説明

アレイ型検波器

【課題】ミリ波用のアレイ型検波器をその感度を維持しつつ小型化する。
【解決手段】平面スロットアンテナ1とその検波器2とを有する検波素子3を複数備え、各平面スロットアンテナ1が磁界方向に並ぶように各検波素子3が並べられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波用のアレイ型検波器に関し、詳しくは、感度を維持できかつ小型化が可能なアレイ型検波器に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルカメラなどが行うイメージングでは、例えば、被写体からの光を受光することで当該被写体の画像を得る。画像は画素の集合であり、縦m,横nの画像内の画素数はm×n個である。この画像を単一の受光素子で得るには、その受光素子をm×n回移動させる。縦100,横100の画像を得るには、その受光素子をm×n回移動させる。
【0003】
ディジタルカメラなどでは、複数の受光素子が平面的にアレイ化され、これにより、受光素子を移動しないで、すなわち短時間で画像を得ることができる。
【0004】
スキャナなどでは、複数の受光素子が直線的に並べてアレイ化され、これにより、受光素子を並び方向には移動しないで、すなわち短時間で画像を得ることができる。
【0005】
また、近年では、超音波などを用いてコンクリート内部のイメージングを行うことがあり、関連技術が特許文献1および非特許文献1で開示されている。
【特許文献1】特表2000−602587号公報
【非特許文献1】小原治之、「コンクリート床版検査用3次元映像化レーダの開発」、第7回地下電磁計測ワークショップ論文集、2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、この種のイメージングでは、コンクリートなどのターゲットへマイクロ波やミリ波を照射し、その反射波または透過波をショットキーダイオードなどの検波器で検波するアクティブ方式、または、ターゲットから自然に放射されるミリ波等を同様に検波するパッシブ方式が採用されることがある。ショットキーダイオードのサイズは、サブミリメートル以下のサイズであり、その整流作用によって、ミリ波等の強度は電圧に変換される
いずれの方式にしても、ディジタルカメラなどのイメージングと同様に、短時間で画像を得ることが望ましいので、例えば、複数のアンテナおよび検波器を並べてアレイ化したアレイ型検波器が用いられる。
【0007】

【0008】
図2は、このアレイ型検波器の斜視図である。
【0009】
アレイ型検波器では、複数の平面スロットアンテナ1が検波器2とともに電界方向に並べてアレイ化される。感度向上のため、平面スロットアンテナ1の開口幅は波長より長くされる。例えば、周波数が100GHzならば波長は3mmなので開口幅は3mm以上とされる。かかるアレイ化により、アレイ型検波器を並び方向に対して直交する方向だけに移動させることで、すなわち短時間で画像を得ることができる。
【0010】
このように、アレイ型検波器では、短時間で画像を得られるものの、その一方で小型化の要求がある。また、画像については高解像度化の要求がある。
【0011】
例えば、並び方向の長さを短くして小型化を図るには、短い開口幅の平面スロットアンテナを短い間隔で並べればよく、これにより、ニアフィールドにおいて、並び方向の高解像度化も図れる。
【0012】
しかしながら、開口幅が短いと感度が低下してしまうので、感度を維持しつつ小型化することが困難である。同様に画像の高解像度化も困難である。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感度を維持できかつ小型化が可能なアレイ型検波器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項1の本発明は、ミリ波用の平面スロットアンテナとその検波器とを有する検波素子を複数備え、各平面スロットアンテナが磁界方向に並ぶように各検波素子を並べたことを特徴とするアレイ型検波器をもって解決手段とする。
【0015】
請求項2の本発明は、各検波素子が取り付けられるコネクタ部に対して各検波素子を着脱可能にしたことを特徴とする請求項1記載のアレイ型検波器をもって解決手段とする
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、平面スロットアンテナが磁界方向に並ぶように検波素子を並べたことで、長い開口幅の平面スロットアンテナを短い間隔で並べることができるので、アレイ型検波器をその感度を維持しつつ小型化することができる。また、平面スロットアンテナを短い間隔で並べることができるので、このアレイ型検波器により得られる、ニアフィールド付近の画像の解像度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るアレイ型検波器の斜視図である。
【0019】
アレイ型検波器は、ミリ波用の平面スロットアンテナ1とその検波器2とを有する検波素子3(いわゆるモジュール)を複数備え、各平面スロットアンテナ1が磁界方向に並ぶように各検波素子3が並べられている。検波器2にはショットキーダイオード等が用いられる。
【0020】
平面スロットアンテナ1が磁界方向に並ぶように検波素子3を並べたことで、平面スロットアンテナ1を短い間隔で並べることができるので、アレイ型検波器を小型化することができる。
【0021】
また、アレイ型検波器では、各検波素子3が取り付けられるコネクタ部4に対して、当該各検波素子が着脱可能になっている。つまり、検波素子3は、その端部に検波器2からの信号が供給される信号ピン5,5を備え、検波素子3をコネクタ部4に取り付けるときは、信号ピン5,5をコネクタ部4のジャック(図示せず)に差し込み、取り外すときは、検波素子3を引くことで、信号ピン5,5がジャックから抜けるようになっている。
【0022】
これにより、製造工程で一部の検波器2が機能しなかったら、その分の検波素子3を製造すればよく、よって、製造歩留まりを高めることができる。
【0023】
本実施の形態では、図示しないターゲットの画像を得るにあたり、アレイ型検波器は、ターゲットとの距離を保ちつつ、検波素子3の並び方向に対して直交する方向に移動していき、移動の間の各タイミングで以下のことを行う。
【0024】
各平面スロットアンテナ1は、ターゲットからのミリ波やマイクロ波を受信し、検波器2は、受信されたミリ波等の強度を電圧に変換して、その電圧の信号を信号ピン5,5とコネクタ部4とを介して、例えば、図示しない画像表示器に送信する。
【0025】
画像表示器は、移動の間の各タイミングで送信された信号により、ターゲットの画像を生成し表示する。
【0026】
上述したように、各平面スロットアンテナ1が磁界方向に並ぶので、長い開口幅の平面スロットアンテナ1を用いること感度を維持でき、そうすることで、ここでは鮮明な画像を表示することができる。
【0027】
また、上述したように、各平面スロットアンテナ1の間隔を短くできるので、そうすることで、ここでは高い解像度の画像を表示することができる。
【0028】
また、例えば、一部の検波器2が故障したら、その検波器2を含む検波素子3のみを交換すればよく、よって、アレイ型検波器全体の交換が不要となる。
【0029】
なお、本実施の形態では、各検波素子3がコネクタ部4に対して着脱可能になっているが、検波器2が故障しにくいものならば、かかる着脱を可能にしないで、検波器2と画像表示器とを信号ケーブルで接続するような構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態に係るアレイ型検波器の斜視図である。
【図2】従来のアレイ型検波器の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 平面スロットアンテナ
2 検波器
3 検波素子
4 コネクタ部
5 信号ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波用の平面スロットアンテナとその検波器とを有する検波素子を複数備え、各平面スロットアンテナが磁界方向に並ぶように各検波素子を並べた
ことを特徴とするアレイ型検波器。
【請求項2】
各検波素子が取り付けられるコネクタ部に対して各検波素子を着脱可能にした
ことを特徴とする請求項1記載のアレイ型検波器。






















【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−124551(P2007−124551A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317244(P2005−317244)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】