説明

非球面ミラー部材及びそれを用いた背面投写型映像表示装置

【課題】 ミラー面板2の歪みを抑えて、スクリーン上に鮮明な映像を映し出す。
【解決手段】
スクリーン面に投影される映像光を光軸に沿って反射させる非球面ミラー部材1である。映像光を反射させる非球面のミラー面板2と、ミラー面板2を支持して装置内に固定する取付部材3とから構成した。取付部材3は、装置側に直接に固定される固定板片5と、固定板片5と上記ミラー面板2との間に介在されて固定板片5を介して上記装置側に固定された状態でミラー面板2をその歪みを抑えながら支持するミラー面板支持部6とから構成した。ミラー面板支持部6は、ミラー面板2の裏面にミラー面板2とほぼ直交する方向に配設された補強用板材9で構成した。固定板片5と、ミラー面板支持部6との間には、熱膨張等による変形を許容する緩衝部15,16,17を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像光を拡大して反射させる非球面ミラー部材及びそれを用いた背面投写型映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の背面投写型映像表示装置としては、特許文献1に記載のものが一般に知られている。この背面投写型映像表示装置を図2及び図3に基づいて説明する。
【0003】
背面投写型映像表示装置は図2に示すように構成されている。この背面投写型映像表示装置では、光源装置101の投写レンズ(図示せず)から投写される映像光を非球面ミラー102の前面で反射し、その反射光を平面ミラー103で反射し、さらに平面ミラー104で反射してスクリーン105上に映像を映し出す。非球面ミラー102は、合成樹脂製の矩形状のもので、前面が非球面等の曲面状に形成され、光源装置101を支持しているベース部材106に固定されたミラー保持機構107に保持されている。
【0004】
非球面ミラー102は、その四隅を貫通するビスによりミラー保持機構107の支持枠に固定されている。非球面ミラー102は合成樹脂製であるため、温度変化による熱膨張・収縮量が大きくなる。そして、温度が上昇すると、非球面ミラー102内部に生じる応力の逃げ場が無いため、非球面ミラー102が前方に張り出すように断面円弧状に湾曲し、これによって映像の表示位置が変わったり、映像に歪みが生じたりすることがあった。
【0005】
これを解消するために、ミラー保持機構107が改良されている。このミラー保持機構107は、図3に示すように、ミラー102が下端中央部を中心として放射状に膨張・収縮し得るようにミラー102を支持するとともにミラー102の前面側に局部的に当接するように形成された支持枠110と、ミラー102の背面側と間隙を存して対向するように配置され、支持枠110に固定された背面側部材111と、ミラー102を背面側部材111に対して前方に弾性付勢する付勢部材(図示せず)とを備えて構成されている。
【0006】
ミラー102は具体的には、下端中央部を下部規制部材113で、上端面の中央部を上部規制部材114で、上端面の左右両端部を押さえ部材115でそれぞれ支持されている。
【0007】
以上のミラー取付構造でミラー102を保持することにより、ミラー102の反射面の位置精度を極めて高く設定できる。
【0008】
また、これ以外にも、例えば特許文献2のように、ミラーをスプリングを介して支持する構造のものもある。この保持構造により、温度変化による映像品質の低下を防止している。
【特許文献1】特開2003−215713公報
【特許文献2】特開2002−228905公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述した特許文献1の従来のミラー保持機構107のような構成の場合、ある程度の大きさの背面投写型映像表示装置までは、問題なく対応できる。ミラー保持機構107でミラー102を正確に保持して歪みのない映像をスクリーン105上に映し出すことができる。
【0010】
しかし、背面投写型映像表示装置が大型化すると、従来のミラー保持機構107のように、非球面ミラー102を直接的に支持する構造の場合、大型化に対応するのが難しい。即ち、背面投写型映像表示装置が大型化すると、非球面ミラー102も大型化して、熱による変形量や自重が大きくなる。熱による非球面ミラー102の変形量が大きくなれば、非球面ミラー102の端部でのずれも大きくなり、ミラー保持機構107では対応できずに、ミラー面に歪みを生じることがある。
【0011】
また、非球面ミラー102の自重が大きくなれば、撓みやすくなり、ミラー保持機構107では対応できずに、ミラー面に歪みを生じることがある。
【0012】
この結果、非球面ミラー102の面精度が悪くなり、スクリーン105に投影された映像の画質が低下するという問題がある。
【0013】
