音声再生システム、音声処理装置、シンク機器及びそれらのプログラム
【課題】 シンク機器に設けられたスピーカーからあるチャンネルの音声データを再生する場合に、シンク機器に設けられたスピーカーの向きを適切に制御すること。
【解決手段】 AVアンプ20は、スピーカー設定テーブルに設定されている、視聴位置からシンク用スピーカーまでの距離と、シンク用スピーカーの視聴位置からの高さとに基づいて、シンク用スピーカーの回動角度を算出し、シンク機器にCECラインを介して送信する。シンク機器は、受信した回動角度の情報に基づいて、シンク用スピーカーを当該回動角度だけ回動させる。従って、シンク用スピーカーの向きを視聴位置の方に自動的に向かせることができる。
【解決手段】 AVアンプ20は、スピーカー設定テーブルに設定されている、視聴位置からシンク用スピーカーまでの距離と、シンク用スピーカーの視聴位置からの高さとに基づいて、シンク用スピーカーの回動角度を算出し、シンク機器にCECラインを介して送信する。シンク機器は、受信した回動角度の情報に基づいて、シンク用スピーカーを当該回動角度だけ回動させる。従って、シンク用スピーカーの向きを視聴位置の方に自動的に向かせることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャンネル音声データを再生する音声再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
HDMI規格に準拠したソース機器であるDVDプレーヤと、リピーター機器であるAVアンプと、シンク機器であるプロジェクタやディスプレイ装置とを備える音声再生システムが利用されており、ソース機器から出力されるHDMIデータに映像データ及び音声データを含めることにより、1本のHDMIケーブルによって映像データ及び音声データの両方をリピーター機器に送信することができる。AVアンプは、DVDプレーヤから受信したHDMIデータを元の映像データ及び音声データに変換し、音声データを増幅してスピーカーに出力すると共に、映像データを再度HDMIデータに変換し、プロジェクタに送信する。プロジェクタは、受信したHDMIデータを元の映像データに変換してスクリーンに映写する。
【0003】
DVDプレーヤからAVアンプに送信されるHDMIデータに含まれている音声データは、マルチチャンネル音声データがエンコードされたものである。例えば、マルチチャンネル音声データは、図17に示すように、左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データSW、サラウンド左音声データSL、サラウンド右音声データSR、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRを含む7.1chのマルチチャンネル音声データが採用されている。
【0004】
しかしながら、これらのマルチチャンネル音声データの各チャンネルの音声データを再生するためには、AVアンプにスピーカーケーブルを介して8つのスピーカーを接続する必要がある。そのため、ユーザは8つのスピーカーを用意する必要があるので、コストがかかる。また、一般的にはAVアンプはユーザ(視聴位置)の前方に配置されるので、AVアンプと、サラウンド後方左スピーカーSSBL及びサラウンド後方右スピーカーSSBRとを接続するためには、部屋内を前方から後方に向かってスピーカーケーブルを配線する必要があり、煩雑であり、かつ、見栄えもよくない。
【0005】
この問題を解決するために、以下の技術が提案されている。AVアンプは、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データを含むHDMIデータをプロジェクタに送信する。プロジェクタは、受信したHDMIデータに含まれるサラウンド後方左音声データSBLをプロジェクタ左スピーカーから再生し、サラウンド後方右音声データSBRをプロジェクタ右スピーカーから再生する。これにより、サラウンド後方左スピーカーSSBL及びサラウンド後方右スピーカーSSBRを配置せずに、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを再生することができる。
【0006】
ここで、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRは高周波数成分を含む場合があり、その高周波成分においては、指向性が狭いという特徴を有する。そのため、プロジェクタに設けられたスピーカーの振動板の向き(音波の放出方向)が非常に重要であり、スピーカーが視聴位置(ユーザの耳)を向いている必要がある。しかし、上記技術では、スピーカーの向きについては何ら考慮されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2007−288247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、シンク機器に設けられたスピーカーからあるチャンネルの音声データを再生する場合に、シンク機器に設けられたスピーカーの向きを適切に制御できる音声再生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態による音声再生システムは、1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備える。前記音声処理装置が、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記第1チャンネル音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有する。前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データを受信する受信手段と、受信した前記第1チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する。
【0010】
音声処理装置において、スピーカー設定手段によって設定されている視聴位置からシンク用スピーカーまでの距離と、シンク用スピーカーの視聴位置からの高さとに基づいて、シンク用スピーカーの回動角度が算出される。算出された回動角度の情報は、シンク機器に送信される。シンク機器において、受信した回動角度の情報に基づいて、シンク用スピーカーが当該回動角度だけ回動される。従って、シンク用スピーカーの向きを視聴位置の方に自動的に向かせることができる。
【0011】
好ましくは、前記シンク機器が、受信した回動角度の情報に基づいて、前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲内であるか否かを判断する回動可否判断手段と、前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲を越えているとき、前記音声処理装置に回動不可能である旨を示す異常通知を送信する通知送信手段とをさらに有し、前記音声処理装置が、前記異常通知を受信する通知受信手段と、前記異常通知を受信したとき、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとの少なくとも一方を変更するようにユーザに告知する告知手段とをさらに有する。
【0012】
算出された回動角度がシンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲を越えている場合には、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとの少なくとも一方を変更するようにユーザに告知する。当該告知に応じて、これら少なくとも一方をユーザ操作に応じて変更することによって、新たな回動角度が算出され、新たな回動角度でシンク用スピーカーを回動させることができる。
【0013】
好ましくは、前記シンク機器が視聴位置よりも後方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、sinθ=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離によって算出する。
【0014】
好ましくは、前記シンク機器が視聴位置よりも前方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、θ=180−θ’(但し、sinθ’=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離)によって算出する。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態による音声再生システムは、1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備える。前記音声処理装置が、前記シンク機器と視聴位置との配置関係を管理する配置管理手段と、前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であるか後方であるかを判断する配置判断手段と、前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であると判断されたとき、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第2チャンネル音声データを前記シンク機器に送信し、前記シンク機器が前記視聴位置よりも後方であると判断されたとき、前記マルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記送信手段が送信した音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、前記視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有する。前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを受信する受信手段と、受信した前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0016】
音声処理装置において、スピーカー設定手段によって設定されている、視聴位置からシンク用スピーカーまでの距離と、シンク用スピーカーの視聴位置からの高さとに基づいて、シンク用スピーカーの回動角度が算出される。算出された回動角度の情報は、シンク機器に送信される。シンク機器において、受信した回動角度の情報に基づいて、シンク用スピーカーが受信した回動角度だけ回動される。従って、シンク用スピーカーの向きを視聴位置の方に自動的に向かせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態によるDVDプレーヤ(ソース機器、再生装置)、AVアンプ(リピータ機器、音声処理装置)およびプロジェクタ(シンク機器)を備える音声再生システムついて、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0018】
図1は、本実施形態における、AVアンプ20、プロジェクタ30、及び、各スピーカーの配置及び接続構成を説明する図である(DVDプレーヤ10及びスクリーンは省略している)。図2は、プロジェクタ30を示す外観図である。プロジェクタ30には、映写部32と、プロジェクタ左スピーカーSLPと、プロジェクタ右スピーカーSRPとが設けられている。プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPは、後述するスピーカー回動制御部によって、振動板の向きが床面に平行な位置(前向き)から、振動板の向きが床面に直交する位置(下向き)に向けて、回動可能になっている。AVアンプ20には、HDMIケーブルを介してプロジェクタ30が接続され、左スピーカーSL、右スピーカーSR、中央スピーカーSC、低域スピーカーSSW、サラウンド左スピーカーSSL、サラウンド右スピーカーSSRが接続されている。サラウンド後方左スピーカーSSBL、サラウンド後方右スピーカーSSBRは配置しなくてもよい。
【0019】
図3は、DVDプレーヤ10、AVアンプ20及びプロジェクタ30の構成を示すブロック図である。DVDプレーヤ10、AVアンプ20及びプロジェクタ30は、例えばHDMI規格に準拠しており、HDMIケーブルを介して相互に接続されている。
【0020】
[DVDプレーヤ10の構成]
DVDプレーヤ10は、再生部11と、HDMI送信部13と、システム制御部14と、操作表示部15と、メモリ16と、コネクタ部17とを有している。
【0021】
再生部11は、DVDディスク(以下、単にディスクという。)に記録されている映像データ及びエンコードされたマルチチャンネル音声データをディスクから読み出して、HDMI送信部13に供給する。再生部11は、図示しない光ピックアップ、サーボ回路、MPEGデコーダ、音声デコーダ等を含む。
【0022】
HDMI送信部13は、再生部11から供給された映像データ及び音声データを、システム制御部14からのコマンドにより、HDMI規格のデータ(以下、HDMIデータという。)に変換する。HDMI送信部13は、HDMIデータを、コネクタ部17を介してAVアンプ20に送信する。
【0023】
HDMI送信部13は、HDMIデータを送受信するTMDSライン、認証情報やEDIDを読み出すためのDDCライン、及び、接続の有無を判断するためのホットプラグラインを介して、AVアンプ20のHDMI受信部21に接続される。
【0024】
システム制御部14は、内蔵又は接続されたメモリに格納されているDVDプレーヤの動作プログラムに基づいて、再生部11、HDMI送信部13、操作表示部15、メモリ16等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部14は、操作表示部15からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。システム制御部14は、CECラインを介してAVアンプ20のシステム制御部23に接続され、システム制御部23とコマンドおよび/またはデータを送受信する。
【0025】
[AVアンプの構成]
AVアンプ20は、HDMI受信部21と、HDMI送信部22と、システム制御部23と、操作表示部24と、メモリ25と、音声処理部26と、コネクタ部27、28とを有している。
【0026】
HDMI受信部21は、DVDプレーヤ10から送信されたHDMIデータを受信して、受信したHDMIデータから元の映像データ(HDMI変換前の映像データ)を生成して、HDMI送信部22に供給する。また、HDMI受信部21は、受信したHDMIデータから元のマルチチャンネル音声データを生成して、音声処理部26に供給する。
