説明

靴底クッション

【課題】壁が衝撃緩和荷重を受けるタイプの従来技術によるクッションは、一般に足の部分の比較的広い範囲に配置される、ブラダーを充填する液体によって得られる特定の形状の利点を活かしていない。
【解決手段】弾性で弓形の耐荷重第1(19)、第2(19)、中央壁28を備えた、靴底に使用するためのクッション。第1、第2壁19は管状であり、足の縁を支持し、衝撃を緩和するように設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底に配置してクッション機能を果たし、足を支持するためのクッションに関するものである。特に、本発明は、足型の縁周囲に配された、垂直方向の方が硬い管状部分間に、これらと結合して設けられた中央中空部分を備えたクッションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、装用者の足にかかる衝撃エネルギーを保存して吸収するための様々な弾性クッション要素を備えた弾性のスポーツシューズの靴底が製造されてきた。従来の靴底は、ショックを吸収してエネルギーを保存するための加圧された空気、粘性を持つ液体またはゲルを内包した液体ブラダーを含む。
【0003】
例えば、米国特許第5,406,719号は気体で加圧したブラダーを開示している。
【0004】
ブラダーは、様々なガスチャンバを伴った踵支持部を備えている。ガスチャンバは踵支持部の周囲に配置され、さらに追加のチャンバが踵支持部内の中央に配置されている。チャンバにかかる荷重に応じて圧力が上昇するため、チャンバ内に閉じ込められた気体により足への衝撃が緩和される。この特許は、チャンバ内で内部気体圧力が均等になるようにするための、側部チャンバと通じた中央チャンバを示している。
【0005】
米国特許第5,353,459号はさらに、踵の衝撃を緩和するためのブラダーをも示している。このブラダーは、ブラダーの後部の中間側から側部側にかけてブラダー周囲にのびる蹄鉄形のチャンバを備えている。蹄鉄形の内部には中央チャンバがある。'719特許開示にあるように、チャンバのこの硬性は、内部の気体圧力を置換することによって制御される。
米国特許第4,183,156号は、空気バネを形成する内部接続チャンバを備えたインソール型の挿入物を開示している。これら2つのチャンバは管状であり、インソールの踵の側部と後部周囲にかけてのびている。
【0006】
足への衝撃を緩和するために気体またはその他の液体を採用している衝撃緩和ブラダーには多くの欠点がある。通常、これらのブラダーは耐久時間を超えると漏れを生じ、ブラダーが古くなると、気体ユニットは特に圧力を損失しがちである。さらに、ブラダーは鋭利な物体によって穴を開けられることがある。一旦ブラダーに穴が開いてしまうとその内容物が出てしまうので、ブラダーは衝撃を効果的に緩和することができなくなってしまう。さらに、ブラダーに充填された液体は古くなるに従って破裂および/または圧縮し易くなる。温度の変化によって、内含された液体の圧力または粘性が変化するために、ほとんどはその働きが著しく異なってしまう。また、ブラダー内の液体がブラダーのチャンバ内の圧力を均等にしようとするために、チャンバの一部分にかかった圧力が、液体を同じチャンバの別の部分に運んでしまうために局所的な変形への制御が低下し、これにより、ブラダーの衝撃緩和が減衰する。
【0007】
その他の従来の靴底は、装用者の足への衝撃を緩和するために、内含された液体よりも構造の壁に依存する弾性構造を採用している。例えば、米国特許第5,255,451号は、複数の起伏で形成された挿入物を備えた靴底を示唆している。米国特許4,774,774号はハニカム構造で形成された中間ソールを示している。さらに、米国特許4,342,158号は、靴底の踵部分に配置された錐体のディスクスプリング部材を備えた靴底を示唆している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら、壁が衝撃緩和荷重を受けるタイプの従来技術によるクッションは、一般に足の部分の比較的広い範囲に配置される。従来の示唆は、ブラダーを充填する液体によって得られる特定の形状の利点を活かしていない。
【0009】
