説明

高周波同軸コネクタの実装構造及び高周波同軸コネクタの接続方法

【課題】主として、回路基板に接続するときの部品点数を削減でき、回路基板に容易に取り付けることができる高周波同軸コネクタの実装構造及び高周波同軸コネクタの接続方法を提供する。
【解決手段】高周波同軸コネクタ10と回路基板26を接続する場合には、コネクタ芯線22と回路基板26の高周波回路パターン28が一致するようにして、L形状のフランジ12を構成する水平部14とコネクタ芯線22との間に回路基板26を挿入し、回路基板26の端面が垂直部16に当接した状態で、回路基板26とフランジ12をねじ留めして、半田付けされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に接続される高周波同軸コネクタの実装構造及び高周波同軸コネクタの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波同軸コネクタとして、フランジが外側面に密着して固着され軸心孔を中心導体部分が貫通する垂直板と、裏面側に小ねじが螺合する一対のねじ孔を有する水平板と、からなる複数のL形金属ブロックと、上面に水平板の底面が密接した状態で小ねじをねじ孔に螺着することでL形金属ブロックを固着搭載する回路基板よりも十分に大きい金属ベースと、を備え、L形金属ブロックの水平板の上面に、回路基板の側縁部の裏面が密接に固着され、中心導体がストリップ線路の上面に密接し、接続される構成のものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
また、治具基板にSMAコネクタが半田付けされており、SMAコネクタが伝送線路と電気的に接続されている電気的特性測定治具が知られている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−112707号公報
【特許文献2】特開2005−127912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載の従来技術は、高周波同軸コネクタを取り付けるためのL形金属ブロックが別途必要になり、部品点数が増加する問題がある。また、L形金属ブロックを回路基板に取り付けるときに、ねじ留め作業が必要になるため、工数が増加する問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の従来技術は、SMAコネクタを治具基板のアースパターンに半田付けで構成するため、半田付けするときに、作業者の1人がSMAコネクタ及び治具基板を押えて、他の1人が半田付けするという2人作業になる。また、これを1人作業で行おうとすると、SMAコネクタを治具基板に正確に半田付けするために、簡易的に固定するための治具を用いる必要がある。さらに、SMAコネクタにケーブルコネクタを着脱するときに、半田割れやコネクタパターンの剥離を起こし易くなり、治具基板を破損してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、回路基板に接続するときの部品点数を削減でき、回路基板に容易に取り付けることができる高周波同軸コネクタの実装構造及び高周波同軸コネクタの接続方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、回路基板に対する半田付け作業を容易かつ正確に行うことができるとともに、コネクタケーブルを着脱するときに半田割れや高周波回路パターンの剥離が発生することを防止できる高周波同軸コネクタの実装構造及び高周波同軸コネクタの接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、回路基板に取り付けられるフランジと、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに前記回路基板の表面部に形成された高周波回路パターンに接続されるコネクタ芯線と、を備え、前記フランジは、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに、前記回路基板の裏面部に接触する水平部と、前記回路基板の前記裏面部に直交する端面部が当接する垂直部と、を有する高周波同軸コネクタが、前記回路基板に実装される高周波同軸コネクタの実装構造であって、前記コネクタ芯線と前記水平部との間に前記回路基板が挿入されて前記裏面部が前記水平部に接触し、前記端面部が前記垂直部に当接した状態で、前記水平部と前記回路基板とがねじ留めされ、かつ前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとが半田付けされて接合されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、コネクタ芯線と水平部との間に回路基板が挿入されると、回路基板の裏面部が水平部に接触し、端面部が垂直部に当接する。これにより、回路基板がフランジに対して位置決めされる。そして、回路基板が位置決めされた状態で、水平部と回路基板とがねじ留めされ、コネクタ芯線と高周波回路パターンとが半田付けされて接合される。これにより、コネクタ芯線と水平部との間に回路基板を挿入するだけで回路基板が位置決めされるため、コネクタ芯線と水平部との間に回路基板を挿入する作業から、コネクタ芯線と高周波回路パターンを半田付けする作業までを、1人の作業者が単独で行うことができる。
【0011】
