説明

CRHR2ペプチド作動薬及びその使用

本発明は、心不全を含むがこれに限定されない心臓血管病状の治療、改善又は阻害のための、選択的副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2型(CRHR2)作動薬、及びその組成物である、新しいペプチドに関する。この新しいペプチド作動薬は好ましくは、PEG化ペプチドを含む修飾を含む。更に、本発明はCRHR2活性に関係する疾病又は疾患の治療及び予防のための方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/111,233号(2008年11月4日出願)及び同第61/178,890号(2009年5月15日出願)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は全般に、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2活性によって媒介される医学的適応の治療のために、ストレスコピン模倣物質として有用なペプチドと、ペプチド送達のための作成物、それらを含む医薬組成物、及び、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2によって媒介される疾病、疾患、又は医学的状態であると診断された被験者を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心不全は一般的な心臓血管疾患であり、米国及び欧州において疾患の大きな割合に達している(Remmeら、Eur.Heart J.,2001,vol.22,pp.1527〜1560)。急性心不全の入院患者数は米国内だけで毎年100万件近くになる。現在、退院後60日以内の再入院率及び死亡率は、30%〜40%に達している(Cuffeeら、JAMA,2002,vol.287(12),pp.1541〜7)。急性心不全では、血行動態機能の悪化、特に非常に高い左心室拡張終期圧が一般的である。
【0004】
急性心不全の現在の治療は多くの要素からなり、しばしば患者によって異なる。利尿薬、血管拡張薬、及び強心剤は急性心不全患者の治療において依然として中心であるが、これらの治療は死亡率及び高い再入院率に関連している。
【0005】
更に、既存の強心剤治療(例えばドブタミン)は心拍出量の改善をもたらすが、心拍数の増加及び心筋の酸素消費量増加を伴う。これらの強心剤はまた、心不全患者において不整脈誘発の可能性をもたらす。この心臓の傾向は、これら薬剤の直接的強心作用に関連するエネルギー消費とカルシウム駆動に関連するものと考えられる。
【0006】
拡大するこの未充足の医学的ニーズに対応するため、数多くの新しいアプローチが研究されているが、この症候群の患者において安全に血行動態状態と転帰を改善することについては限定的な成功しか収めていない。そのような薬剤の1つであるペプチドヒトウロコルチン2(h−UCN2)が、健康な被験者及び心不全患者において研究されている。このペプチドは、ヒツジの心不全モデルにおいて左心室駆出率(LVEF)及び心拍出量(CO)を増加させることが示されている(Rademakerら、Circulation,2005,vol.112,pp.3624〜3624)。8人の健康な被験者(Davisら、J.Am.Coll.Cardiol.,2007,vol.49,pp.461〜471)及び8人の心不全を有する被験者(Davisら、Eur.Heart J.,2007,vol.28,pp.2589〜2597)における静脈内注射の後続研究にて、LVEFとCOの増加は、2つの研究それぞれにおいて調べられた投与量の両方で、心拍数の増加と血圧の低下を伴っていた。健康な被験者及び患者に対するh−UCN2の1時間静脈内注射は、十分な忍容性を示したと見られる。
【0007】
アミノ酸40個のペプチドであるヒトストレスコピン(h−SCP)は、h−UCN2に関連し、これら両方とも、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)ペプチド群に属する。CRHペプチド群の生物学的作用は、2つの7回膜貫通型Gタンパク質結合受容体、CRH受容体1型(CRHR1)及びCRH受容体2型(CRHR2)によって顕現される。これらの受容体は高い配列相同性を有するが、CRHペプチド群の中の異なる要素は、相対的な結合親和力、受容体活性化の度合、及びこれら2つの受容体の選択性において顕著な違いを示す。
【0008】
CRH群要素の多くのものとは異なり、h−SCPはCRHR2について、より大きな選択性を発現し、生理学的ストレスの開始及び維持を弱めるプロセスを助けるメディエーターとして作用する(Baleら、Nat.Genet.,2000,vol.24,pp.410〜414;Kishimotoら、Nat.Genet.,2000,vol.24,pp.415〜419)。生理学的ストレスにおける明らかな役割に加え、h−SCPは他の数多くの生理学的作用を顕現させることが報告されている。これは内分泌系(Liら、Endocrinology,2003,vol.144,pp.3216〜3224)、中枢神経系、心臓血管系(Baleら、Proc.Natl.Acad.Sci.,2004,vol.101,pp.3697〜3702;Tangら、Eur.Heart J.,2007,vol.28,pp.2561〜2562)、肺系、胃腸系、腎臓系、骨格筋系、及び炎症系(Moffattら、FASEB J.,2006,vol.20,pp.1877〜1879)に対して影響を及ぼす。
【0009】
加えて、CRHR2活性は、例えば筋肉減少症などの骨格筋消費疾患(Hinkleら、Endocrinology,2003,vol.144(11),pp.4939〜4946)、運動活動及び食物摂取(Ohataら、Peptides,2004,vol.25,pp.1703〜1709)に影響を与え、心臓保護の役割に寄与し(Brarら、Endocrinology,2004,vol.145(1),pp.24〜35)、並びに気管支弛緩及び抗炎症活性を発現する(Moffattら、FASEB J.2006,vol.20,pp.E1181〜E1187)。
【0010】
PEG化は、1つ以上のポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを分子に結合するプロセスである。PEG化プロセスはしばしば、抗体、ペプチド、及びタンパク質に適用され、その生物薬理学的特性を改善し、タンパク質分解酵素に対する化合物の感受性、短い循環半減期、短い有効期間、低い溶解度、急速な腎臓クリアランス、及び投与薬剤に対する抗体生成の可能性を克服する(Harris et al.,Nature,2003,vol.2,pp.214〜221;Hamidi et al.,Drug Delivery,2006,3,pp.399〜409;Bailon et al.,PSTT,1998,vol.1(8),pp.352356)。最近FDAは、食物、化粧品、及び薬剤の賦形剤又は基材としての使用についてPEGポリマーを承認した。全体に、PEGポリマーは比較的、非免疫原性であり、毒性はほとんどなく、腎臓により又は糞便中でそのまま排出される。これらの特性は、親分子の親和性、有効性、及び薬理学的プロファイルを保全又は改善するようこのプロセスを開発した場合に、化合物について数多くの臨床的利益をもたらすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、本明細書に添付の独立及び従属請求項によってそれぞれ定義される、一般的かつ好ましい実施形態を対象とし、参照することにより本明細書に組み込む。本発明の好ましい機能及び代表的な機能は、図面の参照と共に下記の「発明を実施するための形態」から明らかとなろう。
【0012】
特定の実施形態において、本発明は、次のアミノ酸配列を含む副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2型(CRHR2)に対する作動薬活性を有するペプチドであって:
LSLDV PTNIM NLLFN IAKAK NLRAQ AAANA HLMAQ I、
式中、このペプチドの少なくとも1つのアミノ酸がXで置換され、ただしこの置換はアミノ酸配列のポジション3、29、及び33では行われず、かつここにおいてXはシステイン、チロシン、若しくはグルタミン酸であるペプチド;又はこれらの製薬上許容される塩又はアミドに関する。
【0013】
本発明で具現されるCRHR2ペプチド作動薬は、ヒトストレスコピン及びヒトウロコルチンIIIの配列に比較的類似のアミノ酸配列を含む。
【0014】
一実施形態において、上記参照のアミノ酸配列に対するアミノ酸置換は、:ポジション1でLの代わりにX;ポジション2でSの代わりにX;ポジション4でDの代わりにX;ポジション5でVの代わりにX;ポジション6でPの代わりにX;ポジション7でTの代わりにX;ポジション8でNの代わりにX;ポジション9でIの代わりにX;ポジション10でMの代わりにX;ポジション11でNの代わりにX;ポジション12でLの代わりにX;ポジション13でLの代わりにX;ポジション14でFの代わりにX;ポジション15でNの代わりにX;ポジション16でIの代わりにX;ポジション17でAの代わりにX;ポジション18でKの代わりにX;ポジション19でAの代わりにX;ポジション20でKの代わりにX;ポジション21でNの代わりにX;ポジション22でLの代わりにX;ポジション23でRの代わりにX;ポジション24でAの代わりにX;ポジション25でQの代わりにX;ポジション26でAの代わりにX;ポジション27でAの代わりにX;ポジション28でAの代わりにX;ポジション30でAの代わりにX;ポジション31でHの代わりにX;ポジション32でLの代わりにX;ポジション34でAの代わりにX;ポジション35でQの代わりにX;及びポジション36でIの代わりにX、からなる群から選択される。
【0015】
本発明はまた、このCRHR2ペプチド作動薬の製薬上許容される塩又はアミドに関し、更に、1つ以上の製薬上許容される賦形剤と組み合わせたこのペプチドの医薬組成物を目的とする。
【0016】
更に別の一実施形態において、このCRHR2ペプチド作動薬のアミノ酸配列は、
XLSLD VPTNI MNLLF NIAKA KNLRA QAAAN AHLMA QI−NH2
XTLSL DVPTN IMNLL FNIAK AKNLR AQAAA NAHLM AQI−NH2
XFTLS LDVPT NIMNL LFNIA KAKNL RAQAA ANAHL MAQI−NH2;及び
XKFTL SLDVP TNIMN LLFNI AKAKN LRAQA AANAH LMAQI−NH2からなる群から選択される。
【0017】
別の一実施形態において、複合体は、このアミノ酸配列と、このCRHR2ペプチド作動薬のXに結合されたリンカーとを含む。好ましくはこのXはシステインである。好ましくは、このリンカーはアセトアミド又はN−エチルスクシンイミドである。
【0018】
更に別の一実施形態において、この作動薬ペプチドの複合体は、分子量が80kDa以下のリンカーに結合されたポリエチレングリコール(PEG)を含む。好ましくはこのPEGは、分子量が約2kDa、約5kDa、約12kDa、約20kDa、約30kDa、又は約40kDaのいずれかである。
【0019】
リンカーは、ペプチドに対するアミノ酸配列のポジションに関してPEGをより容易かつ選択的に結合するためのものであり、同時に、ペプチドのPEG化は、PEG化したペプチドの半減期を延ばし、これにより患者に対する治療的利益の持続時間が延長される。よって、CRHR2ペプチド作動薬のアミノ酸配列に対する置換は、好ましくは、配列中に少なくとも1つのタイプXのアミノ酸があるようにする。これにより、ペプチドのPEG化が、配列中の少なくとも1つの位置に確実に導かれる。
【0020】
特定の実施形態において、CRHR2ペプチド作動薬は、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、36、37、39、40、及び41に含まれるアミノ酸配列のうち1つを含む。
【0021】
本発明の別の態様は、代謝性疾患又は心不全である、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2型活性によって媒介される疾病、疾患、又は医学的状態で苦しむ被験者、又はこれらであると診断された被験者の治療方法を目的とする。この方法には、そのような治療を必要としている被験者に、本発明で具現されるCRHR2ペプチド作動薬の有効量を投与することが含まれる。
【0022】
本発明の追加の実施形態及び利点は、下記の議論、スキーム、実施例及び請求項から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】それぞれ、2時間の反応時間及び精製後にヨードアセトアミド−PEGと共に誘導体化された配列番号102を備えたペプチド作動薬の分析HPLCトレース。
【図1B】それぞれ、2時間の反応時間及び精製後にヨードアセトアミド−PEGと共に誘導体化された配列番号102を備えたペプチド作動薬の分析HPLCトレース。
【図1C】ヨードアセトアミド−PEGと共に誘導体化された配列番号102を備えたペプチド作動薬のマススペクトルグラフ。
【図2】ヒトCRHR1及びCRHR2それぞれに対する、ペプチド作動薬の作動薬有効性及び選択性を示す図。
【図3】配列番号1のペプチド作動薬と抗ソーバジン−30(配列番号118)との間の競合的拮抗作用の影響を示す図。
【図4】h−CRHR2で形質移入されたSK−N−MC細胞におけるcAMP刺激を測定することによって得られた種々のペプチド作動薬の、作動薬濃度−効果曲線を示す図。
【図5】それぞれ配列番号110、配列番号111、及び配列番号112の配列を備えた10μMのCRHR2ペプチド作動薬の存在がない場合及び存在する場合において、h−CRHR2で形質移入されたSK−N−MC細胞におけるcAMP刺激を通じて測定された、h−SCP(配列番号1)作動薬濃度−効果曲線を示す図。
