説明

飲料用容器の栓体

【課題】ボタン操作部材の外観面が比較的大きくなった場合でも、ボタン操作部材のみが押されて蓋体が開かなくなることを防止し、蓋体開作動の確実性を増す。ボタンを押す部分の視認性を向上し、かつ蓋体を開く操作が簡便かつ確実に行うことができ、目視性、操作感を向上する。
【解決手段】蓋体12を閉状態に保持するロック機構17を備え、蓋体12に係合片35を設け、ロック機構17のロックボタン19は、係合部29を備えたボタン本体部材26と、このボタン本体部材26に取り付けられるボタン操作部材27とを備え、ロックボタン19を係合方向に付勢するスプリング49を有し、ボタン操作部材27がスプリング49のみならず、ボタン本体部材26に強制嵌合されているため、ボタン操作部材27のみを押しても、確実にボタン本体部材26もボタン操作部材27に伴って動くため、蓋体12を確実に開くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構を備えた蓋付き飲料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用容器の栓体として、飲料用の容器本体と、この容器本体の開口に被着される栓体と、栓体に設けられた口部と、前記栓体に回動自在に蓋ヒンジ部により軸支され前記口部を開閉する蓋と、前記栓体の蓋ヒンジ部の180度反対側に回動自在にロック回動軸により軸支されて前記蓋を閉状態に保持するロックボタンを有する飲料容器において、前記栓体の前記ロック回動軸に同軸状に軸支され前記蓋を閉状態に保持する第2のロック部材を設け、前記ロックボタンは、上部に第1の係止部を有すると共に、下部に押動部を有し、中間部には横向に貫通した第1の軸孔が設けられ、前記取付部に設けた水平方向の前記ロック回動軸にて回動可能に支持され、前記蓋の蓋ヒンジ部の反対側には、第1の係止部が係止可能な第1の係止受け部を設け、前記押動部の裏側と前記取付部との間に付勢手段を設け、この付勢手段により第1の係止部をロック状態方向に付勢したもの(特許文献1)などが知られている。この特許文献1では意匠外観性が向上するばかりではなく、押す場所の視認性が向上されている。さらにその場所が付勢手段により付勢される場所で力学的にも合理的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−23854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、ボタン操作部材である押動部の外観面(操作面)が比較的小さいため、ロックボタンの下部を押した際に押動部のみが押されることはないが、押動部の外観面が大きくなると、ロックボタンの下部を押した際に、ロックボタンと別体の押動部のみが内側に押され、第1の係止部が蓋の係合片から離脱せずに、蓋が開かなくなる虞がある。
【0005】
解決しようとする問題点は、上記の問題を鑑みて、ボタン操作部材の外観面が比較的大きくなった場合でも、ボタン操作部材のみが押されて蓋体が開かなくなることを防止し、蓋体開作動の確実性を増す点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の飲料用容器の栓体は、飲料用容器本体の上部開口部に被着される栓本体と、前記栓本体の一端にヒンジ軸支され、前記栓本体の前記上部開口部を開閉自在に開閉する蓋体と、前記栓本体の他端で前記蓋体を閉状態に保持するロック機構を備えた飲料用容器の栓体において、前記ロック機構は、前記蓋体の回動端に設けられた係合片と、前記栓本体の他端で前記栓本体の内外方向に進退可能に取り付けられ、上部に前記蓋体の前記係合片と係合する係合部を有するボタンを備え、前記ボタンは、前記係合部を備えたボタン本体部材と、このボタン本体部材に取り付けられるボタン操作部材とで構成され、前記ボタンの前記係合部を前記蓋体の前記係合片との係合方向に付勢する付勢手段を有し、前記ボタン操作部材が前記ボタン本体部材の貫通孔に強制嵌合され、且つ、前記ボタン操作部材の裏面を前記付勢手段で付勢することを特徴とする。
【0007】
