説明

高周波加熱装置

【課題】冷却ファンで冷却される機械室側の加熱室とその反対側の冷却の少ない側の加熱室との熱のアンバランスを解消し、良好なオーブン料理ができる高周波加熱装置の提供。
【解決手段】載置台2の下に設けたシーズヒータ3に、載置台2の面に対し、傾斜もしくは段差を設け、かつ、機械室5側の方が、載置台2とシーズヒータ3との距離が近くなる方向に傾斜もしくは段差を設ける構成としたものであり、これにより、加熱室1内の冷却による熱アンバランスを打ち消し、被調理物の分布のアンバランスを改善することができ、良好なオーブン料理が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオーブン調理機能を有した高周波加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の高周波加熱装置は、被加熱物を載置する載置台の下に、載置台の面と平行にシーズヒータを設け、オーブン調理機能を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、特許文献1に記載された従来の高周波加熱装置の断面図を示すものである。図4に示すように、加熱室1内に設置された載置台2の下に、前記載置台2の面と平行になるようにシーズヒータ3が設けられている。また、高周波発生装置4を収納する機械室5内に機械室5を冷却する冷却ファン6が設けられている。(特許文献1に冷却ファン6は図示されていないが、高周波加熱装置4を冷却するために冷却ファン6が設置されているのは明らかである。)
【特許文献1】特開2002−349867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、オーブン調理時でも制御装置などの各種部品を冷却するために冷却ファンを動作させている最近の高周波加熱装置において、冷却ファンで冷却されている機械室側の加熱室と比較して、機械室とは反対側の加熱室の対向側は冷却効果が少ないので、加熱室内に熱のアンバランスが発生し、加熱室側より対向側の方が温度が高くなり、オーブン調理時に被調理物の分布にアンバランスが生じるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被調理物の分布のアンバランスを改善する高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、載置台の下に設けたヒータに、載置台の面に対し、傾斜もしくは段差を設けることにより、機械室と対向する側の加熱室の被調理物とヒータとの距離を変える事が可能となり、被調理物の分布のアンバランスを改善することが出来る。
【0007】
これによって、冷却ファンで冷却されている機械室側加熱室と対向側加熱室との間の、熱のアンバランスは抑制されることになり、被調理物の分布のアンバランスが改善できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の高周波加熱装置は、冷却ファンで冷却されている機械室側加熱室と対向側加熱室との間の熱のアンバランスが少なくなるので、良好なオーブン料理ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、加熱室に高周波電波を放射する高周波発生装置と、高周波発生装置などを制御する制御装置と、高周波発生装置や制御装置を収納する機械室と、機械室を冷却する冷却ファンと、加熱室内に設置されたヒータと、加熱室
内に設置され、被加熱物を載置する載置台とを備え、ヒータは載置台の面に対し、傾斜を設ける構成としてあり、これにより、機械室と対向する側の加熱室の被調理物とヒータとの距離を変える事が可能となり、機械室側と対向側の加熱室で、熱のアンバランスが発生しても、被調理物の分布のアンバランスを改善することができる。
【0010】
第2の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、加熱室に高周波電波を放射する高周波発生装置と、高周波発生装置などを制御する制御装置と、高周波発生装置や制御装置を収納する機械室と、機械室を冷却する冷却ファンと、加熱室内に設置されたヒータと、加熱室内に設置され、被加熱物を載置する載置台とを備え、ヒータは載置台の面に対し、段差を設ける構成としてあり、これにより、機械室と対向する側の加熱室の被調理物とヒータとの距離を変える事が可能となり、機械室側と対向側の加熱室で、熱のアンバランスが発生しても、被調理物の分布のアンバランスを改善することができる。
【0011】
第3の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、加熱室に高周波電波を放射する高周波発生装置と、高周波発生装置などを制御する制御装置と、高周波発生装置や制御装置を収納する機械室と、機械室を冷却する冷却ファンと、加熱室内に設置されたヒータと、加熱室内に設置され、被加熱物を載置する載置台とを備え、前記ヒータは前記載置台との間の、前記機械室側と対向する側に、前記ヒータの輻射熱を調整する熱調整手段を設けた構成としてあり、これにより、機械室と対向する側の加熱室の被調理物に輻射されるヒータからの熱を変える事が可能となり、機械室側と対向側の加熱室で、熱のアンバランスが発生しても、被調理物の分布のアンバランスを改善することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における高周波加熱装置の断面図、図2は本発明の第1の実施の形態における高周波加熱装置の斜視図を示すものである。
【0014】