【図6】配列番号1及び配列番号115(h−UCN2)を備えたペプチド作動薬による、あらかじめ収縮させた単離ラット大動脈の弛緩を示す図。
【図7】配列番号1を伴うペプチド作動薬及びプラシーボ対照溶媒の存在下で、ランゲンドルフ潅流ウサギ心臓における、心拍数、左心室の圧力増大、及び冠状血管潅流圧力の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、心不全並びに代謝性疾患を含みこれらに限定されない心臓血管病状の治療、改善又は阻害のためのCHRH2ペプチド作動薬及びその組成物である新しいペプチド類に関する。
【0025】
本発明の一実施形態において、心不全の治療又は改善を必要としている被験者における心不全の治療又は改善の方法には、少なくとも1つのCRHR2ペプチド作動薬の治療的有効量をその被験者に投与することが含まれる。
【0026】
特定の実施形態において、このCRHR2ペプチドは哺乳類ペプチドであり、特に、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、豚、若しくは霊長類のペプチドであるか、又はこれらの修飾物である。好ましくはこのペプチドは修飾ヒトペプチドである。本発明のCRHR2ペプチド作動薬の例は、下記のセクションで詳細に記述される。
【0027】
本発明の別の実施形態には、ペプチド作動薬に共有結合により結合された反応基が含まれる。この反応基は、被験者内のペプチドの循環半減期を延長するようなポリマー又は他の化学的部分と、安定な共有結合を形成することができるよう選択される。一実施形態において、そのようなポリマーには、排出までの被験者の循環中のペプチド持続時間を延長するポリエチレングリコール(PEG)ポリマーが含まれる。この形態において、この反応基は、一方の手をペプチドの1つ以上のアミノ酸と反応させ、もう一方をポリマーと反応させることにより、ペプチド間のリンカーとして作用する。別の一実施形態において、この反応基は最初にPEGと結合してから、ペプチドと化学結合を形成する。修飾ペプチドの好ましい実施形態において、このリンカー基はスクシンイミドであり、より具体的にはN−エチルスクシンイミド、又はアセトアミドである。更に、このリンカーはビニルスルホン又はオルトピリジルジスルフィドであり得る。好ましくは化学修飾は、例えば反応効率を高めるために、単離されたペプチド上で行われる。
【0028】
ペプチド及びPEG部分に結合するのに有用なリンカーは、最小限の免疫原生及び毒性を宿主にもたらし得る。そのようなリンカーの例は、Bailonら、PSTT,1998,vol.1(8),pp.352〜356、又はRobertsら、2002,Adv.Drug Del.Rev.,vol.54,pp.459〜476に見出すことができる。好適な化学部分の例、特にPEG及び同等のポリマーについては、Greenwaldら、2003,Adv.Drug Del.Rev.,vol.55,pp.217〜250に記述されている。例えば、他のポリマー系では、スチレン−無水マレイン酸ネオカルチノスタチンコポリマー、ヒドロキシルプロピルメタクリルアミドコポリマー、デキストラン、ポリグルタミン酸、ヒドロキシルエチルデンプン、及びポリアスパラギン酸は、PEGシステムに類似の送達及び薬物動態学特性を達成するのに使用することができる。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、CRHR2ペプチド作動薬には、アミド化C末端が含まれる。その修飾手順は、単離された精製ペプチド上で実施することができ、又は、固相合成の場合は、合成手順中に実施することができる。その手順は、Ray et al.,Nature Biotech.,1993,vol.11,pp.64〜70;Cottingham et al.,Nature Biotech.,2001,vol.19,pp.974〜977;Walsh et al.,Nature Biotech.,vol.24,pp.1241〜1252;及び米国特許公開第2008/0167231号で検討されている。
【0030】
本発明の特定の一実施形態において、この化合物は、カルボキシ末端にCONH2を含む配列番号82又は配列番号102に示すアミノ酸配列のペプチドを含み、N−エチルスクシンイミド又はアセトアミドであるリンカーと共に、アミノ酸配列のポジション28でシステイン残基に結合しているリンカー、並びに、約20kDaのPEGポリマーに結合しているリンカーを含む。
【0031】
更に、本発明の一実施形態は、CHRH2活性によって媒介される疾病、疾患又は病状を患う、又はこれらであると診断された被験者の、少なくとも1つのCRHR2ペプチド作動薬の治療的有効量を被験者に投与することを含む、治療方法を特徴とする。
【0032】
本発明の別の一実施形態は更に、1つ以上のCHRH2媒介の症状、疾病、又は疾患の進行を治療又は阻害する方法を特徴とし、この方法には、少なくとも1つのCRHR2ペプチド作動薬の薬剤有効量を、治療の必要な患者に投与することが含まれる。
【0033】
本発明の更なる一実施形態では、任意のCRHR2ペプチド作動薬と製薬上許容される担体とを混合することを含む、医薬組成物の製造プロセスが提供される。
【0034】
用語及び定義
本発明は、下記の定義、図、及び本明細書に提供されている代表的な開示を参照することにより、最もよく理解される。
【0035】
本明細書では時々、次の略語が使用される:pA50又はpEC50=最大効果の半分を生じさせるのに必要な作動薬濃度の、10を底とした負の対数;SEM=標準誤差;Log DR=作動薬用量比の10を底とした対数;MW=分子量;cAMP=アデノシン3’,5’−環状一リン酸;cDNA=相補的DNA;kb=キロベース(1000個の塩基対);kDa=キロダルトン;ATP=アデノシン5’−三リン酸;nt=ヌクレオチド;bp=塩基対;PAGE=ポリアクリルアミドゲル電気泳動;PCR=ポリメラーゼ連鎖反応;nm=ナノモル。
【0036】
用語「備える」、「含有する」、及び「含む」は本明細書においては、それらの開放された非限定的な意味で用いられる。
【0037】
「投与」又は「投与する」は、薬理学上有用な方法で患者に薬剤を提供することを意味する。
【0038】
「組成物」は、本発明の化合物を含む製品(例えば、特定の量で特定の成分を含む製品、及び特定の量での特定の成分のこのような組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の製品など)を意味する。
【0039】
「化合物」又は「薬剤(drug)」は、CRHR2ペプチド作動薬又はその製薬上許容される形態を意味する。「複合体(Conjugate)」は、2つ以上の化合物の結合により形成された化学的化合物を意味する。
【0040】
「剤形」は、患者への投与に好適な媒体、担体、賦形剤、又は装置内にある1つ以上の化合物を意味する。「経口剤形」は、経口投与に好適な剤形を意味する。
【0041】
「用量」は薬剤の単位を意味する。通常、一用量は一剤形として供給される。用量は、さまざまな用量レジメンにしたがって患者に投与され得る。一般的な用量レジメンには、1日1回経口(qd)、1日2回経口(bid)、及び1日3回経口(tid)が挙げられる。
【0042】
「形態」は、1つ以上のCRHR2ペプチド作動薬のさまざまな異性体及び混合物を意味する。用語「異性体」は、組成及び分子量は同じであるが物理的及び/又は化学的特性が異なる化合物を指す。そのような物質が有する原子の数及び種類は同じであるが、構造は異なる。その構造の差は構成の差(幾何異性体)又は偏光面回転性の差(立体異性体)であり得る。用語「立体異性体」は、構成は同じであるが原子の空間配置が異なる異性体を指す。鏡像異性体及びジアステレオマーは、不斉置換されている炭素原子がキラル中心として働く立体異性体である。用語「キラル」は、分子が鏡像に重なり合わないことを指し、これは、対称軸及び面又は中心が存在しないことを意味する。
【0043】
「薬剤(Medicament)」は、例えば薬物依存、薬物濫用又は薬物誘発性疾患などの薬物関連疾患の予防、治療又は改善に、それらを必要としている被験者において使用するための製品を意味する。
【0044】
「患者」又は「被験者」は、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトで、治療的介入を必要としている者を意味する。
【0045】
「製薬上許容される」は、本発明の組成物又は薬剤の製剤において使用するための、十分な純度と品質を有する、分子実体又は組成物を意味する。ヒトでの使用(臨床及び市販)及び獣医学的使用の両方が本発明の範囲内に等しく含まれることから、製剤には、ヒトでの又は獣医学的用途でのいずれの組成物又は薬剤も含まれるであろう。
【0046】
「製薬上許容される賦形剤」は、薬理学的組成物に添加されるか、あるいは薬剤の投与を容易にする賦形剤、担体又は希釈剤として用いられかつ該薬剤と相溶する、例えば不活性な物質のような、毒性を有さないか、生物学的に許容されるか、あるいは患者に投与するうえで生物学的に適した物質を指す。賦形剤の例には炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、いろいろな糖及びいろいろな種類の澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0047】
「製薬上許容される塩」は、本発明の組成物又は薬剤の製剤に使用するための十分な純度及び品質を有し、かつ医薬品に使用するのに忍容性であり、十分に非毒性である、本発明の化合物の酸塩又は塩基塩を意味する。好適な製薬上許容される塩には、酸付加塩が含まれ、これは例えば薬剤化合物を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、カルボン酸又はリン酸のような好適な製薬上許容される酸と反応させることにより形成することができる。
【0048】
「CRHR2ペプチド作動薬」は、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2型(CRHR2)に対する作動活性を呈するペプチド又はその誘導体を意味する。好ましくはCRHR2ペプチド作動薬は、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体1型(CRHR1)に対する活性も呈し得る、ストレスコピン誘導体又は変異型である。CRHR2ペプチド作動薬は一般に、CRHR1に対して比較的低い活性を備えた選択性CRHR2作動薬である。受容体に対する選択性とは、本明細書において、他の受容体(ペプチドがこれに対しても活性を誘導し得るが有効性はより低い)に対するのと比較して、ペプチドが選択性である受容体に対して活性反応を誘導するような、ペプチドの有効性を指す。CRHR2ペプチド作動薬の定義は作動薬に限定されず、部分的作動薬も含み得る。CRHR2ペプチド作動薬のCRHR1及びCRHR2活性は、例えば、アデノシン3’,5’−環状一リン酸(cAMP)アッセイで評価することができる。
ストレスコピン(h−SCP)のCRHR2活性に極めて似ている、
【0049】
「治療的有効量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている、治療又は予防されている疾病又は疾患の症状の治療的緩和を含む、組織系、動物又はヒト内で生物学的反応又は医薬反応を顕現させる化合物の量を意味する。
【0050】
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」は、他に記述のない限り、その用語が適用される疾患若しくは状態、又はそのような疾患若しくは状態の1つ以上の症状を、後退させ、緩和し、進行を阻害し、又は予防することを意味する。本明細書で使用されるとき、用語「治療」は、他に記述のない限り、治療する行為を指す。
【0051】
化合物
本発明は、下記のペプチド及びその修飾物に関する。本発明の化合物には更に、新規かつ選択的なCRHR2作動薬ペプチド及びその修飾物が含まれる。
【0052】
更に、本発明の化合物は、例えばh−SCP又は擬似h−SCPペプチドなどの、CRHR2に結合する、又はCRHR2と錯体を形成する、ペプチド部分を指す。好ましい化合物は、例えば、cAMPアッセイにおいて約7.5以上の範囲内のpA50で測定される、又は、放射性リガンド結合アッセイにおいて約7.5以上の範囲内のpKI(KIの負の対数)で測定される、CRHR2に対する作動薬活性を有するペプチドである。CRHR2ペプチド作動薬は、結合親和性を示すことに加え、ある程度の受容体活性化を示すべきである。よって、h−SCPに相同のペプチドが、類似の物理的特性及び化学的特性を自然に有しているため、好ましい。
【0053】
副腎皮質刺激ホルモン放出因子の群に属するものは、中程度に短い半減期を呈する。CRHR2ペプチド作動薬は、特有の治療特性をもたらす見込みがある。心臓血管疾患及び代謝性疾患を含むがこれらに限定されない、CRHR2によって媒介される疾患の治療について、本発明の一実施形態は、ペプチド作動薬の長時間作用形態を目的とする。長時間作用CRHR2ペプチド作動薬は、継続的な治療曝露が必要な慢性疾患の治療、及び、処方薬治療の患者コンプライアンスに問題がある場合に、特に利益をもたらす。
【0054】
したがって、本発明の一実施形態は、全般に、望ましい治療的特性及び/又はCRHR2に対する構造−活性関係が保持されるような、h−SCPの配列変化、部位特異的配列変化、及び空間的又は立体的な干渉考慮を目的とする。
【0055】
CRHR2ペプチド作動薬の例は、所望によりC末端でアミド化されており、これらは表1〜5に示されている。反応基又はリンカーは好ましくはスクシンイミド又はアセトアミドである。修飾されたペプチドは所望によりPEG基を含む。このPEGは長さ及び重量が異なり、好ましくは約20kDaである。所望により、反応基の数は1つより多くてもよく、1つの反応基が好ましい。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

