LED点灯装置及びそれを用いた照明器具
【課題】安価で且つ2灯並列に接続した各LEDランプの光出力の差を低減することのできるLED点灯装置及びそれを用いた照明器具を提供する。
【解決手段】第1のスイッチング素子Q1と、第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2と、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2とを有し、複数の発光ダイオード50,60を備える第1のLEDランプ5及び第2のLEDランプ6に出力電圧を供給する電圧変換部である降圧部3を備え、降圧部3は、第1のインダクタL1及び第1のコンデンサC1を介した経路で第1のLEDランプ5に点灯電力を供給するとともに、第2のインダクタL2及び第2のコンデンサC2を介した経路で第2のLEDランプ6に点灯電力を供給し、第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2には、それぞれ第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2が直列に接続される。
【解決手段】第1のスイッチング素子Q1と、第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2と、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2とを有し、複数の発光ダイオード50,60を備える第1のLEDランプ5及び第2のLEDランプ6に出力電圧を供給する電圧変換部である降圧部3を備え、降圧部3は、第1のインダクタL1及び第1のコンデンサC1を介した経路で第1のLEDランプ5に点灯電力を供給するとともに、第2のインダクタL2及び第2のコンデンサC2を介した経路で第2のLEDランプ6に点灯電力を供給し、第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2には、それぞれ第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2が直列に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED点灯装置及びそれを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)の発光効率の上昇に伴い、低消費電力且つ長寿命である発光ダイオードを照明装置の光源として用いることが可能になっており、発光ダイオードを光源とする照明装置が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の照明装置は、複数の発光ダイオードを一方の面に実装したLED基板と、各発光ダイオードの順電流を一定にする定電流部を備える電源回路部品が実装された回路基板とを外管体の内部に保持したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−43447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例は、LED基板に複数の発光ダイオードを実装したものであり、このようなLED基板を1つのLEDモジュールとしてモジュール単位で直列接続、又は並列接続するものは従来から存在する。一方、このようなLEDモジュールを管体に保持したLEDランプを並列接続して点灯させるものは従来になかった。
【0005】
ここで、例えばLEDランプを2灯並列に接続して点灯させる場合、各LEDランプの発光ダイオードの順方向電圧にばらつきがあると、各LEDランプの管電圧にもばらつきが生じる。これにより、各LEDランプに流れるランプ電流にも差が生じ、各LEDランプの光出力に差が生じてしまうという問題があった。
【0006】
また、発光ダイオードの順方向電圧のばらつき以外にも、点灯装置を構成する部品の性能のばらつきにより、各LEDランプに流れるランプ電流がばらつき、各LEDランプの光出力に差が生じるという問題があった。上記問題を解決するものとしては、ランプ電流が定電流となるように制御する点灯回路をLEDランプ毎に設ける手段が考えられるが、この手段では点灯装置が高価になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、安価で且つ2灯並列に接続した各LEDランプの光出力の差を低減することのできるLED点灯装置及びそれを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のLED点灯装置は、少なくとも1つのスイッチング素子と、第1のインダクタ及び第2のインダクタと、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサとを有し、前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えることで入力電圧を所望の直流電圧に変換するとともに、変換した出力電圧をそれぞれ1乃至複数の発光ダイオードを備える第1のLEDランプ及び第2のLEDランプに供給する電圧変換部を備え、前記電圧変換部は、前記第1のインダクタ及び前記第1のコンデンサを介した経路で前記第1のLEDランプに点灯電力を供給するとともに、前記第2のインダクタ及び前記第2のコンデンサを介した経路で前記第2のLEDランプに点灯電力を供給し、前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタには、それぞれ第1のダイオード及び第2のダイオードが直列に接続されることを特徴とする。
【0009】
このLED点灯装置において、前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタは何れも二次巻線を有し、前記各二次巻線に誘起される二次巻線電圧より前記各インダクタを流れる主巻線電流のゼロクロスを検出するゼロクロス検出部を備え、前記電圧変換部は、前記ゼロクロス検出部からの出力信号に基づいて前記スイッチング素子を駆動し、前記ゼロクロス検出部は、前記各インダクタのうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングで前記電圧変換部へ前記出力信号を送信することが好ましい。
【0010】
本発明の照明器具は、上記何れかのLED点灯装置と、前記LED点灯装置及び前記各LEDランプを保持する器具本体とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、安価な構成で2灯並列に接続した各LEDランプの光出力の差を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るLED点灯装置の実施形態1を示す回路概略図である。
