説明

魚釣用リール

【課題】 本発明は釣糸係止装置を備えた魚釣用リールに係り、釣糸係止装置の小型化,小スペース化を図ることにより、リール全体の設計の自由度を向上し、併せてリール全体の小型,軽量化を可能とした魚釣用リールを提供することを目的とする。
【解決手段】 リール側取付部材に設けた透孔内に脚部が挿入され、該脚部の端部に設けた釣糸係止部がリール側取付部材の外部に露出する糸止め部材と、リール側取付部材内に装着され、前記糸止め部材を内方へ付勢して前記釣糸係止部とリール側取付部材の外周との間に釣糸を挟持させるバネ部材とを有する釣糸係止装置を備えた魚釣用リールに於て、前記脚部に、長孔をその長手方向に形成し、リール側取付部材内に、前記長孔を挿通する支持部材を設けると共に、該支持部材と前記脚部との間に、前記バネ部材を装着したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプールに巻回された釣糸を糸止めする釣糸係止装置を備えた魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、従来、魚釣用リールには、スプールに巻回された釣糸のほつれを防止するため、魚釣用スピニングリール(以下、「スピニングリール」という)のスプールや魚釣用両軸リール(以下、「両軸リール」という)の側板等に、釣糸を糸止めする釣糸係止装置が設けられている。
【0003】
図10及び図11は特許文献1に開示されたスピニングリールの釣糸係止装置を示し、この釣糸係止装置1は、スプール3のスカート部5に設けた透孔7に糸止め部材9を挿着したもので、糸止め部材9は、スカート部5の外周11との間で釣糸13を挟持,係止する釣糸係止部15と、該釣糸係止部15からスカート部5の径方向内方へ延設された脚部17とで構成されている。
【0004】
そして、図11に示すように脚部17の挿入側先端19近傍に設けられた長孔21に、スプール3の内側部23に突設した抜け止め突片25が挿通して、糸止め部材9がスプール3の径方向へ移動可能に抜け止め保持されている。
【0005】
更に、スプール3の内側部23の前記脚部17の先端より径方向内方の奥部に挿着したピン27と、脚部17の挿入側先端19との間に、糸止め部材9をスプール3の径方向内方に付勢するバネ部材(引っ張りコイルばね)29が張架されており、斯かるバネ部材29のバネ力によって、釣糸係止部15とスカート部5の外周11との間で釣糸13を挟持,係止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−13166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、斯様に脚部17の挿入側先端19からピン27に亘ってバネ部材29をスプール3内の径方向に装着してしまうと、径方向内方にスペースが必要となってスプール3が大型化,重量化するため小型のスプールに向かず、また、スプール3内に他の部材を配置するに当たり、バネ部材29によるスペース的制約を受けて設計の自由度が制限され、結果的にスプール3が大型化してしまう虞があった。
【0008】
そして、上述の如き不具合は、両軸リールの側板に釣糸係止装置を設けた場合も同様で、側板内に他の部材を配置するに当たり、バネ部材によるスペース的制約を受けて設計の自由度が制限されてしまう虞がある。
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、上述の如き釣糸係止装置の小型化,スプール等の小スペース化を図ることにより設計の自由度を向上し、併せてリール全体の小型,軽量化を可能とした魚釣用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール側取付部材に設けた透孔に脚部が挿入され、該脚部の端部に設けた釣糸係止部がリール側取付部材の外部に露出する糸止め部材と、リール側取付部材内に装着され、前記糸止め部材を内方へ付勢して前記釣糸係止部とリール側取付部材の外周との間に釣糸を挟持させるバネ部材とを有する釣糸係止装置を備えた魚釣用リールに於て、前記脚部に、長孔をその長手方向に形成し、リール側取付部材内に、前記長孔を挿通する支持部材を設けると共に、該支持部材と前記脚部との間に、前記バネ部材を装着したことを特徴とする。