aNES−PEG−NEM:PEG鎖の非連結末端に、N−エチルマレイミドキャップを備えた、ダブル末端の直鎖状PEG。
【0060】
【表5】

【0061】
本発明の薬剤化合物はまた、立体異性体の混合物又はそれぞれの純粋な異性体若しくは実質的に純粋な異性体を含む。例えば、本化合物は所望により、任意の1つの置換基を含有する炭素原子に、1つ以上の不斉中心を有してもよい。よって、この化合物は、鏡像異性体若しくはジアステレオマー又はその混合物の形で存在してもよい。本化合物が二重結合を含有するとき、本化合物は、幾何異性(シス−化合物、トランス−化合物)の形で存在してもよく、本化合物がカルボニルのような不飽和結合を含有するとき、本化合物は、互変異性体の形で存在してもよく、本化合物はまた、これらの異性体又はその混合物を含む。ラセミ混合物、鏡像異性体又はジアステレオマーの形の出発化合物を、本化合物を調製する方法で用いてもよい。本化合物がジアステレオマー又は鏡像異性体の形で得られるとき、それらはクロマトグラフィー又は分別晶出のような従来の方法により分離できる。加えて、本化合物は、その分子内塩、水和物、溶媒和物又は同質異像を含む。
【0062】
更に、好適な薬剤化合物は、粘膜に浸透した後、又は経口投与の場合には唾液と共に胃腸管へ運ばれた後に、局所的な生理学的効果、又は全身的効果を及ぼすものである。本発明による処方から調製された剤形は、長期間にわたって活性をもたらす薬剤化合物(とりわけ、少なくとも数時間の半減期を有する薬剤)に特に好適である。
【0063】
合成経路及び精製
「単離された」ペプチドは、実質的に細胞性物質を含まないか、又は細胞性物質から分離されているか、又は、そのペプチドが産生及び単離された細胞若しくは組織源由来の他の混入タンパク質から分離されているか、あるいは、ペプチドが化学的に合成された場合は化学的前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含まない。例えば、細胞性物質を実質的に含まないタンパク質は、混入タンパク質を乾燥重量で約30%未満、又は好ましくは20%未満、又はより好ましくは10%未満、又は更に好ましくは5%未満、又はいっそう好ましくは1%未満有する、タンパク質調製物を含み得る。
【0064】
好ましい実施形態において、単離されたペプチドは実質的に純粋である。よって、ペプチドが組換えにより産生された場合、これは培地を実質的に含まず、例えばタンパク質調製物体積の約20%未満、又はより好ましくは10%未満、又は更に好ましくは5%未満、又はいっそう好ましくは1%未満の培地しか含まない。タンパク質が化学合成によって産生された場合、これは化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含まず、すなわち、タンパク質の合成に関与した化学的前駆体又は他の化学物質からは分離されている。したがって、ペプチドのこのような調製は、目的のペプチド以外の化学的前駆体又は化合物を乾燥重量で約30%未満、又は好ましくは20%未満、又はより好ましくは10%未満、又はより好ましくは5%未満、又はいっそう好ましくは1%未満しか含まない。
【0065】
組換えによる産生
細胞環境におけるペプチド発現は、単離されたポリヌクレオチドの利用により達成することができる。「単離された」ポリヌクレオチドは、異なる核酸配列を備えた核酸分子から実質的に分離されているか、又は異なる核酸配列を備えた核酸分子を含まないものである。単離されたポリヌクレオチド分子の実施形態には、cDNA、ゲノムDNA、RNA、及びアンチセンスRNAが挙げられる。好ましいポリヌクレオチドは、例えば組織試料からなど、ヒト由来の生体サンプルから入手される。
【0066】
配列番号1のペプチドをコードするポリヌクレオチドを供給及び伝搬するのに、ベクターを使用することができる。宿主細胞へそのようなベクターを導入することで、模倣ストレスコピンのコードされたmRNA又はタンパク質の産生をもたらすことができる。別の方法としては、発現ベクターを、転写因子、RNAポリメラーゼ、リボソーム、及びアミノ酸などを含むがこれらに限定されない精製要素と組み合わせることにより、無細胞条件で効果的な転写/翻訳反応を生成することができる。結果として生じた反応から発現した模倣ストレスコピンペプチドは、更なる精製、修飾、及び/又は処方のために単離することができる。
【0067】
用語「ベクター」は、連結されたもう1つの核酸を輸送する能力をもつ核酸分子を意味する。ベクターの代表的な一例であるプラスミドは、環状2本鎖DNAループを意味し、追加のDNAセグメントがこれに挿入され得る。ベクターの別の例はウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントがこれに挿入され得る。所定のベクターは、それらが導入される宿主細胞(例えば、複製の細菌性起源を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳類ベクター)において自己複製できる。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムに沿って複製される。更に、特定のベクター(発現ベクター)は、それらが操作可能に連結される遺伝子の発現を指向することができる。組換えDNA技法における有用なベクターは、プラスミドの形態であり得る。あるいは、例えばウイルスベクター(例えば複製欠陥のレトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などの、同等の機能を提供する他の形態のベクターを、目的用途に好適なように当業者が選択することができる。
【0068】
宿主細胞は、ベクター上にあるか又は細胞染色体内に組み込まれたDNA分子を含む細胞を指す。宿主細胞は、DNA分子を内発的に含むネイティブ宿主細胞か、又は組換え型宿主細胞のいずれかであり得る。宿主細胞の一例は組換え型宿主細胞であり、これは外来のDNA配列により形質転換又は形質移入された細胞である。そのような外来DNAが細胞膜の内側に導入された場合、細胞はその外来DNAによって形質転換される。外来DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAに組み込まれて(共有結合して)も、組み込まれなくて(共有結合しなくて)もよい。例えば原核生物及び酵母において、外来DNAは、例えばプラスミドなどのエピソーム要素上に保持され得る。真核細胞については、安定に形質転換又は形質移入された細胞は、外来DNAが染色体に組み込まれ、これが染色体の複製を通して娘細胞に遺伝するようになっているものである。この安定性は、真核細胞の、外因性DNAを含有する娘細胞の集団からなる細胞株又はクローンを確立する能力により示される。クローンは、1つの細胞又は共通祖先から有糸分裂により誘導された細胞群を指す。細胞株は、生体外で数多くの世代にわたって安定に成長できる、初代細胞のクローンを指す。組換え宿主細胞は、大腸菌のような細菌、酵母のような真菌細胞、ヒト、ウシ、ブタ、サル及びげっ歯類起源の細胞株のような哺乳類細胞、ショウジョウバエ及びカイコ由来の細胞株のような昆虫細胞を含む、原核生物又は真核生物であってよい。組換え宿主細胞は、特定の対象細胞だけでなく、かかる細胞の後代又は潜在的後代も指す。特に、変異又は環境の影響のどちらかにより、特定の修飾は後の世代に起こる可能性があるため、かかる後代は親細胞と同一ではない可能性があるが、用語の範囲内に依然として含まれるよう意図されている。
【0069】
本発明の例示のベクターには、例えば細菌−酵母又は細菌−動物細胞、又は細菌−真菌細胞、又は細菌−無脊椎動物細胞など、宿主間でDNAをやりとりすることができるよう特に設計された発現系も含まれる。当業者には数多くのクローンベクターが知られており、適切なクローンベクターの選択は、当業者の裁量の範囲内である。原核細胞及び真核細胞の両方に好適な他の発現系については、例えば、Maniatisら、(1990),「Molecular Cloning:A Laboratory Manual,」vol.2:16.3〜16.81の第16章及び第17章を参照のこと。
【0070】
クローン遺伝子又は核酸(例えば模倣ストレスコピンペプチドをコードしたcDNA)の高レベルの発現を達成するために、その模倣ストレスコピンペプチド配列に対応するヌクレオチド配列は、好ましくは、転写を誘導する強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、及び(タンパク質をコードしている核酸の場合には)翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含有する発現ベクターにサブクローンされる。好適な細菌プロモーターは当該技術分野において既知であり、例えばSambrookら、(1989),MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York、及びMacrides,1996,Microbiol.Rev.60(3):512〜38に記述されている。本発明で開示されている模倣ストレスコピンタンパク質を発現するための細菌発現系は、例えば大腸菌、バチルス属菌、及びサルモネラ菌において利用できる(Palvaら、1983,Gene,22:229〜235;Mosbachら、1983,Nature,302:543〜545)。そのような発現系のキットは市販されている。哺乳類細胞、酵母、及び昆虫細胞用の真核生物発現系は当該技術分野において既知であり、これも市販されている。代表的な実施形態において、真核生物発現ベクターは、バキュロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、又はレトロウイルスベクターである。
【0071】
プロモーターは、RNAポリメラーゼに結合して遺伝子の転写を開始することに関与する、DNAの制御配列を指す。プロモーターはしばしば、遺伝子の転写開始部位の上流側(すなわち5’)である。遺伝子は、ペプチド、ペプチド、又はタンパク質の産生に関与するDNAセグメントを参照し、これにはコード領域、コード領域の前(5’UTR)及び後(3’UTR)の非コード領域、並びに、個々のコードセグメント(エクソン)間に介在する非コード配列(イントロン)が含まれる。コーディングは、DNA又はmRNAの3つの塩基トリプレット(コドン)における特定のアミノ酸の使用又は終結シグナルを指す。
【0072】
ポリヌクレオチドの発現を誘導するのに用いられるプロモーターは、特定の用途に適合するよう慣例手順で選択することができる。プロモーターは所望により、異種由来の転写開始部位からの距離が、自然の条件での転写開始部位からの距離とほぼ同じ場所に配置される。ただし、当業者には明らかであるように、この距離のある程度の差異は、プロモーター機能を失うことなく許容することができる。
【0073】
プロモーターに加え、発現ベクターは、宿主細胞内の模倣ストレスコピンをコードしているポリヌクレオチドの発現に必要な、追加の要素すべてを含んだ、転写ユニット又は発現カセットを含有し得る。代表的な発現カセットには、模倣ストレスコピンペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列に操作可能に連結されたプロモーター、並びに、転写、リボソーム結合部位、及び翻訳終結の効率的なポリアデニル化のために必要なシグナルが含有される。イヌの模倣ストレスコピンペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、形質移入された細胞によってコードされたタンパク質の分泌を促進する、開裂可能なシグナルペプチド配列に連結され得る。代表的なシグナルペプチドには、組織プラスミノーゲン活性化因子、インスリン、及びニューロン成長因子からのシグナルペプチド、並びにHeliothis virescensの幼若ホルモンエステラーゼが挙げられる。このカセットの追加要素としては、エンハンサー、及び、ゲノムDNAが構造遺伝子として使用されている場合は、機能スプライス供与部位及び受容部位を備えたイントロンが挙げられ得る。
【0074】
プロモーター配列に加え、発現カセットには更に、効率的な終結のために提供された、構造遺伝子の下流にある転写終結部位が含まれ得る。終結部位は、プロモーター配列と同じ遺伝子、ヒトストレスコピン遺伝子、又は別の遺伝子から取得することができる。
【0075】
代表的な実施形態において、当該技術分野において既知の真核細胞又は原核細胞における発現に好適な任意のベクターが使用され得る。代表的な細菌発現ベクターには、例えばpBR322系プラスミド、pSKF、pET23Dなどのプラスミド、並びに例えばGST及びLacZなどの融合発現系が挙げられる。哺乳動物発現ベクターの例としては、例えばpCDM8(Seed,1987,Nature,329:840)及びpMT2PC(Kaufmanら、1987,EMBO J.,6:187〜195)が挙げられる。本発明のペプチドの組換え発現に好適であり得る、市販されている哺乳類発現ベクターには、例えば、pMAMneo(Clontech(Mountain View,CA))、pcDNA4(Invitrogen(Carlsbad,CA))、pCiNeo(Promega(Madison,WI))、pMC1neo(Stratagene(La Jolla,CA))、pXT1(Stratagene(La Jolla,CA))、pSG5(Stratagene(La Jolla,CA))、EBO−pSV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(ATCC 37199)、pRSVneo(ATCC 37198)、pSV2−dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)、及びlZD35(ATCC 37565)が挙げられる。
【0076】
単離の便利な方法を提供するため、更にエピトープタグも組換えタンパク質に加えることができ、これには例えばc−myc、ヘモグルチニン(HA)タグ、6−Hisタグ、マルトース結合タンパク質、VSV−Gタグ、又は抗FLAGタグ、及び当該技術分野において利用可能なその他のものがある。
【0077】
真核細胞性ウイルスからの制御要素を含む発現ベクターは、真核細胞性発現ベクター(例えばSV40ベクター、パピローマウイルスベクター、及びエプスタインバールウイルスから誘導されたベクターなど)において使用され得る。他の代表的な真核細胞性ベクターには、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo 5、バキュロウイルスpDSVE、及びその他の、CMVプロモーター、SV40早期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、ハツカネズミ乳房腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、その他真核細胞における発現に効果を呈する他のプロモーターの誘導のもとにタンパク質の発現を可能にする他のベクターが挙げられる。
【0078】
いくつかの発現系は、例えばネオマイシン、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素など、遺伝子増幅をもたらすマーカーを有する。別の方法としては、遺伝子増幅を用いない高収率発現系も好適であり、例えば、ポリヘドリンプロモーター又はその他の強力なバキュロウイルスプロモーターの誘導のもとに模倣ストレスコピンペプチドをコードする配列を備えた、昆虫細胞におけるバキュロウイルスベクターを使用することが挙げられる。
【0079】