【図2】同上のLED点灯装置における発光ダイオードの説明図で、(a)は発光ダイオード1個の順方向の電流−電圧特性を示す図で、(b)は複数の発光ダイオードを接続したLEDランプの一例を示す図で、(c)は(b)に示したLEDランプの順方向の電流−電圧特性を示す図である。
【図3】複数の発光ダイオードから成るLEDランプにばらつきがある場合の順方向の電流−電圧特性を示す図である。
【図4】同上のLED点灯装置において第1のダイオード及び第2のダイオードを設けない場合を示す回路概略図である。
【図5】(a)は同上のLED点灯装置において各LEDランプの順方向電圧にばらつきがある場合の順方向の電流−電圧特性を示す図で、(b)は図4の回路構成において各LEDランプの順方向電圧にばらつきがある場合の順方向の電流−電圧特性を示す図である。
【図6】本発明に係るLED点灯装置の実施形態2を示す回路概略図である。
【図7】同上のLED点灯装置において第1のダイオード及び第2のダイオードを設けない場合を示す回路概略図である。
【図8】本発明に係るLED点灯装置の実施形態3を示す回路概略図である。
【図9】同上のLED点灯装置において第1のインダクタ及び第2のインダクタのインダクタンスにばらつきが無い場合の動作説明図である。
【図10】同上のLED点灯装置において先にゼロクロスを検出したインダクタに基づいた場合の動作説明図である。
【図11】同上のLED点灯装置において後にゼロクロスを検出したインダクタに基づいた場合の動作説明図である。
【図12】本発明に係る照明器具の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、本発明に係るLED点灯装置の実施形態1について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1に示すように、整流部1と、昇圧部2と、降圧部3と、後述する各スイッチング素子Q1,Q2,Q20にそれぞれ駆動信号を与えるドライバ4とを備える。本実施形態の入力端には、外部の交流電源AC1と、交流電源AC1から本実施形態への電力供給経路のオン/オフを切り替えるスイッチSW1とが接続されている。また、本実施形態の出力端には、それぞれ複数の発光ダイオード50,60を直列接続して成る第1のLEDランプ5及び第2のLEDランプ6が並列に接続されている。
【0014】
整流部1は、図1に示すように、例えばダイオードブリッジから成り、交流電源AC1から入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を後段の昇圧部2に出力する。
【0015】
昇圧部2は、図1に示すように、インダクタL20及びスイッチング素子Q20の直列回路と、スイッチング素子Q20と並列に接続されるダイオードD20及びコンデンサC20の直列回路とから成る。スイッチング素子Q20は、N型チャネルのMOSFETから成り、ドライバ4から駆動信号を与えられることでオン/オフを制御される。したがって、昇圧部2は、スイッチング素子Q20のオン/オフを適宜制御することで整流部1からの脈流電圧を昇圧して、所定電圧の直流電圧に変換して後段の降圧部3に出力することで力率を改善する。
【0016】
降圧部3は、図1に示すように、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2の直列回路を備える。各スイッチング素子Q1,Q2の接続点には、第1のダイオードD1、第1のインダクタL1、第1のコンデンサC1の直列回路と、第2のダイオードD2、第2のインダクタL2、第2のコンデンサC2の直列回路とが並列に接続されている。また、第1のインダクタL1及び第1のコンデンサC1の直列回路には、回生電流を流すためのダイオードD3が並列に接続されている。同様に、第2のインダクタL2及び第2のコンデンサC2の直列回路には、回生電流を流すためのダイオードD4が並列に接続されている。なお、第1のコンデンサC1には、第1のLEDランプ5が並列に接続されており、第2のコンデンサC2には、第2のLEDランプ6が並列に接続されている。
【0017】
第1のスイッチング素子Q1は、N型チャネルのMOSFETから成り、ドライバ4から駆動信号を与えられることでオン/オフを制御される。したがって、第1のスイッチング素子Q1のオン時には、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2、並びに第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2を介して第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2を充電する。そして、第1のスイッチング素子Q1のオフ時には、ダイオードD3,D4を介して回生電流を流し、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2を放電することで、昇圧部2から供給される直流電圧を降圧して後段の各LEDランプ5,6に印加する。すなわち、本実施形態では、降圧部3及びドライバ4が入力電圧を所定の直流電圧に変換して各LEDランプ5,6に供給する電圧変換部を構成している。
【0018】
なお、ドライバ4は、第1のスイッチング素子Q1のスイッチング動作を開始するために、動作開始前には第2のスイッチング素子Q2をオンに切り替えることで、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2との中点電位を約0Vにする。スイッチング動作の開始後は、ドライバ4は第2のスイッチング素子Q2をオフに切り替える。ここで、第2のスイッチング素子Q2を設ける代わりに、第1のスイッチング素子Q1のソース端子とグランドとの間に数100kΩ程度の抵抗を挿入してもよい。この場合、スイッチング動作開始時の第1のスイッチング素子Q1のソース電圧を約0Vとすることができるため、第2のスイッチング素子Q2を設ける場合と同様の機能を果たすことができる。
【0019】
