し渣分離脱水機
【課題】互いに逆回転する円筒ケーシング、スクリューの駆動機構にベベルギアを用いることで駆動機構を小型に、かつ簡易な装置とするとともに、排出口を反駆動側とすることで脱水し渣の排出も安定して行えるようにしたし渣分離脱水機を提供すること。
【解決手段】周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング１の内部にスクリュー２を挿通配設し、円筒ケーシング１内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリュー２の回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機Ａにおいて、円筒ケーシング１とスクリュー２をベベルギア５、６を用いた駆動機構Ｄにて互いに逆回転駆動するように構成する。
【解決手段】周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング１の内部にスクリュー２を挿通配設し、円筒ケーシング１内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリュー２の回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機Ａにおいて、円筒ケーシング１とスクリュー２をベベルギア５、６を用いた駆動機構Ｄにて互いに逆回転駆動するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、し渣分離脱水機に関し、特に、汚水の固液分離を行うようにした円筒ケーシングと該円筒ケーシング内に挿通し、し渣を搬送するようにしたスクリューとを１台の駆動機構にて互いに逆回転させて、汚水中に含まれる夾雑物（以下、「し渣」という。）の固液分離及び脱水を効率的に行うようにしたし渣分離脱水機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、汚水中に含まれる夾雑物（し渣）を汚水より分離し、該し渣を脱水する装置として、特許文献１に開示されるし渣分離脱水機が本件出願人によって提案されている。
【０００３】
ところで、この種のし渣分離脱水機は、例えば、図２〜図３に示すように、汚水の固液分離を行うようにした円筒形で、一端側を少し小径となるよう円錐形円筒部とした円筒ケーシング１内に固液分離したし渣を送り出すように形成したし渣搬送用のスクリュー２を挿通し、円筒ケーシングの円錐形円筒部側より電動機Ｍ、遊星歯車ユニットＥを介して円筒ケーシング１、スクリュー２を互いに逆回転するよう駆動し、かつ反駆動側端部より汚水を供給し、駆動側に向かってし渣を含む汚水を搬送するようにすることで、汚水とし渣とを分離し、汚水を水切スクリーン外へ排水しつつし渣分を駆動側へ搬送する際、水切スクリーン端部に配設した背圧抵抗板の作用にて過圧して脱水し、その後駆動側端部より円筒ケーシング外へ排出するように構成している。
【０００４】
このため、円筒ケーシング１を回転させるために遊星歯車ユニットＥのインターナルギアと円筒ケーシング１を連結機構を介して連結する必要があるが、この部分は脱水し渣を排出するところともなり、し渣排出孔を形成するので連結部材にねじりに対する十分な強度を得ることができないので、この円筒形をした連結部材を厚肉の大口径部材を使用することでねじりに対する強度を確保しているため、遊星歯車ユニットが大きくなるという問題があった。
また、脱水し渣が塊で排出落下した場合、連結部材に形成したし渣排出孔を塞いでしまい、安定したし渣排出が行えないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００９−１４２７２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記従来のし渣分離脱水機の有する問題点に鑑み、互いに逆回転する円筒ケーシング、スクリューの駆動機構にベベルギアを用いることで駆動機構を小型に、かつ簡易な装置とするとともに、排出口を反駆動側とすることで脱水し渣の排出も安定して行えるようにしたし渣分離脱水機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するため、本発明のし渣分離脱水機は、周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング内部にスクリューを挿通配設し、該円筒ケーシング内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリューの回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機において、円筒ケーシングとスクリューをベベルギアを用いた駆動機構にて互いに逆回転駆動するように構成したことを特徴とする。
【０００８】