【0027】
音声処理部26は、HDMI受信部21から供給されたマルチチャンネル音声データをデコードし、音響処理、D/A変換処理、ボリューム調整処理、増幅処理等の各処理を実行し、外部に接続されたスピーカー60(図1の各スピーカーに対応)に各チャンネルの音声信号を供給する。また、音声処理部26は、あるチャンネルの音声データをHDMI送信部22に供給する。あるチャンネルの音声データとは、本例の場合、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRである。
【0028】
図4は、音声処理部26の構成を示すブロック図である。音声処理部26は、DSP41と、DAC(デジタル−アナログ変換器)42と、音量調整部43と、増幅処理部44と、変換部45とを有する。
【0029】
DSP41は、HDMI受信部21から供給されるマルチチャンネル音声データをデコードし、デコードされた各チャンネルの音声データを生成する。DSP41においてデコードされた音声データのうち、左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データSW、サラウンド左音声データSLおよびサラウンド右音声データSRは、DAC42に供給される。一方、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRは、変換部45に供給される。
【0030】
DAC42は、DSP41から供給される各チャンネルの音声データをデジタル−アナログ変換し、各チャンネルのアナログ音声信号を音量調整部43に供給する。
【0031】
音量調整部43は、各チャンネルのアナログの音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部44に供給する。音量調整部43は、各チャンネル毎に可変抵抗等のボリューム調整回路が設けられている。増幅処理部44は、音量調整部43から供給された各チャンネルの音声信号を増幅して、各チャンネルのスピーカー出力端子を介して、各チャンネルのスピーカーに出力する。増幅処理部44は、各チャンネル毎に増幅回路が設けられている。
【0032】
変換部45は、DSP41からサラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRが供給される。また、変換部45は、DSP41からビットクロックBCLK、マスタークロックMCLK及びLRクロックLRCLKが供給される。変換部45は、各クロックに基づいて、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRをSPDIF(2チャンネルPCM)の音声データに変換し、HDMI送信部22に供給する。
【0033】
図3に戻り、HDMI送信部22は、HDMI受信部21から供給された映像データ、並びに、音声処理部26の変換部45から供給されたサラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを、HDMIデータに変換する。HDMI送信部22は、変換したHDMIデータをプロジェクタ30のHDMI受信部31に送信する。
【0034】
HDMI送信部22は、TMDSライン、DDCライン及びホットプラグラインを介して、プロジェクタ30のHDMI受信部31に接続されている。
【0035】
システム制御部23は、内蔵又は接続されたメモリ25に記憶されているAVアンプの動作プログラムに基づいて、HDMI受信部21、HDMI送信部22、操作表示部24、音声処理部26等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部23は、操作表示部24からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。
【0036】
システム制御部23は、CECラインを介してDVDプレーヤ10のシステム制御部14に接続され、システム制御部14とコマンドおよびデータを送受信する。また、システム制御部23は、CECラインを介してプロジェクタ30のシステム制御部33に接続され、システム制御部33とコマンドおよびデータを送受信する。
【0037】
メモリ25には、図5に示すスピーカー設定テーブルが格納されている。スピーカー設定テーブルには、ユーザ操作によって、視聴位置から左スピーカーSL(及び右スピーカーSR)までの距離SL Distanceと、視聴位置から中央スピーカーSCまでの距離SC Distanceと、視聴位置から低域スピーカーSWまでの距離SSW Distanceと、視聴位置からサラウンド左スピーカーSSL(及びサラウンド右スピーカーSSR)までの距離SSL Distanceと、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)までの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)の高さSSBL Heightと、プロジェクタ30に対してHMDIデータ出力するか否かの情報SSBL HDMI OUTとが設定可能である。
【0038】
サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL
Heightは、サラウンド後方左スピーカーSSBLの視聴位置(詳細にはユーザの耳の位置)からの高さを意味する。つまり、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Heightは、図6に示すように、サラウンド後方左スピーカーSSBL(ここでは、プロジェクタ左スピーカーSLPに相当)の床面からの高さから、視聴位置(ユーザの耳の位置)の床面からの高さを減算した値である。なお、プロジェクタ左スピーカーSLPの床面からの高さは、プロジェクタ左スピーカーSLPの中心位置(破線矢印Aの位置)で決定されるとよい。
【0039】
また、プロジェクタ30に対してHDMIデータを出力するか否かの情報SSBL HDMI
OUTは、「YES」又は「NO」を設定可能であり、「YES」の場合にサラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを含むHDMIデータをプロジェクタ30に送信し、「NO」の場合に当該HDMIデータをプロジェクタ30に送信しないようにできる。
【0040】
システム制御部23は、スピーカー設定テーブルに設定されている、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)までの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)の高さSSBL Heightとに基づいて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを算出する。詳細には、図6に示すように、回動角度θは、sinθ=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceによって算出される。なお、本例では、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離と、視聴位置からサラウンド後方右スピーカーSSBRまでの距離とが等しく、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さと、サラウンド後方右スピーカーSSBR)の高さとが等しいことを前提に説明している。しかし、それぞれが異なる場合には、図5のスピーカー設定テーブルにそれぞれを個別に設定可能として、プロジェクタ左スピーカーSLPの回動角度と、プロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度とを個別に算出すれべよい。
【0041】
システム制御部23は、算出した角度の情報θを、CECラインを介してプロジェクタ30のシステム制御部33に送信し、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動を制御する。
【0042】
[プロジェクタ30の構成]
プロジェクタ30は、HDMI受信部31と、映写部32と、システム制御部33と、メモリ34と、操作部35と、映像処理部36と、音声処理部39と、スピーカー40(図1における、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPに対応)と、スピーカー回動制御部37と、コネクタ部38とを有する。
【0043】
HDMI受信部31は、AVアンプ20のHDMI送信部22から送信されたHDMIデータを受信して、HDMIデータから元の映像データを生成し、映像処理部36を介して映写部32に供給する。また、HDMI受信部31は、HDMIデータから元の音声データを生成して、音声処理部39に供給する。音声データは、上記の通り、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを含むSPDIF(PCM)データである。
【0044】
音声処理部39は、HDMI受信部31から供給された音声データを、D/A変換処理、ボリューム調整処理、増幅処理等の各処理を実行し、スピーカー40に供給する。図7は、音声処理部39の構成を示すブロック図である。音声処理部39は、DAC(デジタル−アナログ変換器)51と、音量調整部52と、増幅処理部53とを含む。
【0045】
DAC51は、HDMI受信部31から供給される音声データをデジタル−アナログ変換し、アナログ音声信号を音量調整部52に供給する。音量調整部52は、DAC51からのアナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53に供給する。音量調整部52のボリューム値は、AVアンプ20のシステム制御部14からのボリューム設定コマンドに含まれているボリューム値にシステム制御部33によって調整される。増幅処理部53は、音量調整部52からの音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。すなわち、サラウンド後方左音声データSBLがプロジェクタ左スピーカーSLPから再生され、サラウンド後方右音声データSBRがプロジェクタ右スピーカーSRPから再生される。
【0046】
図3に戻り、映写部32は、HDMI受信部31から映像データが供給され、当該映像データに基づいて映像を、図示しないスクリーンに映写するものである。なお、スクリーンは、視聴者の前方の壁面などに取り付けられている。
【0047】
スピーカー回動制御部37は、システム制御部33からの指示に応じて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるものであり、例えば、回転制御用のモータ等の周知の技術によって実現されている。
【0048】
システム制御部33は、内蔵又は接続されたメモリに格納されたプロジェクタの動作プログラムに基づいて、HDMI受信部31、映写部32、メモリ34、スピーカー回動制御部37、音声処理部39等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部33は、操作部35からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。
【0049】
システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23から角度情報θを受信したとき、角度θだけプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるように、スピーカー回動制御部37を制御する。
【0050】
[音声再生システムの動作]
まず、図8,図9のフローチャートを参照し、プロジェクタ左スピーカーSLPからサラウンド左音声データSBLを再生し、プロジェクタ右スピーカーSRPからサラウンド右音声データSBRを再生する処理を、説明する。図8に示すように、AVアンプ20のシステム制御部23は、DVDプレーヤ10からHDMIデータが入力されたか否か、すなわち、HDMI受信部21がHDMIデータを受信したか否かを監視している(S11)。HDMIデータが入力されると(S11でYES)、システム制御部23は、プロジェクタ30がAVアンプ20に接続されているか否かを判断する(S12)。例えば、HDMIケーブルを介してプロジェクタ30が接続されているとき、プロジェクタ30から出力されるホットプラグがハイレベルになっているので、ホットプラグのレベルを判別することによって、接続有無を判断できる。ここでは、プロジェクタ30が接続されているので(S12でYES)、S13に進む。なお、当該接続確認には、プロジェクタ30の電源がオン状態になっているかの確認の意味を包括する。
【0051】
次に、システム制御部23は、プロジェクタ30が音声再生機能を有するか否か、すなわち、プロジェクタ30が音声処理部39やプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを有しているか否かを判断する(S13)。例えば、HDMIケーブルを介してプロジェクタ30が接続されているとき、プロジェクタ30から機器情報を含むEDIDを取得することができるので、取得したEDIDに含まれる機器情報を解析することによって、音声再生機能を有するか否かを判断できる。ここでは、音声再生機能を有しているので(S13でYES)、S14に進む。
【0052】
次に、システム制御部23は、プロジェクタ30のスピーカーでサラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを再生する準備を行うため、CECラインを介して、プロジェクタ30のシステム制御部33にボリューム設定コマンドを送信する(S14)。ボリューム設定コマンドには、現在のAVアンプ20の音量調整部43に設定されているボリューム値(相対的な値ではなく例えばdB単位等の絶対的な値)が含まれている。
【0053】
図9に示すように、プロジェクタ30のシステム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23からボリューム設定コマンドを受信したか否かを監視している(S31)。ボリューム設定コマンドを受信すると(S31でYES)、システム制御部33は、ボリューム設定コマンドに含まれているボリューム値を読み出して、音量調整部52のボリューム値を当該ボリューム値に設定する(S32)。続いて、システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23にボリューム設定完了通知を送信する(S33)。その後、プロジェクタ30は、AVアンプ20からHDMIデータを受信するまで待機する。