以下、各LEDランプの順方向電圧にばらつきがある場合について説明する。図2(a)に示すのは、各LEDランプ5,6を成す発光ダイオード50,60の順方向の電流−電圧特性である。同図に示すように、発光ダイオード50,60の電圧変化に対する電流変化は急峻であり、例えば順方向電圧が2.0Vの場合と2.1Vの場合とでは、順方向電流が40mAも異なる。ここで、本実施形態のように各LEDランプ5,6はそれぞれ複数の発光ダイオード50,60から構成される。例えば、図2(b)に示すように、20個の発光ダイオードを直列に接続した直列回路を5列並列に接続したものがLEDランプであれば、当該LEDランプの順方向の電流−電圧特性は図2(c)に示すものとなる。このようなLEDランプにおいて順方向電圧にばらつきがあることは、図3に示すように、順方向電圧に対する順方向電流が異なることを意味する。
【0020】
ここで、図4に示すように、本実施形態から第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を除いた構成で各LEDランプ5,6を点灯させる場合について考える。各LEDランプ5,6の印加電圧は、第1のスイッチング素子Q1のスイッチング周波数やオン時間に応じて供給される電流によって、各LEDランプ5,6の順方向電圧に応じた電圧となる。そして、図5(a)に示すように、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがある場合、順方向電圧の大きい第1のLEDランプ5から順方向電圧の小さい第2のLEDランプ6へと電流が流れ込む(図4参照)。これにより、各LEDランプ5,6の印加電圧が等しくなり、第2のLEDランプ6には第1のLEDランプ5に比べて大きなランプ電流が流れる。結果として、図5(b)に示す例では、第1のLEDランプ5と第2のLEDランプ6とでは100mAのランプ電流の差が生じる。このため、第1のLEDランプ5と第2のLEDランプ6とでは光出力に差が生じるため、各LEDランプ5,6の明るさが異なってしまう。
【0021】
一方、本実施形態では、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を備えているので、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがあったとしても、一方のLEDランプから他方のLEDランプへと電流が流れ込むのを防止することができる。したがって、各LEDランプ5,6の印加電圧は、それぞれ第1のスイッチング素子Q1を介した供給電流と順方向電圧とに応じた電圧値となるため、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の差が低減される。
【0022】
上述のように、本実施形態は、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがあったとしても、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の差を低減することで、2灯並列に接続した各LEDランプ5,6の光出力の差を低減することができる。また、本実施形態は、電圧変換部である降圧部3に第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を設けるという安価な構成によって上記の効果を奏することができる。
【0023】
(実施形態2)
以下、本発明に係るLED点灯装置の実施形態2について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態は、図6に示すように、各LEDランプ5,6の低電位側に接続されて各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和を検出する検出抵抗R1と、当該ランプ電流の和が所定値となるように制御信号をドライバ4に送信する制御部7とを備える。
【0024】
ドライバ4は、例えば内部にオペアンプ(図示せず)を備え、制御部7からの制御信号に含まれる指令値と、検出抵抗R1で検出される電流値とが一致するようにフィードバック制御する。すなわち、ドライバ4は、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和が所定の電流値となるように第1のスイッチング素子Q1のスイッチング周波数やオン時間を制御する。
【0025】
ここで、図7に示すように、本実施形態から第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を除いた構成で各LEDランプ5,6を点灯させる場合について考える。この場合、実施形態1でも述べたように、順方向電圧の大きい第1のLEDランプ5から順方向電圧の小さい第2のLEDランプ6へと電流が流れ込む。すると、ドライバ4が上記のフィードバック制御により各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和が所定の電流値となるように制御するため、第2のLEDランプ6に流れ込んだ電流の分だけ第1のLEDランプ5を流れるランプ電流が小さくなる。
【0026】
一方、本実施形態では、実施形態1と同様に第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を設けるという安価な構成で、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがあったとしても、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の差を低減することができる。このため、本実施形態では、2灯並列に接続した各LEDランプ5,6の光出力の差を低減するとともに、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和を一定に保つことができる。
【0027】
(実施形態3)
以下、本発明に係るLED点灯装置の実施形態3について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態2と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態は、図8に示すように、第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2にそれぞれ設けられる二次巻線と、これら二次巻線に誘起される二次巻線電圧に基づいてゼロクロスを検出するゼロクロス検出部8を備える。なお、本実施形態では、第2のスイッチング素子Q2を設ける代わりに、第1のスイッチング素子Q1のソース端子とグランドとの間に抵抗(図示せず)を挿入している。
【0028】
