説明

LED点灯装置及びこれを備えた表示装置

【課題】従来の信号機制御盤を用いつつ、半導体リレーのスイッチがオフした状態では発光ダイオードを消灯させることができるLED点灯装置を提供する。
【解決手段】LED点灯装置は、交流電源からの交流電圧が、オン又はオフに切り替えられ且つオフ時に抵抗成分を有するスイッチ部を介して、供給される。LED点灯装置は、供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する整流素子と、前記整流電圧が供給されるLED素子と、第1抵抗及び第2抵抗を有する抵抗切り替え部と、を備える。前記抵抗切り替え部は、前記整流電圧が判定電圧未満の時、前記第1端子及び第2端子間に前記第1抵抗を接続し、前記整流電圧が前記判定電圧以上の時、前記第1端子及び第2端子間に、前記第1抵抗に代えて、前記第1抵抗より高抵抗な前記第2抵抗を接続する。前記判定電圧は、前記LED素子が点灯するために必要な電圧未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED点灯装置及びこれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行者用信号機には、一般的に、点灯素子として白熱電球が用いられている。図5に示すように、この歩行者用信号機200は、白熱電球210と、白熱電球210の点灯を制御する信号機制御盤20とを備える。
【0003】
信号機制御盤20は、交流電源Eから供給される交流電圧を白熱電球210に伝えるか否かスイッチングする半導体リレーSSR(Solid State Relay)を有する。半導体リレーSSRは、等価回路で表すと、スイッチSW1と、スイッチSW1のオン/オフを制御する制御回路CCと、が入出力端子間に並列接続されている。半導体リレーSSRの制御回路CCは、スイッチSW1のオン/オフに拘らず電流を流す。そのため、半導体リレーSSRは、オフ時に、制御回路CCに起因した抵抗成分(例えば数十kΩ)を入出力端子間に等価的に有し、交流電圧を完全に遮断することはできない。白熱電球210は、半導体リレーSSRのオフ時の抵抗成分を介して電圧及び電流が加えられても点灯しない特性を有している。
【0004】
一方、近年、白熱電球に比して低消費電力、高寿命、メンテナンスが容易、且つ、高信頼性という特性を有する発光ダイオード(LED)が注目されている。このような発光ダイオードの優れた特性のため、点灯素子として発光ダイオードを用いた歩行者用信号機が求められている。発光ダイオードを用いた歩行者用信号機として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−259993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発光ダイオードを用いた歩行者用信号機と、白熱電球を用いた従来の歩行者用信号機200とでは、回路構成が大きく異なるため、白熱電球210を発光ダイオードに置き換えるには、白熱電球を用いた従来の歩行者用信号機200全体を交換する必要がある。従って、費用負担が大きくなるという問題がある。
【0007】
そのため、上記白熱電球を用いた従来の歩行者用信号機200の信号機制御盤20をそのまま用いて、白熱電球210のみを発光ダイオードに交換する技術が考えられる。しかし、前述のように、半導体リレーSSRのスイッチがオフした状態であっても、半導体リレーSSRは抵抗成分を有しているため、発光ダイオードに電圧及び電流が加えられて発光ダイオードが点灯してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、従来の信号機制御盤を用いつつ、半導体リレーのスイッチがオフした状態では発光ダイオードを消灯させることができるLED点灯装置及びこれを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る実施例に従ったLED点灯装置は、
交流電源からの交流電圧が、オン又はオフに切り替えられ且つオフ時に抵抗成分を有するスイッチ部を介して、供給されるLED点灯装置であって、
供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する整流素子と、
前記整流電圧が供給されるLED素子と、
第1抵抗及び第2抵抗を有し、供給された前記整流電圧に基づいて前記第1端子及び第2端子間の抵抗を切り替える抵抗切り替え部と、を備え、