請求項2の飲料用容器の栓体は、前記ボタン本体部材に強制嵌合時の導入案内部を設け、前記ボタン操作部材に前記導入案内部に対応する導入案内受け部を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の飲料用容器の栓体は、前記ボタン操作部材の裏面に加飾用部材を取り付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の飲料用容器の栓体は、前記ボタン操作部材の裏面に前記加飾用部材を取り付けるための突出壁を、前記ボタン本体部材の前記貫通孔の最小径よりも外側に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ボタン操作部材が付勢手段のみならず、ボタン本体部材に強制嵌合されているため、ボタン操作部材のみを押しても、確実にボタン本体部材もボタン操作部材に伴って動くため、蓋体を確実に開くことができる。また、付勢手段がボタン操作部材から少しずれた位置にあっても確実にボタンを動作できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、ボタン本体部材とボタン操作部材に設けられた凸凹の導入部により、強制嵌合時に位置ズレや傾きが発生せずに、組立が確実、且つ容易に行える。
【0012】
請求項3の発明によれば、ボタン本体部材の貫通孔に強制嵌合されたボタン操作部材の裏面に様々な加飾用部材を取り付けることで、加飾性を向上させると共に、加飾用部材をボタン操作部材で保護できるため、加飾用部材の劣化や傷付きを防止できる。また、請求項2のように導入部を設けると加飾用部材の位置決めが可能であり、方向性のある加飾も可能である。
【0013】
請求項4の発明によれば、ボタン操作部材の裏面に突出壁を設けることで、加飾用部材のズレを防止でき、且つ組立も容易になる。
【0014】
また、ボタン本体部材の貫通孔の最小径よりも外側に突出壁を配置することでボタン操作部材が透明となっても、外観から突出壁が見えず、意匠性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1を示す全体断面図である。
【図2】同上、ロック機構の拡大断面図である。
【図3】同上、ロックボタンの分解斜視図である。
【図4】同上、ロックボタンの分解断面図である。
【図5】同上、全体正面図である。
【図6】同上、開蓋状態の全体断面図である。
【図7】本発明の実施2を示すロック機構の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0017】
図1〜図6は実施例1を示すもので、携帯用魔法瓶1は、片手で持てる大きさの金属製の容器本体2と、該容器本体2の上部開口部である開口端部2Aに被着される合成樹脂製の栓体3とを備えている。容器本体2は、内筒4と外筒5の開口端部2Aの縁を一体に接合し、内筒4と外筒5との間の空間を真空の断熱層6となした断熱二重構造で、外筒5の上部外周には、栓体3を螺着するための雄螺子部7が形成されている。
【0018】
前記栓体3は、外筒5の上部外周を囲繞する筒状部8に雌螺子部9が形成され、この雌螺子部9を外筒5の雄螺子部7に螺着して容器本体2の開口端部2Aに装着される栓本体10を備える。この栓本体10の一側に設けた取付部11には、蓋体12が蓋ヒンジ部13を介して回動自在に結合され、蓋ヒンジ部13に巻き掛けられたゴム輪等弾性体14にて開方向に付勢されており、弾性体14は、一端を栓本体10の取付部11の取付受け部15に係止すると共に、他端を蓋体12の取付受け部16に係止している。そして、弾性体14は、蓋体12を閉状態から180度以上上下方向に回動してその位置で保持する力を有している。また、一側の蓋ヒンジ部13に対して、容器本体2の口部中心を軸芯(図示せず)としたとき180度の位置に、すなわち蓋ヒンジ部13と径方向に対向する位置である他側には、蓋体12の先端を係止して蓋閉状態に保持するロック機構17が設けられている。
【0019】
栓本体10は、筒状部8の上面に、容器本体2の開口端部2Aを覆う天板18を設けた逆有底筒状に形成されており、筒状部8の一側部には、ロック機構17の構成部材であるシーソ式のロックボタン19とU字ロック20とが設けられている。また、天板18の他側寄りには飲み口21が突設されている。