ゼロクロス検出部8は、例えばダイオード等の整流素子や抵抗から構成され、各インダクタL1,L2の二次巻線に誘起される二次巻線電圧から各インダクタL1,L2を流れる主巻線電流のゼロクロスを検出する。すなわち、各インダクタL1,L2の二次巻線には、それぞれ各インダクタL1,L2の主巻線の電圧に応じた電圧が発生し、主巻線の主巻線電流が放出しきったゼロクロスのタイミングで極性が反転する。このため、ゼロクロス検出部8では、この各インダクタL1,L2の二次巻線に誘起される二次巻線電圧の極性が反転するタイミングを主巻線電流のゼロクロスとして検出する。
【0029】
そして、ゼロクロス検出部8は、各インダクタL1,L2のうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号(出力信号)を送信する。ドライバ4は、ゼロクロス検出部8からのオン信号を受けると第1のスイッチング素子Q1をオンに切り替え、検出抵抗R1で検出される電流値が制御部7からの制御信号に含まれる指令値に一致すると、第1のスイッチング素子Q1をオフに切り替える。すなわち、ドライバ4は、ゼロクロス検出部8からのオン信号と、検出抵抗R1で検出される電流値とに基づいて臨界制御を行う。
【0030】
以下、各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが無い場合の臨界制御について図9を用いて説明する。図9には、各インダクタL1,L2を流れる主巻線電流IL1,IL2の波形、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧の波形、各インダクタL1,L2の二次巻線に誘起される二次巻線電圧VL0の波形を示している。同図に示すように、各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが無い場合は、各主巻線電流IL1,IL2がほぼ同じタイミングでゼロクロスするため、各主巻線電流IL1,IL2を平滑化した各ランプ電流I1,I2が略等しくなる。
【0031】
次に、各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが有り、且つ各インダクタL1,L2のうち後に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号を送信する場合について図11を用いて説明する。図11には、第1のインダクタL1のインダクタンスが第2のインダクタL2のインダクタンスよりも大きい場合の各主巻線電流IL1,IL2の波形と、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧の波形とを示している。同図に示すように、先に主巻線電流IL1がゼロクロスした第1のインダクタL1には、第2のインダクタL2の主巻線電流IL2がゼロクロスするまでの間は主巻線電流IL1が流れない。このため、第1のスイッチング素子Q1のオン時間T1とオフ時間T2とを比較し、T1<T2となる場合には、第1のインダクタL1に電流が流れない期間が長くなってしまう。結果として、各ランプ電流I1,I2の差が大きくなり、各LEDランプ5,6の光出力の差が大きくなってしまう。
【0032】
ここで、本実施形態のように、各インダクタL1,L2のうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号を送信する場合について図10を用いて説明する。図10には、図11と同様に、第1のインダクタL1のインダクタンスが第2のインダクタL2のインダクタンスよりも大きい場合の各主巻線電流IL1,IL2の波形と、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧の波形とを示している。同図に示すように、各インダクタL1,L2のうち後に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号を送信する場合と比較して、各ランプ電流I1,I2の差が小さくなり、各LEDランプ5,6の光出力の差を小さく抑えることができる。
【0033】
上述のように、本実施形態では、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流I1,I2に最も寄与する各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが有る場合でも、各LEDランプ5,6の光出力の差を小さく抑えることができる。
【0034】
以下、本発明に係る照明器具の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図12に示すように、上記実施形態1〜3の何れかのLED点灯装置(図示せず)を収納した長尺の箱体から成る器具本体100を備える。器具本体100の長手方向の両端部には、それぞれ2対のソケット101,102が機械的に保持されており、直管型のLEDランプ5,6がそれぞれ各ソケット101,102に着脱自在に装着される。
【0035】
本実施形態は、上記実施形態1,2の何れかのLED点灯装置が用いられることにより、上記実施形態1,2の何れかと同様の効果を奏することができる。勿論、照明器具の構成としては本実施形態の構成に限定されるものではなく、LED点灯装置と、LED点灯装置及びLEDランプを保持する器具本体とを備えた構成であれば他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
3 降圧部(電圧変換部)
4 ドライバ(電圧変換部)
5 第1のLEDランプ
50 発光ダイオード
6 第2のLEDランプ
60 発光ダイオード
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
D1 第1のダイオード
D2 第2のダイオード
L1 第1のインダクタ
L2 第2のインダクタ
Q1 第1のスイッチング素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED点灯装置及びそれを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)の発光効率の上昇に伴い、低消費電力且つ長寿命である発光ダイオードを照明装置の光源として用いることが可能になっており、発光ダイオードを光源とする照明装置が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の照明装置は、複数の発光ダイオードを一方の面に実装したLED基板と、各発光ダイオードの順電流を一定にする定電流部を備える電源回路部品が実装された回路基板とを外管体の内部に保持したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−43447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例は、LED基板に複数の発光ダイオードを実装したものであり、このようなLED基板を1つのLEDモジュールとしてモジュール単位で直列接続、又は並列接続するものは従来から存在する。一方、このようなLEDモジュールを管体に保持したLEDランプを並列接続して点灯させるものは従来になかった。
