説明

LED照明器具

【課題】照明器具本体が大型化することなく、LEDが発する熱の放熱性を高め高輝度化が可能なLED照明器具を提供する。
【解決手段】複数のLEDパッケージ35を光源ケース3に収め、LED用電源ユニット17を電源ケース5に収め、これら光源ケース3及び電源ケース5を結合して一体の照明器具本体7を構成し、この照明器具本体7を角度可変に構造物取付用の支持脚9に軸支部材21で支持したLED投光器1において、前記光源ケース3を熱伝導性の高い金属材から形成し前記LEDパッケージ35の熱を放散させるとともに、前記軸支部材21及び前記支持脚9を熱伝導性の高い金属材から形成し、前記光源ケース3を前記支持脚9の前記軸支部材21で支持し前記光源ケース3の熱を前記支持脚9に伝熱させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高出力なLEDを光源に採用し、また、構造物取付用の支持脚を備えたLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを光源とした各種のLED照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。一方、LEDの高出力化に伴いLEDの発熱量が増大していることから、LEDの寿命を延命するためにも、LEDの発熱対策が必要となっている。
そこで、従来の照明器具においては、照明器具本体に多数の放熱フィンを設け、照明器具本体に伝熱させたLEDの熱を放熱フィンから放熱する技術や、照明器具本体自体がLEDの発熱量に対して十分な熱容量を有しLEDの発熱を吸収して、その表面から放熱する技術などの各種の技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−234558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光源を構成するLEDの数や出力が増えた場合には、従来の放熱技術では十分にLEDの発熱を放熱する事ができず、照明器具本体を大型化して照明器具本体の熱吸収量や表面からの放熱量を高めたり冷却用ファンやヒートシンクを内蔵したりする必要がある。
したがって、照明器具本体を大型化しない限りは、LEDの出力を抑える必要が生じ、小型で高輝度なLED照明器具を実現することは困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、照明器具本体が大型化することなく、LEDが発する熱の放熱性を高め高輝度化が可能なLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のLEDを光源ケースに収め、電源ユニットを電源ケースに収め、これら光源ケース及び電源ケースを結合して一体の照明器具本体を構成し、この照明器具本体を角度可変に構造物取付用の支持脚に支持軸で支持したLED照明器具において、前記光源ケースを熱伝導性の高い金属材から形成し前記LEDの熱を放散させるとともに、前記支持軸及び前記支持脚を熱伝導性の高い金属材から形成し、前記光源ケースを前記支持脚に支持軸で支持し前記光源ケースの熱を前記支持脚に伝熱させたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記LED照明器具において、前記光源ケースの照射開口とは反対側の背面側に放熱フィンを設け、前記LEDの設置面から前記放熱フィンに前記LEDの熱を伝導する熱伝導部を設けるとともに、前記LEDの設置面と前記電源ケースとの間に空洞部を設けたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記LED照明器具において、前記熱伝導部には、前記LED同士の間に対応する位置に空洞部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記LED照明器具において、複数の前記LEDのそれぞれを、熱伝導性及び絶縁性が高い1枚のセラミック板の上に配置し、当該セラミック板を前記光源ケースのLEDの設置面に密着配置したことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記LED照明器具において、複数のLEDが1つのLED基板に設けられてパッケージ化されたLEDパッケージを前記1枚のセラミック板の上に複数配置するとともに、前記LEDパッケージに対応して凹状反射面が形成された反射体を前記セラミック板の上に配置し、前記凹状反射面の底部が緩衝材を介して前記LEDパッケージのそれぞれを押圧したことを特徴する。
