説明

アンテナおよびRFID

【課題】1つのアンテナ素子で異なる2つの周波数帯で使用可能なアンテナであって、アンテナとICチップとのインピーダンスを整合させるためのインピーダンス整合回路を備え、そのインピーダンス整合回路と給電点を異なる2つの周波数帯で共用化することができる技術を提供する。
【解決手段】アンテナとICチップ105とで構成されるRFID用のアンテナであって、アンテナはループ状線路102と調整素子104とインピーダンス整合回路103を有し、誘電体を挟んだ2層の導体で形成されており、インピーダンス整合部が表面層と裏面層が重なって形成されて、整合部の一方の層がICチップ105の給電点へ、他方の層がICチップ105のもう一方の給電点へ接続され、異なる2つの周波数帯(例えばHF帯とUHF帯)のそれぞれでICチップ105とアンテナのインピーダンス整合が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触でデータの読み書きが行えて、アンテナとICチップから成るタグまたは非接触ICカードなどのRFID(Radio Frequency IDentification)に関し、特に、磁界を用いて通信を行うHF帯と、電界を用いて通信を行うUHF帯の両方の周波数帯で、通信が可能な2周波数帯共用のアンテナ、およびこれを用いたRFIDに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討した技術として、例えば、2周波数帯共用のアンテナにおいては、以下の技術が考えられる。
【0003】
異なる2つの周波数帯の電波を送受信できるアンテナとして、下記特許文献1がある。これは、高い方の周波数においては、複数ターンに巻かれた方形スパイラル素子の1周あたりの長さを約1波長に形成することで、スパイラル素子長辺の一方で正の定在波を発生させ、他方の長辺で負の定在波を発生させている。こうすることで、互いの長辺の電界を同位相で合成し、アンテナは強められた電界を放射している。また、高い方の周波数において、専用の給電点と専用のフィルタを用意している。低い方の周波数においては、高い方の周波数とは別に専用の給電点とフィルタを用意しており、ループ開口部から磁界を発生させて、読取装置のスパイラルアンテナと相互インダクタンスにより通信している。
【0004】
また別のアンテナとして、下記特許文献2がある。1つのICチップに対して、2つの1ターンループ素子を備えている。1つのループ素子は電源再生用のアンテナとして、もう1つのループ素子は3周波数対応の輻射アンテナとして働く。輻射用のループ素子は、線状導体部分と線状導体部分を給電点に繋ぐための給電線で構成されている。第1周波数帯では線状導体部分がアンテナ輻射部となり、第2周波数帯では線状導体部分と給電線をあわせたループ1周部分がアンテナ輻射部となる。また、輻射用ループ素子は、ループ1周長が第3周波数帯波長と比べて十分に小さく、ループ素子開口面が第3周波数帯で微小ループアンテナとして働く輻射部になる。
【特許文献1】特開2006−309476号公報
【特許文献2】特開2005−64865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のようなアンテナの技術について、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0006】
例えば、特許文献1に記されるように、HF帯とUHF帯の両方の周波数帯で用いられる従来のアンテナは、1つのアンテナ素子でHF帯の磁界をループ開口面で受けられる事と、UHF帯の電界をアンテナ素子表面で受けてアンテナを励振させられる事が示されている。また、ループアンテナ開口面で受けたHF帯磁界の電力は、HF帯専用のフィルタを介してHF帯専用の給電点に給電されており、ループアンテナ素子表面で受けたUHF帯電界の電力は、UHF帯専用のフィルタを介してUHF帯専用の給電点に給電される事が示されている。このため、これらのアンテナをRFIDで用いる場合は、ICチップにHF帯とUHF帯でそれぞれ別の送受信端子を用意しなければならない。また、アンテナにも、2つのフィルタを用意する必要があり、アンテナの小型化の面でも不利となる。
【0007】
仮に、ICチップがHF帯とUHF帯の送受信端子を共用化できたとしても、アンテナのHF帯フィルタとUHF帯フィルタを共用するための手段は示されていない。そのまま2つのフィルタを共通の端子に接続した場合、UHF帯フィルタの接続によりHF帯フィルタの周波数特性が変化し、HF帯で所望の特性が得られない。また、HF帯フィルタの接続によりUHF帯フィルタの周波数特性が変化し、UHF帯で所望の特性が得られないため、HF帯とUHF帯の両方では通信することは出来ないと思われる。
【0008】
特許文献2は、アンテナの給電点をHF帯とUHF帯で共用化しており、HF帯磁界とUHF帯電界の送受信方法も示されている。しかし、このアンテナは、アンテナとICチップのインピーダンスを整合させるためのインピーダンス整合回路を備えておらず、アンテナとICチップとのインピーダンスが整合しない時には通信できず不利となる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、1つのアンテナ素子で異なる2つの周波数帯で使用可能なアンテナであって、アンテナとICチップとのインピーダンスを整合させるためのインピーダンス整合回路を備え、そのインピーダンス整合回路と給電点を異なる2つの周波数帯で共用化することができる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される実施例のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
すなわち、代表的な実施例によるアンテナおよびRFIDは、ループ状線路と、インピーダンス整合回路とを備え、そのインピーダンス整合回路は、誘電体を挟んだ2層の導体で形成されており、第1および第2の周波数帯(例えば、UHF帯およびHF帯)のそれぞれで、アンテナとICチップとのインピーダンス整合が行えるものである。
【発明の効果】
【0013】
代表的な実施例によれば、HF帯とUHF帯の両方でアンテナインピーダンスを可変調整するためのインピーダンス整合回路を備えており、アンテナとICチップとのインピーダンスを整合させることができる。
【0014】
また、1つの給電点と1つのインピーダンス整合回路それぞれをHF帯とUHF帯で共用することができ、それによってHF帯とUHF帯の両方で通信可能な小型のRFIDまたは非接触ICカードを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
以下に、この発明に係るHF帯とUHF帯で共用のアンテナの好適な実施形態を説明する。本発明の一実施の形態に係るHF帯とUHF帯で共用のアンテナ、およびこれを用いたRFIDの構成と、当該アンテナを用いてHF帯とUHF帯でICチップとインピーダンス整合を取るための具体的な形状について説明する。
【0017】
図1は、本発明のHF帯とUHF帯の共用アンテナの実施の一形態が適用されたRFIDの構成を示す図であり、図2は、本実施形態に係るアンテナのインピーダンス整合回路の詳細な構成を示す図である。
【0018】
図3は、本実施形態に係るアンテナのインピーダンス整合回路で図2に示す破線ABの断面図であり、図4は、インピーダンス整合回路の中の先端短絡した導体1aを説明する図であり、図5は、インピーダンス整合回路の中の先端開放した導体2aを説明する図である。
【0019】