前記抵抗切り替え部は、前記整流電圧が判定電圧未満の時、前記第1端子及び第2端子間に前記第1抵抗を接続し、これにより前記第1抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、前記整流電圧が前記判定電圧以上の時、前記第1端子及び第2端子間に、前記第1抵抗に代えて、前記第1抵抗より高抵抗な前記第2抵抗を接続し、これにより前記第2抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、
前記判定電圧は、前記LED素子が点灯するために必要な電圧未満である
ことを特徴とする。
【0010】
上記LED点灯装置において、
前記スイッチ部がオフ時に、前記整流電圧は、前記スイッチ部の前記抵抗成分と前記第1抵抗とによって前記判定電圧未満に降圧されても良い。
【0011】
上記LED点灯装置において、
前記第1抵抗は、前記スイッチ部の前記抵抗成分より低抵抗であっても良い。
【0012】
上記LED点灯装置において、
前記抵抗切り替え部は、
前記第1端子に一端が接続され、前記整流電圧が前記判定電圧以上の時に導通する電圧検出素子と、
前記電圧検出素子の他端に制御端子が接続され、前記第2抵抗と前記第2端子との間に一端及び他端が接続され、前記電圧検出素子が導通した時にオンする第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子の前記一端に制御端子が接続され、前記第1抵抗と前記第2端子との間に一端及び他端が接続され、前記第1のスイッチング素子がオンした時にオフする第2のスイッチング素子と、を有しても良い。
【0013】
上記LED点灯装置において、
前記LED素子と前記整流素子の前記第2端子との間に接続され、前記LED素子に流れる電流を制御する電流制御部を備えても良い。
【0014】
上記LED点灯装置において、
前記電流制御部は、
前記LED素子に一端が接続された電流制御素子と、
前記電流制御素子の他端と前記第2端子との間に接続された第3抵抗と、
前記第1端子に一端が接続された第4抵抗と、
前記第4抵抗の他端に一端が接続され、前記第2端子に他端が接続され、生成した基準電圧を前記一端から前記電流制御素子の制御端子に供給する基準電圧生成素子と、を有しても良い。
【0015】
上記LED点灯装置において、
前記第4抵抗の一端は前記電圧検出素子を介して前記第1端子に接続されていても良い。
【0016】
上記LED点灯装置において、
前記電流制御部は、前記LED素子と前記整流素子の前記第2端子との間に接続された電流制御抵抗を有しても良い。
【0017】
上記LED点灯装置において、
前記LED素子は、直列接続された複数のLEDで構成されていても良い。
【0018】
上記LED点灯装置において、
前記電圧検出素子は、ツェナーダイオードであっても良い。
【0019】
上記LED点灯装置において、
前記基準電圧生成素子は、前記電流制御素子の他端の電圧が一定となるように前記基準電圧を生成するシャントレギュレータであっても良い。
【0020】
上記LED点灯装置において、
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値の十倍以上であっても良い。
【0021】
上記LED点灯装置において、
前記抵抗切り替え部は、
前記電圧検出素子の他端と前記第1のスイッチング素子の制御端子との間に接続された第5抵抗を更に有しても良い。
【0022】
上記LED点灯装置において、
前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子は、NPNトランジスタであっても良い。
【0023】
上記LED点灯装置において、
前記電流制御素子は、N型MOSトランジスタであっても良い。
【0024】
本発明の一態様に係る実施例に従った表示装置は、
交流電源からの交流電圧が供給され、オン又はオフに切り替えられ且つオフ時に抵抗成分を有するスイッチ部と、
前記スイッチ部を介して供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する整流素子と、
前記整流電圧が供給されるLED素子と、
第1抵抗及び第2抵抗を有し、供給された前記整流電圧に基づいて前記第1端子及び第2端子間の抵抗を切り替える抵抗切り替え部と、を備え、
前記抵抗切り替え部は、前記整流電圧が判定電圧未満の時、前記第1端子及び第2端子間に前記第1抵抗を接続し、これにより前記第1抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、前記整流電圧が前記判定電圧以上の時、前記第1端子及び第2端子間に、前記第1抵抗に代えて、前記第1抵抗より高抵抗な前記第2抵抗を接続し、これにより前記第2抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、