また同時に、回路基板のフランジに対する位置精度を高めることができるため、コネクタ芯線と高周波回路パターンを正確かつ容易に半田付けすることができる。
【0012】
さらに、回路基板の裏面部がフランジの水平部上に接触し、かつ、端面部がフランジの垂直部に当接しているため、高周波同軸コネクタに対するコネクタケーブルの着脱作業においてコネクタケーブルに回転力が作用する場合でも、フランジの水平部と回路基板の裏面部とが面接しているため、両者の相互作用により高周波同軸コネクタ自体の回転が阻止されて、高周波同軸コネクタが所定の軸回りに回転することがない。これにより、コネクタ芯線から高周波回路パターンにわたって形成された半田付けが割れたり、高周波回路パターンが回路基板から剥離したりすることを防止できる。
【0013】
このとき、前記回路基板の厚さ寸法が前記コネクタ芯線から前記水平部までの隙間寸法よりも短い場合には、前記回路基板はスペーサを介して前記コネクタ芯線と前記水平部との間に挿入され、前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとが接続されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、回路基板の厚さ寸法がコネクタ芯線から水平部までの隙間寸法よりも短い場合には、回路基板はスペーサを介してコネクタ芯線と水平部との間に挿入され、コネクタ芯線と高周波回路パターンとが接続される。これにより、回路基板の厚み寸法やコネクタ芯線から水平部までの隙間寸法にずれが生じている場合でも、コネクタ芯線と高周波回路パターンを正確に半田付けすることができる。この結果、各構成部材に寸法誤差が生じても、半田付けの質が低下することを防止できる。
【0015】
さらに、本発明は、回路基板に取り付けられるフランジと、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに前記回路基板の表面部に形成された高周波回路パターンに接続されるコネクタ芯線と、を備え、前記フランジは、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに、前記回路基板の裏面部に接触する水平部と、前記回路基板の前記裏面部に直交する端面部が当接する垂直部と、を有する高周波同軸コネクタが、前記回路基板に接続される高周波同軸コネクタの接続方法であって、前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとが一致するように前記コネクタ芯線と前記水平部との間に前記回路基板を挿入し、前記水平部と前記回路基板とをねじ留めした後、前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとを半田付けして、前記高周波同軸コネクタを前記回路基板に接続することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、コネクタ芯線と高周波回路パターンとが一致するように目処を付けて、コネクタ芯線と水平部との間に回路基板を挿入し、水平部と回路基板とをねじ留めした後、コネクタ芯線と高周波回路パターンとを半田付けすることにより、高周波同軸コネクタを回路基板に容易に接続することができると同時に、両者の位置精度を高めることができる。この結果、コネクタ芯線と高周波回路パターンを容易かつ正確に半田付けすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高周波同軸コネクタを回路基板に接続するときの部品点数を削減でき、かつ、高周波同軸コネクタを回路基板に容易に取り付けることができる。
【0018】
また、本発明によれば、高周波同軸コネクタのコネクタ芯線と回路基板の高周波回路パターンとの半田付け作業を容易かつ正確に行うことができるとともに、高周波同軸コネクタに対してコネクタケーブルを着脱するときに、半田割れや高周波回路パターンの剥離が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタの平面図であり、(B)はその側面図であり、(C)はその正面図である。
【図2】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタが回路基板に接続する前の状態を示す平面図であり、(B)はその側面図である。
【図3】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタが回路基板に接合した状態を示す平面図であり、(B)はその側面図である。
【図4】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタが回路基板にねじで固定された状態を示す平面図であり、(B)はその側面図である。
【図5】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタが回路基板にねじで固定された後、半田付けされた状態を示す平面図であり、(B)はその側面図である。
【図6】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタに接続されたでコネクタケーブルをレンチで取り外す状態を示す側面図であり、(B)はそのレンチの正面図である。
【図7】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタの第1変形例の平面図であり、(B)はその正面図である。
