説明

アタッチメントレンズ装置及びカメラシステム

【課題】 中間アダプタにズーム機能を持たせることにより、交換レンズがズーム機能を有さない単焦点レンズであっても、ズームを行うことを可能とすること。
【解決手段】 撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置は、少なくともカメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、光軸方向に移動可能で、マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、ズームレンズ群を光軸方向に移動制御するズーム駆動制御部とを具備し、ズーム駆動制御部は、カメラ本体との間で通信部を介して通信を行ってズーム群に関する光学情報をカメラ本体に送信すると共に、カメラ本体からズームレンズ群の光軸方向への移動範囲情報を取得し、当該移動範囲情報に基づいてズームレンズ群を光軸方向に移動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能で、例えば撮影光学系の焦点距離を変化させるズーム機能等を有するアタッチメントレンズ装置及びこのアタッチメントレンズ装置を用いたカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフレックスカメラ等の交換レンズ式のカメラシステムに装着可能なアクセサリとしては、例えばアタッチメントレンズ装置又は中間アダプタと呼ばれるものが知られている。アタッチメントレンズ装置は、カメラ本体と撮影光学系を有するマスタレンズ(交換レンズ)との間に介在させることによりマスタレンズのバックフォーカスを延長して至近距離撮影を可能としたり、又はマスタレンズの像倍率を拡大したりする機能を有する。マスタレンズのバックフォーカスを延長して至近距離撮影を可能とするアクセサリは、接写リングやエクステンションチューブと呼ばれる。マスタレンズの像倍率を拡大するアクセサリは、テレコンバータやエクステンダと呼ばれる。
特許文献1は、カメラ本体と交換レンズとの間に装着し、交換レンズ単体の場合よりも像倍率を拡大した撮影を可能とするテレコンバータについて開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−25350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、アタッチメントレンズ(中間アダプタ)により像倍率を所定値にのみ拡大することが可能であるが、像倍率(焦点距離)を連続的に変化させるズームを行うことについては開示されていない。
本発明の目的は、上記問題点を解決するためになされるもので、中間アダプタにズーム機能を持たせることにより、交換レンズがズーム機能を有さない単焦点レンズであっても、ズームを行うことを可能とするアタッチメントレンズ装置及びカメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主要な局面に係るアタッチメントレンズ装置は、撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置において、少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、光軸方向に移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御するズーム駆動制御部とを具備し、前記ズーム駆動制御部は、前記カメラ本体との間で前記通信部を介して通信を行って前記ズーム群に関する光学情報を前記カメラ本体に送信するとともに、前記カメラ本体から前記ズームレンズ群の前記光軸方向への移動範囲情報を取得し、当該移動範囲情報に基づいて前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御する。
本発明の主要な局面に係るアタッチメントレンズ装置は、撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置において、少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、光軸方向に移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御するズーム駆動制御部とを具備し、前記ズーム駆動制御部は、前記カメラ本体との間で前記通信部を介して通信を行って前記カメラ本体から前記マスタレンズの光学情報を取得し、該光学情報に基づいて前記ズームレンズ群の前記光軸方向への移動範囲を算出して前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御する。
【0006】
本発明の主要な局面に係るアタッチメントレンズ装置は、撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置において、少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、開口径を変更可能とし、前記マスタレンズからの撮影光束を制限する絞り部と、前記絞り部を駆動制御する絞り駆動制御部とを具備し、前記絞り駆動制御部は、前記カメラ本体との間で前記通信部を介して通信を行って前記絞り開口に関する光学情報を前記カメラ本体に送信するとともに、前記カメラ本体から前記絞り部が前記開口径を変更可能とする範囲を示す開口範囲情報を取得し、当該開口範囲情報に基づいて前記絞り部を駆動制御する。
本発明の主要な局面に係るアタッチメントレンズ装置は、撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能なアタッチメントレンズ装置において、少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、光軸方向に所定の移動範囲を有し移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御するズーム駆動制御部とを具備し、前記ズーム駆動制御部は、前記マスタレンズとの間の前記通信部を介して通信を行って前記マスタレンズに記憶された情報を取得し、前記情報に応じて前記ズームレンズ群の前記光軸方向の移動範囲を変更して前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御する。
【0007】
