説明

LED照明システム

【課題】比較的長い使用寿命を有するLED照明システムを提供する。
【解決手段】整流器110と、降圧式コンバータ120と、昇降圧式コンバータ130と、LEDアレイ160と、コンデンサ170と、を含む。そのうち、降圧式コンバータ120の入力端は、整流器110の出力端に電気接続され、昇降圧式コンバータ130の入力端は、降圧式コンバータ120の出力端に電気接続される。LEDアレイ160は、昇降圧式コンバータ130の出力端に電気接続され、コンデンサ170は、昇降圧式コンバータ130及びLEDアレイ160の間に電気接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明システムに関し、特に、電解コンデンサを必要としないLED照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの技術は、急速な進歩により、徐々に従来の照明(例えば、蛍光灯、電球)に取って代わり、照明業界の新星となっている。LEDの生産業者は、しばしばLED照明システムが省エネルギー、二酸化炭素削減、使用寿命が長い等の利点を有すると述べているが、大部分のLED照明システムにおいて、しばしば電解コンデンサを設置することにより、LED照明システムの使用寿命を短縮させている。
【0003】
LEDがフリッカー現象を発生することを回避する為、LEDに供給する電圧は、安定していなければならないので、LED照明システムにおいて、容量値が比較的高い電解コンデンサを設置する必要がある。電解コンデンサは、受動部材に属し、比較的よく見られるのは、アルミ電解コンデンサである。アルミ電解コンデンサは、アルミを陽極とし、グリコール、グリセロール、ホウ酸、及びアンモニア水等から組成される糊状物を電解液として構成される。セラミックコンデンサに比較し、電解コンデンサは、高電圧を受けることができ、且つ比較的高い容量値を有するが、電解コンデンサは、温度の影響を受け易くもあり、その寿命を低下させる。実験に基づき、操作温度は、105℃である時、電解コンデンサの使用寿命は、約15000時間であるが、温度が該操作温度より10℃高い時、電解コンデンサの使用寿命は、半減する。
【0004】
従って、LED照明システム中のLEDが4万時間近くの使用寿命を有していたとしても、電解コンデンサの使用寿命がLEDより遥かに短く且つ電解コンデンサの交換も相当困難であるので、LED照明システムの使用寿命もこれにより大幅に引き下げられている。また、電解コンデンサは、体積が大きく、温度が高い時に爆発し易い欠点を有する。このことからも、電解コンデンサを有さないLED照明システムを設計することは、当業者が考慮するに値するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、LED照明システムを提供することであり、そのLED照明システムは、電解コンデンサを必要としないので、比較的長い使用寿命を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的及びその他の目的に基づき、本発明が提供するLED照明システムは、整流器と、降圧式コンバータと、昇降圧式コンバータと、LEDアレイと、コンデンサと、を含む。そのうち、降圧式コンバータの入力端は、整流器の出力端に電気接続し、昇降圧式コンバータの入力端は、降圧式コンバータの出力端に電気接続する。LEDアレイは、昇降圧式コンバータの出力端に電気接続し、コンデンサは、昇降圧式コンバータ及びLEDアレイの間に電気接続される。
【0007】
上記LED照明システムにおいて、昇降圧式コンバータは、SEPICコンバータ(Single-ended primary-inductor converter)又はフライバックコンバータ(Flyback converter)である。
【0008】
上記LED照明システムにおいて、整流器は、ブリッジ式整流器である。
【0009】
上記LED照明システムにおいて、LEDアレイ及び昇降圧式コンバータの間は、セラミックコンデンサ又はSMDコンデンサを電気接続する。
【0010】
上記LED照明システムにおいて、更に、力率改善器(power factor corrector)及び制御ICを含む。そのうち、力率改善器は、整流器及び降圧式コンバータの間に接続され、制御ICの出力端は、力率改善器に電気接続する。制御ICの入力端は、昇降圧式コンバータの出力端に電気接続し、且つ制御ICは、該昇降圧式コンバータが出力する電圧に基づいて該力率改善器を制御する。また、力率改善器及び降圧式コンバータは、例えば、相互に1つに統合される。
【0011】