発現ベクターに含まれ得る要素には更に、大腸菌において機能するレプリコン、組換えプラスミドを宿す細菌の選択を可能にするための抗生物質耐性をコードする遺伝子、及び、真核細胞配列の制御された挿入を可能にするプラスミドの非主要領域における固有の制限部位も挙げられる。特定の抗生物質耐性遺伝子は、当該技術分野において既知の数多くの耐性遺伝子から選択することができる。必要に応じて、又は所望により、真核細胞のDNA複製に干渉しないよう、原核細胞配列を選択することができる。
【0080】
既知の形質移入方法を使用して、大量のSCP模倣物質を発現する細菌、哺乳類、酵母又は昆虫細胞株を産生することができる。このSCP模倣物質は次に、例えば硫酸アンモニウムなどの物質による選択的沈殿、カラムクロマトグラフィー、及び免疫精製法といった標準的技法を用いて、精製される。
【0081】
真核細胞及び原核細胞の形質転換は、標準技法により実施することができる(例えばMorrison,1977,J Bact.,132:349〜351;Clark−Curtiss & Curtiss,Methods in Enzymology,101:347〜362を参照)。
【0082】
異種のヌクレオチド配列を宿主細胞に導入するのに好適な、任意の既知の手法を使用して、発現ベクターを導入することができる。これには、Superfect(Qiagen)のような試薬の使用、リポソーム、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、原形質融合、電気穿孔方、顕微注入法、プラスミドベクター、ウイルスベクター、遺伝子銃粒子加速(遺伝子銃)、又はその他の、クローンゲノムDNA、cDNA、合成DNA又はその他の異種遺伝子材料を宿主細胞に導入するための既知の任意の方法が挙げられる(例えばSambrookら(上述)を参照)。選択された、特定の遺伝子操作手法は、模倣ストレスコピンRNA、mRNA、cDNA、又は遺伝子を発現することが可能な宿主細胞に、少なくとも1つの遺伝子をうまく導入できるものであるべきである。
【0083】
当業者には明らかであり得るように、哺乳類細胞の安定な形質移入のためには、使用される発現ベクター及び形質移入技法に応じて、わずかな部分の細胞だけが、そのゲノム内に異種DNAを統合し得る。これらの構成要素を識別及び選択するために、選択マーカー(例えば抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子を、目的の遺伝子と共に宿主細胞に導入することができる。代表的な選択マーカーには、例えばG−418、プロマイシン、ジェネティシン、ハイグロマイシン及びメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与するものが挙げられる。導入された核酸で安定的に形質移入された細胞は、薬剤選択によって選択され、識別され得る(例えば、選択マーカー遺伝子を組み入れた細胞は生き残り、他の細胞は死滅する)。
【0084】
異種由来の制御要素を安定な細胞株又はクローン微生物に挿入することにより、例えば標的相同組換え(例えば米国特許第5,272,071号及びPCT国際公開特許WO 91/06667号に記述されている)などの技法を用い、内因性遺伝子に操作可能に連結し、この内因性遺伝子発現を活性化することができる。発現ベクターを細胞内に導入した後、この形質移入された細胞は好ましくは、模倣ストレスコピンペプチドの発現に最適な好ましい条件下で培養され、後述の標準技法を用いて培養物から模倣ストレスコピンペプチドが回収される。原核細胞又は真核細胞の培養方法は当該技術分野において既知であり、例えばSambrookら(上述);Freshney,1993,CULTURE OF ANIMAL CELLS,3rd ed.を参照のこと。
【0085】
ペプチド産生のために細胞系を使用する方法とは別の方法として、無細胞系で、原核細胞系(Zubay G.,Annu Rev Genet.,1973,7:267〜287)及び真核細胞系(Pelhamら、Eur J Biochem.,1976,67:247〜256;Andersonら、Meth Enzymol.,1983,101:635〜644)の遺伝子発現及び合成が可能であることが示されている。これらの系は、ペプチド合成反応のために、mRNA又はDNAヌクレオチドのいずれかに利用することができる。無細胞ペプチド産生のための好ましい技法では、網状赤血球可溶化液、RNAポリメラーゼ、ヌクレオチド、塩、及びリボヌクレアーゼ阻害剤が、迅速に連結された転写/翻訳反応(TNT(登録商標)、Promega(Madison,WI,U.S.A.))において使用される。
【0086】
合成産生
本発明において具現されたペプチドは、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,15:2149〜2154(1963)で最初に記述された固相合成技法を使用して調製することができる。他のペプチド合成技法は例えば、M.Bodanszkyら、(1976)Peptide Synthesis,John Wiley & Sons,2d Ed.;Kent and Clark−Lewis,Synthetic Peptides in Biology and Medicine,p.295〜358,eds.Alitalo,K.ら、Science Publishers,(Amsterdam,1985);並びに、当業者に既知の他の参照研究において見出すことができる。ペプチド合成技法の要約は、J.Stuart and J.D.Young,Solid Phase Peptide Synthelia,Pierce Chemical Company,Rockford,III.(1984)に見出すことができ、これは参考として本明細書に組み込まれる。溶液法によるペプチド合成も使用することができ、これはThe Proteins,Vol.II,3d Ed.,p.105〜237,Neurath,H.ら、編、Academic Press,New York,N.Y.(1976)に記述されている。そのような合成で使用するための適切な保護基は、上記文献、並びにJ.F.W.McOmie,Protective Groups in Organic Chemistry,Plenum Press,New York,N.Y.(1973)に見出され、これは参考として本明細書に組み込まれる。一般に、これらの合成法には、1つ以上のアミノ酸残基又は好適な保護アミノ酸残基を、成長中のペプチド鎖に連続的に加えることが含まれる。通常、第1アミノ酸残基のアミノ基又はカルボキシル基のいずれかが、好適な、選択的に除去可能な保護基によって保護されている。例えばリジンなどの反応側基を含むアミノ酸のために、異なる、選択的に除去可能な保護基が利用される。
【0087】
ペプチド合成の固相法及び溶液法の両方に、ブロック合成法を適用することもできる。単一のアミノ酸残基を連続的に付加するのではなく、順に並んだ2つ以上のアミノ酸残基を含んだあらかじめ形成されたブロックを、開始サブユニットとして使用するか、又は、順に追加されるユニット(単一のアミノ酸残基ではなく)として使用する。
【0088】
固相合成を一例として使用し、保護された又は誘導体化されたアミノ酸を、保護されていないカルボキシル基又はアミノ基を介して、不活性の固体支持体に結合する。次に、アミノ基又はカルボキシル基の保護基を選択的に除去し、好適に保護された相補的(アミノ又はカルボキシル)基を有する、配列中で次のアミノ酸を、既に固体支持体に結合されている残基と混合して反応させる。次に、アミノ基又はカルボキシル基の保護基を、この新たに追加されたアミノ酸残基から除去し、更にその次のアミノ酸(好適に保護されている)を付加し、同様に行う。望ましいアミノ酸がすべて適切な配列で連結された後、残った末端及び側基保護基(及び固体支持体)は順次又は同時に除去され、最終生成物のペプチドが得られる。本発明のペプチドは、好ましくはベンジル化又はメチルベンジル化アミノ基を含まない。そのような保護基部分は、合成の過程で使用され得るが、ペプチドを使用する前に除去される。他に記述されているように、コンフォメーションを拘束するために分子内連結を形成する、追加の反応が必要になることがある。
【0089】
固体支持体合成は、自動タンパク質合成装置(Protemist(登録商標)、CellFree Sciences(〒790−8577日本国愛媛県松山市);Symphony SMPS−110,Rainin(Woburn,MA,U.S.A.);ABI 433Aペプチド合成装置、Applied Biosystems(Foster City,CA,U.S.A.))で達成し得る。これらの装置は、合成のより大きな制御及び最適化を可能にする自動化タンパク質反応を実施する能力を有する。
【0090】
精製
本発明のペプチドを単離又は精製するために、数多くの手順が採用され得る。例えば、ペプチドの物理的特性(すなわち疎水性)に基づいて、カラムクロマトグラフィーを使用してペプチドを精製することができる。別の方法としては、確立された分子接着特性を有するタンパク質を、本発明のペプチドに可逆的に融合させることができる。融合タンパク質の適切な配位子により、模倣ストレスコピンペプチドは、精製カラムに選択的に吸着され、次にカラムから実質的に純粋な形態で遊離される。融合タンパク質は次に、酵素活性により除去され得る。別のカラム精製戦略では、模倣ストレスコピンペプチドに対して高められた抗体を採用することができる。これらの抗体は、カラムマトリックスに結合され、この免疫親和性カラムを通してペプチドを精製することができる。
【0091】
組換え型タンパク質は、例えば塩分留などの好適な分離技法によって、宿主反応から分離することができる。この方法は、目的の組換え型タンパク質から、望ましくない宿主細胞タンパク質(又は細胞培地由来のタンパク質)を分離するのに使用することができる。代表的な塩の例は硫酸アンモニウムであり、これはタンパク質混合物中で水の量を効果的に減少させることにより(タンパク質がその溶解度に基づいて沈殿し)、タンパク質を沈殿させる。タンパク質が疎水性であるほど、低い硫酸アンモニウム濃度で沈殿しやすくなる。代表的な単離プロトコルには、飽和硫酸アンモニウムをタンパク質溶液に加え、結果的に硫酸アンモニウム濃度を20〜30%の間にし、大半の疎水性タンパク質を沈殿させることが含まれる。この沈殿を廃棄し(目的のタンパク質が疎水性でない場合)、この上澄みに、目的のタンパク質が沈殿することが知られている濃度まで硫酸アンモニウムを加える。この沈殿を次に緩衝液に溶かし、過剰な塩を除去して、例えば透析又は膜分離精製法により望ましい純度を達成する。タンパク質の溶解度に依存した他の既知の方法(例えば冷エタノール沈殿法)を使用して、複雑なタンパク質混合物を分別することができる。
【0092】
単離又は精製技法の他の例において、本発明のペプチドの分子量を使用して、種々の孔径の膜(例えばAmicon又はMillipore膜)を通す限外濾過を用い、目的のタンパク質より大きい又は小さい寸法のタンパク質から分離するのに使用することができる。第1段階として、タンパク質混合物を、目的のタンパク質の分子量より小さい分子量カットオフを有する孔径の膜を通して限外濾過を行う。この限外濾過で残ったものを、次に、目的のタンパク質の分子量より大きい分子カットオフを有する膜で、限外濾過を行う。組換え型タンパク質は、膜を通過して濾液内に移り、この濾液をクロマトグラフィーに通すことができる。
【0093】
化学修飾
本発明のペプチドは、例えばマレイミドキャッピング、ポリエチレングリコール(PEG)結合、マレイド化(maleidification)、アシル化、アルキル化、エステル化、及びアミド化などの化学修飾により、ペプチドの構造的類似体を産生する対象となり得る。さまざまな化学修飾技法及び部分が存在することが当業者には理解されよう。例えば、米国特許第5,554,728号、同第6,869,932号、同第6,828,401号、同第6,673,580号、同第6,552,170号、同第6,420,339号、米国特許公開第2006/0210526号、及びPCT国際公開特許WO 2006/136586号を参照のこと。好ましくは化学修飾は、例えば反応効率を高めるために、単離されたペプチド上で行われる。
【0094】
本発明の特定の実施形態において、本発明のペプチドには、アミド化C末端が含まれる。そのペプチド修飾手順は、単離された精製ペプチド上で実施することができ、又は、固相合成の場合は、合成手順中に実施することができる。そのような手順は、Rayら、Nature Biotechnology,1993,vol.11,pp.64〜70;Cottinghamら、Nature Biotechnology,2001,vol.19,pp.974〜977;Walshら、Nature Biotechnology,2006,vol.24,pp.1241〜1252;米国特許出願公開第2008/0167231号において検討されている。
【0095】
本発明のペプチドは、ペプチドとPEG部分とを結合させるのに有用な特定の中間リンカーを含有し得る。そのようなリンカーは、宿主に対し、最小限の免疫原性及び毒性をもたらし得る。そのようなリンカーの例は、Bailonら、PSTT,1998,vol.1(8),pp.352〜356に見出し得る。
【0096】
特定の実施形態において、本発明は、カルボキシ末端にCONH2を含む配列番号29で示す配列から本質的になる単離されたペプチドと、配列番号29のアミノ酸配列のポジション28でシステイン残基に結合した中間リンカーとを含む、結合を目的とする。特定の実施形態において、この中間リンカーはN−エチルスクシンイミドである。更なる実施形態において、この中間リンカーはビニルスルホンである。更なる実施形態において、この中間リンカーはアセトアミドである。更なる実施形態において、この中間リンカーはオルトピリジルジスルフィドである。
【0097】
更なる実施形態において、本発明は、カルボキシ末端にCONH2を備えた配列番号29で示すアミノ酸配列を有するペプチドと、配列番号29のポジション28でシステイン残基に結合したN−エチルスクシンイミドリンカーとを含む、結合を目的とし、ここにおいてN−エチルスクシンイミドリンカーは、PEG部分にも結合している。特定の実施形態において、PEG部分の分子量は約2kDa〜約80kDaの範囲であり得る。特定の実施形態において、PEGの質量は約20kDaである。好ましい実施形態において、CRHR2ペプチド作動薬は、配列番号82又は配列番号102のペプチドを含む。特定の実施形態において、PEG質量は約5kDaである。特定の他の実施形態において、PEG質量は約12kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約20kDaである。特定の実施形態において、PEGは質量約30kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約40kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約80kDaである。特定の実施形態において、PEG部分は直鎖状である。他の実施形態において、PEG部分は分枝状である。PEG部分は、当業者に既知の方法にしたがって合成することができる。別の方法としては、PEG部分は市販されており、例えばSUNBRIGHT(登録商標)ME−020MA、SUNBRIGHT(登録商標)ME−050MA、及びSUNBRIGHT(登録商標)ME−200MA(NOF corp.(日本);Sigma Aldrich(St.Louis,MO,U.S.A.))がある。
【0098】