【0011】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の魚釣用リールに於て、前記バネ部材を、前記脚部の内側に収まるように前記長孔内に装着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、糸止め部材の脚部に長孔を設けて、この長孔を挿通する支持部材と脚部との間に、糸止め部材をスプールの径方向内方へ付勢するバネ部材を装着したため、従来に比し糸止め部材の径方向内方にバネ部材を配置するスペースが不要となる。
【0013】
従って、スプールの限られたスペースでの有効活用が図れることとなって、従来に比し設計の自由度が向上すると共に、釣糸係止装置を小型化することができるためスプール、ひいてはリール全体の小型化,軽量化が図れることは勿論、小型スプールにも適用できる利点を有する。
【0014】
そして、請求項2に係る発明によれば、バネ部材が脚部から外側にはみ出すことなく、脚部内側のエリア内に収まるように長孔内に収納されているため、スプールの小スペース,小型化が可及的に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】請求項1及び請求項2の第一実施形態に係る釣糸係止装置を備えたスピニングリールの側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】請求項1及び請求項2の第二実施形態に係る釣糸係止装置の断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】請求項1の一実施形態に係る釣糸係止装置の断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】請求項1及び請求項2の一実施形態に係る釣糸係止装置を備えた両軸リールの側面図である。
【図9】両軸リールの底面図である。
【図10】釣糸係止装置を備えた従来のスプールの側面図である。
【図11】従来の釣糸係止装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1乃至図3は請求項1及び請求項2に係る発明をスピニングリールに適用した第一実施形態を示し、図1に於て、31はスピニングリール33のリール本体で、リール本体31の前側にフライヤ軸(図示せず)を介してロータ35が回転可能に軸着され、ロータ35にはこれと一体に一対の支持アーム37がリール本体31の前後方向に形成されている。
【0018】
そして、両支持アーム37の先端にアームレバー39が釣糸巻取り位置と釣糸放出位置とに反転自在に取り付き、両アームレバー39の先端に周知のベール41が掛け渡されている。
【0019】
更に、リール本体31にはロータ35と同軸上にスプール43が装着され、スプール43は、リール本体31にトラバース運動可能に取り付くスプール軸(図示せず)の先端にナットを介して螺着されている。そして、リール本体31の一側部に釣糸巻取用のハンドル45が装着されており、ハンドル45のハンドル軸とロータ35は、図示しない駆動歯車やピニオンからなる周知のギヤ機構を介して連繋され、また、スプール軸は、その後端部に固着した摺動子やトラバースカム軸からなる図示しないトラバース機構により、ロータ35の回転に連動してリール本体31の前後方向へ往復動するようになっている。
【0020】
そして、一対の前記アームレバー39の先端側にラインローラ(図示せず)が回転可能に支持されており、ベール41を釣糸放出位置へ倒して仕掛けを投擲すると、スプール43に巻回された釣糸がスパイラル状に繰り出され、ベール41を釣糸巻取り位置へ反転してハンドル45を巻取り操作すると、ベール41からラインローラに案内された釣糸がスプール43に案内されるようになっている。
【0021】
而して、本実施形態に係るスピニングリール33も、上述した構成に加え、スプール43に巻回された釣糸のほつれを防止する釣糸係止装置47が、スプール(リール側取付部材)43に設けられている。
【0022】
図2及び図3は釣糸係止装置47の詳細を示し、図中、49は図1に示すようにスプール43のスカート部51に形成された平面視U字状の凹部、53は該凹部49の底部に形成された平面視矩形状の透孔で、該透孔53に樹脂で形成されたプレート状の受け座55が装着されている。また、該受け座55には前記透孔53よりも小さな平面視矩形状の透孔57が設けられており、該透孔57に、樹脂で形成された糸止め部材59が挿着されている。