本発明の主要な局面に係るカメラシステムは、撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子とを有するカメラ本体と、前記マスタレンズと前記カメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置とから構成されるもので、前記アタッチメントレンズ装置は、光軸方向に移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする第1の通信部と、前記第1の通信部を介して前記カメラ本体との間で通信を行って情報の授受を行い、当該情報に応じて前記ズームレンズ群の移動を制御し、かつ前記ズームレンズ群の前記光軸方向の位置情報を取得するアタッチメントレンズ制御部とを具備し、
前記カメラ本体は、前記撮像素子の撮像動作より取得された画像データを処理する画像処理部と、前記マスタレンズと前記アタッチメントレンズ装置との間でそれぞれ通信を可能とする第2の通信部と、前記第2の通信部を介して前記マスタレンズと前記アタッチメントレンズ装置との間でそれぞれ通信を行って情報の授受を行うカメラ本体制御部とを具備し、前記カメラ本体制御部は、前記マスタレンズとの間で前記第2の通信部を介して通信を行って前記マスタレンズに記憶されている第1の画像データ補正情報を取得し、前記アタッチメントレンズ装置との間で前記第2の通信部を介して通信を行って前記アタッチメントレンズ装置に記憶されている第2の画像データ補正情報と前記ズームレンズ群の位置情報とを取得し、前記第1の画像データ補正情報と前記第2の画像データ補正情報と前記ズームレンズ群の前記位置情報とに基づいて第3の画像補正データを作成し、前記画像処理部は、前記第3の画像補正データに基づいて前記撮像素子の撮像動作より取得される前記画像データを補正する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、中間アダプタにズーム機能を持たせることにより、交換レンズがズーム機能を有さない単焦点レンズであっても、ズームを行うことを可能とするアタッチメントレンズ装置及びカメラシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るカメラシステムの一実施の形態を示す概略構成図。
【図2】同システムにおけるアタッチメントレンズ装置を示す概略外観図。
【図3】同システムにおけるアタッチメントレンズ装置を示す内部構成図。
【図4】同システムにおけるアタッチメントレンズ装置を示す機能ブロック図。
【図5】同システムにおけるマイクロコンピュータの機能ブロック図。
【図6】同システムにおけるカメラ本体を示すブロック構成図。
【図7】同システムにおけるアタッチメントレンズ装置のアタッチメントレンズ動作フローチャート。
【図8】同システムにおけるアタッチメントレンズ装置のボディ通信フローチャート。
【図9】同システムにおけるデータ・動作の設定フローチャート。
【図10】同システムにおけるズームレンズ群の稼動可能な範囲(移動範囲情報)を示す図。
【図11】同システムにおける絞り機構の絞り稼動可能な範囲(開口範囲情報)を示す図。
【図12】同システムにおけるズームレンズ稼動フローチャート。
【図13】同システムにおける絞り稼動フローチャート。
【図14】同システムにおけるカメラ本体のカメラ本体制御フローチャート。
【図15】同システムにおける画像データの補正フローチャート。
【図16】同システムにおける光学系での光束のケラレを示す模式図。
【図17】同システムによる画像データの補正であるシェーディング補正パラメータに対応する位置及びX軸、Y軸上におけるシェーディング補正パラメータ(RGB)を示す図。
【図18】同システムにおけるシェーディング補正データテーブルを示す摸式図。
【図19】同システムにおけるシェーディング補正の作用効果の一例を示す図。
【図20】同システムにおけるディストーション補正の原理を示す摸式図。
【図21】同システムにおける各格子点間におけるディストーション補正の原理を示す摸式図。
【図22】同システムにおけるディストーション補正の結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はカメラシステムの概略構成図を示す。このカメラシステム1は、カメラ本体(カメラボディ)2と、マスタレンズ3と、これらカメラ本体2とマスタレンズ3との間に装着可能なアタッチメントレンズ装置(ズームアダプタ)4とから構成される。マスタレンズ3は、例えばマイクロコンピュータを搭載し、カメラ本体2とアタッチメントレンズ装置4との間でそれぞれ通信可能である。マスタレンズ3のマイクロコンピュータは、例えばCPU及びメモリ等を有し、このメモリにマスタレンズ3に関する情報が予め記憶されている。マスタレンズ3に関する情報は、例えば焦点距離、明るさ、絞りの開口径の変更範囲等である。
【0011】
図2はアタッチメントレンズ装置4の概略外観図を示す。このアタッチメントレンズ装置4は、例えばズーム機能と、絞り機能とを備える。このアタッチメントレンズ装置4は、第1の通信部として、カメラ本体2側にカメラ本体用の通信端子5が設けられ、かつマスタレンズ3側にマスタレンズ用の通信端子6が設けられている。通信端子5は、アタッチメントレンズ装置4とカメラ本体2との間で通信を行うために設けられている。通信端子6は、アタッチメントレンズ装置4とマスタレンズ3との間で通信を行うために設けられている。又、通信端子5と通信端子6の間には、カメラ本体2とマスタレンズ3との間で通信を行うための通信回線7が接続されている。
アタッチメントレンズ装置4の外装体には、2つのスイッチSW1、SW2が設けられている。これらスイッチSW1、SW2は、手動によるズーム機能の望遠側、広角側調整用であり、または手動による絞り機能の開口の開閉調整用である。ズーム機能と絞り機能は、カメラ本体2のスイッチ操作等の設定の情報を、カメラ本体2とアタッチメントレンズ装置4とで通信を行って切り換える。また、アタッチメントレンズ装置4に設けられた不図示のスイッチの操作により切り換えるようにしてもよい。
【0012】
図3はアタッチメントレンズ装置4の内部構成図を示す。この装置4内には、ズームレンズ群8と、絞り機構9とが設けられている。これらズームレンズ群8と絞り機構9とは、光軸P上に配置されている。ズームレンズ群8には、ギア10を介してズームレンズ駆動モータ11が設けられている。このズームレンズ群8は、ズームレンズ駆動モータ11の駆動によって光軸Pの方向に移動する。このズームレンズ群8は、光軸Pの方向に移動可能で、マスタレンズ3との組み合わせにより決まる焦点距離を変更する。絞り機構9には、絞り駆動モータ12が設けられている。この絞り機構9は、絞り駆動モータ12の駆動によって開口径が変更し、マスタレンズ3からカメラ本体2に送る撮影光束を制限する。
