説明

面型アンテナ装置

【課題】構成が簡易で軽量であって移動体に対し移動体の大幅な改造や大幅な重量増加を必要とせずに搭載可能であり、従来の面型アンテナ装置よりも大形化しても移動体の移動性能を低下させることがない面型アンテナ装置を提供することである。
【解決手段】この発明に従った面型アンテナ装置は:一面と上記一面とは反対を向いている他面とを有した平面形状の支持体22,28,30と;上記支持体の上記一面と上記他面との間に配置された複数のアンテナ素子24及びこれらのアンテナ素子の動作を制御するアンテナ素子動作モジュール26と;上記支持体の上記他面に露出され上記アンテナ素子及び上記アンテナ素子動作モジュールからの熱が伝達される伝熱構造体28と;を備えており、上記支持体の上記一面を介して上記アンテナ素子による電波の送受信が行なわれ、上記支持体の上記他面が移動体40の良熱伝導性の外表面に熱伝達可能に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、面型アンテナ装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
面型アンテナ装置は、例えばアクティブフェーズドアレイアンテナ装置として良く知られている。そして、アクティブフェーズドアレイアンテナ装置は所定の配列で並べられた多数のアンテナ素子及びこれら多数のアンテナ素子の動作を制御するアンテナ素子動作モジュールを備えていて、これらアンテナ素子及びアンテナ素子動作モジュールは、動作に伴い多量の熱を発生する。
【0003】
その為、従来のアクティブフェーズドアレイアンテナ装置は、例えば特開2004−39857号公報中に記載されている如く、これらアンテナ素子及びアンテナ素子動作モジュールの為の多数の冷却装置を備えている。
【特許文献1】特開2004−39857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数のアンテナ素子及びアンテナ素子動作モジュールの為の多数の冷却装置を備えている従来のアクティブフェーズドアレイアンテナ装置は、大きく重い。
【0005】
このような従来のアクティブフェーズドアレイアンテナ装置を例えば航空機や自動車や軌道上を移動する鉄道車両やリニアモーターカーの如き既存の移動体に搭載する場合には、従来のアクティブフェーズドアレイアンテナ装置を搭載しようとする既存の移動体の表面の部分の構造を大幅に改造しなければならなかった。構造の大幅な改造は煩雑であり、大きな労力と費用とが必要である。また、重量の増加は移動体の移動性能に少なからぬ影響を与える。
【0006】
この発明は上記事情の下でなされ、この発明の目的は、構成が簡易で軽量であって移動体に対し移動体の大幅な改造や大幅な重量増加を必要とすることなく搭載が可能であり、従来の面型アンテナ装置よりも大形化しても移動体の移動性能を低下させることがない面型アンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する為に、この発明に従った面型アンテナ装置は:一面と上記一面とは反対を向いている他面とを有した平面形状をしている支持体と;上記支持体の上記一面と上記他面との間に配置された複数のアンテナ素子及びこれらのアンテナ素子の動作を制御するアンテナ素子動作モジュールと;上記支持体の上記他面に露出され上記アンテナ素子及び上記アンテナ素子動作モジュールからの熱が伝達される伝熱構造体と;を備えており、上記支持体の上記一面を介して上記アンテナ素子による電波の送受信が行なわれ、上記支持体の上記他面が移動体の良熱伝導性外表面に熱伝達可能に支持される、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
上述した如く構成されたことを特徴としているこの発明に従った面型アンテナ装置では、一面と上記一面とは反対を向いている他面とを有した平面形状をしている支持体の上記一面と上記他面との間に複数のアンテナ素子及びこれらのアンテナ素子の動作を制御するアンテナ素子動作モジュールが配置されていて、上記支持体は上記アンテナ素子及び上記アンテナ素子動作モジュールからの熱が伝達される伝熱構造体が露出されている上記他面が移動体の良熱伝導性外表面に熱伝達可能に支持されている。
【0009】
従って、上記アンテナ素子及び上記アンテナ素子動作モジュールが動作に伴い発生させた多量の熱が上記伝熱構造体により上記支持体の上記他面に速やかに伝達され、さらに上記他面に露出している上記伝熱構造体が熱伝達可能に支持されている移動体の良熱伝導性の外表面に速やかに拡散される。移動体が移動中には移動体の上記外表面には空気が当たり上記外表面から熱を奪う。
