説明

風速センサと可変風量ユニットおよび空調システム

【課題】ダクト壁面近傍と流路断面の中央部付近とにおける風速差に起因する風速センサのオフセットを抑制することができる風速センサと可変風量ユニットおよび空調システムを提供する。
【解決手段】通風路522を通過する空気流523の風速を測定するものであり、通風路中に配置する測定部524と、測定部524の下流側に配置する風速調整部526を備え、風速調整部526は、測定部524を通過する空気流523に排気抵抗を与え、かつ高背圧位置と低背圧位置とにわたって変位する抵抗部530と、測定部524を通過する空気流523の風圧に抗して抵抗部530を高背圧位置P1に向けて付勢するスプリング535と、測定部周囲の空気流523の風圧を受けてスプリング535の付勢力に抗して抵抗部530を低背圧位置P2に向けて駆動する翼531を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和設備等において風速を測定する技術に係り、風速センサと可変風量ユニットおよび空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、可変風量ユニットには、例えば図10および図11に示すものがある。この装置は、ケーシング1をダクト(図示省略)の途中に介装する構造をなし、ケーシング1の内部に上流側開口部から下流側開口部に向けて順次に風速センサ2、穿孔プレート3、ダンパ4を配置している。風速センサ2はケーシング1の上流側開口部の概ね中央に相応する位置に設けており、風速センサ2の下流側に配置する穿孔プレート3はケーシング1の高さ方向の中間位置で上面と下面の二つ折れに屈曲して断面V字状をなし、上面と下面の間が下流側に向けて広がる形状をなす。
【0003】
ケーシング1の側部にはコントロールボックス5が装着してあり、コントロールボックス5の内部には制御基板6とコントロールモータ7を設けている。穿孔プレート3の下流側に配置するダンパ4は回転軸がコントロールモータ7に連結してあり、制御基板6の制御回路が風速センサ2の検出値に基づいてコントロールモータ7を操作し、ダンパ4の回転角度を調整して風量を制御する。
【0004】
風速センサ2には種々のものがあるが、ここではカルマン渦の発生周波数を基に風速を測定するカルマン渦式の風速センサである。カルマン渦式の風速センサ2は、測定部2aの測定用流路2bの内部にカルマン渦発生用柱2cを有し、測定部2aの両側に超音波ビームの送信部2dおよび受信部2eを備えており、渦流の流れと直交した超音波ビームの信号の変化によってカルマン渦を検出する。
【0005】
ところで、風速センサをダクトの内部に配置する場合に、ダクト内では風速センサの上流側に配置されたエルボやホッパ等によって偏流や旋回流が生じることで、風速センサを含む流路断面における風速分布が均一でない場合がある。また、直線状のダクトにおいてもダクト壁面の抵抗を受けて流路断面の中央部付近と壁面近傍とで風速に差異が生じる。
【0006】
図9は、ダクト11の内部に風速センサ12を配置した構成における風速センサ12を含む流路断面13での風速分布14を示すものである。(a)に示すように、大風量時では中央部付近と壁面近傍との風速差が小さく、中央部付近に配置した風速センサ12で測定する測定風速15と平均風速16との風速差WSが小さくなる。
【0007】
しかしながら、(b)に示すように、小風量では中央部付近と壁面近傍との風速差が大きくなり、中央部付近に配置した風速センサ12で測定する測定風速15と平均風速16との風速差WSが大きくなり、測定風速15が平均風速16から乖離した大きな値となる。
【0008】
このため、可変風量ユニットに風速センサを組み込んで風速センサの検出値に基づいて風量を制御する場合にあっては、検出値が正のオフセットを含む値となること、および一般に可変風量ユニットでは仕様上限での風量精度に重点をおいた制御係数を設定することから、大風量域での検出値に比べて小風量域での検出値はオフセットが相対的に高まり、設定風量が小風量であるほどに、設定風量よりも小さい風量に制御される。
【0009】
このような風量を調整する装置において風速を適正に測定するための技術としては、例えば特許文献1乃至3に記載するものがある。