前記判定電圧は、前記LED素子が点灯するために必要な電圧未満である
ことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係るLED点灯装置によれば、抵抗切り替え部が、整流電圧が判定電圧未満の時、第1抵抗を、整流素子を介してスイッチ部に電気的に接続して、整流電圧が判定電圧以上の時、第1抵抗より高抵抗である第2抵抗を、整流素子を介してスイッチ部に電気的に接続するようにしている。また、上記判定電圧は、LED素子が点灯するために必要な電圧未満になるようにしている。これにより、スイッチ部がオフ時には、整流電圧は、スイッチ部の抵抗成分と第1抵抗とによって降圧されるので、スイッチ部の抵抗成分が存在しても、LED素子を点灯しないようにできる。また、スイッチ部がオン時には、整流電圧が判定電圧以上になると、電流は第1抵抗に流れず高抵抗な第2抵抗に流れる。従って、LED素子の点灯に寄与しない電流が第1抵抗に流れる期間を短縮して、電力損失及び発熱量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置を備える表示装置の回路図である。
【図2】図2は、比較例に係るLED点灯装置を備える表示装置の回路図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置と、比較例に係るLED点灯装置と、の電流及び電圧を示す波形図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係るLED点灯装置を備える表示装置の回路図である。
【図5】図5は、従来の歩行者用信号機の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置10を備える表示装置の回路図である。表示装置は、LED点灯装置10と、信号機制御盤(制御部)20と、を備える。本実施例では、表示装置は、歩行者用信号機を構成しているものとする。
【0029】
信号機制御盤20は、電源Eに直列接続された半導体リレー(スイッチ部)SSR(Solid State Relay)を有する。半導体リレーSSRは、オン又はオフに切り替えられ且つオフ時に抵抗成分Rssrを有する。即ち、半導体リレーSSRは、等価回路で表すと、スイッチSW1と抵抗成分Rssrとが入出力端子間に並列接続されている。抵抗成分Rssrは、例えば数十kΩであり、半導体リレーSSRの形式によって異なる。
【0030】
LED点灯装置10には、交流電源Eからの交流電圧が、半導体リレーSSRを介して、供給される。つまり、半導体リレーSSRがオン時には、スイッチSW1が閉じ、交流電源Eからの交流電圧がスイッチSW1を介してそのままLED点灯装置10に供給される。半導体リレーSSRがオフ時には、スイッチSW1が開き、交流電源Eからの交流電圧が抵抗成分Rssrを介してLED点灯装置10に供給される。
【0031】
LED点灯装置10は、整流素子B1と、LED素子11と、電流制御部12と、抵抗切り替え部13と、を備える。
【0032】
整流素子B1は、4つのダイオードで構成されたブリッジダイオードである。整流素子B1は、交流電源Eから半導体リレーSSRを介して供給された交流電圧を全波整流して第1端子T1及び第2端子T2間から整流電圧Vrを出力する。
【0033】
LED素子11は、整流素子B1の第1端子T1にアノード(一端)が接続され、整流電圧Vrが供給される。本実施例では、LED素子11は、第1端子T1と電流制御部12との間に直列接続された34個のLED(LED1〜LED34)で構成されている。例えば、1つのLEDの順方向電圧を3Vとすると、LED素子11が点灯するために必要な電圧は、約100Vである。
【0034】
電流制御部12は、LED素子11のカソード(他端)と整流素子B1の第2端子T2との間に接続され、LED素子11に流れる電流を制御する。
【0035】
抵抗切り替え部13は、第1抵抗R1及び第2抵抗R2を有し、供給された整流電圧Vrに基づいて第1端子T1及び第2端子T2間の抵抗を切り替える。第1抵抗R1は、一端が第1端子T1に接続され、半導体リレーSSRの抵抗成分Rssrより低抵抗である。第2抵抗R2は、一端が第1端子T1に接続され、第1抵抗R1より高抵抗である。例えば、第2抵抗R2の抵抗値は、第1抵抗R1の抵抗値の十倍以上である。本実施例では、第1抵抗R1は約5kΩであり、第2抵抗R2は約200kΩである。
【0036】