【0010】
従って、前述した従来の如き独立した多数の冷却装置が不要となり、この発明に従った面型アンテナ装置の構成が簡易で軽量となる。その結果、移動体に対し移動体の大幅な改造や大幅な重量増加を必要とすることなく搭載が可能であり、従来の面型アンテナ装置よりも大形化しても移動体の移動性能を低下させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
最初に、図1及び図2を参照しながらこの発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置20について説明する。
【0012】
図1には面型アンテナ装置20の横断面が概略的に示されており、図2には図1の面型アンテナ装置20が面型アンテナ装置20を移動体40の良熱伝導性の外表面の所望の部分40aに着脱可能に固定する為の面型アンテナ装置支持構造体10のアンテナ装置支持枠体50とともに、移動体40の外表面の所望の部分40aから分離した状態で概略的に示されている。
【0013】
この実施の形態では、移動体40は航空機であり、所望の部分40aは胴体の外表面の一部又は主翼の前縁であり、所望の部分40aの外表面は良熱伝導性を有するアルミ合金又は炭素繊維を含む複合材により構成されている。
【0014】
面型アンテナ装置20は、可撓性を有した非導電性材料、例えば合成樹脂製、の平坦な配線基板22を含んでいる。図2において配線基板22は撓んだ状態に示されているが、何の外力も付加されていない間には撓んでいない。配線基板22は所望の形状を有しており、この実施の形態では所定の外形寸法を有している長方形状をしている。
【0015】
配線基板22の一面には複数の平面型のアンテナ素子24が所定の配列で並べられており、配線基板22の他面には複数の平面型のアンテナ素子24の動作を制御して複数の平面型のアンテナ素子24に所定の動作を行なわせる複数のアンテナ素子動作モジュール26が所定の配列で並べられている。
【0016】
配線基板22の一面と他面において複数の平面型のアンテナ素子24と複数のアンテナ素子動作モジュール26とは配線基板22を挟んで相互に対向しないよう配置されている。このことにより、複数の平面型のアンテナ素子24と複数のアンテナ素子動作モジュール26とから発生した熱を相互間の配線基板22の部分に蓄積させることなく配線基板22の全体に速やかに拡散させることが出来る。さらに、上記一面において複数の平面型のアンテナ素子24の相互間に比較的大きな隙間を生じさせるとともに上記他面において複数の数のアンテナ素子動作モジュール26の相互間にも比較的大きな隙間を生じさせるので、配線基板22の撓みを容易にしている。
【0017】
複数のアンテナ素子動作モジュール26において配線基板22と反対側には、複数のアンテナ素子動作モジュール26の夫々において発生した熱が容易に素早く伝達される伝熱構造体28の一面が接触している。伝熱構造体28の一面の複数の部分は配線基板22において複数の平面型のアンテナ素子24に対応した複数の部分に接触されている。即ち、伝熱構造体28の一面の複数の部分は薄い配線基板22を介して複数の平面型のアンテナ素子24に対面している。
【0018】
伝熱構造体28は、例えばアルミ合金や炭素繊維やグラファイト等の可撓性を有した良熱伝導性材料で作成されたシート状部材であることができるし、或いは、例えば可撓性を有したシート状に成形されているヒートパイプの如き熱移送手段であることも出来る。
【0019】
複数のアンテナ素子動作モジュール26と伝熱構造体28とは良熱伝達性の表面密着材、例えば公知の良熱伝達性接着剤、を介して接触していることが好ましく、さらには伝熱構造体28の複数の部分も配線基板22において複数の平面型のアンテナ素子24に対応した複数の部分に良熱伝達性の表面密着材、例えば公知の良熱伝達性接着剤、を介して接触していることが好ましい。
【0020】
配線基板22の一面の複数の平面型のアンテナ素子24とそれに対応する配線基板22の他面の複数のアンテナ素子動作モジュール26とは、配線基板22に形成されている図示されていない配線により電気的に結合されている。
【0021】
夫々のアンテナ素子動作モジュール26は、対応する平面型のアンテナ素子24の為のマイクロ波送信器及びマイクロ波受信器とマイクロ波送信器のマイクロ波送信信号及びマイクロ波受信器のマイクロ波受信信号の位相を制御する位相器とを含んでおり、固体素子により薄く小型に構成されている。
【0022】
配線基板22の他面の周辺領域の一部、この実施の形態では配線基板22の長手方向の両端部の少なくともいずれか一方、即ちいずれか一方又は両方、には、図2中に示されている如く、複数のアンテナ素子動作モジュール26、さらに必要であれば複数の平面型のアンテナ素子24、に電気的に接続されていてこれらの動作を制御する為の配線の入出力端子29が配置されている。