【0054】
図8に戻って、AVアンプ20のシステム制御部23は、CECラインを介して、プロジェクタ30のシステム制御部33からボリューム設定完了通知を受信したか否かを監視している(S15)。ボリューム設定完了通知を受信した場合(S15でYES)、システム制御部23は音声処理部26及びHDMI送信部22を制御し、マルチチャンネル音声データのデコードと、HDMIデータのプロジェクタ30への送信を実行する(S16)。
【0055】
詳細には、音声処理部26(DSP41)は、各チャンネルの音声データをデコードする。DSP41は、デコードされたサラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを変換部45に供給する。変換部45は、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRをSPDIF(PCM)データに変換し、HDMI送信部22に供給する。HDMI送信部22は、映像データと、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRとからHDMIデータを生成し、プロジェクタ30のHDMI受信部31に送信する。
【0056】
図9に示すように、プロジェクタ30のHDMI受信部31は、HDMIデータを受信すると、元の映像データと、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRとを生成し、映像データを映写部32に供給し、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを音声処理部39に供給する(S34)。システム制御部33は、音量調整部52及び増幅処理部53を制御して、ミュート状態を解除する(S35)。音声処理部39において、DAC51が音声データをデジタル−アナログ変換し、音量調整部52がアナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53がアナログ音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。その結果、プロジェクタ左スピーカーSLPからサラウンド後方左音声データSBLが再生され、プロジェクタ右スピーカーSRPからサラウンド後方右音声データSBRが再生される(S36)。
【0057】
図8に戻って、DSP41は、デコードされた左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データSW、サラウンド左音声データSL、サラウンド右音声データSRをDAC42に供給する。DAC42は、音声データをデジタル−アナログ変換し、音量調整部52は、アナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53は、アナログ音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。その結果、左スピーカーSLから左音声データLが再生され、右スピーカーSRから右音声データRが再生され、中央スピーカーSCから中央音声データCが再生され、低域スピーカーSSWから低域音声データSWが再生され、サラウンド左スピーカーSSLからサラウンド左音声データSLが再生され、サラウンド右スピーカーSSRからサラウンド右音声データSRが再生される(S17)。
【0058】
以上のように、プロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用してサラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRを再生することによって、サラウンド後方左スピーカー、及び、サラウンド後方右スピーカーを別途配置する必要がない。マルチチャンネル音声データに、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRの代わりに、1ch分の後方音声データのみが含まれている場合、当該後方音声データをプロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用して再生すればよい。この場合、プロジェクタ30には少なくとも1つのスピーカーが設けられていればよい。
【0059】
なお、S12において、プロジェクタ30がAVアンプ20に接続されていないと判断された場合(S12でNO)、又は、S13で、プロジェクタ30が音声再生機能を有していないと判断された場合(S13でNO)、S18に進み、通常の再生処理が実行される。この場合、DSP41は、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを変換部45ではなく、DAC42に供給する。DAC42は、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRをデジタル−アナログ変換し、音量調整部52は、アナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53は、アナログ音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。その結果、サラウンド後方左スピーカー、及び、サラウンド後方右スピーカーがAVアンプ20に接続されていれば、サラウンド後方左スピーカーからサラウンド後方左音声データSBLを再生し、サラウンド後方右スピーカーからサラウンド後方右音声データSBRを再生することも可能である。なお、サラウンド後方左スピーカー及びサラウンド後方右スピーカーが配置されていない場合には、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを、他のチャンネルの音声信号に加算して、他のチャンネルのスピーカーから再生することも可能である。
【0060】
次に、図10,図11を参照して、スピーカー設定テーブルの設定内容に基づいて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させる処理を説明する。図10に示すように、AVアンプ20のシステム制御部23は、スピーカー設定テーブルに、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBL(サラウンド後方右スピーカーSSBR)までの距離SSBL Distanceが設定されているか否かを判断する(S61)。設定されていなければ(S61でNO)、処理を終了する。ここでは、図5に示すように、SSBL Distanceは4.0mに設定されている(S61でYES)。次に、システム制御部23は、スピーカー設定テーブルを参照し、プロジェクタ30に対してHDMIデータを出力するか否かの情報が「YES」に設定されているか否かを判断する(S62)。「NO」に設定されていれば(S62でNO)、処理を終了する。ここでは、「YES」に設定されている(S62でYES)。続いて、システム制御部23は、プロジェクタ30のシステム制御部33との間でCECラインを介して通信するように、事前にユーザ操作によって設定されているか否かを判断する(S63)。CECラインを介して通信しないように設定されている場合(S63でNO)、処理を終了する。ここでは、CECラインを介して通信するように設定されている(S63でYES)。
【0061】
システム制御部23は、スピーカー設定テーブルを参照し、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Heightとに基づいて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを算出する。詳細には、図6に示すように、回動角度θは、sinθ=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高SSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceによって算出される。図5、図6の場合、sinθ=1/4である。
【0062】
続いて、システム制御部23は、算出した回動角度θの情報を、CECラインを介してプロジェクタ30のシステム制御部33に送信する(S65)。その後、プロジェクタ30のシステム制御部33から通知を受信するまで待機する。
【0063】
図11に示すように、プロジェクタ30のシステム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23から回動角度の情報θの受信を監視している(S71)。受信した場合(S71でYES)、システム制御部33は、受信した回動角度θがプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動可能な最大角度の範囲内であるか否かを判断する(S72)。回動可能な最大角度はメモリ34に予め設定されている。
【0064】
受信した回動角度θがプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動可能な最大角度以内である場合(S72でYES)、システム制御部33は、スピーカー回動制御部37に対して、回動角度θだけプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるように指示する。なお、図6を参照して、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向き(音波放出方向、振動板の向き)は、最初は、前方向かつ床面と平行な方向(破線矢印A)を向いているものとする。スピーカー回動制御部37は、システム制御部33からの指示に応答し、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを角度θだけ、図6において反時計方向(下方向)に回転させる(S73)。その結果、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きは、図6の破線矢印Bとなり、視聴位置(ユーザの耳)を向くようになる。
【0065】
続いて、システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23に、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを正常に回動させることができた旨の正常通知を送信する(S74)。
【0066】
一方、S72において、受信した回動角度θがプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動可能な最大角度以内でない場合(S72でNO)、システム制御部33は、スピーカー回動制御部37に対して、回動角度θだけプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるように指示しない。その結果、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きは破線矢印Aのまま変化しない。その後、システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23に、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを正常に回動させることができなかった旨の異常通知を送信する(S75)。
【0067】
図10に戻って、AVアンプ20のシステム制御部23は、CECラインを介して、プロジェクタ30のシステム制御部33から通知を受信すると(S66でYES)、通知内容が正常通知であるか否かを判断する(S67)。正常通知であれば(S67でYES)、処理を終了する。一方、異常通知であれば(S67でNO)、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きを視聴位置に向けることができなかったので、その旨を操作表示部24に表示しユーザに告知する。さらに、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きを視聴位置に向けるように回動させるためには、スピーカー設定テーブルの、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Heightとの少なくとも一方を変更する必要がある旨を、操作表示部24に表示して、ユーザに告知する(S68)。
【0068】
以上のように、本実施形態によると、スピーカー設定テーブルの設定内容を入力することによって、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きを視聴位置に向くように回動させることができる。
【0069】
[別の実施形態]
次に、本発明の別の好ましい実施形態を説明する。本例では、図1に示す配置と、図12に示すようなプロジェクタ30及び各スピーカーの配置とのいずれか一方を選択的に採用することができる。図12では、プロジェクタ30は、視聴位置(ユーザ)の前方に配置されており、AVアンプ20Bには中央スピーカーSCが接続されていない代わりに、サラウンド後方左スピーカーSSBL、及び、サラウンド後方右スピーカーSSBRが接続されている。本例では、プロジェクタ30と視聴位置との配置関係に応じて、図1のようにプロジェクタ30が視聴位置の後方に配置されている場合には、上記実施例のようにプロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用してサラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを再生する。一方、図12のようにプロジェクタ30が視聴位置の前方に配置されている場合には、プロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用して中央音声データCを再生する。
【0070】
メモリ25には、図13に示すプロジェクタ配置テーブルが格納されている。また、操作表示部24を介してユーザ操作によって、プロジェクタ30を視聴位置よりも前方に配置するか、又は、プロジェクタ30を視聴位置よりも後方に配置するかの情報が入力可能になっている。ユーザ操作によってプロジェクタ30をユーザよりも前方に配置する旨の情報が入力された場合、システム制御部23はプロジェクタ配置テーブルに「ユーザの前方」を設定し、プロジェクタ30をユーザよりも後方に配置する旨の情報が入力された場合、システム制御部23はプロジェクタ配置テーブルに「ユーザの後方」を設定する。
【0071】