【0013】
図4はアタッチメントレンズ装置4の機能ブロック図を示す。この装置4は、アタッチメントレンズ制御部としてのマイクロコンピュータ20を搭載する。このマイクロコンピュータ20は、本装置4のズーム機能と絞り機能とを制御する。このマイクロコンピュータ20には、カメラ本体2とマスタレンズ3とがそれぞれ通信可能に接続されている。又、マイクロコンピュータ20には、2つのスイッチSW1、SW2と、ズームレンズ制御用モータドライバ21と、絞り制御用モータドライバ22とが接続されている。ズームレンズ制御用モータドライバ21は、ズームレンズ駆動モータ11を駆動してズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動する。絞り制御用モータドライバ22は、絞り駆動モータ12を駆動して絞り機構9の開口径を変更する。
【0014】
マイクロコンピュータ20は、CPU23と、ROM及びRAMを含むメモリ24となどを有する。ROMには、ズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動させるズーム機能と、絞り機構9の開口径を変更する絞り機能とをそれぞれ動作制御するための各制御プログラムが予め格納されている。マイクロコンピュータ20は、各制御プログラムを実行することにより図5に示すようなズーム駆動制御部25と、絞り駆動制御部26とを有する。
【0015】
ズーム駆動制御部25は、ズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動制御するもので、カメラ本体2との間で通信部としての通信端子5を介して通信を行ってズームレンズ群8の光軸Pの方向への移動範囲情報を取得し、当該移動範囲情報に基づいてズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動制御する。
ここで、マスタレンズ3は、アタッチメントレンズ装置4との間の通信機能を有するタイプと有さないタイプの2種類があり、本実施例はその両方に対応する構成となっている。
アタッチメントレンズ装置4との間の通信機能を有さないタイプのマスタレンズ3に関しては、ズームレンズ群8の光軸Pの方向への移動範囲情報を、マスタレンズ3とカメラ本体2との通信により通信端子6、通信回線7、通信端子5を介してマスタレンズ3からカメラ本体2に送信され、カメラ本体2が取得する。その後、ズーム駆動制御部25は、カメラ本体2との間で通信部としての通信端子5を介して通信を行ってズームレンズ群8の光軸Pの方向への移動範囲情報を取得する。
アタッチメントレンズ装置4との通信機能を有するタイプのマスタレンズ3に関しては、ズーム駆動制御部25は、マスタレンズ3との間で通信部としての通信端子6を介して通信を行ってマスタレンズ3のメモリに記憶されている情報を取得し、当該情報に基づいてズームレンズ群8の移動範囲情報を生成する。ズームレンズ群8は機械的または電気的に決定されている所定の移動範囲を有するが、ズーム駆動制御部25は、当該情報に基づいて該移動範囲を電気的により狭い範囲に変更する。
また、後述するが、カメラ本体2にて、通信により取得したマスタレンズ3の光学情報とアタッチメントレンズ装置4のズーム群8に関する光学情報とに基づいてズーム群8の移動範囲を計算して縮小させてもよい。この場合、ズーム駆動制御部25は、カメラ本体2と通信して、より縮小された移動範囲を取得する。
【0016】
アタッチメントレンズ装置4との間の通信機能を有さないタイプのマスタレンズ3に関しては、絞り駆動制御部26は、絞り機構9を駆動制御するもので、カメラ本体2との間で通信端子5を介して通信を行って絞り機構9が開口径を変更可能とする範囲を示す開口範囲情報を取得し、この開口範囲情報に基づいて絞り機構9を駆動制御する。
アタッチメントレンズ装置4との間の通信機能を有するタイプのマスタレンズ3に関しては、絞り駆動制御部26は、マスタレンズ3との間で通信端子6を介して通信を行ってマスタレンズ3のメモリに記憶されている情報を取得し、この情報に基づいて絞り機構9の開口範囲情報を生成する。絞り機構9は機械的または電気的に決定されている所定の移動範囲を有するが、絞り駆動制御部26は、当該情報に基づいて該移動範囲を電気的により狭い範囲に変更する。
また、後述するが、カメラ本体2にて、通信により取得したマスタレンズ3の光学情報とアタッチメントレンズ装置4の絞り機構9に関する光学情報とに基づいて絞り機構9の開口範囲(稼動可能範囲)を計算して縮小させてもよい。この場合、ズーム駆動制御部25は、カメラ本体2と通信して、より縮小された開口範囲を取得する。
【0017】
図6はカメラ本体2のブロック構成図を示す。カメラ本体2には、CPU、RAM、ROM等を有するカメラ本体制御部30が搭載されている。このカメラ本体制御部30には、撮像駆動回路31を介して撮像素子としてのCCD32と、CDS/ADC部33とが接続されている。撮像駆動回路31は、CCD32とCDS/ADC部33とを駆動し、撮像動作を行わせる。カメラ本体制御部30には、一時記憶メモリ35と、画像処理部36と、記憶媒体部37と、表示部38と、設定情報記録メモリ部39と、補正回路40と、操作部41とが接続され、かつこれらには補正パラメータ記憶手段42が接続されている。又、カメラ本体制御部30には、通信部(第2の通信部)43が接続されている。
【0018】
CCD32は、撮像駆動回路31の駆動によって被写体像を光電変換してアナログの電気信号を出力する。
CDS/ADC部33は、撮像駆動回路31の駆動によってCCD32から出力されたアナログの画像信号をデジタルに変換する。
一時記憶メモリ35は、CDS/ADC部33から出力されたデジタル画像信号を一時記憶する。
画像処理部36は、一時記憶メモリ35に一時記憶されるデジタル画像信号を画像処理して画像データを作成し、この画像データを記憶媒体部37に記憶したり、表示部38に表示する。
記憶媒体部37は、画像処理部36の画像処理によって取得された画像データを記憶する。
表示部38は、画像処理部36の画像処理によって取得された画像データを表示するもので、例えば液晶ディスプレイから成る。
【0019】
カメラ本体制御部30は、通信部43を介してアタッチメントレンズ装置4との間で通信を行い、情報の授受を行う。又、カメラ本体制御部30は、通信部43からアタッチメントレンズ装置4内の通信回線7を通してマスタレンズとの間で通信を行い、情報の授受を行う。