この場合において、ベベルギアを用いた駆動機構を、電動機にて駆動されるベベルピニオンに、互いに対向して配設し、円筒ケーシングとスクリューにそれぞれ連結する２つのベベルギアを噛合し、互いに逆回転するよう構成することができる。
【０００９】
また、スクリュー軸を中空状とし、反駆動側端部より円筒ケーシング内に汚水を供給するように構成することができる。
【００１０】
また、円筒ケーシング内のスクリュー軸に汚水吐出孔を形成することができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明のし渣分離脱水機によれば、周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング内部にスクリューを挿通配設し、該円筒ケーシング内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリューの回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機において、円筒ケーシングとスクリューをベベルギアを用いた駆動機構にて互いに逆回転駆動するように構成することにより、駆動機構を小型化するとともに、円筒ケーシング及びスクリューの連結駆動部にし渣排出用の排出口を形成することがなく強固にすることができる。
【００１２】
また、ベベルギアを用いた駆動機構を、電動機にて駆動されるベベルピニオンに、互いに対向して配設し、円筒ケーシングとスクリューにそれぞれ連結する２つのベベルギアを噛合し、互いに逆回転するよう構成することにより、駆動機構を簡易にし、かつ円筒ケーシング及びスクリューの円滑回転を確保しつつその支持を強固に行うことができる。
【００１３】
また、スクリュー軸を中空状とし、反駆動側端部より円筒ケーシング内に汚水を供給するように構成することにより、円筒ケーシング内への汚水供給が確実に、かつ脱水し渣の排出に支障を与えることなく行うことができる。
【００１４】
また、円筒ケーシング内のスクリュー軸に汚水供給孔を形成することにより、円筒ケーシング内への汚水供給が確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明のし渣分離脱水機の一実施例を示す断面図である。
【図２】従来のし渣分離脱水機を示す説明図である。
【図３】従来のし渣分離脱水機の円筒ケーシングを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、本発明のし渣分離脱水機の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【００１７】
図１に、本発明のし渣分離脱水機の一実施例を示す。
このし渣分離脱水機Ａは、本体ケーシングＫ内に回転可能に周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング１を配設するとともに、該円筒ケーシング１内にし渣を圧縮しつつ搬送するようにしたし渣搬送用のスクリュー２を回転可能に挿通して配設し、この円筒ケーシング１、スクリュー２の一端部にベベルギアを用いた駆動機構Ｄを配設し、該円筒ケーシング１、スクリュー２を互いに逆回転駆動するように構成する。
【００１８】
本体ケーシングＫは、処理する汚水が周囲に飛散しないよう、望ましくは円筒ケーシング１、スクリュー２を密閉できるような構造とし、内部に円筒ケーシング１を水平或いは反駆動側が低くなるよう緩やかな傾斜をするようにして回転可能に配設するとともに、この円筒ケーシング１の上方位置に洗浄ノズルＮを配設して洗浄水を円筒ケーシング１の外周面に向かって噴射するようにして円筒ケーシング１に目詰まりが生じることがないように洗浄を行うようにし、洗浄後の洗浄水及び円筒ケーシング１にて固液分離された汚水を排水するための排水口Ｋａを形成する。
【００１９】
また、円筒ケーシング１は、図１に示すように、水切スクリーン部１１となる円筒部の一端側に該円筒部より少し小径となるよう円錐形に形成したし渣脱水部１２とを一連にして形成し、水切スクリーン部１１にて導入される汚水の固液分離をしてその汚水を本体ケーシングＫ内に排水できるように、円錐形部でし渣を脱水できるように形成し、該円筒ケーシング１のし渣脱水部１２である円錐形端部より脱水し渣を排出するようにし、さらに円筒ケーシング端部にし渣に過圧して脱水できるようにした背圧抵抗板３を配設する。
なお、この円筒ケーシング１は、駆動機構Ｄ側の回転支持装置であるベアリングと本体ケーシングＫに配設した支持装置であるベアリングとにより回転可能に支持されている。
【００２０】
スクリュー２は、内部を中空としたスクリュー軸２１の外周に旋回するスクリュー羽根２２を巻き付けるようにして構成する。このスクリュー２の羽根ピッチはスクリュー軸２１の全長に亘って均等とすることも、或いは汚水の固液分離を行う分離ゾーンとし渣を脱水する脱水ゾーンとをその作用に応じて異なるようにすることもでき、スクリュー羽根２２の端部は円筒ケーシング１のし渣排出口１３よりも長くして、脱水し渣の排出を確実に行えるようにする。