【0023】
図2,図3に示すように糸止め部材59は、前記透孔57に挿入された平板状の脚部61と、該脚部61の上端に一体形成された釣糸係止部63とで断面略T字状に形成されている。釣糸係止部63は、前記凹部49の外形形状に沿ってスプール43の後方へ平面視略U字状に形成されて、受け座55の表面65上に露出した構造となっており、釣糸係止部63の釣糸案内側(スプール43の後方側)に、凹部49による空間が設けられている。
【0024】
一方、図2に示すように透孔57に挿入された脚部61は、スプール43の内側部69に面接触して回転が規制され、その略中央から挿入側先端66に亘って長手方向に長孔67が設けられている。そして、該長孔67に対応してスプール43の内側部69に設けた取付孔71に、長孔67を挿通する1本のピン(支持部材)73が圧入されており、ピン73の頭部75が長孔67周縁の脚部61の外周に当接して、脚部61を保持している。
【0025】
更に、図3に示すように、前記長孔67の釣糸係止部63側の上部にバネ取付片77が横方向に一体的に架設されている。そして、長孔67内には、バネ取付片77と前記ピン73の軸部79との間に、糸止め部材59をスプール43の径方向内方へ付勢する引っ張りコイルばね(バネ部材)83が張架されており、該引っ張りコイルばね83のバネ力によって、前記釣糸係止部63の裏面81側と受け座55の表面65との間に釣糸を挟持,係止させることができるようになっている。そして、引っ張りコイルばね83の両端には、前記バネ取付片77と前記軸部79とに掛止する掛止部85,87が設けられており、引っ張りコイルばね83は、図3(図2のIII−III線断面図)の方向から見て、脚部61から外側にはみ出すことなく図3の脚部61の脚幅Wと脚長H内で区画された脚部内側のエリア内に収まるように収納されている。
【0026】
また、図2(図1のII−II線断面図)の方向から見て、引っ張りコイルばね83は、脚部61の肉厚方向(スプール軸の軸長方向)についてははみ出してもよく、その場合は、引っ張りコイルばね83のコイル部の中央軸は脚部61の肉厚内とした方が、引っ張りコイルばね83の付勢力による糸止め部材59の動きが滑らかになるので好ましい。勿論、引っ張りコイルばね83の掛止部85,87は長孔67から一部がはみ出してもよい。
【0027】
その他、図2中、89はスプール43内の中央に設けたクリック機構で、該クリック機構89は、スプール軸に取り付くリーフスプリング91と、スプール軸を中心としてスプール43の内側部69に形成された筒状部93と、該筒状部93の内周に形成されて前記リーフスプリング91が掛止する複数の突部95とからなり、前記筒状部93の外周と前記糸止め部材59の挿入側先端66との間には間隙97が設けられている。
【0028】
本実施形態に係る釣糸係止装置47はこのように構成されており、釣糸係止装置47の非使用時は、図2に示すように引っ張りコイルばね83のバネ力で糸止め部材59がスプール43の径方向内方へ付勢されて、釣糸係止部63の裏面81が受け座55の表面65に圧接している。
【0029】
而して、斯かる状態で、例えば釣糸係止部63の釣糸案内側(スプール43の後方側)から、スプール43の釣糸巻回胴部99に巻回された釣糸の巻き終わり端部を釣糸係止部63と受け座55との間に圧入し乍ら、釣糸係止部63を上方に引っ張ると、引っ張りコイルばね83のバネ力に抗して釣糸係止部63(糸止め部材59)が上方へ移動する。
【0030】
この後、釣糸の巻き終わり端部を釣糸係止部63の裏面81と受け座55の表面65との間に配して釣糸から手を離せば、引っ張りコイルばね83の復元力で釣糸係止部63(糸止め部材59)が図2の状態に戻って、釣糸が釣糸係止部63の裏面81と受け座55の表面65との間に挟持,係止されて、スプール43に巻回された釣糸のほつれが防止されることとなる。
【0031】
このように本実施形態の釣糸係止装置47によれば、従来と同様、スプール43に巻回された釣糸のほつれを防止することができる。
【0032】
而も、本実施形態に係る釣糸係止装置47は、図11に示す釣糸係止装置1の如く糸止め部材9の挿入側先端19からピン27に亘る径方向にバネ部材29を装着した従来構造に代え、糸止め部材59の脚部61に長孔67を設けて、この長孔67を挿通するピン73と脚部61との間に、糸止め部材59をスプール43の径方向内方へ付勢する引っ張りコイルばね83を装着したため、従来に比し糸止め部材59の径方向内方にバネ部材を配置するスペースが不要となる。