【0023】
配線基板22の一面及び他面に複数の平面型のアンテナ素子24及び複数の数のアンテナ素子動作モジュール26が配列されている構造は、面型アンテナ装置の一種であるいわゆる面型フェイイズドアレイアンテナ装置の基本構造を提供している。そして、複数のアンテナ素子動作モジュール26の夫々が、対応する平面型のアンテナ素子24の為のマイクロ波送信器及びマイクロ波受信器とマイクロ波送信器のマイクロ波送信信号及びマイクロ波受信器のマイクロ波受信信号の位相を制御する位相器とを含んでいることは、上記面型フェイイズドアレイアンテナ装置を面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置にしている。
【0024】
この発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置20は、上述した如く面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置である。とはいうものの、この発明の概念に従えば面型パッシブフェーズドアレイアンテナ装置であることも出来る。
【0025】
面型アンテナ装置20はさらに、配線基板22よりも硬いが可撓性を有している良熱伝導性材料、例えば金属、の外装板30を含んでいる。外装板30は配線基板22と同じ外形状をしているが、外装板30の外形寸法は配線基板22の外形寸法よりも幾分大きい。
【0026】
外装板30は一面と上記一面とは反対を向いた他面とを含んでおり、外装板30の他面にはその全周に亘り余白を残して配線基板22の前記一面が重複される。外装板30の他面において配線基板22の前記一面が重複される領域には配線基板22の前記一面の複数の平面型アンテナ素子24に対応する複数の部分にアンテナ素子収容孔32が形成されている。この実施の形態においてアンテナ素子収容孔32は透孔により形成されている。従って、外装板30の他面の前記領域に配線基板22の前記一面が重複された時、図1中に示されている如く、配線基板22の前記一面の複数の平面型のアンテナ素子24が外装板30の他面の複数のアンテナ素子収容孔32中に収容され、外装板30の他面の前記領域に配線基板22の前記一面を密着させることが出来る。この結果として、外装板30と配線基板22との間の熱伝達効率が向上する。
【0027】
このことは、夫々のアンテナ素子動作モジュール26が動作した時に発生し配線基板22の他面から一面へと夫々の平面型のアンテナ素子24に邪魔されることなく伝達されてきた熱が、さらに配線基板22の一面から配線基板22の一面に他面を密着させている良熱伝導性材料の外装板30へと速やかに伝達されることを意味している。
【0028】
夫々のアンテナ素子収容孔32の平面寸法はそこに収容される夫々の平面型のアンテナ素子24の平面寸法よりも僅かに大きく、外装板30の他面の前記領域に対し配線基板22は、外装板30の他面の前記領域に対する配線基板22の前記一面の上述した密着及び上述した密着を維持したままでの外装板30と配線基板22の両方の同時の撓みを許容する公知の図示されていない固定手段により固定されている。
【0029】
このような固定手段は例えば、外装板30及び配線基板22のいずれか一方に固定されたボルト又はピンと、外装板30及び配線基板22のいずれか他方に形成され上記ボルト又はピンが挿通される上記ボルト又はピンの径よりも大きな開口と、外装板30及び配線基板22のいずれか他方に形成された上記開口を挿通した後の上記ボルトの先端部に固定される上記開口よりも大きな径のナット又は上記ボルトの先端部に固定されるヘッド部材又は上記ボルトの先端部に形成されるヘッド部材との組み合わせであることが出来る。
【0030】
このことにより、外装板30の他端の前記領域に配線基板22の前記一面が密着して重複された状態で外装板30と配線基板22とが一体に湾曲した時に、外装板30と配線基板22とに夫々の曲率半径の差異から生じる相互間の位置ずれを可能とし、上記位置ずれが可能でない場合に外装板30と配線基板22とに作用する応力の発生を防止することが出来る。
【0031】
或いは、上記固定手段は、外装板30の他面の前記領域に対する配線基板22の前記一面の上述した密着及び上述した密着を維持したままでの外装板30と配線基板22の両方の同時の撓みを許容することが出来るとともに、外装板30の他面の前記領域と配線基板22の前記一面との間の熱伝達効率を大きく低下させないことを条件として、接着剤であることも出来る。このような接着剤は、時間の経過とともに硬化せず軟性を維持することが出来る良熱伝達性接着剤あることが好ましい。