特許文献1は、その内部に空気が流れるケーシング内に風速センサを設けるとともに、風速センサより下流にダンパを備える可変風量ユニットにおいて、風速センサをケーシング内に設けた整流筒の内部に配置し、整流筒の風速センサより上流側に整流網を設けたものである。
【0010】
特許文献2は、風量ユニットのケーシング内に、風速センサと、シャフトを中心にケーシング内を開閉する開閉羽根を配置し、少なくとも風速センサの上流側に気流矯正手段を備えるものであり、偏流や旋回流に因る風速差を気流矯正手段で矯正し、矯正した気流を下流の風速センサに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実用新案登録第2529478号公報
【特許文献2】特開2006−194572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載するものでは、条件によっては整流網自身が乱流を発生させる場合も考えられ、整流網が風速センサの検出値に影響を及ぼす要因となる。また、固定設置した整流網では、検出値におけるオフセットの改善には効果が限定的である。
【0013】
特許文献2に記載するものでは、気流矯正により偏流や旋回流に因る風速差を矯正するが、ダクト壁面近傍と流路断面の中央部付近とにおける風速差を解消するものではない。
本発明は上記した課題を解決するものであり、ダクト壁面近傍と流路断面の中央部付近とにおける風速差に起因する風速センサのオフセットを抑制することができる風速センサと可変風量ユニットおよび空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の風速センサは、通風路を通過する空気流の風速を測定するものであり、通風路中に配置する測定部と、測定部の測定用流路の下流側に配置する風速調整部を備え、風速調整部は、測定用流路を通過する空気流に排気抵抗を与え、かつ高背圧位置と低背圧位置とにわたって変位する抵抗部と、測定用流路を通過する空気流の風圧に抗して抵抗部を高背圧位置に向けて付勢する付勢手段と、測定部周囲の空気流の風圧を受けて前記付勢手段の付勢力に抗して抵抗部を低背圧位置に向けて駆動する駆動手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の風速センサにおいて、抵抗部は、測定用流路の下流側開口に近接した高背圧位置と、測定用流路の下流側開口から離間した低背圧位置とにわたって空気流の流れ方向に往復動し、あるは空気流の流れを横切る方向の軸心回りに揺動することを特徴とする。
【0016】
本発明の可変風量ユニットは、上流側開口部と下流側開口部の間に通風路を形成するケーシングと、通風路を通過する空気流の風速を測定する風速センサと、風速センサの下流側に位置するダンパと、風速センサの検出値に基づいてダンパを回転駆動するダンパ駆動手段を備え、風速センサが上記した何れかの風速センサであることを特徴とする。
【0017】
本発明の空調システムは、空気調和機と空調対象室とを連通するダクトの途中に、上記した可変風量ユニットもしくは風速センサを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、風速調整部が測定用流路から排出する空気流に排気抵抗(背圧)を与えることで、測定用流路を通過する空気流の測定風速を調整し、通風路を通過する空気流の通過風速の平均風速に測定風速を近似させる。よって、通風路の壁面近傍と風速センサを配置する流路断面の中央部付近とにおける風速差に起因する風速センサのオフセットを抑制することができる。
【0019】
この際に、風速調整部が測定部の下流側に位置し、測定用流路へ流入する空気流に対して風速調整部が乱流発生要因となることがなくなり、風速調整部が風速センサの検出値の精度を阻害する要因とならない。
【0020】
通風路を通過する空気流が大風量である場合には、通風路の壁面近傍と風速センサを配置する流路断面の中央部付近とにおける風速差が小さくなる。この大風量時には、風速調整部の駆動手段が測定部周囲の空気流の風圧を受けて付勢手段の付勢力に抗して抵抗部を低背圧位置に向けて駆動することで、測定用流路から排出する空気流に与える排出抵抗が小さくなり、通風路を通過する空気流の平均風速に測定風速が近似する。
【0021】