本発明は更に、本発明のペプチドの製薬上許容される塩、及びその塩を使用する方法に関する。製薬上許容される塩は、無毒で生物学的に許容されるか又は他の様式で被験者に投与するために生物学的に適した、ペプチドの遊離酸若しくは塩基の塩を指す。一般的には、S.M.Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.,1977,66:1〜19、及びHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use、Stahl及びWermuth編、Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002を参照のこと。製薬上許容される好適な塩は、患者の組織に過度の毒性も刺激もアレルギー反応ももたらすことなく接触させるに適した製薬上許容される塩である。製薬上許容される塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩及びマンデル酸塩が挙げられる。
【0099】
本発明のペプチドが塩基性窒素を含有する場合、当該技術分野で利用可能な適切な方法のいずれか、例えば遊離塩基を無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、燐酸などでか、又は有機酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、パモ酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、サッカリン酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸など、α−ヒドロキシ酸、例えばマンデル酸、クエン酸又は酒石酸など、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸など、芳香族酸、例えば安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸又は桂皮酸など、スルホン酸、例えばラウリルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、本明細書に例として示した酸などの如き酸の適合し得る任意混合物、及び当該技術分野の技術の通常のレベルに照らして相当物又は許容される代替物であると見なされる他の酸及びこれらの混合物のいずれかで処理する方法などで所望の製薬上許容される塩を調製することができる。
【0100】
本発明のペプチドが、例えばカルボン酸又はスルホン酸などの酸基を含む場合、適切な方法のいずれか、例えば遊離酸を無機又は有機塩基、例えばアミン(第一級、第二級又は第三級)、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、本明細書に例として示した塩基などのような塩基の適合し得る任意混合物、及び当該技術分野の技術の通常のレベルに照らして相当物又は許容できる代替物であると見なされる他の塩基及びこれらの混合物のいずれかで処理する方法などで所望の製薬上許容される塩を調製することができる。適切な塩の具体例には、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニンなど、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩、第一級、第二級及び第三級アミン及び環式アミン、例えばベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンなどから生じさせた有機塩、並びにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから生じさせた無機塩が含まれる。代表的な有機塩基又は無機塩基には更に、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、及びプロカインが挙げられる。
【0101】
本発明はまた、この化合物の製薬上許容されるプロドラッグ及びかかる製薬上許容されるプロドラッグを用いた治療方法にも関する。用語「プロドラッグ」は、被験者に投与した後に化学的又は生理学的方法、例えば生体内で起こる加溶媒分解又は酵素による開裂などで、又は生理学的条件下で当該化合物になる指定化合物の前駆体を意味する。「製薬上許容されるプロドラッグ」は、無毒であるか、生物学的に許容されるか又は他の様式で当該被験者に投与するに生物学的に適したプロドラッグである。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造の説明的な操作手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard,Elsevier,1985に説明される。
【0102】
代表的なプロドラッグとしては、化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ、又はカルボン酸基にアミド又はエステル結合を介して共有結合的に連結したアミノ酸残基、又は2つ以上の(例えば、2〜4の)アミノ酸残基のポリペプチド鎖を有する化合物が挙げられる。アミノ酸残基の例には、天然に存在する20種類のアミノ酸(これらは一般に3文字記号で表わされる)ばかりでなく4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン及びメチオニンスルホンが含まれる。
【0103】
追加的な種類のプロドラッグは、例えば、化合物の構造中の遊離カルボキシル基をアミド又はアルキルエステルに誘導体化することにより製造できる。アミドの例には、アンモニア、第一級C1〜6アルキルアミン及び第二級ジ(C1〜6アルキル)アミンから生じさせたアミドが挙げられる。第二級アミンには、5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール環部分が挙げられる。アミドの例には、アンモニア、C1〜3アルキル第一級アミン及びジ(C1〜2アルキル)アミンから生じさせたアミドが挙げられる。本発明のエステルの例には、C1〜7アルキル、C5〜7シクロアルキル、フェニル及びフェニル(C1〜6アルキル)エステルが挙げられる。好適なエステルにはメチルエステルが挙げられる。プロドラッグはまた、Fleisherら、Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,115〜130に概説されるもの等の手順の後、ヘミスクシネート、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート、及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基を使用して、遊離ヒドロキシ基を誘導体化しても調製できる。ヒドロキシ及びアミノ基のカルバメート誘導体も、プロドラッグを産出することができる。また、ヒドロキシ基のカーボネート誘導体、スルホン酸エステル及び硫酸エステルもプロドラッグをもたらし得る。また、ヒドロキシ基に誘導体化を(アシロキシ)−メチル及び(アシロキシ)−エチルエーテル(このアシル基はアルキルエステルであってもよく、場合により1個以上のエーテル、アミン若しくはカルボン酸官能で置換されていてもよいか、又はアシル基は上述したようなアミノ酸エステルである)として受けさせることもプロドラッグを生じさせるに有効である。この種のプロドラッグは、Greenwaldら、J Med Chem.1996,39,10,1938〜40に記述されているように調製することができる。遊離アミンもまた、アミド、スルホンアミド又はホスホンアミドとして誘導体化することができる。そのようなプロドラッグ部分の全部にエーテル、アミン及びカルボン酸官能を包含する基が組み込まれている可能性がある。
【0104】
本発明は更に、本発明の方法に使用され得る化合物の薬学的に活性な代謝物に関する。「薬学的に活性な代謝物」とは、化合物又はその塩の体内の代謝による薬学的に活性な生成物を意味する。化合物のプロドラッグ及び活性な代謝産物の測定は当該技術分野で既知又は利用可能な常規技術を用いて実施可能である。例えば、Bertoliniら、J Med Chem.1997,40,2011〜2016;Shanら、J Pharm Sci.1997,86(7),765〜767;Bagshawe、Drug Dev Res.1995,34,220〜230;Bodor、Adv Drug Res.1984,13,224〜331;Bundgaard、Design of Prodrugs(Elsevier Press,1985);及びLarsen、Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development(Krogsgaard−Larsenら、編、Harwood Academic Publishers,1991)を参照のこと。
【0105】
医薬組成物
本発明の特定の実施形態において、CRHR2ペプチド作動薬は、単独で、又は1つ以上の追加成分と組み合わせて、医薬組成物を処方するのに使用される。医薬組成物は本発明による少なくとも1種の活性薬剤を有効量含有する。
【0106】
いくつかの実施形態において、この医薬組成物は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するペプチドを含み、ここにおいてこのペプチドはカルボキシ末端にCONH2を含み、更に、ポジション28でシステイン残基に結合しているN−エチルスクシンイミドリンカー又はアセトアミドリンカーを含み、ここにおいてこのリンカーはPEG部分にも連結している。PEG部分は、その分子量及び物理的特性(例えば直鎖か分枝鎖か)によって分類され、PEGをペプチド基質に結合させるのに使用する1つ以上のリンカー部分を含む。特定の好ましい実施形態において、このペプチドは1つ又は2つのリンカーを含む。
【0107】
特定の実施形態において、このPEG部分を含む医薬組成物は、約2kDa〜約80kDaの範囲の重量であり得るPEG部分を含み得る。特定の実施形態において、PEG部分の質量は約2kDaである。更なる実施形態において、PEG質量は約5kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約12kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約20kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約30kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約40kDaである。特定の実施形態において、PEG質量は約80kDaである。こうした組成物は更に製薬上許容される賦形剤を含んでもよい。
【0108】
本開示は更に、本明細書に記述されている化合物又は誘導体と、1つ以上の製薬上許容される担体、賦形剤、及び希釈剤とを含む、組成物(医薬組成物を含む)も提供する。本発明の特定の実施形態において、組成物は更に、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含み得る。特定の一実施形態において、この医薬組成物は、ヒトに投与するのに製薬上許容される。特定の実施形態において、この医薬組成物は、本明細書に記述される化合物又は誘導体の治療的有効量又は予防的有効量を含む。治療的に有効又は予防的に有効となる、本発明の化合物又は誘導体の量は、標準の臨床的技法によって決定することができる。代表的な有効量は、下記のセクションで詳しく記述される。本発明の特定の実施形態において、組成物は、安定剤も含み得る。安定剤は、組成物の修飾ペプチドの化学的劣化速度を遅くする化合物である。好適な安定剤には、酸化防止剤(アスコルビン酸など)、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0109】
医薬組成物は、被験者、特にヒト被験者に投与するのに好適な任意の形態であり得る。特定の実施形態において、この組成物は溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、及び持続放出性製剤の形態である。この組成物は更に、特定の単位剤形であり得る。単位剤形の例としては、錠剤;キャプレット;カプセル(例えばソフト弾性ゼラチンカプセル);カシェ剤;トローチ剤;口内錠;分散剤;座薬;軟膏;パップ剤(湿布);ペースト;粉末;包帯;クリーム;ギプス;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば鼻スプレー又は吸入器);ゲル;患者に経口又は粘膜投与するのに好適な液体投与形態(懸濁液(例えば水性又は非水性の液体懸濁液、水中油型エマルション、又は油中水型液体エマルション)、溶液、及びエリキシル剤を含む);被験者に非経口投与するのに好適な液体投与形態;被験者に非経口投与するのに好適な液体投与形態に還元できる滅菌固体(例えば結晶又はアモルファス固体)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0110】
特定の一実施形態において、被験者は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、家禽、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、又はモルモットなどの哺乳類である。好ましい一実施形態では、被験者はヒトである。好ましくは、この医薬組成物は獣医学的投与及び/又はヒトへの投与に好適である。この実施形態に従い、用語「製薬上許容される」とは、動物における使用について、及びより具体的にはヒトにおける利用について、連邦政府又は州政府の規制機関によって認可されていること、又は、米国薬局方若しくは他の一般に承認されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0111】
この組成物における使用に好適な製薬担体は、水及び油(石油、動物、植物又は合成由来のものを含む)などの滅菌液体である。特定の一実施形態において、この油はピーナッツオイル、大豆油、鉱物油、又はゴマ油である。医薬組成物が静注投与される場合には、水が好ましい担体である。生理食塩水並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に注射溶液用の液体担体として採用され得る。好適な製薬担体の更なる例は、当該技術分野において既知であり、例えばE.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.(Mack Publishing,Easton Pa.)に記述されている。
【0112】
この組成物に使用するのに好適な賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、及びエタノールが挙げられる。特定の賦形剤が医薬組成物への組み込みに好適かどうかは、当該技術分野において周知のさまざまな要素に依存し、例えばその組成物の投与経路及び特定の活性成分が挙げられるがこれらに限定されない。
【0113】
本発明の特定の実施形態において、組成物は無水組成物である。無水組成物は、無水物又は低水分含有の成分と、低水分又は低湿度条件とを用いて調製することができる。第一級アミン又は第二級アミンを有する修飾ペプチドを含む組成物は、製造中、パッケージング中、及び/又は保管中に水分及び/又は湿度に実質的に接触することが予測される場合には、好ましくは無水物である。無水組成物は、無水性が維持されるように調製及び保管されるべきである。したがって、無水組成物は好ましくは、好適な製剤キット内に含まれ得るよう、水への曝露を防ぐことが知られている材料を使用してパッケージされる。好適なパッケージングの例には、例えば密封されたホイル、プラスチック、単位用量容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるがこれらに限定されない。