【0032】
この結果として、外装板30の他面の前記領域に配線基板22の前記一面が重複された状態で外装板30と配線基板22とが一体に湾曲することを可能にしている。なお、外装板30のアンテナ素子収容孔32とそこに突入される平面型のアンテナ素子24との間の隙間には、軟性接着剤又は軟性充填材を充填することが出来る。
【0033】
前述したことから明らかなように、この実施の形態に従った面型アンテナ装置20では、配線基板22と外装板30と伝熱構造体28とが、それらの間に複数の平面型のアンテナ素子24及び複数のアンテナ素子動作モジュール26が配置された支持体を構成している。そして、この支持体の一面及びこの一面とは反対を向いている他面を、外装板30の前記一面及び伝熱構造体28の前記一面とは反対を向いている他面が提供している。即ち、伝熱構造体28の前記他面は、前記支持体の前記他面に露出されていることになる。
【0034】
この発明の概念に従えば、前記支持体を構成している配線基板22と外装板30と伝熱構造体28の少なくともいずれか1つを、可撓性を有さない材料により形成されていることも出来る。この場合には、移動体40の外表面の所望の部分40aが湾曲している場合、配線基板22と外装板30と伝熱構造体28の上記少なくともいずれか1つは、移動体40の外表面の所望の部分40aの湾曲に対応して予め湾曲して形成される。
【0035】
上述した如く構成されている面型アンテナ装置20は、移動体40の外表面の所望の部分40aに対し、支持枠50を介し着脱可能に固定される。
【0036】
支持枠50は、可撓性を有する材料により形成されていることが出来る。この場合には、支持枠50が移動体40の表面の所望の部分40aに固定されることにより移動体40の外表面の所望の部分40aが湾曲している場合でも支持枠50は移動体40の外表面の所望の部分40aの湾曲に対応して湾曲することが出来る。
【0037】
支持枠50は、可撓性を有さない材料により形成されていることも出来る。この場合には、移動体40の表面の所望の部分40aが湾曲している場合、支持枠50は移動体40の外表面の所望の部分40aの湾曲に対応して予め湾曲して形成される。
【0038】
移動体40の外表面の所望の部分40aに対する支持枠50の固定は、例えば接着剤や固定ねじや固定ピンを含む種々の公知の固定手段を使用して行なうことが出来る。
【0039】
支持枠50は、面型アンテナ装置20の周縁部、この実施の形態では外装板30において配線基板22の前記一面が重複される領域を取り囲んでいる周辺余白領域、の全体を取り囲んでいる。面型アンテナ装置20の周縁部、この実施の形態では外装板30において配線基板22の前記一面が重複される領域を取り囲んでいる周辺余白領域、は、支持枠50の内周縁部に着脱可能に取り付けられる。この取り付けは、例えば接着剤や固定ねじや固定ピンの如き公知の着脱可能な固定手段を使用して行なうことが出来る。そしてこの実施の形態では、外装板30の周辺余白領域に複数の固定手段取り付け孔34が形成されていて、複数の固定手段取り付け孔34に挿通された例えば固定ねじや固定ピンの先端部が面型アンテナ装置支持枠体50の内周縁部に固定される。
【0040】
面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置20は、その前記支持体を構成している配線基板22と外装板30と伝熱構造体28の全てが前述した如く可撓性を有している場合、支持枠50に取り付けられる前は平坦である。そして、面型アンテナ装置20が移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aに対し固定されている湾曲した支持枠50に上述した如く取り付けられる場合、この取り付けの結果として面型アンテナ装置20の前記支持体を構成している配線基板22と外装板30と伝熱構造体28の全てが湾曲した支持枠50に対応するよう湾曲される。
【0041】
支持枠50の厚さは、面型アンテナ装置20の周縁部、この実施の形態では外装板30において配線基板22の前記一面が重複される領域を取り囲んでいる周辺余白領域、が、支持枠50の内周縁部に着脱可能に取り付けられた時、図4中に示されている如く、支持枠50の外表面と面型アンテナ装置20の外装板30とが実質的に面一となるとともに、面型アンテナ装置20の伝熱構造体28の前記他面が移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aに対し熱伝達可能に接触するよう、設定されている。この時には、移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aに対する面型アンテナ装置20の伝熱構造体28の前記他面の熱伝達可能な接触を向上させるために、面型アンテナ装置20の伝熱構造体28の前記他面と移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aとの間に、図示しない公知の良熱伝達性の表面密着材を介在させることが好ましい。