【0020】
前記飲み口21は、前記天板18から飲用者が口に含むのに適した太さで蓋体12に覆われる高さの略円柱状に突設されており、その内部を飲料の注出口21Aとしている。図6に示すように、飲み口21の上端面21Bは、飲み口21の中心軸と直交する線Lよりも蓋ヒンジ部13側が角度θ1分低くなるように傾斜していて、蓋体12の天板18と略同じ角度で、ロック機構17側が高く蓋ヒンジ部13側が低いテーパ状に形成されている。そして、飲み口21の上部は、閉蓋時に蓋体12に装着したパッキン22で封止できるようになっている。
【0021】
また、図1に示すように、栓本体10の筒状部8の内側に、容器本体2の開口端部2Aと栓体3の間を水密に止水する止水用パッキン23が設けられる。この止水用パッキン23は、エラストマー、ゴム或いは弾性合成樹脂によって形成され、栓本体10の内面に設けられたパッキン23の取付用の凹部24に着脱可能に取り付けられるものであって、このパッキン23の取り付け用の凹部24は、平面が栓本体10と同心円状な円環状に設けられるものであり、雌螺子部9と天板18との上下方向の間で筒状部8に沿っており、下方向を開口している。そして、この凹部24を形成するための内側に設けられる内壁25は、ほぼ凹部24の横幅程度の距離まで下方へ延出して栓本体10に形成されている。
【0022】
前記止水用パッキン23は、容器本体2の開口端部2Aと前記凹部24との間に介在するパッキン本体である止水突起部23Aと、止水突起部23Aから下方へ延出する下方延出壁23Bと、下方延出壁23Bの下端から内向きに延出する内向き延出面23Cとからなる。止水突起部23Aは開口端部2Aと、栓本体10の凹部24にそれぞれ下面及び上面で接して止水するもので、その平面は円環状で、縦断面はほぼ矩形であって、その外周面の上下方向の中央には溝23Dが内向きに全周にわたって設けられ、止水突起部23Aが外側が開口した断面略コ字状に形成されている。下方延出壁23Bは前記内壁25の外面に沿って配置され、内向き延出面23Cは内壁25の下端に沿い、内向き延出面23Cの下面が、前記パッキン23を凹部24へ取り付ける場合の押ししろ部に形成され、前記内向き延出面23Cが、前記パッキン23を取り外す場合のつかみしろに形成されている。
【0023】
前記ロック機構17は、第1のロック部材であるボタンたる前記ロックボタン19と、第2のロック部材である前記U字ロック20とを備えたダブルロック構造となっている。ロックボタン19は、合成樹脂製の非透孔性部材からなるボタン本体部材26と、このボタン本体部材26と別体の部材からなるボタン操作部材27とを備える。前記ボタン本体部材26は略円形のボタン表面部28を有し、このボタン表面部28の上部裏面に係合部29を内向きに突設し、ボタン表面部28の上下方向中間部には左右の壁部30,30を内向きに突設し、これら左右の壁部30,30の下部間を略円弧状の下壁部31により連結し、この下壁部31はボタン表面部28の裏面から内向きに突設されており、前記左右の壁部30,30には横向きの第1の軸孔32がそれぞれ穿設されている。また、図5に示すように、筒状部8の外周他側には、正面から見て略逆U字状の支持部33が設けられ、この支持部33に設けた水平方向のロック回動軸34により前記ロックボタン19が回動可能に支持され、この回動により上部に設けた前記係合部29が栓体3の内外方向に進退する。そして、蓋体12の回動端、すなわち蓋ヒンジ部13の反対側には、前記係合部29が係止可能な係合片35が左右横向き方向の段部によって設けられ、前記係合片35の上部には略逆U字形状の係止受け部36が設けられ、この係止受け部36の下部が閉蓋時に前記支持部33の上部と連続し、図5に示すように、それら係止受け部36と支持部33により前記ロックボタン19が囲まれている。尚、この例ではボタン表面部28は略円形であるが、そのボタン本体部材26の上下を半円形にして上下方向に長く形成してもよい。
【0024】
