説明

LED点灯装置及びLED点灯装置の制御方法

【課題】スイッチング電源及び大容量のコンデンサを用いることなく、フリッカを減少させるか無くす。
【解決手段】LED点灯装置は、交流電圧を整流して第1端子T1及び第2端子T2間から整流電圧Vrを出力する第1の整流素子B1と、第1端子に一端が接続されたLED素子11と、LED素子に流れる電流を制御する電流制御部12と、第1端子と第2端子との間に接続された第1の容量素子C1と、第1端子と第2端子との間で第1の容量素子に直列接続され、電流が流れる方向を制限可能な電流方向制限部13と、制御部14と、を備える。制御部は、整流電圧が第1の容量素子の両端の充電電圧Vcより高くなった時に、電流が流れる方向を第1端子から第2端子の方向に制限するように電流方向制限部を制御すると共に、整流電圧が充電電圧以下になり且つLED素子に流れる電流が所定値未満になった時に、電流が流れる方向の制限を解除するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明等に用いられるLED点灯装置及びLED点灯装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明用のLED電球(LED点灯装置)は、交流電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換するスイッチング電源を備え、変換された直流電圧を、直列接続された複数のLEDで構成されたLED素子に供給している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、スイッチング電源は高価である。また、スイッチング電源は電解コンデンサを有しているが、電解コンデンサは耐熱性が低く且つ寿命がLED素子より短い。従って、電解コンデンサの寿命がLED電球の寿命を決定している。さらには、スイッチング電源はノイズ対策も必要であるが、LED電球の限られたスペースで行うことは容易ではない。
【0004】
一方、スイッチング電源を用いない安価なLED電球が知られている。このLED電球は、交流電源から供給された交流電圧を整流素子(ブリッジダイオード)で全波整流して、整流された整流電圧をLED素子に加えることで、LED素子を点灯させる。また、電流制御部が、LED素子に流れる電流を一定電流に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−287430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したスイッチング電源を用いないLED電球において、N個のLEDを点灯させるには順方向電圧Vf×N以上の電圧が必要である。整流電圧は、例えば、0Vから140Vの間で周期的に変化するため、LED素子が点灯する期間(つまり、LED素子が導通する導通幅)は、整流電圧がVf×N以上になっている期間に限られる。この導通幅は、整流電圧の最大値やN等に依存するが、例えば、交流電圧が供給されている期間の50%程度である。即ち、LED素子が点灯と消灯を交互に繰り返すフリッカ(ちらつき)とよばれる現象が生じる。フリッカは、スイッチング電源を用いるLED電球には現れない。このフリッカは、LED電球の使用者に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0007】
このようなLED電球において、図6に示すように、整流素子B1の出力端子間に例えば約1.5μFのコンデンサC1を接続することで、フリッカを減少させることができる。しかし、フリッカを無くすことはできない。つまり、図7に示すように、LED素子11に流れる電流は、交流電圧が供給されている期間の約15%程度の期間、一定電流以下になるので、この期間でLED素子11は消灯する。即ち、導通幅は約85%である。
【0008】
このコンデンサを4〜5μFの大容量のものにすることで、フリッカを無くすことができる。しかしながら、このような4〜5μFの大容量のコンデンサは大型であるため、LED電球のケースに収まらないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、スイッチング電源および大容量のコンデンサを用いることなく、フリッカを減少させることができるか無くすことができるLED点灯装置及びLED点灯装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る実施例に従ったLED点灯装置は、
交流電源から供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する第1の整流素子と、
前記第1端子に一端が接続されたLED素子と、
前記LED素子の他端と前記第2端子との間に接続され、前記LED素子に流れる電流を制御する電流制御部と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続された第1の容量素子と、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、電流が流れる方向を制限可能な電流方向制限部と、
前記電流方向制限部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記整流電圧が前記第1の容量素子の両端の充電電圧より高くなった時に、電流が流れる方向を前記第1端子から前記第2端子の方向に制限するように前記電流方向制限部を制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が所定値未満になった時に、電流が流れる方向の制限を解除するように前記電流方向制限部を制御する
ことを特徴とする。
【0011】
上記LED点灯装置において、
前記電流方向制限部は、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、前記第1端子から前記第2端子の向きに電流を流す第2の整流素子と、
前記第2の整流素子に並列接続されたスイッチ素子と、を有し、
前記制御部は、
前記整流電圧が前記充電電圧より高くなった時に、前記スイッチ素子をオフに制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になった時に、前記スイッチ素子をオンに制御してもよい。
【0012】
上記LED点灯装置において、
前記電流方向制限部は、
前記第2の整流素子の両端間で前記スイッチ素子に直列接続され、前記スイッチ素子のオン時に前記第2端子から前記第1端子の向きに電流を流す、第3の整流素子を有してもよい。
【0013】
上記LED点灯装置において、
