アンテナ装置
【課題】車の車種に依らず、アンテナの電気長として最適の長さを有し、アンテナ特性の安定したアンテナ装置を得る。
【解決手段】開口11が設けられた車体10と、車体10の開口11を塞ぐ大きさを有する金属の板12と、車体10に対して金属の板12を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジ13、14と、車体10と金属の板12とを電気的に接続する第一の線状導体15と、第一の線状導体15と車体10との間に設けられた高周波電源16とを備え、第1のヒンジ13と第2のヒンジ14とが、それらの間の距離17が通信に使用する周波数λの略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に第一の線状導体15を挟むように、配置されている。
【解決手段】開口11が設けられた車体10と、車体10の開口11を塞ぐ大きさを有する金属の板12と、車体10に対して金属の板12を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジ13、14と、車体10と金属の板12とを電気的に接続する第一の線状導体15と、第一の線状導体15と車体10との間に設けられた高周波電源16とを備え、第1のヒンジ13と第2のヒンジ14とが、それらの間の距離17が通信に使用する周波数λの略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に第一の線状導体15を挟むように、配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はアンテナ装置に関し、特に、自動車などの、金属から形成される車体、および、その車体に設置される金属性のドアを利用したアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などに搭載される無線通信機器は年々増加する傾向にあり、それぞれの機器に接続されるアンテナの数や種類も増加している。一方、アンテナの性能を維持するためには最低でも使用する波長の1/2程度の大きさを有する必要がある。たとえば300MHz帯の周波数を利用する場合、理想的には500mm程度の大きさのアンテナが必要となる。さらに低い周波数では波長が長くなるため、より物理的に大きなサイズのアンテナが必要となる。アンテナは金属に近接して配置すると性能が低下するため、なるべく自由空間に近い場所に設置することが望まれる。従来、このような大きいサイズのアンテナを配置する場所としてはガラスに貼付するアンテナや、自動車から突出するモノポールアンテナなどが用いられてきた。しかしながら、ガラスに貼付するアンテナは搭乗者の視野を妨げるという欠点があり、自動車から突出するアンテナは風切り音が発生したり、自動車の外観を損ねたりするという欠点があった。
【0003】
図1は、例えば、特許文献1に記載された、このような欠点を解決するための従来のアンテナを示している。図1において、1は自動車後部、2はトランクの蓋、3は給電端子a、4は給電端子bである。特許文献1には、自動車後部1とトランクの蓋2との間にできる隙間に給電端子a3、給電端子b4を設けることで、前記隙間部分を利用したスロットアンテナが実現できる旨が記載されている。前記隙間の長さは数百mm〜数mあるため、周波数の低いアンテナも構成することが可能であり、かつ、搭乗者の視野を妨げたり、自動車の外観を損ねたりすることがないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−3302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたアンテナは、自動車後部1とトランクの蓋2との間にできる隙間の長さが車種によって決定されてしまうため、アンテナの電気長が、アンテナの最適の長さである半波長からずれてしまう可能性が高いという問題点がある。また、車種毎に長さが異なるため、車種毎にアンテナ特性が変化するという問題点がある。さらに、自動車後部1とトランクの蓋2との間にあるヒンジ構造によりアンテナ特性が変化するという問題点もある。また、自動車後部1に対するトランクの蓋2の位置はトランクの蓋2の開閉により大きく変化する場合があり、給電のための配線が長くなり、配線の誘導性によりアンテナ特性が劣化するという問題点がある。さらに、開閉による配線の位置の不確定性によりアンテナ性能が大きく変化するという問題点がある。また、開閉により隙間の形状が大きく変化し、閉時に合わせてアンテナを設計した場合に、開時にアンテナ性能が大きく劣化するという問題点もある。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、車の車種に依らず、アンテナの電気長として最適の長さを有し、アンテナ特性の安定したアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、開口が設けられた第1の地導体と、前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジと、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する導体線と、前記導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源とを備え、前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体線を挟むように、配置されているアンテナ装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、開口が設けられた第1の地導体と、前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジと、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する導体線と、前記導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源とを備え、前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体線を挟むように、配置されているアンテナ装置であるので、車の車種に依らず、アンテナの電気長として最適の長さを有し、アンテナ特性の安定を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来のアンテナ装置の構成を示した図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置に対して等価となるアンテナの模式図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置に対して等価となるアンテナの模式図である。
【図8】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置に対して等価となるアンテナの模式図である。
【図10】この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図11】この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図2は、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図2において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、15は第一の線状導体、16は高周波電源、17は第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間の長さである。車体10には開口11が設けられている。金属の板12は開口11を塞ぐ大きさを有しており、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14によって開閉可能に、車体10に取り付けられている。なお、金属の板12と車体10との間には閉時においても隙間を有する。この隙間は図示されていない非導電材料のクッション材などにより物理的に密閉される。開口11は人が自動車から出入りできる程度の大きさを有しており、金属の板12が自動車の出入り口のドアを構成する。図2においては、構成を分かりやすく図示するために、金属の板12を透明であるかのように記載しているが、金属で構成されているものであるため、実際には、透明ではないことは言及するまでもない。また、車体10についても、図2においては、局所的に図示しているが、実際には、図1に示すような通常の自動車等の車体を意味する。
【0011】