カメラ本体制御部30は、マスタレンズ3との間で通信部43を介して通信を行ってマスタレンズ3に記憶されている第1の画像データ補正情報を取得する。カメラ本体制御部30は、アタッチメントレンズ装置4との間で通信部43を介して通信を行ってアタッチメントレンズ装置4に記憶されている第2の画像データ補正情報とズームレンズ群8の位置情報とを取得する。カメラ本体制御部30は、取得した第1の画像データ補正情報と、第2の画像データ補正情報と、ズームレンズ群の位置情報とに基づいて第3の画像補正データを作成する。
画像処理部36は、カメラ本体制御部30により取得された第3の画像補正データに基づいてCCD32の撮像動作より取得される画像データを補正する。
【0020】
次に、上記の如く構成されたシステムにおけるアタッチメントレンズ装置4の動作について図7に示すアタッチメントレンズ動作フローチャートに従って説明する。
アタッチメントレンズ装置4のマイクロコンピュータ20は、ステップS1において、カメラ本体2からデータ要求があるか否かを判定する。データ要求の指示がなければ、マイクロコンピュータ20は、カメラ本体2からデータ要求があるまで待機する。
マイクロコンピュータ20は、カメラ本体2からデータ要求を受けると、ステップS2に移り、図8に示すボディ通信フローチャートに従ってカメラ本体2の間で通信端子5を介してデータ通信を行う。すなわち、マイクロコンピュータ20は、ステップS10において、カメラ本体2の間で相互に確認等のボディ通信を行い、ステップS11において、カメラ本体2からデータ要求に従って本アタッチメントレンズ装置4のズームレンズ群8のレンズ情報や各種データをカメラ本体2に送信する。また、マスタレンズ3がアタッチメントレンズ装置4との通信機能を有さないタイプの場合には、カメラ本体2に記憶されているマスタレンズ3の光学データ等の各種データを受信し、メモリ24のRAMに格納する。そして、再度ステップS12において、カメラ本体2の間で相互に確認等のボディ通信を行い、通信を終了し、ステップS9に移る。
【0021】
マイクロコンピュータ20は、ステップS9においてマスタレンズ3と通信を行い、マスタレンズ3の光学データ等の各種データを受信し、RAMに格納する。なお、マスタレンズ3がアタッチメントレンズ装置4との通信機能を有さないタイプの場合には、ステップS9は実行しない。
マスタレンズ3のアタッチメントレンズ装置4との通信機能の有無の情報は、マスタレンズ3とカメラ本体2との通信によりカメラ本体2に格納されており、マイクロコンピュータ20はカメラ本体2との通信で通信機能の有無の情報を取得する。
マイクロコンピュータ20は、ステップS3において、図9に示すデータ・動作の設定フローチャートに従ってデータ・動作の設定を行う。すなわち、マイクロコンピュータ20は、ステップS20において、カメラ本体2とマスタレンズ3との間に装着されているアタッチメントレンズ装置4のズームレンズ群8が全域でズーム(ZM)の稼動が可能であるか否かを判定する。
【0022】
マイクロコンピュータ20は、通信により取得されRAMに格納されたマスタレンズ3の光学データとROMに記憶されているアタッチメントレンズ装置4の光学データとに基づいて、ズームレンズ群8のズーム(ZM)の稼動可能な範囲を算出する。
図10(a)(b)はズームレンズ群8の稼動可能な範囲(移動範囲情報)を示し、例えば同図(a)はマスタレンズ3が標準ズームの場合の移動可能範囲の1例を示し、同図(b)はマスタレンズ3が望遠ズームの場合の移動可能範囲の1例を示す。これら移動可能範囲は、ワイド(Wide)端とテレ端(Tele)との間で示し、標準ズームの移動可能範囲の方が望遠ズームの移動可能範囲よりも広い。
上記判定の結果、全域でズームの稼動が可能でなければ、マイクロコンピュータ20は、ステップS21において、ズームレンズ群8に対する移動可能範囲に制限を設定する。全域でズームの稼動が可能であれば、マイクロコンピュータ20は、ステップS22において、ズームレンズ群8に対する移動可能範囲に制限を加えない。なお、全域でズームの稼動が可能である判定には、マスタレンズ3がアタッチメントレンズ装置4との通信機能が備えられていない場合も含む。
【0023】
マイクロコンピュータ20は、ステップS23において、カメラ本体2とマスタレンズ3との間に装着されているアタッチメントレンズ装置4の絞り機構9が全域で絞り動作が可能であるか否かを判定する。マイクロコンピュータ20は、通信により取得されRAMに格納されたマスタレンズ3の光学データとROMに記憶されているアタッチメントレンズ装置4の光学データとに基づいて、絞り機構9の絞り稼動可能な範囲を算出する。
図11(a)(b)は絞り機構9の絞り稼動可能な範囲(開口範囲情報)を示し、例えば同図(a)はマスタレンズ3が標準ズームの場合の開口可能範囲の1例を示し、同図(b)はマスタレンズ3が望遠ズームの場合の開口可能範囲の1例を示す。これら開口可能範囲は、ワイド(Wide)端とテレ端(Tele)との間で示し、標準ズームの開口可能範囲の方が望遠ズームの開口可能範囲よりも広い。
【0024】
上記判定の結果、全域で絞り稼動が可能でなければ、マイクロコンピュータ20は、ステップS24において、絞り機構9に対する開口可能範囲に制限を設定する。全域で絞り稼動が可能であれば、マイクロコンピュータ20は、ステップS25において、絞り機構9に対する開口可能範囲に制限を加えない。なお、全域で絞りの稼動が可能である判定には、マスタレンズ3がアタッチメントレンズ装置4との通信機能が備えられていない場合も含む。
【0025】
マイクロコンピュータ20は、ステップS26において、ズームレンズ群8が画質低下を補正可能であるか否かを判定する。この判定の結果、ズームレンズ群8が画質低下を補正可能であれば、マイクロコンピュータ20は、ステップS27において、ズームレンズ群8による画質低下を補正するための画像補正データをカメラ本体2に送信する。マイクロコンピュータ20は、ステップS28において、画像補正データの送信が完了を判定すると、ステップS4に移る。
【0026】
マイクロコンピュータ20は、ステップS4において、カメラ本体2から動作指示があるか否かを判定する。この判定の結果、カメラ本体2から動作指示があれば、マイクロコンピュータ20は、ステップS5において、カメラ本体2からの動作指示がズーム又は絞りであるか否かを判定する。
【0027】
この判定の結果、ズームの動作指示があれば、マイクロコンピュータ20は、ステップS6において、ズームレンズ群8を稼動する。すなわち、マイクロコンピュータ20は、図12に示すズームレンズ稼動フローチャートに従い、ステップS30において、上記ステップS21又はS22で設定したズームレンズ群8に対する移動可能範囲内で、ズームレンズ制御用モータドライバ21に駆動指示を与えてズームレンズ駆動モータ11を駆動し、ズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動する。カメラ本体2からのズームの動作指示に従ったズーム位置に到達すると、マイクロコンピュータ20は、ステップS32において、ズームレンズ群8の移動を終了する。