前記第2の整流素子は、前記第1端子にアノードが接続され、前記第1の容量素子の一端にカソードが接続され、
前記第1の容量素子の他端は、前記第2端子に接続され、
前記第3の整流素子は、前記第1端子にカソードが接続され、
前記スイッチ素子は、前記第3の整流素子のアノードに一端が接続され、前記第2の整流素子のカソードに他端が接続されていてもよい。
【0014】
上記LED点灯装置において、
前記制御部は、
前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になった時にセット信号を生成するセット信号生成回路と、
前記整流電圧が前記充電電圧より高い期間にリセット信号を生成するリセット信号生成回路と、
前記セット信号が入力された時に前記スイッチ素子をオンに制御して、前記リセット信号が入力された時に前記セット信号に拘らず前記スイッチ素子をオフに制御するセットリセット回路と、を有してもよい。
【0015】
上記LED点灯装置において、
前記電流制御部は、
前記LED素子の他端に一端が接続された電流制御トランジスタと、
前記電流制御トランジスタの他端と前記第2端子との間に接続された電流検出抵抗と、
前記電流制御トランジスタの制御端子に基準電圧を供給する基準電圧回路と、を有し、
前記制御部は、前記電流検出抵抗の電圧に基づいて、前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になったことを判定してもよい。
【0016】
上記LED点灯装置において、
前記基準電圧回路は、
前記第1端子に一端が接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端に一端が接続され、前記第2端子に他端が接続され、前記一端及び前記他端間に前記基準電圧を生成する基準電圧生成素子と、を含んでもよい。
【0017】
上記LED点灯装置において、
前記セット信号生成回路は、
前記電流制御トランジスタの他端にアノードが接続された第4の整流素子と、
前記第4の整流素子のカソードと前記第2端子との間に接続された第2の容量素子と、
前記電流制御トランジスタの他端にベースが接続され、前記第4の整流素子のカソードにエミッタが接続され、コレクタから前記セット信号を出力する、PNP型トランジスタと、を含んでもよい。
【0018】
上記LED点灯装置において、
前記セットリセット回路は、
前記リセット信号がベースに供給され、前記第4の整流素子のカソードにコレクタが接続され、前記第2端子にエミッタが接続された、第1のNPN型トランジスタと、
前記第4の整流素子のカソードにアノードが接続され、前記セット信号が制御端子に供給される、サイリスタと、
前記サイリスタのアノード及びカソード間が導通状態の時に前記スイッチ素子をオンに制御して、非導通状態の時に前記スイッチ素子をオフに制御する、スイッチ素子制御回路と、を含んでもよい。
【0019】
上記LED点灯装置において、
前記スイッチ素子は、ソースが前記第2の整流素子のカソードに接続され、ドレインが前記第3の整流素子のアノードに接続されたP型MOSトランジスタから構成されていてもよい。
【0020】
上記LED点灯装置において、
前記電流方向制限部は、
前記P型MOSトランジスタのゲートとソースとの間に接続された第1の電圧制限素子を有してもよい。
【0021】
上記LED点灯装置において、
前記電流方向制限部は、
前記P型MOSトランジスタのゲートとソースとの間に接続された第2抵抗を有してもよい。
【0022】
上記LED点灯装置において、
前記スイッチ素子制御回路は、
前記サイリスタのアノード及びカソード間が導通状態の時にハイレベルの制御信号を出力して、非導通状態の時にローレベルの前記制御信号を出力する制御信号出力回路と、
前記P型MOSトランジスタのゲートにドレインが接続され、前記第2端子にソースが接続され、前記制御信号がゲートに供給されるN型MOSトランジスタと、を含んでもよい。
【0023】
上記LED点灯装置において、
前記スイッチ素子制御回路は、
前記N型MOSトランジスタのゲートとソースとの間に接続された第2の電圧制限素子を含んでもよい。
【0024】
上記LED点灯装置において、
前記制御信号出力回路は、
前記サイリスタのカソードにベースが接続され、前記第2端子にエミッタが接続された第2のNPN型トランジスタと、
前記第2のNPN型トランジスタのベースと前記第2端子との間に接続された第3抵抗と、
前記第2のNPN型トランジスタのコレクタと前記第1端子との間に接続された第4抵抗と、
前記第2のNPN型トランジスタのコレクタにベースが接続され、前記第2端子にエミッタが接続され、前記制御信号をコレクタから出力する第3のNPN型トランジスタと、
前記第3のNPN型トランジスタのコレクタと前記第1端子との間に接続された第5抵抗と、を含んでもよい。
【0025】
上記LED点灯装置において、
前記リセット信号生成回路は、前記第1端子に非反転入力端子が接続され、前記第1の容量素子と前記第2の整流素子との間に反転入力端子が接続され、出力端子から前記リセット信号を出力する増幅器を含んでもよい。
【0026】
上記LED点灯装置において、
前記リセット信号生成回路は、
前記第1端子と前記増幅器の前記非反転入力端子との間に接続された第6抵抗と、
前記増幅器の前記非反転入力端子と前記第2端子との間に接続された第7抵抗と、
前記第1の容量素子及び前記第2の整流素子間と、前記増幅器の前記反転入力端子との間に接続された第8抵抗と、
前記増幅器の前記反転入力端子と前記第2端子との間に接続された第9抵抗と、を含んでもよい。
【0027】
上記LED点灯装置において、
前記第1の容量素子の両端に並列接続された放電抵抗を備えてもよい。
【0028】
本発明の一態様に係る実施例に従ったLED点灯装置の制御方法は、
交流電源から供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する第1の整流素子と、
前記第1端子に一端が接続されたLED素子と、
前記LED素子の他端と前記第2端子との間に接続され、前記LED素子に流れる電流を制御する電流制御部と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続された第1の容量素子と、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、電流が流れる方向を制限可能な電流方向制限部と、
前記電流方向制限部を制御する制御部と、を備えるLED点灯装置の制御方法であって、
前記制御部により、