具体的には、抵抗切り替え部13は、整流電圧Vrが判定電圧未満の時、整流素子B1の第1端子T1及び第2端子T2間に第1抵抗R1を電気的に接続し、これにより第1抵抗R1を、整流素子B1を介して半導体リレーSSRに電気的に接続する。よって、半導体リレーSSRがオフ時に、整流電圧Vrは、半導体リレーSSRの抵抗成分Rssrと第1抵抗R1とによって降圧される。半導体リレーSSRがオフ時に、整流電圧Vrが判定電圧未満になるように、第1抵抗R1の値が設定されている。従って、半導体リレーSSRがオフ時には、定常的に、第1抵抗R1が半導体リレーSSRに電気的に接続されるようになっている。上記判定電圧は、LED素子11が点灯するために必要な電圧未満である。
【0037】
また、抵抗切り替え部13は、整流電圧Vrが判定電圧以上の時、整流素子B1の第1端子T1及び第2端子T2間に、第1抵抗R1に代えて、第2抵抗R2を電気的に接続し、これにより第2抵抗R2を、整流素子B1を介して半導体リレーSSRに電気的に接続する。
【0038】
本実施例では、抵抗切り替え部13は、ツェナーダイオード(電圧検出素子)ZD1と、NPNトランジスタ(第2のスイッチング素子)Q1と、NPNトランジスタ(第1のスイッチング素子)Q2と、第5抵抗R4と、をさらに有する。
【0039】
ツェナーダイオードZD1は、第1端子T1にカソード(一端)が接続され、整流電圧Vrが判定電圧以上の時に導通する。つまり、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧が判定電圧となる。例えば、本実施例では、判定電圧は約30Vである。
【0040】
NPNトランジスタQ2は、ツェナーダイオードZD1のアノード(他端)に、電流制限用の第5抵抗R4を介してベース(制御端子)が接続され、第2抵抗R2の他端にコレクタ(一端)が接続され、第2端子T2にエミッタ(他端)が接続されている。これにより、NPNトランジスタQ2は、ツェナーダイオードZD1が導通した時に、第5抵抗R4を介してベースに電流が流れてオンする。
【0041】
NPNトランジスタQ1は、NPNトランジスタQ2のコレクタにベース(制御端子)が接続され、第1抵抗R1の他端にコレクタ(一端)が接続され、第2端子T2にエミッタ(他端)が接続されている。NPNトランジスタQ1は、NPNトランジスタQ2がオンした時にオフする。
【0042】
電流制御部12は、N型MOSトランジスタ(電流制御素子)Q3と、第3抵抗R5と、第4抵抗R3と、シャントレギュレータ(基準電圧生成素子)IC1と、を有する。
【0043】
N型MOSトランジスタQ3は、LED素子11のカソードにドレイン(一端)が接続されている。第3抵抗R5は、N型MOSトランジスタQ3のソース(他端)と第2端子T2との間に接続されている。電流制限用の第4抵抗R3の一端は、ツェナーダイオードZD1を介して第1端子T1に接続されている。
【0044】
シャントレギュレータIC1は、第4抵抗R3の他端にカソード(一端)が接続され、第2端子T2にアノード(他端)が接続され、N型MOSトランジスタQ3のソースに基準端子が接続されている。シャントレギュレータIC1は、基準端子に供給されたN型MOSトランジスタQ3のソースの電圧が一定となるように基準電圧を生成し、生成した基準電圧を、カソードからN型MOSトランジスタQ3のゲート(制御端子)に供給する。N型MOSトランジスタQ3のソースの電圧が一定となるように制御されるので、LED素子11に流れる電流は、ほぼ一定に制御される。
【0045】
次に、発明者らが知得する比較例のLED点灯装置100について説明する。
【0046】
図2は、比較例に係るLED点灯装置100を備える表示装置の回路図である。このLED点灯装置100においては、第5抵抗R4の一端が、ツェナーダイオードZD1のアノードに接続される代わりに、N型MOSトランジスタQ3のソースに接続されている点が、実施例1のLED点灯装置10と異なる。これら以外の構成は、図1の実施例1の構成と同一であるため、同一の構成要素に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0047】
比較例のLED点灯装置100は、LED素子11に電流が流れたことを検出して、それにより第1抵抗R1に電流が流れないようにする。
【0048】
次に、実施例1のLED点灯装置10の動作を、比較例のLED点灯装置100の動作と比較して説明する。
【0049】
(1)半導体リレーSSRがオフ時
半導体リレーSSRがオフ時、実施例1のLED点灯装置10と、比較例のLED点灯装置100は、共に、第1抵抗R1に電流を流すように動作する。この時、交流電圧は抵抗成分Rssrを介して供給されるため、整流素子B1の第1端子T1及び第2端子T2間のインピーダンスに応じて、整流電圧Vrは交流電圧より低い電圧となる。
【0050】