【0028】
一方、絞りの動作指示があれば、マイクロコンピュータ20は、ステップS7において、絞り機構9を稼動する。すなわち、マイクロコンピュータ20は、図13に示す絞り稼動フローチャートに従い、ステップS40において、上記ステップS24又はS25で設定した絞り機構9に対する開口可能範囲内で、絞り制御用モータドライバ22に駆動指示を与えて絞り駆動モータ12を駆動し、絞り機構9の開口を稼動する。カメラ本体2からの絞りの動作指示に従った絞り開口に到達すると、マイクロコンピュータ20は、ステップS42において、絞り機構9の稼動を終了する。
【0029】
マイクロコンピュータ20は、ステップS8において、手動によるズーム機能の調整用または絞り機能の調整用のスイッチSW1又はSW2が操作されたか否かを判定する。この判定の結果、ズーム機能が選択されている場合にスイッチSW1、またはSW2が操作されると、マイクロコンピュータ20は、ステップS5からステップS6に移り、上記図12に示すズームレンズ稼動フローチャートに従い、ズーム機能のスイッチSW1、またはSW2に対する操作に従ってズームレンズ制御用モータドライバ21に駆動指示を与えてズームレンズ駆動モータ11を駆動し、ズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動する。
【0030】
絞り機能が選択されている場合にスイッチSW1、またはSW2が操作されると、マイクロコンピュータ20は、ステップS5からステップS7に移り、上記図13に示す絞り稼動フローチャートに従い、絞り機能のスイッチSW1、またはSW2に対する操作に従って絞り制御用モータドライバ22に駆動指示を与えて絞り駆動モータ12を駆動し、絞り機構9の開口を稼動する。
【0031】
一方、カメラ本体2のカメラ本体制御部30は、図14に示すカメラ本体制御フローチャートに従ってカメラ本体2を動作制御する。
カメラ本体制御部30は、ステップS50において、アタッチメントレンズ装置4との間で通信端子5を介して通信を行い、当該アタッチメントレンズ装置4におけるズームレンズ群8のレンズ情報等のデータ要求を行う。
カメラ本体制御部30は、ステップS51において、データ要求に対して返答されるアタッチメントレンズ装置4からのズームレンズ群8のレンズ情報や、アタッチメントレンズ装置4に記憶されている第2の画像データ補正情報等のデータを受信し、このデータ受信を完了したか否かを判定する。
この判定の結果、データ受信を完了すると、カメラ本体制御部30は、ステップS52において、マスタレンズ3との間で通信回線7等を介して通信を行い、当該マスタレンズ3におけるレンズ情報等のデータ要求を行う。
カメラ本体制御部30は、ステップS53において、データ要求に対して返答されるマスタレンズ3からのレンズ情報やマスタレンズ3に記憶されている第1の画像データ補正情報等のデータを受信し、このデータ受信を完了したか否かを判定する。
また、カメラ本体制御部30は、マスタレンズ3がアタッチメントレンズ装置4との通信機能を有するか否かを示すデータも受信する。
【0032】
この判定の結果、データ受信を完了すると、カメラ本体制御部30は、ステップS54において、マスタレンズ3が電動用のズーム機能に対応している機種であるか否かを判定する。
この判定の結果、マスタレンズ3が電動用のズーム機能に対応している機種であれば、カメラ本体制御部30は、ステップS55において、マスタレンズ3に対してズーム機能すなわちズームレンズ群8を制御可能であることを設定する。
又、マスタレンズ3が電動用のズーム機能に対応していない機種であれば、カメラ本体制御部30は、ステップS56において、アタッチメントレンズ装置4に対してズームレンズ群8を制御可能であることを設定する。
ここで、マスタレンズ3がアタッチメントレンズ装置4との通信機能を有さない場合は、カメラ本体制御部30は、マスタレンズ3の光学情報とアタッチメントレンズ装置4の光学情報(ズーム群8の光学情報を含む)とに基づいて、アタッチメントレンズ装置4のズーム群8の移動範囲を計算する。
そして、カメラ本体制御部30は、算出したズーム群8の移動範囲を、アタッチメントレンズ装置4のマイクロコンピュータ20に送信する。
変形例として、カメラ本体制御部30は、マスタレンズ3の光学情報をアタッチメントレンズ装置4のマイクロコンピュータ20に送信し、マイクロコンピュータ20が、マスタレンズ3の光学情報に基づいて、ズーム群8の移動範囲を計算してもよい。
また、マスタレンズ3がアタッチメントレンズ装置4との通信機能を有さない場合は、カメラ本体制御部30は、マスタレンズ3の光学情報とアタッチメントレンズ装置4の光学情報(絞り機構9の光学情報を含む)とに基づいて、アタッチメントレンズ装置4の絞り機構9の開口範囲(稼動可能範囲)を計算する。
そして、カメラ本体制御部30は、算出した絞り機構9の開口範囲(稼動可能範囲)を、アタッチメントレンズ装置4のマイクロコンピュータ20に送信する。
変形例として、カメラ本体制御部30は、マスタレンズ3の光学情報をアタッチメントレンズ装置4のマイクロコンピュータ20に送信し、マイクロコンピュータ20が、マスタレンズ3の光学情報に基づいて、絞り機構9の開口範囲(稼動可能範囲)を計算してもよい。
【0033】
カメラ本体制御部30は、ステップS57において、手動操作によるズームレンズ群8又は絞り機構9に対する動作指示があるか否かを判定する。これは、カメラ本体2内の操作部41によりアタッチメントレンズ装置4の手動操作によるズーム調整または絞り調整が設定された場合に動作指示が設定される。この判定の結果、手動操作によるズームレンズ群8に対する動作指示を受けると、カメラ本体制御部30は、ステップS58において、例えばアタッチメントレンズ装置4に対してズームレンズ群8をズーム動作させる指令をセット、当該指令をステップS59において、アタッチメントレンズ装置4に送る。
カメラ本体制御部30は、ステップS60において、アタッチメントレンズ装置4の間で通信を行い、ズームレンズ群8の光軸Pの方向での移動位置の情報を取得する。カメラ本体制御部30は、ステップS61において、アタッチメントレンズ装置4の間での通信が完了したか否かを判定する。この判定の結果、通信が完了すると、カメラ本体制御部30は、ステップS62において、画像データの劣化を防止するためのデータをセットする。例えば、カメラ本体制御部30は、マスタレンズ3に記憶されている第1の画像データ補正情報と、アタッチメントレンズ装置4に記憶されている第2の画像データ補正情報と、ズームレンズ群8の位置情報、絞り位置情報とに基づいて第3の画像補正データを作成する。