前記整流電圧が前記第1の容量素子の両端の充電電圧より高くなった時に、電流が流れる方向を前記第1端子から前記第2端子の方向に制限するように前記電流方向制限部を制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が所定値未満になった時に、電流が流れる方向の制限を解除するように前記電流方向制限部を制御する
ことを特徴とする。
【0029】
上記LED点灯装置の制御方法において、
前記電流方向制限部は、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、前記第1端子から前記第2端子の向きに電流を流す第2の整流素子と、
前記第2の整流素子に並列接続されたスイッチ素子と、を有し、
前記制御部により、
前記整流電圧が前記充電電圧より高くなった時に、前記スイッチ素子をオフに制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になった時に、前記スイッチ素子をオンに制御してもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様に係るLED点灯装置及びLED点灯装置の制御方法によれば、供給された交流電圧を整流する第1の整流素子の第1端子と第2端子との間に第1の容量素子及び電流方向制限部を直列接続している。その上で、第1の整流素子からの整流電圧が第1の容量素子の両端の充電電圧より高くなった時に、電流が流れる方向を第1端子から第2端子の方向に制限するように電流方向制限部を制御している。これにより、整流電圧が最大値まで増加している間、整流電圧で第1の容量素子を充電できる。
【0031】
また、整流電圧が低下して充電電圧以下になり、且つ、LED素子に流れる電流が所定値未満になった時、電流が流れる方向の制限を解除するように電流方向制限部を制御している。これにより、整流電圧が最大値から低下しても、LED素子の電流が減少するまでは、電流方向制限部は電流が流れる方向を制限しているので、第1の容量素子の充電電圧はほぼ整流電圧の最大値を保持できる。そして、LED素子の電流が減少したタイミングで、低下した整流電圧よりも高い充電電圧を、第1の容量素子からLED素子に供給できる。従って、LED素子の電流が減少したタイミングで、充電電圧によってその電流を所定値以上に戻して、LED素子を点灯させ続けることができる。
【0032】
このように、第1の容量素子に充電された電荷を必要なタイミングまで放電しないようにしているため、小容量の第1の容量素子でもLED素子に効率的に電荷を供給できる。すなわち、スイッチング電源および大容量のコンデンサを用いることなく、フリッカを減少させることができるか無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1に係るLED点灯装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係るLED点灯装置の回路図である。
【図3】本発明の実施例1に係るLED点灯装置の波形図である。
【図4】本発明の実施例1に係るLED点灯装置と従来のLED点灯装置の電流が連続的に流れる交流電圧と容量値の関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例2に係るLED点灯装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図6】従来のLED点灯装置の回路図である。
【図7】従来のLED点灯装置の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示すように、LED点灯装置は、第1の整流素子B1と、LED素子11と、電流制御部12と、第1の容量素子C1と、抵抗(放電抵抗)R1と、電流方向制限部13と、制御部14と、を備える。LED点灯装置は、例えば、照明用や情報表示用等のLED電球である。
【0036】
整流素子B1は、4つのダイオードで構成されたブリッジダイオードであり、交流電源から供給された交流電圧を全波整流して第1端子T1及び第2端子T2間から整流電圧Vrを出力する。
【0037】
LED素子11は、整流素子B1の第1端子T1にアノード(一端)が接続され、整流電圧Vrが供給される。電流制御部12は、LED素子11のカソード(他端)と整流素子B1の第2端子T2との間に接続され、LED素子11に流れる電流を制御する。
【0038】
第1の容量素子C1は、第1端子T1と第2端子T2との間に接続されている。抵抗R1は、第1の容量素子C1の両端に並列接続されている。抵抗R1は、交流電源がオフ時に第1の容量素子C1の電荷を放電させるためのものであり、例えば、数MΩの抵抗値を有している。
【0039】
電流方向制限部13は、第1端子T1と第2端子T2との間で第1の容量素子C1に直列接続されている。本実施例では、電流方向制限部13は、第1端子T1と第1の容量素子C1の一端との間に接続されている。電流方向制限部13は、電流が流れる方向を第1端子T1から第2端子T2の方向に制限可能に構成されている。
【0040】
本実施例では、電流方向制限部13は、ダイオード(第2の整流素子)D1と、ダイオード(第3の整流素子)D2と、スイッチ素子SW1と、を有する。
【0041】
ダイオードD1は、第1端子T1と第2端子T2との間で第1の容量素子C1に直列接続され、第1端子T1から第2端子T2の向きに電流を流す。本実施例では、ダイオードD1は、第1端子T1にアノードが接続され、第1の容量素子C1の一端にカソードが接続されている。
【0042】
スイッチ素子SW1は、ダイオードD1に並列接続されている。ダイオードD2は、ダイオードD1の両端間でスイッチ素子SW1に直列接続され、スイッチ素子SW1のオン時に第2端子T2から第1端子T1の向きに電流を流す。本実施例では、ダイオードD2は、第1端子T1にカソードが接続されている。スイッチ素子SW1は、ダイオードD2のアノードに一端が接続され、ダイオードD1のカソードに他端が接続されている。
【0043】
制御部14は、電流方向制限部13を制御する。具体的には、制御部14は、整流電圧Vrが第1の容量素子C1の両端の充電電圧Vcより高くなった時、即ち第1条件になった時に、電流が流れる方向を第1端子T1から第2端子T2の方向に制限するように電流方向制限部13を制御する。また、制御部14は、整流電圧Vrが充電電圧Vc以下になり、且つ、LED素子11に流れる電流が所定値未満になった時、即ち第2条件になった時に、電流が流れる方向の制限を解除するように電流方向制限部13を制御する。より具体的には、制御部14は、第1条件になった時にスイッチ素子SW1をオフに制御すると共に、第2条件になった時にスイッチ素子SW1をオンに制御する。
【0044】
次に、図2を参照して、図1のLED点灯装置の具体的な回路構成の一例について説明する。