図6は、図1のアンテナ実施形態を分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図であり、図7は、図2とは別な実施形態のインピーダンス整合回路を示す図であり、図8は、図7のインピーダンス整合回路を用いたアンテナ実施形態を分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図である。
【0020】
図9は、図2および図7とさらに別な実施形態のインピーダンス整合回路を示す図であり、図10は、図9のインピーダンス整合回路を用いたアンテナ実施形態を分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図である。
【0021】
図11は、図7のインピーダンス整合回路で各導体の幅のみ細くした場合を示す図であり、図12は、図2と図7と図9と図11のインピーダンス整合回路の960MHzでのインピーダンスをスミスチャートで示す図である。
【0022】
図13は、図1のアンテナ実施形態を集中定数素子で表したHF帯で等価な回路図である。
【0023】
図14は、図1の実施形態のアンテナでループ状線路を2巻きにした実施例を示す図であり、図15は、図1の実施形態のアンテナで、調整素子の長さとアンテナのリアクタンスの関係を示す図である。
【0024】
図16は、図1の実施形態のアンテナで、2巻きのループ状線路としたときのアンテナゲインを示す図であり、図17は、図1の実施形態のアンテナで、2巻きのループ状線路としたときの整合ロスを示す図であり、図18は、図1の実施形態のアンテナで、2巻きのループ状線路としたときのアンテナゲインと整合ロスの合計を示す図である。
【0025】
図19は、図1の実施形態のアンテナで、4巻きのループ状線路としたときのアンテナゲインを示す図であり、図20は、図1の実施形態のアンテナで、4巻きのループ状線路としたときの整合ロスを示す図であり、図21は、図1の実施形態のアンテナで、4巻きのループ状線路としたときのアンテナゲインと整合ロスの合計を示す図である。
【0026】
図22は、給電点から調整素子接続位置までの長さとアンテナインピーダンスのリアクタンスの関係を示す図であり、図23は、給電点から調整素子接続位置までの長さとアンテナゲインの関係を示す図である。
【0027】
図1に示す本発明の一実施形態に係るアンテナは、表面導体が厚さ30μmのアルミ箔で、裏面導体が厚さ20μmのアルミ箔で、これら導体に挟まれる誘電体は厚さ38μmで比誘電率3.0のPET(PolyEthylene Terephthalate)材で形成される。
【0028】
本実施形態のHF帯とUHF帯で共用のRFID101は、図1に示すように、ICチップ105の給電点(またはアース)107とアース(または給電点)106に、ループ状線路102とインピーダンス整合回路103が並列接続されており、ループ状線路102の最内周の辺の途中から調整素子104が折れ曲がって分岐し、そのまま最内周の辺に沿うようにして形成されている。図1(a)は、表面導体と裏面導体およびそれらの重なり面を示す図で、図1(b)は、表面導体のみ、図1(c)は、裏面導体のみを示している。
【0029】
図1の表面導体108と裏面導体109は、両方向から挟むようにして圧力を加えることで、誘電体を貫通して両導体を接触させ、電気を導通させることを実現しており、これをクリンピングと呼ぶ。他の導通手段として、表面から裏面まで貫通した穴を形成し、穴の周辺と内側を導体で被うことで表面導体と裏面導体の導通を実現するスルーホールと呼ばれる方法もある。
【0030】
図1(c)に示すように、裏面導体は、クリンピング112からクリンピング111までの線路とインピーダンス整合回路103の裏面部分とを形成しており、これらの部分が誘電体を挟んだ2層の導体となっている。インピーダンス整合回路103の表面導体108と裏面導体109の形状により、UHF帯でインピーダンス整合回路103のインピーダンスを可変設定し、UHF帯でアンテナとICチップのインピーダンス整合が行えて、また表面導体108と裏面導体109の重なり面積で決まる容量を可変設定し、HF帯でアンテナとICチップのインピーダンス整合が行える。
【0031】
図2は、インピーダンス整合回路103の詳細な構成を示している。インピーダンス整合回路103は、アース(または給電点)106から給電点(またはアース)107の間に、5つの導体(導体1a、導体2a、導体3a、導体4a、導体5a)が直列で順番に繋がっている。図3は、図2のインピーダンス整合回路103の破線断面ABの図で、表面導体108と裏面導体109の一部が重なり合うように形成される。
【0032】
図3に示すように、インピーダンス整合回路は、表面導体108と裏面導体109と、これら2つの導体に挟まれる誘電体116、および表面導体108と裏面導体109の物理的接触により電気を導通させるクリンピング111で構成され、表面導体108は、アース(または給電点)106と接続していて、裏面導体109は、クリンピング111を介して給電点(またはアース)107と接続しており、それらの導体は、重なり部分の先端がどことも繋がっていない。
【0033】
図2に示す本実施形態に係るアンテナのインピーダンス整合回路103は、5つの導体(導体1a、導体2a、導体3a、導体4a、導体5a)が順番に直列接続で繋がっており、波長が313mmとなる周波数960MHzにおいて、各導体の長さは、導体1aの長さl1a=26mm、導体2aの長さl2a=17mm、導体3aの長さl3a=16mm、導体4aの長さl4a=18mm、導体5aの長さl5a=21mmで、全て1/4波長(78mm)よりも短く形成していて、各導体の幅は、導体1aの幅w1a=2.4mm、導体2aの幅w2a=4.6mm、導体3aの幅w3a=2.9mm、導体4aの幅w4a=2.7mm、導体5aの幅w5a=1.1mmとしている。
【0034】
図4は、導体1aを説明する図で、導体1aの先端部には出力端118があって別の導体の入力端と繋がっており、これを先端短絡119と呼び、このような形状の導体を、先端短絡導体と呼ぶ。特に、導体の長さが1/4波長よりも短いときには、誘導性のリアクタンスを持つことが分かっている。
【0035】
図5は、導体2aを説明する図であり、導体2aの先端部には何も繋がっておらず、これを先端開放120と呼んでおり、出力端118は、入力端117の隣にあり、この部分が別な導体の入力端と繋がる。このような形状の導体を、先端開放導体と呼ぶ。特に、導体の長さが1/4波長よりも短いときには、容量性のリアクタンスを持つことが知られている。
【0036】
以上から分かるように、図2のインピーダンス整合回路103は、導体1aと導体5aは誘導性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端短絡導体で、導体2aと導体3aと導体4aは容量性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端開放導体となっている。
【0037】
図6は、図1に示した本実施形態に係るアンテナを、分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図であり、ループ状線路102と調整素子104とインピーダンス整合回路103の3つの部分で構成されている。ループ状線路102は、UHF帯では電界を輻射するアンテナとして働き、抵抗R1とR2とインダクタンスL10とL11で表されている。調整素子104は、キャパシタンスC4で表されアース104eに接地されている。インピーダンス整合回路103は、導体1aがインダクタンスL1に、導体2aがキャパシタンスC1に、導体3aがキャパシタンスC2に、導体4aがキャパシタンスC3に、導体5aがインダクタンスL2として表される。このように等価回路で見た場合、調整素子104のアース104eとアース106(または107)は、同電位と見なせる。