【0005】
ここで、例えばLEDランプを2灯並列に接続して点灯させる場合、各LEDランプの発光ダイオードの順方向電圧にばらつきがあると、各LEDランプの管電圧にもばらつきが生じる。これにより、各LEDランプに流れるランプ電流にも差が生じ、各LEDランプの光出力に差が生じてしまうという問題があった。
【0006】
また、発光ダイオードの順方向電圧のばらつき以外にも、点灯装置を構成する部品の性能のばらつきにより、各LEDランプに流れるランプ電流がばらつき、各LEDランプの光出力に差が生じるという問題があった。上記問題を解決するものとしては、ランプ電流が定電流となるように制御する点灯回路をLEDランプ毎に設ける手段が考えられるが、この手段では点灯装置が高価になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、安価で且つ2灯並列に接続した各LEDランプの光出力の差を低減することのできるLED点灯装置及びそれを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のLED点灯装置は、少なくとも1つのスイッチング素子と、第1のインダクタ及び第2のインダクタと、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサとを有し、前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えることで入力電圧を所望の直流電圧に変換するとともに、変換した出力電圧をそれぞれ1乃至複数の発光ダイオードを備える第1のLEDランプ及び第2のLEDランプに供給する電圧変換部を備え、前記電圧変換部は、前記第1のインダクタ及び前記第1のコンデンサを介した経路で前記第1のLEDランプに点灯電力を供給するとともに、前記第2のインダクタ及び前記第2のコンデンサを介した経路で前記第2のLEDランプに点灯電力を供給し、前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタには、それぞれ第1のダイオード及び第2のダイオードが直列に接続されることを特徴とする。
【0009】
このLED点灯装置において、前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタは何れも二次巻線を有し、前記各二次巻線に誘起される二次巻線電圧より前記各インダクタを流れる主巻線電流のゼロクロスを検出するゼロクロス検出部を備え、前記電圧変換部は、前記ゼロクロス検出部からの出力信号に基づいて前記スイッチング素子を駆動し、前記ゼロクロス検出部は、前記各インダクタのうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングで前記電圧変換部へ前記出力信号を送信することが好ましい。
【0010】
本発明の照明器具は、上記何れかのLED点灯装置と、前記LED点灯装置及び前記各LEDランプを保持する器具本体とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、安価な構成で2灯並列に接続した各LEDランプの光出力の差を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るLED点灯装置の実施形態1を示す回路概略図である。
【図2】同上のLED点灯装置における発光ダイオードの説明図で、(a)は発光ダイオード1個の順方向の電流−電圧特性を示す図で、(b)は複数の発光ダイオードを接続したLEDランプの一例を示す図で、(c)は(b)に示したLEDランプの順方向の電流−電圧特性を示す図である。
【図3】複数の発光ダイオードから成るLEDランプにばらつきがある場合の順方向の電流−電圧特性を示す図である。
【図4】同上のLED点灯装置において第1のダイオード及び第2のダイオードを設けない場合を示す回路概略図である。
【図5】(a)は同上のLED点灯装置において各LEDランプの順方向電圧にばらつきがある場合の順方向の電流−電圧特性を示す図で、(b)は図4の回路構成において各LEDランプの順方向電圧にばらつきがある場合の順方向の電流−電圧特性を示す図である。
【図6】本発明に係るLED点灯装置の実施形態2を示す回路概略図である。
【図7】同上のLED点灯装置において第1のダイオード及び第2のダイオードを設けない場合を示す回路概略図である。
【図8】本発明に係るLED点灯装置の実施形態3を示す回路概略図である。
【図9】同上のLED点灯装置において第1のインダクタ及び第2のインダクタのインダクタンスにばらつきが無い場合の動作説明図である。
【図10】同上のLED点灯装置において先にゼロクロスを検出したインダクタに基づいた場合の動作説明図である。
【図11】同上のLED点灯装置において後にゼロクロスを検出したインダクタに基づいた場合の動作説明図である。
【図12】本発明に係る照明器具の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、本発明に係るLED点灯装置の実施形態1について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1に示すように、整流部1と、昇圧部2と、降圧部3と、後述する各スイッチング素子Q1,Q2,Q20にそれぞれ駆動信号を与えるドライバ4とを備える。本実施形態の入力端には、外部の交流電源AC1と、交流電源AC1から本実施形態への電力供給経路のオン/オフを切り替えるスイッチSW1とが接続されている。また、本実施形態の出力端には、それぞれ複数の発光ダイオード50,60を直列接続して成る第1のLEDランプ5及び第2のLEDランプ6が並列に接続されている。
【0014】
整流部1は、図1に示すように、例えばダイオードブリッジから成り、交流電源AC1から入力された交流電圧を全波整流して脈流電圧を後段の昇圧部2に出力する。
【0015】
昇圧部2は、図1に示すように、インダクタL20及びスイッチング素子Q20の直列回路と、スイッチング素子Q20と並列に接続されるダイオードD20及びコンデンサC20の直列回路とから成る。スイッチング素子Q20は、N型チャネルのMOSFETから成り、ドライバ4から駆動信号を与えられることでオン/オフを制御される。したがって、昇圧部2は、スイッチング素子Q20のオン/オフを適宜制御することで整流部1からの脈流電圧を昇圧して、所定電圧の直流電圧に変換して後段の降圧部3に出力することで力率を改善する。