【0045】
図2は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置の回路図である。図2に示すように、LED素子11は、直列接続されたN(Nは正の整数)個のLED(LED1〜LEDN)で構成されている。
【0046】
電流制御部12は、N型MOSトランジスタ(電流制御トランジスタ)Q1と、電流検出抵抗R2と、抵抗(第1抵抗)R3と、ツェナーダイオード(基準電圧生成素子)ZD1と、を有する。
【0047】
N型MOSトランジスタQ1は、LED素子11のカソード(他端)にドレイン(一端)が接続されている。電流検出抵抗R2は、N型MOSトランジスタQ1のソース(他端)と第2端子T2との間に接続されている。
【0048】
抵抗R3は、ダイオードD1を介して第1端子T1に一端が接続されている。つまり、抵抗R3の一端は、ダイオードD1のカソードに接続されている。
【0049】
ツェナーダイオードZD1は、抵抗R3の他端にカソード(一端)が接続され、第2端子T2にアノード(他端)が接続され、そのカソード及びアノード間に基準電圧を生成する。ツェナーダイオードZD1のカソードは、N型MOSトランジスタQ1のゲート(制御端子)にも接続されている。
【0050】
抵抗R3と、ツェナーダイオードZD1は、基準電圧回路として機能する。つまり、基準電圧回路は、N型MOSトランジスタQ1のゲートに基準電圧を供給する。
【0051】
電流方向制限部13のスイッチ素子SW1は、P型MOSトランジスタQ7から構成されている。P型MOSトランジスタQ7は、ソースがダイオードD1のカソードに接続され、ドレインがダイオードD2のアノードに接続されている。
【0052】
電流方向制限部13は、ツェナーダイオード(第1の電圧制限素子)ZD3と、抵抗(第2抵抗)R17と、を有する。ツェナーダイオードZD3は、P型MOSトランジスタQ7のゲートにアノードが接続され、P型MOSトランジスタQ7のソースにカソードが接続されている。抵抗R17は、P型MOSトランジスタQ7のゲートとソースとの間に接続されている。
【0053】
制御部14は、セット信号生成回路21と、リセット信号生成回路22と、セットリセット回路23と、を有する。
【0054】
セット信号生成回路21は、電流検出抵抗R2の両端の電圧に基づいて、LED素子11に流れる電流が所定値未満になった時にセット信号Sを生成する。
【0055】
リセット信号生成回路22は、整流電圧Vrが充電電圧Vcより高い期間にリセット信号Rを生成する。
【0056】
セットリセット回路23は、セット信号Sが入力された時にスイッチ素子SW1をオンに制御して、リセット信号Rが入力された時にセット信号Sに拘らずスイッチ素子SW1をオフに制御する。
【0057】
セット信号生成回路21は、ダイオード(第4の整流素子)D3と、第2の容量素子C2と、PNP型トランジスタQ2と、抵抗R4,R5と、を含む。
【0058】
ダイオードD3は、N型MOSトランジスタQ1のソース及び抵抗R2の接続点にアノードが接続されている。第2の容量素子C2は、ダイオードD3のカソードと第2端子T2との間に接続されている。
【0059】
PNP型トランジスタQ2は、N型MOSトランジスタQ1のソースに抵抗R4を介してベースが接続され、ダイオードD3のカソードにエミッタが接続され、コレクタから抵抗R5を介してセット信号Sを出力する。
【0060】
リセット信号生成回路22は、増幅器(比較器)IC1と、抵抗(第6抵抗)R6と、抵抗(第7抵抗)R7と、抵抗(第8抵抗)R8と、抵抗(第9抵抗)R9と、を含む。
【0061】
増幅器IC1は、第1端子T1に抵抗R6を介して非反転入力端子(+)が接続され、第1の容量素子C1とダイオードD1との間に抵抗R8を介して反転入力端子(−)が接続され、出力端子からリセット信号Rを出力する。本実施例では、増幅器IC1の出力端子はオープンコレクタになっているとする。
【0062】
抵抗R7は、増幅器IC1の非反転入力端子(+)と第2端子T2との間に接続されている。抵抗R9は、増幅器IC1の反転入力端子(−)と第2端子T2との間に接続されている。
【0063】
セットリセット回路23は、NPN型トランジスタ(第1のNPN型トランジスタ)Q3と、NPN型トランジスタ(第2のNPN型トランジスタ)Q4と、NPN型トランジスタ(第3のNPN型トランジスタ)Q5と、N型MOSトランジスタQ6と、サイリスタTH1と、ツェナーダイオード(第2の電圧制限素子)ZD2と、抵抗R10と、抵抗R11と、抵抗(第3抵抗)R12と、抵抗(第4抵抗)R13と、抵抗(第5抵抗)R14と、抵抗R15と、抵抗R16と、を含む。
【0064】
NPN型トランジスタQ3は、増幅器IC1の出力端子にベースが接続され、ダイオードD3のカソードに抵抗R10を介してコレクタが接続され、第2端子T2にエミッタが接続されている。また、NPN型トランジスタQ3のベースは、抵抗R11を介してダイオードD3のカソードにも接続されている。これにより、ダイオードD3のカソードの電圧(第2の容量素子C2の電圧)を、増幅器IC1の出力端子に電源として供給できる。
【0065】
サイリスタTH1は、ダイオードD3のカソードに抵抗R10を介してアノードが接続され、セット信号Sが制御端子に供給される。
【0066】
NPN型トランジスタQ4は、サイリスタTH1のカソードにベースが接続され、第2端子T2にエミッタが接続されている。
【0067】
抵抗R12は、NPN型トランジスタQ4のベースと第2端子T2との間に接続されている。抵抗R13は、NPN型トランジスタQ4のコレクタと第1端子T1との間に接続されている。本実施例では、抵抗R13はダイオードD1を介して第1端子T1に接続されている。
【0068】
NPN型トランジスタQ5は、NPN型トランジスタQ4のコレクタにベースが接続され、第2端子T2にエミッタが接続され、制御信号Cをコレクタから出力する。
【0069】
抵抗R14は、NPN型トランジスタQ5のコレクタと第1端子T1との間に接続されている。本実施例では、抵抗R14はダイオードD1を介して第1端子T1に接続されている。抵抗R13及び抵抗R14は、ダイオードD1を介さずに第1端子T1に直接接続されてもよい。
【0070】
NPN型トランジスタQ4と、NPN型トランジスタQ5と、抵抗R12と、抵抗R13と、抵抗R14とは、制御信号出力回路として機能する。つまり、制御信号出力回路は、サイリスタTH1のアノード及びカソード間が導通状態の時にハイレベルの制御信号Cを出力して、非導通状態の時にローレベルの制御信号Cを出力する。
【0071】