従って、従来技術の装置の欠点を克服する靴底クッションが必要である。例えば、かけられた衝撃荷重のほとんどを受けるのにクッションの内容物ではなく壁を使用し、また、クッションの様々な部分における硬性の正確な制御が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、靴底に使用するためのクッションを提供する。クッションは、靴を装用している人物の足の縁を支持し、衝撃緩和するべく形成された弾性耐荷重第1、第2中空管状壁を備えている。管状壁は第1、第2管状部分を形成し、これらの内の1つは装用者の足の側部側に沿ってのびており、また、もう1つは装用者の中間側に沿ってのびている。
クッションはさらに、足型の幅にかけて通常中央に配置された足の幅方向中央部分を支持および衝撃緩和するように設計された弾性耐荷重中央壁を備えている。中央壁は中空中間部分を形成し、管状部分と管状部分の間に、これらと結合して配置されている。
【0011】
クッションの好ましい実施例は結合した部分を提供し、この結合した部分では、中央壁と第1管状壁が結合しているために中央および第1壁の内の1つの垂直変形が、もう1つへと伝達される。結合部分では、中央および第1壁の垂直方向に離間した高架部分が、垂直に離間した結合壁によって結合している。結合壁の少なくとも1つが、互いに隣接している高架した壁どうしを結合する。こうして、結合した中央部分と第1管状部分の壁の間で、結合壁を介して垂直変形が伝達される。
【0012】
クッションの好ましい実施例の結合部分は、走るときの1歩で生じる最初の集中した荷重を受ける部分である、装用者の足の踵ストライク範囲内に配置されている。
クッションは装用者の踵用であるのに対し、結合部分は、中央を逸して、靴底の踵部分にかけてのびる縦中央線に対して横方向に配されている。結合部分はさらに、ランニングステップの最中に生じる最大荷重を受ける部分である、装用者のストライク経路付近に配置するべく設計および寸法されていることが好ましい。
【0013】
中央および管状壁が結合していない場所では、好ましい実施例は、中央部分と第1管状部分とを結合するくぼみ部分を備えている。この部分はくぼんでおり、また、任意の長さで縦方向に離間した壁を設けていないため、垂直変形は、くぼみ部分付近に配された中央壁と第1管状壁の部分間で実質的に隔離されてしまう。
【0014】
本発明は、靴底の踵部分への使用に特に適している。この配置では、装用者の踵の側部および後部縁を支持するために、第1管状部分が踵部分の側部および後部縁に沿ってのびている。2つの管状部分は踵の後部にて結合しており、靴底の踵形の外郭全体に沿って実質的に連続的にのびる1つの管状部分を形成している。クッションの中央部分は、その後部において管状部分と結合し、中央および管状壁が水平から上方向に傾斜している低表面を画定することが好ましい。
【0015】
中央壁と管状壁は弓形であることが好ましい。その結果、中央部分と管状部分の、幅方向に垂直にのびる平面に沿った断面が長円形になる。好ましい実施例では、中央部分と管状部分の高さが実質的に同じである。中央部分の中央から側部までの幅は、管状部分の中間から側部までの幅の少なくとも1つよりも長い。中央部分の高さに対する幅のアスペクト比が約2〜4の最高値に達し、また、第1管状部分のアスペクト比が約0.75〜1.5の間であることが好ましい。
【0016】
クッションの壁を強化するには、管状壁と中央壁の内の少なくとも1つが、これらの壁にかけて横方向にのびるリブを備えていることが好ましい。これらの壁の厚さが実質的に一定である場合は、壁のリブとは反対の側に溝が画定される。
【0017】
クッションは、成形したプラスチック材料の単一部品から成る一体構造であり、管状部分が中央部分よりも垂直方向に硬質であることが好ましい。より硬質な管状部分は、その形状により、装用者の足を中央部分に向けて安定させる。
【0018】
耐荷重中央部分および管状部分自体によって提供されている場合、クッションの支持として、クッション内に閉じ込められた空気は加圧されず、また大気圧であることが好ましい。これにより、従来技術の液体または気体で加圧されたブラダーに関連した問題が減少する。
【0019】
靴底へのクッションの好ましい配置は、クッションの下に取付けられたアウトソールが地面と接触する、中間ソールとしての配置である。しかし、いくつかの実施例ではクッション自体をアウトソールとして採用しているものもある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるクッションを備えた左足の靴底の一部分の断面側面図。
【図2】クッションの正面図。
【図3】図2の平面III-IIIに沿って切ったクッションの断面正面図。
【図4】足型上に走るストライク経路の正面図。