【0114】
本明細書に記述されている化合物若しくは誘導体、又はその製薬上許容される塩及び溶媒和物を含む医薬組成物は、意図された投与経路に適合するよう製剤化される。この製剤は、好ましくは皮下投与用であるが、例えば吸入又は吹き込み(口又は鼻を介して)、皮内、経口、頬、非経口、経膣、又は直腸などの他の手段による投与用であり得る。好ましくは、この組成物は更に、保管及び輸送中に化合物の化学的安定性の改善をもたらすよう製剤化される。この製剤は、凍結乾燥することができ、又は液体製剤であってよい。
【0115】
一実施形態において、この化合物又は誘導体は静脈内投与用に製剤される。静脈内製剤には、生理食塩水溶液などの標準担体が含まれ得る。別の一実施形態において、この化合物又は誘導体は注射用に製剤される。好ましい一実施形態において、この化合物又は誘導体は滅菌凍結乾燥された製剤であり、汚染性の細胞性物質、化学物質、ウイルス、又は毒素を実質的に含まない。特定の一実施形態において、この化合物又は誘導体は、液体形態で製剤される。別の特定の一実施形態において、注射用の製剤は、滅菌された一回用量容器に供給される。特定の一実施形態において、注射用の製剤は、滅菌された一回用量容器に供給される。この製剤は、追加の防腐剤を含んでも含まなくともよい。液体製剤は、油性又は水性溶媒中の懸濁液、溶液又は乳濁液としての形態をとることができ、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの処方剤を含み得る。
【0116】
投与方法
本明細書に記述されている化合物若しくは誘導体、又はそれらの製薬上許容される塩は、好ましくは、所望により製薬上許容される溶媒を含む組成物の構成要素として投与される。この化合物又は誘導体は、好ましくは皮下に投与される。別の好ましい投与方法は、化合物又は誘導体の静脈内注射又は連続的静脈内点滴を介した方法である。好ましくは、この投与は、化合物又は誘導体のゆっくりした全身吸収及びクリアランスにより血漿中濃度が安定状態に達し、又は一定時間の所定範囲においてある血漿中濃度レベルを維持する。
【0117】
特定の実施形態において、この化合物又は誘導体は、任意の他の簡易経路、例えば注入又はボーラス注射、又は上皮若しくは皮膚粘膜被覆(例えば口内粘膜、直腸、及び腸粘膜)を介した吸収によって投与される。投与方法には、非経口、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、鼻孔内、硬膜外、経口、舌下、鼻孔内、大脳内、膣内、経皮、直腸、吸入により、又は局所的に、特に耳、鼻、目若しくは皮膚に対しての投与が含まれるがこれらに限定されない。多くの場合において、投与は、化合物又は誘導体の血中内への放出を生じる。
【0118】
そのような製剤の形態は錠剤、カプセル、小袋、糖衣錠、粉末、顆粒、ロゼンジ、再構成用粉末、液状製剤又は座薬であってもよい。好ましくは、組成物は静脈内注入若しくはボーラス注射、皮下注入若しくはボーラス注射、又は筋肉内注射用に製剤される。
【0119】
化合物は好ましくは非経口経路で投与される。例えば、組成物を直腸投与の目的で座薬として構築してもよい。静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下経路を包含する非経口用途の場合、本発明の薬剤を適切なpH及び等張性になるように緩衝剤を入れておいた無菌の水溶液若しくは懸濁液又は非経口的に許容される油として提供してもよい。好ましい水性溶媒には、リンゲル溶液、デキストロース溶液、及び等張性塩化ナトリウムが挙げられる。そのような形態物を単位用量形態物、例えばアンプル又は使い捨て可能注射デバイス、複数単位用量形態、例えば適切な投与量を取り出すことが可能なバイアル瓶など、又は注射可能製剤を製造する目的で使用可能な固体形態物若しくは予濃縮液の形態で提供してもよい。例示した注入用量は、数分から数日間の範囲の期間にわたって投与してもよい。更に別の実施形態において、本発明のペプチドの有効量を、皮下送達に好適なナノ粒子上にコーティングすることができ、又は「貯留物(depot)」内に提供することができる(Hawkinsら、Adv Drug Deliv Rev.,2008,vol.60,pp.876〜885;Montalvoら、Nanotechnology,2008,vol.19,pp.1〜7)。
【0120】
活性薬剤は、吸入手法を通じて投与することができる。そのような方法では、乾燥粉末(Johnson K.A.、Adv Drug Del Rev.,1997,vol.26(1),pp.3〜15)及び/又はエアロゾル(Sangwanら、J Aerosol Med.,2001,vol.14(2),pp.185〜195;PCT国際公開特許WO2002/094342号)の製剤技法を使用することができる。
【0121】
本発明による治療方法の実施形態において、本発明による少なくとも1つの活性薬剤の治療的有効量は、例えば心不全、糖尿病、骨格筋消費、及び筋肉減少症などの疾病、疾患又は医学的状態に苦しむ被験者、又はそれらを有すると診断された被験者に投与される。追加の状態としては、不適切な運動活動、食事摂取、又は心臓保護、気管支弛緩、及び/若しくは抗炎症活性の必要が挙げられる。本発明の活性薬剤の治療的有効量若しくは用量を常規方法、例えばモデリング、用量漸増試験又は臨床試験など、及び常規要因、例えば投与様式若しくは経路又は薬剤送達など、薬剤の薬物動態、疾病、疾患、及び状態のひどさ及び過程、被験体が以前又は現在受けている治療、被験体の健康状態及び薬剤に対する反応及び治療を施す医者の判断などを考慮に入れることで確定することができる。代表的な静脈内投与速度は、被験者の体重1kg当たり毎分、ストレスコピン関連活性薬剤を約0.2ng〜約52ngの範囲であり、好ましくは約0.2ng/kg/分〜約22ng/kg/分、又は同等に、1日当たり約0.3μg/kg〜約32μg/kgである。ボーラス注入又は皮下注射の場合、合計投与量は、単回用量単位、又は分割した用量単位で投与することができる(例えばBID、TID、QID、週2回、2週間に1回、又は月1回)。体重70kgのヒトでは、好適な用量の代表的な範囲は、約1μg/日〜約1mg/日である。毎日投与の代わりに、毎週用量レジメンを使用することができる。別の好ましい一実施形態において、約20kDaのPEGがペプチド配列のポジション28でシステイン残基に結合しているアセトアミドリンカーを含む配列番号102のCRHR2ペプチド作動薬が、ボーラス皮下注射によって、10μg/kgの用量で、これを必要としている患者に投与される。この用量の頻度は、被験者の治療的必要性とその他の臨床的考慮事項に応じて、1日1回〜それより少ない頻度の範囲となるべきである。
【0122】
患者の疾病、疾患又は状態の改善が生じたならば投与量を予防的治療又は維持治療に適した量に調整してもよい。例えば、投与の量及び頻度又は両方を症状の関数として所望の治療若しくは予防効果が維持される度合にまで少なくしてもよい。症状が適切なレベルにまで改善したならば治療を停止してもよい。しかしながら、症状がいくらか再発する時には患者に長期を基準にした断続的治療を受けさせる必要がある。
【0123】
特定の実施形態において、この化合物は、治療レジメンの一部として1つ以上の他の生物学的活性薬剤と組み合わせて投与される。特定の実施形態において、この化合物は、1つ以上の他の生物学的活性薬剤の投与の前に、同時に、又は後に投与される。一実施形態において、1つ以上の他の生物学的活性薬剤は、本明細書に記述される化合物を含む同じ医薬組成物内で投与される。別の一実施形態において、1つ以上の他の生物学的活性薬剤は、本明細書に記述される化合物とは別の医薬組成物内で投与される。この実施形態にしたがって、1つ以上の他の生物学的活性薬剤は、この化合物の投与に使用される投与経路と同じ経路又は異なる経路によって被験者に投与され得る。
【0124】
別の一実施形態において、心臓血管疾患のリスク低減又は治療のために、この化合物は1つ以上の他の化合物又は組成物と共に投与される。心臓血管疾患のリスクを低減又は治療する化合物又は組成物には、抗炎症剤、抗血栓剤、抗血小板剤、繊維素溶解剤、血栓溶解剤、脂質低減剤、トロンビン直接阻害剤、抗Xa阻害剤、抗IIa阻害剤、糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤及びトロンビン直接阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書に記述されている化合物と組み合わせて投与され得る薬剤の例には、ビバリルジン、ヒルジン、ヒルゲン、Angiomax、アガトロバン、PPACK、トロンビンアプタマー、アスピリン、GPIlb/IIIa阻害剤(例えばIntegrelin)、P2Y12阻害剤、チエノピリジン、チクロピジン、及びクロピドグレルが挙げられる。
【0125】
実施形態において、この化合物は、必要としている患者に投与するのに好適な剤形に製剤される。薬剤及び担体粒子の調製のためのプロセス及び機器については、Pharmaceutical Sciences,Remington,17th Ed.,pp.1585〜1594(1985);Chemical Engineers Handbook,Perry,6th Ed.,pp.21−13〜21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences,Parrot,Vol.61,No.6,pp.813〜829(1974);及びChemical Engineer,Hixon,pp.94〜103(1990)に開示されている。
【0126】
本発明の剤形に組み込まれる化合物の量は、一般に治療適応及び望ましい投与期間(例えば12時間おき、24時間おきなど)に応じて、組成物の重量を基準として約10重量%〜約90重量%で変化し得る。投与したい化合物の用量に応じて、1つ以上の剤形で投与することができる。製剤によっては、この化合物は好ましくは、HCl塩形態、又は遊離塩基形態となる。
【0127】
更に、本発明はまた、ヒト又はヒト以外の動物体の治療又は診断方法での使用について前述した、医薬組成物又は医薬剤形にも関する。
【0128】
本発明は更に、治療を必要としている哺乳類に経口投与するための医薬剤形の製造における使用のための医薬組成物に関し、その剤形が、その哺乳類による食事摂取とは独立に、1日のうちいつでも投与できることを特徴とする。
【0129】
本発明は、ヒト又はヒト以外の動物体の治療又は診断方法に関し、これはその動物体に、本明細書に記述されている医薬組成物の治療的又は診断的有効量を投与することを含む。
【0130】
本発明は更に、本明細書で記述される容器、剤形を含む、商業的販売に好適な医薬品パッケージに関し、そのパッケージに、その剤形が食事と共に又は食事なしで投与できるかどうかについてなど、非限定的な書面を伴う。
【0131】
下記の製剤実施例は説明目的に限定され、本発明の範囲をいかなる意味でも制限するものではない。
【実施例】
【0132】
実施例1:ペプチドの合成と精製
配列番号29のペプチドが、Rainin Symphonyマルチプルペプチド合成装置(モデルSMPS−110)上でソフトウェアバージョン3.3.0を使用して、固相ペプチド合成反応によって調製された。ペプチドアミドの合成に使用された樹脂(NovaSyn TGR(登録商標)、440mg、約0.1mmole、0.23mmol/g置換、ロットNo.A33379)は、酸不安定性の修飾されたRinkアミドリンカーで機能付加されたポリエチレングリコールとポリスチレンの複合物であった。
【0133】
合成に使用されたアミノ酸は、C末端にNα−9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護基、及び次の側鎖保護基を含んでいた:Arg(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル、pbf)、Asp(第三級ブトキシ、OtBu)、Asn(トリチル、Trt)、Gln(Trt)、Cys(Trt)、His(Trt)、Lys(t−ブトキシカルボニル、Boc)、Ser(第三級ブチル、tBu)及びThr(tBu)。
【0134】
結合反応は次のように実施された:N−メチルピロリジノン(NMP)膨潤済み樹脂(0.1mmole)、DMF(2.5mL)中5倍モル過剰のFmocアミノ酸及び5倍モル過剰のヘキサフルオロリン酸(HBTU)を混合し、DMF(2.5mL)中10倍モル過剰のN−メチルモルホリン(NMM)を加えてから、45分間にわたって結合させた。Fmoc除去のため、反応物を20%ピペリジン/DMF溶液と共に2分間インキュベートした。この溶液を排水し、新たに20%ピペリジン/DMFを加え、18分間インキュベートした。次に反応物をNMPで洗い、続いて、結合工程を繰り返すことによりアミノ酸付加を実施した。C末端を、N末端からの番号でIle40、Gln39、Asn19、Asn12、及びVal9に結合させるため、結合工程を2回実施した。
【0135】
樹脂からのペプチド開裂は、トリフルオロ酢酸(TFA)(100mL)、1,2−エタンジチオール(EDT)(20.0mL)、フェノール(7.5g)、チオアニソール(5mL)、トリイソプロピルシラン(TIS)(5mL)及び水(5mL)を含む開裂混合物9mLと共に、2時間の開裂プログラム及びインキュベーションを使用して実施された。開裂したペプチドの溶液を50mL BDポリプロピレン遠心管に移し、冷エチルエーテル(40mL)でペプチドを沈殿させた。この混合物を遠心分離にかけ、エチルエーテルをペプチドからデカントした。エチルエーテル(40mL)を加え、混合物を渦流で混合し、遠心分離にかけ、エチルエーテルをデカントした。これらの工程(新たなエチルエーテルの追加、渦流混合、遠心分離、及びデカント)をあと2回繰り返した。このペプチドを減圧下で乾燥させ、408mg(収率92%)の粗生成物を得た。
【0136】
ペプチド精製は、Waters分取HPLCシステム(Waters(MA,U.S.A.))で実施された。粗ペプチド(約100mg)を、0.1% TFAを含む、酢酸/アセトニトリル/水が20/30/50の中に溶かした。この物質を2本のVydac C−18カラム(10mm、2.5×25cm)に注入した。注入後、0〜45%溶媒Bの勾配(溶媒B=0.1% TFAを含む80%アセトニトリル)で5分間、45〜70%溶媒Bで60分間、流量6mL/分を用いて、ペプチドを精製した。分画を集め、分析RP−HPLC、MALDI−TOF MS、及びCEで分析した。最も純粋な分画を蓄積し、凍結乾燥して、23mgの生成物を得た。MALDI−TOF MSでは、4400.5に等しい生成物分子量が測定され、これは、C19532656533について計算された分子量4399.2よりも水素原子1つ分大きかった。この液体をアセトン乾燥氷浴中約30分間で急速冷凍することにより、凍結乾燥を実施した。凍結後、開放フラスコ内にある生成物を、濾紙で覆い、高真空下に置いた。高真空下で24時間経過後、乾燥したサンプルを真空から取り出し、後で使用するために保管容器を密封した。
【0137】
実施例2:ペプチドとN−エチルマレイミドとの結合
スキーム1に示すように、部位誘導されたシステイン残基上にキャップするN−エチルマレイミドは、次の条件下で達成された。
【0138】
【化1】

