インクジェット記録方法及びその装置
【課題】処理が行われている印字データのラスター位置とキャリッジの移動量を認識して、印字処理が筐体移動に追いつかれる前にユーザに警告を促すこと。
【解決手段】エンコーダ12の磁気信号を読みとり、プリンタ本体1の速度と移動量を検出する。プリンタ本体1を被記録媒体上13に設置したときに、ローラ4は被記録媒体に接触し、このローラ4にスキャン方向を検出するセンサが連動している。このようにして、プリンタ本体1の移動量を検出し、印字データに必要な移動量から印字プロセスを実行する際に、筐体移動速度と印刷処理比較して印字処理が追いつかなくなる危険が発生したことを通知もしくは表示することができる。
【解決手段】エンコーダ12の磁気信号を読みとり、プリンタ本体1の速度と移動量を検出する。プリンタ本体1を被記録媒体上13に設置したときに、ローラ4は被記録媒体に接触し、このローラ4にスキャン方向を検出するセンサが連動している。このようにして、プリンタ本体1の移動量を検出し、印字データに必要な移動量から印字プロセスを実行する際に、筐体移動速度と印刷処理比較して印字処理が追いつかなくなる危険が発生したことを通知もしくは表示することができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法及びその装置に関し、より詳細には、携帯型のプリンタであって、プリンタの移動速度と印字処理速度とを整合するようにしたインクジェット記録方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェット記録装置として、印字ヘッドを搭載したキャリッジを、印字用紙を搬送する搬送部の搬送方向と略直交する方向に、記録媒体の大きさに応じて往復移動させるプリンタは既に知られている。この種のプリンタの代表例としては、デスクトップ型の電子写真方式やインクジェット方式などが挙げられる。近年、このようなプリンタの小型化については開発が進んでおり、携帯型のプリンタとして発展している。
【0003】
このように、小型化された携帯可能で独立して印字可能なタイプのプリンタが提案されている。例えば、柱状の筐体に印字ヘッドを―体的に組み込んだものが知られている。この種のプリンタは、印字の際に作業者が柱状の筐体を把持して記録媒体上を移動させることにより印字するものである。しかも、この筐体には、記録媒体に接触して回転するエンコーダにより筐体の移動量を検出する移動量検出手段が備えられていて、印字ヘッドが組み込まれたこの筐体を把持して任意方向に移動させて印字を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような形態の場合、把持してプリンタ本体を移動するために印字走査(スキャン)が一定せず、印字データ、ホストコンピュータとプリンタなどのインターフェースや筐体の移動スピードの諸条件などによっては、印字データの展開処理が筐体の移動に追いつかなくなり、正しい位置に印刷されなくなるといった問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、処理が行われている印字データのラスター位置とキャリッジの移動量を認識して、印字処理が筐体移動に追いつかれる前に警告を促すようにしたインクジェット記録方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録方法であって、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記印字プロセス中に前記装置本体の位置情報と印字データから解析された位置情報とを比較し、その差分によって前記印字プロセスの処理が前記装置本体の移動速度に対して印字処理が間に合うかどうかを判断することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなかった場合に、前記印字プロセスを中止する制御を行なうことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなくなる前に警報を発して通報することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記印字プロセスの中止を実行した後に、前記装置本体の初期化を行う初期化プロセスを実行することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体と、該装置本体の移動量を検出する検出手段と、印字プロセスを制御する制御手段とを有し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録装置であって、前記制御手段は、処理している印字データのラスター方向の位置情報と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするものである。つまり、被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録を行う記録装置であって、被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録中に、処理されている印字データのラスター移動量と装置本体の移動量を監視する印字プロセスを制御するものである。