【0033】
このため、既述したように本実施形態では、従来、装着することのできなかったクリック機構89を、スプール43の径方向内方に設けることが可能となっている。特に、スプール径に対し大口径のクリック機構を設けることが可能となり、魚の力により引き出される釣糸のスピードの状態をより細かくクリック音として釣人に提供することができる。
【0034】
従って、本実施形態によれば、スプール43の限られたスペースでの有効活用が図れることとなって、従来に比し設計の自由度が向上すると共に、釣糸係止装置47を小型化することができるためスプール、ひいてはリール全体の小型化,軽量化が図れることは勿論、小型スプールにも適用できる利点を有する。
【0035】
而も、引っ張りコイルばね83は、脚部61から外側にはみ出すことなく脚部61の内側エリア内に収まるように長孔67内に収納されているため、スプール43の小スペース,小型化が可及的に可能となる。
【0036】
図4及び図5は請求項1及び請求項2の第二実施形態に係る釣糸係止装置を示し、以下、本実施形態を図面に基づいて説明するが、前記実施形態と同一のものは同一符号を以って表示する。
【0037】
図中、101は受け座55の透孔57に挿入された糸止め部材103の脚部で、糸止め部材103は前記糸止め部材59と外形形状を同じくし、平板状に形成された脚部101と、脚部101の上端に一体形成された釣糸係止部105とで断面略T字状に形成されており、釣糸係止部105は、凹部49の外形形状に沿ってスプール43の後方へ平面視略U字状に形成されて、前記受け座55の表面65上に露出した構造となっている。そして、釣糸係止部105の釣糸案内側(スプール43の後方側)に、凹部49による空間が形成されている。
【0038】
一方、図4,図5に示すように透孔57に挿入された脚部101は、スプール43の内側部69に面接触して回転が規制され、その略中央から挿入側先端107に亘って長手方向に長孔109が形成されている。そして、長孔109内の中央よりやや下方に、バネ取付片111が横方向に一体的に架設されている。
【0039】
また、前記バネ取付片111の下方の長孔109に対応してスプール43の内側部69に設けたネジ孔113に、長孔109を挿通する1本のネジ115が螺着されており、ネジ115のネジ頭117が長孔109周縁の脚部101の外周に当接して、脚部101を保持している。
【0040】
更に、前記バネ取付片111の上方の長孔109に対応してスプール43の内側部69に、該長孔109を挿通するバネ取付片(支持部材)119が一体に突設されており、図4に示すように該バネ取付片119は、後述する圧縮コイルばね(バネ部材)121の上端を収納する凹部123が内方に形成された断面L字状に形成されている。
【0041】
そして、図示するように前記凹部123と前記バネ取付片119との間の長孔109内に、糸止め部材103をスプール43の径方向内方へ付勢する圧縮コイルばね121が張架されており、該圧縮コイルばね121のバネ力によって、釣糸係止部105の裏面125側と受け座55の表面65との間に釣糸を挟持,係止させることができるようになっている。そして、圧縮コイルばね121は、図5(図4のV−V線断面図)の方向から見て、脚部101から外側にはみ出すことなく脚部101の内側エリア内に収まるように長孔109内に収納されている。
【0042】
本実施形態の場合に於ても、前記実施形態と同様、図4の方向から見て、圧縮コイルばね121は脚部101の肉厚方向(スプール軸の軸方向)についてははみ出してもよく、その場合は、圧縮コイルばね121のコイル部の中心軸は脚部101の肉厚方向とした方が、圧縮コイルばね121の付勢力による糸止め部材103の動きが滑らかになるので好ましい。また、圧縮コイルばね121に掛止部を設けてもよく、その場合、掛止部は長孔109から一部がはみ出してもよい。
【0043】
尚、前記バネ取付片119はスプール43の内側部69と別体に形成してもよく、その形状も、圧縮コイルばね121を係止できれば、その他の形状でもよい。
【0044】
本実施形態に係る釣糸係止装置127はこのように構成されているから、釣糸係止装置127の非使用時は、図4に示すように圧縮コイルばね121のバネ力で糸止め部材103がスプール43の径方向内方へ付勢されて、釣糸係止部105の裏面125が受け座55の表面65に圧接している。