【図5】クッションの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、靴底のかかと部分に本発明のクッション10の好ましい実施例を採用した靴底である。この靴底は、中間ソール12とアウトソール14とを備えている。この実施例では、クッション10は中間ソール12の一部であるが、その低部は部分的に露出しており、地面と接触しても良いため、アウトソールとしても機能する。
【0022】
次に図2を参照すると、クッションは、弾性耐荷重管状壁19によって形成された、中間管状部分18と側部管状部分20とを備えた外部管状部24を設けている。管状部分18、20は、靴底の足型の中間および側部縁に沿って延びている。好ましい実施例では、管状部分18、20は、概して足型の一部である踵型の中間および側部縁に沿って延びている。管状部分18、20もやはり踵型の後部縁22に沿って延びており、同時に、単一の実質的に連続した外管状部分24を形成していることが好ましい。結果として形成される管状部分24は、踵型の外郭に沿って実質的に連続的に、U字型にのびている。外部分24を形成している壁19は、足の縁を支持するために、また、例えば歩行、走行、跳躍によってその上で生じる衝撃を和らげるように構成および寸法されている。
【0023】
中間部分18と側部分29の間には、これらの部分と結合して中空中間部分26が設けられている。中間部分26は弾性耐荷重中央壁28によって形成されている。中央壁28は管状壁19と、中央部分26が管状部分24付近に存在している全体に、すなわち、中央部分26の中間、側部及び後面側に沿って結合している。中央壁28は、足の中央部分、この場合は踵を支持および衝撃緩和するべく構成、寸法されている。
【0024】
壁28、19には、クッション10にかかる重量のほとんどがかけられる。そのため、クッション10内に含まれる空気、またはその他の材料は、足の支持またはクッションに依存しないことが好ましい。クッションの壁28、19により、クッションによる支持が顕著な部分が提供される。空気やその他の部分はクッション内に閉じ込められているが、閉じ込められた材料内の材料が顕著な支持または衝撃緩和を提供しないことが最も好ましい。
【0025】
クッション10はまた、中央部分26と管状部分24の間にのびるくぼみ部分30を備えている。くぼみ部分30は、中央部分26と管状部分24とを結合しながら、くぼみ部分30付近に存在する管状壁19と中央壁28部分の間の垂直変形を隔離する。
【0026】
図3にあるように、管状壁19は垂直に離間した高架部分34を備えている。高架という用語は、本明細書中では、壁の上下部分を含み、クッションの頂部側のみを意味するものではない。管状壁19の高架部分は中央壁28の高架部分34とは隔離しているため、実質的に、これら2部分間で、くぼみ部分30にかけて垂直加圧が伝達されることはない。
【0027】
再び図2を参照すると、クッション10はさらに、好ましくはクッション10のくぼみ部分を分離する、くぼみ部分30のレベルから高架した少なくとも1つの壁との結合部分36を備えている。結合壁36は、中央高架部分34を管状高架部分32と接続させている。この接続によって、隣接する高架部分32と34が結合するため、管状壁19と中央壁28の間に垂直変形が伝達される。
【0028】
結合部分36により、結合部分36付近にある中央または管状部分26、18、または20においてクッションに衝撃があった際に、エネルギーが、中央壁28と管状壁18、20に保存および吸収される。結合部分36の位置は、靴底上の衝撃の共通範囲付近で向上した衝撃緩和を提供するべく選択されることが好ましい。クッションが靴底の踵に配置された場合、結合部分36は、以下に説明するように、概して従来技術で知られている踵ストライク範囲52と整列して、踵の後部に配置されることが好ましい。
【0029】
特に装用者がランニングしている際には、1歩進む間に、図4に示すように装用者の足がストライク経路66に沿って靴底に衝撃を与えることが従来からよく知られている。靴底に沿ったストライク経路66はS字型であり、踵から靴底の足型82の前部に向かってのびている。この経路66は、靴底への衝撃からの最初で最大の加重を受ける。踵ストライク範囲52は、靴底の踵における範囲であり、装用者の足による最初で最も強度な衝撃を受ける場所であることが知られている。
【0030】
