説明

Candidakefyrシトシンデアミナーゼ

Candida kefyr由来の新規のシトシンデアミナーゼ遺伝子およびタンパク質が、提供される。このタンパク質は、E.coli酵素と比較した場合、5−フルオロシトシンプロドラッグをその毒性形態に転換する増大した能力を有する。1つの実施形態では、この核酸は、cDNAであってもよい。1つの実施形態では、この核酸は、ヒト細胞における発現に最適化されていてもよく、別の実施形態では、細菌細胞における発現に最適化されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、酵母Candida kefyr由来のシトシンデアミナーゼ(CD)のタンパク質およびcDNA、これらの改変体ならびにそれらの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
シトシンデアミナーゼ(CD)は、シトシンをウラシルに変換する酵素である。本酵素の細菌版および真菌版はまた、5−フルオロシトシン(5FC)を5−フルオロウラシル(5FU)に変換し得る。しかし、そのヒト酵素およびマウス酵素は、5FCを基質として認識しない。細菌CDおよび真菌CDは、5FCを5FUに変換し、次いで5FUは、すべての種において5−フルオロ−デオキシウリジン一リン酸(5FdUMP)に変換される。5FdUMPは、チミジル酸シンターゼの不可逆性のインヒビターであり、5FdUMPの蓄積は、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)欠乏によるDNA合成を阻害することで、細胞死を引き起こす。
【0003】
ヒトCD遺伝子は5FCを5FUに変換しないので、プロドラッグ5FCは、細菌CD遺伝子または真菌CD遺伝子を発現するように操作されたヒト細胞においてのみ毒性である。このことは、腫瘍を処置する際に有利に用いられ、「自殺遺伝子」システムの1つの例である。腫瘍は、細菌CD遺伝子または真菌CD遺伝子で形質転換され、それは通常は、CD遺伝子を含んだベクターの直接注入、移植または全身投与による。次いで、患者は、5FCで処置され、5FUの毒性効果は、分裂を続ける形質転換細胞の死滅を引き起こす。
【0004】
この自殺遺伝子システムは、悪性腫瘍を処置するためのアプローチとして広く研究されている。このシステムの利点の1つは、自殺遺伝子をすべての腫瘍細胞が取り込むことは効果的な治療のために必要ではないことであり、動物において、20%未満の細胞が自殺遺伝子を発現した場合でも、完全な腫瘍応答が報告されている。この現象は、「バイスタンダー(bystander)効果」として公知であり、特定の細胞が死滅し、その薬剤ロード(load)が放出された場合の近隣の細胞に対する薬剤の持続的毒性に基づく(6)。
【0005】
この自殺遺伝子システムは、正確な標的化を必要とする。なぜなら、プロドラッグへの曝露を受けた正常細胞における遺伝子発現が、その細胞が分裂を試みたときに細胞を殺傷するためである。この問題は、自殺遺伝子が標的とされた細胞の選択された集団においてのみ発現するように、自殺遺伝子を組織特異的(または優先的に腫瘍特異的)プロモーターの制御下に配置することにより取り組まれている。α−フェトプロテインプロモーターは、肝ガン細胞において優先的に活性化され、このようなアプローチの1つの例である(8)。多くのプロモーター配列は完全に腫瘍特異的というわけではないので、この自殺遺伝子は、若干量の健康な組織においてもまた発現され得る。しかし、これは効力に対して致命的ではない。なぜなら、大部分の化学療法と同様に、この処置の前提が、活発に分裂する細胞が薬剤により優先的に標的化されるということだからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自殺遺伝子は、腫瘍の特異的標的化についての有望なアプローチであるけれども、このシステムの大部分の局面において改善の余地がある。特に、活性が上昇した酵素は、より低用量の5FCの利用を可能にし、報告された高い5FC用量の免疫抑制効果を回避する。本発明は、そのような改善の1つを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
用語「融合体」は、化学的に連結しているポリペプチド(またはそのようなポリペプチドをコードする核酸)、融合体タンパク質全体に公知の性質を与えるために利用され得る公知の性質を備えた別のペプチド(またはこれをコードする核酸)を言及するために用いられる。融合体の使用は、タンパク質精製を容易にするため、目的のタンパク質を可視化するために当該分野で一般的である。タンパク質融合体の例は、ベクターからのタンパク質の発現物であり、ここで、このタンパク質はインテイン(intein)(自己切断タンパク質)に作動可能に連結しており、インテリンは結合ドメインに作動可能に連結している。結合ドメインの基質を固体表面に対して固定することによって、目的のタンパク質は、この表面に結合し得、リンスされ得、そしてインテイン切断を誘導する条件下で放出され得る。融合体の他の例としては、抗原性タグ(例えば、HISまたはFLAG)の使用が挙げられ、このタグはタグ化されたタンパク質を単離するかまたは可視化するために用いられ得る。
【0008】
本明細書で用いられる場合、用語「ヒト化」は、もとのアミノ酸配列を依然として保持しながらも、コドンがヒト遺伝子においてよりしばしば利用されるコドンに変換されているタンパク質コード配列をいう。同様に、「E.coliバイアス(bias)」は、E.coliにおける発現に最適化されている遺伝子をいう。
【0009】
本明細書で用いられる場合、用語「単離された」は、天然の環境から取り出された、核酸またはポリペプチドをいう。単離されたタンパク質の1つの例は、ポリクローナル抗体により結合され、細胞の残骸を除くためにリンスされ、さらなる処理なしに利用される、タンパク質である。脱塩(salt−cut)タンパク質調製物、サイズ分画調製物、親和性吸着(absorbed)調製物、組み換え遺伝子、組み換えタンパク質、組み換え核酸を発現した宿主細胞由来の細胞抽出物、組み換えタンパク質が分泌された培地などがまた、挙げられる。例えば、別のタンパク質を介して固体支持体に結合したタンパク質は、高くとも純度50%であるので、用語「単離された」が用いられるが、単離されたタンパク質は、当該分野で一般的かつ信頼性高く用いられる。