【0038】
図6で、到来する電界によりループ状線路102に生じる分布電流は、調整素子104による並列のキャパシタンスC4を経て、導体1a、導体2a、導体3a、導体4a、導体5aの直列接続より成るインピーダンス整合回路103が並列に接続する給電点(またはアース)107に給電する。
【0039】
このとき、図2のインピーダンス整合回路103は、キャパシタンスC1,C2,C3の並列接続回路の前後に、インダクタンスL1とL2が直列接続した構成となっており、電磁界シミュレーションでは、入力インピーダンスは、周波数960MHzで2.0+j220[Ω]となった。
【0040】
図7は、インピーダンス整合回路の別の実施形態であるインピーダンス整合回路121を示しており、アース(または給電点)106から給電点(またはアース)107の間に、4つの導体(導体1b、導体2b、導体3b、導体4b)は、順番に直列接続で繋がっていて、波長が313mmとなる周波数960MHzにおいて、各導体の長さは、導体1bの長さ=45.5mm、導体2bの長さ=35.6mm、導体3bの長さ=35.6mm、導体4bの長さ=39.5mmで、全て1/4波長(78mm)よりも短く形成していて、各導体の幅は、導体1bの幅=2.4mm、導体2bの幅=1.3mm、導体3bの幅=1.1mm、導体4bの幅=1.1mmとしている。
【0041】
以上から分かるように、図7のインピーダンス整合回路121は、導体1b、導体2b、導体3b、導体4bの4つ全ての導体が、誘導性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端短絡導体となっている。
【0042】
図8は、図7のインピーダンス整合回路121を用いたアンテナ実施形態を、分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図であり、到来する電界によりループ状線路102に生じる分布電流は、調整素子104による並列のキャパシタンスC4を経て、導体1b、導体2b、導体3b、導体4bの直列接続より成るインピーダンス整合回路121が並列接続する給電点(またはアース)107に給電する。
【0043】
このとき、図7のインピーダンス整合回路121は、導体1b、導体2b、導体3b、導体4bに相当するインダクタンスL1b、L2b、L3b、L4bが直列接続した構成となっており、電磁界シミュレーションでは、入力インピーダンスは、周波数960MHzで20.2+j861.7[Ω]となった。
【0044】
図9は、インピーダンス整合回路のさらに別の実施形態であるインピーダンス整合回路122を示しており、アース(または給電点)106から給電点(またはアース)107の間に、3つの導体(導体1c、導体2c、導体3c)があって、導体2cと導体3cは並列接続し、これと直列に導体1cが直列接続していて、各導体の長さは、導体1cの長さl1c=45.4mm、導体2cの長さl2c=36.4mm、導体3cの長さl3c=36.4mm、各導体の幅は、導体1cの幅w1c=2.4mm、導体2cの幅w2c=1.1mm、導体3cの幅w3c=1.1mmとしている。
【0045】
以上から分かるように、図9のインピーダンス整合回路122は、導体1c、導体2c、導体3cの3つ全ての導体が、誘導性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端短絡導体となっている。
【0046】
図10は、図9のインピーダンス整合回路122を用いたアンテナ実施形態を、分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図であり、到来する電界によりループ状線路102に生じる分布電流は、調整素子による並列のキャパシタンスC4を経て、導体1c、導体2c、導体3cより成るインピーダンス整合回路122が並列接続する給電点(またはアース)107に給電する。
【0047】
このとき、図9のインピーダンス整合回路122は、インダクタンスL2cとL3cが並列接続していて、これにインダクタンスL1cが直列接続する構成となっており、電磁界シミュレーションでは、入力インピーダンスは、周波数960MHzで4.1+j343.4[Ω]となった。
【0048】
図11は、インピーダンス整合回路の別の実施形態であるインピーダンス整合回路121bで、図7のインピーダンス整合回路で各導体の長さを変えずに、各導体の幅のみ細くしたときのインピーダンス整合回路を示しており、アース(または給電点)106から給電点(またはアース)107の間に、4つの導体(導体1b、導体2b、導体3b、導体4b)は、順番に直列接続で繋がっていて、波長が313mmとなる周波数960MHzにおいて、各導体の長さは、導体1bの長さ=45.5mm、導体2bの長さ=35.6mm、導体3bの長さ=35.6mm、導体4bの長さ=39.5mmであり、全て1/4波長(78mm)よりも短く形成していて、各導体の幅は、導体1bの幅=1.0mm、導体2bの幅=0.5mm、導体3bの幅=0.5mm、導体4bの幅=0.5mmとしている。
【0049】
また、図11のインピーダンス整合回路121bを、分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図は、図8と同じ構成となり、4つの導体のインダクタンスL1b、L2b、L3b、L4bの定数のみが異なる。電磁界シミュレーションでは、図11のインピーダンス整合回路の入力インピーダンスは、周波数960MHzで4275.6+j12747.9[Ω]となった。
【0050】
図12は、図2のインピーダンス整合回路103と、図7のインピーダンス整合回路121と、図9のインピーダンス整合回路122と、図11のインピーダンス整合回路121bの周波数960MHzにおける入力インピーダンスをスミスチャートで示している。
【0051】
図2のインピーダンス整合回路103と、図7に示すインピーダンス整合回路121の比較より、図2のインピーダンス整合回路103は、容量性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端開放の導体を含んでいるため、容量性の先端開放導体を持たない図7のインピーダンス整合回路121よりもリアクタンスの容量性が増すことが分かる。
【0052】
また、図7のインピーダンス整合回路121と、図9のインピーダンス整合回路122の比較より、図7のインピーダンス整合回路121は、誘導性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端短絡導体を直列に接続しているため、並列に接続する図9のインピーダンス整合回路122よりも、入力インピーダンスの抵抗と誘導性リアクタンスが増している。
【0053】
図7のインピーダンス整合回路121と図11のインピーダンス整合回路121bの比較より、同じ構成のインピーダンス整合回路で、各導体の長さを変えずに各導体の幅のみを変えると、抵抗とリアクタンスが変化する。特に、図7および図11のように誘導性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端短絡導体が直列に接続している場合は、導体の幅を細くすることで、入力インピーダンスの抵抗が増加し、また誘導性リアクタンスも増える。
【0054】
以上より、UHF帯において、各方形導体の先端を短絡または開放とすること、および各方形導体の長さと幅を変えることで、入力インピーダンスの抵抗とリアクタンスを可変設定し、アンテナとICチップのインピーダンス整合を行うことができる。
