説明

LED照明装置

【課題】 一般に広く普及している照明装置である蛍光ランプの照明装置を用いて点灯することができるLED照明装置を提供する。
【解決手段】 LED照明装置は、商用交流電源1に接続される照明器具100と、LED光源装置3と、制御装置4とを備える。照明器具100は、蛍光ランプ用安定器2と、ソケット部5,6,14とを備える。LED光源装置3は、電源回路部10と、LED光源部11と、ソケット部5に装着される口金110と、ソケット部6に装着される口金120とを備える。制御装置4は、ソケット部14に装着され、電極151,152間に接続された電流可変手段としての可変抵抗器9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを有するLED光源部を備え、出力光の輝度や色調を制御する機能を有するLED照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDは小型で低電力駆動が可能である。また制御性に優れており複数の色調のLEDにそれぞれ流す電流を変化させることで自由に発光色を可変できる。近年ではLEDの発光効率の向上が目覚しい。これらの理由によりLEDは照明用途に徐々に使われ始めてきている。
【0003】
例えば、出力光の輝度や色調を制御する機能を有するLED照明装置の構成例として、特開2006−318773号公報(特許文献1)に記載された構成が挙げられる。特許文献1は、異なる輝度変化特性を持つ赤、青、緑の3種類のLEDを用いてその出力光を混合して白色光を取り出す照明装置において、周囲温度や使用時間と共にそれぞれのLEDが異なる輝度変化をしても、色度点を一定に保つ機能を実現したものである。特許文献1の図1に記載されている実施例は、商用交流電源1、点灯装置2、およびLEDユニット3から構成され、点灯装置2は電源部21、点灯制御部22、演算処理部23、タイマー24、および記憶部25から構成されており、点灯装置2内の回路構成及びプログラム構成で規定された動作で所望の制御効果を得ようとするものである。
【0004】
このように特許文献1に記載された技術を用いれば、高い制御性が得られ、使用者の所望の点灯制御が可能な光源を得ることが期待される。また、最近ではLEDの発光効率が急速に向上しており蛍光ランプの発光効率に匹敵するところまできており、今後更に向上する見込みである。この高い発光効率と、蛍光ランプにはない制御性の良さ、すなわち明るさや発光色を容易に制御できる点、更に蛍光ランプのように水銀を使用しておらず環境負荷が軽い等の点から、近い将来、一般照明用途としてLEDが広く普及していくものと予想されている。
【特許文献1】特開2006−318773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにLEDは照明用途として多くの長所を持つ反面、LED光源自体は蛍光ランプ等現在広く普及している光源に比べ現状では非常に高価である。更に、既に社会に広く普及している蛍光ランプの点灯装置をLEDの点灯装置にそのままでは置き換えることができず、装置及び電源配線を含めた全面的な変更が必要なため、更に大きなコストがかかることになる。これらが、LED照明の普及のための一つの大きな阻害要因になっている。上記従来技術では、これらの課題およびそれに対する解決策には言及されていない。
【0006】
従って本発明の目的は、一般に広く普及している照明装置である蛍光ランプの照明装置を用いて点灯することができるLED照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
蛍光ランプは発光効率が高いという特徴を持つ一方、放電現象を利用しているため、高い起動電圧を発生させ、且つ点灯後の電流を安定させる装置が必要である。これらの機能を有する蛍光ランプの点灯装置としては、大きく2種類に大別され、1つは銅鉄安定器とグロースタータとの組み合わせ、もうひとつは電子点灯装置である。過去においては、前者の銅鉄安定器とグロースタータが殆どの蛍光ランプ点灯装置として用いられていたが、電子部品の普及と低コスト化とともに近年では電子点灯装置が占有率を増やしつつある。このように近年では電子点灯装置が占有率を増やしつつあるものの、銅鉄安定器とグロースタータは既に大量に照明装置として建築物や器具に組み込まれてインフラとして機能しており、またその低コスト性からまだまだ大量に新規に用いられている。したがって、既に社会に広く普及している蛍光ランプの点灯装置を利用することができれば、新たな配線工事が不要となり、LED照明への置き換えを加速することができる。本発明はこの点に注目したものである。
【0008】