前記ボタン操作部材27は、略円柱状のボタン操作部37と、このボタン操作部37の基端側に設けられ前記ボタン操作部37より大きな鍔状部38とを一体に備え、合成樹脂製の透光性部材からなる。前記ボタン本体部材26のボタン表面部28には、その下部側で左右方向中央に略円形の貫通孔39が穿設されており、この貫通孔39に前記ボタン操作部37が強制嵌合される。前記貫通孔39の内面にはその基端側に凸状部40を周設し、この凸状部40が嵌合する凹溝部41が前記ボタン操作部37の基端側に周設されている。また、ボタン操作部材27の鍔状部38の上部には、横方向の上縁部42を設け、この上縁部42が係入する凹部43を前記ボタン表面部28の裏面に形成している。さらに、ボタン本体部材26の下壁部31の下部の左右方向中央に、内外方向の導入受け部たる切欠き溝44を設け、この切欠き溝44は基端側が開口し、前記切欠き溝44に後方から嵌入する導入案内部たる突片45を前記ボタン操作部材27に設けており、このボタン操作部材27の鍔状部38の下端に下方に突設した下突設部46を設け、この下突設部46の下端から前記突片45が基端側に向かって突設されている。尚、前記切欠き溝44が嵌合凹部、前記突片45が嵌合凸部である。
【0025】
そして、ボタン本体部材26の後方から貫通孔39にボタン操作部材27のボタン表面部28を圧入し、凸状部40と凹溝部41とが嵌合して貫通孔39にボタン操作部材27を強制嵌合し、この際、突片45を切欠き溝44に嵌入することによりボタン本体部材26の向きに合わせてボタン操作部材27を一体的に組み込むことができる。
【0026】
また、図2に示すように、前記ボタン本体部材26の係合部29が前記蓋体12の係合片35に係止した状態で、ボタン本体部材26及びボタン操作部材27は、その裏面が略垂直で、下方に向かって肉厚になるように外面が傾斜し、同様に、ボタン操作部37も下方に向かって肉厚になるように外面が傾斜し、ボタン表面部28の外面がボタン本体部材26の外面より僅かに外側に位置するようにボタン表面部28の外面が部分的に突出しており、触感でボタン表面部28を認識できる。
【0027】
前記ボタン操作部材27の鍔状部38の平坦な裏面に突出壁47を突設し、この突出壁47は鍔状部38の周囲の左右に設けられ、突出壁47はボタン表面部28の外周より外側に位置する。即ち突出壁47は貫通孔39の外側に配置されている。また、突出壁47はボタン表面部28と略同心円の仮想円上に位置し、突出壁47内に位置して略円形の加飾用部材48を鍔状部38の裏面に接着などにより取り付けている。このように突出壁47の間にシール状の加飾用部材48を取り付けることにより、組み付け作業性に優れる。その加飾用部材48は非透光性であって、光反射材などを備え、表面に模様を設けたものを用いることができる。また、ボタン操作部材27の裏面側の加飾用部材48と栓本体10の筒状部8との間に復帰用弾性体であるスプリング49を配置し、前記筒状部8にはスプリング49の基端側を取り付ける筒状の取付部50が設けられ、前記スプリング49により係合部29が常時蓋体のロック状態方向に付勢されている。そして、ボタン操作部材27には透明又は光透過性で有色のものを用い、ボタン操作部材27を通して加飾用部材48が視認される。尚、加飾用部材48は貫通孔39より大径である。また、突出壁47は貫通孔39の外側に位置するため、透明なボタン操作部材27を用いても外部から突出壁47が視認されることがない。
【0028】
前記U字ロック20は、左右一対のアーム部51を備えた略U字形状であって、これには倒コ字形状等も含む。そして、アーム部51の両基端にある横向きの第2の軸孔52に、前記ロック回動軸34の左右外側への同径な延長軸部34Aを挿入し、前記ロック回動軸34の延長軸部34Aを中心として、U字ロック20は回動自在に設けられている。尚、延長軸部34Aの外径に対する第2の軸孔52の内径はやや隙間が形成されるような遊嵌状態となって摺動が可能に形成されている。
【0029】