実施例1のLED点灯装置10では、交流電圧の増加に応じて整流電圧Vrが0Vから増加した直後、整流電圧Vrは判定電圧未満であるため、ツェナーダイオードZD1は導通しない。従って、NPNトランジスタQ2はオフする。一方、整流電圧Vrによって、第2抵抗R2を介してNPNトランジスタQ1のベースに電流が流れるので、NPNトランジスタQ1がオンする。これにより、オフ状態にある半導体リレーSSRの抵抗成分Rssrと、整流素子B1と、第1抵抗R1と、NPNトランジスタQ1と、に電流が流れる。従って、交流電源Eからの交流電圧は、半導体リレーSSRの抵抗成分Rssrと第1抵抗R1とによって分圧される。得られた整流電圧Vrは、前述のように、判定電圧未満に降圧されている。よって、交流電圧が最大となってもLED素子11に電流が流れることは無いため、LED素子11は点灯しない。
【0051】
比較例のLED点灯装置100でも、以上と同様に、ツェナーダイオードZD1は導通せず、LED素子11にも電流は流れない。従って、トランジスタQ1がオンし、トランジスタQ2がオフする。整流電圧Vrは、抵抗成分Rssrと第1抵抗R1とによって判定電圧未満に降圧される。これにより、LED素子11は点灯しない。
【0052】
(2)半導体リレーSSRがオン時
この時、実施例1のLED点灯装置10は、比較例のLED点灯装置100とは異なるタイミングで動作する。このことについて、図3を参照して以下に詳しく説明する。
【0053】
図3は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置10と、比較例に係るLED点灯装置100との電流及び電圧を示す波形図である。図3は、半導体リレーSSRがオン時の各波形を、交流電圧の1/2周期に対応する期間だけ示している。図3(a)は、整流電圧Vrと、LED素子11の電流とを示す。図3(b)は、比較例のLED点灯装置100の第1抵抗R1の電流を示す。図3(c)は、実施例1のLED点灯装置10の第1抵抗R1の電流を示す。
【0054】
半導体リレーSSRがオン時、交流電圧は閉状態のスイッチSW1を介して直接的に供給されるため、整流電圧Vrは交流電圧とほぼ等しい電圧となる。実施例1のLED点灯装置10において、時刻t1からt2まで、交流電圧の増加に応じて整流電圧Vrが0Vから増加していくと、整流電圧Vrは判定電圧未満であるため、ツェナーダイオードZD1は導通しない。一方、整流電圧Vrによって、第2抵抗R2を介してNPNトランジスタQ1のベースに電流が流れるので、NPNトランジスタQ1がオンして、第1抵抗R1に電流が流れる。図3(c)に示すように、整流電圧Vrの増加に合わせて第1抵抗R1の電流は増加する。
【0055】
時刻t2において、整流電圧Vrが判定電圧に達すると、ツェナーダイオードZD1は導通する。これにより、ツェナーダイオードZD1及び第5抵抗R4を介してNPNトランジスタQ2のベースに電流が流れるので、NPNトランジスタQ2がオンして、第2抵抗R2に流れる電流が増加する。すると、NPNトランジスタQ1のベース電圧が低下して、NPNトランジスタQ1はオフする。従って、図3(c)に示すように、第1抵抗R1に電流が流れないようになる。前述のように、第2抵抗R2は第1抵抗R1の数十倍の抵抗値を有するので、第2抵抗R2に流れる電流は、第1抵抗R1に流れる電流に比して十分に小さい。
【0056】
時刻t3において、整流電圧Vrが、LED素子11が点灯するために必要な電圧以上になると、図3(a)に示すように、LED素子11に電流が流れる。
【0057】
時刻t4において、整流電圧Vrが、LED素子11が点灯するために必要な電圧未満になると、図3(a)に示すように、LED素子11に電流が流れないようになる。
【0058】
時刻t5から時刻t6において、整流電圧Vrが判定電圧未満になると、ツェナーダイオードZD1は導通しないようになる。従って、図3(c)に示すように、時刻t1からt2と同様に、第1抵抗R1に電流が流れる。
【0059】
このように、時刻t1からt2及び時刻t5からt6の各期間T2において、第1抵抗R1に電流が流れ、時刻t2からt5において、第1抵抗R1に電流が流れず、第2抵抗R2に電流が流れる。
【0060】
これに対して、比較例のLED点灯装置100では、時刻t1からt3まで、整流電圧Vrが0Vから増加していくが、整流電圧VrはLED素子11が点灯するために必要な電圧未満であるため、LED素子11に電流は流れない。従って、NPNトランジスタQ2がオフする。一方、整流電圧Vrによって、第2抵抗R2を介してNPNトランジスタQ1のベースに電流が流れるので、NPNトランジスタQ1がオンして、第1抵抗R1に電流が流れる。図3(b)に示すように、整流電圧Vrの増加に合わせて第1抵抗R1の電流は増加する。