【0045】
而して、斯かる状態で、例えば釣糸係止部105の釣糸案内側(スプール43の後方側)から、スプール43の釣糸巻回胴部99に巻回された釣糸の巻き終わり端部を釣糸係止部105と受け座55との間に圧入し乍ら、釣糸係止部105を上方に引っ張ると、圧縮コイルばね121のバネ力に抗して釣糸係止部105(糸止め部材103)が上方へ移動する。
【0046】
この後、釣糸の巻き終わり端部を釣糸係止部105の裏面125と受け座55の表面65との間に配して釣糸から手を離せば、圧縮コイルばね121の復元力で釣糸係止部105(糸止め部材103)が図4の状態に戻って、巻き終わり端部が釣糸係止部105の裏面125と受け座55の表面65との間に挟持,係止されて、スプール43に巻回された釣糸のほつれが防止されることとなる。
【0047】
このように本実施形態の釣糸係止装置127によっても、スプール43に巻回された釣糸のほつれを防止することができる。
【0048】
そして、本実施形態に係る釣糸係止装置127も、図11の従来構造に代え、糸止め部材101の脚部103に長孔109を設けて、この長孔109を挿通するバネ取付片119と脚部101側のバネ取付片111との間に、糸止め部材101をスプール43の径方向内方へ付勢する圧縮コイルばね121を装着したため、従来に比し糸止め部材101の径方向内方にバネ部材を配置するスペースが不要となる。
【0049】
従って、本実施形態にあっても、スプール43の限られたスペースでの有効活用が図れることとなって、従来に比し設計の自由度が向上すると共に、釣糸係止装置127を小型化することができるためスプール43、ひいてはリール全体の小型化,軽量化が図れることは勿論、小型スプールにも適用できる利点を有する。
【0050】
而も、圧縮コイルばね121、脚部101から外側にはみ出すことなく長孔109内に収納されているため、スプール43の小スペース,小型化が可及的に可能となる。
【0051】
図6及び図7は請求項1の一実施形態に係る釣糸係止装置を示し、図中、129は受け座55の透孔57に挿入された糸止め部材131の脚部で、本実施形態の糸止め部材131も前記糸止め部材59と外形形状を同じくし、平板状に形成された脚部129と、脚部129の上端に一体形成された釣糸係止部133とで断面略T字状に形成されており、釣糸係止部133は、凹部49の外形形状に沿ってスプール43の後方へ平面視略U字状に形成されて、前記受け座55の表面65上に露出した構造となっている。そして、釣糸係止部133の釣糸案内側(スプール43の後方側)に、凹部49による空間が形成されている。
【0052】
一方、図6及び図7に示すように透孔57に挿入された脚部129は、スプール43の内側部69に面接触して回転が規制され、その略中央から挿入側先端135に亘って長手方向に長孔137が形成されている。
【0053】
また、前記長孔137に対応してスプール43の内側部69に設けた取付孔139に、長孔137を挿通する1本のピン(支持部材)141が圧入されており、ピン141の頭部143が長孔137周縁の脚部129の外周に当接して、脚部129を保持している。
【0054】
そして、図示するように前記頭部143の外周に設けた取付用凹部145と、長孔137の上方の脚部129の中央に設けた取付孔147との間に、糸止め部材131をスプール43の径方向内方へ付勢するねじりコイルばね(バネ部材)149が張架されており、スプール43の内側部69には、ねじりコイルばね149のコイル巻回部151を保持するピン153が糸止め部材131の近傍に挿着されている。
【0055】
尚、その他の構成は図1の実施形態と同様であるので、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
【0056】
本実施形態に係る釣糸係止装置155はこのように構成されているから、釣糸係止部133の釣糸案内側(スプール43の後方側)から、スプール43の釣糸巻回胴部99に巻回された釣糸の巻き終わり端部を釣糸係止部133と受け座55との間に圧入し乍ら、釣糸係止部133を上方に引っ張ると、ねじりコイルばね149のバネ力に抗して釣糸係止部133(糸止め部材131)が上方へ移動する。
【0057】