また、特許文献2の場合もミラーを直接的に支持する構造の面で、上述した特許文献1と同様の問題が生じる。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、歪を抑えてミラー面の位置精度を高く維持して正確に支持することができる非球面ミラー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するために第1の発明に係る非球面ミラー部材は、背面投写型映像表示装置内に備えられ、最終的にスクリーン面に投影される映像光を光軸に沿って反射させる非球面ミラー部材であって、上記映像光を反射させる非球面のミラー面板と、当該ミラー面板を支持して装置側に固定する取付部材とを備え、上記取付部材が、上記装置側に直接に固定される固定板片と、当該固定板片と上記ミラー面板との間に介在されて上記固定板片を介して上記装置側に固定された状態で上記ミラー面板をその歪みを抑えながら支持するミラー面板支持部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、上記固定板片が上記装置側に固定されることで、上記ミラー面板支持部が上記装置側に固定される。これにより、ミラー面板支持部を介してミラー面板が装置内に固定されると共に、ミラー面板がその歪みを抑えられて支持される。
【0017】
第2の発明に係る非球面ミラー部材は、上記ミラー面板支持部が、上記ミラー面板の裏面に当該ミラー面板とほぼ直交する方向に配設された補強用板材で構成されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成により、上記補強用板材が上記ミラー面板をその裏面から支持する。このとき、補強用板材は、ミラー面板をそれとほぼ直交する方向から支持するため、ミラー面板が撓む方向と補強用板材に沿って伸縮する方向を補強する。これにより、ミラー面板を、その撓みと、熱による伸縮とを抑えながら支持する。
【0019】
第3の発明に係る非球面ミラー部材は、上記固定板片と、上記ミラー面板又はミラー面板支持部との間に設けられ、熱膨張等による変形を許容する緩衝部を備えたことを特徴とする。
【0020】
上記構成により、熱膨張等によりミラー面板の寸法が変化すると、緩衝部がこれを許容して、ミラー面板の歪みを抑える。
【0021】
第4の発明に係る非球面ミラー部材は、上記緩衝部が、上記固定板片に連続して設けられた足部によって構成されたことを特徴とする。
【0022】
上記構成により、緩衝部を足部で構成することで、熱膨張等によるミラー面板の寸法の変化は、足部の撓みによって吸収される。これにより、ミラー面板の歪みを抑える。
【0023】
第5の発明に係る非球面ミラー部材は、上記緩衝部が、上記固定板片に連続して上記補強用板材に設けられたスリットによって構成されたことを特徴とする。
【0024】
上記構成により、緩衝部をスリットで構成することで、熱膨張等によるミラー面板の寸法の変化は、スリットの部分の撓みによって吸収される。これにより、ミラー面板の歪みを抑える。
【0025】
第6の発明に係る非球面ミラー部材は、上記緩衝部が、上記固定板片とミラー面板支持部との間に設けられ、撓むことで熱膨張等による変形を許容する薄肉部によって構成されたことを特徴とする。
【0026】
上記構成により、緩衝部を薄肉部で構成することで、熱膨張等によるミラー面板の寸法の変化は、薄肉部の撓みによって吸収される。これにより、ミラー面板の歪みを抑える。
【0027】
第7の発明に係る背面投写型映像表示装置は、光源からの映像光を拡大しながら反射してスクリーン上に映し出す非球面ミラー部材を備えた背面投写型映像表示装置であって、上記非球面ミラー部材として、上記第1ないし第6の発明のいずれかの非球面ミラー部材を用いたことを特徴とする。
【0028】
上記構成により、取付部材によってミラー面が正確に支持されるため、ミラー面板の歪みを抑えて、スクリーン上に鮮明な映像を映し出すことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、取付部材によってミラー面板をその歪みを抑えながら正確に支持することができるようになり、スクリーン上に鮮明な映像を映し出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る非球面ミラー部材の実施形態について図面を参照しながら詳述する。なお、ここでは、非球面ミラー部材についてのみ説明し、背面投写型映像表示装置の構成については、その説明を省略する。本発明に係る非球面ミラー部材を適用する背面投写型映像表示装置の全体的構成は、上述した従来の背面投写型映像表示装置でも、他の構造でもよい。映像光を、設定された光軸に沿ってスクリーンへ向けて反射させる機能を備えた非球面ミラー部材であれば、本実施形態の非球面ミラー部材を適用することができる。光源からスクリーンまでに数回反射を繰り返す場合は、その反射ミラーのすべてに本実施形態の非球面ミラー部材を用いてもよく、一部として本実施形態の非球面ミラー部材を用いてもよい。特に、リアプロジェクションTVであって、奥行きを薄くしたタイプのもので、ミラー面の面形状精度を設計値に対して数ミクロン以下に抑える必要のあるリアプロジェクションTVに対して、本発明の非球面ミラー部材は有効に機能する。