前記U字ロック20の先端が上向きの第1の位置にあるとき該U字ロック20の先端が前記係止受け部36に外嵌してロックし、この係止受け部36は表面が上方へ突設するように逆U字形状となって蓋ヒンジ部13と反対側に突設している。そして、係止受け部36は、係合片35の上方に該係合片35を覆うように設けられるものであり、係合片35に対して係止受け部36は前記係合部29の上下方向の厚み程度の間隔を有して可及的に近づくように設けている。すなわち、回動軸34を基点とした係止受け部36の内側36Aまでの距離と、係合部29の上端までの距離が略同一に形成されている。
【0030】
一方、U字ロック20の先端が下向きの第2の位置にあるとき該U字ロック20が非外嵌のアンロック状態、すなわち先端がフリーになるように下方を開口した空隙53が形成されている。第2の位置においても、U字ロック20が前記支持部33の外周外側に嵌合するように配置される。
【0031】
前記ロック回動軸34はロックボタン19の中間部裏側の第1の軸孔32を貫通し、さらに、ロック回動軸34の延長軸部34Aがアーム部51の両基端の第2の軸孔52に挿入して、1本のロック回動軸34によってロックボタン19とU字ロック20の両方が回動自在に軸支されている。
【0032】
また、係止受け部36の上面に上向きに小凸部36Bが形成されており、この小凸部43は突起状ではなく、膨出状に形成されている。そして、U字ロック20を真上に向けて回動すると、係止受け部36にある小突起36B上にU字ロック20の先端内面が圧接することで、その摩擦力でU字ロック20は係止受け部36に係止、固定されて蓋体12のダブルロックをなす。
【0033】
次に前記構成についてその作用を説明する。ロック機構17のロックボタン19の組み立てにおいて、切欠き溝44の基端に突片45を位置合わせることにより、ボタン本体部材26にボタン操作部材27を正しく位置合わせすることができ、切欠き溝44に突片45を係入すると共に、貫通孔39にボタン操作部37を圧入し、ボタン本体部材26にボタンボタン操作部材27を一体的に組み込むことができる。また、ボタン本体部材26にボタン操作部材27を組み込む前、または組み込んだ後に、ボタン操作部材27の鍔状部38の裏面に加飾用部材48を取り付け、この際、位置決め手段たる突出壁47を基準として加飾用部材48を鍔状部38の裏面に簡便に取り付けることができる。また、その突出壁47は貫通孔39を外した位置に設けられているから、外側から突出壁47が視認されることがない。さらに、ロック回動軸34によりロックボタン19を栓本体10に取り付け、スプリング49の先端により加飾用部材48を介してボタン表面部28を表面側に付勢し、このようにスプリング49により加飾用部材48がボタン表面部28に押し付けられているから、ボタン表面部28から加飾用部材48が外れることがない。また、加飾用部材48によりスプリング49の先端がボタン操作部材27に直接当たらないから、合成樹脂などからなるボタン操作部材27を保護することができる。
【0034】
そして、ロックボタン19に比較的大きなボタン操作部37が設けられているから、ボタン操作部37を目印にしてロックボタン19の操作性が向上し、しかも、透孔性を有するボタン操作部材27の裏面に設けた加飾用部材48が視認されることにより、従来にない優れた意匠性が得られ、さらに、ボタン操作部37のみを押しても、ボタン操作部材27がボタン本体部材26に一体に組み込まれているため、ボタン本体部材26のロック解除操作を確実に行うことができる。
【0035】
次に、飲料を収容するときは、まず予め開いている容器本体2の開口より飲料を容器本体2に収容し、次に開口部に栓体3を取り付けて閉じる。この際にはU字ロック20は下向きとなって第2の位置に配置されている。
【0036】
この後、蓋ヒンジ部13を回動中心として蓋体12を閉じるように回動すると、係合部29の先端の上傾斜面29Aが係合片35の先端の下傾斜面35Aに押され、係合部29が外側に移動するようにロックボタン19が傾動し、さらに、蓋体12を閉じるように蓋体12を押圧すると、係合部29を係合片35が乗り越え、係合片35に係合部29の下部が係止状態となり、蓋体12は栓本体10に対して固定状態となる。
【0037】
そして、蓋体12を栓体3、ひいては容器本体2側に固定するため、U字ロック20をロック回動軸34を回動中心として上向きに回動し、係止受け部36にU字ロック20を係止する。