【0010】
本明細書で用いられる場合、「精製された」は、天然の環境から分離され、その結果所定のサンプルにおいて核酸またはポリペプチドの全量の少なくとも95%である、核酸またはポリペプチドをいう。タンパク質の純度は、本明細書ではSDS−PAGEおよび銀染色により評価される。核酸の純度は、アガロースゲルおよびEtBr染色により評価される。
【0011】
本明細書で用いられる場合、用語「実質的に精製された」は、天然の環境から取り出され、かつ少なくとも75%の純度である核酸配列またはタンパク質配列をいう。好ましくは、少なくとも80、85または90%の純度が実現される。
【0012】
本明細書で用いられる場合、語句「核酸」または「核酸配列」は、gDNA、cDNAまたはRNAであり得、一本鎖または二本鎖であり得る、ポリヌクレオチドをいう。この用語はまた、ペプチド核酸(PNA)または任意の化学的なDNA様物質もしくはRNA様物質を包含する。「cDNA」は、細胞において天然に存在するmRNAから作製されたコピーDNAをいう。「gDNA」は、ゲノムのDNAをいう。これらの組み合わせもまた、可能である(すなわち、部分gDNAおよび部分cDNAである組み換え核酸)。
【0013】
「フラグメント」は、抗原性、構造ドメイン、または全長タンパク質の酵素活性を保持しているポリペプチド(または、そのようなポリペプチドをコードする核酸配列)をいう。CDタンパク質の「酵素的活性」は、本明細書中では、5FCの5FUへの変換として定義される。保存されたシトシンデアミナーゼドメイン(残基3〜104)を含む「構造的領域」は、図5において示される。
【0014】
本明細書で用いられる場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも約15ヌクレオチド〜100ヌクレオチドおよびその間のすべての整数のヌクレオチドの核酸配列をいう。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、約18〜30ヌクレオチドであり、最も好ましくは約20〜25ヌクレオチドである。概して、オリゴヌクレオチドは、特異性のために22〜25ヌクレオチド長よりも長くなければならないが、特定の用途においてはより短いオリゴヌクレオチドで足りることもある。
【0015】
本明細書で用いられる場合、用語「作動可能に会合している(associated)」または「作動可能に連結している(linked)」は、機能的に結合した核酸配列をいう。
【0016】
本明細書で用いられる場合、CDポリペプチドの「改変体」は、1つ以上のアミノ酸残基により変更されたアミノ酸配列をいう。そのような改変体は、天然に存在し得るか、または合成によって調製され得る。一般的な改変体としては、「保存的な」変化、短縮化、およびドメイン除去または同様のタンパク質での交換が挙げられる。どのアミノ酸残基が、生物学的活性または免疫学的活性を無効にすることなしに、置換され得、挿入され得、または欠失され得るかを決定することにおける指針は、当該分野に周知であるコンピュータープログラム(例えば、LASERGENETMソフトウェア)および多くの公知のCD遺伝子に対しての比較を用いて見出され得る。
【0017】
用語「天然に存在する改変体」は、該当の集団において天然に見出される、タンパク質または核酸対立遺伝子を含む。天然に存在する対立遺伝子改変体は、点変異(point)型、スプライシング型、または他の型の天然に存在する改変体であり得る。
【0018】
「高ストリンジェンシー(high stringency)」は、65℃における0.2×SSC、0.1%SDSという洗浄条件をいう。「中程度のストリンジェンシー(medium stringency)」は、55℃における0.2×SSC、0.1%SDSという洗浄条件をいう。
【0019】
「同一性%」の計算において、問合せ(query)配列のうちの整列されていない末端部分は、計算中には含まれない。同一性は、参照配列の全長にわたって計算され、従って、問合せ配列との短い局所の整列は、関連がない(例えば、同一性%=問合せ配列中の整列されていない残基の数/参照配列の長さ)。整列は、Tatusova TAおよびMadden TL(1999)FEMS Microbiol.Lett.174:247−250によって記載される通りのBLAST相同性整列を用いて行われる。フィルターが外されたことを除いて、デフォルトパラメーターが用いられた。2001年1月1日現在、デフォルトパラメーターは以下のとおりであった:必要に応じてBLASTNまたはBLASTP;マトリックス=BLASTNについてなし、BLASTPについてBLOSUM62;ギャップデフォルトを空けるためのG Cost=ヌクレオチドについて5、タンパク質について11;ギャップ[整数]デフォルトを広げるためのE Cost=ヌクレオチドについて2、タンパク質について1;ヌクレオチドミスマッチ[整数]デフォルトについてのq Penalty=−3;ヌクレオチド一致[整数]デフォルトについてのr(報酬)=1;e予想値[リアル]デフォルト=10;W(ワードサイズ)[整数]デフォルト=ヌクレオチドについて11、タンパク質について3;ビットにおけるblast拡張についてy Dropoff(X)(0の場合のデフォルト)デフォルト=blastnについて20,他のプログラムについて7;(ビットにおける)ギャップを空けた(gapped)整列についてXドロップオフ値、blastnについて30、他のプログラムについて15;(ビットにおける)ギャップを空けた整列についてZ最終Xドロップオフ値、blastnについて50、他のプログラムについて25。本プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてオンラインで利用可能である。
【0020】