通風路を通過する空気流が小風量である場合には、通風路の壁面近傍と風速センサを配置する流路断面の中央部付近とにおける風速差が大きくなる。この小風量時には、測定用流路を通過する空気流の風圧、および駆動部が受ける測定部周囲の空気流の風圧に抗して、風速調整部の付勢手段が抵抗部を高背圧位置に付勢することで、測定用流路から排出する空気流に与える排出抵抗が大きくなり、通風路を通過する空気流の平均風速に測定風速が近似する。
【0022】
よって、大風量時と小風量時とにおいて風速センサの出力特性を変更することができるので、可変風量ユニットにおいて仕様上限での風量精度に重点をおいた制御係数を設定しても、小風量域での設定風量と実風量との誤差は、従来に比して小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態における風速センサを示す平面図
【図2】同実施の形態における可変風量ユニットを示す斜視図
【図3】同実施の形態における風量とセンサ出力の関係を示すグラフ図
【図4】本発明の他の実施の形態における風速センサを示す平面図
【図5】本発明の他の実施の形態における風速センサを示す正面図
【図6】同実施の形態における風速センサを示す側面図
【図7】本発明の空調システムを示す模式図
【図8】本発明の風速センサの作用を示す模式図
【図9】従来の風速センサの作用を示す模式図
【図10】従来の可変風量ユニットを示す斜視図
【図11】従来の風速センサを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明は種々の風速センサに適用可能であるが、本実施の形態においては、本発明を適用したカルマン渦式の風速センサを可変風量ユニットに採用した例を説明する。
【0025】
本実施の形態における可変風量ユニットは、図10において説明したものと基本的に同じであるが、改めて本発明の本実施の形態として図2に示す。図2において、可変風量ユニット50は、ケーシング51をダクト(図示省略)の途中に介装する構造をなし、ケーシング51の内部に上流側開口部から下流側開口部に向けて順次に風速センサ52、穿孔プレート53、ダンパ54を配置している。
【0026】
風速センサ52はケーシング51の上流側開口部の概ね中央に相応する位置に設けており、風速センサ52の下流側に配置する穿孔プレート53はケーシング51の高さ方向の中間位置で上面と下面の二つ折れに屈曲して断面V字状をなし、上面と下面の間が下流側に向けて広がる形状をなす。
【0027】
ケーシング51の側部にはコントロールボックス55が装着してあり、コントロールボックス55の内部には制御基板56とコントロールモータ57を設けている。穿孔プレート53の下流側に配置するダンパ54は回転軸がコントロールモータ57に連結してあり、制御基板56の制御回路が風速センサ52の検出値に基づいてコントロールモータ57を操作し、ダンパ54の回転角度を調整して風量を制御する。
【0028】
図1において、風速センサ52は、通風路522を通過する空気流523の風速を測定するものであり、通風路522の略中心位置に固定して配置する測定部524と、測定部524の測定用流路525の下流側に配置する可動式の風速調整部526を備えている。
【0029】
測定部524は測定用流路525の内部にカルマン渦発生用柱527を有し、測定部524の両側に超音波ビームの送信部528および受信部529を備えており、渦流の流れと直交した超音波ビームの信号の変化によってカルマン渦を検出する。
【0030】
測定部524の下流側に配置する風速調整部526は測定用流路525を通過する空気流523に排気抵抗を与える抵抗部530を有しており、抵抗部530は円錐状をなし、一部もしくは全体的に通気穴を有している。抵抗部530の形状は円錐状に限らず、角錐状に形成することも可能であり、あるいは平板状に形成することも可能である。また、通気穴の数、形状、口径は任意に設定可能であり、通気穴を設けない抵抗部530とすることも可能である。
【0031】
抵抗部530の下流側部に設けた翼531は、空気流523に対向する板状をなして空気流523の風圧を受けて抵抗部530と一体的に空気流523の流れ方向に移動可能に設けており、抵抗部530が測定用流路525の下流側開口525aに近接する高背圧位置P1と、測定用流路525の下流側開口525aから所定距離だけ離間する低背圧位置P2とにわたって往復動する。
【0032】