上記LED照明システムにおいて、更に、安定電圧補償回路を含み、安定電圧補償回路は、昇降圧式コンバータ及び制御ICの間を電気接続する。
【発明の効果】
【0012】
電流が降圧式コンバータを経た後、その電圧値が低下し、比較的低い電圧において、セラミックコンデンサが比較的高い容量値を提供することができる。また、昇降圧式コンバータの出力電圧は、既に比較的安定しているので、セラミックコンデンサの補助を経て、相当安定した出力電圧を提供し、LEDアレイに使用させることができる。そのうち、セラミックコンデンサの容量値が高いほど、LEDアレイに供給する電圧が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施例のLED照明システムのブロック図である。
【図2A】外部電源の出力電圧の波形を示す図である。
【図2B】は整流器の出力電圧の波形を示す図である。
【図2C】降圧式コンバータの出力電圧の波形を示す図である。
【図2D】昇降圧式コンバータの出力電圧の波形を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例のLED照明システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かり易くする為、実施例に図面を合わせ、以下に詳細を説明する。
【0015】
図1を参照し、図1が示すのは、本発明の第1実施例のLED照明システムのブロック図である。このLED照明システム100は、整流器110と、降圧式コンバータ120と、昇降圧式コンバータ130と、LEDアレイ160と、を含む。そのうち、LEDアレイ160は、複数のLEDが配列して組み合わさってなる。
【0016】
整流器110は、例えば、ブリッジ式整流器であり、それは、外部電源20と相互に接続する。同時に図2Aを参照し、図2Aが示すのは、外部電源20の出力電圧V1の波形であり、図2Aから分かるように、この外部電源20は、交流電圧源である。本実施例において、外部電源20の電圧ピーク値は、約264ボルトである。外部電源20が提供する交流電圧V1は、整流器110を経た後、パルス直流電圧V2になり、整流器110の出力端の電圧V2の波形は、図2Bに示すようである。整流器110を経た後、電圧ピーク値は、約264√2ボルトである。また、整流器110は、ブリッジ式整流器であるので、高周波ノイズフィルタリングの機能を有する。
【0017】
また、降圧式コンバータ120の入力端は、整流器110の出力端に接続し、整流器110が出力するパルス直流電圧V2は、降圧式コンバータ120に出力され、この降圧式コンバータ120は、パルス直流電圧V2の電圧値を低減することに用い、その出力端の電圧V3の波形は、例えば、図2Cに示すようである。本実施例において、降圧式コンバータ120を経た後、電圧ピーク値は、約50ボルトである。
【0018】
また、昇降圧式コンバータ130の入力端は、降圧式コンバータ120の出力端に接続し、降圧式コンバータ120が出力する電圧V3は、昇降圧式コンバータ130を経た後、その電圧値が調整される。本実施例において、昇降圧式コンバータは、フライバックコンバータ又はSEPICコンバータである。図2C及び図2Dを比較し、元々、昇降圧式コンバータ130の入力端において、電圧値が比較的高い部分は、昇降圧式コンバータ130を経た後、下降し、電圧値が比較的低い部分は、昇降圧式コンバータ130を経た後、上昇する。このことによっても、昇降圧式コンバータ130が出力する電圧V4は、比較的安定し、即ち、リップル(ripple)の幅が比較的小さく、理想的な直流電圧に近づいている。
【0019】
また、昇降圧式コンバータ130の出力端は、更に、セラミックコンデンサ170を取り付け、それは、昇降圧式コンバータ130及びLEDアレイ160の間を電気接続し、LEDアレイ160と並列接続する。セラミックコンデンサ170により、電圧V4のリップル(ripple)を大幅に低減し、セラミックコンデンサ170の出力電圧を理想の直流電圧に近づける。電解コンデンサに比較し、セラミックコンデンサ170は、比較的長い使用寿命を有し、その使用寿命は、LEDに劣らず、且つセラミックコンデンサ170のコストも比較的低い。また、電解コンデンサに比較し、セラミックコンデンサ170は、比較的高電圧に耐えることができず、且つ比較的高い容量値を提供することができないので、従来のLED照明システムは、セラミックコンデンサを使用していない。しかしながら、本実施例において、電圧V2は、降圧電圧式コンバータ120を経た後、その電圧が低下するので、LED照明システム100において、比較的高電圧に耐えることができないセラミックコンデンサ170を実装することができる。また、昇降圧式コンバータ130の出力電圧は、既に相対して安定しているので、容量値が比較的低いセラミックコンデンサ170により、相当安定した出力電圧を提供し、LEDアレイ160に使用させることができる。そのうち、セラミックコンデンサ170の容量値が高いほど、LEDアレイ160に供給する電圧は、安定する。