図2では、クッションは踵に配置されているため、踵ストライク範囲52は線54、56の後ろに画定された範囲に配置されている。9.5サイズの紳士靴用の好ましいクッション10では、線54、56は、クッションから後部から23〜31mmの場所において、クッション10の中央線38と交差する。この距離は靴のサイズによって変化する。線54は、中央線38に対して直角を成す水平線60から前方に、約25°の角度58で横方向にのびている。好ましくは角度58は、通常12°と36°、例えば約20°と30°の間であり、特に好ましくは、角度58は約22.5°である。線56は、線60の後ろで、約5°の角度62で中間にのびている。角度62は、好ましくは約0°から25°の間、例えば1°から10°の間であり、特に好ましくは、角度62は約4.5°である。このように、通常は踵ストライク範囲52との関連で中央に配置されている結合部分36が、中央線38から横方向に移動される。
【0031】
中央部分26と管状部分24が中空であるため、中央部分26は中央内部チャンバ40を画定し、管状部分24は管状内部チャンバ40を画定する。中央チャンバ40と管状チャンバ42は、結合部分36の内部を介して通じている。好ましい実施例では、管状壁19と中央壁28は、その間に垂直変形を伝達するために結合しており、その部分において、結合部分36が内部チャンバ40、42と通じている。しかし、別の実施例では、所望であればこれらのチャンバ40、42を内部区画することができる。また、さらに別の実施例では、中空中央壁28、中空管状壁19は、泡、ゲル、または、一般に靴底に採用されるその他の材料のような可変充填材料によって充填されていてもよい。
【0032】
中央壁28、管状壁19はさらに、中央部分26と管状部分24にかけて横方向にのびる補剛リブ44を備えていることが好ましい。図3では、明白性のためにリブ44を省略していることを了承されたい。図示した実施例のクッション10の壁19、28が実質的に一定の厚さであるため、リブ44は、壁19、28上の反対側に溝46を形成する。リブ44は、壁19、28の曲げこわさを増加させる。リブ44どうしの間隔が狭いほど、またリブ44が厚いほど、そしてリブ44が壁19、28の表面の残り部分から離れてのびていればいるほど、壁19、28は剛度を増す。リブ44は、幅が約1〜4mmであり、約6〜18mmの間の間隔で離間していることが好ましい。
【0033】
リブは互いに平行に向いているが、図4に示した走行ストライク経路66に対して垂直な方向を向いてのびていることが好ましい。図示した実施例のリブ44は、ストライク経路66に対して垂直な線70から好ましくは約40°よりも小さな、より好ましくは約20°よりも小さな角度68で方向付けされている。
【0034】
図1に示したように、底部中央壁28は、実質的にリブ44と同じ深度であるかみ合せ部分64を備えている。従って、リブ44はこのかみ合せ部分64を横切って延びることはない。別の実施例では、追加のアウトソール材料をかみ合せ部分64に固定するか、かみ合せ部分64に装飾的な模様や商標を施すことも可能である。図2は、楕円形のかみ合せ部分64を示す。
【0035】
図2の、クッション10全体にわたって幅方向かつ垂直方向にのびる平面III-IIIに沿って切ったクッション10の好ましい断面図が、図3に最もよく示される。中央壁28と管状壁19は両方とも弓形である。中央壁28の断面は長円形または楕円形に画定されることが好ましい。管状壁19の好ましい断面は、一般に、中央壁28の断面と比較すると円形である。これらの形状により、クッション10はエネルギーを保存し、また、このエネルギーを装用者へと返す。中央壁28の比較的幅広で水平な高架部分34は、中心部分を管状部分24ほど硬化させない。クッション10の、踵用に形成された最も幅広い部分において、中央部分26が、好ましくはクッション10の、中間管状部分18の中間縁から側部管状部分20の側部縁までの最大幅84の約50%よりも大きい最大幅74に、また、さらに好ましくはクッション10の最大幅84の約60%に達する。好ましくは、中間部分18と側部管状部分20のうちの1つは、クッション10の最も幅広い部分の中央部分26の幅の少なくとも約15%であり、またさらに好ましくは約20%の幅である。
【0036】
さらに、好ましい実施例では、中央部分26と管状部分24の高さ72は実質的に同一である。各クッション部分18、20のアスペクト比は、クッション部分24、26の幅74、75と、その高さ72との比として画定される。管状部分18と20のアスペクト比は、その中央軸にかけて測定される。中央部分26の最大アスペクト比は約2〜3の間であり、好ましくは約2.6である。管状部分24のアスペクト比は、クッション10の側部側と中間側に沿って約0.75〜1.5の間であり、好ましくは約1である。