図1及び図2において、1は被加熱物を収納する加熱室、2は被加熱物を載置する載置台、4は加熱室1に高周波電波を放射する高周波発生装置、5は高周波発生装置4を収納する機械室、6は機械室5を冷却するための冷却ファン、8はオーブン調理時に被調理物7を載置するオーブン皿、9は高周波発生装置4や後述するシーズヒータなどを制御する制御装置、3は載置台2の下に設けられ、載置台2の面に対し、傾斜し、かつ、機械室5側の方が、載置台2とシーズヒータ3との距離が近くなる方向に傾斜させてあるヒータで、この実施の形態ではシーズヒータで構成してあるがその他のヒータであってもよいものである。
【0015】
以上のように構成された高周波加熱装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0016】
最近の高周波加熱装置は、オーブン調理時でも、制御装置9などの各種部品を冷却するため、冷却ファン6を動作させている。従って、加熱室1において、冷却ファン6で冷却されている機械室5側と、対向側とを比較すると、対向側の冷却効果の方が少ないので、加熱室1内にも熱アンバランスを生じるが、シーズヒータ3が傾斜し、かつ、被調理物7とシーズヒータ3の距離が、加熱室1の機械室5側の方が近いので、前記冷却による熱アンバランスを打ち消すことが出来、結果として、被調理物7の分布のアンバランスが改善される。なお、シーズヒータ3の傾斜角度は、冷却状態による加熱室1内の熱アンバランスの状態により、変化させることが必要である。
【0017】
(実施の形態2)
図3は本発明の第2の実施の形態における高周波加熱装置の断面図である。先の実施の形態1と異なるところは、シーズヒータ3を載置台2の面に対し、段差を設け、かつ、機械室5の方が、載置台2とシーズヒータ3との距離が近くなる方向に段差を設けた構成としたところである。
【0018】
この構成によっても、被調理物7とシーズヒータ3との間の距離が、加熱室1の機械室5側の方が近くなるので、前記冷却による熱アンバランスを打ち消すことが出来、結果として、被調理物7の分布のアンバランスが改善される。なお、シーズヒータ3の段差位置は、冷却状態による加熱室1内の熱アンバランスの状態により、変化させることが必要である。
【0019】
(実施の形態3)
図3は本発明の第3の実施の形態における高周波加熱装置の断面図である。先の実施の形態1、2と異なるところは、シーズヒータ3は載置台2の面に対し従来どおり平行に設けるものの、このシーズヒータ3と載置台2との間の、前記機械室側と対向する側に、前記ヒータの輻射熱を調整する板材等の熱調整手段10を設けた構成としたところである。
【0020】
この構成によれば、機械室と対向する側の加熱室の被調理物に輻射されるシーズヒータ3からの熱を変える事が可能となり、機械室側と対向する側の加熱室で、熱のアンバランスが発生しても、被調理物の分布のアンバランスを改善することができる。
【0021】
以上のように、本実施の各形態においては、載置台の面に対し、シーズヒータを傾斜もしくは段差を設ける、あるいは熱調整手段を設けることにより、加熱室の機械室側と対向側で冷却効果が異なり、加熱室内に熱アンバランスが生じても、熱アンバランスを打ち消すことが出来、被調理物の分布のアンバランスが改善される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかる高周波加熱装置は、良好なオーブン料理が可能になるとともに、冷却以外の原因により、被調理物の分布改善にも適用が可能なので、オーブン機能つき高周波加熱装置に幅広く応用が可能である
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の断面図
【図2】同実施の形態1及び2に高周波加熱装置の斜視図
【図3】本発明の実施の形態2における高周波加熱装置の断面図
【図4】本発明の実施の形態3における高周波加熱装置の断面図
【図5】従来の高周波加熱装置の断面図
【符号の説明】
【0024】
1 加熱室
2 載置台
3 ヒータ(シーズヒータ)
4 高周波発生装置
5 機械室
6 冷却ファン
9 制御装置
10 熱調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納する加熱室と、加熱室に高周波電波を放射する高周波発生装置と、高周波発生装置などを制御する制御装置と、高周波発生装置や制御装置を収納する機械室と、機械室を冷却する冷却ファンと、加熱室内に設置されたヒータと、加熱室内に設置され、被加熱物を載置する載置台とを備え、前記ヒータは前記載置台の面に対し、前記加熱室内の前記機械室側の方が、前記載置台の面と前記シーズヒータの距離が近くなる方向に傾斜していることを特徴とした高周波加熱装置。
【請求項2】
被加熱物を収納する加熱室と、加熱室に高周波電波を放射する高周波発生装置と、高周波発生装置などを制御する制御装置と、高周波発生装置や制御装置を収納する機械室と、機械室を冷却する冷却ファンと、加熱室内に設置されたヒータと、加熱室内に設置され、被加熱物を載置する載置台とを備え、前記ヒータは前記載置台の面に対し、段差を設けてあり、前記加熱室内の前記機械室側の方が、前記載置台の面と前記シーズヒータとの間の距離が近くなる方向に段差があることを特徴とした高周波加熱装置。
【請求項3】
被加熱物を収納する加熱室と、加熱室に高周波電波を放射する高周波発生装置と、高周波発生装置などを制御する制御装置と、高周波発生装置や制御装置を収納する機械室と、機械室を冷却する冷却ファンと、加熱室内に設置されたヒータと、加熱室内に設置され、被加熱物を載置する載置台とを備え、前記ヒータは前記載置台との間の、前記機械室側と対向する側に、前記ヒータの輻射熱を調整する熱調整手段を設けたことを特徴とする高周波加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−278530(P2007−278530A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101756(P2006−101756)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】