開口11は人が自動車から出入りできる程度の大きさを有しているため、その周囲には数m単位のスリット状の隙間を有する。このスリット状の隙間は第一のヒンジ13と第二のヒンジ14により短絡、分断され、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とに挟まれた部分において長さ17を有する。第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間には第一の線状導体15が配置され、車体10と金属の板12とを電気的に接続する。また、第一の線状導体15と車体10との間の車体10側には、高周波電源16が設けられている。高周波電源16と金属の板12とは、第一の線状導体15により電気的に接続される。また、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間の長さ17(距離)は、通信に使用する周波数(λ)の半波長(λ/2)程度の電気長を有する。また、第一の線状導体15は金属の板12の開閉動作を妨げない最低限の長さを有する。
【0012】
次に、本実施の形態1に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10との間には数m単位のスリット状の隙間を有しており、かつ、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14により短絡、分断されている。この構成は高周波でみた場合に、図3の模式図と等価になる。長さ17は、通信に使用する周波数(λ)の略々半波長(λ/2)の電気長を有しているため、その部分に高周波電源16を接続することで半波長スロットアンテナとして動作する。
【0013】
このように構成された実施の形態1のアンテナ装置では、アンテナの電気長が使用する周波数(λ)の略々半波長(λ/2)を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、アンテナの電気長を第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とにより調整しているため、電気長を調整するための付加部材を削減でき、低コスト化が可能である。また、半波長スロットアンテナを第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に形成しているため、高周波電源16を接続する部分において、ドアの開閉による金属の板12の車体10に対する位置変化が小さく、第一の線状導体15を最小にすることが可能となる。そのため、線状導体15の誘導性によるアンテナ性能の低下を防ぐことが可能である。また、開閉による配線の位置の不確定性が低減でき、アンテナ性能が安定するという利点がある。また、ドアの開閉によるスリット状の隙間の形状変化が小さく、ドア閉時に調整したアンテナでも開時のアンテナ性能が保たれるという利点がある。
【0014】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図4において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、15は第一の線状導体、16は高周波電源、18は第二の線状導体、19は第三の線状導体、17は第二の線状導体18と第三の線状導体19との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に、第二の線状導体18と第三の線状導体19とが、長さ17(距離)だけ離れて配置され、それぞれ車体10と金属の板12とを電気的に接続(短絡)する。第二の線状導体18と第三の線状導体19との間には、第一の線状導体15が配置され、車体10側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。第一、第二、第三の線状導体15、18、19は、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とが設けられている側、すなわち、金属の板12の開閉動作において車体10と金属の板12との距離変化が小さい側に設けられている。第二の線状導体18と第三の線状導体19との間の長さ17は、通信に使用する周波数(λ)の半波長(λ/2)程度の電気長を有する。第二の線状導体18および第三の線状導体19は、金属の板12の開閉動作を妨げない最低限の長さを有する。
【0015】
次に、本実施の形態2に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10の間にある数m単位のスリット状の隙間は第二の線状導体18と第三の線状導体19により短絡、分断されている。高周波電源16からみて、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14は、車体10と金属の板12を電気的に短絡する第二の線状導体18と第三の線状導体19の外側にあるため、高周波で見た場合にそれらの存在は見えない。その結果、高周波でみた場合に図3の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に半波長スロットアンテナとして動作する。
【0016】
このように構成された本実施の形態2のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、半波長スロットアンテナを第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に形成しているため、高周波電源16を接続する部分において、ドアの開閉による金属の板12の車体10に対する位置変化が小さく、第一の線状導体15を最小にすることが可能となる。そのため、線状導体15の誘導性によるアンテナ性能の低下を防ぐことが可能である。また、開閉による配線の位置の不確定性が低減でき、アンテナ性能が安定するという利点がある。また、ドアの開閉によるスリット状の隙間の形状変化が小さく、ドア閉時に調整したアンテナでも開時のアンテナ性能が保たれるという利点がある。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点がある。また、上記の説明においては、ヒンジ構造として第一、第二のヒンジ13、14の2つを設ける構成について説明したが、必ずしもその場合に限らず、本実施の形態2は、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点がある。
【0017】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図5において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、15は第一の線状導体、16は高周波電源、18は第二の線状導体、17は第二の線状導体18と第二のヒンジ14との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に第二の線状導体18が、第二のヒンジ14に対して長さ17だけ離れて配置され、車体10と金属の板12とを電気的に短絡する。また、第二の線状導体18と第二のヒンジ14との間には第一の線状導体15が配置され、車体10側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。第二の線状導体18と第二のヒンジ14との間の長さ17は、通信に使用する周波数の半波長程度の電気長を有する。第二の線状導体18は、金属の板12の開閉動作を妨げない最低限の長さを有する。
【0018】
次に、本実施の形態3に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10との間にある数m単位のスリット状の隙間は第二の線状導体18と第二のヒンジ14により短絡、分断されている。高周波電源16からみて、第一のヒンジ13は、車体10と金属の板12とを電気的に短絡する第二の線状導体18の外側にあるため、高周波で見た場合にその存在は見えない。その結果、高周波でみた場合には、図3の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に半波長スロットアンテナとして動作する。
【0019】
このように構成された本実施の形態3のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、アンテナの電気長を第二のヒンジ14を利用して調整しているため、電気長を調整するための付加部材を削減でき、低コスト化が可能である。また、半波長スロットアンテナを第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に形成しているため、高周波電源16を接続する部分において、ドアの開閉による金属の板12の車体10に対する位置変化が小さく、第一の線状導体15を最小にすることが可能となる。そのため、線状導体15の誘導性によるアンテナ性能の低下を防ぐことが可能である。また、開閉による配線の位置の不確定性が低減でき、アンテナ性能が安定するという利点がある。また、ドアの開閉によるスリット状の隙間の形状変化が小さく、ドア閉時に調整したアンテナでも開時のアンテナ性能が保たれるという利点がある。さらに、本実施の形態においては、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点がある。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点がある。
【0020】
実施の形態4.