【0012】
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記装置本体を案内支持するガイド部材を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記ガイド部材の長手方向に切欠溝を設け、該切欠溝に磁気的エンコーダを取り付けたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記装置本体に前記被記録媒体と接触する回転自在な回転部材を設け、該回転部材に前記走査方向の位置を検出するセンサを設けたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明は、インクジェット記録装置を制御するプログラムを格納する記録媒体であって、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録し、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御するようにコンピュータを機能させるためのコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明のプリンタの印字状態を示した斜視図で、机等の平板上に置かれた記録用紙に印字する状態を表した図である。
【0017】
図中符号1は、プリンタ本体で、このプリンタ本体1を矢印A方向に一度移動させてから、矢印B方向で印字を行うように構成されたプリンタである。ローラ4は、プリンタ本体1に回転自由に取り付けられ、ガイドレール7の両端に設けられた2個のゴム足9とともに、記録用紙13が置かれた机等の上に接するように設けられている。プリンタ本体1内にある、図示しない印字へッドのノズル面と記録用紙13とのクリアランスは、2個のゴム足9とローラ4とによって一定に保持されている。自由に回転する拍車11は、プリンタ本体1に3個取り付けられていて、印字状態で図示しないバネ軸により、わずかに記録用紙13を下へ押しつけるように構成されている。
【0018】
ガイドレール7は略円柱形状で、その上部は、長手方向全体に切欠溝を有する形状をしており、その溝部分には磁気的エンコーダ12が張り付けられている。また、ガイドレール7は、印字状態ではプリンタ本体1に設けられたガイド穴10に摺動可能に挿入されている。
【0019】
キャップ2は、印字可能な状態ではプリンタ本体1の上部に取りつけることが可能で、プリンタ本体1を把持してスキャンするときに用いられ、また、携帯時の非印字時においては、インクジェット印字へッドのカバーとして用いられ、インクジェット印字ヘッドのノズル部の乾燥やゴミの付着を防止するように構成されている。また、キャップ2には、中央部の長手方向に溝8が設けられていて、この溝8に沿って移動可能なレバー3が設けられている。このレバー3は、インクジェット印字ヘッドの回復作業の際に使用するワイパーを動かすためのものである。
【0020】
本発明のプリンタ本体1とパソコンなどの赤外線信号の受け渡しを行うためのインターフェースであるIRDA(Infrared data association)や、エンコーダ12の磁気信号を読みとり、プリンタ本体1の移動量を検出するためのセンサは、プリンタ本体1に固定されたPCB32(後述する図2)に搭載されている。LED5は、プリンタ本体1の動作可能状態を示す表示部であり、スイッチ6は、プリンタ本体1の電源スイッチの役割を果たしている。
【0021】
図2は、プリンタ本体に設けられたレバーを中央部へ移動した時の断面図である。
キャップ2には、壁37が形成されており、この壁37にはガイド部35が溝8と平行に2本形成されている。ガイド部35にはワイパーホルダ23が切欠部25、26により摺動自在に係合されている。ワイパーホルダ23にはマグネット22が一体的に設けられている。マグネット21とマグネット22は、互いに引き寄せ合うように構成されているためレバー3を溝8に沿って移動することが可能である。従って、ワイパーホルダ23は、ガイド部35に沿って移動することが可能である。
【0022】
ワイパーホルダ23には、ワイパー29が一体的に設けられている。このワイパー29は、HNBRなどのゴム材料で出来ており、厚さ0.6mm程度の平板形状をしている。また、ワイパー29は、キャップ2とプリンタ本体1がある定位置で、印字ヘッド31のフェイス面に端部が当たるように構成されている。したがって、レバー3を移動することにより、印字ヘッド31のフェイス面に付着したゴミやインク等をワイパー29の端部で除去できる。
【0023】
プリンタ本体1の一端部付近には、図示しない穴が設けられており、除去されたゴミ及びインクなどがワイパー29により掃き落とされる。穴には吸収体28が底部に接着されており、掃き落とされたゴミやインクなどは、吸収体28により保持される。
【0024】
キャップ2には、穴27が形成されている壁36が設けられ、通常状態では穴27をふさぐ弁24が取り付けられている。また、キャップ2の内周部には、プリンタ本体1に密着しているパッキン30が設けられているため、キャップ2を移動することにより、印字ヘッド31のフェイス面の空間に負圧を発生させることができる。逆に、キャップ2を移動させた場合、弁24が動き、穴27が開放されるため負圧は発生しない。