翼31はその左右に配置したスライダー532を介して一対のガイドロッド533に摺動自在に保持されている。ガイドロッド533は測定部524に支持されたスタッド534に一端を固定して空気流523の流れ方向に沿って配置している。スタッド534と翼531の間にはスプリング535がガイドロッド533に遊嵌して設けてあり、スプリング535が測定用流路525を通過する空気流523の風圧に抗して抵抗部530を高背圧位置P1に向けて付勢する付勢手段をなし、翼531が測定部周囲の空気流523の風圧を受けてスプリング535の付勢力に抗して抵抗部530を低背圧位置P2に向けて駆動する駆動手段をなす。
【0033】
上記した構成により、通風路522を通過する空気流523が大風量である場合には、通風路522の壁面近傍と風速センサ52を配置する流路断面の中央部付近とにおける風速差が小さくなる。
【0034】
この大風量時には、風速調整部526の翼531が測定部周囲の空気流523の風圧を受けてスプリング535の付勢力に抗して抵抗部530を低背圧位置P2に向けて駆動する。このため、抵抗部530が測定用流路525から排出する空気流523に与える排出抵抗が小さくなり、測定風速が通風路522を通過する空気流の平均風速に近似する。
【0035】
通風路522を通過する空気流523が小風量である場合には、通風路522の壁面近傍と風速センサ52を配置する流路断面の中央部付近とにおける風速差が大きくなる。
この小風量時には、抵抗部530が受ける測定用流路525の空気流523の風圧、および翼531が受ける測定部周囲の空気流523の風圧に抗して、風速調整部526のスプリング535が抵抗部530を高背圧位置P1に付勢する。このため、測定用流路525から排出する空気流523に与える排出抵抗が大きくなり、通風路を通過する空気流の平均風速に測定風速が近似する。
【0036】
すなわち、図8に示すように、ダクト600の内部に風速センサ52を配置した構成における風速センサ52を含む流路断面601での風速分布602において、(a)に示す大風量時では中央部付近に配置した風速センサ52で測定する測定風速603と平均風速604との風速差WSが従来に比して小さくなる。
【0037】
また、(b)に示す小風量においては、中央部付近に配置した風速センサ52で測定する測定風速603と平均風速604との風速差WSが従来に比してはるかに小さくなり、測定風速603が平均風速604に近似する。
【0038】
このように、風速調整部526の抵抗部530が測定用流路525から排出する空気流523に排気抵抗(背圧)を与えて、測定用流路525を通過する空気流523の測定風速を調整することで、通風路522を通過する空気流523の通過風速の平均風速に測定風速を近似させることができるので、通風路522の壁面近傍と風速センサ52を配置する流路断面の中央部付近とにおける風速差に起因する風速センサ52のオフセットを抑制することができる。
【0039】
また、風速調整部526が測定部524の下流側に位置して測定用流路525へ流入する空気流523に対して風速調整部526が乱流発生要因となることがなくなるので、風速調整部526が風速センサ52の検出値の精度を阻害する要因とならない。
【0040】
例えば、風速センサ52がカルマン渦検出式である場合には、その検出原理であるかルマン渦の発生に影響を及ぼすことなく、風速センサ52に流入する風速を通風路522の他の箇所に対して相対的に調節することができ、風速センサ52の出力特性を補正することができる。
【0041】
さらに、大風量時と小風量時とにおいて風速センサ52の出力特性を変更することができるので、可変風量ユニット50において仕様上限での風量精度に重点をおいた制御係数を設定しても、小風量域での設定風量と実風量との誤差は、従来に比して小さくなる。また、抵抗部530の高背圧位置P1および低背圧位置P2の設定位置を調整することにより、風速センサ52と通風路522の他の箇所とにおける通過風速の相対差の比率を風速の大小、その他の条件によって変更、調整することができる。しかも、風速センサ52の出力特性の補正を他に動力を用いることなく自律して行なわせることができる。
【0042】