図2は、一般に普及している蛍光ランプの点灯装置の一例を示す図である。図2において、1は商用交流電源、2は銅鉄安定器、20は蛍光ランプ、21はグロースタータである。図2の蛍光ランプ20の部分に、LED照明装置を置き換えて取り付けられるようにLED照明装置の構造や内部回路を構成することにより、広く世の中に普及している蛍光ランプの器具あるいは点灯装置をそのまま使って、発光ダイオードを有するLED光源部を備えたLED照明装置にすることが可能になる。
【0009】
ところで、LED照明装置の最大の利点である制御性の良さを実現するため、制御装置をLED光源装置に組み込むと、これもコストアップの大きな要因となる。すなわち、使用者毎の所望の制御特性は多様で、多様な制御特性の要求に対応するため、制御装置の大規模化が避けられないためである。
【0010】
そこで、従来蛍光ランプが取り付けられていた部分にLED光源装置を取り付け、従来グロースタータが取り付けられていたソケット部には制御回路部分を収納することにより、LED光源装置は共通で使用して、制御部分は使用者の要求に応じて取り替えできる構造とすることで、制御部に組み込む制御機能を最小限に抑えることができるため、低コストで、多様な制御特性要求に対応することができるようになる。
【0011】
しかし、従来例の構成をこの考え方に適用しようとした場合、制御部と駆動部との間に少なくとも一つの制御信号線と、図には書かれていないが演算処理装置や記憶部を動作させるための電源線2本の計3本の線が最低限必要になるが、グロースタータの接続線は2本しかなく、制御部を分離した構成にすることできないという新たな課題が生じる。
【0012】
本発明ではこの新たな課題を解決するため、次の2つの手段を提案する。一つ目は、制御部が2端子の受動部品による制御であり、二つ目は電源線に制御信号を重畳する方法である。この手段を用いる事により、2本の接続線で制御する事が可能になる。グロースタータの接続線を利用する事が可能になるため、LED光源装置は共通で使用し、制御部分は使用者の要求に応じて取り替える、という考え方を実現することができるようになる。
【0013】
また、商用交流電源とLED点灯装置間に銅鉄安定器が入る事になり、動作開始時や停止時など電流急変時に銅鉄安定器からサージ電圧が発生しLED点灯装置にそのサージ電圧がかかるため、サージ電圧がLED点灯装置に用いられている素子の耐圧を超え、極端な場合故障させる場合がある。そこで、LED光源装置の電源入力側にサージ電圧吸収装置を具備することが好ましい。
【0014】
すなわち本発明に係るLED照明装置は、第1及び第2電極を有する第1口金と、第3及び第4電極を有する第2口金と、発光ダイオードを有するLED光源部と、前記第1口金の前記第1電極と前記第2口金の第3電極との間に供給される交流電圧を直流電圧に変換して前記LED光源部に電流を供給する電源回路部とを備えたLED光源装置と、第5及び第6電極と、前記第5及び第6電極間に接続された電流可変手段とを備えた制御装置と、前記第1口金の第1及び第2電極とそれぞれ接触する第1及び第2接点を有する第1ソケット部と、前記第2口金の第3及び第4電極とそれぞれ接触する第3及び第4接点を有する第2ソケット部と、前記制御装置の第5及び第6電極とそれぞれ接触する第5及び第6接点を有する第3ソケット部と、前記第1ソケット部の第2接点と前記第3ソケット部の第5接点との間及び前記第2ソケット部の第4接点と前記第3ソケット部の第6接点との間をそれぞれ電気的に接続する手段とを備えた照明器具と、を具備し、前記LED光源装置の電源回路部が、前記制御装置の電流可変手段の出力に応じて前記LED光源部に流す電流を変化させるものである。
【0015】
ここで、前記LED光源装置の前記第1〜第4電極は、直管形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つものとすることができる。また、前記LED光源装置は、前記第1及び第2電極を有する第1口金並びに第3及び第4電極を有する第2口金に代えて、第1〜第4電極を有する第3口金を備えることができる。この場合、前記LED光源装置の前記第1〜第4電極は、環形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つものとすることができる。さらに、前記制御装置の前記第5及び第6電極は、グロースタータの端子ピンあるいはねじ込み式口金と同じ寸法形状を持つものとすることができる。
【0016】
また、前記LED光源装置は前記LED光源部を複数備え、前記電源回路部が前記電流可変手段の出力に応じて前記複数のLED光源部に流す電流を個別に変化させ得るものとすることができる。前記制御装置は前記電流可変手段を制御する制御回路を備え、前記LED光源装置が前記第1口金の第2電極及び前記第2口金の第4電極並びに前記制御装置の前記第5及び第6電極を介して前記制御回路に電源を供給するようにすることができる。前記制御回路はマイクロコンピュータを有し、前記マイクロコンピュータのプログラムに従って前記電流可変手段を制御することができる。前記制御装置は無線信号受信器を備え、前記無線信号受信器がリモコン発信器からの無線信号に基づいて前記制御回路に制御情報を伝達することができる。前記無線信号は赤外線信号または電波信号とすることができる。さらに、前記LED光源装置は、前記第1電極と前記第3電極との間にサージ電圧を吸収するサージ電圧吸収手段を備えることができる。