Candida kefyr(別名Candida pseudotropicalis、Kluyveromyces marxianus、Kluyveromyces fragilis)CDは、いくつかの先行技術のシトシンデアミナーゼタンパク質を超える改善物である。C.kefyr CDは、(これまで)E.coli CDと比較して顕著に低い発現レベルを示すが、その活性は、5FCを5FUへと変換する際にずっと高い。さらに、5FCは、天然の基質であるシトシンよりもC.kefyr CDについてのよりよい基質である。表1は、本明細書中に教示される配列のリストを提供する。
【0021】
【表1−1】

【0022】
【表1−2】

他のタンパク質改変体は、配列番号2を参照して表2に記載される。
【0023】
【表2】

本発明は、概して、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列のC.kefyrシトシンデアミナーゼのタンパク質および遺伝子またはcDNAの配列に関する。そのタンパク質をコードするcDNAの改変体が提供され、その改変体としては、E.coliバイアスCD cDNA(配列番号7)、ヒト化CD cDNA(配列番号8)およびヒト化されておりかつCpGを含まないCD cDNA(配列番号9)が挙げられる。融合体もまた、提供され、融合体は、特に、CD−ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ融合体(配列番号10)およびCD−FLAG融合体(表2を参照のこと)である。
【0024】
その核酸配列は、伝統的な自殺遺伝子治療の方法論において用いられ得る。自殺遺伝子治療は、第I相臨床試験、第II相臨床試験および第III相臨床試験であり、よく確立された処置補足物または処置代替物である。C.kefyr遺伝子は、現在の自殺遺伝子配列を超える利点を提供する。なぜなら、このタンパク質の5FCを5FUに変換する能力が改善されるために、より少ない量の5FCが治療のために必要とされるからである。この遺伝子はまた、生化学的特徴付け、抗体の調製などのために大量のタンパク質を調製する際用途を有する。
【0025】
多くの改変体タンパク質配列が提供され、この配列は、先行技術の配列との公知の相同性およびタンパク質の予想される特性の両方に基づいており、表1〜3ならびに図5および図6において示される。提供された変異体の範囲すべては、開示される通り、野生型配列と94%以内のアミノ酸同一性である。最も近い先行技術の配列は、C.kefyrシトシンデアミナーゼのタンパク質と74%のアミノ酸同一性しか有していない。
【0026】
C.kefyrシトシンデアミナーゼの抗原性フラグメントもまた提供され、そのフラグメントは、本発明の抗体をうまく作製するために、既に用いられている。抗原性フラグメントは、表5に示されるように、独自であるかまたは保存されるために選択され得る。同様に、配列番号1または配列番号3のヌクレオチド配列のフラグメントは、オリゴヌクレオチドプローブとして、またはいろいろな方法におけるプライマーとして用いられ得る。より大きなフラグメントもまた、プローブとして用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(発明の実施形態の説明)
本発明は、Candida kefyrシトシンデアミナーゼ(CK−CD)のタンパク質およびcDNAの配列に関する。i)CDをコードするE.coliバイアスDNA配列およびヒト化DNA配列、ii)抗原性ポリペプチドフラグメントおよびこれらに対する抗体、iii)このファミリーにおける多くのタンパク質との比較に基づいて、機能活性を保持することが予想される改変体および不活性な変異体、iv)天然に存在する改変体、v)融合タンパク質(例えば、FLAG、GFP、ルシフェラーゼ、ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼおよびモノクローナル抗体融合体)もまた、含まれる。
【実施例】
【0028】
(実施例1:CDのクローニングおよび配列特性)
Candida kefyrについてのゲノムDNAを、ATCCから購入した。公知の真菌のシトシンデアミナーゼ遺伝子FCA1(C.albicans)およびFCY1(S.cerevisiae)のアミノ酸配列の整列を、相同である遺伝子領域について縮重したプライマーを設計するために用いた。このオリゴヌクレオチドは、以下の通りであった:
【0029】
【化1】

ポリメラーゼ連鎖反応を、記載のプライマーおよび0.1μgのゲノムDNAを用いて、以下の条件で行った:
【0030】
【化2】

反応条件は、以下の通りであった:94℃で3分間(1サイクル)、続いて94℃で45秒間、40℃で45秒間、72℃で30秒間の25サイクル。10μlの反応物を、3%アガロースゲルに流した。公知のCD遺伝子の配列の整列に基づいて、予想されるフラグメントサイズを、反応において用いたプライマーのセットに依存して66塩基対と200塩基対との間にあると予想した。そして、そのCK PCRは予想されるフラグメントを生成した。これらのフラグメントを、アガロースゲルから切り出し、そしてpCRScriptクローニングベクター(STRATAGENETM、La Jolla、Ca)にサブクローニングした。プラスミドDNAを精製し、制限消化により、正しい挿入物サイズを含んでいるクローンについて分析した。プラスミドDNAを、ResGen Laboratories(INVITROGENTM、Carlsbad、CA)により配列決定した。
【0031】
上に記載のクローンの配列に基づき、プライマーを、Genome Walkerキット(CLONTECHTM、Palo Alto、CA)における使用のために設計して合成し、C.kefyrの全長CD遺伝子を単離した。このキットと共に用いたオリゴヌクレオチドは、以下の通りであった:
【0032】
【化3】

「ライブラリー」を作製し、Genome Walkerキットのプロトコルにおいて記載の通りにPCRを行った。PCR産物を、pcDNA2.1(INVITROGENTM)中にサブクローニングし、プラスミドDNAを精製し、そしてクローンを、配列決定のためにResGen Laboratoriesに送った。C.kefyr遺伝子の5’末端および3’末端についての配列を決定し、制限酵素部位(斜体)を含むオリゴヌクレオチドおよび哺乳動物のKozak配列(太字)を、以下のように設計して合成した:
【0033】
【化4】

全長CD遺伝子を、PCRによりC.kefyrゲノムDNAから以下の条件で単離した:
【0034】
【化5】

94℃で30秒間、65℃で30秒間、および72℃で1分間の25サイクルを、サーモサイクラーにおいて行った。PCR産物を、エチジウムブロマイド染色を用いてアガロースゲルにより分析した。フラグメントを、適切な制限酵素を用いて消化し、標準方法によりpCMV4Aベクター(STRATAGENETM)にサブクローニングした。シトシンデアミナーゼ遺伝子の配列を、ResGen Laboratoriesにより確認した。
【0035】
この遺伝子を含んだクローンを、ATCCにPTA−4867として寄託した。クローニングされた挿入物を、配列決定した。これを図1に示し、翻訳産物を図2に示す。天然に存在する対立遺伝子改変体を、図3および図4において示す。配列番号2のタンパク質は、152アミノ酸であり、以下のように特徴付けられる:
【0036】
【表3】

(実施例2:CDの発現)
ヒト胚性腎細胞(HEK293細胞)を、これら構築物の1つ(CK−CD−FLAG、CK−CD、E−CD−FLAG、E−CDまたはベクター単独(pCMV−tag4C))で一過性にトランスフェクションした。コントロール実験を行い、各構築物が比較できる効率でトランスフェクションされたことを確認した。構築物とGFP含有プラスミドとで共にトランスフェクトされた細胞は、ほぼ等しいトランスフェクションのレベルを示した。
【0037】
この実験の詳細は、以下の通りである:10cmディッシュの293細胞を、FuGene 6(ROCHETM)を用いて、10μgまたは15μgのCD構築物で1:3のDNA/FuGene比率においてトランスフェクションした。キャリアDNAは用いなかった。細胞溶解産物を、1mlの溶解緩衝液(20mM Tris−Cl、pH8、150mM NaCl、1%TritonX−100)中に、48時間後に3回の凍結/融解サイクル(ドライアイスを用いて10分間および室温で10分間)により収集した。
【0038】
30μlの細胞溶解産物を、12%SDS−PAGEにより分離し、膜にトランスファーし、次いで1:5000希釈の抗flagモノクローナル抗体(SIGMATM)を用いたウエスタンブロットを行った。その膜を、ヤギ抗マウス二次抗体(1:10000、AMERSHAMTM)に結合したHRPと共にインキュベートし、そのシグナルを、ECLシステム(AMERSHAMTM)を用いて可視化した。図7におけるデータは、E.coli CD−FLAGが、同じベクター中に構築されているにもかかわらず、Candida kefyr CD−FLAGよりもずっと効率的に発現していることを示す。同様の結果が、細胞を2μgの各DNA構築物でトランスフェクションした場合に得られた(データは示さず)。ヒト化C.kefyr遺伝子を試験するための実験を計画すると、ヒト化遺伝子は、発現レベルを改善することが予想される。
【0039】
細菌のタンパク質は、酵母のタンパク質よりもより強く発現したので、2つのクローンの発現の量についてのレベルを比較する試みが、行われた。第二のウエスタンブロットにおいて、30μlのCK−CD−FLAGを、増大する量のE−CD−FLAGに対して比較した。図8にみられるように、30μlのCK−CD−FLAG(約18KDバンド)は、4μlのE−CD−FLAG(約60KDバンド)とおおよそ等しく、約7.5倍よりよく発現していることを示す。次の実験においては、細胞溶解産物のこの比率を用いる。約38KDでのより薄いバンドの存在は、CK−CDタンパク質のいくらかの部分が、二量体化することを示し得る。
【0040】
(実施例3:酵素アッセイ)
変換アッセイのために、1μlの100μCi/mlの14C−シトシンまたは14C−5FC(MORAVEK BIOCHEMICALSTM)のいずれかを、45μlの酵母CD細胞溶解産物または6μlの細菌CD細胞溶解産物に加え、指示された温度において2時間または16時間インキュベートした。この反応混合液を、TLCプレート(LK5DF SILICA GEL、Cat.No.4856−821、WHATMANTM)にロードし、1−ブタノール:HO(85:15)で3時間分離した。次いで、プレートを乾燥させ、オートラジオグラフィーにより可視化した。しかし、CD活性はまた、De Vito(2)およびMartino(17)により記載の通り、19F核磁気共鳴(NMR)によっても、アッセイされ得る。
【0041】
細胞溶解産物を、シトシンからウラシルへの変換について、37℃における16時間のアッセイにおいてアッセイした。CK−CD−FLAG(D33Eバリエーションを有する)、CK−CD、E−CD−FLAG、およびE−CDの活性を、図9に示す。FLAGタグなしのCK−CDは、タグ付のタンパク質よりもずっと活性が高いことは明白である(レーン1とレーン2との比較)。このことは、増大した発現または上昇した活性またはそれらの何らかの組み合わせを表し得る。これはまた、CD−FLAG改変体におけるD33E変異も反映し得る。このCK−CDタンパク質は非常に小さいので、前の形態もまた、発現がまた阻害されることを示すけれども、FLAGがその活性を阻害し得ることが予想される。
【0042】
このC.kefyrのCDタンパク質は、E.coliのCDタンパク質で見出されたよりも、シトシンに対してはるかに活性が低いことが見出された(レーン2とレーン4との比較)。これはおそらく、採用されたアッセイ条件が、E.coliのタンパク質に最適化されたという事実を反映する。さらに、反応時間を増加させると細菌の活性が上昇するように見えるが(データは示さず)、酵母のタンパク質の活性はそうではない。このことは、独立のアッセイにおいて確認され(データは示さず)、これは、これらの条件下で酵母の酵素は、細菌の酵素よりもわずかに安定性が少ないことを示し得る。
【0043】