【0010】
また本発明は、上記LED照明器具において、耐電圧試験時に印加される電圧、前記セラミック板の誘電率、及び、前記セラミック板と前記LEDパッケージの接触面積に基づいて、前記耐電圧試験時に前記LEDと前記LED基板の間に加わる電圧が前記LEDの耐電圧以下となるように前記セラミック板の厚みを規定したことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記LED照明器具において、前記光源ケースには取付用開口部を設け、前記電源ユニットには接続口を設け、前記接続口を前記取付用開口部に嵌め込んで前記光源ケース及び前記電源ケースを結合可能に構成し、前記接続口には前記取付用開口部に挿入するつば部を形成し、このつば部に沿って防水用パッキンを配置し、前記防水用パッキンを外側から押さえる押さえ部を前記取付用開口部に設け、前記押さえ部を前記取付用開口部の縁部から突出した凸状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源ケースを熱伝導性の高い金属材から形成しLEDの熱を放散させるとともに、支持軸及び前記支持脚を熱伝導性の高い金属材から形成し、前記光源ケースを前記支持脚に支持軸で支持し前記光源ケースの熱を前記支持脚に伝熱させるため、光源ケースだけでは放熱仕切れないLEDの発熱分が、支持軸を介して支持脚に伝熱されて処理されるため、照明器具本体を大型化せずとも、LEDが発する熱の放熱性が高められる。これにより高出力なLEDを光源に採用することが可能となり、LED照明器具を大型化することなく高輝度化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るLED投光器の正面、平面、右側面及び背面を共に示す図である。
【図2】図1のI−I線における断面を示す図である。
【図3】図1のII−II線にける断面を示す図である。
【図4】図1のX部分を拡大して示す図である。
【図5】光源ケースと光源ユニットの組立図である。
【図6】LEDパッケージの構成を示す図である。
【図7】LEDパッケージと反射体を拡大して示す図である。
【図8】LEDユニットの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、LED照明器具の一例としてLED投光器を例示するが、本発明は、これに限らず、支持脚を有するLED照明器具であれば任意の器具に適用することができる。
【0015】
図1は、本実施形態に係るLED投光器1の正面、平面、右側面及び背面を共に示す図である。また図2は図1のI−I線における断面を示す図であり、図3は図1のII−II線にける断面を示す図である。
図1に示すように、LED投光器1は、光源ケース3及び電源ケース5を一体に結合してなる照明器具本体7と、この照明器具本体7を角度可変に支持した構造物取付用の支持脚9とを備えている。光源ケース3、電源ケース5及び支持脚9のそれぞれは、例えばアルミダイカスト等の高熱伝導性を有する材料から一体成形されている。
【0016】
光源ケース3は、複数のLEDパッケージ35を有する光源ユニット33を収めるケースであり、縦横の長さに比して厚みが小さい略箱型状を成し、正面には略矩形の照射開口13が開口しガラス製或いは樹脂製の透明カバー15が嵌め込まれ、この照射開口13から正面に向けて光を照射する。光源ケース3の背面は略円弧状に膨らみ、この背面には上下に延びる多数の放熱フィン11が一体に形成されている。
この光源ケース3の下端部には、光源ケース3の主要部の幅Aよりも狭い幅Bに形成された支持脚取付部4が一体に形成されている。
【0017】
電源ケース5は、LEDパッケージ35への電力供給用の電源回路であるLED用電源ユニット17を内蔵する横長の箱型状のケースである。その横幅は光源ケース3の支持脚取付部4よりも若干小さく形成されており支持脚9との間に隙間が設けられている。この電源ケース5の背面にも、光源ケース3と同様に上下に延びる複数の放熱フィン19が一体に設けられている。この電源ケース5は、光源ケース3の支持脚取付部4の下端に一体に結合され、これらによって照明器具本体7が構成される。
【0018】
支持脚9は、建物の壁面や支柱等の構造物に照明器具本体7を角度可変に支持するための、全体的に略コ字状に形成された部材であり、開放端部が光源ケース3の支持脚取付部4の左右側面に軸支部材(支持軸)21で回動自在に支持されている。軸支部材21は、光源ケース3等と同様に例えばアルミダイカスト等の高熱伝導性を有する材料から成形され、光源ケース3と支持脚9を熱的に良好に結合する。