【0042】
支持枠50の外表面の外周縁部は、移動体40が移動する間に移動体40の外表面の所望の部分40aに沿い流れる流体、即ち大気、に対し大きな摩擦抵抗を生じさせないよう滑らかないわゆる流線形状に形作られている。
【0043】
移動体40は、面型アンテナ装置20の動作を制御するアンテナ装置動作制御機器42を格納している。アンテナ装置動作制御機器42には、給電部や送信パルス発生器や受信機が含まれる。アンテナ装置動作制御機器42にはさらに、A/D変換器を含ませることも出来る。
【0044】
移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40においてこの所望の部分に固定された支持枠50の内周縁部に囲まれる領域の所定の位置には、アンテナ装置動作制御機器42の為の接続端子44が配置されている。
【0045】
移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aに接続器44を配置する作業は、従来から存在している移動体40の外表面の湾曲した所望の部分やその周辺部分の大幅な改造が不要である。
【0046】
移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aの所定の位置の電気接続器44には、支持枠50の内周縁部に面型アンテナ装置20が取り付けられた時、面型アンテナ装置20の配線基板22の他面の周辺領域の一部、この実施の形態では配線基板22の長手方向の両端部の少なくともいずれか一方、即ちいずれか一方又は両方、に配置されている前述した入出端子29(図2参照)が着脱可能に接続される。
【0047】
なお、前述した一実施の形態に従った面型アンテナ装置20は、支持枠50を介して移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aに支持され固定されていたが、支持枠50を使用することなく移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aに直接支持され固定することも出来る。
【0048】
この場合でも、面型アンテナ装置20の伝熱構造体28の前記他面が移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aに対し熱伝達可能に接触される。この時にも、移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aに対する面型アンテナ装置20の伝熱構造体28の前記他面の熱伝達可能な接触を向上させるために、面型アンテナ装置20の伝熱構造体28の前記他面と移動体40の外表面の湾曲した所望の部分40aとの間に、図示しない公知の良熱伝達性の表面密着材を介在させることが好ましい。
【0049】
前述した一実施の形態に従った面型アンテナ装置20は、支持枠50を介しても、或いは支持枠50を使用しなくても、移動体40の外表面の所望の部分40aに支持され固定されたときに、移動体40の外表面の所望の部分40aに対する面型アンテナ装置20の伝熱構造体28の前記他面の熱伝達可能な接触が行われる。従って、移動体40が移動中に面型アンテナ装置20の複数の平面型のアンテナ素子24及び複数のアンテナ素子動作モジュール26が移動体40が収容しているアンテナ装置動作制御機器42により動作を制御されて多量の熱を発生させても、その熱の大部分は伝熱構造体28により良熱伝導性の移動体40の外表面の所望の部分40aに速やかに伝達され、さらには上記外表面に沿い流れる流体、移動体40が航空機の場合には大気、により速やかに拡散される。
【0050】
また、複数の平面型のアンテナ素子24及び複数のアンテナ素子動作モジュール26が発生させた熱の一部は、配線基板22の前記一面に接触している外装体30を介しても外装体30に沿い流れる流体、移動体40が航空機の場合には大気、により速やかに拡散される。
【0051】