【0017】
本発明に係るLED光源装置は、直管形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つ第1及び第2電極を有する第1口金並びに第3及び第4電極を有する第2口金と、前記第1口金と第2口金の間に位置する発光ダイオードを有する棒状のLED光源部と、前記第1口金の前記第1電極と前記第2口金の第3電極との間に供給される交流電圧を直流電圧に変換して前記LED光源部に電流を供給する電源回路部とを備える。また、本発明に係るLED光源装置は、環形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つ第1〜第4電極を有する第3口金と、前記第3口金の両端を結ぶ発光ダイオードを有する環状のLED光源部と、前記第3口金の前記第1電極と第3電極との間に供給される交流電圧を直流電圧に変換して前記LED光源部に電流を供給する電源回路部とを備えたことを特徴とするLED光源装置。
本発明に係る制御装置は、前記LED光源装置の前記第2電極と接続される第5電極及び前記第4電極と接続される第6電極と、前記第5及び第6電極間に接続された電流可変手段とを備えたものであって、前記第5及び第6電極が、グロースタータの端子ピンあるいはねじ込み式口金と同じ寸法形状を持つものである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、既に広く普及している蛍光ランプの点灯装置(照明器具)のインフラを変更することなく、蛍光ランプをLED光源装置に簡単に取り替えて使えるようにでき、また蛍光ランプとグロースタータをLED光源装置と制御装置にそれぞれ取り替えて使えるようにできるため、高効率で所望の点灯制御が可能なLED照明装置を低コストで実現でき、LED光源装置を普及させる上で大きな効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るLED照明装置の実施例を図面に従って説明する。
【0020】
(実施例1)
図1は、本発明に係るLED照明装置の実施例1の構成を示す回路図である。本装置は、商用交流電源1に接続される照明器具100と、LED光源装置3と、制御装置4とを備える。照明器具100は、蛍光ランプ用安定器2と、ソケット部5,6,14とを備える。LED光源装置3は、電源回路部10と、LED光源部11と、電極111,112を有する口金110と、電極121,122を有する口金120とを備える。電源回路部10は、サージ吸収素子7、整流回路8,LED光源部11、スイッチングトランジスタ30、電流制限抵抗31,ベース抵抗32、基準電源33,抵抗34,35,電圧比較器36,鋸歯状波発生器37,およびトランジスタ38を備える。LED光源部11はLED素子12及び13を具備している。制御装置4は、電極151,152(および口金150)と、電極151,152間に接続された電流可変手段(インピーダンス可変手段)としての可変抵抗器9とを備える。ここで、LED光源装置3の電極としては、例えば直管形あるいは環形の蛍光ランプの口金ピンと同等のものを用いることができる。制御装置4の電極としては、例えばグロースタータの口金(またはピン)と同等のものを用いることができる。
【0021】
電源回路部10は、電極111と電極121との間に供給される交流電圧を直流電圧に変換してLED光源部11に電流を供給する。ソケット部5は、LED光源装置3の電極111,112とそれぞれ接触する接点511,512を有する。ソケット部6は、LED光源装置3の電極121,122とそれぞれ接触する接点611,612を有する。ソケット部14は、制御装置4の電極151,152とそれぞれ接触する接点141,142を有する。ソケット部5の接点512とソケット部14の接点141との間、およびソケット部6の接点612とソケット部14の接点142との間は、それぞれ電気的に接続する手段(例えば電気配線)が備えられる。LED光源装置3の電源回路部10は、制御装置4の可変抵抗器9の抵抗値変化に応じてLED光源部11に流す電流を変化させる。
【0022】
ソケット部5及び6は、例えば一般蛍光ランプ用口金を装着可能なソケットと同じ構造を持つ。すなわち、LED光源装置3側に口金、および照明器具100側にその口金に対応するソケットを具備して、口金とソケットが着脱できる構造となっている。ソケット部14についても同様で、制御装置4側に一般のグロースタータ用口金、および照明器具100側にその口金に対応するソケットを具備して、口金とソケットが着脱できる構造となっている。