【0037】
その結果、管状部分24が中央部分26と比べてより高い硬度となっていることは、衝撃の際にこれが中央部分26に向けて足を安定させるので、望ましい。衝撃の最中に管状壁19よりも垂直方向に変形する中央壁28と共に、1歩歩むごとにクッション10は足を中央部分26へと向け、傷害の危険を減少させる。
【0038】
図5を参照すると、中央壁28と管状壁19を含むクッション10の前部は、曲線的な前部縁76を備えている。曲線縁76によって、1歩進む間に、靴底の縦方向の中央部分の屈曲が容易になる。さらに、クッションの低い後部面78が上方に向かって、水平から約10°の角度80に合わせられると、クッション10の後部が縦方向に薄くなる。装用者が走っている際の快適性を向上するために、この角度80は、アウトソールの上昇した踵を提供する。
クッション10は、一体構造の単一部品として吹込み成形されることが好ましい。吹込み成形用に設計され、Dupont社から販売されているポリエステルエラストマであるHYTREL HTR5612は、クッション10の製造に使用するのに好ましい材料である。クッション10の吹込み成形に非常に適したその他の材料は、比較的高度な溶解粘度を有するものである。最も好ましいクッション材料は、ポアソン比が約0.45であり、屈曲係数が124 MPaであり、Dスケール上で硬度デュロメータ50である。材料が48時間の間、元の厚さの50%にまで圧縮された後に解放される加圧テストに課された際に、材料は実質的に完全に減圧されることが好ましい。好ましいHYTREL材料は、加圧テスト後に1%以内の割合で元の厚さに戻る。残りの中間ソール、アウトソール、そして脚付近に配置するために中間ソールの上に取付けられたインソールは、従来の材料で製造される。
【0039】
吹込み成形工程の結果として、製造中に空気が吹き込まれる中空スタブ48が残る。このスタブ48は、スタブを介して空気が吸入および排出されるために、1歩進める度にクッション10が不快なノイズを出すことを防止するべく密閉されていることが好ましい。スタブ48の密閉はさらに、歩行する面上にあるかもしれない水またはその他の液体がクッション10に入ってしまうことを防止する。もしスタブ48自体が閉鎖していない場合、靴底の隣接する材料50を使用してスタブの開口を閉鎖することもできる。上述したように、スタブ48が一旦閉鎖するとクッション10が空気を捕獲するが、クッション10の壁19、28が捕獲された空気の代わりに足の主要な支持と衝撃緩和を提供する。もしある場合には、捕獲された空気は著しく加圧されないことが好ましい。
【0040】
当業者は、様々な応用形および変形を想像することができる。例えば、別の実施例では、補剛リブを採用しなくてもよいし、あるいは、靴底の前部範囲またはその他の範囲での使用のために設計されていてもよい。これらの変形例の全ては、請求項の概念および範囲によって意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底に使用するためのクッションであって、前記クッションが、
弾性耐荷重第1および第2中空管状壁を有した第1および第2管状部分であって、一方の中空管状壁が装用者の足の外側に沿ってのびるような形状を有しており、他方の中空管状壁が装用者の足の内側に沿ってのびるような形状を有しており、弾性耐荷重第1および第2中空管状壁が、前記内側及び外側を支持および衝撃緩衝するための充分な強度を与える厚さ、材料、及び形状からなる第1および第2管状部分と、
前記第1および第2管状部分の間に配置され、該第1および第2管状部分と結合されている弾性耐荷重中空中央壁を有した中央部分であって、前記弾性耐荷重中空中央壁が、足の幅方向中央部分を支持および衝撃緩和するための充分な強度を与える厚さ、材料、及び形状からなる中央部分と、
を備えたことを特徴とするクッション。
【請求項2】
前記弾性耐荷重中空中央壁および前記弾性耐荷重第1中空管状壁のうちの一方の垂直変形が他方へと伝達されるよう、前記弾性耐荷重中空中央壁および前記弾性耐荷重第1中空管状壁を結合するための結合部分をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記弾性耐荷重第1および第2中空管状壁が、装用者の踵の内側及び外側に沿って延びるように形成されており、前記弾性耐荷重中空中央壁が、装用者の踵の幅方向中央部分に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項4】