【0055】
図13は、本実施形態に係るアンテナを集中定数素子で表したHF帯で等価な回路図を示しており、ループ状線路102は、HF帯ではアンテナ全長が波長よりも十分に短い微小ループアンテナとして働き、微小ループアンテナと鎖交する磁界により生じる電流は、並列な容量115を経て給電点107(又は106)に給電される。このとき、ループ状線路102の開口面積を広くすること、もしくは巻き数を増やすことで、鎖交磁界によりアンテナに生じる電流を増やすことができる。
【0056】
HF帯において、ICチップ105に並列に接続されたインピーダンス整合回路103の容量性リアクタンス(キャパシタンス)を並列容量115と呼ぶこととし、この並列容量115が付与されたICチップ105のキャパシタンスと、ループ状線路102のインダクタンスでLC共振を行い、アンテナに生じる電流を給電点107(又は106)に給電している。
【0057】
以下、インピーダンス整合回路103の並列容量115の導出と、並列容量の付与されたICチップのキャパシタンスの導出と、この求めたICチップのキャパシタンスとループ状線路102のインダクタンスがLC共振する周波数の導出を説明する。
【0058】
対向し合う電極の容量C[F]は、式(1)より求められる事が知られており、真空の誘電率をε(=8.85×10−12F/m)、比誘電率をε、電極の面積をS[m]、電極の間隔をd[m]としていて、インピーダンス整合回路103の並列容量115は、式(1)のCより求まる。
【0059】
【数1】

【0060】
並列容量115の付与されたICチップ105のキャパシタンスC’[F]は、式(2)より求めることができ、周波数をf[Hz]、並列容量をC[F]、インピーダンス整合回路の抵抗をR[Ω]、ICチップの抵抗をRIC[Ω]、容量をCIC[F]、虚数部を求める関数をIm( )としており、本実施形態の並列容量付きICチップのキャパシタンスは、式(2)のC’[F]より求まる。ただし、実際のアンテナ製作においては、インピーダンス整合回路の抵抗R[Ω]はほとんど無視できるほど小さく、本実施形態では、0.14Ωの抵抗となる。
【0061】
【数2】

【0062】
ループ状線路102のインダクタンスをL[H]とする時、上記で求めた並列容量の付与されたICチップのキャパシタンスC’[F]とあわせて、式(3)より求まる周波数f[Hz]でLC共振することが知られており、本実施形態のRFID101の共振周波数は、式(3)のfより求まる。
【0063】
【数3】

【0064】
以下、図2のインピーダンス整合回路と、図7のインピーダンス整合回路と、図9のインピーダンス整合回路のそれぞれで、並列容量115および並列容量の付与されたICチップのキャパシタンスC’および求めたキャパシタンスC’とループ状線路102のインダクタンスLの共振周波数について説明する。図11のインピーダンス整合回路については、図7のインピーダンス整合回路と導体の構成が同じため省略する。
【0065】
本実施形態に係るRFIDは、図2の重なり面110の面積Sが72.5mmで、図3の誘電体116の比誘電率εが3.0F/mで、誘電体の厚み(導体の間隔)dが38μmで形成されており、式(1)より求めた容量は50.62pFとなり、シミュレーションで求めた容量は52.2pFとなった。
【0066】
また、本実施形態は、周波数13.56MHzにおいて、シミュレーションで求めた並列容量C=52.2pFとインピーダンス整合回路の抵抗R=0.14Ωと、実測で求めたICチップの抵抗1kΩ、容量2.8pFを用いて、式(2)より並列容量を付与したICチップの容量C’が54.8pFと求められる。
【0067】
この求めたC’の容量54.8pFと、シミュレーションで求めたループ状線路102のインダクタンス2.52μHを用いて、式(3)より共振周波数fが13.54MHzと求められる。
【0068】
図7のインピーダンス整合回路は、図7の重なり面110bの面積Sが72.5mmであり、図2のインピーダンス整合回路と同様で、他も図2と同様に誘電体116の比誘電率εが3.0F/mで、誘電体の厚み(導体の間隔)dが38μmで形成されており、式(1)より求めた容量は50.62pFとなり、シミュレーションで求めた容量は53.9pFとなった。
【0069】
周波数13.56MHzにおいて、シミュレーションで求めた並列容量C=53.9pFとインピーダンス整合回路の抵抗R=0.22Ωと、実測で求めたICチップの抵抗1kΩ、容量2.8pFを用いて、式(2)より並列容量を付与したICチップの容量C’が56.54pFと求められる。
【0070】
この求めたC’の容量56.54pFと、シミュレーションで求めたループ状線路102のインダクタンス2.52μHを用いて、式(3)より共振周波数fが13.33MHzと求められる。
【0071】
図9のインピーダンス整合回路は、図9の重なり面110cの面積Sが69.12mmで図2のインピーダンス整合回路と同様で、他も図2と同様に誘電体116の比誘電率εが3.0 F/mで、誘電体の厚み(導体の間隔)dが38μmで形成されており、式(1)より求めた容量は48.29pFとなり、シミュレーションで求めた容量は53.3pFとなった。
【0072】
周波数13.56MHzにおいて、シミュレーションで求めた並列容量C=53.3pFとインピーダンス整合回路の抵抗R=0.27Ωと、実測で求めたICチップの抵抗1kΩ、容量2.8pFを用いて、式(2)より並列容量を付与したICチップの容量C’が55.94pFと求められる。
【0073】
この求めたC’の容量55.94pFと、シミュレーションで求めたループ状線路102のインダクタンス2.52μHを用いて、式(3)より共振周波数fが13.40MHzと求められる。
【0074】
インピーダンス整合回路は、HF帯では集中定数回路で表されることとなり、導体の重なり面積と間隔が一定のもとでは、導体の長さや幅を変えても集中定数回路の回路定数は変わらない。このため、インピーダンス整合回路の入力インピーダンスのリアクタンスは、導体の長さや幅を変えてもほとんど変化しない。入力インピーダンスの抵抗も値が小さくて、抵抗の変化はほとんど無視できる。
【0075】
以上、本発明の一実施形態に係る図2と図7と図9のインピーダンス整合回路が示すように、インピーダンス整合回路は、HF帯において、重なり面積と間隔により並列容量115を可変設定しており、並列に接続するICチップにこの並列容量を付与して、アンテナとICチップとでLC共振させ通信可能としている。
【0076】
本実施形態に係るアンテナの調整素子104は、図1(a)に示されるように、ループ状線路102の最内周の辺の途中から調整素子104が折れ曲がって分岐し、そのまま最内周の辺に沿うようにして形成される。
【0077】
図1に示す本実施形態のアンテナは、4巻きのループ状線路102で示しているが、本発明の実施形態はこれに限らず、ループ状線路102を1巻きや2巻きなど、他の巻き数の場合も含める。図14に、図1の本実施形態のアンテナにおいて、アンテナを2巻きにした場合の例を示す。
【0078】
以下の説明では、高い方の第1の周波数帯のUHF帯において、ループ状線路の全長が548mmある2巻きのアンテナと、ループ状線路の全長が1059mmある4巻きのアンテナで、調整素子の長さや素子幅、および給電点から調整素子接続位置までの長さが、アンテナのゲインやアンテナインピーダンスのリアクタンスとどの様な関係があるかを示す。一方、低い方の第2の周波数帯のHF帯においては、UHF帯と比べて波長が長いため、調整素子の長さや素子幅、および給電点から調整素子接続位置までの長さの違いによるアンテナのゲインやアンテナインピーダンスのリアクタンスの変化を無視することができるため、ここでは説明しない。