また、スクリュー軸２１は、反駆動側端部より汚水を供給できるようにし、円筒ケーシング内において、望ましは円筒ケーシング１の閉鎖された内端部近傍にて１もしくは２以上形成した汚水吐出口２３から、中空状スクリュー軸内に供給された汚水を円筒ケーシング内に吐出供給するようにする。
【００２１】
また、これら円筒ケーシング１、スクリュー２は一端部に配設したベベルギアを用いた駆動機構Ｄに接続し、それぞれ逆回転するようにして駆動する。
この駆動機構Ｄは、図１に示すように、駆動機構Ｄのギアボックス内に電動機Ｍにて駆動されるベベルピニオン４に、円筒ケーシング駆動用のベベルギア５とスクリュー駆動用のベベルギア６との２つのベベルギアを互いに対向して噛合するよう配設し、これにより円筒ケーシング１とスクリュー２は互いに逆回転するようにする。
【００２２】
なお、この円筒ケーシング駆動用のベベルギア５には、軸受７にて回転可能に支持された円筒形の連結軸部材８を介して円筒ケーシング１の基端部と接続し、またスクリュー駆動用のベベルギア６には、円筒形のスクリュー軸連結部材９を介してスクリュー軸２１の基端部と接続する。このスクリュー軸連結部材９は、円筒ケーシング１の連結軸部材８内を貫通するように挿通され、かつ軸受１０を介して連結軸部材８内にて回転可能に支持される。
【００２３】
以上のように構成されたし渣分離脱水機の作用について次に述べる。
電動機Ｍの駆動にて該電動機Ｍに直結されたベベルピニオン４が回転駆動すると、該ベベルピニオン４に噛合された円筒ケーシング駆動用及びスクリュー駆動用の２つのベベルギア５、６がともに駆動され、円筒ケーシング１とスクリュー２とは互いに逆回転する。
この場合、１つの駆動機構内にベベルピニオン４に対して互いに反対方向へ回転するようにして２つのベベルギア５、６を噛合しているので、円筒ケーシング１とスクリュー２とはベベルピニオン４が回転駆動するだけでスムースに逆回転するとともに、ベベルギア５、６と円筒ケーシング１或いはスクリュー２との接続も、円筒形の連結軸部材８内に挿通する他方のスクリュー軸連結部材９にも形成することなく接続しているので部材の強度を損ねることがない。
【００２４】
この状態で、反駆動側のスクリュー軸端部の汚水供給口２４より汚水を供給すると、中空状のスクリュー軸２１内を流下してその端部に形成した汚水吐出口２３から中空状スクリュー軸内に供給される。このとき、円筒ケーシング１とスクリュー２は互いに逆回転しているので、円筒ケーシング１の水切スクリーン部１１にて汚水の固液分離が促進され、水分としての汚水分が円筒ケーシング１の水切スクリーン部１１より本体ケーシングＫ内に排水されるとともに、分離されたし渣分は円筒ケーシング１と逆回転するスクリュー２にて吐出口側へ搬送される。
【００２５】
そして、し渣が円筒ケーシング１の円錐形のし渣脱水部１２に達すると背圧抵抗板３との作用にて加圧されるようになるため脱水され、その後この脱水されたし渣は円筒ケーシング端部に形成したし渣排出口１３から外部に確実に、安定して排出される。このようにして汚水の連続固液分離、し渣分の脱水を行うものである。
【００２６】
以上、本発明のし渣分離脱水機について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明のし渣分離脱水機は、互いに逆回転する円筒ケーシング、スクリューの駆動機構にベベルギア機構を用いることで駆動機構を小型に、簡易な装置とし、かつ排出口を反駆動側にして安定排出を可能にするという特性を有していることから、し渣分離脱水機の用途に好適に用いることができるほか、例えば、繊維の洗浄脱水機の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【００２８】
Ａ し渣分離脱水機
Ｄ 駆動機構
Ｋ 本体ケーシング
Ｍ 電動機
Ｎ 洗浄ノズル
１ 円筒ケーシング
１１ 水切スクリーン部
１２ し渣脱水部
１３ し渣排出口
２ スクリュー
２１ スクリュー軸
２２ スクリュー羽根
２３ 汚水吐出口
２４ 汚水供給口
３ 背圧抵抗板
４ ベベルピニオン
５ 円筒ケーシング駆動用のベベルギア
６ スクリュー駆動用のベベルギア
７ 軸受
８ 連結軸部材
９ スクリュー軸連結部材
１０ 軸受
【技術分野】
【０００１】
本発明は、し渣分離脱水機に関し、特に、汚水の固液分離を行うようにした円筒ケーシングと該円筒ケーシング内に挿通し、し渣を搬送するようにしたスクリューとを１台の駆動機構にて互いに逆回転させて、汚水中に含まれる夾雑物（以下、「し渣」という。）の固液分離及び脱水を効率的に行うようにしたし渣分離脱水機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、汚水中に含まれる夾雑物（し渣）を汚水より分離し、該し渣を脱水する装置として、特許文献１に開示されるし渣分離脱水機が本件出願人によって提案されている。
【０００３】