【0139】
2.5mLポリプロピレンバイアル中で、2.0mgの本発明ペプチドを、1.0mLの水に溶かした。次に0.1MのN−エチルマレイミド水溶液20μLをすぐに加えた。反応物を静かに、室温で2時間撹拌した。この反応混合物を、表6に示すプロトコルを用い、Vydac C18 10×250mm(300オングストローム;Grace Davison(IL,U.S.A.))カラムを装着したSummit APS(Dionex(CA,U.S.A.))HPLCで精製した。末端画分を回収し、HPLCで分析し、純粋な画分を蓄積して凍結乾燥した。
【0140】
【表6】

【0141】
実施例3:ペプチドとヨードアセトアミド−PEGとの結合
ヨードアセトアミド−PEG(ヨードアセトアミド末端を備えた直鎖20kDaポリエチレングリコール鎖であり、弱アルカリ性pHで限定的な量存在し、配列番号29のペプチドを備える)が、スキーム2に示す排他的反応として、システイン修飾を生じた。システインチオールは、ヨードアセトアミド−PEGの結合の選択性ポイントとして作用した。結果として得られた誘導体αスルファヒドリルアセトアミド連結は、アキラル性であった。
【0142】
【化2】

【0143】
15mLの三角フラスコに、25mg(5.68mmol、1.0当量)の配列番号1のペプチドを加えた。同じフラスコに140mg(6.82mmol、1.2当量、95%活性)のPEG−20ヨードアセトアミド(ロット番号M77592)(Nippon,Oil and Fat(NOF)Corp.製造)を加えた。10mLの水を加え、この溶液を、固体がすべて溶けるまで渦流攪拌した。この濁った溶液に、溶液pH約8.91で、50mLのピリジンを加えた。2時間後、20mLのサンプルのアリコートを除去し、Phenomenex C6−フェニルカラムを用い、溶離剤として0.1% TFA/アセトニトリルを用いた逆相HPLCによって分析した。サンプルは、2時間後に反応がほぼ完了したことを示した(図1A)。この反応混合物を、Phenomenex C6フェニル10×150mmカラムを使用してHPLCで直接精製した。精製のための溶離剤は、0.1% TFA水、及び0.1% TFA水中80%アセトニトリルであった。精製は、2〜3mLのサンプルバッチで行った(図1B)。精製された分画を合わせ、50mL三角フラスコ内で凍結乾燥した。この凍結乾燥した固体を、10mLの水で希釈し、再び凍結乾燥した。約1mgの最終生成物を、1mg/mLに希釈し、マススペクトル分析にかけた(図1C)。配列番号102のPEG化化合物の平均重量は、部分的にはPEGポリマーの長さの不均質性のため、25,449ダルトンであり、化合物は白色非晶質の固体として生じた。
【0144】
実施例4:ペプチドのN−エチルマレイミドリンカーとのPEG化
2.5mLのポリプロピレンバイアル中で、2.0mg(約0.44nmol)のペプチドを、2.5mLの水に溶かし、表7に示す量を使用して、次にすぐに、さまざまな分子量の活性化したN−エチルマレイミド誘導ポリエチレングリコールを加えた。
【0145】
【化3】

【0146】
反応混合物を静かに、室温で2時間撹拌した。
【0147】
【表7】

【0148】
この反応混合物を、表8に示すプロトコルを用い、Gemini 5u C6−フェニル10×100mm(110オングストローム;Phenomenex(CA,U.S.A.))カラムを装着したSummit APS(Dionex(CA,U.S.A.))HPLCで精製した。
【0149】
【表8】

【0150】
実施例5:CRHR2及びCRHR1作動薬活性−cAMPアッセイ
CRH群のCRHR2及びCRHR1作動薬活性は、ヒトCRHR2又はヒトCRHR1のいずれかで形質移入されたSK−N−MC(ヒト神経芽細胞腫)の2つの細胞株において、アデノシン3’,5’−環状一リン酸(cAMP)アッセイによって特性付けられた。h−SCP(配列番号1)は、このアッセイにおいてh−UCN2(配列番号115)と等しい効力を有し、CRH群の中で最も選択性のCRHR2作動薬であることが示された(図2)。最大効果の50%に必要な濃度(A50)は0.4nMであった。
【0151】
ヒトCRHR1(アクセッション番号X72304)又はCRHR2(アクセッション番号U34587)が、pcDNA3.1/Zeo発現ベクターにクローン化され、電気穿孔法により安定にSK−N−MC細胞に形質移入された。細胞は、10% FBS、50I.U.のペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム及び0.1mMの非必須アミノ酸、600μg/mLのG418を含んだアール塩(Earl's Salt)入りMEM中で保持された。細胞は5% CO2中、37℃で成長させた。
【0152】
細胞を96ウェル組織培養皿(Biocoat、BD Biosciences販売)に細胞50,000個/ウェルで入れ一晩培養した。細胞をPBSで洗ってから、フェノールレッドを含まず、10μMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含むDMEM F−12中に再懸濁させた。細胞を、1pM〜10μMの濃度範囲のペプチドと共に、37℃で60分間インキュベートした。続いて、作動薬反応を生じなかったペプチドの任意の拮抗作用活性を評価するため、ペプチドを10μMで20分間プレインキュベートしてから、h−SCPを加えて60分間インキュベートした。フォルスコリン(10μM)(アデニル酸シクラーゼの直接的刺激物質)を陽性対照として使用した。0.5MのHClを加えてアッセイを止め、4℃で2時間、軌道回転で混合した。
【0153】
CRHR2での本発明ペプチドの活性を評価するため、Flashプレート放射性アッセイ(カタログ番号Cus56088;Perkin Elmer(MA,U.S.A.))を使用した細胞内cAMP測定試験が採用された。
【0154】
形質移入されたSK−N−MC細胞を、96ウェルBiocoat組織培養皿(BD Biosciences(San Jose,CA,U.S.A))に細胞50,000個/ウェルで入れ一晩培養した。細胞をまずPBSで洗い、次にフェノールレッドを含まず、10μMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含むDMEM/F−12中に懸濁させた。懸濁した細胞を、シンチラント液でコーティングした96ウェルフラッシュプレートに移した。細胞を、1pM〜1μMの範囲のペプチドと共に、37℃で60分間インキュベートした。10μMのフォルスコリンを陽性対照として使用した。リガンド刺激の後、0.5M HClを加えて細胞を溶解させ、4℃で2時間軌道回転により混合して、細胞内cAMPを培地内に放出させた。
【0155】
放出された細胞内cAMPを含む培地を、抗cAMP抗体を含むシンチラント液でコーティングした96ウェルフラッシュプレートに移した。このアッセイでは、細胞内cAMPは、抗体に結合しようとする125I−ラベルされたcAMPと競合する。標準曲線を生成するため、2.5〜250pmol/mLの範囲のcAMPを、この実験に含めた。[125I]−cAMPは、TopCountシンチレーションカウンター(Perkin Elmer(MA,U.S.A))で測定された。
【0156】
個々の作動薬濃度−反応曲線データは、GraphPad Prism(Graphpad Software(La Jolla,CA,U.S.A.))を使用して下記のHillの式にフィットされ、最大反応の半分を生成するのに必要な作動薬濃度(A50)、極大漸近線(α)及びHill傾き(nH)の各パラメータの見積りを提供した。この式において、[A]は作動薬濃度、Eは測定された効果である:
【0157】
【数1】

【0158】
表示目的のため、平均のフィットパラメータ見積りは、平均実験データに重ね合わせて示されている単一のE/[A]曲線を生成するのに使用された。作動薬の有効性見積りpA50は、各曲線の中点の負の対数として表され、測定値の標準誤差(SEM)と共にリストされている。作動薬投与量比の底10の対数(Log DR)値は、試験化合物pA50値を、同じアッセイバッチ内の対応するh−SCP(配列番号1)対照pA50値から差し引くことによって計算された。Log DR値のSEM値は、h−SCP(配列番号1)対照及び試験化合物pA50値の2乗SEM値の合計の平方根によって得られる。
【0159】
【表9】

【0160】
h−SCP(配列番号1)に対するCRHR2媒介のcAMP反応は、克服可能な競合拮抗性と一致した濃度依存性状態で、選択的CRHR2拮抗薬、抗ソーバジン−30(SV30、表9に示す配列番号118)によってブロックされた(図3)。抗ソーバジン−30の存在により、配列番号1の化合物についてpA2値は7.82を得た。
【0161】
【表10】

【0162】
このcAMPフラッシュプレートアッセイにおいて、h−CRHR1又はh−CRHR2形質移入されたSK−N−MC細胞の刺激に、ヒト及びラットペプチド(表10参照)が使用された。ペプチドは37℃で1時間インキュベートされた。曲線は、GraphPad Prismにおいて非線形回帰S字形濃度反応分析計算を使用して算出された。このようにして得られたpA50値を、文献値と共に表11に示す。
【0163】
【表11】

斜体のデータは、有効性近似値を示す;NA=低有効性及び限定的なペプチド供給量によりデータなし;論文データからの値は、下記の形質移入系のcAMP刺激に使用された、執筆者の研究室内で合成されたペプチドで得られた:
1h−CRHR1又は2 m−CRHR2b形質移入CHO−K1細胞(Lewis,K.ら、2001,PNAS,vol.98,pp.7570〜5);
3h−CRHR1又は4 h−CRHR2b形質移入HEK−293細胞、濃度反応曲線から近似された値(Hsu,S.Y.ら、2001,Nat.Med.,vol.7,pp.605〜11);
5m−CRHR2b形質移入されたHEK−293細胞(Brauns,O.ら、2002,Peptides,vol.23,pp.881〜888)。
【0164】
組換え型の非アミド化ペプチドライブラリーは、CRHR2形質移入されたSK−N−MC細胞中でアッセイを行うのは難しいため、作動薬活性におけるh−SCPのC末端領域のアミド化の効果が、有効性及び/又は固有の活性の点から調べられた。
【0165】
種々のアミノ酸のペプチド作動薬活性寄与を調べるため、いくつかの修飾ペプチドが、N末端配列内で1〜7個の欠失から始めて、合成された。各ペプチドは、ストック濃度1mMで水に溶かし、アリコートに分け−40℃でエッペンドルフチューブ(カタログ番号022364111)に保管した。ペプチドは実験当日に1回だけ解凍し、更にcAMPアッセイ緩衝液で希釈した。
【0166】
各実験複製において、h−CRHR2形質移入されたSK−N−MC細胞中でcAMPを産生したすべてのペプチドが、同様の最大反応を達成した。しかしながら、h−SCP(配列番号1)への極大反応は、毎日の複製間で異なったため、データは、各複製内で得られたh−SCPに対する最大反応に対して正規化された。データは次に、作動薬濃度−効果の曲線パラメータの最終計算のために、3〜5つの複製実験のものを合わせた(図4)。得られたpA50値を、表12にまとめる。
【0167】
最大反応は判別不能であったが、非アミド化h−SCP(配列番号113)は、アミド化された親ペプチドに比べ、有効性が約200分の1であった。1つのバッチにおいて、親40アミノ酸h−SCPペプチド(配列番号1)はpA50値が9.41±0.03であった。末端アミド化は有効性のために重要であるが必須ではなく、完全に画定された濃度−効果曲線が、非アミド化ペプチドで、アミド化された親ペプチドと同じ最大反応を伴って得られた。
【0168】
1つのアミノ酸欠失(配列番号107)は有効性に対して有意な影響を与えなかったが(pA50 9.24±0.05)、3つ(配列番号108)及び4つ(配列番号109)のアミノ酸欠失は、それぞれ漸進的にpA50値の低下をもたらした(8.49±0.08及び7.33±0.9)。これを表12に示す。5つ以上のアミノ酸欠失(配列番号110、配列番号111及び配列番号112)は、作動薬活性を完全に失わせた(図4)。したがって、後者の3つのペプチドは、濃度10μMで、h−SCPの拮抗薬として試験された(図5)。どのペプチドも、h−SCP濃度−効果曲線に対して有意な影響は与えなかった。これは、これらペプチドが検出可能な固有の有効性を有していないだけでなく、有意な受容体占有性(すなわち10μM未満の親和性)を持たないことを示している。
【0169】
h−SCP配列のN末端領域での4つ以上のアミノ酸欠失は、ペプチド有効性に影響する。N末端領域の1〜4つのアミノ酸欠失のペプチドは、有効性が漸進的に低下し、一方で5つ以上のアミノ酸欠失のペプチドは作動薬活性及び受容体親和性を完全に失う結果がもたらされた(KA>10μM)。後者は、h−UCN2について行われた同様の分析の既報に基づいて予測されていたものである(Isfort,R.J.et al.,2006,Peptides,vol.27,pp.1806〜1813)。これは、この欠失が、保持されているポジション6のアミノ酸セリン及びポジション8のアスパラギン酸に近いためである。
【0170】
【表12】