図3は、風速センサ52のセンサ出力と測定用流路525を通過する空気流523の風量との関係を示すグラフ図であり、軌跡Aは可変風量ユニット50の制御において設定する想定センサ出力と想定風量との関係を示し、軌跡B1は本発明における風速センサ52の実際の実センサ出力と実風量との関係を示し、軌跡B2は従来における風速センサ52の実際の実センサ出力と実風量との関係を示し、帯状領域Cは想定風量と実風量との許容誤差範囲を示し、交点Dにおいて実風量と想定風量とが一致する。
【0043】
軌跡B2で示すように、従来において小風量域では想定風量と実風量との乖離X2が大きいが、軌跡B1で示すように、本発明において小風量域では想定風量と実風量との乖離X1が小さくなる。また、可変風量ユニット50において制御可能な風量設定範囲内で高精度に制御できる設定推奨範囲が従来のものに比して本発明において拡大する。
【0044】
図4は本発明の他の実施の形態を示すものであり、先に図1において説明したものと同様の作用を行なう構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
図4において、風速調整部526は、抵抗部530がヒンジ530aで枢着した2枚の可動板530b、530cからなり、各可動板530b、530cがヒンジ530aの軸心回り、つまり空気流523の流れを横切る方向の軸心回りに揺動するものである。
【0045】
翼531と各可動板530b、530cとは連結棒536で連結してあり、翼531が空気流523の流れ方向に往復移動することで、各可動板530b、530cが測定用流路525の下流側開口525aに近接する高背圧位置P1と、測定用流路525の下流側開口525aから離間する低背圧位置P2とにわたって往復揺動する。他の作用効果は先の実施の形態と同様である。
【0046】
図5および図6は本発明の他の実施の形態を示すものであり、先に図1において説明したものと同様の作用を行なう構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
図5および図6において、風速調整部526は、抵抗部530がヒンジ530dで枢着した1枚の可動板530eからなり、可動板530eがヒンジ530dの軸心回り、つまり空気流523の流れを横切る方向の軸心回りに揺動する。
【0047】
また、翼531はヒンジ531aで枢着した1枚の可動板531bからなり、可動板531bがヒンジ531aの軸心回り、つまり空気流523の流れを横切る方向の軸心回りに揺動する。
そして、翼531の可動板531bと抵抗部530の可動板530eとは連結索537で連結してあり、翼531の可動板531bが空気流523の風圧を受けて揺動する。小風量時には、抵抗部530の可動板530eが受ける測定用流路525の空気流523の風圧、および翼531の可動板531bが受ける測定部周囲の空気流523の風圧に抗して、抵抗部530の可動板530eおよび翼531の可動板531bの自身の重力により抵抗部530の可動板530eを高背圧位置P1に付勢し、大風量時には、翼531の可動板531bが測定部周囲の空気流523の風圧を受けて抵抗部530の可動板530eおよび翼531の可動板531bの重力による付勢力に抗して抵抗部530の可動板530eを低背圧位置P2に向けて駆動することで、抵抗部530の可動板530eが測定用流路525の下流側開口525aに近接する高背圧位置P1と、測定用流路525の下流側開口525aから離間する低背圧位置P2とにわたって往復揺動する。他の作用効果は先の実施の形態と同様である。
【0048】
尚、図5及び図6に示した例では、抵抗部530がヒンジ530dで枢着した1枚の可動板530eが、可動板530eがヒンジ530dの軸心回りに揺動し、抵抗部530の可動板530eの空気流523に対する角度が変わるような形態を示したが、抵抗部530の可動板530eが空気流523に対して垂直方向に揺動する形態であってもよい。この場合、下流側開口525aの下部に近接する高背圧位置P1と下流側開口525aの上部に近接する低背圧位置P2とにわたって往復揺動するものであってもよいし、下流側開口525aの下流側に固定配置されスリット状開口を有する固定抵抗部を別途設け、抵抗部530の可動板530eを固定抵抗部と同様のスリット開口を有する形状として固定抵抗部に近接して配置し、可動板530eが垂直に揺動することで固定抵抗部のスリット開口と可動板530eのスリット開口との重なり具合を変化させるように往復揺動するものであってもよい。