N型MOSトランジスタQ6は、P型MOSトランジスタQ7のゲートに抵抗R15を介してドレインが接続され、第2端子T2にソースが接続され、制御信号Cがゲートに供給される。このN型MOSトランジスタQ6は、オフ時に、ソース・ドレイン間に整流電圧Vrが印加されるため、整流電圧Vrの最大値以上の耐圧が必要である。
【0072】
ツェナーダイオードZD2は、N型MOSトランジスタQ6のゲートにカソードが接続され、N型MOSトランジスタQ6のソースにアノードが接続されている。抵抗R16は、N型MOSトランジスタQ6のゲートとソースとの間に接続されている。
【0073】
制御信号出力回路と、N型MOSトランジスタQ6と、ツェナーダイオードZD2と、抵抗R15と、抵抗R16とは、スイッチ素子制御回路として機能する。つまり、スイッチ素子制御回路は、サイリスタTH1のアノード及びカソード間が導通状態の時にP型MOSトランジスタQ7(スイッチ素子SW1)をオンに制御して、非導通状態の時にP型MOSトランジスタQ7をオフに制御するように構成されている。
【0074】
次に、図3の波形図を参照して、LED点灯装置の動作を説明する。図3は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置の波形図である。この波形図は、第1の容量素子C1が約1.47μF、交流電圧の周波数が約50Hz、交流電圧の実効値が約100Vの場合のものである。また、LED素子11に流れる一定電流は、約20mAである。以下、図3における時刻t1からt5の交流電圧の半周期について説明する。
【0075】
まず、図3の時刻t1において、交流電圧の増加に伴って整流電圧Vrが充電電圧Vcより高くなった時に、制御部14はP型MOSトランジスタQ7をオフに制御する。時刻t1からt2の間、即ち、整流電圧Vrが最大値まで増加している間、ダイオードD1を介して第1端子T1から第2端子T2の方向に電流が流れるので、整流電圧Vrで第1の容量素子C1を充電できる。
【0076】
この時の制御部14の回路レベルの動作を説明する。整流電圧Vrが充電電圧Vcより高くなると、増幅器IC1は、ハイレベルのリセット信号Rを生成する。これにより、NPN型トランジスタQ3がオンして、抵抗R10を介して第2の容量素子C2の電荷が放電される。また、サイリスタTH1のアノードの電圧が第2端子T2の電圧とほぼ等しくなると共に、サイリスタTH1のアノード及びカソード間は非導通状態になる。これにより、NPN型トランジスタQ4のベース電圧は抵抗R12を介して第2端子T2の電圧とほぼ等しくなるので、NPN型トランジスタQ4はオフする。すると、NPN型トランジスタQ5はオンして、制御信号C、即ちN型MOSトランジスタQ6のゲート電圧が低下する。そして、N型MOSトランジスタQ6はオフする。従って、P型MOSトランジスタQ7のゲート・ソース間電圧は、抵抗R17を介してほぼゼロとなり、P型MOSトランジスタQ7はオフする。
【0077】
時刻t2において整流電圧Vrが最大値に達した時、第1の容量素子C1の充電電圧Vcも最大値に達する。つまり、第1の容量素子C1はピーク充電される。この時の充電電圧Vcの最大値は、整流電圧Vrの最大値からダイオードD1の順方向電圧を減算した値にほぼ等しくなっている。
【0078】
時刻t2以降、時刻t4まで、交流電圧の減少に伴って整流電圧Vrは減少していく。しかし、P型MOSトランジスタQ7がオフしていると共にダイオードD1が存在することによって、第1の容量素子C1の電荷はLED素子11側に放電されないため、充電電圧Vcはほぼ最大値を維持する。なお、前述のように、抵抗R1は数MΩ(例えば、3MΩ)の抵抗値を有するため、交流電圧の半周期程度の期間では、抵抗R1を介しては充電電圧Vcがほとんど低下しないようになっている。
【0079】
時刻t3において、整流電圧Vrが低下して充電電圧Vc以下になると、増幅器IC1は、リセット信号Rをローレベルにする。これにより、NPN型トランジスタQ3はオフする。従って、LED素子11を流れる電流で抵抗R2に生じる電圧によって、ダイオードD3を介して第2の容量素子C2が充電される。このように、リセット信号Rがハイレベルとなっている期間、即ちリセット信号Rが生成されている期間は、時刻t1から時刻t3までである。
【0080】
時刻t4において、整流電圧Vrが更に低下してLED素子11が点灯するために必要な電圧未満となると、LED素子11に流れる電流が所定値未満になる。この時、制御部14はP型MOSトランジスタQ7をオンに制御する。これにより、低下した整流電圧Vrよりも高い充電電圧Vcを、第1の容量素子C1からLED素子11に、オンしたP型MOSトランジスタQ7及びダイオードD2を介して供給できる。即ち、整流電圧Vrは、充電電圧Vcとほぼ等しい値まで上昇する。従って、LED素子11の電流が減少したタイミングで、充電電圧Vcによってその電流を所定値以上に戻して、LED素子11を点灯させ続けることができる。即ち、LED素子11が消灯する期間が無くなる。
【0081】
この時の制御部14の回路レベルの動作を説明する。LED素子11に流れる電流が所定値未満になると、抵抗R2の両端の電圧が低下して、PNP型トランジスタQ2のベース電圧が低下する。一方、PNP型トランジスタQ2のエミッタ電圧は、第2の容量素子C2に充電された電圧によってベース電圧より高くなる。従って、PNP型トランジスタQ2がオンして、セット信号Sは第2の容量素子C2に充電された電圧とほぼ等しくなる。これにより、サイリスタTH1のアノード及びカソード間が導通する。
【0082】
すると、NPN型トランジスタQ4は、ベース電圧が高くなるので、オンする。NPN型トランジスタQ5は、ベース電圧が低くなるので、オフする。これにより、制御信号C、即ちN型MOSトランジスタQ6のゲート電圧が上昇するので、N型MOSトランジスタQ6はオンする。従って、P型MOSトランジスタQ7は、ゲート電圧が低下してオンする。このとき、制御信号Cの最大値は、ツェナーダイオードZD2によって制限され、P型MOSトランジスタQ7のゲート・ソース間電圧の最大値は、ツェナーダイオードZD3によって制限される。
【0083】
時刻t4以降、充電電圧VcによってLED素子11が点灯するため、時間の経過に伴って充電電圧Vcは低下していく。即ち、整流電圧Vrも低下していく。
【0084】
これに対して、交流電圧の絶対値が減少から増加に転じると、時刻t5において、整流電圧Vrは充電電圧Vcより高くなる。即ち、前述した時刻t1と同様の状態となる。従って、制御部14はP型MOSトランジスタQ7をオフに制御する。これにより、整流電圧Vrが最大値まで増加している間、整流電圧Vrで第1の容量素子C1を充電できる。
【0085】
時刻t5以降、以上の時刻t1からt4までと同様に動作する。このようにして、フリッカが無くなる。
【0086】