図6は、この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図6(a)は本実施の形態4における正面図を示しており、図6(b)はドア閉時における側面図を示している。図中において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、20は第一のバネ接点(導体)、21は第二のバネ接点(導体)、22は第三のバネ接点(導体)、17は第二のバネ接点21と第三のバネ接点22との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態4においては、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とが設けられている側とは反対側の、車体10に、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が配置されている。すなわち、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が配置されている側は、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14が設けられている側と比較して、金属の板12の開閉動作の際の、金属の板12と車体10との距離変化が大きい。第二のバネ接点21および第三のバネ接点22は、車体10側に、長さ17だけ離れて配置され、金属の板12の閉時において、図6(b)に示されるように、車体10と金属の板12とを電気的に接続(短絡)する。第一のバネ接点20は、車体10側に、第二のバネ接点21および第三のバネ接点22に挟まれるように配置され、金属の板12の閉時において、図6(b)に示されるように、車体10側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。第二のバネ接点21と第三のバネ接点22との間の長さ17は、通信に使用する周波数(λ)の略々半波長(λ/2)程度の電気長を有する。また、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22は、車体10側に設けられているが、金属の板12に対して、当該周波数(λ)に比べて、十分に近接した距離に設置される。
【0021】
次に、本実施の形態4に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10との間にある数m単位のスリット状の隙間は、第二のバネ接点21および第三のバネ接点22より短絡、分断されている。高周波電源16からみて、第一のヒンジ13および第二のヒンジ14は、車体10と金属の板12とを電気的に短絡する第二のバネ接点21および第三のバネ接点22の外側にあるため、高周波で見た場合にその存在は見えない。その結果、高周波でみた場合に、図7の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に、半波長スロットアンテナとして動作する。
【0022】
このように構成された本実施の形態4のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造の間隔を超えた長さのスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。
【0023】
なお、自動車のドアには図示していないロック機構が設けられていることが多く、その場合には、当該ロック機構により、車体10と金属の板12とは短絡される。その場合においても、ロック機構が長さ17の範囲に含まれないように、高周波電源16、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22の位置を設定することで同様な効果が得られる。
【0024】
なお、上記の説明においては、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が、車体10側に設けられ、車体10に電気的に接続されている例について説明したが、その場合に限らず、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22を、金属の板12側に設けて、金属の板12に電気的に接続するようにしてもよい。なお、その場合においても、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22を、車体10に対して、周波数(λ)に比べて十分に近接した距離に設置する。
【0025】
実施の形態5.
図8は、この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図8において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、20は第一のバネ接点、17は車体10と金属の板12とから形成されるスリット状の隙間において、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14に対する金属の板12側の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態5においては、金属の板12をはさんで、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とは反対側の、車体10側に、第一のバネ接点20が配置されている。第一のバネ接点20が配置されている側は、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14が設けられている側と比較して、金属の板12の開閉動作の際の、金属の板12の車体10に対する位置変化が大きい。第一のバネ接点20は、実施の形態4と同様に、金属の板12の閉時において、車体側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。長さ17は、通信に使用する周波数の半波長程度の電気長を有する。
【0026】
次に、本実施の形態5に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10の間にある数m単位のスリット状の隙間は第一のヒンジ13と第二のヒンジ14より短絡、分断されている。その結果、高周波でみた場合に図9の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に半波長スロットアンテナとして動作する。
【0027】
このように構成された本実施の形態5のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、アンテナの電気長を第一のヒンジ13と第二のヒンジ14により調整しているため、電気長を調整するための付加部材を削減でき、低コスト化が可能である。また、実施の形態1より長いスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。ヒンジ構造が1つの場合にはスリット状の隙間全体の長さのスロットアンテナとして動作する。なお、ここでは長さ17を使用する周波数の半波長程度として記載したが、それより低い周波数においても本実施例を適用する利点が生じる。一般的に半波長程度より小さいアンテナではアンテナサイズとアンテナ性能が比例するため、アンテナの長さを最大限取ることによりアンテナ性能を高めることが可能である。
【0028】
また、自動車のドアには図示していないロック機構が設けられていることが多く、その場合には、ロック機構により車体10と金属の板12は短絡される。その場合でも、第一のヒンジ13、または、第二のヒンジ14の代わりに、ロック機構をスリット状の隙間を短絡、分断する手段として用いることで同様な効果を得ることができる。すなわち、例えば、第一のヒンジ13(または第二のヒンジ14)とロック機構との間の距離を周波数(λ)の略々λ/2の電気長を有するように設定し、第一のヒンジ13(または第二のヒンジ14)とロック機構との間に、第一のバネ接点20を挟むようにすればよい。
【0029】
実施の形態6.
図10は、この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図10(a)は実施の形態6における正面図を示しており、図10(b)はドア閉時における側面図を示している。図中において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、23は第一の金属片(導体)、24は第二の金属片(導体)、25は第三の金属片(導体)、17は第二の金属片24と第三の金属片25の間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態4と同様であるため、ここでは実施の形態4と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態6の構成は、実施の形態4における第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が、それぞれ、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25に置き換えられたものである。なお、本実施の形態においても、実施の形態4と同様に、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25は、車体10側に設けられているが、金属の板12に対して、当該周波数(λ)に比べて、十分に近接した距離に設置される。
【0030】
次に、本実施の形態6に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。第一の金属片23は、図10(b)に示されるように、金属の板12の閉時において、金属の板12に十分に近接し、かつ、対面するように配置される。その結果、金属の板12と金属片23とは、それらの間に容量が発生し、高周波でみた場合に短絡状態となる。第二の金属片24および第三の金属片25についても同様な動作をする。その結果、実施の形態4に示したようなアンテナの動作が実現できる。このように構成された実施の形態6のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造の間隔を超えた長さのスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。また、金属の板12側に電気的な接点を設ける必要がないため、コスト低減が可能である。なお、自動車のドアに図示していないロック機構が設けられた場合も実施の形態4と同様な対策を用いることができる。
【0031】
なお、上記の説明においては、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25が、車体10側に設けられ、車体10に電気的に接続されている例について説明したが、その場合に限らず、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25を、金属の板12側に設けて、金属の板12に電気的に接続するようにしてもよい。なお、その場合においても、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25を、車体10に対して、当該周波数(λ)に比べて十分に近接した距離に設置するようにする。
【0032】
なお、自動車のドアには図示していないロック機構が設けられていることが多く、その場合には、当該ロック機構により、車体10と金属の板12とは短絡される。その場合においても、ロック機構が長さ17の範囲に含まれないように、高周波電源16、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25の位置を設定することで同様な効果が得られる。
【0033】
実施の形態7.