【0031】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る非球面ミラー部材を示す斜視図である。図4は第1実施形態に係る非球面ミラー部材を示す平面図である。図5は第1実施形態に係る非球面ミラー部材を示す斜視図である。
【0032】
非球面ミラー部材1は、ミラー面板2と、取付部材3とから構成されている。
【0033】
ミラー面板2は、光源からの映像光を拡大させながら光軸に沿って反射させるための板材である。ミラー面板2は、全体をほぼ四角形状の板材として構成され、その表面(図1中の下側面)が非球面の反射面4となっている。ミラー面板2の裏面には取付部材3が取り付けられている。ミラー面板2は、光源からスクリーンまでの光軸上に1枚又は複数枚配設される。
【0034】
取付部材3は、ミラー面板2を支持して背面投写型映像表示装置内に固定するための部材である。この取付部材3は、固定板片5とミラー面板支持部6とから構成されている。
【0035】
固定板片5は、上記装置側に直接に固定される板片である。固定板片5には、ねじ穴7が設けられ、ねじ(図示せず)が通されて上記装置側に直接に固定されるようになっている。固定板片5は、ミラー面板支持部6の3カ所に設けられている。そのうちの2カ所の固定板片5には、ねじ穴7と共に位置決め用穴8が設けられている。背面投写型映像表示装置側には、この2つの位置決め用穴8に対応する位置に嵌合突起(図示せず)が設けられ、この嵌合突起に位置決め用穴8を嵌合させて位置決めをした状態で、各ねじ穴7にねじが通されて非球面ミラー部材1が固定されているようになっている。背面投写型映像表示装置側のうち、各ねじ穴7に対応する位置には、ねじがねじ込まれるねじ穴(図示せず)が設けられている。
【0036】
ミラー面板支持部6は、ミラー面板2をその歪みを抑えながら支持するための部材である。ミラー面板支持部6は、ミラー面板2の裏面にミラー面板2とほぼ直交する方向に配設された補強用板材9で構成されている。ミラー面板支持部6は、ほぼ四角形状のミラー面板2の周縁である、四つの辺にそれぞれ設けられている。各ミラー面板支持部6は、ミラー面板2の縁部から一体的にかつミラー面板2にほぼ直交して設けられている。これにより、ミラー面板2の撓みと、ミラー面板2の4つの辺に沿う方向の伸縮とを抑えている。
【0037】
また、ミラー面板支持部6の一端にミラー面板2が一体的に取り付けられた状態で、ミラー面板支持部6の他端に固定板片5が一体的に取り付けられている。このように、ミラー面板支持部6を固定板片5とミラー面板2との間に介在させることで、固定板片5側からの歪みを抑えている。即ち、3つの固定板片5が装置側にねじで固定されるときに、装置側の当接面の寸法誤差等により各固定板片5の取付位置が設定位置からずれると、応力が生じてミラー面板2に歪みを生じるおそれがあるが、ミラー面板2にほぼ直交して設けられたミラー面板支持部6が応力を抑えて、ミラー面板2の歪みを抑えている。
【0038】
以上のように構成された非球面ミラー部材1は、背面投写型映像表示装置の光源からスクリーンまでの光軸上の設定位置に配設される。即ち、設定位置に設けられた嵌合突起に固定板片5の位置決め用穴8を嵌合させて非球面ミラー部材1の位置決めをし、ねじ穴7にねじを通して固定する。このとき、装置側の寸法誤差等により固定板片5の位置が本来の位置からずれていると、これにより応力が生じるが、この応力はミラー面板支持部6で支持する。
【0039】
通常の使用においては、光源からの映像光が非球面ミラー部材1のミラー面板2で反射されて、スクリーン上に映し出される。そして、非球面ミラー部材1のミラー面板2が光源から生じる熱によって暖められると、次第に膨張し、ミラー面板2の寸法が変化する。これに対して、ミラー面板2にミラー面板支持部6を設けているため、このミラー面板支持部6がミラー面板2の変化を抑えて、ミラー面板2の歪みを抑えながら正確に支持する。
【0040】
これにより、ミラー面板2で反射される映像光をスクリーン上の正確な位置に照射することができ、スクリーン上に鮮明な映像を映し出すことができるようになる。
【0041】
[第2実施形態]
本実施形態は、第1実施形態の非球面ミラー部材1において、ミラー面板支持部6を3つの片に設けた例である。具体的には、図6及び図7に示すように、基端側と両側の3つの片にミラー面板支持部6A,6B,6Cが設けられている。先端側にはミラー面板支持部を設けず、足部11を設け、この足部11の先端に固定板片5を設けている。足部11は、ミラー面板2に対して多少撓むように、その厚みを設定されている。即ち、ミラー面板2が熱膨張、収縮したときに、ミラー面板2の膨張、収縮に対して足部11が容易に変形してミラー面板2の膨張等を許容するようになっている。この足部11が、ミラー面板2の熱膨張等による変形を許容する緩衝部となっている。他の構造は第1実施形態の非球面ミラー部材1と同様である。
【0042】