ところで、この種のし渣分離脱水機は、例えば、図２〜図３に示すように、汚水の固液分離を行うようにした円筒形で、一端側を少し小径となるよう円錐形円筒部とした円筒ケーシング１内に固液分離したし渣を送り出すように形成したし渣搬送用のスクリュー２を挿通し、円筒ケーシングの円錐形円筒部側より電動機Ｍ、遊星歯車ユニットＥを介して円筒ケーシング１、スクリュー２を互いに逆回転するよう駆動し、かつ反駆動側端部より汚水を供給し、駆動側に向かってし渣を含む汚水を搬送するようにすることで、汚水とし渣とを分離し、汚水を水切スクリーン外へ排水しつつし渣分を駆動側へ搬送する際、水切スクリーン端部に配設した背圧抵抗板の作用にて過圧して脱水し、その後駆動側端部より円筒ケーシング外へ排出するように構成している。
【０００４】
このため、円筒ケーシング１を回転させるために遊星歯車ユニットＥのインターナルギアと円筒ケーシング１を連結機構を介して連結する必要があるが、この部分は脱水し渣を排出するところともなり、し渣排出孔を形成するので連結部材にねじりに対する十分な強度を得ることができないので、この円筒形をした連結部材を厚肉の大口径部材を使用することでねじりに対する強度を確保しているため、遊星歯車ユニットが大きくなるという問題があった。
また、脱水し渣が塊で排出落下した場合、連結部材に形成したし渣排出孔を塞いでしまい、安定したし渣排出が行えないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００９−１４２７２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記従来のし渣分離脱水機の有する問題点に鑑み、互いに逆回転する円筒ケーシング、スクリューの駆動機構にベベルギアを用いることで駆動機構を小型に、かつ簡易な装置とするとともに、排出口を反駆動側とすることで脱水し渣の排出も安定して行えるようにしたし渣分離脱水機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するため、本発明のし渣分離脱水機は、周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング内部にスクリューを挿通配設し、該円筒ケーシング内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリューの回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機において、円筒ケーシングとスクリューをベベルギアを用いた駆動機構にて互いに逆回転駆動するように構成したことを特徴とする。
【０００８】
この場合において、ベベルギアを用いた駆動機構を、電動機にて駆動されるベベルピニオンに、互いに対向して配設し、円筒ケーシングとスクリューにそれぞれ連結する２つのベベルギアを噛合し、互いに逆回転するよう構成することができる。
【０００９】
また、スクリュー軸を中空状とし、反駆動側端部より円筒ケーシング内に汚水を供給するように構成することができる。
【００１０】
また、円筒ケーシング内のスクリュー軸に汚水吐出孔を形成することができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明のし渣分離脱水機によれば、周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング内部にスクリューを挿通配設し、該円筒ケーシング内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリューの回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機において、円筒ケーシングとスクリューをベベルギアを用いた駆動機構にて互いに逆回転駆動するように構成することにより、駆動機構を小型化するとともに、円筒ケーシング及びスクリューの連結駆動部にし渣排出用の排出口を形成することがなく強固にすることができる。
【００１２】
また、ベベルギアを用いた駆動機構を、電動機にて駆動されるベベルピニオンに、互いに対向して配設し、円筒ケーシングとスクリューにそれぞれ連結する２つのベベルギアを噛合し、互いに逆回転するよう構成することにより、駆動機構を簡易にし、かつ円筒ケーシング及びスクリューの円滑回転を確保しつつその支持を強固に行うことができる。
【００１３】
また、スクリュー軸を中空状とし、反駆動側端部より円筒ケーシング内に汚水を供給するように構成することにより、円筒ケーシング内への汚水供給が確実に、かつ脱水し渣の排出に支障を与えることなく行うことができる。
【００１４】
また、円筒ケーシング内のスクリュー軸に汚水供給孔を形成することにより、円筒ケーシング内への汚水供給が確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明のし渣分離脱水機の一実施例を示す断面図である。
【図２】従来のし渣分離脱水機を示す説明図である。