図14は、本例の音声処理部26Bの構成を示すブロック図である。音声処理部26Bは、DSP41内部に切換部46を有する点で図4の音声処理部26と異なっている。なお、切換部46は、DSP41の後段(DSP41とDAC42との間、および、DSP41と変換部45との間)に設けられてもよい。
【0072】
DSP41は、HDMI受信部21から供給されるマルチチャンネル音声データをデコードし、デコードされた各チャンネルの音声データを生成する。DSP41においてデコードされた音声データのうち、左音声データL、右音声データR、低域音声データSW、サラウンド左音声データSL、サラウンド右音声データSRは、そのままDAC42に供給される。一方、中央音声データC、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRは、切換部46に供給される。
【0073】
切換部46は、中央音声データC、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRについて、DAC42に供給する(つまり、AVアンプ20に接続されたスピーカーから再生する)か、又は、変換部45に供給する(つまり、プロジェクタ30のスピーカーから再生する)かを、選択する。詳細には、切換部42は、中央音声データCをDAC42又はスイッチSW4(及びスイッチSW5)のどちらに供給するかを切り換えるスイッチSW1と、サラウンド後方左音声データSBLをDAC42又はスイッチSW4のどちらに供給するかを切り換えるスイッチSW2と、サラウンド後方右音声データSBRをDAC42又はスイッチSW5のどちらに供給するかを切り換えるスイッチSW3と、中央音声データC又はサラウンド後方左音声データSBLのどちらを変換部45に供給するかを切り換えるスイッチSW4と、中央音声データC又はサラウンド後方右音声データSBRのどちらを変換部45に供給するかを切り換えるスイッチSW5とを含む。
【0074】
変換部45は、切換部46からサラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBR、もしくは、中央音声データCが供給される。変換部45は、各クロック(図示せず)に基づいて、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBR、もしくは、中央音声データCをSPDIFの音声データに変換し、HDMI送信部22に供給する。
【0075】
システム制御部23は、プロジェクタ配置テーブルを参照して、プロジェクタ30が「ユーザの後方」であれば、上記の実施例と同様に、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを、sinθ=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高SSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceによって算出する。
【0076】
一方、図15に示すように、プロジェクタ30が「ユーザの前方」であれば、システム制御部23は、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを180−θ’(但し、sinθ’=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高SSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distance)によって算出する。従って、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPは最初は視聴位置とは反対側の前方を向いている(破線矢印A)が、回動されることによって、後方側である視聴位置の方向(破線矢印B)を向くようになる。
【0077】
図16は、図8のS16の本例における処理を示すフローチャートである。図16に示すように、システム制御部23は、プロジェクタ配置テーブルを参照し、プロジェクタ30がユーザの後方に配置されているか否かを判断する(S21)。
【0078】
プロジェクタ30がユーザの後方に配置されている場合には(S21でYES)、システム制御部23は、中央音声データCをDAC42に出力し、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBRを変換部45に出力するように切換部46を制御する。すなわち、スイッチSW1に端子aを選択させ、スイッチSW2〜SW5に端子bを選択させる。従って、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBRがHDMIデータに変換され、プロジェクタ30に送信される。これにより、図1において、中央スピーカーSCから中央音声データCが再生され、プロジェクタ左スピーカーSLPからサラウンド後方左音声データSBLが再生され、プロジェクタ右スピーカーSRPからサラウンド後方右音声データSBRが再生される(S22)。
【0079】
プロジェクタ30がユーザの前方に配置されている場合には(S21でNO)、システム制御部23は、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBRをDAC42に出力し、中央音声データCを変換部45に出力するように切換部46を制御する。すなわち、スイッチSW1に端子bを選択させ、スイッチSW2〜SW5に端子aを選択させる。従って、中央音声データCがHDMIデータに変換され、プロジェクタ30に送信される。これにより、図12において、サラウンド後方左スピーカーSSBLからサラウンド後方左音声データSBLが再生され、サラウンド後方右スピーカーSSBRからサラウンド後方右音声データSBRが再生され、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPから中央音声データCが再生される(S23)。
【0080】
以上のように、本例によると、プロジェクタ30の配置によってプロジェクタ30のスピーカーから再生する音声データを適宜変更することができるので、最適な音声データを再生することができる。また、プロジェクタ30の配置によって、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きをユーザに向くように回動角度を適切に設定することができる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。プロジェクタが3つ以上のスピーカーを有し、後方音声データは3チャンネル以上であってもよい。また、シンク機器はプロジェクタに限定されずテレビジョン受像機等のディスプレイ装置であってもよい。また、AVアンプやプロジェクタの上記動作をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。また、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムを、AVアンプにファームウェアアップデートという形態で提供されてもよい。さらには、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムが格納されたDSP、マイコンなどの電子部品という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、AVアンプやプロジェクタ等に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】AVアンプ20、プロジェクタ30およびスピーカーの配置を示す図である。
【図2】プロジェクタ30を示す外観図である。
【図3】DVDプレーヤ10、AVアンプ20、プロジェクタ30の構成を示すブロック図である。
【図4】音声処理部26を説明するブロック図である。
【図5】スピーカー設定テーブルを示す図である。
【図6】視聴位置とスピーカー設定テーブルの設定内容と回動角度θとの関係を説明する概念図である。
【図7】音声処理部39を説明するブロック図である。
【図8】AVアンプ20の動作を説明するフローチャートである。
【図9】プロジェクタ30の動作を説明するフローチャートである。
【図10】AVアンプ20の動作を説明するフローチャートである。
【図11】プロジェクタ30の動作を説明するフローチャートである。
【図12】AVアンプ20、プロジェクタ30およびスピーカーの配置を示す図である。
【図13】プロジェクタ配置テーブルを示す図である。
【図14】音声処理部26Bを説明するブロック図である。
【図15】視聴位置とスピーカー設定テーブルの設定内容と回動角度θとの関係を説明する概念図である。
【図16】AVアンプ20の動作を説明するフローチャートである。
【図17】各チャンネルの音声データを説明する図である。
【符号の説明】
【0084】
10 DVDプレーヤ
20 AVアンプ
21 HDMI受信部
22 HDMI送信部
23 システム制御部
25 メモリ
26 音声処理部
30 プロジェクタ
31 HDMI受信部
33 システム制御部
37 スピーカー回動制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャンネル音声データを再生する音声再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
HDMI規格に準拠したソース機器であるDVDプレーヤと、リピーター機器であるAVアンプと、シンク機器であるプロジェクタやディスプレイ装置とを備える音声再生システムが利用されており、ソース機器から出力されるHDMIデータに映像データ及び音声データを含めることにより、1本のHDMIケーブルによって映像データ及び音声データの両方をリピーター機器に送信することができる。AVアンプは、DVDプレーヤから受信したHDMIデータを元の映像データ及び音声データに変換し、音声データを増幅してスピーカーに出力すると共に、映像データを再度HDMIデータに変換し、プロジェクタに送信する。プロジェクタは、受信したHDMIデータを元の映像データに変換してスクリーンに映写する。
【0003】
DVDプレーヤからAVアンプに送信されるHDMIデータに含まれている音声データは、マルチチャンネル音声データがエンコードされたものである。例えば、マルチチャンネル音声データは、図17に示すように、左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データSW、サラウンド左音声データSL、サラウンド右音声データSR、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRを含む7.1chのマルチチャンネル音声データが採用されている。
【0004】
しかしながら、これらのマルチチャンネル音声データの各チャンネルの音声データを再生するためには、AVアンプにスピーカーケーブルを介して8つのスピーカーを接続する必要がある。そのため、ユーザは8つのスピーカーを用意する必要があるので、コストがかかる。また、一般的にはAVアンプはユーザ(視聴位置)の前方に配置されるので、AVアンプと、サラウンド後方左スピーカーSSBL及びサラウンド後方右スピーカーSSBRとを接続するためには、部屋内を前方から後方に向かってスピーカーケーブルを配線する必要があり、煩雑であり、かつ、見栄えもよくない。
【0005】
この問題を解決するために、以下の技術が提案されている。AVアンプは、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データを含むHDMIデータをプロジェクタに送信する。プロジェクタは、受信したHDMIデータに含まれるサラウンド後方左音声データSBLをプロジェクタ左スピーカーから再生し、サラウンド後方右音声データSBRをプロジェクタ右スピーカーから再生する。これにより、サラウンド後方左スピーカーSSBL及びサラウンド後方右スピーカーSSBRを配置せずに、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを再生することができる。
【0006】
ここで、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRは高周波数成分を含む場合があり、その高周波成分においては、指向性が狭いという特徴を有する。そのため、プロジェクタに設けられたスピーカーの振動板の向き(音波の放出方向)が非常に重要であり、スピーカーが視聴位置(ユーザの耳)を向いている必要がある。しかし、上記技術では、スピーカーの向きについては何ら考慮されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2007−288247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、シンク機器に設けられたスピーカーからあるチャンネルの音声データを再生する場合に、シンク機器に設けられたスピーカーの向きを適切に制御できる音声再生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態による音声再生システムは、1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備える。前記音声処理装置が、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記第1チャンネル音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有する。前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データを受信する受信手段と、受信した前記第1チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する。
【0010】
音声処理装置において、スピーカー設定手段によって設定されている視聴位置からシンク用スピーカーまでの距離と、シンク用スピーカーの視聴位置からの高さとに基づいて、シンク用スピーカーの回動角度が算出される。算出された回動角度の情報は、シンク機器に送信される。シンク機器において、受信した回動角度の情報に基づいて、シンク用スピーカーが当該回動角度だけ回動される。従って、シンク用スピーカーの向きを視聴位置の方に自動的に向かせることができる。
【0011】
好ましくは、前記シンク機器が、受信した回動角度の情報に基づいて、前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲内であるか否かを判断する回動可否判断手段と、前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲を越えているとき、前記音声処理装置に回動不可能である旨を示す異常通知を送信する通知送信手段とをさらに有し、前記音声処理装置が、前記異常通知を受信する通知受信手段と、前記異常通知を受信したとき、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとの少なくとも一方を変更するようにユーザに告知する告知手段とをさらに有する。