【0025】
プリンタ本体1には、インクを吐出するための印字ヘッド31、この印字ヘッド31へインクを供給するためのインクタンク33が設けられている。印字ヘッド31は、1インチあたり360個でプリンタ本体1の長手方向にトータル1200個のノズルを有している。印字ヘッド31への吐出信号の制御や外部からの信号の授受を司るPCB32と電気エネルギーを印字ヘッド31やPCB32へ供給するための電源(バッテリ)34もプリンタ本体1に設けられている。
【0026】
プリンタ本体1は、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)などのプラスチック材でできており、ツメが一体的に設けられている。これらのツメは、携帯時にはガイドレール7をホールドするように構成されているが、印字時にはガイドレール7をツメから取り外し、キャップ2をプリンタ本体1のツメ側へ被せて使用する。
【0027】
図3は、本発明のプリンタ本体の制御系に関するブロック図である。
プリンタ本体1の制御系は、電源部201とI/F制御部202とラインヘッド部203と各種センサとから構成されている。
【0028】
電源部201は、プリンタ本体1の主電源であり、ACもしくはニッカド電源で知られる2次電池からの電力供給をI/F制御部202とラインヘッド部203に供給する。電源部201は、ラインヘッド部203に対して12V、I/F制御部202に対して5Vをそれぞれ供給している。
【0029】
I/F制御部202は、実際に印字を行うラインヘッド部203と送り手であるホスト間の通信(データの授受)を補佐するためにデータのバッファリングやホストとの制御のやり取り、通信制御、省電力制御、ユーザインターフェースである外部スイッチや表示(本発明ではLED)に対しての制御やプリンタの速度を検出する制御を行う。I/F制御部202は、主にI/O制御回路204と、主制御を行うマイクロプロセッサ(CPU)205と、主制御を行うためのメモリーとして不揮発性メモリであるROM206と、読み書き可能なメモリであるRAM207と、発振器である208及び209と、ラインヘッド部203間の信号をバッファリングするヘッドI/F210等とから構成されている。
【0030】
さらに、I/F制御部202は、電源制御及びオフライン制御用のスイッチ(Error SW)211と、ネットワークの状態や電源状態、プリンタのステータスを表示できるLED212などが設けられている。
【0031】
これらの制御は全てI/O制御回路204によって行われる。また、エンコーダ213の磁気信号を読みとり、プリンタ本体1の速度と移動量を検出するためのセンサ(図示せず)と、検出パルスを増幅するバッファ214も設けられている。さらに、プリンタ本体1の位置を決めることの出来るホームポジションセンサ(図示せず)も設けられている。
【0032】
制御用ROM206には、ホストとの通信を行うためのプロトコル制御や速度検出制御など各種制御プログラムが格納されている。主制御を行うマイクロプロセッサ(CPU)205は、制御用ROM206のコードを実行処理する。制御プログラムには、省電力制御も含まれており、プリンタ本体1の状態によって省電力モードに移行して復帰ができる。これは、プリンタ本体1のクロックの変更や停止も制御する。
【0033】
制御用ROM206のコードに従って主制御を行うマイクロプロセッサ(CPU)205は、外部とのインターフェース(ホスト間)を行うのに、赤外線通信を行うIRDAモジュール215を通じて行う。IRDAモジュール215を通じて送られてくる印字コマンドやデータのやり取りは、非同期通信で送信信号Txと受信信号Rxで制御する。CPU205は、あらかじめ決められたプロトコルに従ってホストと通信が出来る。
【0034】
また、読み書き可能なメモリであるRAM207は、レジスタとして用いるワーク領域や印字データを格納するためのデータバッファ、インターフェースからの制御用バッファなどの領域を有するメモリである。I/O制御回路204は、順次ドットイメージであるデータをRAM207から読み出し、適時にヘッドI/F210を制御することによって印字データをラインヘッド部203に送る。
【0035】
ヘッドI/F210は、電源である5Vをラインへッド部203に供給する。また、ヘッドI/F210は印字データおよびラインヘッド部203と制御用のデータをやり取りするためのデータ信号と、データ信号を制御するための制御信号からなる各種信号でラインへッド部203と接続されている。
【0036】
方向(Direction)センサは、テーブルに印刷状態にしたプリンタ本体1を設置したときに、スキャン方向を検出するセンサである。この方向センサは、ローラ4に連動している。印字方向にプリンタ本体1がスキャンしているとき、方向センサは、電気的にハイを、逆方向の場合ロウを出力するものとする。
【0037】
図4は、プリンタの状態遷移を示す図である。
