説明

非水電解液二次電池

【課題】正極合材層の未塗工部と負極合材層との短絡を防止できる非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】正極シート10と負極シート20とをセパレータ30を介して捲回して構成される捲回電極体を備え、正極シート10は、正極集電体11の表面に正極合材層12が塗工され、幅方向の一端側に正極合材層12の未塗工部13が形成され、負極シート20は、負極集電体21の表面に負極合材層22が塗工され、幅方向の他端側に負極合材層22の未塗工部23が形成され、負極合材層22の幅方向の長さは、正極合材層12の幅方向の長さよりも長く塗工される非水電解液二次電池100であって、正極合材層12の未塗工部13には、幅方向の所定位置から正極合材層12の一端側までカーボン層40が塗工され、カーボン層40は、ポリフッ化ビニデリンが20wt%以上含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解液二次電池は、例えばリチウムイオン二次電池が良く知られている。リチウムイオン二次電池は、近年、電気を駆動源とする車両搭載用電源、あるいは、パソコン及び携帯端末その他の電気製品等に搭載される電源として重要性が高まっている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、電解液中のリチウムイオンが電気伝導を担うものである。リチウムイオン二次電池としては、正極シートと負極シートとをセパレータを介して捲回して構成される導電層を備えたものがある。正極シートは、正極集電体の表面に正極合材層を塗工して構成され、幅方向の一端側に正極合材層の未塗工部が形成されている。同様に、負極シートは、負極集電体の表面に負極合材層を塗工して構成され、幅方向の他端側に負極合材層の未塗工部が形成されている。
【0004】
一般的に、リチウムイオン二次電池では、リチウムイオンが正極合材層から負極合材層に移動して電気伝導を担う。そのため、負極合材層の幅は、正極合材層から移動してくるリチウムイオンを受け止められるように、正極合材層の幅よりも大きく塗工されている。ここで、万が一、リチウムイオン二次電池の圧壊等の原因でセパレータが破損した場合には、正極合材層の未塗工部と負極合材層とが短絡し、自己放電が大きくなる。
【0005】
リチウムイオン二次電池の正極合材層の未塗工部と負極合材層との短絡を防止するために、いくつかの対策がなされている。例えば、特許文献1に記載のリチウムイオン二次電池では、正極合材層の未塗工部と負極合材層とを絶縁するために、正極合材層の未塗工部にアルミナ層を塗工する二次電池を開示している。
【0006】
しかし、特許文献1に開示されるリチウムイオン二次電池では、正極合材層のアルミナ層が塗工された部分では、リチウムイオンが移動することができないため、正極合材層として機能せず、その分リチウムイオン二次電池の電池容量が低下することになる。そのため、リチウムイオン二次電池では、電池容量が低下する等の弊害がなく、正極合材層の未塗工部と負極合材層との短絡を防止することが課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−310619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、電池容量が低下する等の弊害がなく、正極合材層の未塗工部と負極合材層との短絡を防止できる非水電解液二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、正極シートと負極シートとをセパレータを介して捲回して構成される捲回電極体を備え、前記正極シートは、正極集電体の表面に正極合材層を塗工して構成され、幅方向の一端側に前記正極合材層の未塗工部が形成され、前記負極シートは、負極集電体の表面に負極合材層を塗工して構成され、幅方向の他端側に前記負極合材層の未塗工部が形成され、前記負極合材層の幅方向の長さは、前記正極合材層の幅方向の長さよりも長く構成される非水電解液二次電池であって、前記正極合材層の未塗工部には、幅方向にて、前記正極合材層の一端側から所定位置まで導電性粒子及び樹脂からなる導電性層が塗工され、前記樹脂は、非水電解液二次電池の通常作動温度域よりも高い温度にて結晶化するものである。
【0011】
請求項2においては、正極シートと負極シートとをセパレータを介して捲回して構成される捲回電極体を備え、前記正極シートは、正極集電体の表面に正極合材層を塗工して構成され、幅方向の一端側に前記正極合材層の未塗工部が形成され、前記負極シートは、負極集電体の表面に負極合材層を塗工して構成され、幅方向の他端側に前記負極合材層の未塗工部が形成され、前記負極合材層の幅方向の長さは、前記正極合材層の幅方向の長さよりも長く構成される非水電解液二次電池であって、前記正極合材層の未塗工部には、幅方向にて、前記正極合材層の一端側から所定位置までカーボン層が塗工され、前記カーボン層は、ポリフッ化ビニデリンが20wt%以上含まれるものである。