前記中央部分、第1管状部分、および第2管状部分の高さが、実質的に同じであることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項5】
前記第1および第2管状部分が各々第1および第2幅を有し、前記中央部分が、前記第1および第2幅の少なくとも1つよりも広い中央幅を有することを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項6】
前記中央部分、第1管状部分、及び第2管状部分の、幅方向で垂直にのびる平面に沿った断面が、長円形であることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項7】
前記中央部分が、約2から4の間の最大値に達する、幅の高さに対する中央アスペクト比を画定し、
前記第1管状部分が、約0.75から1.5の間の、幅の高さに対する第1アスペクト比を画定する、ことを特徴とする請求項6に記載のクッション。
【請求項8】
前記弾性耐荷重第1中空管状壁、前記弾性耐荷重第2中空管状壁、及び前記弾性耐荷重中空中央壁の少なくとも1つが、壁の硬度を高めるように形成され寸法が決められた、壁を横切って幅方向にのびるリブを有することを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項9】
前記弾性耐荷重第1中空管状壁、前記弾性耐荷重第2中空管状壁、及び前記弾性耐荷重中空中央壁の少なくとも1つが、実質的に一定の厚さを有し、その側部に、それを横切って前記幅方向にのびる溝を画定し、前記溝が、前記弾性耐荷重第1中空管状壁、前記弾性耐荷重第2中空管状壁、及び前記弾性耐荷重中空中央壁の少なくとも1つの反対側にリブを画定することを特徴とする請求項8に記載のクッション。
【請求項10】
前記前記弾性耐荷重中空中央壁、前記弾性耐荷重第1中空管状壁、及び前記弾性耐荷重第2中空管状壁が、成形したプラスチック材料の1つの部品からなる単体構造であることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項11】
装用者の足を前記中央部分に固定するために、前記第1および第2管状部分が、前記中央部分よりも垂直方向に硬質となるように、前記弾性耐荷重第1および第2中空管状壁と、前記弾性耐荷重中空中央壁との厚さ、材料、及び形状が選定されていることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項12】
前記中央部分、前記第1管状部分、及び第2管状部分の内部に封入された空気が、実質的に大気圧であることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項13】
前記弾性耐荷重第1および第2中空管状壁と、前記弾性耐荷重中空中央壁との強度が、前記弾性耐荷重第1および第2中空管状壁と、前記弾性耐荷重中空中央壁との内部に含まれる材料にかかわらず、装用者の足の内側及び外側及び中央部分を支持するに充分となっていることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項14】
靴底であって、
請求項1に記載の前記クッションを備えた中間ソールと、
地面と接触するため、前記中間ソールの下に取り付けられたアウトソールと、を有することを特徴とする靴底。
【請求項15】
靴底に使用するためのクッションであって、前記クッションが、
弾性耐荷重第1および第2中空管状壁を有した第1および第2管状部分であって、一方の中空管状壁が装用者の足の外側に沿ってのびるような形状を有しており、他方の中空管状壁が装用者の足の内側に沿って延びるような形状を有しており、弾性耐荷重第1および第2中空管状壁が前記内側及び外側を支持および衝撃緩衝するための充分な強度を与える厚さ、材料、及び形状からなる第1および第2管状部分と、
前記第1および第2管状部分の間に配置され、該第1および第2管状部分と結合されている弾性耐荷重中空中央壁を有した中央部分であり、前記弾性耐荷重中空中央壁が、足の幅方向中央部分を支持および衝撃緩和するための充分な強度を与える厚さ、材料、及び形状からなる中央部分と、
前記弾性耐荷重中空中央壁および前記弾性耐荷重第1中空管状壁のうちの一方の垂直変形が他方へと伝達されるよう、前記弾性耐荷重中空中央壁および前記弾性耐荷重第1中空管状壁を結合するための結合部分と、
を備えたことを特徴とするクッション。
【請求項16】