【0079】
図15は、図1の本実施形態で周波数960MHzにおいて、ループ状線路102を前記の2巻きと4巻きとした場合で、給電点から1/2波長(156mm)の長さの位置に素子幅3mmの調整素子を接続し、調整素子の長さのみ変化させた時のアンテナインピーダンスのリアクタンスをシミュレーションで求めた結果を示している。基準線1Lと2Lは、それぞれ1/4波長の0.6倍の長さと1/4波長の1.3倍の長さを示しており、2巻きアンテナのリアクタンス2Xaと4巻きアンテナのリアクタンス4Xaはともに、調整素子の長さがおよそ1/4波長(78mm)で形成されるときに、アンテナインピーダンスのリアクタンスが極大から極小に急峻に変化することがわかる。
【0080】
図15より、図1の本実施形態のアンテナは、高い方の第1の周波数帯において、調整素子104の長さによってアンテナインピーダンスのリアクタンスを可変設定できることが分かった。特に調整素子104が、1/4波長×0.6の長さから1/4波長×1.3の長さのときは、アンテナのリアクタンスの変化幅が大きくなり、アンテナのリアクタンス値を可変設定できる範囲が広がる。
【0081】
次に、前記2巻きのアンテナについて、給電点から調整素子接続位置までの長さuを112mmとし、調整素子の長さは75mmとして、調整素子の幅を0.5mmと6mmの2通りとした場合の例を示す。図16は調整素子の幅とアンテナゲインの関係を、図17は調整素子の幅と整合ロスの関係を、図18は調整素子の幅とアンテナゲイン+整合ロスの関係を、シミュレーションにより求めた結果を示す。
【0082】
また、前記4巻きのアンテナについては、給電点から調整素子接続位置までの長さuを156mmとし、調整素子の長さを60mmとして、調整素子の幅を0.5mmと6mmの2通りとした場合の例を示す。図19は調整素子の幅とアンテナゲインの関係を、図20は調整素子の幅と整合ロスの関係を、図21は調整素子の幅とアンテナゲイン+整合ロスの関係を、シミュレーションにより求めた結果を示す。
【0083】
このとき、上記の整合ロスは、アンテナインピーダンスの抵抗をR[Ω]、リアクタンスをX[Ω]とし、ICチップのインピーダンスの抵抗をRic[Ω]、リアクタンスをXic[Ω]とするとき、式(4)のlよりdB単位で求める。
【0084】
【数4】

【0085】
図16は、素子幅6mmの2巻きアンテナのアンテナゲインGa1と、素子幅0.5mmの2巻きアンテナのアンテナゲインGa2を示しており、調整素子の幅を広げるとアンテナゲインが増加し、逆に調整素子の幅を狭めるとアンテナゲインが減少することが分かる。図17は、素子幅6mmの2巻きアンテナの整合ロスLo1と、素子幅0.5mmの2巻きアンテナの整合ロスLo2を示しており、整合ロスを負の数で表しているため、負の数が大きいほど整合ロスは大きい。前記2巻きのアンテナは、周波数865MHz以上、960MHz以下では調整素子の幅を広げると整合ロスが増加することが分かる。
【0086】
図18は、素子幅6mmの2巻きアンテナのアンテナゲインGa1と整合ロスLo1の合計値D1と、素子幅0.5mmの2巻きアンテナのアンテナゲインGa2と整合ロスLo2の合計値D2を示しており、アンテナゲインと整合ロスの合計値が正の方向に大きいほど、つまりグラフで上の方に位置するほど、アンテナがより多くの電力を受信できることを示している。前記2巻きのアンテナは、調整素子の幅を広げるとアンテナゲインと整合ロスの合計値が増加して、広い範囲の周波数帯域で受信電力が増えて有利となっている。
【0087】
図19は、素子幅6mmの4巻きアンテナのゲインGa3と、素子幅0.5mmの4巻きアンテナのゲインGa4を示しており、調整素子の幅を広げるとアンテナゲインが減少し、逆に調整素子の幅を狭めるとアンテナゲインが増加することが分かる。図20は、素子幅6mmの4巻きアンテナの整合ロスLo3と、素子幅0.5mmの4巻きアンテナの整合ロスLo4を示しており、整合ロスを負の数で表しているため、負の数が大きいほど整合ロスは大きい。前記4巻きのアンテナは、周波数900MHz以上では調整素子の幅を広げると整合ロスが増加することが分かる。
【0088】
図21は、素子幅6mmの4巻きアンテナのアンテナゲインGa3と整合ロスLo3の合計値D3と、素子幅0.5mmの4巻きアンテナのアンテナゲインGa4と整合ロスLo4の合計値D4を示しており、アンテナゲインと整合ロスの合計値が正の方向に大きいほど、つまりグラフで上の方に位置するほど、アンテナがより多くの電力を受信できることを示している。前記4巻きのアンテナは、調整素子の幅を広げると、周波数900MHz以上ではアンテナゲインと整合ロスの合計値が減少し、その結果、受信電力が減少して不利となっている。
【0089】
図16と図19から分かるように、2巻きのアンテナと4巻きのアンテナでは、調整素子の幅とアンテナゲインの関係が反転した特性となっている。これについては、周波数960MHzにおいて、2巻きアンテナのループ状線路の全長が548mmで線路幅が2.1mmあり、一方、4巻きアンテナのループ状線路の全長が1059mmで線路幅が1.0mmあり、2巻きアンテナと4巻きアンテナでは、ループ線路の長さと幅が異なるため、調整素子幅とアンテナゲインの特性が反転しているのではないかと推察される。
【0090】
以上から分かるように、本実施形態のアンテナは、高い方の第1の周波数帯において、調整素子の長さでアンテナインピーダンスのリアクタンスを可変設定することができて、調整素子の幅でアンテナゲインを可変設定することができる。
【0091】
また、本実施形態の2巻きと4巻きのアンテナにおいて、周波数960MHzで、調整素子の長さを60mmとし、調整素子の幅を3.0mmとして、図1(a)の給電点から調整素子接続位置までの長さuとアンテナインピーダンスのリアクタンスの関係を図22に、給電点から調整素子接続位置までの長さuとアンテナゲインの関係を図23に示す。
【0092】
図22は、2巻きアンテナのリアクタンス2Xbと、4巻きアンテナのリアクタンス4Xbを示しており、給電点から調整素子接続位置までの長さuによって、アンテナインピーダンスのリアクタンスが変化することが分かる。また、図23は、2巻きアンテナのアンテナゲイン2Gbと4巻きアンテナのアンテナゲイン4Gbを示しており、給電点から調整素子接続位置までの長さuによって、アンテナゲインが変化することが分かる。
【0093】
図22と図23において、2巻きアンテナと4巻きアンテナで特性が異なっているが、これは前述したようにループ状線路の全長と線路幅が異なっているためと推察される。
【0094】
以上から分かるように、本実施形態のアンテナは、高い方の第1の周波数帯において、図1(a)のループ状線路の給電点から調整素子接続位置までの長さuにより、アンテナのリアクタンスとアンテナゲインを調整する。また、調整素子を1/4波長前後で形成するため、ループ状線路の給電点から調整素子接続位置までの長さuは、1/4波長以上とすることが望ましい。
【0095】
以上に基づき、本実施形態のループ状線路の長さが548mmの2巻きのアンテナにおいては、調整素子の長さを75mm、調整素子の幅を3.0mm、給電点から調整素子までの長さuを112mmで形成し、また、本実施形態のループ状線路の長さが1059mmの4巻きのアンテナにおいては、調整素子の長さを129mm、調整素子の幅を3.0mm、給電点から調整素子までの長さuを156mmで形成することにより、2巻きアンテナと4巻きアンテナのそれぞれについて好適なアンテナゲインが得られ、かつアンテナとICチップをインピーダンス整合させてUHF帯で通信することができた。