【0012】
請求項3においては、請求項2に記載の非水電解液二次電池であって、前記正極シートの前記正極合材層の塗工部における前記正極合材層と前記正極集電体との間には、幅方向にて、前記正極合材層の一端側から所定位置までカーボン層が塗工され、前記カーボン層は、ポリフッ化ビニデリンが20wt%以上であって90wt%以下含まれるものである。
【0013】
請求項4においては、請求項2に記載の非水電解液二次電池であって、前記カーボン層は、多孔質に形成されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非水電解液二次電池によれば、電池容量が低下する等の弊害がなく、正極合材層の未塗工部と負極合材層との短絡を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態であるリチウムイオン二次電池の全体的な構成を示した斜視図。
【図2】同じく図1におけるA−A断面図。
【図3】第一実施形態に係る正極シート、負極シート及びセパレータを示す模式図。
【図4】第二実施形態に係る正極シート、負極シート及びセパレータを示す模式図。
【図5】第三実施形態に係る正極シート、負極シート及びセパレータを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1用いて、リチウムイオン二次電池100について説明する。
なお、以下では、図1〜図5に示される幅方向、奥行き方向及び高さ方向に従って説明する。
【0017】
リチウムイオン二次電池100は、本発明に係る非水電解液二次電池の第一実施形態である。
【0018】
リチウムイオン二次電池100の構成について説明する。リチウムイオン二次電池100は、電池ケース111と、蓋体112と、正極端子121と、負極端子122と、を具備している。
【0019】
電池ケース111は、直方体形状の角型に構成されている。電池ケース111の内部には、後述する扁平形状の捲回電極体50及び電解液が収容されている。蓋体112は、電池ケース111の上部に開口される開口部を塞ぐように構成されている。蓋体112には、外部接続用の正極端子121と負極端子122とが設けられている。正極端子121及び負極端子122の一部は蓋体112の表面側に突出している。
【0020】
図2用いて、捲回電極体50について説明する。
なお、図2は、図1におけるAA方向の断面図を示している。
【0021】
捲回電極体50は、電池ケース111の内部に収容されている。捲回電極体50は、長尺シート状の正極シート10と、長尺シート状の負極シート20とを、長尺シート状のセパレータ30を介して、幅方向を軸として捲回して構成されるものである(図3〜図5参照)。より詳しくは、捲回電極体50は、正極シート10と負極シート20とを2枚のセパレータ30・30と共に重ね合わせて幅方向を軸として捲回し、正極シート10、負極シート20、及びセパレータ30・30の捲回体を奥行き方向から押しつぶして高さ方向へ拡げることによって扁平形状に成形されている。
【0022】
捲回電極体50では、捲回される正極シート10において、その幅方向に沿う一側の端部には、後述する正極合材層12が形成されずに、正極集電体11が露出している。一方、捲回電極体50では、負極シート20においても、その幅方向における他側の端部は後述する負極合材層22が形成されずに、負極集電体21が露出している。正極集電体11の露出端部には、正極端子121が接合されている。一方、負極集電体21の露出端部には、負極端子122が接合されている。
【0023】
図3を用いて、リチウムイオン二次電池100の正極シート10について説明する。
なお、図3には、捲回して捲回電極体50が構成される前における、正極シート10、負極シート20及びセパレータ30を模式的に示している。
【0024】
正極シート10は、正極集電体11の表面に正極合材層12が塗工されて構成されている。なお、表面とは、正極シート10をシートとして見たときのシートの表側の面及び裏側の面をいう。また、正極シート10には、幅方向の一端側に正極合材層12の未塗工部13が形成されている。正極合材層12には、正極活性物質と、結着剤と、が含まれている。
【0025】
