説明

高精細動画像再生装置

【課題】高精細動画像を画質低下を伴うことなく再生することができる安価な高精細動画像再生装置を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、入力する1フレーム毎の高精細動画像データを圧縮処理せずにハードディスク駆動装置のハードディスクに格納する。ハードディスクから所定数のフレームの画像データを読み出し、編集処理により1パック毎の画像データにまとめ、その1パック毎の画像データを再びハードディスクに格納するパック化手段を備えた。1パック分の画像データを順次読み出してメモリの複数個の記憶領域に1パック分ずつ格納し、メモリから1パック毎の画像データを順次読み出して表示装置に出力し、1パック分の画像データの読み出しが終了した記憶領域にハードディスクからの次の1パック分の画像データを書き込むようにした書込制御手段と読出制御手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精細動画像再生装置、すなわち、ハイビジョンカメラ、デジタルビデオカメラ等の高品位カメラで撮影した又はCG(コンピュータ・グラフィックス)装置により製作された高精細動画像を再生する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高精細動画像再生装置は、図4に示すように、ハードディスク装置2a、エンコーダ2bとデコーダ2c、又はエンコーダ2bとデコーダ付きPC(パーソナルコンピュータ)ボード2dを備えたものであり、例えば、ハイビジョンカメラ又はCG装置その他の高精細動画像データ発生源1から出力される1フレーム毎の映像信号であるデジタルデータを入力すると、これをハードディスク駆動装置2aによりハードディスクに格納し、エンコーダ2bにより1フレーム毎に圧縮処理をして静止画を作成し、これを動画像として再生するときは、1秒間当たり30フレームの速度でその圧縮画像を連続的に読み出し、デコーダ2cにより伸長処理をして非圧縮画像データとし、これをハイビジョンテレビ(高品位テレビ)又は液晶プロジェクタなどの映像表示装置3に高速で連続出力するように構成されている。エンコーダ2bからデコーダ6を介さずに、デコーダ付きPC(パーソナルコンピュータ)ボード2dを経て非圧縮画像を映像表示装置3に出力する場合もある。
【特許文献1】特になし。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、従来の高精細動画像再生装置は、図5に示すように、入力する高精細の元画像(p1)をエンコーダで圧縮処理した後、その圧縮画像(p2)をデコーダで伸長処理して非圧縮画像(p3)を生成するので、元画像の高精細さが完全には復元されないため、表示装置に表示される画像(p4)は、画質低下が避けられないという問題がある。また、エンコーダ2b及びデコーダ2cは、膨大な量のデータを処理するLSIで構成されているので、非常に高額であり、デコーダ付きPCボード2dも同様である。そのため、従来は、高品位カメラは比較的安価で入手できるようになったが、一般人がそれを用いて得た高精細動画像をそのまま再生することは、非常に困難であった。
【0004】
そこで、本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、解決しようとする課題は、高精細動画像を画質低下を伴うことなく再生することができる安価な高精細動画像再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1の高精細動画像再生装置は、高精細動画像データ発生源から出力される1フレーム毎の非圧縮画像データを入力して一旦ハードディスクに格納し、これをメモリに読み出した後、そのメモリから映像表示装置に高速で連続出力する高精細動画像再生装置であって、ハードディスクに対してデータの書き込み及びデータの読み出しをするハードディスク駆動装置と、高精細動画像データ発生源から入力されて前記ハードディスクの所定記憶領域に格納された1フレーム毎の非圧縮画像データを前記ハードディスクから順次読み出し、その読み出した所定数のフレーム分の画像データを1パックにまとめてパック画像データを生成する編集処理をした後、各パック画像データを順次、前記ハードディスクに返送して格納させるパック化手段と、前記ハードディスクから順次読み出されるパック画像データを1パック毎格納可能な複数の記憶領域を有するメモリと、前記メモリに対する書き込み先を1パック毎に前記複数の記憶領域の所定の順番の記憶領域に順次指定する書込制御手段と、前記メモリからの読み出し元を1パック毎に前記複数の記憶領域の所定の順番の記憶領域に順次指定する読出制御手段とを有し、前記書込制御手段は前記読出制御手段による読み出しを先に終了した記憶領域に対して書き込みを行うことを特徴とする。