【0012】
算出された回動角度がシンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲を越えている場合には、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとの少なくとも一方を変更するようにユーザに告知する。当該告知に応じて、これら少なくとも一方をユーザ操作に応じて変更することによって、新たな回動角度が算出され、新たな回動角度でシンク用スピーカーを回動させることができる。
【0013】
好ましくは、前記シンク機器が視聴位置よりも後方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、sinθ=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離によって算出する。
【0014】
好ましくは、前記シンク機器が視聴位置よりも前方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、θ=180−θ’(但し、sinθ’=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離)によって算出する。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態による音声再生システムは、1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備える。前記音声処理装置が、前記シンク機器と視聴位置との配置関係を管理する配置管理手段と、前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であるか後方であるかを判断する配置判断手段と、前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であると判断されたとき、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第2チャンネル音声データを前記シンク機器に送信し、前記シンク機器が前記視聴位置よりも後方であると判断されたとき、前記マルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記送信手段が送信した音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、前記視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有する。前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを受信する受信手段と、受信した前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0016】
音声処理装置において、スピーカー設定手段によって設定されている、視聴位置からシンク用スピーカーまでの距離と、シンク用スピーカーの視聴位置からの高さとに基づいて、シンク用スピーカーの回動角度が算出される。算出された回動角度の情報は、シンク機器に送信される。シンク機器において、受信した回動角度の情報に基づいて、シンク用スピーカーが受信した回動角度だけ回動される。従って、シンク用スピーカーの向きを視聴位置の方に自動的に向かせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態によるDVDプレーヤ(ソース機器、再生装置)、AVアンプ(リピータ機器、音声処理装置)およびプロジェクタ(シンク機器)を備える音声再生システムついて、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0018】
図1は、本実施形態における、AVアンプ20、プロジェクタ30、及び、各スピーカーの配置及び接続構成を説明する図である(DVDプレーヤ10及びスクリーンは省略している)。図2は、プロジェクタ30を示す外観図である。プロジェクタ30には、映写部32と、プロジェクタ左スピーカーSLPと、プロジェクタ右スピーカーSRPとが設けられている。プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPは、後述するスピーカー回動制御部によって、振動板の向きが床面に平行な位置(前向き)から、振動板の向きが床面に直交する位置(下向き)に向けて、回動可能になっている。AVアンプ20には、HDMIケーブルを介してプロジェクタ30が接続され、左スピーカーSL、右スピーカーSR、中央スピーカーSC、低域スピーカーSSW、サラウンド左スピーカーSSL、サラウンド右スピーカーSSRが接続されている。サラウンド後方左スピーカーSSBL、サラウンド後方右スピーカーSSBRは配置しなくてもよい。
【0019】
図3は、DVDプレーヤ10、AVアンプ20及びプロジェクタ30の構成を示すブロック図である。DVDプレーヤ10、AVアンプ20及びプロジェクタ30は、例えばHDMI規格に準拠しており、HDMIケーブルを介して相互に接続されている。
【0020】
[DVDプレーヤ10の構成]
DVDプレーヤ10は、再生部11と、HDMI送信部13と、システム制御部14と、操作表示部15と、メモリ16と、コネクタ部17とを有している。
【0021】
再生部11は、DVDディスク(以下、単にディスクという。)に記録されている映像データ及びエンコードされたマルチチャンネル音声データをディスクから読み出して、HDMI送信部13に供給する。再生部11は、図示しない光ピックアップ、サーボ回路、MPEGデコーダ、音声デコーダ等を含む。
【0022】
HDMI送信部13は、再生部11から供給された映像データ及び音声データを、システム制御部14からのコマンドにより、HDMI規格のデータ(以下、HDMIデータという。)に変換する。HDMI送信部13は、HDMIデータを、コネクタ部17を介してAVアンプ20に送信する。
【0023】
HDMI送信部13は、HDMIデータを送受信するTMDSライン、認証情報やEDIDを読み出すためのDDCライン、及び、接続の有無を判断するためのホットプラグラインを介して、AVアンプ20のHDMI受信部21に接続される。
【0024】
システム制御部14は、内蔵又は接続されたメモリに格納されているDVDプレーヤの動作プログラムに基づいて、再生部11、HDMI送信部13、操作表示部15、メモリ16等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部14は、操作表示部15からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。システム制御部14は、CECラインを介してAVアンプ20のシステム制御部23に接続され、システム制御部23とコマンドおよび/またはデータを送受信する。
【0025】
[AVアンプの構成]
AVアンプ20は、HDMI受信部21と、HDMI送信部22と、システム制御部23と、操作表示部24と、メモリ25と、音声処理部26と、コネクタ部27、28とを有している。
【0026】
HDMI受信部21は、DVDプレーヤ10から送信されたHDMIデータを受信して、受信したHDMIデータから元の映像データ(HDMI変換前の映像データ)を生成して、HDMI送信部22に供給する。また、HDMI受信部21は、受信したHDMIデータから元のマルチチャンネル音声データを生成して、音声処理部26に供給する。
【0027】
音声処理部26は、HDMI受信部21から供給されたマルチチャンネル音声データをデコードし、音響処理、D/A変換処理、ボリューム調整処理、増幅処理等の各処理を実行し、外部に接続されたスピーカー60(図1の各スピーカーに対応)に各チャンネルの音声信号を供給する。また、音声処理部26は、あるチャンネルの音声データをHDMI送信部22に供給する。あるチャンネルの音声データとは、本例の場合、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRである。
【0028】
図4は、音声処理部26の構成を示すブロック図である。音声処理部26は、DSP41と、DAC(デジタル−アナログ変換器)42と、音量調整部43と、増幅処理部44と、変換部45とを有する。
【0029】
DSP41は、HDMI受信部21から供給されるマルチチャンネル音声データをデコードし、デコードされた各チャンネルの音声データを生成する。DSP41においてデコードされた音声データのうち、左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データSW、サラウンド左音声データSLおよびサラウンド右音声データSRは、DAC42に供給される。一方、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRは、変換部45に供給される。
【0030】
DAC42は、DSP41から供給される各チャンネルの音声データをデジタル−アナログ変換し、各チャンネルのアナログ音声信号を音量調整部43に供給する。
【0031】
音量調整部43は、各チャンネルのアナログの音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部44に供給する。音量調整部43は、各チャンネル毎に可変抵抗等のボリューム調整回路が設けられている。増幅処理部44は、音量調整部43から供給された各チャンネルの音声信号を増幅して、各チャンネルのスピーカー出力端子を介して、各チャンネルのスピーカーに出力する。増幅処理部44は、各チャンネル毎に増幅回路が設けられている。
【0032】
変換部45は、DSP41からサラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRが供給される。また、変換部45は、DSP41からビットクロックBCLK、マスタークロックMCLK及びLRクロックLRCLKが供給される。変換部45は、各クロックに基づいて、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRをSPDIF(2チャンネルPCM)の音声データに変換し、HDMI送信部22に供給する。
【0033】
図3に戻り、HDMI送信部22は、HDMI受信部21から供給された映像データ、並びに、音声処理部26の変換部45から供給されたサラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを、HDMIデータに変換する。HDMI送信部22は、変換したHDMIデータをプロジェクタ30のHDMI受信部31に送信する。
【0034】
HDMI送信部22は、TMDSライン、DDCライン及びホットプラグラインを介して、プロジェクタ30のHDMI受信部31に接続されている。
【0035】
システム制御部23は、内蔵又は接続されたメモリ25に記憶されているAVアンプの動作プログラムに基づいて、HDMI受信部21、HDMI送信部22、操作表示部24、音声処理部26等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部23は、操作表示部24からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。
【0036】
システム制御部23は、CECラインを介してDVDプレーヤ10のシステム制御部14に接続され、システム制御部14とコマンドおよびデータを送受信する。また、システム制御部23は、CECラインを介してプロジェクタ30のシステム制御部33に接続され、システム制御部33とコマンドおよびデータを送受信する。
【0037】
メモリ25には、図5に示すスピーカー設定テーブルが格納されている。スピーカー設定テーブルには、ユーザ操作によって、視聴位置から左スピーカーSL(及び右スピーカーSR)までの距離SL Distanceと、視聴位置から中央スピーカーSCまでの距離SC Distanceと、視聴位置から低域スピーカーSWまでの距離SSW Distanceと、視聴位置からサラウンド左スピーカーSSL(及びサラウンド右スピーカーSSR)までの距離SSL Distanceと、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)までの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)の高さSSBL Heightと、プロジェクタ30に対してHMDIデータ出力するか否かの情報SSBL HDMI OUTとが設定可能である。
【0038】
サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL
Heightは、サラウンド後方左スピーカーSSBLの視聴位置(詳細にはユーザの耳の位置)からの高さを意味する。つまり、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Heightは、図6に示すように、サラウンド後方左スピーカーSSBL(ここでは、プロジェクタ左スピーカーSLPに相当)の床面からの高さから、視聴位置(ユーザの耳の位置)の床面からの高さを減算した値である。なお、プロジェクタ左スピーカーSLPの床面からの高さは、プロジェクタ左スピーカーSLPの中心位置(破線矢印Aの位置)で決定されるとよい。
【0039】
また、プロジェクタ30に対してHDMIデータを出力するか否かの情報SSBL HDMI
OUTは、「YES」又は「NO」を設定可能であり、「YES」の場合にサラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを含むHDMIデータをプロジェクタ30に送信し、「NO」の場合に当該HDMIデータをプロジェクタ30に送信しないようにできる。
【0040】