【0061】
時刻t3において、整流電圧Vrが、LED素子11が点灯するために必要な電圧以上になると、図3(a)に示すように、LED素子11に電流が流れる。これにより、第5抵抗R4を介してNPNトランジスタQ2のベースに電流が流れるので、NPNトランジスタQ2がオンして、第2抵抗R2に流れる電流が増加する。すると、NPNトランジスタQ1はオフする。従って、図3(b)に示すように、第1抵抗R1に電流が流れないようになる。
【0062】
時刻t4において、整流電圧Vrが、LED素子11が点灯するために必要な電圧未満になると、図3(a)に示すように、LED素子11に電流が流れないようになる。従って、時刻t1からt3と同様に、第1抵抗R1に電流が流れる。
【0063】
このように、比較例のLED点灯装置100では、時刻t1からt3及び時刻t4からt6の各期間T1に、第1抵抗R1に電流が流れる。即ち、LED素子11に電流が流れていない全期間で、第1抵抗R1に電流が流れる。また、時刻t3からt4において、第1抵抗R1に電流が流れず、第2抵抗R2に電流が流れる。
【0064】
一方、本実施例のLED点灯装置10では、前述のように、LED素子11に電流が流れていない期間の一部、即ち整流電圧Vrが判定電圧より低い期間で、第1抵抗R1に電流が流れる。従って、比較例のLED点灯装置100よりも、第1抵抗R1に電流が流れる期間を大幅に短縮できる。これにより、第1抵抗R1に流れる電流の最大値及び総量、並びに、第1抵抗R1に印加される電圧の最大値を低減できるので、第1抵抗R1での電力の損失も大幅に削減できる。
【0065】
以上で説明したように、本実施例に係るLED点灯装置10によれば、抵抗切り替え部13が、整流電圧Vrが判定電圧未満の時、第1抵抗R1を、整流素子B1を介して半導体リレーSSRに電気的に接続するようにしている。また、抵抗切り替え部13が、整流電圧Vrが判定電圧以上の時、第1抵抗R1より高抵抗である第2抵抗R2を、整流素子B1を介して半導体リレーSSRに電気的に接続するようにしている。また、上記判定電圧は、LED素子11が点灯するために必要な電圧未満になるようにしている。これにより、半導体リレーSSRがオフ時には、整流電圧Vrは、半導体リレーSSRの抵抗成分Rssrと第1抵抗R1とによって降圧されるので、半導体リレーSSRの抵抗成分Rssrが存在しても、LED素子11を点灯しないようにできる。
【0066】
また、半導体リレーSSRがオン時には、整流電圧Vrが判定電圧以上になると、電流は第1抵抗R1に流れず高抵抗な第2抵抗R2に流れる。従って、LED素子11の点灯に寄与しない電流が低抵抗な第1抵抗R1に流れる期間を、比較例のLED点灯装置100より短縮して、電力損失及び発熱量を低減できる。発熱量を低減できることで、歩行者用信号機の低い放熱性にも拘らず、LED点灯装置10の耐久性及び信頼性を向上できる。
【0067】
このように、本実施例に係るLED点灯装置10では、第1抵抗R1の電力損失及び発熱量を低減できるので、第1抵抗R1として、比較例のものより小型、低耐圧且つ小電力な抵抗器を用いることもできる。従って、低コスト化できる。
【0068】
さらに、第1抵抗R1に電流が流れる期間を短縮できることで、第1抵抗R1を比較例のものより低抵抗にしても、電力損失及び発熱量を比較例より低減できる。これにより、比較例より抵抗成分Rssrが低い半導体リレーSSRを用いても、半導体リレーSSRがオフ時に、整流電圧Vrを十分に降圧させて、LED素子11を点灯しないようにできる。従って、様々な形式(メーカー)の半導体リレーSSRを用いることができる。
【0069】
また、第1抵抗R1に電流が流れる期間は、整流電圧Vrによって決定される。従って、その期間は、直列接続されたLEDの数、LED素子11の通電幅、及び、LED素子11の電流値等には影響されない。これに対して、比較例では、直列接続されたLEDの数を増加させた場合や、LED素子11の通電幅を減少させた場合には、LED素子11に電流が流れる期間が短くなるので、その分、第1抵抗R1に電流が流れる期間が増加し、その結果、電力の損失が増加する。
【実施例2】
【0070】
実施例2は、電流制御部の構成が実施例1と異なる。
【0071】
図4は、本発明の実施例2に係るLED点灯装置10aを備える表示装置の回路図である。電流制御部12aは、LED素子11と整流素子B1の第2端子T2との間に接続された電流制御抵抗R5aを有する。抵抗切り替え部13において、ツェナーダイオードZD1のアノードは第5抵抗R4のみに接続されている。その他の構成は、図1の実施例1の構成と同一であるため、同一の構成要素に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