図11は、この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図11(a)は実施の形態7における正面図を示しており、図11(b)はドア閉時における側面図を示している。図11において、10は車体、11は開口、12は金属の板、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、23は第一の金属片、24は第二の金属片、25は第三の金属片、26はクッション材、17は第二の金属片24と第三の金属片25との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態6と同様であるため、ここでは実施の形態6と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態7の構成は、実施の形態6における第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25と車体10との間に、当該間の隙間を埋めるためのシーリング材としてのクッション材26を追加した構成である。
【0034】
次に、本実施の形態7に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。クッション材26は非導電材料から構成されており、車体10と金属の板12との隙間を物理的に塞ぐことで、車外の風雨が車内に侵入するのを防ぐ。このクッション材26は、ある程度の圧力で車体10と金属の板12により押しつぶされているため、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25をその表面に設けることで、各金属片と金属の板12とを密着させることが可能となる。その結果、金属の板12と各金属片との間に容量が発生し、高周波でみた場合に短絡状態となる。
【0035】
このように構成された実施の形態7のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで通常高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造の間隔を超えた長さのスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。また、金属の板12側に電気的な接点を設ける必要がないため、コスト低減が可能である。また、金属の板12と各金属片の電気的接続をより強固に行うことが可能となる。なお、図11(b)では、金属の板12と各金属片とが接触しているように記載しているが、これらは電気的に接触していてもよく、あるいは、間に塗料のような絶縁物が挟まれていてもよい。
【0036】
また、自動車のドアに図示していないロック機構が設けられた場合も、実施の形態4と同様な対策を用いることができる。
【0037】
また、上記の実施の形態7の説明においては、実施の形態7のクッション材16を設ける構成を、実施の形態6に適用する例について説明したが、その場合に限らず、他の実施の形態1〜5(特に、実施の形態4)にも適用できることは言うまでもない。
【0038】
なお、これまで示してきた実施の形態1〜7では、高周波電源16、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25、クッション材26などの構成要素が、車体10側に設置されるように記載してきたが、これは、その場合に限定されるものではなく、金属の板12側に設置してもよい。また、一部の構成要素を車体10側に設置し、他の構成要素を金属の板12側に設置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 自動車後部、2 トランクの蓋、3 給電端子a、4 給電端子b、10 車体、11 開口、12 金属の板、13 第一のヒンジ、14 第二のヒンジ、15 第一の線状導体、16 高周波電源、17 長さ、18 第二の線状導体、19 第三の線状導体、20 第一のバネ接点、21 第二のバネ接点、22 第三のバネ接点、23 第一の金属片、24 第二の金属片、25 第三の金属片、26 クッション材。
【技術分野】
【0001】
この発明はアンテナ装置に関し、特に、自動車などの、金属から形成される車体、および、その車体に設置される金属性のドアを利用したアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などに搭載される無線通信機器は年々増加する傾向にあり、それぞれの機器に接続されるアンテナの数や種類も増加している。一方、アンテナの性能を維持するためには最低でも使用する波長の1/2程度の大きさを有する必要がある。たとえば300MHz帯の周波数を利用する場合、理想的には500mm程度の大きさのアンテナが必要となる。さらに低い周波数では波長が長くなるため、より物理的に大きなサイズのアンテナが必要となる。アンテナは金属に近接して配置すると性能が低下するため、なるべく自由空間に近い場所に設置することが望まれる。従来、このような大きいサイズのアンテナを配置する場所としてはガラスに貼付するアンテナや、自動車から突出するモノポールアンテナなどが用いられてきた。しかしながら、ガラスに貼付するアンテナは搭乗者の視野を妨げるという欠点があり、自動車から突出するアンテナは風切り音が発生したり、自動車の外観を損ねたりするという欠点があった。
【0003】
図1は、例えば、特許文献1に記載された、このような欠点を解決するための従来のアンテナを示している。図1において、1は自動車後部、2はトランクの蓋、3は給電端子a、4は給電端子bである。特許文献1には、自動車後部1とトランクの蓋2との間にできる隙間に給電端子a3、給電端子b4を設けることで、前記隙間部分を利用したスロットアンテナが実現できる旨が記載されている。前記隙間の長さは数百mm〜数mあるため、周波数の低いアンテナも構成することが可能であり、かつ、搭乗者の視野を妨げたり、自動車の外観を損ねたりすることがないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−3302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたアンテナは、自動車後部1とトランクの蓋2との間にできる隙間の長さが車種によって決定されてしまうため、アンテナの電気長が、アンテナの最適の長さである半波長からずれてしまう可能性が高いという問題点がある。また、車種毎に長さが異なるため、車種毎にアンテナ特性が変化するという問題点がある。さらに、自動車後部1とトランクの蓋2との間にあるヒンジ構造によりアンテナ特性が変化するという問題点もある。また、自動車後部1に対するトランクの蓋2の位置はトランクの蓋2の開閉により大きく変化する場合があり、給電のための配線が長くなり、配線の誘導性によりアンテナ特性が劣化するという問題点がある。さらに、開閉による配線の位置の不確定性によりアンテナ性能が大きく変化するという問題点がある。また、開閉により隙間の形状が大きく変化し、閉時に合わせてアンテナを設計した場合に、開時にアンテナ性能が大きく劣化するという問題点もある。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、車の車種に依らず、アンテナの電気長として最適の長さを有し、アンテナ特性の安定したアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、開口が設けられた第1の地導体と、前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジと、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する導体線と、前記導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源とを備え、前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体線を挟むように、配置されているアンテナ装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、開口が設けられた第1の地導体と、前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジと、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する導体線と、前記導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源とを備え、前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体線を挟むように、配置されているアンテナ装置であるので、車の車種に依らず、アンテナの電気長として最適の長さを有し、アンテナ特性の安定を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来のアンテナ装置の構成を示した図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置に対して等価となるアンテナの模式図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置に対して等価となるアンテナの模式図である。