【図8】(A)は本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタの第2変形例の平面図であり、(B)はその正面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタの第3変形例が回路基板にねじで固定された状態を示す構成図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタの第4変形例が回路基板にねじで固定された状態を示す構成図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタの第5変形例が回路基板にねじで固定された状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の第1実施形態に係る高周波同軸コネクタ、これを用いた高周波同軸コネクタの実装構造及び高周波同軸コネクタの接続方法について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図5に示すように、高周波同軸コネクタ10は、表面部に高周波回路パターン(高周波ストリップライン)28が形成された回路基板26に接続されるものである。この高周波同軸コネクタ10は、側面視にてL形状のフランジ12を備えている。このフランジ12は、平面視(図1(A)参照)にて長方形状に形成された水平部14と、正面視(図1(C)参照)にて長方形状に形成されかつ水平部14に対して略直交するように形成された垂直部16と、で構成されている。この水平部14の上面は、高周波同軸コネクタ10が回路基板26に取り付けられたときに、回路基板26の裏面部と面接触する。また、水平部14には、厚み方向に貫通した複数のねじ孔18が形成されている。このねじ孔18には、回路基板26の貫通孔30を挿通したねじ20が螺合する。また、垂直部16の後面は、高周波同軸コネクタ10が回路基板26に取り付けられたときに、水平部14の上面と面接触している回路基板26の端面部と当接する。これにより、回路基板26は、フランジ12の水平部14により上下方向に位置決めされるとともに、垂直部16により水平方向に位置決めされる。
【0022】
また、高周波同軸コネクタ10は、コネクタ芯線22を備えている。このコネクタ芯線22は、後述の筒状導体部24を貫通するようにして水平方向に延びており、回路基板26の高周波回路パターン28と半田付け(図5中S参照、以下同様)されることにより、コネクタ芯線22と回路基板26とが電気的に接続された状態になる。このコネクタ芯線22とフランジ12の水平部14の上面との間には、隙間Hが形成されており、コネクタ芯線22とフランジ12の水平部14の上面とは所定の寸法(距離)だけ離間した状態になっている。
【0023】
また、フランジ12の垂直部16の前面には、筒状導体部24が形成されている。この筒状導体部24には、コネクタケーブル32が接続される。
【0024】
次に、第1実施形態に係る高周波同軸コネクタ10を回路基板26に接続するときの接続方法について説明する。
【0025】
図2及び図3に示すように、高周波同軸コネクタ10を回路基板26に接続するときには、回路基板26がフランジ12の水平部14の上面とコネクタ芯線22との間に挿入される。このとき、コネクタ芯線22が回路基板26の高周波回路パターン28と一致する目処をつけて、回路基板26を挿入することにより、両者の位置精度を向上でき、挿入作業が容易になる。回路基板26がフランジ12の水平部14の上面とコネクタ芯線22との間に挿入さると、回路基板26の裏面部が水平部14の上面に面接触するとともに、回路基板26の端面部が垂直部16の後面に当接する。これにより、上述したように、回路基板26は、フランジ12の水平部14により上下方向に位置決めされるとともに、垂直部16により水平方向に位置決めされる。
【0026】
そして、回路基板26がフランジ12の水平部14の上面とコネクタ芯線22との間に挿入された状態では、コネクタ芯線22が高周波回路パターン28に接触する。さらに、図4に示すように、コネクタ芯線22が高周波回路パターン28に接触した状態で、ねじ20が回路基板26の貫通孔30に通されて、水平部14のねじ孔18に螺合する。これにより、フランジ12と回路基板26とを強固に固定することができる。
【0027】
次に、図5に示すように、コネクタ芯線22から高周波回路パターン28にかけて半田付けが行われる。これにより、高周波同軸コネクタ10のコネクタ芯線22と回路基板26の高周波回路パターン28とが電気的に接続された状態になる。
【0028】
以上のように、第1実施形態によれば、高周波同軸コネクタ10を回路基板26に接続する場合には、コネクタ芯線22と回路基板26の高周波回路パターン28が一致するようにして、フランジ12の水平部14とコネクタ芯線22との間に回路基板26を挿入し、その後、回路基板26とフランジ12をねじ留めすることにより、両者の位置精度を確保しつつ、両者を強固に接続することができる。このため、従来技術で必要となっていたL形金属ブロックを回路基板側に取り付ける必要がなくなり、L形金属ブロックの設計及び製造が不要になる。これにより、高周波同軸コネクタ10を回路基板26に接続する場合の部品点数を削減でき、工数を低減することができる。また、高周波同軸コネクタ10をL形金属ブロックに固定する工数も削減できる。
【0029】