上記構成により、整流電圧Vrが、LED素子11が点灯するために必要な電圧以上に増加した時に、LED素子11と電流制御抵抗R5aに電流が流れて、LED素子11が点灯する。また、抵抗切り替え部13は、実施例1と同様に動作する。従って、本実施例のLED点灯装置10aによっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0073】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
【0074】
例えば、上記各実施例では、スイッチ部は半導体リレーSSRである一例について説明したが、これに限られない。つまり、スイッチ部は、オフ時に交流電圧を遮断できない特性を有する素子であれば良い。例えば、スイッチ部は、交流電源Eからの交流電圧が供給され、オン又はオフに切り替えられ且つオフ時に抵抗成分を有する調光器(ディマー)でも良い。例えば、調光器は、オン時にはLED素子11の明るさを調光できる。また、調光器は、オフ時には抵抗成分を有するが、上記各実施例のLED点灯装置10,10aによれば、LED素子11を消灯できる。
【0075】
また、表示装置が歩行者用信号機を構成している一例を説明したが、これに限られない。表示装置は、自動車用信号機を構成しても良く、また、LED素子11の点灯及び消灯によって何らかの情報を表示するような装置でも良い。
さらに、LED素子11は、1つ又は複数のLEDで構成されていても良い。
【符号の説明】
【0076】
10 LED点灯装置
B1 整流素子
11 LED素子
12 電流制御部
13 抵抗切り替え部
LED1〜LED34 LED
ZD1 ツェナーダイオード(電圧検出素子)
Q1 NPNトランジスタ(第2のスイッチング素子)
Q2 NPNトランジスタ(第1のスイッチング素子)
Q3 N型MOSトランジスタ(電流制御素子)
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
R3 第4抵抗
R4 第5抵抗
R5 第3抵抗
R5a 電流制御抵抗
IC1 シャントレギュレータ(基準電圧生成素子)
20 信号機制御盤(制御部)
SSR 半導体リレー(スイッチ部)
Rssr 抵抗成分
SW1 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電圧が、オン又はオフに切り替えられ且つオフ時に抵抗成分を有するスイッチ部を介して、供給されるLED点灯装置であって、
供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する整流素子と、
前記整流電圧が供給されるLED素子と、
第1抵抗及び第2抵抗を有し、供給された前記整流電圧に基づいて前記第1端子及び第2端子間の抵抗を切り替える抵抗切り替え部と、を備え、
前記抵抗切り替え部は、前記整流電圧が判定電圧未満の時、前記第1端子及び第2端子間に前記第1抵抗を接続し、これにより前記第1抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、前記整流電圧が前記判定電圧以上の時、前記第1端子及び第2端子間に、前記第1抵抗に代えて、前記第1抵抗より高抵抗な前記第2抵抗を接続し、これにより前記第2抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、
前記判定電圧は、前記LED素子が点灯するために必要な電圧未満である
ことを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記スイッチ部がオフ時に、前記整流電圧は、前記スイッチ部の前記抵抗成分と前記第1抵抗とによって前記判定電圧未満に降圧される
ことを特徴とする請求項1に記載のLED点灯装置。
【請求項3】
前記第1抵抗は、前記スイッチ部の前記抵抗成分より低抵抗である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のLED点灯装置。
【請求項4】
前記抵抗切り替え部は、
前記第1端子に一端が接続され、前記整流電圧が前記判定電圧以上の時に導通する電圧検出素子と、
前記電圧検出素子の他端に制御端子が接続され、前記第2抵抗と前記第2端子との間に一端及び他端が接続され、前記電圧検出素子が導通した時にオンする第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子の前記一端に制御端子が接続され、前記第1抵抗と前記第2端子との間に一端及び他端が接続され、前記第1のスイッチング素子がオンした時にオフする第2のスイッチング素子と、を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項5】