システム制御部23は、スピーカー設定テーブルに設定されている、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)までの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBL(及びサラウンド後方右スピーカーSSBR)の高さSSBL Heightとに基づいて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを算出する。詳細には、図6に示すように、回動角度θは、sinθ=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceによって算出される。なお、本例では、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離と、視聴位置からサラウンド後方右スピーカーSSBRまでの距離とが等しく、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さと、サラウンド後方右スピーカーSSBR)の高さとが等しいことを前提に説明している。しかし、それぞれが異なる場合には、図5のスピーカー設定テーブルにそれぞれを個別に設定可能として、プロジェクタ左スピーカーSLPの回動角度と、プロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度とを個別に算出すれべよい。
【0041】
システム制御部23は、算出した角度の情報θを、CECラインを介してプロジェクタ30のシステム制御部33に送信し、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動を制御する。
【0042】
[プロジェクタ30の構成]
プロジェクタ30は、HDMI受信部31と、映写部32と、システム制御部33と、メモリ34と、操作部35と、映像処理部36と、音声処理部39と、スピーカー40(図1における、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPに対応)と、スピーカー回動制御部37と、コネクタ部38とを有する。
【0043】
HDMI受信部31は、AVアンプ20のHDMI送信部22から送信されたHDMIデータを受信して、HDMIデータから元の映像データを生成し、映像処理部36を介して映写部32に供給する。また、HDMI受信部31は、HDMIデータから元の音声データを生成して、音声処理部39に供給する。音声データは、上記の通り、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを含むSPDIF(PCM)データである。
【0044】
音声処理部39は、HDMI受信部31から供給された音声データを、D/A変換処理、ボリューム調整処理、増幅処理等の各処理を実行し、スピーカー40に供給する。図7は、音声処理部39の構成を示すブロック図である。音声処理部39は、DAC(デジタル−アナログ変換器)51と、音量調整部52と、増幅処理部53とを含む。
【0045】
DAC51は、HDMI受信部31から供給される音声データをデジタル−アナログ変換し、アナログ音声信号を音量調整部52に供給する。音量調整部52は、DAC51からのアナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53に供給する。音量調整部52のボリューム値は、AVアンプ20のシステム制御部14からのボリューム設定コマンドに含まれているボリューム値にシステム制御部33によって調整される。増幅処理部53は、音量調整部52からの音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。すなわち、サラウンド後方左音声データSBLがプロジェクタ左スピーカーSLPから再生され、サラウンド後方右音声データSBRがプロジェクタ右スピーカーSRPから再生される。
【0046】
図3に戻り、映写部32は、HDMI受信部31から映像データが供給され、当該映像データに基づいて映像を、図示しないスクリーンに映写するものである。なお、スクリーンは、視聴者の前方の壁面などに取り付けられている。
【0047】
スピーカー回動制御部37は、システム制御部33からの指示に応じて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるものであり、例えば、回転制御用のモータ等の周知の技術によって実現されている。
【0048】
システム制御部33は、内蔵又は接続されたメモリに格納されたプロジェクタの動作プログラムに基づいて、HDMI受信部31、映写部32、メモリ34、スピーカー回動制御部37、音声処理部39等を制御するものであり、例えば、マイクロコンピュータやCPU等である。システム制御部33は、操作部35からの操作入力または各部からの制御信号およびデータに基づいて各種処理を実行する。
【0049】
システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23から角度情報θを受信したとき、角度θだけプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるように、スピーカー回動制御部37を制御する。
【0050】
[音声再生システムの動作]
まず、図8,図9のフローチャートを参照し、プロジェクタ左スピーカーSLPからサラウンド左音声データSBLを再生し、プロジェクタ右スピーカーSRPからサラウンド右音声データSBRを再生する処理を、説明する。図8に示すように、AVアンプ20のシステム制御部23は、DVDプレーヤ10からHDMIデータが入力されたか否か、すなわち、HDMI受信部21がHDMIデータを受信したか否かを監視している(S11)。HDMIデータが入力されると(S11でYES)、システム制御部23は、プロジェクタ30がAVアンプ20に接続されているか否かを判断する(S12)。例えば、HDMIケーブルを介してプロジェクタ30が接続されているとき、プロジェクタ30から出力されるホットプラグがハイレベルになっているので、ホットプラグのレベルを判別することによって、接続有無を判断できる。ここでは、プロジェクタ30が接続されているので(S12でYES)、S13に進む。なお、当該接続確認には、プロジェクタ30の電源がオン状態になっているかの確認の意味を包括する。
【0051】
次に、システム制御部23は、プロジェクタ30が音声再生機能を有するか否か、すなわち、プロジェクタ30が音声処理部39やプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを有しているか否かを判断する(S13)。例えば、HDMIケーブルを介してプロジェクタ30が接続されているとき、プロジェクタ30から機器情報を含むEDIDを取得することができるので、取得したEDIDに含まれる機器情報を解析することによって、音声再生機能を有するか否かを判断できる。ここでは、音声再生機能を有しているので(S13でYES)、S14に進む。
【0052】
次に、システム制御部23は、プロジェクタ30のスピーカーでサラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを再生する準備を行うため、CECラインを介して、プロジェクタ30のシステム制御部33にボリューム設定コマンドを送信する(S14)。ボリューム設定コマンドには、現在のAVアンプ20の音量調整部43に設定されているボリューム値(相対的な値ではなく例えばdB単位等の絶対的な値)が含まれている。
【0053】
図9に示すように、プロジェクタ30のシステム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23からボリューム設定コマンドを受信したか否かを監視している(S31)。ボリューム設定コマンドを受信すると(S31でYES)、システム制御部33は、ボリューム設定コマンドに含まれているボリューム値を読み出して、音量調整部52のボリューム値を当該ボリューム値に設定する(S32)。続いて、システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23にボリューム設定完了通知を送信する(S33)。その後、プロジェクタ30は、AVアンプ20からHDMIデータを受信するまで待機する。
【0054】
図8に戻って、AVアンプ20のシステム制御部23は、CECラインを介して、プロジェクタ30のシステム制御部33からボリューム設定完了通知を受信したか否かを監視している(S15)。ボリューム設定完了通知を受信した場合(S15でYES)、システム制御部23は音声処理部26及びHDMI送信部22を制御し、マルチチャンネル音声データのデコードと、HDMIデータのプロジェクタ30への送信を実行する(S16)。
【0055】
詳細には、音声処理部26(DSP41)は、各チャンネルの音声データをデコードする。DSP41は、デコードされたサラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを変換部45に供給する。変換部45は、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRをSPDIF(PCM)データに変換し、HDMI送信部22に供給する。HDMI送信部22は、映像データと、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRとからHDMIデータを生成し、プロジェクタ30のHDMI受信部31に送信する。
【0056】
図9に示すように、プロジェクタ30のHDMI受信部31は、HDMIデータを受信すると、元の映像データと、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRとを生成し、映像データを映写部32に供給し、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを音声処理部39に供給する(S34)。システム制御部33は、音量調整部52及び増幅処理部53を制御して、ミュート状態を解除する(S35)。音声処理部39において、DAC51が音声データをデジタル−アナログ変換し、音量調整部52がアナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53がアナログ音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。その結果、プロジェクタ左スピーカーSLPからサラウンド後方左音声データSBLが再生され、プロジェクタ右スピーカーSRPからサラウンド後方右音声データSBRが再生される(S36)。
【0057】
図8に戻って、DSP41は、デコードされた左音声データL、右音声データR、中央音声データC、低域音声データSW、サラウンド左音声データSL、サラウンド右音声データSRをDAC42に供給する。DAC42は、音声データをデジタル−アナログ変換し、音量調整部52は、アナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53は、アナログ音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。その結果、左スピーカーSLから左音声データLが再生され、右スピーカーSRから右音声データRが再生され、中央スピーカーSCから中央音声データCが再生され、低域スピーカーSSWから低域音声データSWが再生され、サラウンド左スピーカーSSLからサラウンド左音声データSLが再生され、サラウンド右スピーカーSSRからサラウンド右音声データSRが再生される(S17)。
【0058】
以上のように、プロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用してサラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRを再生することによって、サラウンド後方左スピーカー、及び、サラウンド後方右スピーカーを別途配置する必要がない。マルチチャンネル音声データに、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRの代わりに、1ch分の後方音声データのみが含まれている場合、当該後方音声データをプロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用して再生すればよい。この場合、プロジェクタ30には少なくとも1つのスピーカーが設けられていればよい。
【0059】
なお、S12において、プロジェクタ30がAVアンプ20に接続されていないと判断された場合(S12でNO)、又は、S13で、プロジェクタ30が音声再生機能を有していないと判断された場合(S13でNO)、S18に進み、通常の再生処理が実行される。この場合、DSP41は、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRを変換部45ではなく、DAC42に供給する。DAC42は、サラウンド後方左音声データSBLおよびサラウンド後方右音声データSBRをデジタル−アナログ変換し、音量調整部52は、アナログ音声信号のボリューム値を調整し、増幅処理部53は、アナログ音声信号を増幅し、スピーカーに出力する。その結果、サラウンド後方左スピーカー、及び、サラウンド後方右スピーカーがAVアンプ20に接続されていれば、サラウンド後方左スピーカーからサラウンド後方左音声データSBLを再生し、サラウンド後方右スピーカーからサラウンド後方右音声データSBRを再生することも可能である。なお、サラウンド後方左スピーカー及びサラウンド後方右スピーカーが配置されていない場合には、サラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを、他のチャンネルの音声信号に加算して、他のチャンネルのスピーカーから再生することも可能である。
【0060】
次に、図10,図11を参照して、スピーカー設定テーブルの設定内容に基づいて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させる処理を説明する。図10に示すように、AVアンプ20のシステム制御部23は、スピーカー設定テーブルに、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBL(サラウンド後方右スピーカーSSBR)までの距離SSBL Distanceが設定されているか否かを判断する(S61)。設定されていなければ(S61でNO)、処理を終了する。ここでは、図5に示すように、SSBL Distanceは4.0mに設定されている(S61でYES)。次に、システム制御部23は、スピーカー設定テーブルを参照し、プロジェクタ30に対してHDMIデータを出力するか否かの情報が「YES」に設定されているか否かを判断する(S62)。「NO」に設定されていれば(S62でNO)、処理を終了する。ここでは、「YES」に設定されている(S62でYES)。続いて、システム制御部23は、プロジェクタ30のシステム制御部33との間でCECラインを介して通信するように、事前にユーザ操作によって設定されているか否かを判断する(S63)。CECラインを介して通信しないように設定されている場合(S63でNO)、処理を終了する。ここでは、CECラインを介して通信するように設定されている(S63でYES)。