正極シート10の未塗工部13の表面には、カーボン層40が塗工されている。カーボン層40は、幅方向にて、正極合材層12の一端側から未塗工部13の所定位置まで塗工されている。カーボン層40を構成するカーボン材としては、例えばアセチレンブラック(AB)が用いられる。また、カーボン層40には、樹脂であるポリフッ化ビニデリンが20wt%以上含まれているものとする。本実施形態のカーボン層40には、ポリフッ化ビニデリンが50wt%含まれている。
【0026】
つまり、カーボン層40は、導電性物質であるカーボン材と樹脂であるポリフッ化ビニデリンとで構成されている。カーボン層40は、加熱されない通常の状態では導電性を呈し、加熱することにより樹脂であるポリフッ化ビニデリンが結晶化して高抵抗化し、絶縁性を呈するようになる。
【0027】
カーボン層40の幅方向にて、正極合材層12の一端側から未塗工部13の所定位置までの長さLは、0.05mm以上とされている。本実施形態のカーボン層40の長さLは、2mmとされている。
【0028】
カーボン層40の厚さTは、1μm以上かつ20μm以下とされている。本実施形態の厚さTは、2μmとされている。
【0029】
負極シート20は、負極集電体21の表面に負極合材層22が塗工されて構成されている。また、負極シート20には、幅方向の他端側に負極合材層22の未塗工部23が形成されている。なお、負極シート20の負極合材層22の幅方向の長さは、正極シート10の正極合材層12の幅方向の長さよりも長くなるように塗工されている。
【0030】
セパレータ30は、正極シート10および負極シート20の間に介在するシートである。セパレータ30は、正極シート10の正極合材層12と、負極シート20の負極合材層22にそれぞれ接するように配置される。そして、正極シート10と負極シート20における活物質層の接触に伴う短絡防止や、セパレータ30の空孔内に電解液を含浸させることにより電極間の伝導パス(導電経路)を形成する機能を有する。
【0031】
リチウムイオン二次電池100の作用について説明する。
万が一、リチウムイオン二次電池100の圧壊等の原因でセパレータ30が破損した場合には、正極合材層12に塗工されたカーボン層40と負極合材層22とが一旦導通する。カーボン層40と負極合材層22とが一旦導通することによって、導通による熱が発生する。導通により発生する熱によって、セパレータ30が破損した付近のカーボン層40の樹脂が結晶化する。
【0032】
カーボン層40の樹脂が結晶化することによって、カーボン層40は導電に対して高抵抗化する。カーボン層40が高抵抗化することによって、セパレータ30が破損した付近の導電が局所的に遮断される。導電が局所的に遮断されることによって、リチウムイオン二次電池100の電圧降下挙動が停止する。
【0033】
リチウムイオン二次電池100の効果について説明する。
リチウムイオン二次電池100によれば、正極合材層12の未塗工部13に塗工したカーボン層40を、導通により発生する熱で結晶化させることによって、正極合材層12の未塗工部13と負極合材層22との短絡を防止できる。
【0034】
また、カーボン層40は、加熱されない通常の状態では十分に導通性を有するため、未塗工部13に塗工することによって、リチウムイオン二次電池100の電池容量が低下することはない。
【0035】
さらに、カーボン層40の長さLを0.05mm以上とすることで、十分な導電の遮断効果が得られ、電圧効果挙動を得ることができる。
【0036】
また、カーボン層40の厚さTを1μm以上とすることで、十分な導電の遮断効果を得ることができる。同時に、カーボン層40の厚さTを20μm以下とすることで、カーボン層40の柔軟性が失われて、カーボン層40が未塗工部13から剥離することを防止できる。
【0037】
図4を用いて、リチウムイオン二次電池200の正極シート210について説明する。
なお、図4は、捲回して捲回電極体が構成される前における、正極シート210、負極シート220及びセパレータ230を模式的に示している。
【0038】
リチウムイオン二次電池200は、本発明に係る非水電解液二次電池の第二実施形態である。
【0039】
リチウムイオン二次電池200の構成について説明する。
リチウムイオン二次電池200の、捲回電極体(図示略)、負極シート220、セパレータ230等は、第一実施形態のリチウムイオン二次電池100と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
正極シート210は、正極集電体211の表面に正極合材層212が塗工されて構成されている。また、正極シート210には、幅方向の一端側に正極合材層212の未塗工部213が形成されている。正極合材層212には、正極活性物質と、結着剤と、が含まれている。
【0041】
正極シート210の未塗工部13の表面には、カーボン層240が塗工されている。カーボン層240は、幅方向にて、正極合材層212の一端側から未塗工部213の所定位置まで塗工されている。