この後、釣糸の巻き終わり端部を釣糸係止部133の裏面157と受け座55の表面65との間に配して釣糸から手を離せば、ねじりコイルばね149の復元力で釣糸係止部133(糸止め部材131)が図6の状態に戻って、巻き終わり端部が釣糸係止部133の裏面157と受け座55の表面65との間に挟持,係止されて、スプール43に巻回された釣糸のほつれが防止されることとなる。
【0058】
このように本実施形態に係る釣糸係止装置155によっても、スプール43に巻回された釣糸のほつれを防止することができる。
【0059】
そして、本実施形態に係る釣糸係止装置155も、図11の従来構造に代え、糸止め部材131の脚部129に長孔137を設けて、この長孔137を挿通するピン141と脚部129との間に、糸止め部材131をスプール43の径方向内方へ付勢するねじりコイルばね149を装着したため、従来に比し糸止め部材131の径方向内方にバネ部材を配置するスペースが不要となる。
【0060】
従って、本実施形態によっても、前記各実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能で、従来に比し設計の自由度が向上すると共に、釣糸係止装置155を小型化することができるためスプール43、ひいてはリール全体の小型化,軽量化が図れることは勿論、小型スプールにも適用できる利点を有する。
【0061】
尚、既述した各実施形態は、釣糸係止装置47,127,155をスピニングリールに適用したが、既述したように、従来、両軸リールの側板等に釣糸係止装置が設けられている。
【0062】
従って、図8及び図9に示すように両軸リール159にも前記釣糸係止装置47,127,155を装着することが可能で、例えば釣糸係止装置47を両軸リール159に装着する場合、糸止め部材59の脚部を挿入する透孔を側板(リール側取付部材)161に設けると共に、前記ピン(支持部材)73が圧入する取付孔71を、側板161が取り付く該側板161内のリール本体(フレーム)163に設ければよい。
【0063】
而して、これの実施形態によっても、既述した各実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
31 リール本体
33 スピニングリール
35 ロータ
43 スプール
45 ハンドル
47,127,155 釣糸係止装置
49 凹部
51 スカート部
53,57 透孔
55 受け座
59,103,131 糸止め部材
61,101,129 脚部
63,105,133 釣糸係止部
65 受け座の表面
66,107,135 脚部の挿入側先端
67,109,137 長孔
73,141,153 ピン
77,111,119 バネ取付片
79 ピンの軸部
81,125,157 釣糸係止部の裏面
83 引っ張りコイルばね(バネ部材)
85,87 掛止部
89 クリック機構
99 釣糸巻回胴部
113 ネジ孔
115 ネジ
117 ネジのネジ頭
121 圧縮コイルばね(バネ部材)
123 凹部
145 取付用凹部
149 ねじりコイルばね
159 両軸リール
161 側板
163 リール本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール側取付部材に設けた透孔に脚部が挿入され、該脚部の端部に設けた釣糸係止部がリール側取付部材の外部に露出する糸止め部材と、
リール側取付部材内に装着され、前記糸止め部材を内方へ付勢して前記釣糸係止部とリール側取付部材の外周との間に釣糸を挟持させるバネ部材とを有する釣糸係止装置を備えた魚釣用リールに於て、
前記脚部に、長孔をその長手方向に形成し、
リール側取付部材内に、前記長孔を挿通する支持部材を設けると共に、
該支持部材と前記脚部との間に、前記バネ部材を装着したことを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記バネ部材を、前記脚部の内側に収まるように前記長孔内に装着したことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−273626(P2010−273626A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130490(P2009−130490)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】