【0023】
商用交流電源1の交流電圧は、安定器2,ソケット部5及び6を通して、整流回路8に入力され、直流電圧に変換される。直流電圧は基準電源33で一定の直流電圧に変換され、抵抗34,35及び可変抵抗器9の抵抗値によって分圧された電圧が電圧比較器36の−入力端子に入力される。電圧比較器36の+入力端子には鋸歯状波発生器37で発生した鋸歯状波が入力され、基準電源33の電圧を抵抗34,35及び可変抵抗器9の抵抗値によって分圧した電圧と比較される。
【0024】
図3(a)、(b)は、電源回路部10の動作の一例を示す説明図である。図において、波形22は電圧比較器36の−入力端子の入力電圧波形、波形23は電圧比較器36の+入力端子の入力電圧波形、波形24は電圧比較器36の出力電圧波形である。電圧比較器36の−入力端子の電圧が電圧比較器36の+入力端子の電圧よりも低い期間に、電圧比較器36の出力には、図3の波形24に示すハイレベルの電圧が出力され、トランジスタ38がONして、ベース抵抗32を通してスイッチングトランジスタ30にベース電流が流れ、スイッチングトランジスタ30がONして、電流制限抵抗31で制限された電流が、LED素子12及び13に流れ発光する。反対に電圧比較器36の−入力端子の電圧が電圧比較器36の+入力端子の電圧よりも高い期間は、電圧比較器36の出力に図3の波形24に示すローレベルの電圧が出力され、トランジスタ38はOFFとなるので、LED素子には電流が流れない。したがって、可変抵抗器9の抵抗値を変化させることによって、抵抗34,35及び可変抵抗器9の分圧比が変化して、電圧比較器36の−入力端子の電圧が変化し、電圧比較器36にハイレベルの電圧が出力される期間が変化して、その結果LED素子12及び13に電流が流れるデューティが変化するため、LED素子12及び13から発生する光量を変化させることができる。
【0025】
また、電源投入時や、制御装置4を動作中にソケットから取り外した時など、安定器2の電流が急激に変化すると、安定器2の両端にサージ電圧が発生する場合があり、極端な場合上記した整流回路8やスイッチングトランジスタ30等で構成されるLEDの点灯回路がサージ電圧の影響で故障する場合がある。これを防止するため、例えば電極111と電極121間にサージ吸収素子7を設ける。これによってサージ電圧を吸収することができる。
【0026】
上記した本発明の実施例1では、例えば、異なる発光色のLEDを点灯させたい場合、LED光源部11、あるいはLED素子12、13、あるいはLED光源装置3全てを取り替えることで、達成できる。LED光源部11、あるいはLED素子12、13のみを取り替える場合はもちろんのこと、LED光源装置3を取り替える場合でも、抵抗34及び35、基準電源33、鋸歯状波発生器37,電圧比較器36等の設計を同じにしておけば、制御装置4は取り替えなくても、前記実施例1と同等の明るさ可変機能を得ることができる。あるいは、LED光源装置3は取り替えずに制御装置4を、可変抵抗器9とは抵抗変化範囲の異なる可変抵抗器を具備した別の制御装置に取り替えることで、明るさの変化範囲の異なるLED照明装置を得ることもできる。
【0027】
照明器具100のソケットとしては、LED光源装置3に対しては、例えば直管形蛍光ランプあるいは環形蛍光ランプに対応するいずれのものでも適用できる。また、制御装置4に対しても、例えばグロースタータのエジソンベースタイプ(ねじ込み式、E17形)あるいはピンタイプ(端子ピン式、P21形)に対応するいずれのものでも適用できる。LED光源装置3の口金に関しては、照明器具100のソケットに合うように、例えばLED光源装置3が棒状(例えば直管形)の形状を有する場合は、口金110の電極111,112および120の電極121,122はそれぞれ直管形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つ。また、LED光源装置3が環状の形状を有する場合は、口金110および120は一体とされ、その電極111,112,121,122はそれぞれ環形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つ。細径または一般の直管形蛍光ランプ用の照明器具および環形蛍光ランプ用の照明器具でも適用可能である。
【0028】
(実施例2)
実施例1では、制御装置4の中に2端子の受動素子を内蔵する場合の実施例を示した。実施例2では制御装置4の中に能動素子を組み込んで、より複雑な制御を行わせる例を示す。