【0006】
ハードディスク駆動装置は、ヘッドの移動を制御してハードディスクに対して書き込み及び読み出しを行うため、データ書き込み速度及びデータ読み出し速度に限界がある。そのため、ハードディスクから1フレーム毎の大量の画像データを読み出してはメモリに格納し、そのメモリから読み出しながらこれを表示装置に高速で連続出力する場合は、ハードディスク駆動装置の読み出しタイミングとメモリから表示装置への出力タイミングの間のミスマッチにより表示装置に表示される動画映像にデータ抜けによる瞬間的停止(固まり)が発生することがある。しかし、本発明の高精細動画像再生装置は、ハードディスクから相当数のフレームを1パックとして順次メモリに転送し、メモリには複数パック分の画像データを格納し、1パック分ずつの画像データを順次表示装置に高速で連続出力するので、表示装置には画像データが高速で連続して供給される。従って、表示装置には、不自然な画像停止のない高精細動画像が表示される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第一に表示装置に不自然な画像停止のない元画像と同一の高精細動画像を表示させることができる。第二に、圧縮処理をするための高額なエンコーダ及びデコーダ、あるいはデコーダ付きPCを必要としないため、安価な装置で高画質の動画像を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態の構成を概略的に示すブロック図、図2は主として画像データの処理に関わる部分の構成を概念的に示すブロック図、図3は本発明の第二の実施の形態の構成を概念的に示すブロック図である。
【0009】
図1において、1はハイビジョンカメラ又はデジタルビデオカメラ、あるいはCG装置などの高精細動画像データ発生源である。2は、本発明に係る高精細動画像再生装置であり、CPU21を中心とするコンピュータで構成されており、ハードディスク駆動装置(以下、HDD装置という。)22と、メモリ23と、高精細動画像データ発生源1からの画像データをUSBケーブルなどを介して入力するための入力ポート24と、表示装置3に画像データを与えるための出力ポート25と、この高精細動画像再生装置2の起動、モード指定、停止などの指令信号をCPU21に入力するための操作部26とを有している。
【0010】
CPU21は、HDD装置22のハードディスク22aに対する書き込み又は読み出しの制御をソフトウェアにより実現する書込制御手段21a、読出制御手段21bと、後述されるように1フレーム毎の画像データに対する1パック化のための編集処理をソフトウェアにより実現するパック化手段21cと、メモリ23に対する書き込み又は読み出しの制御をソフトウェアにより実現する書込制御手段21d、読出制御手段21eとを構成している。
【0011】
HDD装置22は、書込制御手段21aの制御に基づいてハードディスク22aの所定の記憶領域に画像データを順次格納し、また、読出制御手段21bの制御に基づいて所定の記憶領域から画像データを順次読み出すものである。そして、操作部26を操作して画像再生モードが起動されると、入力ポート24から1フレーム単位で順次入力される高精細動画像データが、ハードディスク22aの所定番地に順次格納されるようになっている。
【0012】
ハードディスク22aに格納された1フレーム毎の画像データは、続いて、パック化手段21cにより順次、一定数のフレーム単位で1パックにまとめる編集処理が行われる。すなわち、読出制御手段21bの制御に基づいて、ハードディスク22aの所定記憶番地から順次所定数のフレーム分の画像データが読み出され、これを1パックの画像データとして再び書込制御手段21aにより所定の記憶番地に格納される。一定のまとまったフレーム数は、単なる一例として示すと、1〜100フレームを第1パック、101〜200フレームを第2パック、201〜300フレームを第3パック等として、1パック単位の画像データの形でハードディスク22aに置換される。
【0013】
上記のようにハードディスク22aにそれぞれ1パック単位の形で格納された画像データは、続いて、読出制御手段21bの制御に基づいてハードディスク22aの所定記憶番地から1パック毎順次読み出されて、メモリ23に転送されるようになっている。