なお、充電電圧Vcは、第1の容量素子C1からLED素子11に、オンしたP型MOSトランジスタQ7及びダイオードD2を介して供給されるので、P型MOSトランジスタQ7のソース・ドレイン間には、充電電圧VcからLED素子11の順方向電圧等を減算した電圧が加えられる。従って、P型MOSトランジスタQ7の耐圧は、充電電圧Vcの最大値より低くてよい。一例として、交流電圧の実効値が約100Vである場合には、耐圧は100V程度でよい。
【0087】
次に、図6の従来のLED点灯装置と比較して、実施例1のLED点灯装置の効果について説明する。
【0088】
図4は、本発明の実施例1に係るLED点灯装置と従来のLED点灯装置の電流が連続的に流れる交流電圧と容量値の関係を示す図である。図4の縦軸は交流電圧の実効値を表し、横軸は第1の容量素子C1の値を示す。
【0089】
特性A,Bは、実施例1のLED点灯装置のLED素子11に電流が連続的に流れる(フリッカが無くなる)交流電圧の実効値と、第1の容量素子C1の容量値との関係を示す。特性Aは交流電圧の周波数が60Hzであり、特性Bは50Hzである。
【0090】
特性C,Dは、図6の従来のLED点灯装置のLED素子11に電流が連続的に流れる交流電圧の実効値と、第1の容量素子C1の値との関係を示す。特性Cは交流電圧の周波数が60Hzであり、特性Dは50Hzである。なお、図6の従来のLED点灯装置は、図2の実施例1のLED点灯装置から、電流方向制限部13、制御部14、第1の容量素子C1および抵抗R1を除いた構成を有している。
【0091】
特性AとCの比較から分かるように、実施例1のLED点灯装置においては、第1の容量素子C1が約3μF以下の範囲で、従来のLED点灯装置よりも低電圧でLED素子11に電流が連続的に流れる。LED素子11に電流が連続的に流れるために必要な交流電圧の実効値は、例えば、第1の容量素子C1が1μFでは、従来のLED点灯装置では約125Vであるが、実施例1のLED点灯装置では約111Vである。また、この実効値は、例えば、第1の容量素子C1が1.47μFでは、従来のLED点灯装置では約105Vであるが、実施例1のLED点灯装置では約96Vである。
【0092】
特性BとDの比較からも、実施例1のLED点灯装置においては、第1の容量素子C1が約3μF以下の範囲で、従来のLED点灯装置よりも低電圧でLED素子11に電流が連続的に流れていることが分かる。LED素子11に電流が連続的に流れるために必要な交流電圧の実効値は、例えば、第1の容量素子C1が1μFでは、従来のLED点灯装置では約140Vであるが、実施例1のLED点灯装置では約117Vである。また、この実効値は、例えば、第1の容量素子C1が1.47μFでは、従来のLED点灯装置では約112Vであるが、実施例1のLED点灯装置では約103Vである。
【0093】
このように、実施例1のLED点灯装置では、例えば、第1の容量素子C1が1.47μF程度で、日本の家庭用の商用交流の電圧及び周波数において、LED素子11に電流を連続的に流すことができる。つまり、フリッカを無くすことができる。
【0094】
これに対して、従来のLED点灯装置では、例えば、第1の容量素子C1が1.47μF程度では、日本の家庭用の商用交流の電圧及び周波数において、フリッカを無くすことができない。
【0095】
即ち、実施例1のLED点灯装置では、従来のLED点灯装置と比較して、交流電圧の周波数及び実効値が等しい条件であれば、小容量値の第1の容量素子C1でフリッカを無くすことができる。
【0096】
なお、図4の特性は一例であり、各素子の定数の調整によって具体的な電圧及び容量値は多少変化する。但し、実施例1のLED点灯装置では、第1の容量素子C1が小容量の条件で、従来のLED点灯装置よりも低電圧でLED素子11に電流が連続的に流れるという効果は変わらない。
【0097】
このように、本実施例によれば、供給された交流電圧を整流する第1の整流素子B1の第1端子T1と第2端子T2との間に第1の容量素子C1及びダイオードD1を直列接続して、ダイオードD1にスイッチ素子SW1を並列接続している。また、ダイオードD1は第1端子T1から第2端子T2の向きに電流を流すようになっている。
【0098】
その上で、第1の整流素子B1からの整流電圧Vrが第1の容量素子C1の両端の充電電圧Vcより高くなった時に、スイッチ素子SW1をオフに制御するようにしている。これにより、整流電圧Vrが最大値まで増加している間、ダイオードD1を介して、整流電圧Vrで第1の容量素子C1を充電できる。
【0099】
また、整流電圧Vrが低下して充電電圧Vc以下になり、且つ、LED素子11に流れる電流が所定値未満になった時、スイッチ素子SW1をオンに制御するようにしている。これにより、整流電圧Vrが最大値から低下しても、LED素子11の電流が減少するまではスイッチ素子SW1がオフしているため、第1の容量素子C1の充電電圧Vcはほぼ整流電圧Vrの最大値を保持できる。そして、LED素子11の電流が減少したタイミングで、低下した整流電圧Vrよりも高い充電電圧Vcを、第1の容量素子C1からLED素子11にオンしたスイッチ素子SW1を介して供給できる。従って、LED素子11の電流が減少したタイミングで、充電電圧Vcによってその電流を所定値以上に戻して、LED素子11を点灯させ続けることができる。
【0100】
このように、第1の容量素子C1に充電された電荷を必要なタイミングまで放電しないようにしているため、小容量の第1の容量素子C1でもLED素子11に効率的に電荷を供給できる。すなわち、スイッチング電源および大容量のコンデンサを用いることなく、フリッカを減少させることができる。さらには、第1の容量素子C1の容量値を調整すれば、フリッカを無くすこともできる。
【0101】
また、第1の容量素子C1は、充放電できればよく、且つ、小容量でよいため、寿命の短い電解コンデンサを用いる必要がない。例えば、電解コンデンサよりも寿命が長いセラミックコンデンサを用いることができる。従って、従来のLED点灯装置よりも高温で動作可能となると共に、LED点灯装置の寿命を長くすることもできる。このような効果は、LED点灯装置をLED電球として用いる場合に、特に有用である。
【実施例2】
【0102】
実施例2では、電流方向制限部13の接続位置が実施例1と異なっている。
【0103】
図5は、本発明の実施例2に係るLED点灯装置の概略的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、LED点灯装置において、第1の容量素子C1の一端が第1端子T1に接続され、電流方向制限部13は、第1の容量素子C1の他端と第2端子T2との間に接続されている。実施例1と同様に、電流方向制限部13は、電流が流れる方向を第1端子T1から第2端子T2の方向に制限可能に構成されている。