【0019】
また、支持脚9の横幅は、光源ケース3の横幅Aと同程度であり、照明器具本体7に対して支持脚9が横に突出しないように意匠的工夫がなされている。
このとき、支持脚9の両側から下方に延びる脚部9Aは、幅Aと幅Bの差で規定される太さCを有し、従来のLED投光器に比べて、その脚部9Aの厚みを大きくすることで、脚部9Aの熱容量を増加させている。この脚部9Aの太さCは、光源ケース3だけでは放熱仕切れないLEDパッケージ35の発熱分を伝導させて良好に放熱できる程度の太さとされている。これにより、照明器具本体7を大型化せずとも、LEDパッケージ35が発する熱の放熱性が高められる。
【0020】
また、上述したように、電源ケース5が支持脚9に接していないため、支持脚9から電源ケース5に熱が伝達することがないから、LED用電源ユニット17に余計な熱が加わることがなく、当該LED用電源ユニット17の熱による損傷が防止される。
【0021】
ただし、電源ケース5を光源ケース3に一体的に連結して照明器具本体7を構成しているため、何ら対策を施さなければ、連結部分を通じて光源ケース3から電源ケース5に熱伝達が生じLED用電源ユニット17に影響を生じさせる、という問題がある。特に、LED用電源ユニット17の発熱量は、複数のLEDパッケージ35を備える光源ユニット33の発熱量よりも少ないことから、光源ケース3から熱が伝導し易くなり、その問題は顕著になる。電源ケース5を光源ケース3から離して別体に配置することで、上記の問題は解決されるが、そうすると、装置が大型化する。
また、LED投光器1は、屋外でも使用されることから、電源ケース5と光源ケース3を一体に結合した構成では、これら電源ケース5と光源ケース3の間から水や埃の浸入を防止するために、電源ケース5及び光源ケース3の密着性を高めて水密にする必要があり、結果として、光源ケース3から電源ケース5への熱の移動を招くこととなる。
【0022】
本実施形態では、電源ケース5と光源ケース3の結合構造を次ぎのようにすることで上述の問題を解消している。
先ず、電源ケース5と光源ケース3の結合構造について説明すると、図2に示すように、光源ケース3の支持脚取付部4の下面の全体が電源ケース5の取付用開口部23として開口するとともに、電源ケース5の上面全体が接続口25として開口し、接続口25の先端に周設されたつば部25Aを取付用開口部23に嵌挿して、電源ケース5と光源ケース3が一体に結合される。
【0023】
接続口25のつば部25Aの外周には防水用パッキン27が配置され、光源ケース3の取付用開口部23の先端部に設けたパッキン押さえ部29で外側から押さえ付けられることで水密が得られている。このパッキン押さえ部29の先端部は、電源ケース5の接続口25に周設された肩部31に当接することで、電源ケース5の挿入を規制している。このパッキン押さえ部29は、光源ケース3の背面側にあっては、図1に示すX部分を拡大した図4に示すように、取付用開口部23の縁部から電源ケース5に向けて突出した凸状に形成されている。すなわち、取付用開口部23の先端においては、凸状のパッキン押さえ部29の先端部だけが電源ケース5に接触するため、接触面積を少なくできる。これにより、水密を図りつつ光源ケース3から電源ケース5へ熱が伝わり難くできる。
【0024】
一方、電源ケース5の正面側においては、光源ケース3の取付用開口部23に設けたパッキン押さえ部29は、横幅全体に亘って延びて、防水用パッキン27を露出させないようにして意匠性を高めている。ただし、この光源ケース3においては、光源ユニット33の熱は背面側に導かれるようになっているため、正面側のパッキン押さえ部29から電源ケース5への熱伝導の影響は非常に小さくなっている。以下では、光源ユニット33の熱を背面側に導く構成について説明する。
【0025】
図5は、光源ケース3と光源ユニット33の組立図である。
光源ユニット33は、複数のLEDパッケージ35を配線34で直列に接続し、熱伝導性の高い1枚の矩形のセラミック板37の上に所定の間隔で接着配置して構成され、係るセラミック板37を光源ケース3の底面3Aに密着させて設けられる。このように各LEDパッケージ35を1枚のセラミック板37に配置することで、それぞれの絶縁を図りつつ均等な冷却が図られる。
また光源ケース3には、各LEDパッケージ35に対応して凹状反射面43が形成された反射体41が光源ユニット33を上から押さえ付けるように取り付けられ、光源ユニット33と光源ケース3の密着性が高められている。
