持部材5がカバー部32の上面部323に接して設けられている。上側保持部材5は、先端側が斜め上方向に折り曲げられた板状の部材であり、一部が上面部323に接する基片51と、基片51の先端から斜め上方向に延びて設けられた先端片52とを一体に備えている。また、上側保持部材5には、カバー部32の第2の引込用ノックアウト部341に相当する位置に開口53が形成されている。上側保持部材5は、カバー部32の上面部323にねじ止めによって取り付けられる。
【0059】
本実施形態のベース部31の下面部312は、カバー部32の正面部321の位置よりも前方に延びて設けられて先端側が斜め下方向に折り曲げられた形状を有し、基片361と、基片361の先端から斜め下方向に延びて設けられた先端片362とを一体に備えている。
【0060】
上側保持部材5および下面部312には、図11(b)に示すように、コンセント41に差し込まれたプラグ43に接続されているケーブル44が巻かれる。すなわち、上側保持部材5および下面部312は、保持部に相当する。
【0061】
以上の説明より、本実施形態では、上側保持部材5および下面部312にケーブル44が巻かれることによって、ケーブル44を容易に保持することができる。これにより、ケーブル44が地面などに放置されることがなくなる。
【0062】
なお、本実施形態の変形例として、配線装置1は、保持部として上側保持部材5のみを備える構成であってもよい。
【0063】
また、各実施形態において、配線装置1は、露出ボックス2と複数の配線器具4,4とを施工前に予め一体に備えていてもよい。これにより、施工の手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 配線装置
2 露出ボックス
3 箱体
31 ベース部
313 取付部
314 ねじ取付部
318 第1の引込用ノックアウト部(第1の電線引き込み部)
319 背面側パッキン取付部
32 カバー部
324 開口(挿通部)
325 パッキン取付部
326 ねじ取付部
327,328 器具固定部
329 孔部
33 収納部
341,342 第2の引込用ノックアウト部(第2の電線引き込み部)
35 パッキン
4 配線器具
41 コンセント
415 パッキン
416 取付枠
418 取付孔
42 スイッチ
425 パッキン
426 取付枠
427 取付孔
43 プラグ
44 ケーブル
5 上側保持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造営面に取り付けられる箱体を備え、
前記箱体は、前記造営面に取り付けるための取付部と、配線器具に接続される電線が収納される収納部と、各々が前記配線器具を固定する複数の器具固定部とを有する
ことを特徴とする露出ボックス。
【請求項2】
前記複数の器具固定部に固定される前記配線器具は、コンセントと、当該コンセントの通電のオンオフを切り替えるスイッチとであることを特徴とする請求項1記載の露出ボックス。
【請求項3】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有することを特徴とする請求項1または2記載の露出ボックス。
【請求項4】
前記箱体は、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の背面に設けられた第1の電線引き込み部と、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の前記背面とは異なる他の面に設けられた第2の電線引き込み部とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の露出ボックス。
【請求項5】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部および前記第2の電線引き込み部を含むことを特徴とする請求項4記載の露出ボックス。
【請求項6】
前記箱体の少なくとも上面に設けられ、前記コンセントに差し込まれるプラグに接続されているケーブルが巻かれる保持部を備えることを特徴とする請求項2記載の露出ボックス。
【請求項7】
前記箱体は、前記配線器具に前記電線が接続されるように当該電線が挿通される挿通部が形成され、前記配線器具に設けられたパッキンが取り付けられるパッキン取付部を前記挿通部の周囲に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の露出ボックス。
【請求項8】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部および前記カバー部は、当該ベース部と当該カバー部とを接合するねじ取付部を含み、前記ねじ取付部は、前記パッキン取付部の内側に設けられていることを特徴とする請求項7記載の露出ボックス。
【請求項9】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部を複数有するとともに、前記第1の電線引き込み部の各々の周囲に、当該ベース部と前記造営面との間に挿入されるパッキンが取り付けられる背面側パッキン取付部を有することを特徴とする請求項4または5記載の露出ボックス。
【請求項10】
前記配線器具は、当該配線器具を前記箱体に固定するための一対の取付孔が上下方向に形成された取付枠を有し、
前記複数の器具固定部の各々は、前記箱体において上下方向に設けられ前記取付枠の前記取付孔とともにねじが挿通される一対の孔部であり、前記配線器具を露出して固定する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の露出ボックス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の露出ボックスと、
前記露出ボックスに固定される複数の配線器具と
を備えることを特徴とする配線装置。
【請求項1】
造営面に取り付けられる箱体を備え、
前記箱体は、前記造営面に取り付けるための取付部と、配線器具に接続される電線が収納される収納部と、各々が前記配線器具を固定する複数の器具固定部とを有する
ことを特徴とする露出ボックス。
【請求項2】
前記複数の器具固定部に固定される前記配線器具は、コンセントと、当該コンセントの通電のオンオフを切り替えるスイッチとであることを特徴とする請求項1記載の露出ボックス。
【請求項3】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有することを特徴とする請求項1または2記載の露出ボックス。
【請求項4】
前記箱体は、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の背面に設けられた第1の電線引き込み部と、前記電線を外部から前記収納部へ引き込むために当該箱体の前記背面とは異なる他の面に設けられた第2の電線引き込み部とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の露出ボックス。
【請求項5】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部および前記第2の電線引き込み部を含むことを特徴とする請求項4記載の露出ボックス。
【請求項6】
前記箱体の少なくとも上面に設けられ、前記コンセントに差し込まれるプラグに接続されているケーブルが巻かれる保持部を備えることを特徴とする請求項2記載の露出ボックス。
【請求項7】
前記箱体は、前記配線器具に前記電線が接続されるように当該電線が挿通される挿通部が形成され、前記配線器具に設けられたパッキンが取り付けられるパッキン取付部を前記挿通部の周囲に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の露出ボックス。
【請求項8】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部および前記カバー部は、当該ベース部と当該カバー部とを接合するねじ取付部を含み、前記ねじ取付部は、前記パッキン取付部の内側に設けられていることを特徴とする請求項7記載の露出ボックス。
【請求項9】
前記箱体は、前記取付部を含み背面側に設けられたベース部と、前記複数の器具固定部を含み前記ベース部とは別体のカバー部とを有し、前記ベース部は、前記第1の電線引き込み部を複数有するとともに、前記第1の電線引き込み部の各々の周囲に、当該ベース部と前記造営面との間に挿入されるパッキンが取り付けられる背面側パッキン取付部を有することを特徴とする請求項4または5記載の露出ボックス。
【請求項10】
前記配線器具は、当該配線器具を前記箱体に固定するための一対の取付孔が上下方向に形成された取付枠を有し、
前記複数の器具固定部の各々は、前記箱体において上下方向に設けられ前記取付枠の前記取付孔とともにねじが挿通される一対の孔部であり、前記配線器具を露出して固定する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の露出ボックス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の露出ボックスと、
前記露出ボックスに固定される複数の配線器具と
を備えることを特徴とする配線装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−70484(P2013−70484A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206214(P2011−206214)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]