【0061】
システム制御部23は、スピーカー設定テーブルを参照し、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Heightとに基づいて、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを算出する。詳細には、図6に示すように、回動角度θは、sinθ=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高SSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceによって算出される。図5、図6の場合、sinθ=1/4である。
【0062】
続いて、システム制御部23は、算出した回動角度θの情報を、CECラインを介してプロジェクタ30のシステム制御部33に送信する(S65)。その後、プロジェクタ30のシステム制御部33から通知を受信するまで待機する。
【0063】
図11に示すように、プロジェクタ30のシステム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23から回動角度の情報θの受信を監視している(S71)。受信した場合(S71でYES)、システム制御部33は、受信した回動角度θがプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動可能な最大角度の範囲内であるか否かを判断する(S72)。回動可能な最大角度はメモリ34に予め設定されている。
【0064】
受信した回動角度θがプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動可能な最大角度以内である場合(S72でYES)、システム制御部33は、スピーカー回動制御部37に対して、回動角度θだけプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるように指示する。なお、図6を参照して、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向き(音波放出方向、振動板の向き)は、最初は、前方向かつ床面と平行な方向(破線矢印A)を向いているものとする。スピーカー回動制御部37は、システム制御部33からの指示に応答し、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを角度θだけ、図6において反時計方向(下方向)に回転させる(S73)。その結果、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きは、図6の破線矢印Bとなり、視聴位置(ユーザの耳)を向くようになる。
【0065】
続いて、システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23に、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを正常に回動させることができた旨の正常通知を送信する(S74)。
【0066】
一方、S72において、受信した回動角度θがプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動可能な最大角度以内でない場合(S72でNO)、システム制御部33は、スピーカー回動制御部37に対して、回動角度θだけプロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを回動させるように指示しない。その結果、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きは破線矢印Aのまま変化しない。その後、システム制御部33は、CECラインを介して、AVアンプ20のシステム制御部23に、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPを正常に回動させることができなかった旨の異常通知を送信する(S75)。
【0067】
図10に戻って、AVアンプ20のシステム制御部23は、CECラインを介して、プロジェクタ30のシステム制御部33から通知を受信すると(S66でYES)、通知内容が正常通知であるか否かを判断する(S67)。正常通知であれば(S67でYES)、処理を終了する。一方、異常通知であれば(S67でNO)、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きを視聴位置に向けることができなかったので、その旨を操作表示部24に表示しユーザに告知する。さらに、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きを視聴位置に向けるように回動させるためには、スピーカー設定テーブルの、視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceと、サラウンド後方左スピーカーSSBLの高さSSBL Heightとの少なくとも一方を変更する必要がある旨を、操作表示部24に表示して、ユーザに告知する(S68)。
【0068】
以上のように、本実施形態によると、スピーカー設定テーブルの設定内容を入力することによって、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きを視聴位置に向くように回動させることができる。
【0069】
[別の実施形態]
次に、本発明の別の好ましい実施形態を説明する。本例では、図1に示す配置と、図12に示すようなプロジェクタ30及び各スピーカーの配置とのいずれか一方を選択的に採用することができる。図12では、プロジェクタ30は、視聴位置(ユーザ)の前方に配置されており、AVアンプ20Bには中央スピーカーSCが接続されていない代わりに、サラウンド後方左スピーカーSSBL、及び、サラウンド後方右スピーカーSSBRが接続されている。本例では、プロジェクタ30と視聴位置との配置関係に応じて、図1のようにプロジェクタ30が視聴位置の後方に配置されている場合には、上記実施例のようにプロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用してサラウンド後方左音声データSBL及びサラウンド後方右音声データSBRを再生する。一方、図12のようにプロジェクタ30が視聴位置の前方に配置されている場合には、プロジェクタ30に設けられたスピーカーを使用して中央音声データCを再生する。
【0070】
メモリ25には、図13に示すプロジェクタ配置テーブルが格納されている。また、操作表示部24を介してユーザ操作によって、プロジェクタ30を視聴位置よりも前方に配置するか、又は、プロジェクタ30を視聴位置よりも後方に配置するかの情報が入力可能になっている。ユーザ操作によってプロジェクタ30をユーザよりも前方に配置する旨の情報が入力された場合、システム制御部23はプロジェクタ配置テーブルに「ユーザの前方」を設定し、プロジェクタ30をユーザよりも後方に配置する旨の情報が入力された場合、システム制御部23はプロジェクタ配置テーブルに「ユーザの後方」を設定する。
【0071】
図14は、本例の音声処理部26Bの構成を示すブロック図である。音声処理部26Bは、DSP41内部に切換部46を有する点で図4の音声処理部26と異なっている。なお、切換部46は、DSP41の後段(DSP41とDAC42との間、および、DSP41と変換部45との間)に設けられてもよい。
【0072】
DSP41は、HDMI受信部21から供給されるマルチチャンネル音声データをデコードし、デコードされた各チャンネルの音声データを生成する。DSP41においてデコードされた音声データのうち、左音声データL、右音声データR、低域音声データSW、サラウンド左音声データSL、サラウンド右音声データSRは、そのままDAC42に供給される。一方、中央音声データC、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRは、切換部46に供給される。
【0073】
切換部46は、中央音声データC、サラウンド後方左音声データSBL、サラウンド後方右音声データSBRについて、DAC42に供給する(つまり、AVアンプ20に接続されたスピーカーから再生する)か、又は、変換部45に供給する(つまり、プロジェクタ30のスピーカーから再生する)かを、選択する。詳細には、切換部42は、中央音声データCをDAC42又はスイッチSW4(及びスイッチSW5)のどちらに供給するかを切り換えるスイッチSW1と、サラウンド後方左音声データSBLをDAC42又はスイッチSW4のどちらに供給するかを切り換えるスイッチSW2と、サラウンド後方右音声データSBRをDAC42又はスイッチSW5のどちらに供給するかを切り換えるスイッチSW3と、中央音声データC又はサラウンド後方左音声データSBLのどちらを変換部45に供給するかを切り換えるスイッチSW4と、中央音声データC又はサラウンド後方右音声データSBRのどちらを変換部45に供給するかを切り換えるスイッチSW5とを含む。
【0074】
変換部45は、切換部46からサラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBR、もしくは、中央音声データCが供給される。変換部45は、各クロック(図示せず)に基づいて、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBR、もしくは、中央音声データCをSPDIFの音声データに変換し、HDMI送信部22に供給する。
【0075】
システム制御部23は、プロジェクタ配置テーブルを参照して、プロジェクタ30が「ユーザの後方」であれば、上記の実施例と同様に、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを、sinθ=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高SSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distanceによって算出する。
【0076】
一方、図15に示すように、プロジェクタ30が「ユーザの前方」であれば、システム制御部23は、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの回動角度θを180−θ’(但し、sinθ’=サラウンド後方左スピーカーSSBLの高SSBL Height/視聴位置からサラウンド後方左スピーカーSSBLまでの距離SSBL Distance)によって算出する。従って、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPは最初は視聴位置とは反対側の前方を向いている(破線矢印A)が、回動されることによって、後方側である視聴位置の方向(破線矢印B)を向くようになる。
【0077】
図16は、図8のS16の本例における処理を示すフローチャートである。図16に示すように、システム制御部23は、プロジェクタ配置テーブルを参照し、プロジェクタ30がユーザの後方に配置されているか否かを判断する(S21)。
【0078】
プロジェクタ30がユーザの後方に配置されている場合には(S21でYES)、システム制御部23は、中央音声データCをDAC42に出力し、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBRを変換部45に出力するように切換部46を制御する。すなわち、スイッチSW1に端子aを選択させ、スイッチSW2〜SW5に端子bを選択させる。従って、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBRがHDMIデータに変換され、プロジェクタ30に送信される。これにより、図1において、中央スピーカーSCから中央音声データCが再生され、プロジェクタ左スピーカーSLPからサラウンド後方左音声データSBLが再生され、プロジェクタ右スピーカーSRPからサラウンド後方右音声データSBRが再生される(S22)。
【0079】
プロジェクタ30がユーザの前方に配置されている場合には(S21でNO)、システム制御部23は、サラウンド後方左音声データSBL及サラウンド後方右音声データSBRをDAC42に出力し、中央音声データCを変換部45に出力するように切換部46を制御する。すなわち、スイッチSW1に端子bを選択させ、スイッチSW2〜SW5に端子aを選択させる。従って、中央音声データCがHDMIデータに変換され、プロジェクタ30に送信される。これにより、図12において、サラウンド後方左スピーカーSSBLからサラウンド後方左音声データSBLが再生され、サラウンド後方右スピーカーSSBRからサラウンド後方右音声データSBRが再生され、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPから中央音声データCが再生される(S23)。
【0080】
以上のように、本例によると、プロジェクタ30の配置によってプロジェクタ30のスピーカーから再生する音声データを適宜変更することができるので、最適な音声データを再生することができる。また、プロジェクタ30の配置によって、プロジェクタ左スピーカーSLP及びプロジェクタ右スピーカーSRPの向きをユーザに向くように回動角度を適切に設定することができる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。プロジェクタが3つ以上のスピーカーを有し、後方音声データは3チャンネル以上であってもよい。また、シンク機器はプロジェクタに限定されずテレビジョン受像機等のディスプレイ装置であってもよい。また、AVアンプやプロジェクタの上記動作をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。また、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムを、AVアンプにファームウェアアップデートという形態で提供されてもよい。さらには、AVアンプの上記動作の一部のみのプログラムが格納されたDSP、マイコンなどの電子部品という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、AVアンプやプロジェクタ等に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】AVアンプ20、プロジェクタ30およびスピーカーの配置を示す図である。
【図2】プロジェクタ30を示す外観図である。