本発明のプリンタは、以下に説明するように、主に10種類の状態があり、プリンタはいずれかの状態にあり、条件によって状態を遷移する。各状態についての説明と代表的な遷移条件を説明する。
【0038】
オフ状態401は、プリンタ本体1に電源が供給されていない状態で、かつプリンタ本体1にキャリッジが装着されていない状態である。キャリッジが装着されて電源がONするとパワー状態402に遷移する。このパワーON状態402は、電源が供給されて、プリンタ本体1がリセット状態にある。電源が安定してリセットが解除されると、初期化状態403に遷移する。
【0039】
初期化状態403からエラー状態411までの状態は、動作状態410であり、リセットを受けると以下の状態はすべて初期化状態に遷移する。
【0040】
初期化状態403は、メモリや各種レジスタ等のチェックやインターフェースの初期化を行っている。プリンタ本体1が正常に設置されていて、ホームポジションを一定期間以内に検出できたときは、スタンバイ状態404に遷移する。一方、検出できなかったときは、ユーザによってキャリッジが動かされるまで(移動があるまで)省電力状態であるサスぺンド0状態405に遷移する。また、エラーがあった場合はエラー状態411に遷移する。
【0041】
サスぺンド0状態405は省電力状態であり、ユーザによってキャリッジが動かされると初期化状態403に戻る。スタンバイ状態404は、印字コマンドをホストから送られてくるまで待機している状態で、通信イベントが一定期間無いと省電力状態であるサスぺンド0状態405に遷移し、省電力モードに移行する。また、通信イベントを検出した場合、サスペンド1状態407に移行する。
【0042】
サスぺンド1状態407は省電力状態であり、通信イベントを検出した場合に、サスペンド0状態405に戻る。印字状態406は、印字コマンドに従ってデータをバッファリングし、エンコーダ213によるパルスに従って、データおよび同期信号をラインヘッド部203に送って、印字している状態である。プリンタ本体1が一定期間ユーザによって動かされないと、省電力状態のサスぺンド2状態409に移行する。正常終了もしくは印字エラーがあった場合は、それぞれスタンバイ状態404もしくはエラー状態411に遷移する。
【0043】
サスぺンド2状態409は省電力状態であり、ユーザによってキャリッジが動かされるとサスペンド1状態407に戻る。エラー状態411は、各種エラー状態を判断処理する状態で、条件によって初期化状態403もしくは省電力状態のサスぺンド2状態409に移行する。サスぺンド2状態409は省電力状態であるが、エラー状態であるので、電源がオフもしくはリセットされるまで抜けだせない。
【0044】
図5は、本実施例の初期化状態の制御フローチャートを示す図である。
プリンタ本体1のリセットが解除されると、ステップ421でプリンタ本体1のシステムチェツクを行う。ステップ422では、メモリや各種レジスタ等のチェツクやインターフェースの初期化を行う。ステップ423では、CPU205内にあるサスぺンド移行を検出するためのタイマーを起動する。ステップ424で、現在の処理状態を記録するために、ワーク領域に設けたフラグStatus Flagをinitialとセットする。
【0045】
ステップ425では、プリンタ本体1がホームポジションにあるかどうかをセンサの状態を見ることによって判断している。ホームポジションにある場合、ステップ426に進み、ホームポシションにない場合、ステップ429へ進む。ステップ426では、先にセットしたタイマーをオフおよびクリアする。ステップ427で、CPU205は、これから印字ポジションにプリンタ本体1がデータ受信可能であることを、LED212を点灯させてユーザに知らせる。また、ステップ428では、IRDAモジュール215を通じてホストにデータを送り、印字可能状態を示すデータをセットしてスタンバイ状態404に移行する。
【0046】
一方、ステップ429では、ホームポジションを一定期間以内に検出できるまで、先に設定したタイマーがあらかじめ決めてある時間だけループさせている。設定時間を越えたときステップ430に進む。ステップ430では、ユーザによってキャリッジが動かされたときを復帰条件とするようにレジスタをセットする。さらにステップ431では、レジスタ退避などの一連の省電力状態移行の処理を行いサスぺンド0状態405に遷移する。
【0047】
図6は、本実施例のスタンバイ状態の制御フローチヤートを示す図である。 ステップ440では、まず、CPU205内にあるサスぺンド移行を検出するためのタイマーを起動する。ステップ441では、IRDAモジュール215を通じてホストから印字データを送る旨のコマンドが送信されてきているかを判断し、受信している場合は、ステップ442で印字データサイズの設定を行って、ステップ446を実行する。ステップ446では、印字可能と判断して印字処理に移行するため、先にセットしたタイマーをオフおよびクリアするスタンバイ状態404の終了処理を行なう。
【0048】
一方、印刷設定情報を受信していない場合には、ステップ447では、印字可能と判断できるまで、先に設定したタイマーがあらかじめ決めてある時間だけループさせている。設定時間を越えたときステップ448に進む。ステップ448では、先にセットしたタイマーをオフおよびクリアし、床センサのイベント、もしくは、コマンド受信したときを復帰条件とするようにレジスタをセットする。さらに、現状ステータスのセット(Suspend Stand By)や、レジスタ退避などの一連の省電力状態移行の処理を行ってサスぺンド1状態407に遷移する。