【図8】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置に対して等価となるアンテナの模式図である。
【図10】この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【図11】この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図2は、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図2において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、15は第一の線状導体、16は高周波電源、17は第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間の長さである。車体10には開口11が設けられている。金属の板12は開口11を塞ぐ大きさを有しており、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14によって開閉可能に、車体10に取り付けられている。なお、金属の板12と車体10との間には閉時においても隙間を有する。この隙間は図示されていない非導電材料のクッション材などにより物理的に密閉される。開口11は人が自動車から出入りできる程度の大きさを有しており、金属の板12が自動車の出入り口のドアを構成する。図2においては、構成を分かりやすく図示するために、金属の板12を透明であるかのように記載しているが、金属で構成されているものであるため、実際には、透明ではないことは言及するまでもない。また、車体10についても、図2においては、局所的に図示しているが、実際には、図1に示すような通常の自動車等の車体を意味する。
【0011】
開口11は人が自動車から出入りできる程度の大きさを有しているため、その周囲には数m単位のスリット状の隙間を有する。このスリット状の隙間は第一のヒンジ13と第二のヒンジ14により短絡、分断され、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とに挟まれた部分において長さ17を有する。第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間には第一の線状導体15が配置され、車体10と金属の板12とを電気的に接続する。また、第一の線状導体15と車体10との間の車体10側には、高周波電源16が設けられている。高周波電源16と金属の板12とは、第一の線状導体15により電気的に接続される。また、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間の長さ17(距離)は、通信に使用する周波数(λ)の半波長(λ/2)程度の電気長を有する。また、第一の線状導体15は金属の板12の開閉動作を妨げない最低限の長さを有する。
【0012】
次に、本実施の形態1に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10との間には数m単位のスリット状の隙間を有しており、かつ、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14により短絡、分断されている。この構成は高周波でみた場合に、図3の模式図と等価になる。長さ17は、通信に使用する周波数(λ)の略々半波長(λ/2)の電気長を有しているため、その部分に高周波電源16を接続することで半波長スロットアンテナとして動作する。
【0013】
このように構成された実施の形態1のアンテナ装置では、アンテナの電気長が使用する周波数(λ)の略々半波長(λ/2)を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、アンテナの電気長を第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とにより調整しているため、電気長を調整するための付加部材を削減でき、低コスト化が可能である。また、半波長スロットアンテナを第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に形成しているため、高周波電源16を接続する部分において、ドアの開閉による金属の板12の車体10に対する位置変化が小さく、第一の線状導体15を最小にすることが可能となる。そのため、線状導体15の誘導性によるアンテナ性能の低下を防ぐことが可能である。また、開閉による配線の位置の不確定性が低減でき、アンテナ性能が安定するという利点がある。また、ドアの開閉によるスリット状の隙間の形状変化が小さく、ドア閉時に調整したアンテナでも開時のアンテナ性能が保たれるという利点がある。
【0014】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図4において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、15は第一の線状導体、16は高周波電源、18は第二の線状導体、19は第三の線状導体、17は第二の線状導体18と第三の線状導体19との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に、第二の線状導体18と第三の線状導体19とが、長さ17(距離)だけ離れて配置され、それぞれ車体10と金属の板12とを電気的に接続(短絡)する。第二の線状導体18と第三の線状導体19との間には、第一の線状導体15が配置され、車体10側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。第一、第二、第三の線状導体15、18、19は、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とが設けられている側、すなわち、金属の板12の開閉動作において車体10と金属の板12との距離変化が小さい側に設けられている。第二の線状導体18と第三の線状導体19との間の長さ17は、通信に使用する周波数(λ)の半波長(λ/2)程度の電気長を有する。第二の線状導体18および第三の線状導体19は、金属の板12の開閉動作を妨げない最低限の長さを有する。
【0015】
次に、本実施の形態2に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10の間にある数m単位のスリット状の隙間は第二の線状導体18と第三の線状導体19により短絡、分断されている。高周波電源16からみて、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14は、車体10と金属の板12を電気的に短絡する第二の線状導体18と第三の線状導体19の外側にあるため、高周波で見た場合にそれらの存在は見えない。その結果、高周波でみた場合に図3の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に半波長スロットアンテナとして動作する。
【0016】