図4は、本発明に係るLED照明装置の実施例2の構成を示す回路図である。図示のように、LED光源装置72は、サージ吸収素子7,整流回路8,LED光源部11,スイッチングトランジスタ40,インダクタ41,ショットキーダイオード42,コンデンサ59、電流検出抵抗43,ダイオード44,コンデンサ46,抵抗45及び47,増幅器48,コンデンサ58,電圧比較器49,鋸歯状波発生器50,トランジスタ51,抵抗60、基準電源52,電流検出器53,および基準電圧発生器54を備える。制御装置71は、抵抗55,制御回路56,トランジスタ57を備える。ここで、抵抗55とトランジスタ57とで電流可変手段を構成し、制御回路56がこの電流可変手段を制御してその出力を変化させる。制御回路56は、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)を有し、マイコンのプログラムに従って電流可変手段を制御することができる。その他、図1と同一符号は、同一または同等部分を示す。
【0029】
スイッチングトランジスタ40はトランジスタ51のON/OFFにしたがってON/OFF動作を繰り返して、インダクタ41を通してコンデンサ59を充電する。スイッチングトランジスタ40のOFF時にインダクタ41から逆起電力が発生するためショットキーダイオード42に電流が流れ、やはりコンデンサ59を充電する。このようにしてコンデンサ59の両端にはある直流電圧が発生しLED12及び13に電流が流れる。LED12及び13を流れた電流は電流検出抵抗43に流れ電流検出抵抗43の両端にはLED12及び13の電流に比例した電圧が発生し、ダイオード44を通してコンデンサ46を充電する。コンデンサ46の両端電圧は抵抗45及び47で分圧されて、増幅器48の+入力端子に入力される。したがって、増幅器48の+入力端子に入力される電圧は、LED12及び13に流れる電流に比例した電圧が入力されることになる。
【0030】
例えば、LED12及び13に所望の電流以上の電流が流れた場合、増幅器48の+入力端子に入力される電圧は、増幅器48の−入力端子に入力されている基準電圧よりも高くなり、増幅器48の出力電圧は通常事よりも上昇する。増幅器48の出力電圧は電圧比較器49の−入力端子に接続されており、鋸歯状波発生器50の出力電圧と比較される。増幅器48の出力電圧は電圧比較器49の−入力端子に接続されているので、増幅器48の出力電圧が上昇すると、電圧比較器49の−入力端子に入力されている電圧が高くなるため、図3で説明したように、スイッチングトランジスタ40のONするデューティが減少する。そのためコンデンサ59の両端電圧が低下してLED12及び13に流れる電流が減少する。反対にLED12及び13に所望の電流以下の電流が流れた場合、増幅器48の+入力端子に入力される電圧は、増幅器48の−入力端子に入力されている基準電圧よりも低くなり、結果的にスイッチングトランジスタ40のONするデューティが増加してLED12及び13に流れる電流が増加する。このような動作の結果、増幅器48の+入力端子と−入力端子の電圧が一致するところで安定して動作することになる。すなわち、増幅器48の−入力端子に入力する基準電圧を変化させれば、LED12及び13には適宜所望の電流を流すことができることになる。
【0031】
次に制御装置側からの制御情報をどのようにLED光源装置側に伝達するかについて説明する。基準電源52の電圧は電流検出器53、ソケット部14を通して制御回路56に入力される。制御回路56は基準電源52から供給される電源により動作する。制御回路56の内部には例えばマイコンが実装されており、マイコンからは、例えば、予め定めたデューティのパルス電圧を出力して、トランジスタ57をON/OFFするように構成しておく。トランジスタ57がOFFの期間は、電流検出器53には制御回路56の電源電流しか流れない。一方、トランジスタ57がONしている期間は制御回路56の電源電流に加え、抵抗55に流れる電流が電流検出器53を流れる。そのため、電流検出器53に流れる電流が高い期間は、トランジスタ56がONしており、電流検出器53に流れる電流が低い期間は、トランジスタ57がOFFしていることが分かることになる。したがって、基準電圧発生器54の構成として、トランジスタ57のONデューティと基準電圧発生器54の出力電圧との関係を規定しておくことにより、マイコンから出力されているパルスのデューティに対応した電圧が基準電圧発生器54から出力され、基準電圧発生器54から出力電圧に対応した電流がLED12及び13に流れることになる。すなわち例えば、時刻によってパルスのデューティが変化するように、マイコンのプログラムを組んでおくことにより、時刻によってLEDの明るさが変化するLED照明装置を実現することができる。
【0032】