【0026】
係る構成により、光源ユニット33が発する熱は、光源ケース3の底面3Aに伝導される。光源ケース3においては、図2に示すように、光源ユニット33が接する底面3Aから背面側の放熱フィン11にかけて中実の熱伝導部51が光源ユニット33の範囲Dに亘って設けられるとともに、光源ユニット33の直下(支持脚取付部4の内部)には、光源ケース3と電源ケース5の正面側の嵌挿部分への熱伝導を阻止するための空洞部53が設けられている。
これにより、光源ユニット33から発した熱は、上記熱伝導部51及び空洞部53により、光源ケース3の背面の放熱フィン11へ主として伝導される。このため、上述のように、光源ケース3の正面側のパッキン押さえ部29から電源ケース5への熱伝導の影響が少なくなるのである。
【0027】
また、上記空洞部53は、光源ケース3の内部において、光源ユニット33の直下から熱伝導部51の直下にかけて、すなわち、電源ケース5の接続口25の開口全体に亘って設けられている。これにより、熱伝導部51から電源ケース5への直接的な熱伝導が阻止される。また、空洞部53の背面側においては放熱フィン11が設けられているため、電源ケース5に至る間に放熱が行われ、また、空洞部53の左右側面(光源ケース3)においては、支持脚9に良好に伝熱されるため、電源ケース5に熱が伝わり難くなっている。
【0028】
一方、熱伝導部51においては、図2に示すように、LEDパッケージ35と放熱フィン11の間を避けた箇所に軽量化用の空洞部52A〜52Dが設けられており、光源ユニット33から放熱フィン11への熱伝導を阻害せずに光源ケース3の軽量化が図られている。
【0029】
ここで、光源ユニット33は、上述の通り、1枚のセラミック板37に複数のLEDパッケージ35を接着して構成されているため、LEDパッケージ35の各々の間でセラミック板37の密着性にバラツキが生じ易い。このようにバラツキが生じると放熱性が異なるため、LEDパッケージ35の寿命にも違いが生じたりする。そこで、反射体41が各LEDパッケージ35を押圧することで密着性にバラツキが無いようにしている。
詳述すると、LEDパッケージ35は、図6に示すように、金属板61Aの表面に絶縁層61Bを設けたLED基板61の上に、24×3個のLED65を格子状に配列してなる発光部63とを備え、この発光部63から面状光が照射される。なお、同図において、符号66はLED基板61に形成されたアノード電極、符号67はカソード電極を示す。係るLEDパッケージ35は約1100lm以上の光束を出力する高出力なものであり、6個のLEDパッケージ35で上記光源ユニット33が構成されている。
【0030】
光源ユニット33の上には、当該光源ユニット33を光源ケース3の底面3Aに押し付けるように上記反射体41が設けられる。この反射体41には、光源ユニット33の各LEDパッケージ35の発光部63に対応して凹状反射面43が形成されるが、この凹状反射面43の底部43Aには、図7に示すように、柔軟性及び絶縁性を有する緩衝材71が配置される。そして、各凹状反射面43の底部43Aが緩衝材71を介してLED基板61をセラミック板37に押し付けることで、LEDパッケージ35の各々がセラミック板37に密着し、密着性のバラツキが解消されるのである。
【0031】
このセラミック板37には、高い熱伝導性とともに絶縁性を有する例えばアルミナ(酸化アルミニウム)が用いられている。このような絶縁性を有するセラミック板37を用いることで、LED投光器1に対する耐電圧試験時に高電圧が印加された場合でも該発光部63(LED65)への過大な電圧印加を防止できるようになっている。
【0032】
詳述すると、図8に示すように、光源ユニット33は、LED基板61が金属板61Aと絶縁層61Bを有することから、金属板61Aと発光部63(LED65)の間に浮遊分布容量C1が生じる。同様に、この光源ユニット33が取り付けられる光源ケース3と金属板61Aの間にはセラミック板37が介在することから、これらの間に浮遊分布容量C2が生じる。そして、耐電圧試験時には、金属板61Aと発光部63の間、及び、光源ケース3と金属板61Aの間には、それぞれ浮遊分布容量C1と浮遊分布容量C2により分圧された電圧が印加される。
金属板61Aと発光部63の間の電圧をV1、光源ケース3と金属板61Aの間の電圧をV2とすると、
V1・C1=V2・C2・・・(式1)
が成り立つ。
【0033】