【0049】
図7に示すように、本発明を空調システムに適用した構成を示すものである。空気調和装置701と複数の空調対象室702との間はそれぞれダクト703で連通している。ダクト703を流れる風量を調整する構成としては、ダクト703の途中に前述した可変風量ユニット50を配置するものがあり、または風量制御ダンパ704の直後に曲がりダクトを配置する場合には、曲がりダクトによる偏流を防止するために、風量制御ダンパ704の上流側に前述した風速センサ52を別途に設けるものがある。
【0050】
ここでは空気調和装置701として一般的なものを採用しており、その構成に限定要素はなく、空気調和装置701は、例えばエアフィルタ、熱交換機、加湿器及び給気ファン等を有し、給気ファンを駆動することによってダクト703を通して空調対象室702へ給気する。風量制御ダンパ704としては一般的なものを採用しており、その構成に限定要素はなく、ここでは前述した可変風量ユニット50における風速センサ52を装置外へ配置した構成をなす。
【0051】
この構成では、空調対象室702へ給気する風量を前述した可変風量ユニット50の作用において制御し、ダクト703を流れる風量を設定値に制御する。あるいは風量制御ダンパ704の上流側に配置した風速センサ52でダクト703を通過する風量を測定し、測定値が設定値となるように風量制御ダンパ704により風量を制御する。
【符号の説明】
【0052】
50 可変風量ユニット
51 ケーシング
52 風速センサ
53 穿孔プレート
54 ダンパ
55 コントロールボックス
56 制御基板
57 コントロールモータ
522 通風路
523 空気流
524 測定部
525 測定用流路
525a 下流側開口
526 風速調整部
527 カルマン渦発生用柱
528 送信部
529 受信部
530 抵抗部
530a、530d、531a ヒンジ
530b、530c、530e、531b 可動板
531 翼
532 スライダー
533 ガイドロッド
534 スタッド
535 スプリング
536 連結棒
537 連結索
600 ダクト
601 流路断面
602 風速分布
603 測定風速
604 平均風速
701 空気調和装置
702 空調対象室
703 ダクト
704 風量制御ダンパ
P1 高背圧位置
P2 低背圧位置
WS 風速差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路を通過する空気流の風速を測定するものであり、通風路中に配置する測定部と、測定部の下流側に配置する風速調整部を備え、風速調整部は、測定部を通過する空気流に排気抵抗を与え、かつ高背圧位置と低背圧位置とにわたって変位する抵抗部と、測定部を通過する空気流の風圧に抗して抵抗部を高背圧位置に向けて付勢する付勢手段と、測定部周囲の空気流の風圧を受けて前記付勢手段の付勢力に抗して抵抗部を低背圧位置に向けて駆動する駆動手段を備えることを特徴とする風速センサ。
【請求項2】
抵抗部は、測定部の下流側に近接した高背圧位置と、高背圧位置から下流側に離間した低背圧位置とにわたって空気流の流れ方向に往復動し、あるいは空気流の流れを横切る方向の軸心回りに揺動することを特徴とする請求項1に記載の風速センサ。
【請求項3】
上流側開口部と下流側開口部の間に通風路を形成するケーシングと、通風路を通過する空気流の風速を測定する風速センサと、風速センサの下流側に位置するダンパと、風速センサの検出値に基づいてダンパを回転駆動するダンパ駆動手段を備え、風速センサが請求項1または2に記載の風速センサであることを特徴とする可変風量ユニット。
【請求項4】
空気調和機と空調対象室とを連通するダクトの途中に、請求項3に記載の可変風量ユニットもしくは請求項1または2に記載の風速センサを備えることを特徴とする空調システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−112271(P2011−112271A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268177(P2009−268177)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000104836)クボタ空調株式会社 (31)
【Fターム(参考)】