【0016】
降圧部3は、図1に示すように、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2の直列回路を備える。各スイッチング素子Q1,Q2の接続点には、第1のダイオードD1、第1のインダクタL1、第1のコンデンサC1の直列回路と、第2のダイオードD2、第2のインダクタL2、第2のコンデンサC2の直列回路とが並列に接続されている。また、第1のインダクタL1及び第1のコンデンサC1の直列回路には、回生電流を流すためのダイオードD3が並列に接続されている。同様に、第2のインダクタL2及び第2のコンデンサC2の直列回路には、回生電流を流すためのダイオードD4が並列に接続されている。なお、第1のコンデンサC1には、第1のLEDランプ5が並列に接続されており、第2のコンデンサC2には、第2のLEDランプ6が並列に接続されている。
【0017】
第1のスイッチング素子Q1は、N型チャネルのMOSFETから成り、ドライバ4から駆動信号を与えられることでオン/オフを制御される。したがって、第1のスイッチング素子Q1のオン時には、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2、並びに第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2を介して第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2を充電する。そして、第1のスイッチング素子Q1のオフ時には、ダイオードD3,D4を介して回生電流を流し、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2を放電することで、昇圧部2から供給される直流電圧を降圧して後段の各LEDランプ5,6に印加する。すなわち、本実施形態では、降圧部3及びドライバ4が入力電圧を所定の直流電圧に変換して各LEDランプ5,6に供給する電圧変換部を構成している。
【0018】
なお、ドライバ4は、第1のスイッチング素子Q1のスイッチング動作を開始するために、動作開始前には第2のスイッチング素子Q2をオンに切り替えることで、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2との中点電位を約0Vにする。スイッチング動作の開始後は、ドライバ4は第2のスイッチング素子Q2をオフに切り替える。ここで、第2のスイッチング素子Q2を設ける代わりに、第1のスイッチング素子Q1のソース端子とグランドとの間に数100kΩ程度の抵抗を挿入してもよい。この場合、スイッチング動作開始時の第1のスイッチング素子Q1のソース電圧を約0Vとすることができるため、第2のスイッチング素子Q2を設ける場合と同様の機能を果たすことができる。
【0019】
以下、各LEDランプの順方向電圧にばらつきがある場合について説明する。図2(a)に示すのは、各LEDランプ5,6を成す発光ダイオード50,60の順方向の電流−電圧特性である。同図に示すように、発光ダイオード50,60の電圧変化に対する電流変化は急峻であり、例えば順方向電圧が2.0Vの場合と2.1Vの場合とでは、順方向電流が40mAも異なる。ここで、本実施形態のように各LEDランプ5,6はそれぞれ複数の発光ダイオード50,60から構成される。例えば、図2(b)に示すように、20個の発光ダイオードを直列に接続した直列回路を5列並列に接続したものがLEDランプであれば、当該LEDランプの順方向の電流−電圧特性は図2(c)に示すものとなる。このようなLEDランプにおいて順方向電圧にばらつきがあることは、図3に示すように、順方向電圧に対する順方向電流が異なることを意味する。
【0020】
ここで、図4に示すように、本実施形態から第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を除いた構成で各LEDランプ5,6を点灯させる場合について考える。各LEDランプ5,6の印加電圧は、第1のスイッチング素子Q1のスイッチング周波数やオン時間に応じて供給される電流によって、各LEDランプ5,6の順方向電圧に応じた電圧となる。そして、図5(a)に示すように、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがある場合、順方向電圧の大きい第1のLEDランプ5から順方向電圧の小さい第2のLEDランプ6へと電流が流れ込む(図4参照)。これにより、各LEDランプ5,6の印加電圧が等しくなり、第2のLEDランプ6には第1のLEDランプ5に比べて大きなランプ電流が流れる。結果として、図5(b)に示す例では、第1のLEDランプ5と第2のLEDランプ6とでは100mAのランプ電流の差が生じる。このため、第1のLEDランプ5と第2のLEDランプ6とでは光出力に差が生じるため、各LEDランプ5,6の明るさが異なってしまう。
【0021】
一方、本実施形態では、第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を備えているので、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがあったとしても、一方のLEDランプから他方のLEDランプへと電流が流れ込むのを防止することができる。したがって、各LEDランプ5,6の印加電圧は、それぞれ第1のスイッチング素子Q1を介した供給電流と順方向電圧とに応じた電圧値となるため、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の差が低減される。
【0022】
上述のように、本実施形態は、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがあったとしても、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の差を低減することで、2灯並列に接続した各LEDランプ5,6の光出力の差を低減することができる。また、本実施形態は、電圧変換部である降圧部3に第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を設けるという安価な構成によって上記の効果を奏することができる。
【0023】
(実施形態2)