前記弾性耐荷重中空中央壁および前記弾性耐荷重第1中空管状壁が垂直方向に離間した高架部分を有し、
前記結合部分が垂直方向に離間した結合壁を有し、前記結合壁の少なくとも1つが、互いに隣接する前記高架部分の壁を構成する少なくとも1対の壁を結合し、これにより、前記中央部分および第1管状部分の前記結合した壁の対の間の前記結合壁を介して垂直変形が伝達されることを特徴とする請求項15に記載のクッション。
【請求項17】
前記中央部分と前記第1管状部分とを結合するくぼみ部分をさらに有し、これにより、前記中央部分と前記第1管状部分のうち、前記くぼみ部分付近に配置された各部分の間で、垂直変形が実質的に伝達されないことを特徴とする請求項15に記載のクッション。
【請求項18】
前記結合部分が、前記装用者の足のストライク経路に沿って配置されていることを特徴とする請求項15に記載のクッション。
【請求項19】
前記結合部分が、前記装用者の足の踵ストライク範囲内に配置されていることを特徴とする請求項15に記載のクッション。
【請求項20】
前記結合部分が、装用者の踵全体にかけてのびている縦中央線に対して横方向にオフセットしていることを特徴とする請求項19に記載のクッション。
【請求項21】
前記結合部分は、前記クッションに対して幅方向に、クッションの中心を外れて配置されることを特徴とする請求項15に記載のクッション。
【請求項22】
靴底であって、
請求項15に記載の前記クッションを備えた中間ソールと、
地面と接触するため、前記中間ソールの下に取り付けられたアウトソールと、を有することを特徴とする靴底。
【請求項23】
靴底に使用するためのクッションであって、前記クッションが、
弾性耐荷重第1および第2中空管状壁を有した第1および第2管状部分であって、一方の中空管状壁が装用者の踵の外側に沿って延びるような形状を有しており、他方の中空管状壁が装用者の踵の内側に沿ってのびるような形状を有しており、弾性耐荷重第1および第2中空管状壁が前記内側及び外側を支持および衝撃緩衝するための充分な強度を与える厚さ、材料、及び形状からなる第1および第2管状部分と、
前記第1および第2管状部分の間に配置され、該第1および第2管状部分と結合されている弾性耐荷重中空中央壁を有した中央部分であって、前記弾性耐荷重中空中央壁が、踵の幅方向中央部分を支持および衝撃緩和するための充分な強度を与える厚さ、材料、及び形状からなる中央部分と、
を備えた、ことを特徴とするクッション。
【請求項24】
前記第1および第2管状部分のうちの1つが、前記装用者の踵の後部縁を支持するために、前記装用者の踵の前記後部縁に沿ってのびていることを特徴とする請求項23に記載のクッション。
【請求項25】
前記第1および第2管状部分が前記装用者の踵の後部において結合しており、そのため、前記第1および第2管状部分が一緒になって、実質的に前記装用者の踵の輪郭全体に沿って実質的に連続してのびる、1つの管状部分を形成することを特徴とする請求項24に記載のクッション。
【請求項26】
前記第1および第2管状部分が、前記装用者の踵の前記後部縁に沿ってのびており、前記中央部分が、前記中央部分の後部において前記第1および第2管状部分と結合していることを特徴とする請求項23に記載のクッション。
【請求項27】
前記弾性耐荷重中空中央壁、前記弾性耐荷重第1中空管状壁、及び前記弾性耐荷重第2中空管状壁が、前記装用者の踵の下で後部において水平面から上方に傾斜している下側面を画定することを特徴とする請求項23に記載のクッション。
【請求項28】
靴底であって、
請求項23に記載の前記クッションを備えた中間ソールと、
地面と接触するため、前記中間ソールの下に取り付けられたアウトソールと、を有することを特徴とする靴底。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−375(P2010−375A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191902(P2009−191902)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【分割の表示】特願2000−523885(P2000−523885)の分割
【原出願日】平成10年12月4日(1998.12.4)
【出願人】(500262119)ニュー バランス アスレティック シュー,インコーポレーテッド (7)
【住所又は居所原語表記】20 Guest Street, Boston, MA 02135, U.S.A.
【Fターム(参考)】