【0038】
一方、U字ロック20によるロック状態を解除するには、ロック回動軸34を回動中心としてU字ロック20を下方へ回動し、下向きの状態でU字ロック20を支持部33に嵌合して固定する。さらに、ロックボタン19のボタン表面部28を押圧してロックボタン19をスプリング49に抗して回動すると係合部29が外側に後退して係合片35から離脱し、ロックが解除され、この結果、弾性体14に付勢されて蓋体12は開方向に回動する。
【0039】
以上のように、本実施例では、飲料用容器本体2の上部開口部たる開口端部2Aに被着される栓本体10と、栓本体10の一端に蓋ヒンジ部13によりヒンジ軸支され、栓本体10の開口端部2Aを開閉自在に開閉する蓋体12と、栓本体10の他端で蓋体12を閉状態に保持するロック機構17を備えた飲料用容器の栓体において、ロック機構17は、蓋体12の回動端に設けられた係合片35と、栓本体10の他端にロック回動軸34により係止されて栓本体10の内外方向に進退可能に取り付けられ、上部に蓋体12の係合片35と係合する係合部29を有するボタンたるロックボタン19を備え、ロックボタン19は、係合部29を備えたボタン本体部材26と、このボタン本体部材26に取り付けられるボタン操作部材27とを備え、ロックボタン19の係合部29を蓋体12の係合片35との係合方向に付勢する付勢手段たるスプリング49を有し、ボタン操作部材27がボタン本体部材26の貫通孔39に嵌合固定され、且つ、ボタン操作部材27の裏面をスプリング49で付勢するから、ボタン操作部材27がスプリング49のみならず、ボタン本体部材26に強制嵌合されているため、ボタン操作部材27のみを押しても、確実にボタン本体部材26もボタン操作部材27に伴って動くため、蓋体12を確実に開くことができる。また、付勢手段たるコイルスプリング49がボタン操作部材27から少しずれた位置にあっても確実にボタンたるロックボタン19を動作できる。
【0040】
また、ボタン本体部材26の一端に強制嵌合時の一方の導入案内部たる切欠き溝44を設け、ボタン操作部材27の一端に切欠き溝44に対応する他方の導入案内部たる突片45を設けたから、ボタン本体部材26とボタン操作部材27に設けられた凸凹の導入部44,45により、強制嵌合時に位置ズレや傾きが発生せずに、組立が確実、且つ容易に行える。
【0041】
さらに、ボタン操作部材27の裏面に加飾用部材48を取り付けたので、ボタン本体部材26の貫通孔39に強制嵌合されたボタン操作部材27の裏面に様々な加飾用部材48を取り付けることで、加飾性を向上させると共に、加飾用部材48をボタン操作部材27で保護できるため、加飾用部材48の劣化や傷付きを防止できる。また、加飾用部材48に一定の方向性を与えることができる。
【0042】
しかも、ボタン操作部材27の裏面に加飾用部材48を取り付けるための突出壁47を、ボタン本体部材26の貫通孔39の最小径よりも外側に配置するから、ボタン操作部材27の裏面に突出壁47を設けることで、加飾用部材48のズレを防止でき、且つ組立も容易になる。
【0043】
また、ボタン本体部材26の貫通孔39の最小径よりも外側に突出壁47を配置することでボタン操作部材27が透明となっても、外観から突出壁47が見えず、意匠性が良い。
【0044】
また、加飾用部材48は非透光性であるから、裏面側のスプリング49などが視認されることがない。さらに、切欠き溝44に係入した突片45が、ボタン本体部材26の下部に現れるため、ロックボタン19の意匠性が向上する。また、貫通孔39の内面にはその基端側に一方の抜け止め部たる凸状部40を周設し、この凸状部40が嵌合する他方の抜け止め部たる凹溝部41を前記ボタン操作部37の基端側に周設したから、凸状部40と凹溝部41の嵌合により貫通孔39にボタン操作部37を抜け止め状態で組み込むことができる。さらに、突出壁47を貫通孔39を避けた貫通孔39の外側に設けたから、突出壁47が外部から視認されることがなく、突出壁47,47を左右に設けたから、突出壁47,47に挟まれた平坦な裏面に加飾用部材48を容易に貼り付けることができる。
【実施例2】
【0045】