【0096】
以上をまとめると、本発明の一実施形態に係るHF帯とUHF帯で共用のアンテナ、およびこれを用いたRFIDは、ループ状線路と調整素子とインピーダンス整合回路を有しており、誘電体を挟んだ2層の導体で形成される。
【0097】
以下に、4巻きのアンテナで形成した場合の例を示す。
【0098】
4巻きのアンテナは、図1を参照して、ループ状線路102の長さが1059mmで、調整素子104の長さが129mm、調整素子104の幅が3.0mm、ループ状線路102の給電点107から調整素子104接続位置までの長さuが156mmとし、インピーダンス整合回路103は、図2を参照して、5つの導体(導体1a、導体2a、導体3a、導体4a、導体5a)が順番に直列接続で繋がっている。
【0099】
図2を参照して、インピーダンス整合回路103の各導体の長さは、波長が313mmとなる周波数960MHzにおいて、導体1aの長さl1a=26mm、導体2aの長さl2a=17mm、導体3aの長さl3a=16mm、導体4aの長さl4a=18mm、導体5aの長さl5a=21mmであり、全て1/4波長(78mm)よりも短く形成されていて、各導体の幅は、導体1aの幅w1a=2.4mm、導体2aの幅w2a=4.6mm、導体3aの幅w3a=2.9mm、導体4aの幅w4a=2.7mm、導体5aの幅w5a=1.1mmとしている。
【0100】
導体1aと導体5aは、誘導性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端短絡導体で、導体2aと導体3aと導体4aは容量性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端開放導体としている。
【0101】
図2と図3を参照して、インピーダンス整合回路103の重なり面110の面積が72.5mmであり、誘電体の比誘電率εが3.0F/mで、誘電体の厚みd(導体の間隔)が38μmで形成されており、式(1)より求めた容量は50.62pFとなり、シミュレーションで求めた容量は52.2pFとなる。
【0102】
周波数13.56MHzにおいて、シミュレーションで求めた並列容量C=52.2pFとインピーダンス整合回路103の抵抗R=0.14Ωと、実測で求めたICチップ105の抵抗Ric=1kΩ、容量Cic=2.8pFを用いて、式(2)より並列容量を付与したICチップの容量C’が54.8pFと求まる。この求めたC’の容量54.8pFと、シミュレーションで求めたループ状線路102のインダクタンス2.52μHを用いて、式(3)より共振周波数fが13.54MHzと求まる。
【0103】
4巻きのアンテナおよびこれを用いたRFIDは、上記のように形成することで、HF帯周波数の13.56MHzにおいて、ICチップ105のインピーダンスは1000−j4200[Ω]、アンテナインピーダンスは602.3+j3462[Ω]で、共振周波数13.54MHzとなりインピーダンス整合ができて、UHF帯周波数の960MHzにおいて、ICチップ105のインピーダンスは28.9−j186.0[Ω]、アンテナインピーダンスは23.2+j221.9[Ω]で、整合ロス−1.7dBでインピーダンス整合ができて、UHF帯のアンテナゲインは2.0dBiとなり、HF帯とUHF帯で通信できる。
【0104】
以上をまとめると、本発明に係るアンテナは、アンテナとICチップから成るRFID用のアンテナであって、そのアンテナはループ状線路と調整素子とインピーダンス整合回路を有しており、誘電体を挟んだ2層の導体で形成されており、インピーダンス整合回路は表面導体と裏面導体が一部重なって形成されて、一方の導体層がICチップの給電点へ、他方の導体層がICチップのアースへ接続され、それらの導体は、重なり部分の先端がどことも繋がっておらず、異なる2つの周波数のそれぞれでICチップとアンテナのインピーダンス整合が行えることを特徴とする。
【0105】
前記インピーダンス整合回路は、高い方の第1の周波数帯で、表面導体と裏面導体およびこれら両面に挟まれた誘電体重なり部分を併せて1つの導体線路と見たてた時の形状において、その形状は平たい長方形状の方形導体が、複数でお互いに直列または並列に接続し合って、先端短絡導体または先端開放導体を構成しており、各方形導体の先端を短絡または開放とすることで、リアクタンスを可変設定することを特徴とする。
【0106】
また、前記インピーダンス整合回路は、高い方の第1の周波数帯で、表面導体と裏面導体およびこれら両面に挟まれた誘電体重なり部分からなる前記の1つの導体線路において、誘導性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端短絡の複数の導体と、容量性リアクタンスを持つ1/4波長よりも短い先端開放の複数の導体で構成しており、各方形導体の長さと幅で抵抗とリアクタンスを可変設定することを特徴とする。
【0107】
また、前記インピーダンス整合回路は、低い方の第2の周波数帯において、誘電体を挟んで対向しあう表面導体と裏面導体の重なり面積と、表面導体と裏面導体の間隔とで容量を形成しており、この容量をICチップに付与することで、アンテナ装置とICチップでLC共振させることを特徴とする。
【0108】
前記調整素子は、前記ループ状線路の最内周の辺に沿うようにして導体線路が形成されて最内周の辺に接続しており、高い方の第1の周波数帯において、素子の長さを1/4波長前後(1/4波長×0.6の長さから1/4波長×1.3の長さまで)とし、長さによってアンテナインピーダンスのリアクタンスを可変設定し、素子幅でアンテナゲインを可変設定し、ループ状線路の給電点から1/4波長以上の長さの位置に調整素子を接続し、接続位置によりアンテナゲインとリアクタンスを可変設定するための調整素子が接続されることを特徴とする。
【0109】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0110】
例えば、前記実施の形態においては、UHF帯およびHF帯共用のRFID用アンテナについて説明したが、これに限定されるものではなく、他の周波数帯の通信装置用アンテナについても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の活用例として、ゲートを通過する際には、通信距離の長いUHF帯を用いて認証を行い、居室などに入る際には通信距離の短いHF帯を用いて認証を行うといった事にも活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】(a)は本発明に係るHF帯とUHF帯の共用アンテナの実施の一形態が適用されたRFIDの構成を示す図、(b)は(a)の表面導体とクリンピングのみを示す図、(c)は(a)の裏面導体とクリンピングのみを示す図である。
【図2】図1のアンテナ実施形態のインピーダンス整合回路の詳細な構成を示す図である。
【図3】図2のインピーダンス整合回路の破線ABにおける断面図である。
【図4】先端短絡した導体を説明する図である。
【図5】先端開放した導体を説明する図である。
【図6】図1のアンテナ実施形態を分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図である。
【図7】図2とは別な実施形態のインピーダンス整合回路を示す図である。
【図8】図7のインピーダンス整合回路を用いたアンテナ実施形態を分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図である。