【0042】
カーボン層40の幅方向にて、正極合材層212の一端側から未塗工部13の所定位置までの長さLは、0.05mm以上とされている。本実施形態のカーボン層240の長さLは、2mmとされている。
【0043】
カーボン層40の厚さTは、1μm以上かつ20μm以下とされている。本実施形態のカーボン層40の厚さTは、2μmとされている。
【0044】
正極合材層212の塗工部では、正極合材層212と正極集電体211との間において、幅方向にて、正極合材層212の一端側から正極合材層212(正極合材層212と正極集電体211との間)の所定位置まで、カーボン層240が塗工されている。
【0045】
幅方向の所定位置とは、幅方向の一端側を0%の位置とし、幅方向の他端側を100%の位置としたとき、10%以上の位置から100%以下の位置までとする。本実施形態では、幅方向の所定位置を100%の位置、すなわち、幅方向にて、正極合材層212と正極集電体211との間には、全てカーボン層240が塗工されているものとする。
【0046】
カーボン層240は、導電性物質であるアセチレンブラック等のカーボン材と、樹脂であるポリフッ化ビニデリンとで構成されている。カーボン層240には、ポリフッ化ビニデリンが20wt%以上かつ90wt%以下含まれているものとする。本実施形態のカーボン層240には、ポリフッ化ビニデリンが50wt%含まれている。
【0047】
リチウムイオン二次電池200の作用について説明する。
万が一、リチウムイオン二次電池200の圧壊等の原因でセパレータ230が破損した場合には、正極合材層212に塗工されたカーボン層240と負極合材層222とが一旦導通する。カーボン層240と負極合材層222とが一旦導通することによって、導通による熱が発生する。導通により発生する熱によって、カーボン層240の樹脂が全体的に結晶化する。
【0048】
カーボン層240の樹脂が全体的に結晶化することによって、正極合材層212は導電に対して高抵抗化する。正極合材層212が高抵抗化することによって、正極合材層212で行われるはずの充電または放電による移動電荷量が抑制される。リチウムイオン二次電池200の移動電荷量が抑制されることによって、リチウムイオン二次電池200の電圧または電流挙動が著しく低下する。
【0049】
リチウムイオン二次電池200の効果について説明する。
リチウムイオン二次電池200によれば、正極合材層212の未塗工部213に塗工したカーボン層240を導通により発生する熱で結晶化させることによって、正極合材層212の未塗工部213と負極合材層222との短絡を防止できる。
【0050】
また、リチウムイオン二次電池200の電圧または電流の著しい低下によって、セパレータ230が破損した場合等のリチウムイオン二次電池200の異常状態を検知できる。
【0051】
その他の効果は、第一実施形態のリチウムイオン二次電池100と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
図5を用いて、リチウムイオン二次電池300の正極シート310について説明する。
なお、図5は、捲回して捲回電極体が構成される前における、正極シート310、負極シート320及びセパレータ330を模式的に示している。
【0053】
リチウムイオン二次電池300は、本発明に係る非水電解液二次電池の第三実施形態である。
【0054】
リチウムイオン二次電池300の構成について説明する。
リチウムイオン二次電池300の、捲回電極体(図示略)、負極シート320、セパレータ330等は、第一実施形態のリチウムイオン二次電池100と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
正極シート310は、正極集電体311の表面に正極合材層312が塗工されて構成されている。また、正極シート310には、幅方向の一端側に正極合材層312の未塗工部313が形成されている。正極合材層312には、正極活性物質と、結着剤と、が含まれている。
【0056】
正極シート310の未塗工部313の表面には、カーボン層340が塗工されている。カーボン層340は、幅方向にて、正極合材層312の一端側から未塗工部313の所定位置まで塗工されている。カーボン層340は、主に導電性物質であるアセチレンブラック等のカーボン材と、樹脂であるポリフッ化ビニデリンとで構成されている。カーボン層340には、ポリフッ化ビニデリンが20wt%以上含まれているものとする。本実施形態のカーボン層340には、ポリフッ化ビニデリンが50wt%含まれている。
【0057】