図5は、電流検出器53および基準電圧発生器54の構成例を示す図である。図のように、電流検出器53は電流検出抵抗90及び増幅器91、基準電源92により構成され、基準電圧発生器54は抵抗93及び94,コンデンサ95、基準電源96,増幅器97から構成されている。図6(a)〜(d)は、図5に示す電流検出器53および基準電圧発生器54の動作説明図である。図6(a)はマイコンの出力電圧波形である。実線はパルスのデューティが大きい場合、破線はデューティが小さい場合の波形である。図6(b)は電流検出器53に流れる電流波形で、トランジスタ57が(a)の電圧が高い期間ONし、低い期間OFFするため、(a)の電圧が高い期間は大きな電流が流れ、(a)の電圧が低い期間は小さい電流が流れる。図6(c)は電流検出抵抗90の両端の電位差を示しており、大きな電流が流れる期間は電位差も大きく、小さい電流が流れる期間は電位差も低い。図6(d)の波形のうち、パルス状の波形が増幅器91の出力波形で、抵抗93及び94とコンデンサ95でこのパルス状の波形を平均化し、図6(d)の直線状の波形はコンデンサ95の両端電圧を示している。図6(d)から分かるように、パルスデューティが大きい場合はコンデンサ95の両端電圧は高くなり、破線のようにパルスデューティが小さい場合はコンデンサ95の両端電圧は低くなる。増幅器97はこのコンデンサ95の電圧をインピーダンス変換して、図4の増幅器48へ出力する。
【0033】
上記は、マイコンから出力されるデユーティを変化させて、制御装置71からLED光源装置72へ制御情報を送る方式の例を示したが、マイコンから出力するパルス列にデジタルデータとして制御情報をのせ、電流検出器53でパルス列を復元して、基準電圧発生器54にデジタル処理回路とデジタル/アナログ変換器を内蔵しておいて、パルス列で表されたデジタルデータに対応した基準電圧を発生させる方法でもよい。あるいはアナログ方式として、制御情報を制御回路56から出力される電圧値で表すこととして、この制御回路56から出力される電圧値に応じて電流検出回路53に流す電流値を変化させ、電流検出回路53に流れる電流値に応じた電流をLED12,13に流す方法でもよい。
【0034】
(実施例3)
図7は、本発明に係るLED照明装置の実施例3を示す図である。図示のように、赤外線リモコン受信機62と制御回路61を内蔵した制御装置73を準備しておけば、図4の制御装置71を制御装置73に取り替えれば、赤外線リモコン99から送られた制御信号を赤外線リモコン受信機62で受信して、受信情報を制御回路61に送り、制御回路61から出力するパルス電圧のデューティを変化させることができ、以降、図4の実施例で説明した動作と同様にトランジスタ57のON/OFFに伴う電流変化を電流検出器53で検出することにより、トランジスタ57のONデューティを検出し、予め設定されたトランジスタ57のONデューティと基準電圧発生器54の出力電圧との関係に従って、基準電圧発生器54の出力電圧が変化し、その結果LEDの明るさを所望の明るさが変化するので、赤外線リモコンによってLEDの明るさを制御できるLED照明装置を実現することができる。
【0035】
(実施例4)
実施例1〜3はLED光源装置の発光色は一定で、明るさだけを変える例を示したが、実施例4では発光色も可変できる例を示す。
図8は、本発明に係るLED照明装置の実施例4の構成を示す回路図である。図示のように、LED光源装置75は、複数のLED光源部17a,17bを備える。電源回路部10は、さらにスイッチングトランジスタ80,インダクタ81,ショットキーダイオード82,コンデンサ124、電流検出抵抗83,ダイオード84,コンデンサ86,抵抗85及び87,増幅器88,コンデンサ120,電圧比較器89,鋸歯状波発生器121,トランジスタ122,抵抗123,および基準電圧発生器63を備える。また、制御装置74は、制御回路64を備える。LED光源部17a,17bにはそれぞれLED12、13及びLED15,16を具備しており、LED12と13、LED15と16はそれぞれ同じ発光色を持ち、LED12とLED15は異なる発光色を持つ。その他、図4と同一符号は、同一または同等部分を示す。
【0036】
スイッチングトランジスタ80,インダクタ81,ショットキーダイオード82,コンデンサ124、電流検出抵抗83,ダイオード84,コンデンサ86,抵抗85及び87,増幅器88,コンデンサ120,電圧比較器89,鋸歯状波発生器121,トランジスタ122,抵抗123で構成する部分は、図4のスイッチングトランジスタ40,インダクタ41,ショットキーダイオード42,コンデンサ59、電流検出抵抗43,ダイオード44,コンデンサ46,抵抗45及び47,増幅器48,コンデンサ58,電圧比較器49,鋸歯状波発生器50,トランジスタ51,抵抗60で構成する部分と同様の動作を行う。
基準信号発生器63からは増幅器49及び増幅器88、それぞれ別々の基準電圧を出力するので、発光色の異なるLEDから出る光量を別々に変化させることができ、両者を混色した光の色を適宜所望の色に変化させることができる。
【0037】