NR=反応なし
【0171】
更に、システイン突然変異、N−エチルマレイミドキャッピング、及びPEG化の、ペプチド作動薬活性に対する影響が調査された。h−SCP(配列番号1)の対照pA50は、種々のアッセイバッチで9.47〜9.74、SEMが0.03〜0.11と変動した。ここでも、いくつかの修飾ペプチドが前述スキームにしたがって合成された。これらペプチドのアッセイ結果を表13に示す。
【0172】
【表13−1】

【0173】
【表13−2】

【0174】
本発明のペプチドのさまざまな修飾の活性プロファイルを例示する結果が、表14に示されている。これにはストレスコピン(h−SCP)ペプチド、ウロコルチン2(h−UCN2)、及びh−SCP−IA−PEGペプチド(配列番号102)が含まれ、ここでh−SCP−IA−PEGは、配列番号29で表されるポジション28にシステイン置換を伴うSCP配列を有し、かつ、ポジション28のシステインにアセトアミド(IA)リンカーを介してPEGポリマーがリンクされているペプチドである。このデータは、1〜3つの複製の平均±SEMであり、各複製実験内のh−SCPに対して得られた最大反応の%で表わされている。
【0175】
【表14】

【0176】
h−SCP−IA−PEGペプチドはまた、100nMの抗ソーバジン−30(h−CRHR2受容体の選択性競合拮抗薬)の存在下でインキュベートされ、h−SCP−IA−PEGペプチド濃度−反応曲線で右方向へのシフトをもたらし、極大反応が100%に拘束されたときの対応するpA50の近似値は6.89であった。
【0177】
実施例6:CRHR1及びCRHR2の放射性リガンド結合活性
h−SCP(配列番号1)のCRHR2での結合プロファイルが、[125I]−抗ソーバジン−30を放射性標識として使用しヒトCRHR2で安定に形質移入されたSK−N−MC細胞の膜調製における放射性リガンド結合研究において決定された。この細胞は、細胞擦過によって採取され、得られたペレットをすぐに−80℃で凍結した(細胞約50×106個/ペレット)。
【0178】
凍結した細胞ペレットを、15mLのアッセイ緩衝液中、氷浴上で解凍した。この緩衝液は10mM HEPES、130mM NaCl、4.7mM KCl、5mM MgCl2、及び0.089mMバシトラシンから構成され、pH 7.2、及び21±3℃であった。この溶液をPolytron組織グラインダーを用い、設定10及び7×3sで均質化した(Brinkmann Instruments(Westbury,NY))。均質化した液を4℃、800×gで5分間遠心分離を行い、ペレットを廃棄した。この上澄みを再び、4℃、26,892×gで25分間遠心分離を行い、最終的なペレットをアッセイ緩衝液中に再懸濁させた。結合アッセイはすべて、0.3% PEI入りのアッセイ緩衝液中にあらかじめ1時間浸しておいた96ウェルMultiscreen GF/Bフィルタープレート(Millipore(Billericay,MA,U.S.A.))内で実施された。研究の完了のため、体積45μLの細胞膜を、CRHR2アッセイ用に体積50μL中の60pM[125I]−抗ソーバジン−30と共に、又は、CRHR1アッセイ用に[125I]−(Tyr0)−ソーバジンと共に、15μLの競合リガンドの存在下で、合計体積150μLとして、120分間インキュベートした。1μMのr−UCN1(配列番号114)を含めることによって、非特異的な結合が決定された。この結合した放射能を、Multiscreen Resistマニフォールド(Millipore Corp.(Billerica,MA,U.S.A))を用いて濾過により分離した。フィルターを、pH 7.5の氷冷PBSで3回洗い、フィルター上に残った放射能を、TopCountカウンター(Packard BioScience(Boston,MA,U.S.A))によって測定した液体シンチレーションによって定量した。すべての実験を3組で実施した。
【0179】
個々の競合曲線からのデータは、各実験内で、特異的[125I]−抗ソーバジン−30又は[125I]−(Tyr0)−ソーバジン結合(B)のパーセンテージとして表わされた。これらのデータは次に、GraphPad Prismを使用した4パラメータロジスティックを使用し、それぞれ100%に加重した上漸近線(αmax)及び0%に加重した下漸近線(αmin)で、それぞれ競合物質の最低濃度及び最高濃度から2対数単位上及び下のこれらの値を含めることによって、分析された:
【0180】
【数2】

【0181】
h−SCP(配列番号1)で得られた競合曲線は二相性であった。これは、50%阻害での濃度の負の対数が高いこと(pIC50)及びpIC50が6.6と低いことによって特徴付けられる、高い親和性及び低い親和性の受容体結合状態を示していた。高親和性部位結合は、100μMグアノシン5’−O−[γ−チオ]三リン酸(GTPγS)によって阻害されることが示された。これに対して、h−UCN2(配列番号115)は高い親和性結合のみを呈した。これは、アッセイ中で、h−UCN2がh−SCP(配列番号1)よりも高い固有有効性を有する作動薬として働いていることを示している。このデータ分析から得られたpKI値を表15に示す。
【0182】
【表15】

*ND=検出不可能
【0183】
実施例7:血管平滑筋弛緩−ラット大動脈環
フェニレフリン(PE)であらかじめ収縮させた単離ラット大動脈環において、h−SCP(配列番号1)の血管平滑筋を弛緩させる能力が調べられた(図6参照)。このペプチド(配列番号1)は、pA50が6.05±0.12で、濃度依存性の弛緩を生じたが、pA50が7.01±0.13を有するh−UCN2(配列番号115)に比べ有効性が10分の1であった。h−SCP(配列番号1)によって引き起こされた反応は、抗ソーバジン−30(配列番号118)によって阻害された。
【0184】
実施例8:単離ウサギ心臓における心臓血管特徴付け
ウサギ心臓の逆行性潅流ランゲンドルフアッセイにおいて、心拍数(HR)、左心室(LV)収縮、及び血管緊張に対するh−SCP(配列番号1)の影響が評価された。プラシーボ様対照溶媒又はh−SCP(配列番号1)のボーラスを、潅流ブロック内に直接投与した。h−SCP(配列番号1)は、心拍数に濃度依存性の増加を生じ、左心室が圧力を増し(dP/dtmax)、それぞれ52nM、9.9nM、及び46nMに等しい50%反応の濃度での冠状血管潅流圧力(CPP)が対応して低下したが(図7)、対照溶媒の場合では反応は観察されなかった。
【0185】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に含まれるすべての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2型に対する作動薬活性を有するペプチドであって、該ペプチドがアミノ酸配列:
LSLDV PTNIM NLLFN IAKAK NLRAQ AAANA HLMAQ I
を含み、式中、該ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸がXで置換され、ただし該置換は該アミノ酸配列のポジション3、29、及び33では行われず、かつここにおいてXはシステイン、チロシン、若しくはグルタミン酸であるペプチド、
又はこれらの製薬上許容される塩若しくはアミド。
【請求項2】
前記置換が、
ポジション1でLの代わりにX;
ポジション2でSの代わりにX;
ポジション4でDの代わりにX;
ポジション5でVの代わりにX;
ポジション6でPの代わりにX;
ポジション7でTの代わりにX;
ポジション8でNの代わりにX;
ポジション9でIの代わりにX;
ポジション10でMの代わりにX;
ポジション11でNの代わりにX;
ポジション12でLの代わりにX;
ポジション13でLの代わりにX;
ポジション14でFの代わりにX;
ポジション15でNの代わりにX;
ポジション16でIの代わりにX;
ポジション17でAの代わりにX;
ポジション18でKの代わりにX;
ポジション19でAの代わりにX;
ポジション20でKの代わりにX;
ポジション21でNの代わりにX;
ポジション22でLの代わりにX;
ポジション23でRの代わりにX;
ポジション24でAの代わりにX;
ポジション25でQの代わりにX;
ポジション26でAの代わりにX;
ポジション27でAの代わりにX;
ポジション28でAの代わりにX;
ポジション30でAの代わりにX;
ポジション31でHの代わりにX;
ポジション32でLの代わりにX;
ポジション34でAの代わりにX;
ポジション35でQの代わりにX;及び
ポジション36でIの代わりにXからなる群から選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドが、
XLSLD VPTNI MNLLF NIAKA KNLRA QAAAN AHLMA QI−NH2
XTLSL DVPTN IMNLL FNIAK AKNLR AQAAA NAHLM AQI−NH2
XFTLS LDVPT NIMNL LFNIA KAKNL RAQAA ANAHL MAQI−NH2、及び
XKFTL SLDVP TNIMN LLFNI AKAKN LRAQA AANAH LMAQI−NH2からなる群から選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記アミノ酸配列が、配列番号17、18、20、21、25、26、27、29、32、33、34、36、及び41からなる群から選択され;かつXがシステインである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
請求項1に記載のペプチドと、該ペプチドのXに結合されたリンカーとを含む、複合体。
【請求項6】
Xがシステインである、請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
前記リンカーがアセトアミド又はN−エチルスクシンイミドである、請求項5に記載の複合体。
【請求項8】
前記リンカーに結合されたポリエチレングリコール(PEG)を更に含み、ここにおいて該PEGが分子量約80kDa以下である、請求項5に記載の複合体。
【請求項9】
前記リンカーがアセトアミドである、請求項8に記載の複合体。
【請求項10】
前記PEGが約2kDa、約5kDa、約12kDa、約20kDa、約30kDa、及び約40kDaからなる分子量群から選択される分子量を有する、請求項8に記載の複合体。
【請求項11】
前記PEGが分枝状又は直鎖である、請求項5に記載の複合体。
【請求項12】
前記PEGが更に反応基を含む、請求項5に記載の複合体。
【請求項13】
前記反応基がN−エチルマレイミドである、請求項12に記載の複合体。
【請求項14】
前記ペプチドが、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、35、36、37、39、40、及び41からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項15】
式:
【化1】

式中Rは請求項4のペプチドであり、SはXのシステインチオール基のイオウ原子である、を有する複合体。
【請求項16】
式:
【化2】

式中nは約40〜約1900の範囲の整数であり、Rは配列番号2、3、4、5、6、10、13、16、17、18、19、20、21、22、24、25、26、27、28、29、30、32、33、35、36、37、39、40、及び41からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項1に記載のペプチドであり、SはXのシステインチオール基のイオウ原子である、を有する請求項6に記載の複合体。
【請求項17】
式:
【化3】

式中bPEGは分子量約80kDaの分枝状ポリエチレングリコールであり、Rは配列番号29のアミノ酸配列を有するペプチドであり、SはXのシステインチオール基のイオウ原子である、を有する請求項6に記載の複合体。
【請求項18】
式:
【化4】

式中nは約40〜約1900の範囲の整数であり、Rは配列番号13、29、及び36からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドであり、SはXのシステインチオール基のイオウ原子である、を有する請求項6に記載の複合体。
【請求項19】
前記ペプチドが配列番号29のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項20】
nが約460の整数であり、Rが配列番号29のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項16に記載の複合体。
【請求項21】
nが約460の整数であり、Rが配列番号29のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項18に記載の複合体。
【請求項22】
請求項1のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項23】
(a)請求項1のペプチドと、(b)製薬上許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項24】
配列番号29のアミノ酸配列のペプチドを含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
(a)請求項5の複合体と、(b)製薬上許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項26】
(a)請求項20の複合体と、(b)製薬上許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項27】
(a)請求項21の複合体と、(b)製薬上許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項28】
請求項1のペプチドの前記アミノ酸配列を含むペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項29】
前記ペプチドがPEG化されている、請求項28に記載のモノクローナル抗体。
【請求項30】
請求項1のペプチドの治療的有効量を、治療を必要としている被験者に投与することを含む、代謝性疾患及び心不全からなる群から選択される、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2型活性によって媒介される疾病、疾患及び医学的状態で苦しむ被験者、又はこれらであると診断された被験者を治療する、方法。
【請求項31】
前記疾病、疾患又は医学的状態が糖尿病である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記疾病、疾患又は医学的状態が心不全である、請求項30に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−508014(P2012−508014A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535643(P2011−535643)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063276
【国際公開番号】WO2010/053990
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】