【0104】
電流方向制限部13の具体的な構成は以下のようになっている。ダイオードD1は、第1の容量素子C1の他端にアノードが接続され、第2端子T2にカソードが接続されている。ダイオードD2は、第1の容量素子C1の他端にカソードが接続されている。スイッチ素子SW1は、ダイオードD2のアノードに一端が接続され、ダイオードD1のカソードに他端が接続されている。スイッチ素子SW1は、例えば、N型MOSトランジスタ又はP型MOSトランジスタで構成することができる。その他の回路構成は、図1の実施例1と同一であるため、同一の要素に同一の符号を付して説明を省略する。また、動作も実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
このような構成の実施例2によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0106】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0107】
B1 ブリッジダイオード(第1の整流素子)
T1 第1端子
T2 第2端子
11 LED素子
12 電流制御部
13 電流方向制限部
14 制御部
21 セット信号生成回路
22 リセット信号生成回路
23 セットリセット回路
SW1 スイッチ素子
D1 ダイオード(第2の整流素子)
D2 ダイオード(第3の整流素子)
D3 ダイオード(第4の整流素子)
TH1 サイリスタ
ZD1 ツェナーダイオード(基準電圧生成素子)
ZD2 ツェナーダイオード(第2の電圧制限素子)
ZD3 ツェナーダイオード(第1の電圧制限素子)
C1 第1の容量素子
C2 第2の容量素子
IC1 増幅器
Q1 N型MOSトランジスタ(電流制御トランジスタ)
Q2 PNP型トランジスタ
Q3 NPN型トランジスタ(第1のNPN型トランジスタ)
Q4 NPN型トランジスタ(第2のNPN型トランジスタ)
Q5 NPN型トランジスタ(第3のNPN型トランジスタ)
Q6 N型MOSトランジスタ
Q7 P型MOSトランジスタ
R1 抵抗(放電抵抗)
R2 電流検出抵抗
R3 抵抗(第1抵抗)
R4,R5 抵抗
R6 抵抗(第6抵抗)
R7 抵抗(第7抵抗)
R8 抵抗(第8抵抗)
R9 抵抗(第9抵抗)
R10,R11 抵抗
R12 抵抗(第3抵抗)
R13 抵抗(第4抵抗)
R14 抵抗(第5抵抗)
R15,R16 抵抗
R17 抵抗(第2抵抗)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する第1の整流素子と、
前記第1端子に一端が接続されたLED素子と、
前記LED素子の他端と前記第2端子との間に接続され、前記LED素子に流れる電流を制御する電流制御部と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続された第1の容量素子と、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、電流が流れる方向を制限可能な電流方向制限部と、
前記電流方向制限部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記整流電圧が前記第1の容量素子の両端の充電電圧より高くなった時に、電流が流れる方向を前記第1端子から前記第2端子の方向に制限するように前記電流方向制限部を制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が所定値未満になった時に、電流が流れる方向の制限を解除するように前記電流方向制限部を制御する
ことを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記電流方向制限部は、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、前記第1端子から前記第2端子の向きに電流を流す第2の整流素子と、
前記第2の整流素子に並列接続されたスイッチ素子と、を有し、
前記制御部は、
前記整流電圧が前記充電電圧より高くなった時に、前記スイッチ素子をオフに制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になった時に、前記スイッチ素子をオンに制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のLED点灯装置。
【請求項3】
前記電流方向制限部は、
前記第2の整流素子の両端間で前記スイッチ素子に直列接続され、前記スイッチ素子のオン時に前記第2端子から前記第1端子の向きに電流を流す、第3の整流素子を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のLED点灯装置。
【請求項4】
前記第2の整流素子は、前記第1端子にアノードが接続され、前記第1の容量素子の一端にカソードが接続され、
前記第1の容量素子の他端は、前記第2端子に接続され、
前記第3の整流素子は、前記第1端子にカソードが接続され、
前記スイッチ素子は、前記第3の整流素子のアノードに一端が接続され、前記第2の整流素子のカソードに他端が接続されている
ことを特徴とする請求項3に記載のLED点灯装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になった時にセット信号を生成するセット信号生成回路と、
前記整流電圧が前記充電電圧より高い期間にリセット信号を生成するリセット信号生成回路と、
前記セット信号が入力された時に前記スイッチ素子をオンに制御して、前記リセット信号が入力された時に前記セット信号に拘らず前記スイッチ素子をオフに制御するセットリセット回路と、を有する
ことを特徴とする請求項4に記載のLED点灯装置。
【請求項6】
前記電流制御部は、
前記LED素子の他端に一端が接続された電流制御トランジスタと、
前記電流制御トランジスタの他端と前記第2端子との間に接続された電流検出抵抗と、
前記電流制御トランジスタの制御端子に基準電圧を供給する基準電圧回路と、を有し、
前記制御部は、前記電流検出抵抗の電圧に基づいて、前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になったことを判定する
ことを特徴とする請求項5に記載のLED点灯装置。
【請求項7】
前記基準電圧回路は、
前記第1端子に一端が接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端に一端が接続され、前記第2端子に他端が接続され、前記一端及び前記他端間に前記基準電圧を生成する基準電圧生成素子と、を含む