面型アンテナ装置20の伝熱構造体28及び移動体40の外表面の所望の部分40aを介した熱の拡散(即ち、冷却)の程度は、上記外表面の所望の部分40aの面積や移動体40の移動速度や移動体40が移動している高度(即ち、上記外表面の所望の部分40aに沿い流れる流体の温度、により変わる。しかし、移動体40が航空機であれば高度が1000メートル上昇するだけで6℃も大気の温度が低下し、高度が5000メートル以上となれば地上との温度差は−30℃以上となり、地上の温度が30℃であっても零℃以下となり、上述した熱の拡散(即ち、冷却)を十分に安定して行なうことができる。
【0052】
そして、面型アンテナ装置20の複数の平面型のアンテナ素子24は前記支持体の一面を提供している外装板30を介して所定の電波の送受信を安定して行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置の一例の概略的な横断面図である。
【図2】図2は、この発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置,この面型アンテナ装置を移動体の外表面の所望の部分に着脱可能に固定する為の支持枠,そして上記支持枠が固定される上記移動体の外表面の所望の部分を相互に分離した状態で概略的に示す分解斜視図である。
【図3】図3は、図2の支持枠が移動体の外表面の所望の部分に固定されていて、この支持枠に着脱可能に取り付けられるこの発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置が支持枠から分離されている状態を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】図4は、図2の支持枠が移動体の外表面の所望の部分に固定されていて、この支持枠にこの発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置が着脱可能に取り付けられている状態を概略的に示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
20…面型アンテナ装置、22…配線基板(支持体)、24…アンテナ素子、26…アンテナ素子動作モジュール、28…伝熱構造体(支持体)、29…入出力端子、30…外装板(支持体)、32…アンテナ素子収容孔、40…移動体、40a…所望の部分、42…アンテナ装置動作制御機器、44…接続端子、50…支持枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面と上記一面とは反対を向いている他面とを有した平面形状をしている支持体と;
上記支持体の上記一面と上記他面との間に配置された複数のアンテナ素子及びこれらのアンテナ素子の動作を制御するアンテナ素子動作モジュールと;
上記支持体の上記他面に露出され上記アンテナ素子及び上記アンテナ素子動作モジュールからの熱が伝達される伝熱構造体と;
を備えており、
上記支持体の上記一面を介して上記アンテナ素子による電波の送受信が行なわれ、
上記支持体の上記他面が移動体の良熱伝導性の外表面に熱伝達可能に支持される、
ことを特徴とする面型アンテナ装置。
【請求項2】
上記支持体の上記他面の上記伝熱構造体が、良熱伝達性の表面密着材を介して上記移動体の上記良熱伝導性の外表面に支持される、ことを特徴とする請求項1に記載の面型アンテナ装置。
【請求項3】
上記支持体が可撓性を有していて上記移動体の上記良熱伝導性外表面が湾曲しており、上記支持体が湾曲した状態で上記移動体の上記良熱伝導性外表面に沿い載置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面型アンテナ装置。
【請求項4】
上記移動体が上記アンテナ素子及び上記アンテナ素子動作モジュールの動作を制御するアンテナ装置制御機器を支持しており、
上記支持体の上記他面に上記アンテナ素子及び上記アンテナ素子動作モジュールの動作を制御する配線の入出力端子が配置されており、
上記アンテナ装置制御機器の接続端子が上記移動体の上記良熱伝導性の外表面において上記記支持体の上記他面が載置される領域に配置されていて、そして、
上記支持体の上記他面が上記移動体の上記良熱伝導性の外表面に支持された時に、上記アンテナ装置制御機器の上記接続端子に上記支持体の上記他面の上記入出力端子が着脱可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の面型アンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−68055(P2010−68055A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230294(P2008−230294)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】