このようにアタッチメントレンズ装置4の手動ズーム操作または手動絞り操作がなされるたびにアタッチメントレンズ装置4と通信してズーム位置情報、絞り位置情報を取得して第3の画像補正データを作成する。
【0034】
カメラ本体2の撮像動作について簡単に説明すると、レリーズボタンが操作されると、CCD32は、マスタレンズ3、アタッチメントレンズ装置4から受光される被写体像を光電変換してアナログの電気信号を出力する。CDS/ADC部33は、CCD32から出力されたアナログの画像信号をデジタルに変換する。一時記憶メモリ35は、CDS/ADC部33から出力されたデジタル画像信号を一時記憶する。画像処理部36は、一時記憶メモリ35に一時記憶されるデジタル画像信号を画像処理して画像データを作成し、この画像データを記憶媒体部37に記憶したり、表示部38に表示する。
【0035】
カメラ本体制御部30は、かかる撮影動作により取得された画像データに対して上記マスタレンズ3に記憶されている第1の画像データ補正情報と、アタッチメントレンズ装置4に記憶されている第2の画像データ補正情報とに基づいて画像データの補正を行う。
【0036】
図15は画像データの補正フローチャートを示す。
カメラ本体制御部30は、ステップS70において、アタッチメントレンズ装置4がカメラ本体2に装着されているか否かを判定する。この判定では、カメラ本体制御部30は、アタッチメントレンズ装置4の通信端子5を介して当該装置4のマイクロコンピュータ20との間で通信することによって装着の有無を判定する。
【0037】
この判定の結果、アタッチメントレンズ装置4がカメラ本体2に装着されていれば、カメラ本体制御部30は、ステップS71において、マスタレンズ3に記憶されている第1の画像データ補正情報を読み込むと共に、アタッチメントレンズ装置4に記憶されている第2の画像データ補正情報を読み込み、これら第1の画像データ補正情報と第2の画像データ補正情報とを合成して合成画像データ補正情報(第3の画像データ補正情報)を作成する。この合成画像データ補正情報は、例えばシェーディング補正の情報とディストーション補正の情報である。
【0038】
カメラ本体制御部30は、ステップS72において、合成画像データ補正情報である例えばシェーディング補正の情報とディストーション補正の情報とを用いて例えば記憶媒体部37に記憶されている画像データの補正を行う。
一方、アタッチメントレンズ装置4がカメラ本体2に装着されていなければ、カメラ本体制御部30は、ステップS73において、マスタレンズ3に記憶されている第1の画像データ補正情報を読み込み、この第1の画像データ補正情報を用いて例えば記憶媒体部37に記憶されている画像データの補正を行う。
【0039】
以下、シェーディング補正とディストーション補正とについて説明する。
シェーディング補正の情報は、マスタレンズ3やアタッチメントレンズ装置4におけるズームレンズ群8などの光学系のコサイン(cos)の4乗則等に基づく光量低下や、アタッチメントレンズ装置4における光束のケラレによる光量低下を補正する。
図16は光束のケラレの模式図を示す。アタッチメントレンズ装置4は、レンズ系8と絞り機構9とを備える。マスタレンズ3は、前群レンズ系52と後群レンズ群50と絞り機構51を備える。光線Q1、Q2は、マスタレンズ3を通過した後、アタッチメントレンズ装置4のズームレンズ群8に入射していないので、カメラ本体2のCCD32に到達せずケラれている。光線Q3、Q4は、マスタレンズ3を通過した後、ズームレンズ群8に入射し、CCD32に導かれる。
【0040】
図17はアタッチメントレンズ装置4内に記憶されたシェーディング補正パラメータに対応する撮影画面内の位置及びX軸、Y軸上におけるシェーディング補正パラメータ(RGB)を示す。
アタッチメントレンズ装置4は、マスタレンズ3に特性に応じて図16に示すようにケラレが発生する場合があり、またアタッチメントレンズ装置4のズーム位置によってもケラレが発生する場合がある。このアタッチメントレンズ装置4におけるケラレが発生するズームレンズ群8のズーム位置は、使用禁止とするが、ケラレの程度が小さい場合は、シェーディング補正を行ってズーム可能な範囲を広げることができる。
シェーディング補正の原理は、次の通りである。
先ず、シェーディング補正パラメータの生成方法である。明るさが均一白色の平面を撮影し、この撮影で発生するシェーディング分布を逆演算し、補正パラメータとして記憶する。撮影により取得された画像データの中心輝度に対する対応画素の輝度の比の逆数を補正パラメータとする場合、画像データの中心画素に対応する輝度に対して任意の画素Aでは2分の1(中心との差が−1EV)、任意の画素Bで4分の1(中心との差が−2EV)の輝度であれば、補正パラメータは、中心画素にて1(+0EV)、画素Aに対して2(+1EV)、画素Bに対して4(+2EV)となる。
【0041】
次に、シェーディング補正である。画像データ中の各画素の輝度の値に各画素に対応する補正パラメータを乗算することでシェーディング補正を行う。RGBに対応するシェーディング補正の場合、明るさが均一の赤(R)、緑(G)、青(B)の平面を撮影し、CCD32の各色成分のシェーディング傾向を補正する補正パラメータを生成することにより色シェーディングの補正を行う。
シェーディング補正データの合成では、マスタレンズ3とアタッチメントレンズ装置4の各シェーディング補正データを撮影画面内の位置ごとに合成して合成シェーディング補正データを作成し、補正を行う。
基本的に、各シェーディング補正データの乗算により補正シェーディングデータを算出する。
マスタレンズ3の種類、光学特性やアタッチメントレンズ装置4のズーム位置等の種々のパラメータに応じて、マスタレンズ3とアタッチメントレンズ装置4の各シェーディング補正値に重み付けを行って算出してもよい。
【0042】
アタッチメントレンズ装置4のシェーディング補正データは、特定のマスタレンズ3との組み合わせにおいて、前述のように求められたシェーディング補正値とマスタレンズ3毎の組み合わせ時のシェーディング補正データとの差分を補正データとしてアタッチメントレンズ装置4内にテーブル化して記憶させてもよい。記憶容量を削減することができる。
図18(a)はシェーディング補正データテーブルの摸式図を示す。同図(a)はアタッチメントレンズ装置4に記憶されるシェーディング補正データテーブルの一例を示す。このシェーディング補正データテーブルは、ズームの状態をワイド、スタンダード、テレに分け、これら状態毎に絞り機構9の開口状態として例えば開放、最小とに分けて画像補正データを記憶するテーブルの位置“1” “2”…“6”等を記述する。