以上の構成により、基端側と両側の3つの片に設けたミラー面板支持部6A,6B,6Cが、熱膨張等によるミラー面板2の寸法変化を抑え、これらのミラー面板支持部6A,6B,6Cで抑えきれない寸法変化を、足部11の撓みで許容して吸収する。
【0043】
また、本体側の寸法誤差による固定板片5の取付位置のずれも足部11の撓みで許容して吸収する。
【0044】
これにより、熱によるミラー面板2の寸法変化を、3つの辺で抑えて1つの辺で吸収し、ミラー102の反射面の位置精度を極めて高く維持することができる。
【0045】
[第3実施形態]
本実施形態は、第1実施形態の非球面ミラー部材1において、ミラー面板支持部6を第2実施形態と異なる3つの片に設けた例である。本実施形態の構造の場合は、ミラー面板2の熱等による寸法変化があまり大きくない場合に有効である。
【0046】
非球面ミラー部材は、図8及び図9に示すように、先端側と両側の3つの片にミラー面板支持部6B,6C,6Dが設けられている。基端側にはミラー面板支持部を設けず、空洞になっている。固定板片5は、各ミラー面板支持部6B,6C,6Dにそれぞれ設けられている。他の構造は第1実施形態の非球面ミラー部材1と同様である。
【0047】
以上の構成により、先端側と両側の3つの片に設けたミラー面板支持部6B,6C,6Dが、熱膨張等によるミラー面板2の寸法変化を抑える。
【0048】
これにより、熱によるミラー面板2の寸法変化を、3つの辺で抑えて、ミラー102の反射面の位置精度を極めて高く維持することができる。
【0049】
[第4実施形態]
本実施形態は、第1実施形態の非球面ミラー部材1において、ミラー面板支持部6を2つの片に設けた例である。具体的には、図10及び図11に示すように、ミラー面板2の両側の2つの片にミラー面板支持部6B,6Cが設けられている。基端側にはミラー面板支持部を設けず、空洞になっている。先端側にもミラー面板支持部を設けず、空洞になっている。
【0050】
以上の構成により、両側の2つの片に設けたミラー面板支持部6B,6Cが、熱膨張等によるミラー面板2の寸法変化を抑える。
【0051】
これにより、熱によるミラー面板2の寸法変化を、2つの辺で抑えて、ミラー102の反射面の位置精度を極めて高く維持することができる。
【0052】
[第5実施形態]
本実施形態は、第1実施形態の非球面ミラー部材1において、ミラー面板支持部6を、第4実施形態と異なる2つの片に設けた例である。具体的には、図12及び図13に示すように、先端側と基端側の2つの片にミラー面板支持部6A,6Dが設けられている。両側にはミラー面板支持部を設けず、空洞になっている。なお、この場合、基端側の2つの固定板片5は、ミラー面板支持部6Aの両側にそれぞれ設けられる。
【0053】
以上の構成により、先端側と基端側の2つの片に設けたミラー面板支持部6A,6Dが、熱膨張等によるミラー面板2の寸法変化を抑える。
【0054】
これにより、熱によるミラー面板2の寸法変化を、2つの辺で抑えて、ミラー102の反射面の位置精度を極めて高く維持することができる。
【0055】
以上の各実施形態は、背面投写型映像表示装置内の非球面ミラー部材1の取付位置やミラー面板2の伸縮の特性等の諸条件に応じて適宜選択する。即ち、背面投写型映像表示装置内の取付位置の状況により特定方向に撓みやすくなる場合や、ミラー面板2が特定方向に伸縮する傾向がある場合等の条件に応じて、それに沿って方向にミラー面板支持部6を配設した態様の非球面ミラー部材1を用いる。
【0056】
これにより、取付部材3によってミラー面板2をその歪みを抑えながら正確に支持することができるようになり、スクリーン上に鮮明な映像を映し出すことができる。
【0057】
[変形例]
上記各実施形態では、固定板片5はミラー面板支持部6に直接的にかつ一体的に設けたが、固定板片5とミラー面板支持部6との間に、熱膨張等による変形を許容する緩衝部を設けてもよい。具体的には、図14に示すように、ミラー面板支持部6Dのうち、固定板片5の取付位置に2つのスリット14を設けて、固定板片5と連続した足状の緩衝部15を設けてもよい。これにより、緩衝部15が撓むことで、ミラー面板2の熱膨張、収縮を許容する。これにより、ミラー面板2をその歪みを抑えながら正確に支持することができる。
【0058】
また、上記緩衝部15のほかに、さらに第2緩衝部を設けてもよい。具体的には、図15に示すように、緩衝部15と固定板片5とに、第2緩衝部としての薄肉部16、17を設けてもよい。薄肉部16、17により緩衝部15及び固定板片5が撓みやすくなるため、より柔軟に歪みを吸収する。この薄肉部16、17の厚さ及び取付位置は、ミラー面板2の熱膨張の程度等の諸条件に応じて適宜設定する。薄肉部16、17のうちいずれか一方のみを設ける場合もある。
さらに、スリット14及び薄肉部16、17は、他のミラー面板支持部6A,6B,6Cに設ける場合もある。
【0059】