S.cerevisiaeのタンパク質はまた、熱的に不安定であることも公知である(測定されたT1/2=1時間、(16))。しかし、構造分析は、どちらの酵母のタンパク質も、哺乳動物細胞においてより安定であるべきことを示す(計算されたT1/2>30時間、表3〜4を参照のこと)。従って、本発明者らは、安定性が、反応条件を最適化することにより改善され得ることを予測し、この研究は進行中である。
【0044】
次の実験において、本発明者らは、5FCに対する各酵素の活性を試験した。この実験を、シトシンの代わりに5FCを用いたこと以外は、上に記載の通り行った。さらに、本実験を、温度最適化研究と組み合わせ、4つの異なった温度において行った。図10において示されるように、酵母のタンパク質は、細菌のタンパク質よりもより低い最適温度を有し、これはおそらく各生物についての代表的な環境の増殖条件を反映した。しかし、C.kefyrのタンパク質は、37℃において、そのタンパク質がヒトの治療において有用であるために、十分に活性が高かった。さらに、安定性を増大させた改変体は、下の実施例において記載されている通り、37℃において増殖させた酵母をスクリーニングすることにより単離され得る。
【0045】
そのCK−CDタンパク質は、シトシンに対して、より活性が低かったが、CK−CDタンパク質は、2時間においてE.coli CDよりも、5FCに対して、予想外により活性が高い。これは、図10において示され、ここでは、酵母のタンパク質が5FCの5FUへのはるかによい変換を示す(レーン1とレーン3との比較またはレーン2とレーン4との比較)。16時間の反応において、細菌のタンパク質は、酵母のタンパク質と等しいか、またはより多くの5FUを生成する(データは示さず)が、上で検討された通り、これはおそらく、採用した反応条件下における細菌のタンパク質のよりよい安定性を反映する。
【0046】
本実験は、酵母のタンパク質が、プロドラッグ5FCに対して細菌のタンパク質よりもより活性が高いことを示す。従って、Candida kefyr CD遺伝子およびタンパク質は、自殺遺伝子治療において利点を提供する。なぜなら、依然として細胞傷害性を達成しながらも、減少した投与量の5FCが採用され得るからである。5FCに対する酵母のタンパク質の比活性が、細菌のタンパク質の比活性をはるかに超えるということを確認するための実験が、進行中である。
【0047】
上のアッセイを用いて、この酵素をさらに特徴付け、そして既存のシトシンデアミナーゼのタンパク質と比較した。その結果は、以下の通りである:
【0048】
【表4】

(実施例4:細胞傷害アッセイ)
HT29細胞、HT29/bCD細胞、およびHT29/yCD細胞における5FCおよび5FUの放射線増感作用を、標準的な試験管内腫瘍細胞感受性試験(3)を用いて決定する。細胞を、10%の透析血清を含む培地において37℃において照射する前に、種々の濃度における5FCまたは5FUで24時間処置する。放射線生存のデータを、同じ条件下で5FCまたは5FUで処置した照射されていないプレートを用いて、平均培養効率について補正する。その生存している割合を、照射線量に対してプロットし、曲線を線形二次方程式を用いて適合させる。放射線感受性を、細胞生存曲線の下の面積を表すMIDとして表す(1)。放射線増感をERとして表した。これは、MIDcontrol/MIDtreatedとして定義される。
【0049】
バイスタンダー細胞に対する5FCおよび5FUの細胞傷害性作用および放射線増感作用を決定するために、90%のバイスタンダーハイグロマイシン耐性HT29細胞および10%のピューロマイシン耐性CD形質導入HT29細胞の共存培養物を用いる。ハイグロマイシン耐性HT29細胞およびピューロマイシン耐性CD形質導入HT29細胞の細胞生存を、処理後、選択培地において細胞をプレーティングすることにより決定し、上に記載の通りの標準的な試験管内腫瘍細胞感受性試験を用いて評価する。
【0050】
細胞傷害性アッセイ。トランスフェクションされた細胞を、1×10細胞/ウェルの密度で100μlの培養培地を含んだ96ウェルマイクロタイタープレート中にまいた。10mg/mlの5FC溶液の無菌ストック希釈物のセットを、調製した。1日後、増大する濃度の5FCをウェルに加え、プロドラッグを含まないコントロールのウェルを含めた。5〜7日後、細胞を新しい培地で洗浄し、そして結果を定量するための血球計数板を用いて、トリパンブルー排除により細胞傷害性を評価した。この結果は、増大した変換率に起因して、細菌と比較して、5FCの単位用量あたりで増大した細胞傷害性およびバイスタンダー効果を示す(10倍まで)ことが予想される。同様に、CD−FUR1融合タンパク質において、上昇した活性が予想される。C.kefyrのタンパク質が、S.cerevisiaeのタンパク質とどのように匹敵するかということは公知ではないが、このタンパク質が、5FCについて、細菌のCDタンパク質よりも22倍低いKmおよび4倍高いVmaxを有することは公知である。従って、その活性は、一度アッセイがC.kefyrに最適化されると、C.kefyrにおいてほぼ等しいかまたは多分いくらか上昇することが予想される。
【0051】
(実施例5:抗体)
この表中に記載されたペプチドフラグメントを、合成し、ウサギに注入するために用いる。ポリクローナル抗体を、そこから調製し、活性についてスクリーニングする。最もよいサンプルを、モノクローナル抗体を調製するために選択する。
【0052】
【表5】

今までに、本発明者らは、標準的技法に従って、そのタンパク質のアミノ末端およびカルボキシル末端に由来するペプチドに対するポリクローナル抗体を調製している。そのペプチドは、Met−Ala−Glu−Trp−Asp−Gln−Lys−Gly−Met−Asp−Lys−Ala−Tyr−Glu−Glu−Cys(配列番号23)およびCys−Lys−Glu−Phe−Ile−Glu−Lys−Arg−Pro−Glu−Asp−Trp−Tyr−Glu−Asp−Ile−Gly−Glu(配列番号24)であった。各々について、モノクローナル抗体を単離するための研究が、計画される。
【0053】
(実施例6:改変体)