図9は、基準電圧発生器63の一構成例を示す図である。図において、130は増幅器、131は反転増幅器を示し、その他図5と同一符号は同一もしくは同等の部分を示す。図9の例では、上記実施例2で説明したように、制御回路64から出力されるパルス電圧のデューティに対応した電圧を130の増幅器でインピーダンス変換して増幅器49に出力すると共に、制御回路64から出力されるパルス電圧のデューティに対応した電圧を反転増幅器131で反転及びインピーダンス変換して増幅器88に出力する構成となっている。したがって、制御回路64から出力されるパルス電圧のデューティが大きい場合は、増幅器49には高い基準電圧が出力され、増幅器88には低い値の基準電圧が出力される。したがって、LED12及び13に流れる電流が大きくなって明るく発光し、LED15及び16に流れる電流が小さくなって暗く発光する。反対に制御回路64から出力されるパルス電圧のデューティが小さい場合は、増幅器49には低い基準電圧が出力され、増幅器88には高い値の基準電圧が出力される。そのためLED12及び13は暗く、LED15及び16は明るく発光する。したがって、制御回路64から出力されるパルス電圧のデューティを変化させることで、異なる2色の発光光の比率が変化するため、混色後の発光光の色が変化する。
【0038】
図10は、基準電圧発生器63の他の構成例を示す図である。図示のように、基準電圧発生器63は論理回路132及びデジタル−アナログ変換器133、134により構成されている。図10は、実施例2で説明した、パルス列にデジタルデータとして制御情報を乗せる方法を応用したものである。電流検出器53で復元されたパルス列から論理回路132でLED12、13側の制御情報とLED15、16側の制御情報に振り分け、それぞれデジタル−アナログ変換器133,134にそれぞれデジタル値を出力して、デジタル−アナログ変換器133,134からそれぞれ、増幅器49及び88に基準電圧を出力することで、上記と同様の制御を行うことができる。
上記の説明では、LED12及び13,LED14及び15の2系統の例を示したが、同様の方法で系統数を任意に増やすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、発光ダイオードを有するLED光源部を備え、出力光の輝度や色調を制御する機能を有するLED照明装置に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るLED照明装置の実施例1の構成を示す回路図である。
【図2】一般に普及している蛍光ランプの点灯装置の一例を示す図である。
【図3】(a)、(b)は電源回路部の動作の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るLED照明装置の実施例2の構成を示す回路図である。
【図5】電流検出器および基準電圧発生器の構成例を示す図である。
【図6】(a)〜(d)は図5に示す電流検出器および基準電圧発生器の動作説明図である。
【図7】本発明に係るLED照明装置の実施例3を示す図である。
【図8】本発明に係るLED照明装置の実施例4の構成を示す回路図である。
【図9】基準電圧発生器の一構成例を示す図である。
【図10】基準電圧発生器の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…商用交流電源、2…安定器、3…LED光源装置、4…制御装置、5及び6…ソケット部、7…サージ吸収素子、8…整流回路、9…可変抵抗器、10…電源回路部、11…LED光源部、14…ソケット部、30…スイッチングトランジスタ、31…電流制限抵抗、32…ベース抵抗、33…基準電源、34及び35…抵抗、36…電圧比較器、37…鋸歯状波発生器、38…トランジスタ、100…照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2電極を有する第1口金と、第3及び第4電極を有する第2口金と、発光ダイオードを有するLED光源部と、前記第1口金の前記第1電極と前記第2口金の第3電極との間に供給される交流電圧を直流電圧に変換して前記LED光源部に電流を供給する電源回路部とを備えたLED光源装置と、
第5及び第6電極と、前記第5及び第6電極間に接続された電流可変手段とを備えた制御装置と、
前記第1口金の第1及び第2電極とそれぞれ接触する第1及び第2接点を有する第1ソケット部と、前記第2口金の第3及び第4電極とそれぞれ接触する第3及び第4接点を有する第2ソケット部と、前記制御装置の第5及び第6電極とそれぞれ接触する第5及び第6接点を有する第3ソケット部と、前記第1ソケット部の第2接点と前記第3ソケット部の第5接点との間及び前記第2ソケット部の第4接点と前記第3ソケット部の第6接点との間をそれぞれ電気的に接続する手段とを備えた照明器具と、
を具備し、