【0049】
図7は、本実施例の印字状態の制御フローチャートを示す図である。
印字状態406の制御フローチャートは、主フローチャートと、タイマー割り込みと、図8に示すようなDirection割り込みと、図9に示すようなエンコーダ割り込みの3つの割り込み処理とからなる。
【0050】
ステップ451では、3つの割り込み(タイマ割り込み、Direction割り込み、エンコーダ割り込み)を可能とするようレジスタをセットする。また、現状の状態をワーク領域に設けたフラグStatus FlagにPrintingとセットする。ステップ452では、タイマー割り込みと、エンコーダ割り込みと、Direction割り込みをセットし、ステップ453では、送られてきた印字データをバッファリングし、印刷イメージをメモリに展開している。送られてきた印字データには、プリンタに命令するコマンドや印字データ等が含まれている。
【0051】
コマンドには、印刷データ送信コマンドと、印字解像度をパラメータに含む印字モードコマンドと、印字解像度にあわせたドット数分のライン数(ラスター数)の移動量をデータとして送るラスタースキップコマンドなどがある。
【0052】
ステップ454では、Status Flagをdata fullにセットする。ステップ455では、Status Flagが印字終了かどうかを判断し、終了であればステップ456で、タイマー割り込みと、エンコーダ割り込みと、Direction割り込みをオフにする。
【0053】
印字処理には、受信された印字データに含まれるコマンドのディスパッチ処理が行われ、その処理の一部として、印字モードコマンドの、ラスタースキップコマンドに含まれるパラメータおよびデータを利用して、筐体(本体)移動量の予測値を求め、エンコーダから得られるカレントの筐体移動量を比較する。
【0054】
次に、タイマー割り込みについて説明する。
ステップ461でタイマー割り込みをオフにする。ステップ462でタイマーをクリアし、ステップ463でサスペンド処理を行い、サウペンド2状態409へ移行する。
【0055】
図8は、Direction割り込みのフローチャートを示す図である。
ステップ465でタイマー割り込みをオフにし、ステップ466で方向センサがハイかどうかを判断する。ハイの場合には、ステップ467でStatus Flagがdata fullであれば、ステップ468で印字処理する。ステップ467でStatus Flagがその他の場合には、ステップ469でエラーフラグを方向エラーにセットし、ステップ470でタイマーをクリアして、エラー処理を行う。ステップ466で方向センサがロウであれば、ステップ471でStatus Flagを判断し、印字であればステップ469の処理を行う。Status FlagがPre Scanであれば、ステップ472でその処理を行う。
【0056】
図9は、印字処理中にエンコーダ割り込みが発生したときのフローチャートを示す図である。
まず、ステップ481で、Status FlagがPre Scanであれば、ステップ482でStepに1を加算し、ステップ483で、加算されたStepが紙設定値以上であるかどうかを判断し、設定値を超えていれば、ステップ484でStep Flagを1にする。ステップ481でStatus Flagがdata fullであれば、ステップ485で印字状態かどうかを判断し、印字状態であれば、ステップ486で印字プロセスを実行する。ステップ487で印字データがなくなれば、ステップ488でStatusFlagを印字終了にセットする。ステップ481でStatus Flagがその他であれば、ステップ490でその他の処理を実行する。
【0057】
図10は、本実施例の筐体移動量とホストから送られたラスタスキップ量の比較処理のフローチャートを示す図である。
まず、印字モードコマンド処理において、そのパラメータである副走査方向の解像度X(単位dpi)のデータをメモリに保存する。まず、ステップ501では、ラスタースキップするコマンドがあるかどうか判断する。
【0058】
ステップ502では、印字解像度にあわせたドット数分のライン数(ラスター数)をスキップするコマンド処理において、コマンドパラメータのラスター数(単位dpi)を読み取り、ラスタースキップ数をラスターカウンタ1に加算し、ラスタースキップフラグをセットする。
【0059】
ステップ503では、割り込みで周期的(例えば、1msec)に監視しているエンコーダから読み取った筐体移動量L(単位inch)を保存された副走査方向の解像度X(単位dpi)のデータをもとにラスター数(L×X) (単位dpi)に変換したデータをラスターカウンタ2に格納し、ラスターカウンタ1との比較を行う。
【0060】
ステップ504では、筐体移動量をエンコーダから読み取りカウンタ2に格納されたデータをカウンタ1のデータとの差をとり、その差が正であれば、ステップ505に進み、そうでなければ、印字データの展開処理が筐体移動速度に間に合っていると判断され、ステップ506の処理エラー処理を行う。