表2に記載された特異的改変体を、配列番号1または配列番号3の部位特異的変異誘発により、合成する。しかし、さらなる改変体を作製し得、図5または図6において黒いボックスで示された保存された残基は、不活性の変異体を所望しない場合を除き、変化しないことが示唆される。さらに、チミジンおよびデオキシシチジル酸デアミナーゼの亜鉛結合領域(灰色のボックス)内の変化もまた、この領域の外側の変化よりも耐えられないと予想される。C.kefyrのCDにとって重要であり得た残基を、図6において太字で示す。これらの残基は、最も近いホモログと比較して、荷電における変化を含み、結合領域中に存在する。これらの残基における変化は、機能を変化させることが予想される。活性な改変体は、2つの酵母において保存されていない残基において(特に、結合領域の外側の残基)、保存的変化を含む改変体である可能性がある。
【0054】
改変体を、E.coliにおいて発現させ、実施例3に記載のアッセイ、または任意の適切なアッセイを用いて、活性についてスクリーニングする。あるいは、ランダム突然変異誘発を行い、その生成物を同様にスクリーニングする。このようにして、37℃における改善された温度安定性を有する改変体を単離すること、および本明細書に記載の活性よりもさらによい活性を有する変異体を単離することは、可能である。
【0055】
天然に存在する改変体を、高ストリンジェンシーにおいて、配列番号1または配列番号3のcDNAでCandida kefyrの集団をスクリーニングすることにより、単離する。あるいは、天然の対立遺伝子は、配列番号1または配列番号3の完全な範囲を提供する、重複するオリゴヌクレオチドのアレイを用いたASO(対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド)スクリーニングにより単離され得る。さらなる第3の代替において、より高い活性の変異体は、ピリミジン源としてシトシンで増殖する酵母のCD変異体のレスキュー(rescue)スクリーニングにより、単離され得る。
【0056】
(実施例7:CD−FUR1融合体)
Candida kefyr CD遺伝子およびウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(FUR1)の融合タンパク質を、配列番号10に示す通りに構築する。類似の構築物を、Saccharomyces cerevisiae CD(FCY1)で作製した(15)。このFCYl−FURl融合体は、5FCの毒性代謝産物5FUおよび5−FdUMPへの直接変換を効率的に触媒する二機能性のキメラタンパク質をコードし、従って、特定のヒト腫瘍細胞の5FUに対する天然の耐性を回避する。予想外に、その融合タンパク質のシトシンデアミナーゼ活性は、野生型よりも100倍高く、結果として5FCの濃度に対する非常に増大した感受性(1000倍増大した感受性)となった。さらに、バイスタンダー効果もまた、FCY1もしくはFUR1の単独のどちらか一方または組み合わせよりも、融合タンパク質でより効果的であった。Candida kefyr遺伝子は、S.cerevisiae遺伝子と74%同一性であるので、この遺伝子は、同様に機能すると予想され、そしてこのことを確認するために実験を行う。
【0057】
多様式治療の別の型は、複製の条件的な(replication−conditional)単純疱疹ウイルス1変異体で達成され得る。このウイルスのリボヌクレオチドレダクターゼ遺伝子は、酵母のシトシンデアミナーゼをコードする配列により分断されている。HSVlyCD感染細胞は、ウイルス複製および腫瘍崩壊を顕著に減少させることなしに、5FCを5FUに変換する。HSVlyCD感染細胞は、ウイルス複製により破壊され、そして非感染細胞は、子孫ビリオンおよび5FUの細胞外拡散の両方からのバイスタンダー殺傷を受ける。これは、抗腫瘍効果を増大させることが示されている(18)。
【0058】
(実施例8:CD−モノクローナル抗体融合体)
CDは、モノクローナル抗体に対して共有結合し得、腫瘍細胞表面上の抗原に対して結合する結合体を形成し、従って、CDを特異的細胞型に対して標的化する。本実験を、S.cerevisiae CDを用いて行い、この組み合わせは、抗体の標的について特異的であった(5)。類似の効果は、CD−モノクローナル抗体融合タンパク質の発現によって達成され得る。
【0059】
(実施例9:自殺遺伝子治療)
インビボにおける予備的な自殺遺伝子治療の結果は、ヌードマウスの腫瘍モデルを用いて得られる。ヒト結腸ガン細胞株HT29を、10%の熱不活化子ウシ血清、2mMグルタミン、100IU/mlペニシリン、および100mg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI中で増殖させる。細菌のCD遺伝子または種々の酵母のCD遺伝子(ヒト化C.kefyr CD遺伝子を含む)のどちらかを発現する安定なHT29細胞株は、レトロウイルスベクターLZR(Lazarus)またはアデノウイルスに基づく遺伝子―ウイルス(gene−viral)ベクターを用いたウイルス感染により作製される(19)。細胞を、感染24時間後に再びまいてシングルコロニーを形成させ、その細胞を単離し、そしてCD活性について試験する。CD陽性クローンを、マウス腫瘍モデルを作製するために用いる。
【0060】
7〜8週齢のメスのヌードマウス(Nu/Nu CD−1、Charles River Laboratories、Wilmington、MA)は、上で作製された5×10の生存可能なHT29−CD細胞を、脇腹に注入(皮下注射)を受ける。腫瘍を、2週間ごとにカリパスで二次元において測定する。腫瘍体積を、次の式を用いて、mm単位で計算する:(3.14/6)(L×W)。腫瘍が、>50mmであり、かつ100〜150mmの平均体積と測定された場合、処置を開始する。マウスは、500mg/kgの5FCまたは25mg/kgの5FUを、2週間の間、週に5日、毎日注入(腹腔内)を受ける。処置の間での効力における差異を、測定する。
【0061】