また、回路基板26をフランジ12の水平部14とコネクタ芯線22との間に挿入する際に、コネクタ芯線22と回路基板26の高周波回路パターン28とが一致するように目処をつけて挿入することにより、コネクタ芯線22と回路基板26の高周波回路パターン28の位置精度を高め、良好な接続状態を実現することができる。そして、コネクタ芯線22と回路基板26と高周波回路パターン28の位置精度を高めた接続状態で半田付けすることにより、容易かつ正確に半田付けすることができるとともに、半田付けの質を向上できる。
【0030】
このように、フランジ12の水平部14とコネクタ芯線22との間に挿入された回路基板26が位置決めされた状態で高周波回路パターン28とコネクタ芯線22とが半田付けされるため、回路基板26をフランジ12の水平部14とコネクタ芯線22との間に挿入する作業から、半田付けする作業までを1人の作業者が容易に行うことができる。
【0031】
さらに、図6に示すように、高周波同軸コネクタ10の筒状導体部24にコネクタケーブル32を接続(螺合)するときや筒状導体部24からコネクタケーブル32を取り外すときに、レンチ34でコネクタケーブル32に回転力を作用させる必要があるが、このとき、コネクタケーブル32に回転力を作用させると、筒状導体部24にも回転力が作用する。筒状導体部24に回転力が作用すると、筒状導体部24の軸線回りに回転しようとするが、フランジ12の水平部14が回路基板26の裏面と面接触しているため、フランジ12の回転が回路基板26の裏面からの反作用力により阻止される。これにより、筒状導体部24に回転力が作用しても、フランジ12と回路基板26との相対的な位置関係が変わらず、コネクタ芯線22と高周波回路パターン28との相対的な位置関係も変わらない。この結果、コネクタ芯線22から高周波回路パターン28にかけて施されている半田付けが割れてしまうことを防止でき、また、高周波回路パターン28が回路基板26の表面部から剥離してしまうことを防止できる。
【0032】
次に、本発明の第1実施形態の各変形例について、図面を参照して説明する。なお、第1実施形態と重複する構成については、同符号を付し、その説明を適宜省略する。また、第1実施形態で実現される効果と重複する構成の説明は、適宜省略する。
【0033】
先ず、第1変形例について説明する。
図7に示すように、第1変形例は、フランジ12の垂直部40の形状が正面視(図7(B)参照)にて台形状に形成されている。すなわち、垂直部40は、水平部14と接続する垂直部側長辺部42と、垂直部側長辺部42の先端部に位置し垂直部側長辺部42と平行に延びるとともに垂直部側長辺部42の長さよりも短い垂直部側短辺部44と、垂直部側長辺部42と垂直部側短辺部44とを結ぶ垂直部側傾斜部46と、で構成されている。
【0034】
第1変形例によれば、第1実施形態の効果を実現できるとともに、フランジ12の垂直部40が占める体積が少なくなり、フランジ12を軽量化することができる。また、フランジ12の垂直部40を正面視にて台形状にすることにより、垂直部40の垂直部側傾斜部46で他の部材との接触を回避することができる。
【0035】
次に、第2変形例について説明する。
図8に示すように、第2変形例は、フランジ12の垂直部50の形状が正面視(図8(B)参照)にて三角形状に形成されている。すなわち、垂直部50は、水平部60と接続する垂直部側長辺部52と、垂直部50の先端部(1点)と垂直部側長辺部52の両端部とを接続した垂直部側傾斜部54と、で構成されている。また、フランジ12の水平部60の形状が平面視(図8(A)参照)にて台形状に形成されている。すなわち、水平部60は、垂直部50と接続する水平部側長辺部62と、水平部60の先端部に位置し水平部側長辺部62と平行に延びるとともに水平部側長辺部62の長さよりも短い水平部側短辺部64と、水平部側長辺部62と水平部側短辺部64とを結ぶ水平部側傾斜部66と、で構成されている。
【0036】
第2変形例によれば、フランジ12の垂直部50及び水平部60が占める体積が少なくなり、フランジ12を大幅に軽量化することができ、製造コストを低減することができる。また、フランジ12の垂直部50を正面視にて台形状にすることにより、垂直部50の垂直部側傾斜部54で他の部材との接触を回避することができる。
【0037】
次に、第3変形例について説明する。
図9に示すように、第3変形例は、フランジ12の垂直部16と水平部14とが分割可能に構成されている。すなわち、フランジ12の垂直部16と水平部14とが別個独立した部材で構成されており、水平部14には水平方向に貫通したねじ孔70が形成され、垂直部16には水平部14のねじ孔70と対応するように貫通孔72が形成され、貫通孔72から挿通されたねじ74がねじ孔70に螺合することにより、垂直部16と水平部14とが強固に結合された構成になっている。
【0038】
第3変形例によれば、回路基板26の裏面部に、先ず、水平部14のみを取り付け、その後、この水平部14に対して垂直部16を取り付けることにより、高周波同軸コネクタ10を回路基板26に取り付けることができる。このため、回路基板26の表面部上方又は裏面部下方に取付スペースがない場合でも、予め、回路基板26に水平部14のみを取り付けておき、次に、垂直部16を回路基板26に取り付けられている水平部14に対して取り付けることにより、高周波同軸コネクタ10を回路基板26に容易に取り付けることができる。この結果、高周波同軸コネクタ10の取付自由度を高めることができる。
【0039】
次に、第4変形例について説明する。