前記LED光源装置の電源回路部が、前記制御装置の電流可変手段の出力に応じて前記LED光源部に流す電流を変化させることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記LED光源装置の前記第1〜第4電極が、直管形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つことを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記LED光源装置が、前記第1及び第2電極を有する第1口金並びに第3及び第4電極を有する第2口金に代えて、第1〜第4電極を有する第3口金を備えたことを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記LED光源装置の前記第1〜第4電極が、環形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つことを特徴とする請求項3記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記制御装置の前記第5及び第6電極が、グロースタータの端子ピンと同じ寸法形状を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記制御装置の前記第5及び第6電極が、グロースタータのねじ込み式口金と同じ寸法形状を持つ口金として形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記LED光源装置が前記LED光源部を複数備え、前記電源回路部が前記電流可変手段の出力に応じて前記複数のLED光源部に流す電流を個別に変化させ得るものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項8】
前記制御装置が前記電流可変手段を制御する制御回路を備え、前記LED光源装置が前記第1口金の第2電極及び前記第2口金の第4電極並びに前記制御装置の前記第5及び第6電極を介して前記制御回路に電源を供給することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項9】
前記制御回路がマイクロコンピュータを有し、前記マイクロコンピュータのプログラムに従って前記電流可変手段を制御することを特徴とする請求項8記載のLED照明装置。
【請求項10】
前記制御装置が無線信号受信器を備え、前記無線信号受信器がリモコン発信器からの無線信号に基づいて前記制御回路に制御情報を伝達することを特徴とする請求項8または9記載のLED照明装置。
【請求項11】
前記無線信号が赤外線信号または電波信号であることを特徴とする請求項10記載のLED照明装置。
【請求項12】
前記LED光源装置が、前記第1電極と前記第3電極との間にサージ電圧を吸収するサージ電圧吸収手段を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載LED照明装置。
【請求項13】
直管形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つ第1及び第2電極を有する第1口金並びに第3及び第4電極を有する第2口金と、前記第1口金と第2口金の間に位置する発光ダイオードを有する棒状のLED光源部と、前記第1口金の前記第1電極と前記第2口金の第3電極との間に供給される交流電圧を直流電圧に変換して前記LED光源部に電流を供給する電源回路部とを備えたことを特徴とするLED光源装置。
【請求項14】
環形蛍光ランプの口金ピンと同じ寸法形状を持つ第1〜第4電極を有する第3口金と、前記第3口金の両端を結ぶ発光ダイオードを有する環状のLED光源部と、前記第3口金の前記第1電極と第3電極との間に供給される交流電圧を直流電圧に変換して前記LED光源部に電流を供給する電源回路部とを備えたことを特徴とするLED光源装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載のLED光源装置の前記第2電極と接続される第5電極及び前記第4電極と接続される第6電極と、前記第5及び第6電極間に接続された電流可変手段とを備えた制御装置であって、前記第5及び第6電極が、グロースタータの端子ピンと同じ寸法形状を持つことを特徴とする制御装置。
【請求項16】
請求項13または14に記載のLED光源装置の前記第2電極と接続される第5電極と、前記第4電極と接続される第6電極と、前記第5及び第6電極間に接続された電流可変手段とを備えた制御装置であって、前記第5及び第6電極が、グロースタータのねじ込み式口金と同じ寸法形状を持つ口金として形成されていることを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−87588(P2009−87588A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252758(P2007−252758)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】