【0020】
本実施例のLED照明システム100において、電解コンデンサを設置する必要がないので、LED照明システム100の使用寿命は、電解コンデンサの制限を受けず、比較的高い使用寿命を有することができる。また、電解コンデンサを設置することがないことにより、LED照明システム100は、比較的低いコストを有することができる。
【0021】
上記の実施例では、セラミックコンデンサをコンデンサとした実施例であるが、当業者は、セラミックコンデンサをSMDコンデンサ、又はその他の形態のコンデンサとすることも可能であり、ただ該コンデンサは、電解コンデンサより高い使用寿命を有していればよい。
【0022】
また、図1を続けて参照する。LED照明システム100は、更に、安定電圧補償回路140と、制御IC150と、力率改善器180と、を含み、そのうち、力率改善器180は、整流器110及び降圧式コンバータ120の間に接続され、それは、力率を上昇させ、電力の利用効率を増加することに用いる。制御IC150は、昇降圧式コンバータ130が出力する電圧に基づき、力率改善器180を制御する。また、安定電圧補償回路140は、制御IC150に応じて設計され、制御IC150を通過した電圧及び電流が安定できるよう確保する。
【0023】
図3を参照し、図3が示すのは、本発明の第2実施例のLED照明システムのブロック図である。第1実施例に比較し、本実施例中のLED照明システム100’において、力率改善器及び降圧式コンバータは、1つに統合され、ここでは、降圧式力率改善コンバータ120’と称する。
【0024】
なお、本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない均等の範囲内で各種の変動や潤色を加えることができることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
100,100’ LED照明システム
110 整流器
120 降圧式コンバータ
120’ 降圧式力率改善コンバータ
130 昇降圧式コンバータ
140 安定電圧補償回路
150 制御IC
160 LEDアレイ
170 セラミックコンデンサ
180 力率改善器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流器と、
入力端が前記整流器の出力端に電気接続する降圧式コンバータと、
入力端が前記降圧式コンバータの出力端に電気接続する昇降圧式コンバータと、
前記昇降圧式コンバータの出力端に電気接続するLEDアレイと、
前記昇降圧式コンバータ及び前記LEDアレイの間を電気接続するコンデンサと、
を含むLED照明システム。
【請求項2】
前記昇降圧式コンバータがSEPICコンバータ又はフライバックコンバータである請求項1に記載のLED照明システム。
【請求項3】
前記整流器がブリッジ式整流器である請求項1に記載のLED照明システム。
【請求項4】
前記コンデンサがセラミックコンデンサ又はSMDコンデンサである請求項1に記載のLED照明システム。
【請求項5】
更に、前記整流器及び前記降圧式コンバータの間に接続される力率改善器と、
出力端が前記力率改善器に電気接続し、入力端が前記昇降圧式コンバータの出力端に電気接続する制御ICと、
を含み、前記制御ICは、前記昇降圧式コンバータが出力する電圧に基づいて前記力率改善器を制御する請求項1に記載のLED照明システム。
【請求項6】
前記力率改善器及び前記降圧式コンバータが降圧式力率改善コンバータに統合される請求項5に記載のLED照明システム。
【請求項7】
更に、前記昇降圧式コンバータ及び前記制御ICの間を電気接続する安定電圧補償回路を含む請求項5又は請求項6に記載のLED照明システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−84539(P2013−84539A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271496(P2011−271496)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(594063511)桐生株式会社 (6)
【Fターム(参考)】