自殺遺伝子治療は、いくつかの第I相臨床試験および第II相臨床試験において、既に試験されており、安全性および適度な効力の両方が示されている。しかし、トランスフェクション効率および遺伝子発現の両方の改善の余地がある。5FCを5FUに変換するより活性のある酵素をコードする遺伝子の使用は、自殺遺伝子治療における利益を提供し、より低い用量の5FCの使用を可能にすることが予想される。新規のC.kefyr CD遺伝子での臨床的な実験は、しばらくの間行われない。暫定的に、反応条件をC.kefyr CDタンパク質に最適化するための研究が現在行われており、細胞傷害性アッセイおよび上に記載のヌードマウスの異種移植腫瘍モデル(xenographic tumor model)において、その細胞傷害性が確認される。C.kefyr CD遺伝子は、確立された細菌の遺伝子を超える利益を提供し、S.cerevisiae遺伝子を超える改善物であると証明され得ることが予想される。
【0062】
(実施例11:腫瘍応答モニタリング)
C.kefyr CD遺伝子またはその改変体は、インビトロにおける自殺遺伝子治療に対する個々の腫瘍細胞の反応を試験するために、用いられ得る。候補の腫瘍細胞は、上のようにトランスフェクトされ、治療に対するそれらの応答性を、インビトロまたはマウス腫瘍モデルのどちらかにおいてアッセイする。腫瘍細胞は、確立された腫瘍細胞株または個体から生検された腫瘍細胞であり得る。このようにして、CK遺伝子を用いた自殺遺伝子治療から利益を受ける可能性の最も高い腫瘍を、同定し得る。
【0063】
引用:すべての引用文献は、これによって明白に参考として援用され、便宜上ここに再記載される。
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【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】Candida kefyrシトシンデアミナーゼのcDNA配列(配列番号1)。このcDNAは、PCR増幅によりクローニングされた。そのPCRには、先行技術の真菌の配列の間で保存された配列部分に由来したプライマーを用いた。
【図2】Candida kefyrシトシンデアミナーゼのアミノ酸配列(配列番号2)。このアミノ酸配列は、cDNAのヌクレオチド配列に由来した。
【図3】改変体Candida kefyrシトシンデアミナーゼのcDNA配列(74C→T、99T→C、159T→A、243T→C、309C→T、336A→G、365A→Gである(配列番号3))。この改変体CDタンパク質は、以前に記載されたシステムを用いて増幅された異なったクローンから得られた。
【図4】改変体Candida kefyrシトシンデアミナーゼのアミノ酸配列D33E(配列番号4)。このアミノ酸配列は、図3におけるcDNAのヌクレオチド配列に由来した。
【図5】Candida kefyr(配列番号2)、S.cerevisiae(配列番号5)、C.albicans(配列番号6)およびCDコンセンサス配列を用いたCD複数配列の整列。S.cerevisiae配列はGenBank登録番号NP_015387号から得られた。C.albicans配列はGenBank登録番号AAC15782号から得られた。コンセンサス配列は、タンパク質ドメインのPfamデータベースおよびHMM(http://pfam.wustl.edu/index.html)登録番号PF00383号から得られた。FASTA形式における配列は、Higgins(7)に従ってデフォルトパラメーター(http://www.ebi.ac.uk/clustalw)を用いて整列された。2002年6月20現在のデフォルトの設定は以下であった:CPUモード=clustalw_mp;整列=完全(full);出力形式=aln w/数;出力順序=整列順;有色整列(color alignment)=なし;KTUP=def;ウィンドウの長さ(window length)=def;スコア=パーセント;トップダイアゴ(topdiag)=def;ペアギャップ(pairgap)=def;系統樹=なし(オフ、オフ);マトリックス=def;ギャップオープン(gap open)=def;末端ギャップ=def;ギャップ拡張(extension)=def;ギャップ距離(distance)=def;系統樹の型(tree type)=分岐図;系統樹のギャップ距離=非表示。
【図6】S.cerevisiae配列との対での(pairwise)整列。配列は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において整列された。
【図7】抗FLAGを用いたウエスタンブロット。抗FLAG抗体は、CK−CD−FLAGおよびE−CD−FLAGを含むCD構築物の発現を確認するために用いられる。この細菌のタンパク質は、酵母のタンパク質よりもずっと強く発現する。
【図8】CK−CD−FLAGおよびE−CD−FLAGの力価測定。抗FLAG抗体を用いるウエスタンブロットにより試験したところ、30μlのCK−CD−FLAG溶解産物は、3μlのE−CD−FLAG溶解産物とほぼ等しい。このことは、CK−CD−FLAGタンパク質が、E−CD−FLAGよりも約10倍少なく発現されることを示唆する。しかし、コントロール実験(共トランスフェクトしたGFP含有ベクターを有する、データは示さず)は、おおよそ等しいトランスフェクション効率を示す。
【図9】シトシンからウラシルへのアッセイ。等しい量の細胞溶解産物は、シトシンからウラシルへの変換について37℃においての16時間のアッセイにおいてアッセイされる。CK−CD−FLAG、CK−CD、E−CD−FLAG、およびE−CDの活性が示され、FLAGタグなしのCK−CDは、FLAG付きのタンパク質よりもずっと活性が高いことは明らかである。このことは、増大した発現もしくは上昇した活性またはそれらの何らかの組み合わせを表し得る。
【図10】異なった温度における5FCから5FUへのアッセイ。等しい量の細胞溶解産物は、シトシンからウラシルへの変換について37℃においての2時間のアッセイにおいて、指示された温度においてアッセイされる。CK−CDは、CK−CD−FLAGよりもずっと活性が高く、そして、このことは、よりよい発現、よりよい活性または両方を反映し得る。タグ化された酵母CDおよびタグ化されていない酵母CDの両方は、5FCに対して細菌のタンパク質よりもより活性が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された核酸であって、配列番号2のC.Kefyrシトシンデアミナーゼをコードする配列を含む、核酸。