以下、本発明に係るLED点灯装置の実施形態2について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態は、図6に示すように、各LEDランプ5,6の低電位側に接続されて各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和を検出する検出抵抗R1と、当該ランプ電流の和が所定値となるように制御信号をドライバ4に送信する制御部7とを備える。
【0024】
ドライバ4は、例えば内部にオペアンプ(図示せず)を備え、制御部7からの制御信号に含まれる指令値と、検出抵抗R1で検出される電流値とが一致するようにフィードバック制御する。すなわち、ドライバ4は、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和が所定の電流値となるように第1のスイッチング素子Q1のスイッチング周波数やオン時間を制御する。
【0025】
ここで、図7に示すように、本実施形態から第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を除いた構成で各LEDランプ5,6を点灯させる場合について考える。この場合、実施形態1でも述べたように、順方向電圧の大きい第1のLEDランプ5から順方向電圧の小さい第2のLEDランプ6へと電流が流れ込む。すると、ドライバ4が上記のフィードバック制御により各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和が所定の電流値となるように制御するため、第2のLEDランプ6に流れ込んだ電流の分だけ第1のLEDランプ5を流れるランプ電流が小さくなる。
【0026】
一方、本実施形態では、実施形態1と同様に第1のダイオードD1及び第2のダイオードD2を設けるという安価な構成で、各LEDランプ5,6の順方向電圧にばらつきがあったとしても、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の差を低減することができる。このため、本実施形態では、2灯並列に接続した各LEDランプ5,6の光出力の差を低減するとともに、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流の和を一定に保つことができる。
【0027】
(実施形態3)
以下、本発明に係るLED点灯装置の実施形態3について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態2と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態は、図8に示すように、第1のインダクタL1及び第2のインダクタL2にそれぞれ設けられる二次巻線と、これら二次巻線に誘起される二次巻線電圧に基づいてゼロクロスを検出するゼロクロス検出部8を備える。なお、本実施形態では、第2のスイッチング素子Q2を設ける代わりに、第1のスイッチング素子Q1のソース端子とグランドとの間に抵抗(図示せず)を挿入している。
【0028】
ゼロクロス検出部8は、例えばダイオード等の整流素子や抵抗から構成され、各インダクタL1,L2の二次巻線に誘起される二次巻線電圧から各インダクタL1,L2を流れる主巻線電流のゼロクロスを検出する。すなわち、各インダクタL1,L2の二次巻線には、それぞれ各インダクタL1,L2の主巻線の電圧に応じた電圧が発生し、主巻線の主巻線電流が放出しきったゼロクロスのタイミングで極性が反転する。このため、ゼロクロス検出部8では、この各インダクタL1,L2の二次巻線に誘起される二次巻線電圧の極性が反転するタイミングを主巻線電流のゼロクロスとして検出する。
【0029】
そして、ゼロクロス検出部8は、各インダクタL1,L2のうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号(出力信号)を送信する。ドライバ4は、ゼロクロス検出部8からのオン信号を受けると第1のスイッチング素子Q1をオンに切り替え、検出抵抗R1で検出される電流値が制御部7からの制御信号に含まれる指令値に一致すると、第1のスイッチング素子Q1をオフに切り替える。すなわち、ドライバ4は、ゼロクロス検出部8からのオン信号と、検出抵抗R1で検出される電流値とに基づいて臨界制御を行う。
【0030】
以下、各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが無い場合の臨界制御について図9を用いて説明する。図9には、各インダクタL1,L2を流れる主巻線電流IL1,IL2の波形、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧の波形、各インダクタL1,L2の二次巻線に誘起される二次巻線電圧VL0の波形を示している。同図に示すように、各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが無い場合は、各主巻線電流IL1,IL2がほぼ同じタイミングでゼロクロスするため、各主巻線電流IL1,IL2を平滑化した各ランプ電流I1,I2が略等しくなる。
【0031】
次に、各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが有り、且つ各インダクタL1,L2のうち後に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号を送信する場合について図11を用いて説明する。図11には、第1のインダクタL1のインダクタンスが第2のインダクタL2のインダクタンスよりも大きい場合の各主巻線電流IL1,IL2の波形と、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧の波形とを示している。同図に示すように、先に主巻線電流IL1がゼロクロスした第1のインダクタL1には、第2のインダクタL2の主巻線電流IL2がゼロクロスするまでの間は主巻線電流IL1が流れない。このため、第1のスイッチング素子Q1のオン時間T1とオフ時間T2とを比較し、T1<T2となる場合には、第1のインダクタL1に電流が流れない期間が長くなってしまう。結果として、各ランプ電流I1,I2の差が大きくなり、各LEDランプ5,6の光出力の差が大きくなってしまう。
【0032】