このように構成された本実施の形態2のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、半波長スロットアンテナを第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に形成しているため、高周波電源16を接続する部分において、ドアの開閉による金属の板12の車体10に対する位置変化が小さく、第一の線状導体15を最小にすることが可能となる。そのため、線状導体15の誘導性によるアンテナ性能の低下を防ぐことが可能である。また、開閉による配線の位置の不確定性が低減でき、アンテナ性能が安定するという利点がある。また、ドアの開閉によるスリット状の隙間の形状変化が小さく、ドア閉時に調整したアンテナでも開時のアンテナ性能が保たれるという利点がある。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点がある。また、上記の説明においては、ヒンジ構造として第一、第二のヒンジ13、14の2つを設ける構成について説明したが、必ずしもその場合に限らず、本実施の形態2は、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点がある。
【0017】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図5において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、15は第一の線状導体、16は高周波電源、18は第二の線状導体、17は第二の線状導体18と第二のヒンジ14との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に第二の線状導体18が、第二のヒンジ14に対して長さ17だけ離れて配置され、車体10と金属の板12とを電気的に短絡する。また、第二の線状導体18と第二のヒンジ14との間には第一の線状導体15が配置され、車体10側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。第二の線状導体18と第二のヒンジ14との間の長さ17は、通信に使用する周波数の半波長程度の電気長を有する。第二の線状導体18は、金属の板12の開閉動作を妨げない最低限の長さを有する。
【0018】
次に、本実施の形態3に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10との間にある数m単位のスリット状の隙間は第二の線状導体18と第二のヒンジ14により短絡、分断されている。高周波電源16からみて、第一のヒンジ13は、車体10と金属の板12とを電気的に短絡する第二の線状導体18の外側にあるため、高周波で見た場合にその存在は見えない。その結果、高周波でみた場合には、図3の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に半波長スロットアンテナとして動作する。
【0019】
このように構成された本実施の形態3のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、アンテナの電気長を第二のヒンジ14を利用して調整しているため、電気長を調整するための付加部材を削減でき、低コスト化が可能である。また、半波長スロットアンテナを第一のヒンジ13と第二のヒンジ14との間に形成しているため、高周波電源16を接続する部分において、ドアの開閉による金属の板12の車体10に対する位置変化が小さく、第一の線状導体15を最小にすることが可能となる。そのため、線状導体15の誘導性によるアンテナ性能の低下を防ぐことが可能である。また、開閉による配線の位置の不確定性が低減でき、アンテナ性能が安定するという利点がある。また、ドアの開閉によるスリット状の隙間の形状変化が小さく、ドア閉時に調整したアンテナでも開時のアンテナ性能が保たれるという利点がある。さらに、本実施の形態においては、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点がある。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点がある。
【0020】
実施の形態4.
図6は、この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図6(a)は本実施の形態4における正面図を示しており、図6(b)はドア閉時における側面図を示している。図中において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、20は第一のバネ接点(導体)、21は第二のバネ接点(導体)、22は第三のバネ接点(導体)、17は第二のバネ接点21と第三のバネ接点22との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態4においては、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とが設けられている側とは反対側の、車体10に、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が配置されている。すなわち、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が配置されている側は、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14が設けられている側と比較して、金属の板12の開閉動作の際の、金属の板12と車体10との距離変化が大きい。第二のバネ接点21および第三のバネ接点22は、車体10側に、長さ17だけ離れて配置され、金属の板12の閉時において、図6(b)に示されるように、車体10と金属の板12とを電気的に接続(短絡)する。第一のバネ接点20は、車体10側に、第二のバネ接点21および第三のバネ接点22に挟まれるように配置され、金属の板12の閉時において、図6(b)に示されるように、車体10側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。第二のバネ接点21と第三のバネ接点22との間の長さ17は、通信に使用する周波数(λ)の略々半波長(λ/2)程度の電気長を有する。また、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22は、車体10側に設けられているが、金属の板12に対して、当該周波数(λ)に比べて、十分に近接した距離に設置される。
【0021】
次に、本実施の形態4に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10との間にある数m単位のスリット状の隙間は、第二のバネ接点21および第三のバネ接点22より短絡、分断されている。高周波電源16からみて、第一のヒンジ13および第二のヒンジ14は、車体10と金属の板12とを電気的に短絡する第二のバネ接点21および第三のバネ接点22の外側にあるため、高周波で見た場合にその存在は見えない。その結果、高周波でみた場合に、図7の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に、半波長スロットアンテナとして動作する。
【0022】
このように構成された本実施の形態4のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造の間隔を超えた長さのスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。
【0023】
なお、自動車のドアには図示していないロック機構が設けられていることが多く、その場合には、当該ロック機構により、車体10と金属の板12とは短絡される。その場合においても、ロック機構が長さ17の範囲に含まれないように、高周波電源16、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22の位置を設定することで同様な効果が得られる。
【0024】
なお、上記の説明においては、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が、車体10側に設けられ、車体10に電気的に接続されている例について説明したが、その場合に限らず、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22を、金属の板12側に設けて、金属の板12に電気的に接続するようにしてもよい。なお、その場合においても、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22を、車体10に対して、周波数(λ)に比べて十分に近接した距離に設置する。
【0025】
実施の形態5.