【0061】
ステップ505において予め決められた閾値と比較する。筐体移動量をエンコーダから読み取りカウンタ2に格納されたデータをカウンタ1のデータとの差が閾値より大きければ、印字データの展開処理が筐体移動速度に間に合っていると判断され、ステップ507へ進む。間に合っている場合に、前回のカウンタ1とエンコーダのデータとの差の閾値との較処理の結果、点灯フラグセットされてLED212が点灯しているのであれば、ステップ508においてLED212を消灯させて点灯フラグをリセットする。上述した差が閾値以下になれば、印字データの展開処理が筐体移動に追いつかなくなる恐れがあると判断してステップ509に進む。
【0062】
ステップ509では、前回のカウンタ1とエンコーダのデータとの差の閾値との比較処理の結果、点灯フラグリセットされLED212が消灯しているのであれば、ステップ610でLED212を点灯させて点灯フラグをセットする。
【0063】
さらに周期タイマーによる割り込み処理でエンコーダ筐体移動量のデータを取得した場合においてもこの割り込み処理内において、ステップ504からステップ610までと同様の処理を行う。
【0064】
図11は、本実施例のエラー状態の制御フロ―チャートを示す図である。
まず、ステップ491で、エラー状態を判別する。エラーフラグが方向エラーの時、ステップ493に進み、ユーザの操作ミスと判定できるので、ホストに対してエラー通知(印字中止状態の通知)を行ない、ステップ494で再度送信をリクエストする。ステップ495では、LED212を使ってエラー状態をユーザに表示し、再度印字操作を行なう指示をして初期化状態403に戻る。ステップ491で、方向エラー以外の場合はステップ492に進み、サスぺンド処理を行なう。
【0065】
このような実施例によれば、処理が行われている印字データのラスター位置とキャリッジの移動量を認識して、印字処理が筐体移動に追いつかれる前にユーザに警告を促すことができる。
【0066】
また、図10に示した本実施例の筐体移動量とホストから送られたラスタスキップ量の比較処理において、以下のような処理を実行することも可能である。
【0067】
つまり、ステップ502では、印字解像度にあわせたドット数分のライン数(ラスター数)をスキップするコマンド処理において、コマンドパラメータのラスター数Y(単位dpi)を読み取り、ステップ503では、ラスタースキップ数印字モードコマンド処理で得られた副走査方向の解像度X(単位dpi)からラスタスキップによる筐体移動量を(X×Y)単位inchのデータとしてラスターカウンタ1に加算する。
【0068】
ステップ504では、割り込みで周期的(例えば、1msec)に監視しているエンコーダから読み取った筐体移動量L(単位inch)をラスターカウンタ2に格納し、ラスターカウンタ1との比較を行う。
【0069】
ステップ504では、カウンタ1とカウンタ2との差をとり、その差が正であれば、ステップ505に進み、そうでなければ、印字データの展開処理が筐体移動速度に間に合あわなくなっていると判断され、ステップ506に進みエラー処理を行う。
【0070】
なお、本発明は、アームに沿って移動するラインヘッド部を手動でスキャンしながら印字するプリンタについて説明したが、手動でスキャンする印字装置であれば実現可能である。また、インクジェット方式のプリンタについて説明したが他の印字方法による場合にも適用できることは明らかである。
【0071】
さらに、筐体移動速度と印字処理とを比較して、印字処理が追いつかなくなる危険が発生したことを知らせる警報をLED212使って通知もしくは表示したが、印字停止状態をインターフェースに通知することで、ホストでの表示可能であり、警報手段を問わないことはいうまでもない。
【0072】
また、本実施例において本発明を達成するためのソフトウエアによって表される制御プログラムを記憶した媒体からインターフェースを通じて読み出すことによっても同様の効果を奏することができることは明らかである。記憶媒体としては、ROMのほか、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、処理している印字データのラスター方向の位置と被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御するようにしたので、装置本体の移動量を検出し、ホストから送られた印字モードコマンドのパラメータの解像度とラスタースキップコマンドのパラメータの印字データに必要な移動量から印字プロセスを実行する際に、筐体移動速度と印字処理とを比較して、印字処理が追いつかなくなる危険が発生したことを通知もしくは表示することができ、手動で筐体を移動させた場合の筐体速度を印刷処理が追いつく速度に保つ目安が可能で、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリンタの印字状態を示した斜視図である。
【図2】図1におけるレバーを中央部へ移動した時の断面図である。
【図3】本発明のプリンタ本体の制御系に関するブロック図である。
【図4】プリンタの状態遷移図である。