ここで、本実施形態のように、各インダクタL1,L2のうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号を送信する場合について図10を用いて説明する。図10には、図11と同様に、第1のインダクタL1のインダクタンスが第2のインダクタL2のインダクタンスよりも大きい場合の各主巻線電流IL1,IL2の波形と、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧の波形とを示している。同図に示すように、各インダクタL1,L2のうち後に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングでドライバ4にオン信号を送信する場合と比較して、各ランプ電流I1,I2の差が小さくなり、各LEDランプ5,6の光出力の差を小さく抑えることができる。
【0033】
上述のように、本実施形態では、各LEDランプ5,6を流れるランプ電流I1,I2に最も寄与する各インダクタL1,L2のインダクタンスにばらつきが有る場合でも、各LEDランプ5,6の光出力の差を小さく抑えることができる。
【0034】
以下、本発明に係る照明器具の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、図12に示すように、上記実施形態1〜3の何れかのLED点灯装置(図示せず)を収納した長尺の箱体から成る器具本体100を備える。器具本体100の長手方向の両端部には、それぞれ2対のソケット101,102が機械的に保持されており、直管型のLEDランプ5,6がそれぞれ各ソケット101,102に着脱自在に装着される。
【0035】
本実施形態は、上記実施形態1,2の何れかのLED点灯装置が用いられることにより、上記実施形態1,2の何れかと同様の効果を奏することができる。勿論、照明器具の構成としては本実施形態の構成に限定されるものではなく、LED点灯装置と、LED点灯装置及びLEDランプを保持する器具本体とを備えた構成であれば他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
3 降圧部(電圧変換部)
4 ドライバ(電圧変換部)
5 第1のLEDランプ
50 発光ダイオード
6 第2のLEDランプ
60 発光ダイオード
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
D1 第1のダイオード
D2 第2のダイオード
L1 第1のインダクタ
L2 第2のインダクタ
Q1 第1のスイッチング素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチング素子と、第1のインダクタ及び第2のインダクタと、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサとを有し、前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えることで入力電圧を所望の直流電圧に変換するとともに、変換した出力電圧をそれぞれ1乃至複数の発光ダイオードを備える第1のLEDランプ及び第2のLEDランプに供給する電圧変換部を備え、前記電圧変換部は、前記第1のインダクタ及び前記第1のコンデンサを介した経路で前記第1のLEDランプに点灯電力を供給するとともに、前記第2のインダクタ及び前記第2のコンデンサを介した経路で前記第2のLEDランプに点灯電力を供給し、前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタには、それぞれ第1のダイオード及び第2のダイオードが直列に接続されることを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタは何れも二次巻線を有し、前記各二次巻線に誘起される二次巻線電圧より前記各インダクタを流れる主巻線電流のゼロクロスを検出するゼロクロス検出部を備え、前記電圧変換部は、前記ゼロクロス検出部からの出力信号に基づいて前記スイッチング素子を駆動し、前記ゼロクロス検出部は、前記各インダクタのうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングで前記電圧変換部へ前記出力信号を送信することを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のLED点灯装置と、前記LED点灯装置及び前記LEDランプを保持する器具本体とを備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチング素子と、第1のインダクタ及び第2のインダクタと、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサとを有し、前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えることで入力電圧を所望の直流電圧に変換するとともに、変換した出力電圧をそれぞれ1乃至複数の発光ダイオードを備える第1のLEDランプ及び第2のLEDランプに供給する電圧変換部を備え、前記電圧変換部は、前記第1のインダクタ及び前記第1のコンデンサを介した経路で前記第1のLEDランプに点灯電力を供給するとともに、前記第2のインダクタ及び前記第2のコンデンサを介した経路で前記第2のLEDランプに点灯電力を供給し、前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタには、それぞれ第1のダイオード及び第2のダイオードが直列に接続されることを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタは何れも二次巻線を有し、前記各二次巻線に誘起される二次巻線電圧より前記各インダクタを流れる主巻線電流のゼロクロスを検出するゼロクロス検出部を備え、前記電圧変換部は、前記ゼロクロス検出部からの出力信号に基づいて前記スイッチング素子を駆動し、前記ゼロクロス検出部は、前記各インダクタのうち先に主巻線電流のゼロクロスを検出したタイミングで前記電圧変換部へ前記出力信号を送信することを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のLED点灯装置と、前記LED点灯装置及び前記LEDランプを保持する器具本体とを備えたことを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−142132(P2012−142132A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292760(P2010−292760)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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