ことを特徴とする請求項6に記載のLED点灯装置。
【請求項8】
前記セット信号生成回路は、
前記電流制御トランジスタの他端にアノードが接続された第4の整流素子と、
前記第4の整流素子のカソードと前記第2端子との間に接続された第2の容量素子と、
前記電流制御トランジスタの他端にベースが接続され、前記第4の整流素子のカソードにエミッタが接続され、コレクタから前記セット信号を出力する、PNP型トランジスタと、を含む
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のLED点灯装置。
【請求項9】
前記セットリセット回路は、
前記リセット信号がベースに供給され、前記第4の整流素子のカソードにコレクタが接続され、前記第2端子にエミッタが接続された、第1のNPN型トランジスタと、
前記第4の整流素子のカソードにアノードが接続され、前記セット信号が制御端子に供給される、サイリスタと、
前記サイリスタのアノード及びカソード間が導通状態の時に前記スイッチ素子をオンに制御して、非導通状態の時に前記スイッチ素子をオフに制御する、スイッチ素子制御回路と、を含む
ことを特徴とする請求項8に記載のLED点灯装置。
【請求項10】
前記スイッチ素子は、ソースが前記第2の整流素子のカソードに接続され、ドレインが前記第3の整流素子のアノードに接続されたP型MOSトランジスタから構成されている
ことを特徴とする請求項9に記載のLED点灯装置。
【請求項11】
前記電流方向制限部は、
前記P型MOSトランジスタのゲートとソースとの間に接続された第1の電圧制限素子を有する
ことを特徴とする請求項10に記載のLED点灯装置。
【請求項12】
前記電流方向制限部は、
前記P型MOSトランジスタのゲートとソースとの間に接続された第2抵抗を有する
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のLED点灯装置。
【請求項13】
前記スイッチ素子制御回路は、
前記サイリスタのアノード及びカソード間が導通状態の時にハイレベルの制御信号を出力して、非導通状態の時にローレベルの前記制御信号を出力する制御信号出力回路と、
前記P型MOSトランジスタのゲートにドレインが接続され、前記第2端子にソースが接続され、前記制御信号がゲートに供給されるN型MOSトランジスタと、を含む
ことを特徴とする請求項10から請求項12の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項14】
前記スイッチ素子制御回路は、
前記N型MOSトランジスタのゲートとソースとの間に接続された第2の電圧制限素子を含む
ことを特徴とする請求項13に記載のLED点灯装置。
【請求項15】
前記制御信号出力回路は、
前記サイリスタのカソードにベースが接続され、前記第2端子にエミッタが接続された第2のNPN型トランジスタと、
前記第2のNPN型トランジスタのベースと前記第2端子との間に接続された第3抵抗と、
前記第2のNPN型トランジスタのコレクタと前記第1端子との間に接続された第4抵抗と、
前記第2のNPN型トランジスタのコレクタにベースが接続され、前記第2端子にエミッタが接続され、前記制御信号をコレクタから出力する第3のNPN型トランジスタと、
前記第3のNPN型トランジスタのコレクタと前記第1端子との間に接続された第5抵抗と、を含む
ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のLED点灯装置。
【請求項16】
前記リセット信号生成回路は、前記第1端子に非反転入力端子が接続され、前記第1の容量素子と前記第2の整流素子との間に反転入力端子が接続され、出力端子から前記リセット信号を出力する増幅器を含む
ことを特徴とする請求項5から請求項15の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項17】
前記リセット信号生成回路は、
前記第1端子と前記増幅器の前記非反転入力端子との間に接続された第6抵抗と、
前記増幅器の前記非反転入力端子と前記第2端子との間に接続された第7抵抗と、
前記第1の容量素子及び前記第2の整流素子間と、前記増幅器の前記反転入力端子との間に接続された第8抵抗と、
前記増幅器の前記反転入力端子と前記第2端子との間に接続された第9抵抗と、を含む
ことを特徴とする請求項16に記載のLED点灯装置。
【請求項18】
前記第1の容量素子の両端に並列接続された放電抵抗を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項17の何れかに記載のLED点灯装置。
【請求項19】
交流電源から供給された交流電圧を整流して第1端子及び第2端子間から整流電圧を出力する第1の整流素子と、
前記第1端子に一端が接続されたLED素子と、
前記LED素子の他端と前記第2端子との間に接続され、前記LED素子に流れる電流を制御する電流制御部と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続された第1の容量素子と、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、電流が流れる方向を制限可能な電流方向制限部と、
前記電流方向制限部を制御する制御部と、を備えるLED点灯装置の制御方法であって、
前記制御部により、
前記整流電圧が前記第1の容量素子の両端の充電電圧より高くなった時に、電流が流れる方向を前記第1端子から前記第2端子の方向に制限するように前記電流方向制限部を制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が所定値未満になった時に、電流が流れる方向の制限を解除するように前記電流方向制限部を制御する
ことを特徴とするLED点灯装置の制御方法。
【請求項20】
前記電流方向制限部は、
前記第1端子と前記第2端子との間で前記第1の容量素子に直列接続され、前記第1端子から前記第2端子の向きに電流を流す第2の整流素子と、
前記第2の整流素子に並列接続されたスイッチ素子と、を有し、
前記制御部により、
前記整流電圧が前記充電電圧より高くなった時に、前記スイッチ素子をオフに制御すると共に、
前記整流電圧が前記充電電圧以下になり、且つ、前記LED素子に流れる電流が前記所定値未満になった時に、前記スイッチ素子をオンに制御する
ことを特徴とする請求項19に記載のLED点灯装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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