【図３】従来のし渣分離脱水機の円筒ケーシングを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、本発明のし渣分離脱水機の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【００１７】
図１に、本発明のし渣分離脱水機の一実施例を示す。
このし渣分離脱水機Ａは、本体ケーシングＫ内に回転可能に周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング１を配設するとともに、該円筒ケーシング１内にし渣を圧縮しつつ搬送するようにしたし渣搬送用のスクリュー２を回転可能に挿通して配設し、この円筒ケーシング１、スクリュー２の一端部にベベルギアを用いた駆動機構Ｄを配設し、該円筒ケーシング１、スクリュー２を互いに逆回転駆動するように構成する。
【００１８】
本体ケーシングＫは、処理する汚水が周囲に飛散しないよう、望ましくは円筒ケーシング１、スクリュー２を密閉できるような構造とし、内部に円筒ケーシング１を水平或いは反駆動側が低くなるよう緩やかな傾斜をするようにして回転可能に配設するとともに、この円筒ケーシング１の上方位置に洗浄ノズルＮを配設して洗浄水を円筒ケーシング１の外周面に向かって噴射するようにして円筒ケーシング１に目詰まりが生じることがないように洗浄を行うようにし、洗浄後の洗浄水及び円筒ケーシング１にて固液分離された汚水を排水するための排水口Ｋａを形成する。
【００１９】
また、円筒ケーシング１は、図１に示すように、水切スクリーン部１１となる円筒部の一端側に該円筒部より少し小径となるよう円錐形に形成したし渣脱水部１２とを一連にして形成し、水切スクリーン部１１にて導入される汚水の固液分離をしてその汚水を本体ケーシングＫ内に排水できるように、円錐形部でし渣を脱水できるように形成し、該円筒ケーシング１のし渣脱水部１２である円錐形端部より脱水し渣を排出するようにし、さらに円筒ケーシング端部にし渣に過圧して脱水できるようにした背圧抵抗板３を配設する。
なお、この円筒ケーシング１は、駆動機構Ｄ側の回転支持装置であるベアリングと本体ケーシングＫに配設した支持装置であるベアリングとにより回転可能に支持されている。
【００２０】
スクリュー２は、内部を中空としたスクリュー軸２１の外周に旋回するスクリュー羽根２２を巻き付けるようにして構成する。このスクリュー２の羽根ピッチはスクリュー軸２１の全長に亘って均等とすることも、或いは汚水の固液分離を行う分離ゾーンとし渣を脱水する脱水ゾーンとをその作用に応じて異なるようにすることもでき、スクリュー羽根２２の端部は円筒ケーシング１のし渣排出口１３よりも長くして、脱水し渣の排出を確実に行えるようにする。
また、スクリュー軸２１は、反駆動側端部より汚水を供給できるようにし、円筒ケーシング内において、望ましは円筒ケーシング１の閉鎖された内端部近傍にて１もしくは２以上形成した汚水吐出口２３から、中空状スクリュー軸内に供給された汚水を円筒ケーシング内に吐出供給するようにする。
【００２１】
また、これら円筒ケーシング１、スクリュー２は一端部に配設したベベルギアを用いた駆動機構Ｄに接続し、それぞれ逆回転するようにして駆動する。
この駆動機構Ｄは、図１に示すように、駆動機構Ｄのギアボックス内に電動機Ｍにて駆動されるベベルピニオン４に、円筒ケーシング駆動用のベベルギア５とスクリュー駆動用のベベルギア６との２つのベベルギアを互いに対向して噛合するよう配設し、これにより円筒ケーシング１とスクリュー２は互いに逆回転するようにする。
【００２２】
なお、この円筒ケーシング駆動用のベベルギア５には、軸受７にて回転可能に支持された円筒形の連結軸部材８を介して円筒ケーシング１の基端部と接続し、またスクリュー駆動用のベベルギア６には、円筒形のスクリュー軸連結部材９を介してスクリュー軸２１の基端部と接続する。このスクリュー軸連結部材９は、円筒ケーシング１の連結軸部材８内を貫通するように挿通され、かつ軸受１０を介して連結軸部材８内にて回転可能に支持される。
【００２３】
以上のように構成されたし渣分離脱水機の作用について次に述べる。
電動機Ｍの駆動にて該電動機Ｍに直結されたベベルピニオン４が回転駆動すると、該ベベルピニオン４に噛合された円筒ケーシング駆動用及びスクリュー駆動用の２つのベベルギア５、６がともに駆動され、円筒ケーシング１とスクリュー２とは互いに逆回転する。
この場合、１つの駆動機構内にベベルピニオン４に対して互いに反対方向へ回転するようにして２つのベベルギア５、６を噛合しているので、円筒ケーシング１とスクリュー２とはベベルピニオン４が回転駆動するだけでスムースに逆回転するとともに、ベベルギア５、６と円筒ケーシング１或いはスクリュー２との接続も、円筒形の連結軸部材８内に挿通する他方のスクリュー軸連結部材９にも形成することなく接続しているので部材の強度を損ねることがない。
【００２４】