【0014】
メモリ23は複数個、図2に示す例では3個の記憶領域MA1,MA2,MA3を有していて、各記憶領域は1パック毎の非圧縮画像データを格納することができる記憶容量を有している。メモリ23の各記憶領域MA1,MA2,MA3に対する書き込み及び読み出しは、CPU21のソフトウェアにより実現される書込制御手段21dと読出制御手段21eにより行われる。
【0015】
書込制御手段21dは、ハードディスクから1パックの画像データが読み出される度にこれを、3個の記憶領域MA1,MA2,MA3の一つに予め定められた順序で、例えば、MA1,MA2,MA3にその順序で格納するように制御する。また、読出制御手段21eは、メモリ23の3個の記憶領域MA1,MA2,MA3の一つから予め定められた順序で1パック毎の画像データの読み出して映像表示装置3に高速で連続出力するように構成されている。ただし、書込制御手段21dが次の1パックの画像データを書き込む場合は、既に先の1パックの画像データが読み出された記憶領域に対して書き込みを行うようにソフトウェアが構成されている。
【0016】
こうして、メモリ23が1パックの画像データをいずれかの記憶領域から読み出して表示装置3に出力している間に、次の1パックの画像データがハードディスクHDDから読み出されてメモリ23の他の記憶領域に書き込まれて、表示装置3にその後に送出するための読み出しに備えているので、表示装置3に送出される画像データが完全に連続することができる。従って、表示装置3に表示される動画像には不自然な静止状態が発現しないので、途切れの無い高精細動画像を鑑賞し、あるいは観察することができる。
【0017】
パック化手段21cにより1パックに包含されるフレーム数は、データ処理速度、例えば、30Hz(1秒間に30枚の画像)や24Hz(1秒間に24枚の画像)の再生データ処理速度、全フレーム数などに応じて任意に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の構成を概略的に示すブロック図。
【図2】要部の詳細を示すブロック図。
【図3】従来の高精細動画像再生装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図4】従来装置による画像の信号形体の変化を示すフローシート。
【符号の説明】
【0019】
1 高精細動画像データ発生源
2 高精細動画像再生装置
3 表示装置
21 CPU
21a 書込制御手段
21b 読出制御手段
21c パック化手段
22 ハードディスク駆動装置(HDD装置)
23 メモリ
MA1,MA2,MA3 メモリの記憶領域
21d 書込制御手段
21e 読出制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高精細動画像データ発生源から出力される1フレーム毎の非圧縮画像データを入力して一旦ハードディスクに格納し、これをメモリに読み出した後、そのメモリから映像表示装置に出力する高精細動画像再生装置であって、
ハードディスクに対してデータの書き込み及びデータの読み出しをするハードディスク駆動装置と、高精細動画像データ発生源から入力されて前記ハードディスクの所定記憶領域に格納された1フレーム毎の非圧縮画像データを前記ハードディスクから順次読み出し、その読み出した所定数のフレーム分の画像データを1パックにまとめてパック画像データを生成する編集処理をした後、各パック画像データを順次、前記ハードディスクに返送して格納させるパック化手段と、前記ハードディスクから順次読み出されるパック画像データを1パック毎格納可能な複数の記憶領域を有するメモリと、前記メモリに対する書き込み先を1パック毎に前記複数の記憶領域の所定の順番の記憶領域に順次指定する書込制御手段と、前記メモリからの読み出し元を1パック毎に前記複数の記憶領域の所定の順番の記憶領域に順次指定する読出制御手段とを有し、前記書込制御手段は前記読出制御手段による読み出しを先に終了した記憶領域に対して書き込みを行うことを特徴とする高精細動画像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−116233(P2007−116233A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302725(P2005−302725)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(301055240)株式会社リアルビズ (4)
【Fターム(参考)】