カーボン層340は、多孔質状に構成されている。具体的には、カーボン層340を未塗工部313に塗工する前のカーボンペーストに、発泡剤を混合して塗工し、塗工したカーボン層340を発泡させて、カーボン層340に空孔を形成させる。発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4´オキシビス等が用いられる。また、多孔質状に構成されているカーボン層340の空孔率は、30%以上かつ80%以下とされている。
【0058】
カーボン層40の幅方向にて、正極合材層12の一端側から未塗工部13の所定位置までの長さLは、0.05mm以上とされている。本実施形態のカーボン層340の長さLは、2mmとされている。
【0059】
カーボン層340の厚さTは、1μm以上かつ20μm以下とされている。本実施形態のカーボン層340の厚さTは、2μmとされている。
【0060】
リチウムイオン二次電池300の作用については、実施形態1のリチウムイオン二次電池100の作用と同様であるため説明を省略する。
【0061】
リチウムイオン二次電池300の効果について説明する。
リチウムイオン二次電池300によれば、正極合材層312の未塗工部313に塗工したカーボン層340を導通により発生する熱で結晶化させることによって、正極合材層312の未塗工部313と負極合材層322との短絡を防止できる。
【0062】
また、カーボン層340を多孔質状に構成することによって、荷重または衝撃時のセパレータ330の破損を防止できる。さらに、空孔率を30%以上としているため、カーボン層340にかかる荷重、または衝撃によるエネルギーを十分に吸収できる。一方、空孔率を80%以下としているため、カーボン層340の強度が損なわれることなく、外力により破損することを防止できる。
【0063】
その他の効果は、第一実施形態のリチウムイオン二次電池100と同様であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0064】
10 正極シート
11 正極集電体
12 正極合材層
13 未塗工部
20 負極シート
21 負極集電体
22 負極合材層
23 未塗工部
30 セパレータ
40 カーボン層
100 リチウムイオン二次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートと負極シートとをセパレータを介して捲回して構成される捲回電極体を備え、
前記正極シートは、正極集電体の表面に正極合材層を塗工して構成され、幅方向の一端側に前記正極合材層の未塗工部が形成され、
前記負極シートは、負極集電体の表面に負極合材層を塗工して構成され、幅方向の他端側に前記負極合材層の未塗工部が形成され、
前記負極合材層の幅方向の長さは、前記正極合材層の幅方向の長さよりも長く構成される非水電解液二次電池であって、
前記正極合材層の未塗工部には、幅方向にて、前記正極合材層の一端側から所定位置まで導電性粒子及び樹脂からなる導電性層が塗工され、
前記樹脂は、非水電解液二次電池の通常作動温度域よりも高い温度にて結晶化する、
非水電解液二次電池。
【請求項2】
正極シートと負極シートとをセパレータを介して捲回して構成される捲回電極体を備え、
前記正極シートは、正極集電体の表面に正極合材層を塗工して構成され、幅方向の一端側に前記正極合材層の未塗工部が形成され、
前記負極シートは、負極集電体の表面に負極合材層を塗工して構成され、幅方向の他端側に前記負極合材層の未塗工部が形成され、
前記負極合材層の幅方向の長さは、前記正極合材層の幅方向の長さよりも長く構成される非水電解液二次電池であって、
前記正極合材層の未塗工部には、幅方向にて、前記正極合材層の一端側から所定位置までカーボン層が塗工され、
前記カーボン層は、ポリフッ化ビニデリンが20wt%以上含まれる、
非水電解液二次電池。
【請求項3】
請求項2に記載の非水電解液二次電池であって、
前記正極シートの前記正極合材層の塗工部における前記正極合材層と前記正極集電体との間には、幅方向にて、前記正極合材層の一端側から所定位置までカーボン層が塗工され、
前記カーボン層は、ポリフッ化ビニデリンが20wt%以上であって90wt%以下含まれる、
非水電解液二次電池。
【請求項4】
請求項2に記載の非水電解液二次電池であって、
前記カーボン層は、多孔質に形成される、
非水電解液二次電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−93238(P2013−93238A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235250(P2011−235250)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】