説明

食品素材およびそれを使用した加工食品

【課題】コウリャン色素よりも製造が簡単で、コウリャン色素と同じ成分を含有する食品素材を提供する。またこの食品素材を添加した加工食品を提供する。
【解決手段】コウリャン実の殻を粉末状に粉砕したものを、食品用素材として提供する。またこの食品素材を添加した加工食品を提供する。原料となるコウリャン実の殻は、特定のコウリャン(ソルガム)品種のものでなくてもよい。粉砕した殻の粉末の大きさは特に規定しないがより細かいものが利用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品素材とその加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の加工において、食品色素によって着色することは、見栄えを良好なものにするために大変重要である。食品色素には天然由来のもの及び人工的に化学合成されたものがある。天然由来の色素の中には、着色剤としての機能のみならず、健康増進に寄与する物質が含まれている場合があり、近年注目を集めている。
【0003】
天然由来の食品色素として、コウリャン色素がある。コウリャン色素は、コウリャン(ソルガム)由来の色素であり、わが国では古くから食品色素として使用されている。またコウリャン色素は、アピゲニンやルテオリンを含んでおり、アピゲニンおよびルテオリンは抗アレルギー作用のある物質として報告されている。
【0004】
コウリャン色素は、コウリャン実の殻を水またはアルコール水溶液に浸せきさせることによって色素成分を抽出し、その上澄み液から水またはアルコール水溶液を蒸発させることによって固体または粉末の色素を得る。従ってコウリャン色素の製造においては、溶媒での抽出工程と溶媒を揮発させる工程が不可欠である。
【特許文献1】特表平8−510735号公報
【特許文献2】特開平10−298098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コウリャン色素よりも製造が簡単で、かつアピゲニンやルテオリンなどのコウリャン色素成分と同じ成分を有し、また着色料としても使用可能な食品素材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明は、コウリャン実の殻を粉砕して粉末状にしたものを食品素材とした。またこれを添加して加工食品とした。以下に本発明の詳細な説明を記す。
原料となるコウリャン実の殻は、特定のコウリャン(ソルガム)品種のものでなくてもよい。粉砕した殻の粉末の大きさは特に規定しないがより細かいものが利用に適している。
【発明の効果】
【0007】
コウリャン実の殻の粉末を添加して製造する加工食品は、パン類、麺類、菓子類、飲料、健康食品の錠剤など、あらゆる加工食品に適用できる。
【実施例1】
【0008】
以下に本発明による実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
中国産コウリャン実の殻を水で洗浄乾燥後、ボールミルを用いて粉砕して粒径0.1mm以下の粉末を得た。
【0009】
<分析例>実施例1の粉末中に、コウリャン色素の成分であるアピゲニン、ルテオリン、アピゲニニジン、ルテオリニジンが含まれているか分析を行った。まず実施例1の粉末1gを、10mlのメタノール−酢酸溶液(容積比95:5)に室温で9.5時間浸せきした後、上澄み液を採取した。次にこの上澄み液を、HPLCで分析した。HPLCのカラムはODSカラム(GL
Sciences Inertsil ODS-80A)を使用し、移動層は A液(水−酢酸−りん酸水溶液(容積比85:15:1.5))とB液(アセトニトリル−酢酸溶液(容積比85:15))を用い、100%A液から25%A液の40分間のリニアグラジエントを行い(流速1mm/min)、検出にはフォトダイオードアレー検出器を用いた。得られたHPLCのチャートには、アピゲニン、ルテオリン、アピゲニニジン、ルテオリニジンの各標準品と同じ保持時間のピークがあり、実施例1の粉末にはこれらの成分が含まれていることを確かめた。
【実施例2】
【0010】
バター95重量部に食塩0.3重量部、砂糖80重量部を加えてよく混ぜ合わせ、さらに卵黄30重量部を加えてよく混ぜ合わせ、これをAとした。別に薄力粉100重量部と実施例1の粉末10重量部を均一に混ぜ、これをBとした。AにBを均一に混ぜ、直径3から4cm、厚さ0.5cmの大きさの形状にして160℃のオーブンで14分焼いて焼き菓子とした。
【0011】
<比較例>実施例2に示したAに、薄力粉110重量部を加えて均一に混ぜ、直径3から4cm、厚さ0.5cm大きさの形状にして160℃のオーブンで14分焼いて焼き菓子とした。
【0012】
実施例2の焼き菓子と比較例の焼き菓子を比べると、実施例2の焼き菓子は赤褐色に着色されており、実施例1の粉末が着色料として使用可能なことが確認された。また実施例2の焼き菓子を試食したところ、比較例の焼き菓子と同様に美味であった。
【産業上の利用可能性】
【0013】
以上述べたように本発明は、コウリャン色素と同じ成分の全てが含まれることによる
生体健康保全への寄与が期待できるとともに、着色料としても有用である。また本発明品の製造は、コウリャン色素のように抽出工程、濃縮工程を必要としないので特別な装置を必要とせず極めて安価にかつ簡便に目的物を得ることができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コウリャン実の殻を粉砕して得られた粉末状の食品素材。
【請求項2】
請求項1の食品素材を他の食品素材に添加混合した加工食品。

【公開番号】特開2007−68475(P2007−68475A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260005(P2005−260005)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(390001339)光洋産業株式会社 (46)
【Fターム(参考)】