これにより、熱膨張等によるミラー面板2の寸法の変化は、薄肉部16、17の撓みによって吸収して、ミラー面板2の歪みを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態に係る非球面ミラー部材を示す斜視図である。
【図2】従来の背面投写型映像表示装置を示す側面断面図である。
【図3】従来のミラー保持機構を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る非球面ミラー部材を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る非球面ミラー部材を他方から示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る非球面ミラー部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る非球面ミラー部材を他方から示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る非球面ミラー部材を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る非球面ミラー部材を他方から示す斜視図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る非球面ミラー部材を示す斜視図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る非球面ミラー部材を他方から示す斜視図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る非球面ミラー部材を示す斜視図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係る非球面ミラー部材を他方から示す斜視図である。
【図14】本発明の第1変形例を示す斜視図である。
【図15】本発明の第2変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1:非球面ミラー部材、2:ミラー面板、3:取付部材、4:反射面、5:固定板片、6:ミラー面板支持部、7:ねじ穴、8:位置決め用穴、9:補強用板材、11:足部、14:スリット、15:緩衝部、16,17:薄肉部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン面に投影される映像光を光軸に沿って反射させる非球面ミラー部材であって、
上記映像光を反射させる非球面のミラー面板と、当該ミラー面板を支持して装置側に固定する取付部材とを備え、
上記取付部材が、上記装置側に直接に固定される固定板片と、当該固定板片と上記ミラー面板との間に介在されて上記固定板片を介して上記装置側に固定された状態で上記ミラー面板をその歪みを抑えながら支持するミラー面板支持部とを備えたことを特徴とする非球面ミラー部材。
【請求項2】
請求項1に記載の非球面ミラー部材であって、
上記ミラー面板支持部が、上記ミラー面板の裏面に当該ミラー面板とほぼ直交する方向に配設された補強用板材で構成されたことを特徴とする非球面ミラー部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非球面ミラー部材であって、
上記固定板片と、上記ミラー面板又はミラー面板支持部との間に設けられ、熱膨張等による変形を許容する緩衝部を備えたことを特徴とする非球面ミラー部材。
【請求項4】
請求項3に記載の非球面ミラー部材であって、
上記緩衝部が、上記固定板片に連続して設けられた足部によって構成されたことを特徴とする非球面ミラー部材。
【請求項5】
請求項3に記載の非球面ミラー部材であって、
上記緩衝部が、上記固定板片に連続して上記補強用板材に設けられたスリットによって構成されたことを特徴とする非球面ミラー部材。
【請求項6】
請求項3に記載の非球面ミラー部材であって、
上記緩衝部が、上記固定板片とミラー面板支持部との間に設けられ、撓むことで熱膨張等による変形を許容する薄肉部によって構成されたことを特徴とする非球面ミラー部材。
【請求項7】
光源からの映像光を拡大しながら反射してスクリーン上に映し出す非球面ミラー部材を備えた背面投写型映像表示装置であって、
上記非球面ミラー部材として、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の非球面ミラー部材を用いたことを特徴とする背面投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−18083(P2006−18083A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196755(P2004−196755)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000108074)セキノス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】