この状態で、反駆動側のスクリュー軸端部の汚水供給口２４より汚水を供給すると、中空状のスクリュー軸２１内を流下してその端部に形成した汚水吐出口２３から中空状スクリュー軸内に供給される。このとき、円筒ケーシング１とスクリュー２は互いに逆回転しているので、円筒ケーシング１の水切スクリーン部１１にて汚水の固液分離が促進され、水分としての汚水分が円筒ケーシング１の水切スクリーン部１１より本体ケーシングＫ内に排水されるとともに、分離されたし渣分は円筒ケーシング１と逆回転するスクリュー２にて吐出口側へ搬送される。
【００２５】
そして、し渣が円筒ケーシング１の円錐形のし渣脱水部１２に達すると背圧抵抗板３との作用にて加圧されるようになるため脱水され、その後この脱水されたし渣は円筒ケーシング端部に形成したし渣排出口１３から外部に確実に、安定して排出される。このようにして汚水の連続固液分離、し渣分の脱水を行うものである。
【００２６】
以上、本発明のし渣分離脱水機について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明のし渣分離脱水機は、互いに逆回転する円筒ケーシング、スクリューの駆動機構にベベルギア機構を用いることで駆動機構を小型に、簡易な装置とし、かつ排出口を反駆動側にして安定排出を可能にするという特性を有していることから、し渣分離脱水機の用途に好適に用いることができるほか、例えば、繊維の洗浄脱水機の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【００２８】
Ａ し渣分離脱水機
Ｄ 駆動機構
Ｋ 本体ケーシング
Ｍ 電動機
Ｎ 洗浄ノズル
１ 円筒ケーシング
１１ 水切スクリーン部
１２ し渣脱水部
１３ し渣排出口
２ スクリュー
２１ スクリュー軸
２２ スクリュー羽根
２３ 汚水吐出口
２４ 汚水供給口
３ 背圧抵抗板
４ ベベルピニオン
５ 円筒ケーシング駆動用のベベルギア
６ スクリュー駆動用のベベルギア
７ 軸受
８ 連結軸部材
９ スクリュー軸連結部材
１０ 軸受
【特許請求の範囲】
【請求項１】
周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング内部にスクリューを挿通配設し、該円筒ケーシング内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリューの回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機において、円筒ケーシングとスクリューをベベルギアを用いた駆動機構にて互いに逆回転駆動するように構成したことを特徴とするし渣分離脱水機。
【請求項２】
ベベルギアを用いた駆動機構を、電動機にて駆動されるベベルピニオンに、互いに対向して配設し、円筒ケーシングとスクリューにそれぞれ連結する２つのベベルギアを噛合し、互いに逆回転するよう構成したことを特徴とする請求項１記載のし渣分離脱水機。
【請求項３】
スクリュー軸を中空状とし、反駆動側端部より円筒ケーシング内に汚水を供給するように構成したことを特徴とする請求項１又は２記載のし渣分離脱水機。
【請求項４】
円筒ケーシング内のスクリュー軸に汚水吐出口を形成したことを特徴とする請求項３記載のし渣分離脱水機。
【請求項１】
周面より排水するようにスクリーン部を形成した円筒ケーシング内部にスクリューを挿通配設し、該円筒ケーシング内に導入された汚水中のし渣をスクリーン部で捕捉し、スクリューの回転によりし渣を加圧、脱水するようにしたし渣分離脱水機において、円筒ケーシングとスクリューをベベルギアを用いた駆動機構にて互いに逆回転駆動するように構成したことを特徴とするし渣分離脱水機。
【請求項２】
ベベルギアを用いた駆動機構を、電動機にて駆動されるベベルピニオンに、互いに対向して配設し、円筒ケーシングとスクリューにそれぞれ連結する２つのベベルギアを噛合し、互いに逆回転するよう構成したことを特徴とする請求項１記載のし渣分離脱水機。
【請求項３】
スクリュー軸を中空状とし、反駆動側端部より円筒ケーシング内に汚水を供給するように構成したことを特徴とする請求項１又は２記載のし渣分離脱水機。
【請求項４】
円筒ケーシング内のスクリュー軸に汚水吐出口を形成したことを特徴とする請求項３記載のし渣分離脱水機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１１−２００７９（Ｐ２０１１−２００７９Ａ）
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１６８７４２（Ｐ２００９−１６８７４２）
【出願日】平成２１年７月１７日（２００９．７．１７）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年７月１７日（２００９．７．１７）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Ｆターム（参考）】
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