同図(b)はマスタレンズ3に記憶されるシェーディング補正データテーブルの一例を示す。このシェーディング補正データテーブルは、マスタレンズ3におけるフォーカスの状態を無限端、至近端に分け、これら状態毎に絞り機構9の開口状態として例えば開放、最小とに分けて画像補正データを記憶するテーブルの位置“A” “B”…“D”を記述する。
【0043】
図19(a)(b)(c)はシェーディング補正の作用効果を示す。同図(a)は撮像により取得された画像データDa及び同画像データDaのXY方向における各濃淡レベルを示し、同図(b)はシェーディング補正データテーブルから読み出された画像補正データのXY方向における各パラメータ変化を示し、同図(c)はシェーディング補正結果の画像データのXY方向における各濃淡レベルを示す。
同図(a)に示すように画像データDaのXY方向における各濃淡レベルは、例えばケラレの影響を受けて中央部が高く、その周辺部が低くなっている。同図(b)に示す画像補正データのパラメータを用いてシェーディング補正することにより、画像データDaのXY方向における各濃淡レベルは、同図(c)に示すようにXY方向において例えばケラレの影響を無くしたものとすることができる。
【0044】
ディストーション補正は、タル型、糸巻き型等の画像データの歪を補正する。
ディストーション補正の原理は、図20に示すように補正データテーブルに予め記録された撮影画面の所定位置に対応する補正データ(補正ベクトル)を読み出し、補正データに基づいて、画像信号に幾何学補正を実行することにより画像の歪みを補正する。
例えば、補正前の画像データにおいて例えば点A1〜A4までを結ぶラインは、補正後の画像データにおいて例えば点a1〜a4までを結ぶラインに補正される。すなわち、点A1〜A4までを結ぶラインからなる原画像データは、幾何学補正により点a1〜a4までを結ぶ画像データに変換される。
【0045】
x及びy方向においてそれぞれ2つ(2×2)の画像データを用いて補正画像の各点の画像データを決定する場合には、例えば図21に示すように点A1(画素データ位置)を囲む4つの格子点K00,K01,K10,K11における画像データを用いて点a1の画像データを決定する。
点A2〜A4までについても同様な演算を実行することにより、点a2〜a4の画像データが決定される。格子点K00,K01,K10,K11は、補正データテーブルに記憶された所定の座標に対応する点である。
図21において格子点K00と格子点K10との間、及び格子点K10と格子点K11との間の距離を共に1としたとき、x方向及びy方向における点A1の位置は、各格子点の位置情報よりK00を基準としてPx,Pyとして決定される。
点A1の補正データを算出する際には、格子点K00,K01,K10,K11の各補正データをPx,Pyに応じて重み付けして求める。
【0046】
ディストーション補正データの合成が行われる。このディストーション補正データの合成では、マスタレンズ3とアタッチメントレンズ装置4との各ディストーション補正データが撮影画面内の同一位置で互いに合成されて合成補正データが算出される。ディストーション補正データは、ベクトルを意味するものなので、基本的に加算されて合成される。マスタレンズ3とアタッチメントレンズ装置4との各ディストーション補正データは、マスタレンズ3の種類、光学特性やアタッチメントレンズ装置4のズーム位置等の種々のパラメータに応じて重み付けして合成してもよい。
図22はディストーション補正の結果を示す。補正前の画像データDfは、タル型、糸巻き型等の画像の歪が生じているが、ディストーション補正後の画像データDgでは当該画像の歪が補正されている。
【0047】
このように上記一実施の形態によれば、カメラ本体2との間で通信を可能とし、光軸Pの方向に移動可能で、マスタレンズ3との組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群8と、ズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動制御し、カメラ本体2との間で通信端子5を介して通信を行ってズームレンズ群8の光軸Pの方向への移動範囲情報を取得し、この移動範囲情報に基づいてズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動制御するアタッチメントレンズ装置4であるので、かかるアタッチメントレンズ装置4にズーム機能を持たせることにより、マスタレンズ3がズーム機能を有さない単焦点レンズであっても、ズームを行うことが出来る。
ズーム駆動制御部25は、カメラ本体2との間で通信部としての通信端子5を介して通信を行ってズームレンズ群8の光軸Pの方向への移動範囲情報を取得し、当該移動範囲情報に基づいてズームレンズ群8を光軸Pの方向に移動制御でき、マスタレンズ3との間で通信部としての通信端子6を介して通信を行ってマスタレンズ3のメモリに記憶されている情報を取得し、当該情報に基づいてズームレンズ群8の移動範囲を制御でき、マスタレンズ3との間で通信端子6を介して通信を行ってマスタレンズ3のメモリに記憶されている情報を取得し、当該情報に応じてズームレンズ群8の移動範囲情報を変更できる。
【0048】
絞り駆動制御部26は、カメラ本体2との間で通信端子5を介して通信を行って絞り機構9が開口径を変更可能とする範囲を示す開口範囲情報を取得し、この開口範囲情報に基づいて絞り機構9を駆動制御でき、マスタレンズ3との間で通信端子6を介して通信を行ってマスタレンズ3のメモリに記憶されている情報を取得し、この情報に基づいて絞り機構9の開口範囲を制御でき、マスタレンズ3との間で通信端子6を介して通信を行ってマスタレンズ3のメモリに記憶されている情報を取得し、この情報に応じて絞り機構9の開口範囲情報を変更できる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1:カメラシステム、2:カメラ本体(カメラボディ)、3:マスタレンズ、4:アタッチメントレンズ装置(ズームアダプタ)、5:カメラ本体用の通信端子、6:マスタレンズ用の通信端子、7:通信回線、SW1,SW2:スイッチ、8:ズームレンズ群、9:絞り機構、10:ギア、11:ズームレンズ駆動モータ、12:絞り駆動モータ、20:マイクロコンピュータ、21:ズームレンズ制御用モータドライバ、22:絞り制御用モータドライバ、23:CPU、24:メモリ、25:ズーム駆動制御部、26:絞り駆動制御部、30:カメラ本体制御部、31:撮像駆動回路、32:CCD、33:CDS/ACD部、35:一時記憶メモリ、36:画像処理部、37:記憶媒体部、38:表示部、39:設定情報記録メモリ部、40:補正回路、41:操作部、42:補正パラメータ記憶手段、43:通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置において、