LED65には、破壊を生じ得る電圧の最大値を規定したLED耐電圧Vthが設定されており、LED65を保護するためには、このLED耐電圧以下に電圧V1を抑える必要がある。
すなわち、
Vth≧V1=V2・(C2/C1)・・・(式2)
を満足する必要がある。
【0034】
また、浮遊分布容量C2は、セラミック板37の板厚をd、LED基板61との接触面積をS、真空誘電率をEa、セラミック板37の誘電率をEbとすると、
C2=Ea・Eb・S/d・・・(式3)
と表される。
また耐電圧試験時の印加電圧をVcとすると、V1+V2=Vcであるから、この式と(式1)〜(式3)を用いて、電圧V1がLED耐電圧Vth以下となる板厚dが次式により求められる。
d≧Ea・Eb・S・(Vc−Vth)/(Vth・C1)・・・(式4)
【0035】
したがって、上記(式4)を満足するように、セラミック板37の板厚dを設定することで、耐電圧試験時に発光部63(LED65)に印加される電圧をLED耐電圧Vth以下とすることができる。
例えば、Ea=8.855×10−12、Eb=9.4、S=445.1mm、Vc=1500V、Vth=500Vとすると、d≧1.001mmとなり、セラミック板37の厚みを約1mm以上とすれば発光部63(LED65)を良好に保護することができる。
また、これにより耐電圧試験時に発光部63(LED65)への過大な電圧印加による破損を防止するために、例えばコンデンサー(サージアブソーバ)やツェナーダイオード、バリスタ、抵抗などの電子部品を用いる必要がないため、LED用電源ユニット17の大型化を招くこともない。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源ケース3を熱伝導性の高い金属材から形成し光源ユニット33の熱を放散させるとともに、軸支部材21及び支持脚9を熱伝導性の高い金属材から形成し、光源ケース3を支持脚9の軸支部材21に支持し光源ケース3の熱を支持脚9に伝熱させる構成とした。
この構成により、光源ケース3だけでは放熱仕切れない光源ユニット33の発熱分が、軸支部材21を介して支持脚9に伝熱されて処理されるため、照明器具本体7を大型化せずとも、光源ユニット33が発する熱の放熱性が高められる。これにより高出力な光源ユニット33を光源に採用することが可能となり、LED投光器1を大型化することなく高輝度化が可能になる。
【0037】
また本実施形態によれば、光源ケース3の照射開口13とは反対側の背面側に放熱フィン11を設け、光源ユニット33の設置面である光源ケース3の底面3Aから放熱フィン11に光源ユニット33の熱を伝導する熱伝導部51を設けるとともに、光源ユニット33が設置される底面3Aと電源ケース5との間に空洞部53を設ける構成とした。この構成により、光源ユニット33の熱が熱伝導部51を介して放熱フィン11に優先的に伝導されるため、電源ケース5への熱伝導が抑制され、LED用電源ユニット17の熱的損傷を防止することができる。
【0038】
また本実施形態によれば、熱伝導部51には、LEDパッケージ35同士の間に対応する位置に軽量化用の空洞部52A〜52Dを設けたため、放熱性を阻害せずに灯具の軽量化を図ることができる。
【0039】
また本実施形態によれば、複数のLEDパッケージ35のそれぞれを、熱伝導性及び絶縁性が高い1枚のセラミック板37の上に配置し、当該セラミック板37を光源ケース3のLEDの設置面である底面3Aに密着配置する構成とした。
この構成により、各LEDパッケージ35の絶縁を図りつつ均等に冷却することができる。
【0040】
また本実施形態によれば、複数のLEDパッケージ35に対応して凹状反射面43が形成された反射体41をセラミック板37の上に配置し、凹状反射面43の底部が緩衝材71を介してLEDパッケージ35のそれぞれを押圧する構成とした。
この構成により、各LEDパッケージ35の間でセラミック板37との間の密着性にバラツキを無くし均等に冷却されるようにできる。
【0041】
また本実施形態によれば、耐電圧試験時に印加される電圧Vc、セラミック板37の誘電率Eb、及び、セラミック板37とLEDパッケージの接触面積Sに基づいて、耐電圧試験時にLEDパッケージ35のLED65とLED基板61の金属板61Aの間に加わる電圧V1がLED65のLED耐電圧Vth以下となるようにセラミック板37の厚みdを規定した。
これにより、耐電圧試験時に、LED65への過大な電圧印加による破損を防止するために、例えばコンデンサー(サージアブソーバ)やツェナーダイオード、バリスタ、抵抗などの電子部品を用いる必要がないため、光源ユニット33の大型化を招くこともない。