図8は、この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図8において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、20は第一のバネ接点、17は車体10と金属の板12とから形成されるスリット状の隙間において、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14に対する金属の板12側の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるため、ここでは実施の形態1と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態5においては、金属の板12をはさんで、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14とは反対側の、車体10側に、第一のバネ接点20が配置されている。第一のバネ接点20が配置されている側は、第一のヒンジ13と第二のヒンジ14が設けられている側と比較して、金属の板12の開閉動作の際の、金属の板12の車体10に対する位置変化が大きい。第一のバネ接点20は、実施の形態4と同様に、金属の板12の閉時において、車体側に設けられた高周波電源16と金属の板12とを電気的に接続する。長さ17は、通信に使用する周波数の半波長程度の電気長を有する。
【0026】
次に、本実施の形態5に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。金属の板12と車体10の間にある数m単位のスリット状の隙間は第一のヒンジ13と第二のヒンジ14より短絡、分断されている。その結果、高周波でみた場合に図9の模式図と等価になり、実施の形態1の場合と同様に半波長スロットアンテナとして動作する。
【0027】
このように構成された本実施の形態5のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、アンテナの電気長を第一のヒンジ13と第二のヒンジ14により調整しているため、電気長を調整するための付加部材を削減でき、低コスト化が可能である。また、実施の形態1より長いスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。ヒンジ構造が1つの場合にはスリット状の隙間全体の長さのスロットアンテナとして動作する。なお、ここでは長さ17を使用する周波数の半波長程度として記載したが、それより低い周波数においても本実施例を適用する利点が生じる。一般的に半波長程度より小さいアンテナではアンテナサイズとアンテナ性能が比例するため、アンテナの長さを最大限取ることによりアンテナ性能を高めることが可能である。
【0028】
また、自動車のドアには図示していないロック機構が設けられていることが多く、その場合には、ロック機構により車体10と金属の板12は短絡される。その場合でも、第一のヒンジ13、または、第二のヒンジ14の代わりに、ロック機構をスリット状の隙間を短絡、分断する手段として用いることで同様な効果を得ることができる。すなわち、例えば、第一のヒンジ13(または第二のヒンジ14)とロック機構との間の距離を周波数(λ)の略々λ/2の電気長を有するように設定し、第一のヒンジ13(または第二のヒンジ14)とロック機構との間に、第一のバネ接点20を挟むようにすればよい。
【0029】
実施の形態6.
図10は、この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図10(a)は実施の形態6における正面図を示しており、図10(b)はドア閉時における側面図を示している。図中において、10は車体(第1の地導体)、11は開口、12は金属の板(第2の地導体)、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、23は第一の金属片(導体)、24は第二の金属片(導体)、25は第三の金属片(導体)、17は第二の金属片24と第三の金属片25の間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態4と同様であるため、ここでは実施の形態4と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態6の構成は、実施の形態4における第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22が、それぞれ、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25に置き換えられたものである。なお、本実施の形態においても、実施の形態4と同様に、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25は、車体10側に設けられているが、金属の板12に対して、当該周波数(λ)に比べて、十分に近接した距離に設置される。
【0030】
次に、本実施の形態6に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。第一の金属片23は、図10(b)に示されるように、金属の板12の閉時において、金属の板12に十分に近接し、かつ、対面するように配置される。その結果、金属の板12と金属片23とは、それらの間に容量が発生し、高周波でみた場合に短絡状態となる。第二の金属片24および第三の金属片25についても同様な動作をする。その結果、実施の形態4に示したようなアンテナの動作が実現できる。このように構成された実施の形態6のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで、通常、高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造の間隔を超えた長さのスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。また、金属の板12側に電気的な接点を設ける必要がないため、コスト低減が可能である。なお、自動車のドアに図示していないロック機構が設けられた場合も実施の形態4と同様な対策を用いることができる。
【0031】
なお、上記の説明においては、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25が、車体10側に設けられ、車体10に電気的に接続されている例について説明したが、その場合に限らず、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25を、金属の板12側に設けて、金属の板12に電気的に接続するようにしてもよい。なお、その場合においても、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25を、車体10に対して、当該周波数(λ)に比べて十分に近接した距離に設置するようにする。
【0032】
なお、自動車のドアには図示していないロック機構が設けられていることが多く、その場合には、当該ロック機構により、車体10と金属の板12とは短絡される。その場合においても、ロック機構が長さ17の範囲に含まれないように、高周波電源16、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25の位置を設定することで同様な効果が得られる。
【0033】
実施の形態7.
図11は、この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成を示した図である。図11(a)は実施の形態7における正面図を示しており、図11(b)はドア閉時における側面図を示している。図11において、10は車体、11は開口、12は金属の板、13は第一のヒンジ、14は第二のヒンジ、16は高周波電源、23は第一の金属片、24は第二の金属片、25は第三の金属片、26はクッション材、17は第二の金属片24と第三の金属片25との間の長さである。基本的な構成および動作は実施の形態6と同様であるため、ここでは実施の形態6と異なる部分についてのみ記載する。本実施の形態7の構成は、実施の形態6における第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25と車体10との間に、当該間の隙間を埋めるためのシーリング材としてのクッション材26を追加した構成である。
【0034】
次に、本実施の形態7に係るアンテナ装置の動作原理について説明する。クッション材26は非導電材料から構成されており、車体10と金属の板12との隙間を物理的に塞ぐことで、車外の風雨が車内に侵入するのを防ぐ。このクッション材26は、ある程度の圧力で車体10と金属の板12により押しつぶされているため、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25をその表面に設けることで、各金属片と金属の板12とを密着させることが可能となる。その結果、金属の板12と各金属片との間に容量が発生し、高周波でみた場合に短絡状態となる。
【0035】
このように構成された実施の形態7のアンテナでは、アンテナの電気長が半波長を有しているため、高周波電源16の位置を長さ17の範囲において適切に選定することで通常高周波電源16が有するインピーダンス50Ωや75Ω等に合わせることが可能である。また、ヒンジ構造と電気長を独立して設計できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造が1つのみの場合にも適用できるという利点が生じる。また、ヒンジ構造の間隔を超えた長さのスロットアンテナが実現可能であり、より低い周波数に適用できるという利点が生じる。また、金属の板12側に電気的な接点を設ける必要がないため、コスト低減が可能である。また、金属の板12と各金属片の電気的接続をより強固に行うことが可能となる。なお、図11(b)では、金属の板12と各金属片とが接触しているように記載しているが、これらは電気的に接触していてもよく、あるいは、間に塗料のような絶縁物が挟まれていてもよい。
【0036】
また、自動車のドアに図示していないロック機構が設けられた場合も、実施の形態4と同様な対策を用いることができる。
【0037】
また、上記の実施の形態7の説明においては、実施の形態7のクッション材16を設ける構成を、実施の形態6に適用する例について説明したが、その場合に限らず、他の実施の形態1〜5(特に、実施の形態4)にも適用できることは言うまでもない。
【0038】