図10に示すように、第4変形例は、フランジ12の水平部14の上面には所定の厚み寸法のスペーサ80が載置されており、回路基板26がスペーサ80を介した状態で水平部14とコネクタ芯線22との間に挿入されている。このスペーサ80の平面視の形状は、水平部14の平面視の形状と略同じ形状に設定されている。また、スペーサ80の厚み寸法は、水平部14の上面とコネクタ芯線22の離間寸法から回路基板26の厚み寸法を差し引いた寸法となるように設定されている。このため、水平部14の上面とコネクタ芯線22の間に、スペーサ80を介して回路基板26を挿入することにより、回路基板26の上面部に形成された高周波回路パターン28(図10では図示省略)にコネクタ芯線22が接触するようになる。また、このスペーサ80には、厚み方向に貫通する貫通孔82が形成されている。
【0040】
第4変形例によれば、回路基板26を厚み寸法が水平部14の上面とコネクタ芯線22の離間寸法よりも短い場合でも、回路基板26を挿入したときに高周波回路パターン28とコネクタ芯線22を確実に接触させることができ、半田付け作業が容易になる。また、高周波回路パターン28とコネクタ芯線22との半田付けの質を高めることができる。なお、スペーサ80の厚み寸法を適宜変更することにより、種々の回路基板26の異なる厚み寸法に対応することができる。
【0041】
次に、第5変形例について説明する。
図11に示すように、第5変形例は、図9に示す第3変形例の構成にスペーサ90を挿入したものである。すなわち、第3変形例の水平部14の上面には所定の厚み寸法のスペーサ90が載置されている。また、このスペーサ90には、厚み方向に貫通する貫通孔92が形成されている。この貫通孔92に挿通されたねじ20が水平部14のねじ孔18と螺合することにより、水平部14が回路基板26に固定される。
【0042】
第5変形例によれば、水平部14と垂直部16とが分割可能なフランジ12を用いたときに回路基板26を厚み寸法が水平部14の上面とコネクタ芯線22の離間寸法よりも短い場合でも、水平部14の上面にスペーサ90を載置して回路基板26に取り付け、その後、回路基板26をスペーサ90とコネクタ芯線22との間に挿入することにより、回路基板26の高周波回路パターン28(図11では図示省略)とコネクタ芯線22を確実に接触させることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 高周波同軸コネクタ
12 フランジ
14 水平部
16 垂直部
22 コネクタ芯線
26 回路基板
28 高周波回路パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に取り付けられるフランジと、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに前記回路基板の表面部に形成された高周波回路パターンに接続されるコネクタ芯線と、を備え、前記フランジは、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに、前記回路基板の裏面部に接触する水平部と、前記回路基板の前記裏面部に直交する端面部が当接する垂直部と、を有する高周波同軸コネクタが、前記回路基板に実装される高周波同軸コネクタの実装構造であって、
前記コネクタ芯線と前記水平部との間に前記回路基板が挿入されて前記裏面部が前記水平部に接触し、前記端面部が前記垂直部に当接した状態で、
前記水平部と前記回路基板とがねじ留めされ、かつ前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとが半田付けされて接合されていることを特徴とする高周波同軸コネクタの実装構造。
【請求項2】
前記回路基板の厚さ寸法が前記コネクタ芯線から前記水平部までの隙間寸法よりも短い場合には、
前記回路基板はスペーサを介して前記コネクタ芯線と前記水平部との間に挿入され、前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波同軸コネクタの実装構造。
【請求項3】
回路基板に取り付けられるフランジと、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに前記回路基板の表面部に形成された高周波回路パターンに接続されるコネクタ芯線と、を備え、前記フランジは、前記フランジが前記回路基板に取り付けられたときに、前記回路基板の裏面部に接触する水平部と、前記回路基板の前記裏面部に直交する端面部が当接する垂直部と、を有する高周波同軸コネクタが、前記回路基板に接続される高周波同軸コネクタの接続方法であって、
前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとが一致するように前記コネクタ芯線と前記水平部との間に前記回路基板を挿入し、
前記水平部と前記回路基板とをねじ留めした後、前記コネクタ芯線と前記高周波回路パターンとを半田付けして、前記高周波同軸コネクタを前記回路基板に接続することを特徴とする高周波同軸コネクタの接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−182143(P2012−182143A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106465(P2012−106465)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【分割の表示】特願2007−267215(P2007−267215)の分割
【原出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】