【図5】本実施例の初期化状態の制御フローチャートを示す図である。
【図6】本実施例のスタンバイ状態の制御フローチャートを示す図である。
【図7】本実施例の印字状態の制御フローチヤートを示す図である。
【図8】本実施例のDirection割り込みの制御フローチヤートを示す図である。
【図9】印字処理中にエンコーダ割り込みが発生したときのフローチャートを示す図である。
【図10】本実施例の筐体移動量とホストから送られたラスタスキップ量の比較処理のフローチヤートを示す図である。
【図11】本実施例のエラー状態の制御フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタ本体
2 キャップ
3 レバー
4 ローラ
5,212 LED
6 スイッチ
7 ガイドレール
8 溝
9 ゴム足
10 ガイド穴
11 拍車
12,213 エンコーダ
13 記録用紙
21、22 マグネット
23 ワイパーホルダ
24 弁
25、26 切欠部
27 穴
28 吸収体
29 ワイパー
30 パッキン
31 印字ヘッド
32 PCB
33 インクタンク
34 バッテリ
35 ガイド部
36,37 壁
201 電源部
202 I/F制御部
203 ラインヘッド部
204 I/O制御回路
205 マイクロプロセッサ(CPU)
206 ROM
207 RAM
208、209 発振器
210 ヘッドI/F
211 スイッチ(Error SW)
214 バッファ
215 IRDAモジュール
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法及びその装置に関し、より詳細には、携帯型のプリンタであって、プリンタの移動速度と印字処理速度とを整合するようにしたインクジェット記録方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェット記録装置として、印字ヘッドを搭載したキャリッジを、印字用紙を搬送する搬送部の搬送方向と略直交する方向に、記録媒体の大きさに応じて往復移動させるプリンタは既に知られている。この種のプリンタの代表例としては、デスクトップ型の電子写真方式やインクジェット方式などが挙げられる。近年、このようなプリンタの小型化については開発が進んでおり、携帯型のプリンタとして発展している。
【0003】
このように、小型化された携帯可能で独立して印字可能なタイプのプリンタが提案されている。例えば、柱状の筐体に印字ヘッドを―体的に組み込んだものが知られている。この種のプリンタは、印字の際に作業者が柱状の筐体を把持して記録媒体上を移動させることにより印字するものである。しかも、この筐体には、記録媒体に接触して回転するエンコーダにより筐体の移動量を検出する移動量検出手段が備えられていて、印字ヘッドが組み込まれたこの筐体を把持して任意方向に移動させて印字を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような形態の場合、把持してプリンタ本体を移動するために印字走査(スキャン)が一定せず、印字データ、ホストコンピュータとプリンタなどのインターフェースや筐体の移動スピードの諸条件などによっては、印字データの展開処理が筐体の移動に追いつかなくなり、正しい位置に印刷されなくなるといった問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、処理が行われている印字データのラスター位置とキャリッジの移動量を認識して、印字処理が筐体移動に追いつかれる前に警告を促すようにしたインクジェット記録方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録方法であって、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記印字プロセス中に前記装置本体の位置情報と印字データから解析された位置情報とを比較し、その差分によって前記印字プロセスの処理が前記装置本体の移動速度に対して印字処理が間に合うかどうかを判断することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなかった場合に、前記印字プロセスを中止する制御を行なうことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなくなる前に警報を発して通報することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記印字プロセスの中止を実行した後に、前記装置本体の初期化を行う初期化プロセスを実行することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体と、該装置本体の移動量を検出する検出手段と、印字プロセスを制御する制御手段とを有し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録装置であって、前記制御手段は、処理している印字データのラスター方向の位置情報と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするものである。つまり、被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録を行う記録装置であって、被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録中に、処理されている印字データのラスター移動量と装置本体の移動量を監視する印字プロセスを制御するものである。