なお、これまで示してきた実施の形態1〜7では、高周波電源16、第一のバネ接点20、第二のバネ接点21、第三のバネ接点22、第一の金属片23、第二の金属片24、第三の金属片25、クッション材26などの構成要素が、車体10側に設置されるように記載してきたが、これは、その場合に限定されるものではなく、金属の板12側に設置してもよい。また、一部の構成要素を車体10側に設置し、他の構成要素を金属の板12側に設置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 自動車後部、2 トランクの蓋、3 給電端子a、4 給電端子b、10 車体、11 開口、12 金属の板、13 第一のヒンジ、14 第二のヒンジ、15 第一の線状導体、16 高周波電源、17 長さ、18 第二の線状導体、19 第三の線状導体、20 第一のバネ接点、21 第二のバネ接点、22 第三のバネ接点、23 第一の金属片、24 第二の金属片、25 第三の金属片、26 クッション材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジと、
前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する導体線と、
前記導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体線を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記開閉動作における前記第1の地導体と前記第2の地導体との距離変化が小さい側において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する第1、第2、及び、第3の導体線と、
前記第1の導体線と前記第1の地導体の間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第2の導体線と前記第3の導体線とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記第1の導体線を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記開閉動作における前記第1の地導体と前記第2の地導体との距離変化が小さい側において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する第1及び第2の導体線と、
前記第1の導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記ヒンジと前記第2の導体線とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記第1の導体線を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記開閉動作における閉時において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを接続する、第1、第2及び第3の導体と、
前記第1の導体と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第2の導体と前記第3の導体とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記第1の導体を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1及び第2のヒンジと、
前記開閉動作における閉時において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを接続するバネ接点と、
前記バネ接点と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記バネ接点を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記第1の地導体と前記第2の地導体との間に設置されたロック機構と、
前記開閉動作における閉時において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを接続する導体と、
前記導体と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記ヒンジと前記ロック機構とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1、第2及び第3の導体は、前記第1の地導体に接続され、かつ、前記第2の地導体に対して、前記波長に比べて十分に近接した距離に設置される、第1、第2および第3のバネ接点または導体片から構成されることを特徴とする請求項4または6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1、第2及び第3の導体は、前記第2の地導体に接続され、かつ、前記第1の地導体に対して、前記波長に比べて十分に近接した距離に設置される、第1、第2および第3のバネ接点または導体片から構成されることを特徴とする請求項4または6に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1、第2及び第3の導体と前記第1の地導体との間に、前記第1の地導体と前記第2の地導体との隙間を埋めるためのシーリング材を配置したことを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1、第2及び第3の導体と前記第2の地導体との間に、前記第1の地導体と前記第2の地導体との隙間を埋めるためのシーリング材を配置したことを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項1】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1および第2のヒンジと、
前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する導体線と、
前記導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体線を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記開閉動作における前記第1の地導体と前記第2の地導体との距離変化が小さい側において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する第1、第2、及び、第3の導体線と、
前記第1の導体線と前記第1の地導体の間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第2の導体線と前記第3の導体線とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記第1の導体線を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記開閉動作における前記第1の地導体と前記第2の地導体との距離変化が小さい側において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを電気的に接続する第1及び第2の導体線と、
前記第1の導体線と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記ヒンジと前記第2の導体線とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記第1の導体線を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記開閉動作における閉時において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを接続する、第1、第2及び第3の導体と、
前記第1の導体と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第2の導体と前記第3の導体とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記第1の導体を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続する第1及び第2のヒンジと、
前記開閉動作における閉時において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを接続するバネ接点と、
前記バネ接点と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記第1のヒンジと前記第2のヒンジとが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記バネ接点を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
開口が設けられた第1の地導体と、
前記第1の地導体の前記開口を塞ぐ大きさを有する第2の地導体と、
前記第1の地導体に対して前記第2の地導体を開閉可能に接続するヒンジと、
前記第1の地導体と前記第2の地導体との間に設置されたロック機構と、
前記開閉動作における閉時において、前記第1の地導体と前記第2の地導体とを接続する導体と、
前記導体と前記第1の地導体との間に設けられた高周波電源と
を備え、
前記ヒンジと前記ロック機構とが、それらの間の距離が通信に使用する周波数λにおける略々λ/2の電気長を有し、かつ、それらの間に前記導体を挟むように、配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1、第2及び第3の導体は、前記第1の地導体に接続され、かつ、前記第2の地導体に対して、前記波長に比べて十分に近接した距離に設置される、第1、第2および第3のバネ接点または導体片から構成されることを特徴とする請求項4または6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1、第2及び第3の導体は、前記第2の地導体に接続され、かつ、前記第1の地導体に対して、前記波長に比べて十分に近接した距離に設置される、第1、第2および第3のバネ接点または導体片から構成されることを特徴とする請求項4または6に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1、第2及び第3の導体と前記第1の地導体との間に、前記第1の地導体と前記第2の地導体との隙間を埋めるためのシーリング材を配置したことを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1、第2及び第3の導体と前記第2の地導体との間に、前記第1の地導体と前記第2の地導体との隙間を埋めるためのシーリング材を配置したことを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−252170(P2010−252170A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101103(P2009−101103)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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