以下に他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図7は実施例2を示しており、前記ボタン操作部材27に内外を貫通する貫通孔61を設けており、この貫通孔61から裏面の加飾用部材48を視認することができる。この場合、貫通孔61を透孔性部材により塞いでもよく、加飾用部材48による加飾性を確保することができる。また、貫通孔61はボタン操作部37より直径が小さいから、ボタン操作部37の外周と、貫通孔61とが二重円状に表れ、表示効果に優れたものとなる。また、貫通孔39,61の形状は円状だけではなく、異形状ともでき、意匠性の向上が可能である。
【0047】
尚、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、ボタン本体部材に嵌合凹部たる前記切欠き溝を設け、ボタン操作部材に嵌合凸部である突片を設けたが、ボタン本体部材に嵌合凹部と嵌合凸部の一方を設け、ボタン操作部材に嵌合凹部と嵌合凸部の一方を設ければよい。また、ボタン本体部材に導入案内部と導入案内受け部の一方を設け、ボタン操作部材に導入案内部と導入案内受け部の他方を設ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように本発明に係る飲料用容器の栓体は、各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
2 容器本体
2A 開口端部(上部開口)
3 栓体
13 蓋ヒンジ部
14 弾性体
17 ロック機構
19 ロックボタン(ボタン)
26 ボタン本体部材
27 ボタン操作部材
28 ボタン表面部
29 係合部
35 係合片
39 貫通孔
40 凸状部(嵌合凸部)
41 凹溝部(嵌合凹部)
44 切欠き溝(導入案内部)
45 突片(導入案内受け部)
47 突出壁
48 加飾用部材
49 スプリング(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用容器本体の上部開口部に被着される栓本体と、
前記栓本体の一端にヒンジ軸支され、前記栓本体の前記上部開口部を開閉自在に開閉する蓋体と、
前記栓本体の他端で前記蓋体を閉状態に保持するロック機構
を備えた飲料用容器の栓体において、
前記ロック機構は、
前記蓋体の回動端に設けられた係合片と、
前記栓本体の他端で前記栓本体の内外方向に進退可能に取り付けられ、上部に前記蓋体の前記係合片と係合する係合部を有するボタンを備え、
前記ボタンは、前記係合部を備えたボタン本体部材と、このボタン本体部材に取り付けられるボタン操作部材とで構成され、
前記ボタンの前記係合部を前記蓋体の前記係合片との係合方向に付勢する付勢手段を有し、
前記ボタン操作部材が前記ボタン本体部材の貫通孔に強制嵌合され、且つ、前記ボタン操作部材の裏面を前記付勢手段で付勢することを特徴とする飲料容器の栓体。
【請求項2】
前記ボタン本体部材に強制嵌合時の導入案内部を設け、前記ボタン操作部材に前記導入案内部に対応する導入案内受け部を設けたことを特徴とする請求項1記載の飲料容器の栓体。
【請求項3】
前記ボタン操作部材の裏面に加飾用部材を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の飲料容器の栓体。
【請求項4】
前記ボタン操作部材の裏面に前記加飾用部材を取り付けるための突出壁を、前記ボタン本体部材の前記貫通孔の最小径よりも外側に配置することを特徴とする請求項3記載の飲料容器の栓体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71745(P2013−71745A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211566(P2011−211566)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(591261602)サーモス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】