【請求項2】
前記核酸が、cDNAである、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
前記核酸が、配列番号1(野生型CD cDNA)を含む、請求項2に記載の核酸。
【請求項4】
前記核酸が、配列番号7(E.coliバイアスCD cDNA)を含む、請求項2に記載の核酸。
【請求項5】
前記核酸が、配列番号8(ヒト化CD cDNA)を含む、請求項2に記載の核酸。
【請求項6】
前記核酸が、配列番号9(ヒト化されておりかつCpGを含まないCD cDNA)を含む、請求項2に記載の核酸。
【請求項7】
前記核酸が、配列番号10(CD−ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ融合体)を含む、請求項2に記載の核酸。
【請求項8】
前記核酸が、ヒト細胞における発現に最適化されている、請求項2に記載の核酸。
【請求項9】
前記核酸が、細菌細胞における発現に最適化されている、請求項2に記載の核酸。
【請求項10】
前記核酸が、ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼをコードする核酸およびプロモーターに作動可能に融合されている、請求項2に記載の核酸。
【請求項11】
単離された核酸であって、ATCC PTA−4867における挿入物の配列を含む、核酸。
【請求項12】
単離された核酸であって、ATCC PTA−4867における挿入物の配列を含むタンパク質をコードする、核酸。
【請求項13】
単離された核酸であって、ATCC PTA−4867における挿入物の配列からなるタンパク質をコードする、核酸。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の核酸を含むベクターであって、該核酸が、プロモーターに作動可能に連結している、ベクター。
【請求項15】
前記作動可能に連結しているプロモーターが、ヒト組織における組織特異的発現を可能にする、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
前記作動可能に連結しているプロモーターが、ヒトガン組織における優先的発現を可能にする、請求項14に記載のベクター。
【請求項17】
単離された核酸であって、該核酸は、配列番号2のC.kefyrシトシンデアミナーゼの抗原性フラグメントをコードし、該フラグメントは、長さが少なくとも17アミノ酸でかつ長さが152アミノ酸未満の配列を含む、核酸。
【請求項18】
前記フラグメントが、C.kefyrシトシンデアミナーゼに特有である、請求項17に記載の核酸。
【請求項19】
前記フラグメントが、少なくとも1つの他の真菌類のシトシンデアミナーゼにおいて保存される、請求項17に記載の核酸。
【請求項20】
単離された核酸であって、表2に記載のようなC.kefyrシトシンデアミナーゼの改変体をコードする、核酸。
【請求項21】
単離された核酸であって、配列番号2の全長にわたって配列番号2と少なくとも94%の同一性を有する、C.kefyrシトシンデアミナーゼの天然に存在する改変体をコードする、核酸。
【請求項22】
単離された核酸であって、配列番号2の全長にわたって少なくとも94%の同一性を有するタンパク質をコードする配列を含む、核酸。
【請求項23】
単離されたタンパク質であって、配列番号2の全長にわたって少なくとも94%の同一性を有する配列を含む、タンパク質。
【請求項24】
前記配列が、少なくとも95%の同一性を有する、請求項23に記載のタンパク質。
【請求項25】
前記配列が、少なくとも98%の同一性を有する、請求項23に記載のタンパク質。
【請求項26】
配列番号2を含む、請求項23に記載のタンパク質。
【請求項27】
配列番号2からなる、請求項23に記載のタンパク質。
【請求項28】
単離されたタンパク質であって、表2に記載の通りのC.kefyrシトシンデアミナーゼの改変体を含む、タンパク質。
【請求項29】
実質的に精製された、請求項23〜28に記載のタンパク質。
【請求項30】
精製された、請求項23〜28に記載のタンパク質。
【請求項31】
配列番号2の抗原性フラグメントに特異的に結合する、抗体。
【請求項32】
C.kefyrシトシンデアミナーゼタンパク質を生成する方法であって、栄養培地中で請求項14に記載のベクターを含む宿主細胞を増殖させる工程および発現したC.kefyrシトシンデアミナーゼタンパク質を収集する工程、を包含する、方法。
【請求項33】
単離されたオリゴヌクレオチドであって、長さが少なくとも22ヌクレオチドであり、配列番号1由来の少なくとも22個連続したヌクレオチドの配列を有する、オリゴヌクレオチド。
【請求項34】
単離された核酸であって、長さが少なくとも100ヌクレオチドであり、配列番号1由来の少なくとも100個連続したヌクレオチドの配列を有する、核酸。
【請求項35】
単離されたオリゴヌクレオチドであって、長さが少なくとも22ヌクレオチドであり、配列番号3由来の少なくとも22個連続したヌクレオチドの配列を有する、オリゴヌクレオチド。
【請求項36】
単離された核酸であって、長さが少なくとも100ヌクレオチドであり、配列番号3由来の少なくとも100個連続したヌクレオチドの配列を有する、核酸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−517394(P2006−517394A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565652(P2004−565652)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/041037
【国際公開番号】WO2004/061079
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(500132889)オニックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】