【図9】図2および図7とさらに別の実施形態のインピーダンス整合回路を示す図である。
【図10】図9のインピーダンス整合回路を用いたアンテナ実施形態を分布定数素子で表したUHF帯で等価な回路図である。
【図11】図7のインピーダンス整合回路で、各導体の幅のみを細くした場合を示す図である。
【図12】図2と図7と図9と図11のインピーダンス整合回路の960MHzでのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図13】図1のアンテナ実施形態を集中定数素子で表したHF帯で等価な回路図である。
【図14】図1の実施形態のアンテナで、ループ状線路を2巻きにしたRFIDを示す図である。
【図15】図1の実施形態のアンテナで、調整素子の長さとアンテナのリアクタンスの関係を示す図である。
【図16】図1の実施形態のアンテナで、2巻きのループ状線路としたときのアンテナゲインを示す図である。
【図17】図1の実施形態のアンテナで、2巻きのループ状線路としたときの整合ロスを示す図である。
【図18】図1の実施形態のアンテナで、2巻きのループ状線路としたときのアンテナゲイン+整合ロスを示す図である。
【図19】図1の実施形態のアンテナで、4巻きのループ状線路としたときのアンテナゲインを示す図である。
【図20】図1の実施形態のアンテナで、4巻きのループ状線路としたときの整合ロスを示す図である。
【図21】図1の実施形態のアンテナで、4巻きのループ状線路としたときのアンテナゲイン+整合ロスを示す図である。
【図22】給電点から調整素子接続位置までの長さとアンテナインピーダンスのリアクタンスの関係を示す図である。
【図23】給電点から調整素子接続位置までの長さとアンテナゲインの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
101 RFID
102 ループ状線路
103,121,121b,122 インピーダンス整合回路
104 調整素子
104e アース
105 ICチップ
106 アース(または給電点)
107 給電点(またはアース)
108 表面導体
109 裏面導体
110,110b,110c 重なり面
111,112 クリンピング
115 並列容量
116 誘電体
117 入力端
118 出力端
119 先端短絡
120 先端開放
1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3c,4a,4b,5a 導体
C1,C2,C3 キャパシタンス
L1,L1b,L1c,L2,L2b,L2c,L3b,L3c,L4b,L10,L11 インダクタンス
C4 キャパシタンス
R1,R2 抵抗
2Xa,2Xb,4Xa,4Xb アンテナのリアクタンス
Ga1,Ga2,Ga3,Ga4,2Gb,4Gb アンテナゲイン
Lo1,Lo2,Lo3,Lo4 アンテナの整合ロス
D1,D2,D3,D4 アンテナゲインと整合ロスの合計値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の周波数帯の電波を送受信できるアンテナであって、
ループ状線路と、
インピーダンス整合回路とを有し、
前記インピーダンス整合回路は、誘電体を挟んだ2層の導体で形成されており、前記第1および第2の周波数帯のそれぞれで、前記アンテナとICチップとのインピーダンス整合が行えることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、誘電体を挟んだ前記2層の導体の一部が重なるように形成され、一方の導体が前記ICチップの給電点へ、他方の導体が前記ICチップのアースへ接続され、それらの導体は、重なり部分の先端がどことも繋がっていないことを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
請求項1記載のアンテナにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
前記インピーダンス整合回路は、前記第1の周波数帯で、表面導体と裏面導体およびこれら両面に挟まれた誘電体重なり部分を併せて、1つの導体線路と見たてた時の形状において、その形状は平たい長方形状の方形導体が、複数でお互いに直列または並列に接続し合って、誘導性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端短絡導体、または容量性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端開放導体を構成しており、
各方形導体の先端を短絡または開放とすること、および各方形導体の長さと幅を変えることで、入力インピーダンスの抵抗とリアクタンスを可変設定し、前記アンテナと前記ICチップとのインピーダンス整合がされることを特徴とするアンテナ。
【請求項4】
請求項2記載のアンテナにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
前記インピーダンス整合回路は、前記第1の周波数帯で、表面導体と裏面導体およびこれら両面に挟まれた誘電体重なり部分を併せて、1つの導体線路と見たてた時の形状において、その形状は平たい長方形状の方形導体が、複数でお互いに直列または並列に接続し合って、誘導性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端短絡導体、または容量性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端開放導体を構成しており、
各方形導体の先端を短絡または開放とすること、および各方形導体の長さと幅を変えることで、入力インピーダンスの抵抗とリアクタンスが可変設定され、前記アンテナと前記ICチップとのインピーダンス整合がされることを特徴とするアンテナ。
【請求項5】
請求項1記載のアンテナにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、前記第2の周波数帯において、誘電体を挟んで対向しあう表面導体と裏面導体の重なり面積と、表面導体と裏面導体の間隔とで容量を形成しており、
前記容量が前記ICチップに付与され、前記アンテナと前記ICチップとでLC共振することを特徴とするアンテナ。
【請求項6】
請求項2記載のアンテナにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、前記第2の周波数帯において、誘電体を挟んで対向しあう表面導体と裏面導体の重なり面積と、表面導体と裏面導体の間隔とで容量を形成しており、
前記容量が前記ICチップに付与され、前記アンテナと前記ICチップとでLC共振することを特徴とするアンテナ。
【請求項7】
請求項3記載のアンテナにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、前記第2の周波数帯において、誘電体を挟んで対向しあう表面導体と裏面導体の重なり面積と、表面導体と裏面導体の間隔とで容量を形成しており、
前記容量が前記ICチップに付与され、前記アンテナと前記ICチップとでLC共振することを特徴とするアンテナ。
【請求項8】
請求項1記載のアンテナにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
さらに、前記アンテナ特性を調整するための調整素子を有し、
前記調整素子は、前記ループ状線路の最内周の辺に沿うようにして導体線路が形成されて最内周の辺に接続しており、前記導体線路は前記第1の周波数帯の略1/4波長の長さであり、前記導体線路の長さによってアンテナインピーダンスのリアクタンスが可変設定され、前記導体線路の幅でアンテナゲインが可変設定され、前記ループ状線路の給電点から1/4波長以上の長さの位置に前記導体線路が接続され、その接続位置によりアンテナゲインとリアクタンスとが可変設定されることを特徴とするアンテナ。