【図3】DVDプレーヤ10、AVアンプ20、プロジェクタ30の構成を示すブロック図である。
【図4】音声処理部26を説明するブロック図である。
【図5】スピーカー設定テーブルを示す図である。
【図6】視聴位置とスピーカー設定テーブルの設定内容と回動角度θとの関係を説明する概念図である。
【図7】音声処理部39を説明するブロック図である。
【図8】AVアンプ20の動作を説明するフローチャートである。
【図9】プロジェクタ30の動作を説明するフローチャートである。
【図10】AVアンプ20の動作を説明するフローチャートである。
【図11】プロジェクタ30の動作を説明するフローチャートである。
【図12】AVアンプ20、プロジェクタ30およびスピーカーの配置を示す図である。
【図13】プロジェクタ配置テーブルを示す図である。
【図14】音声処理部26Bを説明するブロック図である。
【図15】視聴位置とスピーカー設定テーブルの設定内容と回動角度θとの関係を説明する概念図である。
【図16】AVアンプ20の動作を説明するフローチャートである。
【図17】各チャンネルの音声データを説明する図である。
【符号の説明】
【0084】
10 DVDプレーヤ
20 AVアンプ
21 HDMI受信部
22 HDMI送信部
23 システム制御部
25 メモリ
26 音声処理部
30 プロジェクタ
31 HDMI受信部
33 システム制御部
37 スピーカー回動制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備え、
前記音声処理装置が、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、
前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記第1チャンネル音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有し、
前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データを受信する受信手段と、
受信した前記第1チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、
前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、
受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する、音声再生システム。
【請求項2】
前記シンク機器が、受信した回動角度の情報に基づいて、前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲内であるか否かを判断する回動可否判断手段と、
前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲を越えているとき、前記音声処理装置に回動不可能である旨を示す異常通知を送信する通知送信手段とをさらに有し、
前記音声処理装置が、前記異常通知を受信する通知受信手段と、
前記異常通知を受信したとき、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとの少なくとも一方を変更するようにユーザに告知する告知手段とをさらに有する、請求項1に記載の音声再生システム。
【請求項3】
前記シンク機器が視聴位置よりも後方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、sinθ=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離によって算出する、請求項1または2に記載の音声再生システム。
【請求項4】
前記シンク機器が視聴位置よりも前方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、θ=180−θ’(但し、sinθ’=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離)によって算出する、請求項1または2に記載の音声再生システム。
【請求項5】
1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備え、
前記音声処理装置が、前記シンク機器と視聴位置との配置関係を管理する配置管理手段と、
前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であるか後方であるかを判断する配置判断手段と、
前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であると判断されたとき、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第2チャンネル音声データを前記シンク機器に送信し、前記シンク機器が前記視聴位置よりも後方であると判断されたとき、前記マルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、
前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記送信手段が送信した音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、
前記視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有し、
前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを受信する受信手段と、
受信した前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、
前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、
受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する、音声再生システム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の音声再生システムに適用される音声処理装置であって、
入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、
前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記第1チャンネル音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを備える、音声処理装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の音声再生システムに適用されるシンク機器であって、
前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データを受信する受信手段と、
受信した前記第1チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、
前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、
受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを備える、シンク機器。
【請求項8】
請求項6に記載の音声処理装置の各手段をコンピュータに実行させる音声処理装置の動作プログラム。
【請求項9】
請求項7に記載のシンク機器の各手段をコンピュータに実行させるシンク機器の動作プログラム。
【請求項1】
1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備え、
前記音声処理装置が、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、
前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記第1チャンネル音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有し、
前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データを受信する受信手段と、
受信した前記第1チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、
前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、
受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する、音声再生システム。
【請求項2】
前記シンク機器が、受信した回動角度の情報に基づいて、前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲内であるか否かを判断する回動可否判断手段と、
前記回動角度が前記シンク用スピーカーの回動可能な最大角度の範囲を越えているとき、前記音声処理装置に回動不可能である旨を示す異常通知を送信する通知送信手段とをさらに有し、
前記音声処理装置が、前記異常通知を受信する通知受信手段と、
前記異常通知を受信したとき、視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとの少なくとも一方を変更するようにユーザに告知する告知手段とをさらに有する、請求項1に記載の音声再生システム。
【請求項3】
前記シンク機器が視聴位置よりも後方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、sinθ=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離によって算出する、請求項1または2に記載の音声再生システム。
【請求項4】
前記シンク機器が視聴位置よりも前方に配置される場合、前記算出手段が、前記回動角度θを、θ=180−θ’(但し、sinθ’=前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さ/視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離)によって算出する、請求項1または2に記載の音声再生システム。
【請求項5】
1つ以上のシンク用スピーカーを有するシンク機器と、前記シンク機器と1つ以上のスピーカーとが接続可能な音声処理装置とを備え、
前記音声処理装置が、前記シンク機器と視聴位置との配置関係を管理する配置管理手段と、
前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であるか後方であるかを判断する配置判断手段と、
前記シンク機器が前記視聴位置よりも前方であると判断されたとき、入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第2チャンネル音声データを前記シンク機器に送信し、前記シンク機器が前記視聴位置よりも後方であると判断されたとき、前記マルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、
前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記送信手段が送信した音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、
前記視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを有し、
前記シンク機器が、前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを受信する受信手段と、
受信した前記第1チャンネル音声データ又は前記第2チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、
前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、
受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを有する、音声再生システム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の音声再生システムに適用される音声処理装置であって、
入力されるマルチチャンネル音声データに含まれる第1チャンネル音声データを前記シンク機器に送信する送信手段と、
前記マルチチャンネル音声データに含まれる前記第1チャンネル音声データ以外の音声データを前記1つ以上のスピーカーに供給する第1再生手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとを設定するスピーカー設定手段と、
視聴位置から前記シンク用スピーカーまでの距離と、前記シンク用スピーカーの前記視聴位置からの高さとに基づいて、前記シンク用スピーカーの回動角度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された回動角度の情報を前記シンク機器に送信する角度情報送信手段とを備える、音声処理装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の音声再生システムに適用されるシンク機器であって、
前記音声処理装置から送信された前記第1チャンネル音声データを受信する受信手段と、
受信した前記第1チャンネル音声データを前記シンク用スピーカーに供給する第2再生手段と、
前記音声処理装置から送信された回動角度の情報を受信する角度情報受信手段と、
受信した回動角度の情報に基づいて、前記シンク用スピーカーを前記回動角度だけ回動させるスピーカー回動制御手段とを備える、シンク機器。
【請求項8】
請求項6に記載の音声処理装置の各手段をコンピュータに実行させる音声処理装置の動作プログラム。
【請求項9】
請求項7に記載のシンク機器の各手段をコンピュータに実行させるシンク機器の動作プログラム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【公開番号】特開2009−296462(P2009−296462A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149791(P2008−149791)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
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