【0042】
また本実施形態によれば、電源ケース5の接続口25には、取付用開口部23に挿入するつば部25Aを形成し、このつば部25Aに沿って防水用パッキン27を設け、この防水用パッキン27を外側から押さえる押さえ部29を取付用開口部23に設け、この押さえ部29を取付用開口部23の縁部23Aから突出した凸状とする構成とした。
この構成により、取付用開口部23の先端においては、凸状のパッキン押さえ部29の先端部だけが電源ケース5に接触するため、接触面積を少なくできる。これにより、水密を図りつつ光源ケース3から電源ケース5へ熱が伝わり難くできる。
【0043】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 LED投光器(LED照明器具)
3 光源ケース
3A 底面(設置面)
5 電源ケース
7 照明器具本体
9 支持脚
11、19 放熱フィン
13 照射開口
17 LED用電源ユニット
21 軸支部材(支持軸)
23 取付用開口部
23A 縁部
25 接続口
27 防水用パッキン
33 光源ユニット
35 LEDパッケージ
37 セラミック板
41 反射体
43 凹状反射面
43A 底部
51 熱伝導部
52A〜52D 空洞部
53 空洞部
61 LED基板
61A 金属板
61B 絶縁層
63 発光部
65 LED
71 緩衝材
d 板厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDを光源ケースに収め、電源ユニットを電源ケースに収め、これら光源ケース及び電源ケースを結合して一体の照明器具本体を構成し、この照明器具本体を角度可変に構造物取付用の支持脚に支持軸で支持したLED照明器具において、
前記光源ケースを熱伝導性の高い金属材から形成し前記LEDの熱を放散させるとともに、
前記支持軸及び前記支持脚を熱伝導性の高い金属材から形成し、前記光源ケースを前記支持脚に前記支持軸で支持し前記光源ケースの熱を前記支持脚に伝熱させたことを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記光源ケースの照射開口とは反対側の背面側に放熱フィンを設け、前記LEDの設置面から前記放熱フィンに前記LEDの熱を伝導する熱伝導部を設けるとともに、前記LEDの設置面と前記電源ケースとの間に空洞部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記熱伝導部には、前記LED同士の間に対応する位置に空洞部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のLED照明器具。
【請求項4】
複数の前記LEDのそれぞれを、熱伝導性及び絶縁性が高い1枚のセラミック板の上に配置し、当該セラミック板を前記光源ケースのLEDの設置面に密着配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項5】
複数のLEDが1つのLED基板に設けられてパッケージ化されたLEDパッケージを前記1枚のセラミック板の上に複数配置するとともに、前記LEDパッケージに対応して凹状反射面が形成された反射体を前記セラミック板の上に配置し、
前記凹状反射面の底部が緩衝材を介して前記LEDパッケージのそれぞれを押圧したことを特徴とする請求項4に記載のLED照明器具。
【請求項6】
耐電圧試験時に印加される電圧、前記セラミック板の誘電率、及び、前記セラミック板と前記LEDパッケージの接触面積に基づいて、前記耐電圧試験時に前記LEDと前記LED基板の間に加わる電圧が前記LEDの耐電圧以下となるように前記セラミック板の厚みを規定したことを特徴とする請求項5に記載のLED照明器具。
【請求項7】
前記光源ケースには取付用開口部を設け、前記電源ユニットには接続口を設け、前記接続口を前記取付用開口部に嵌め込んで前記光源ケース及び前記電源ケースを結合可能に構成し、
前記接続口には前記取付用開口部に挿入するつば部を形成し、このつば部に沿って防水用パッキンを配置し、前記防水用パッキンを外側から押さえる押さえ部を前記取付用開口部に設け、
前記押さえ部を前記取付用開口部の縁部から突出した凸状とした
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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