前記LED素子と前記整流素子の前記第2端子との間に接続され、前記LED素子に流れる電流を制御する電流制御部を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のLED点灯装置。
【請求項6】
前記電流制御部は、
前記LED素子に一端が接続された電流制御素子と、
前記電流制御素子の他端と前記第2端子との間に接続された第3抵抗と、
前記第1端子に一端が接続された第4抵抗と、
前記第4抵抗の他端に一端が接続され、前記第2端子に他端が接続され、生成した基準電圧を前記一端から前記電流制御素子の制御端子に供給する基準電圧生成素子と、を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のLED点灯装置。
【請求項7】
前記第4抵抗の一端は前記電圧検出素子を介して前記第1端子に接続されている
ことを特徴とする請求項6に記載のLED点灯装置。
【請求項8】
前記電流制御部は、前記LED素子と前記整流素子の前記第2端子との間に接続された電流制御抵抗を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のLED点灯装置。
【請求項9】
前記LED素子は、直列接続された複数のLEDで構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項10】
前記電圧検出素子は、ツェナーダイオードである
ことを特徴とする請求項4に記載のLED点灯装置。
【請求項11】
前記基準電圧生成素子は、前記電流制御素子の他端の電圧が一定となるように前記基準電圧を生成するシャントレギュレータである
ことを特徴とする請求項6に記載のLED点灯装置。
【請求項12】
前記第2抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値の十倍以上である
ことを特徴とする請求項1から請求項11の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項13】
前記抵抗切り替え部は、
前記電圧検出素子の他端と前記第1のスイッチング素子の制御端子との間に接続された第5抵抗を更に有する
ことを特徴とする請求項4から請求項8の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項14】
前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子は、NPNトランジスタである
ことを特徴とする請求項4から請求項8の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項15】
前記電流制御素子は、N型MOSトランジスタである
ことを特徴とする請求項6から請求項8の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項16】
交流電源からの交流電圧が供給され、オン又はオフに切り替えられ且つオフ時に抵抗成分を有するスイッチ部と、
前記スイッチ部を介して供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する整流素子と、
前記整流電圧が供給されるLED素子と、
第1抵抗及び第2抵抗を有し、供給された前記整流電圧に基づいて前記第1端子及び第2端子間の抵抗を切り替える抵抗切り替え部と、を備え、
前記抵抗切り替え部は、前記整流電圧が判定電圧未満の時、前記第1端子及び第2端子間に前記第1抵抗を接続し、これにより前記第1抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、前記整流電圧が前記判定電圧以上の時、前記第1端子及び第2端子間に、前記第1抵抗に代えて、前記第1抵抗より高抵抗な前記第2抵抗を接続し、これにより前記第2抵抗を前記整流素子を介して前記スイッチ部に電気的に接続し、
前記判定電圧は、前記LED素子が点灯するために必要な電圧未満である
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−8630(P2013−8630A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141794(P2011−141794)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【出願人】(391016886)日本フネン株式会社 (30)
【Fターム(参考)】