【請求項9】
請求項2記載のアンテナにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
さらに、前記アンテナ特性を調整するための調整素子を有し、
前記調整素子は、前記ループ状線路の最内周の辺に沿うようにして導体線路が形成されて最内周の辺に接続しており、前記導体線路は前記第1の周波数帯の略1/4波長の長さであり、前記導体線路の長さによってアンテナインピーダンスのリアクタンスが可変設定され、前記導体線路の幅でアンテナゲインが可変設定され、前記ループ状線路の給電点から1/4波長以上の長さの位置に前記導体線路が接続され、その接続位置によりアンテナゲインとリアクタンスとが可変設定されることを特徴とするアンテナ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のアンテナにおいて、
前記第1の周波数帯はUHF帯であり、前記第2の周波数帯はHF帯であることを特徴とするアンテナ。
【請求項11】
第1および第2の周波数帯の電波を送受信できるRFIDであって、
前記RFIDはアンテナとICチップとを具備して成り、
前記アンテナは、ループ状線路と、インピーダンス整合回路とを有し、
前記インピーダンス整合回路は、誘電体を挟んだ2層の導体で形成されており、前記第1および第2の周波数帯のそれぞれで、前記アンテナと前記ICチップとのインピーダンス整合が行えることを特徴とするRFID。
【請求項12】
請求項11記載のRFIDにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、誘電体を挟んだ前記2層の導体の一部が重なるように形成され、一方の導体が前記ICチップの給電点へ、他方の導体が前記ICチップのアースへ接続され、それらの導体は、重なり部分の先端がどことも繋がっていないことを特徴とするRFID。
【請求項13】
請求項11記載のRFIDにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
前記インピーダンス整合回路は、前記第1の周波数帯で、表面導体と裏面導体およびこれら両面に挟まれた誘電体重なり部分を併せて、1つの導体線路と見たてた時の形状において、その形状は平たい長方形状の方形導体が、複数でお互いに直列または並列に接続し合って、誘導性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端短絡導体、または容量性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端開放導体を構成しており、
各方形導体の先端を短絡または開放とすること、および各方形導体の長さと幅を変えることで、入力インピーダンスの抵抗とリアクタンスとが可変設定され、前記アンテナと前記ICチップとのインピーダンス整合がされることを特徴とするRFID。
【請求項14】
請求項12記載のRFIDにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
前記インピーダンス整合回路は、前記第1の周波数帯で、表面導体と裏面導体およびこれら両面に挟まれた誘電体重なり部分を併せて、1つの導体線路と見たてた時の形状において、その形状は平たい長方形状の方形導体が、複数でお互いに直列または並列に接続し合って、誘導性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端短絡導体、または容量性リアクタンスを持つ前記第1の周波数帯の1/4波長よりも短い先端開放導体を構成しており、
各方形導体の先端を短絡または開放とすること、および各方形導体の長さと幅を変えることで、入力インピーダンスの抵抗とリアクタンスとが可変設定され、前記アンテナと前記ICチップとのインピーダンス整合がされることを特徴とするRFID。
【請求項15】
請求項11記載のRFIDにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、前記第2の周波数帯において、誘電体を挟んで対向しあう表面導体と裏面導体の重なり面積と、表面導体と裏面導体の間隔とで容量を形成しており、
前記容量が前記ICチップに付与され、前記アンテナと前記ICチップとでLC共振することを特徴とするRFID。
【請求項16】
請求項12記載のRFIDにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、前記第2の周波数帯において、誘電体を挟んで対向しあう表面導体と裏面導体の重なり面積と、表面導体と裏面導体の間隔とで容量を形成しており、
前記容量が前記ICチップに付与され、前記アンテナと前記ICチップとでLC共振することを特徴とするRFID。
【請求項17】
請求項13記載のRFIDにおいて、
前記インピーダンス整合回路は、前記第2の周波数帯において、誘電体を挟んで対向しあう表面導体と裏面導体の重なり面積と、表面導体と裏面導体の間隔とで容量を形成しており、
前記容量が前記ICチップに付与され、前記アンテナと前記ICチップとでLC共振することを特徴とするRFID。
【請求項18】
請求項11記載のRFIDにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
さらに、前記アンテナ特性を調整するための調整素子を有し、
前記調整素子は、前記ループ状線路の最内周の辺に沿うようにして導体線路が形成されて最内周の辺に接続しており、前記導体線路は前記第1の周波数帯の略1/4波長の長さであり、前記導体線路の長さによってアンテナインピーダンスのリアクタンスが可変設定され、前記導体線路の幅でアンテナゲインが可変設定され、前記ループ状線路の給電点から1/4波長以上の長さの位置に前記導体線路が接続され、その接続位置によりアンテナゲインとリアクタンスが可変設定されることを特徴とするRFID。
【請求項19】
請求項12記載のRFIDにおいて、
前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも周波数が高く、
さらに、前記アンテナ特性を調整するための調整素子を有し、
前記調整素子は、前記ループ状線路の最内周の辺に沿うようにして導体線路が形成されて最内周の辺に接続しており、前記導体線路は前記第1の周波数帯の略1/4波長の長さであり、前記導体線路の長さによってアンテナインピーダンスのリアクタンスが可変設定され、前記導体線路の幅でアンテナゲインが可変設定され、前記ループ状線路の給電点から1/4波長以上の長さの位置に前記導体線路が接続され、その接続位置によりアンテナゲインとリアクタンスが可変設定されることを特徴とするRFID。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれか1項に記載のRFIDにおいて、
前記第2の周波数帯はHF帯の周波数帯であり、前記第1の周波数帯はUHF帯の周波数帯であることを特徴とするRFID。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−71413(P2009−71413A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235294(P2007−235294)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】