少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、
光軸方向に移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、
前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御するズーム駆動制御部と、
を具備し、
前記ズーム駆動制御部は、前記カメラ本体との間で前記通信部を介して通信を行って前記ズーム群に関する光学情報を前記カメラ本体に送信するとともに、前記カメラ本体から前記ズームレンズ群の前記光軸方向への移動範囲情報を取得し、当該移動範囲情報に基づいて前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御する、
ことを特徴とするアタッチメントレンズ装置。
【請求項2】
撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置において、
少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、
光軸方向に移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、
前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御するズーム駆動制御部と、
を具備し、
前記ズーム駆動制御部は、前記カメラ本体との間で前記通信部を介して通信を行って前記カメラ本体から前記マスタレンズの光学情報を取得し、該光学情報に基づいて前記ズームレンズ群の前記光軸方向への移動範囲を算出して前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御する、
ことを特徴とするアタッチメントレンズ装置。
【請求項3】
撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置において、
少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、
開口径を変更可能とし、前記マスタレンズからの撮影光束を制限する絞り部と、
前記絞り部を駆動制御する絞り駆動制御部と、
を具備し、
前記絞り駆動制御部は、前記カメラ本体との間で前記通信部を介して通信を行って前記絞り開口に関する光学情報を前記カメラ本体に送信するとともに、前記カメラ本体から前記絞り部が前記開口径を変更可能とする範囲を示す開口範囲情報を取得し、当該開口範囲情報に基づいて前記絞り部を駆動制御する、
ことを特徴とするアタッチメントレンズ装置。
【請求項4】
撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能なアタッチメントレンズ装置において、
少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする通信部と、
光軸方向に所定の移動範囲を有し移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、
前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御するズーム駆動制御部と、
を具備し、
前記ズーム駆動制御部は、前記マスタレンズとの間の前記通信部を介して通信を行って前記マスタレンズに記憶された情報を取得し、前記情報に応じて前記ズームレンズ群の前記光軸方向の移動範囲を変更して前記ズームレンズ群を前記光軸方向に移動制御する、
ことを特徴とするアタッチメントレンズ装置。
【請求項5】
撮影光学系を有するマスタレンズと撮像素子とを有するカメラ本体と、前記マスタレンズと前記カメラ本体との間に装着可能とするアタッチメントレンズ装置とから構成されるカメラシステムにおいて、
前記アタッチメントレンズ装置は、光軸方向に移動可能で、前記マスタレンズとの組み合わせにより決まる焦点距離を変更するズームレンズ群と、
少なくとも前記カメラ本体との間で通信を可能とする第1の通信部と、
前記第1の通信部を介して前記カメラ本体との間で通信を行って情報の授受を行い、当該情報に応じて前記ズームレンズ群の移動を制御し、かつ前記ズームレンズ群の前記光軸方向の位置情報を取得するアタッチメントレンズ制御部と、
を具備し、
前記カメラ本体は、前記撮像素子の撮像動作より取得された画像データを処理する画像処理部と、
前記マスタレンズと前記アタッチメントレンズ装置との間でそれぞれ通信を可能とする第2の通信部と、
前記第2の通信部を介して前記マスタレンズと前記アタッチメントレンズ装置との間でそれぞれ通信を行って情報の授受を行うカメラ本体制御部と、
を具備し、
前記カメラ本体制御部は、前記マスタレンズとの間で前記第2の通信部を介して通信を行って前記マスタレンズに記憶されている第1の画像データ補正情報を取得し、前記アタッチメントレンズ装置との間で前記第2の通信部を介して通信を行って前記アタッチメントレンズ装置に記憶されている第2の画像データ補正情報と前記ズームレンズ群の位置情報とを取得し、前記第1の画像データ補正情報と前記第2の画像データ補正情報と前記ズームレンズ群の前記位置情報とに基づいて第3の画像補正データを作成し、
前記画像処理部は、前記第3の画像補正データに基づいて前記撮像素子の撮像動作より取得される前記画像データを補正する、
ことを特徴とするカメラシステム。
【請求項6】
前記第1通信部は、前記カメラ本体と電気的に接続可能な電気接点が設けられ、前記電気接点を介して前記カメラ本体の間で前記通信を行い、
前記第2の通信部は、前記アタッチメントレンズ装置と電気的に接続可能な電気接点が設けられ、前記電気接点を介して前記アタッチメントレンズの間で前記通信を行い、かつ前記マスタレンズと電気的に接続可能な回線が設けられ、前記回線を介して前記マスタレンズとの間で前記通信を行う、
ことを特徴とする請求項5項記載のカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−203142(P2012−203142A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66718(P2011−66718)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】