【0012】
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記装置本体を案内支持するガイド部材を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記ガイド部材の長手方向に切欠溝を設け、該切欠溝に磁気的エンコーダを取り付けたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記装置本体に前記被記録媒体と接触する回転自在な回転部材を設け、該回転部材に前記走査方向の位置を検出するセンサを設けたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明は、インクジェット記録装置を制御するプログラムを格納する記録媒体であって、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録し、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御するようにコンピュータを機能させるためのコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明のプリンタの印字状態を示した斜視図で、机等の平板上に置かれた記録用紙に印字する状態を表した図である。
【0017】
図中符号1は、プリンタ本体で、このプリンタ本体1を矢印A方向に一度移動させてから、矢印B方向で印字を行うように構成されたプリンタである。ローラ4は、プリンタ本体1に回転自由に取り付けられ、ガイドレール7の両端に設けられた2個のゴム足9とともに、記録用紙13が置かれた机等の上に接するように設けられている。プリンタ本体1内にある、図示しない印字へッドのノズル面と記録用紙13とのクリアランスは、2個のゴム足9とローラ4とによって一定に保持されている。自由に回転する拍車11は、プリンタ本体1に3個取り付けられていて、印字状態で図示しないバネ軸により、わずかに記録用紙13を下へ押しつけるように構成されている。
【0018】
ガイドレール7は略円柱形状で、その上部は、長手方向全体に切欠溝を有する形状をしており、その溝部分には磁気的エンコーダ12が張り付けられている。また、ガイドレール7は、印字状態ではプリンタ本体1に設けられたガイド穴10に摺動可能に挿入されている。
【0019】
キャップ2は、印字可能な状態ではプリンタ本体1の上部に取りつけることが可能で、プリンタ本体1を把持してスキャンするときに用いられ、また、携帯時の非印字時においては、インクジェット印字へッドのカバーとして用いられ、インクジェット印字ヘッドのノズル部の乾燥やゴミの付着を防止するように構成されている。また、キャップ2には、中央部の長手方向に溝8が設けられていて、この溝8に沿って移動可能なレバー3が設けられている。このレバー3は、インクジェット印字ヘッドの回復作業の際に使用するワイパーを動かすためのものである。
【0020】
本発明のプリンタ本体1とパソコンなどの赤外線信号の受け渡しを行うためのインターフェースであるIRDA(Infrared data association)や、エンコーダ12の磁気信号を読みとり、プリンタ本体1の移動量を検出するためのセンサは、プリンタ本体1に固定されたPCB32(後述する図2)に搭載されている。LED5は、プリンタ本体1の動作可能状態を示す表示部であり、スイッチ6は、プリンタ本体1の電源スイッチの役割を果たしている。
【0021】
図2は、プリンタ本体に設けられたレバーを中央部へ移動した時の断面図である。
キャップ2には、壁37が形成されており、この壁37にはガイド部35が溝8と平行に2本形成されている。ガイド部35にはワイパーホルダ23が切欠部25、26により摺動自在に係合されている。ワイパーホルダ23にはマグネット22が一体的に設けられている。マグネット21とマグネット22は、互いに引き寄せ合うように構成されているためレバー3を溝8に沿って移動することが可能である。従って、ワイパーホルダ23は、ガイド部35に沿って移動することが可能である。
【0022】
ワイパーホルダ23には、ワイパー29が一体的に設けられている。このワイパー29は、HNBRなどのゴム材料で出来ており、厚さ0.6mm程度の平板形状をしている。また、ワイパー29は、キャップ2とプリンタ本体1がある定位置で、印字ヘッド31のフェイス面に端部が当たるように構成されている。したがって、レバー3を移動することにより、印字ヘッド31のフェイス面に付着したゴミやインク等をワイパー29の端部で除去できる。
【0023】
プリンタ本体1の一端部付近には、図示しない穴が設けられており、除去されたゴミ及びインクなどがワイパー29により掃き落とされる。穴には吸収体28が底部に接着されており、掃き落とされたゴミやインクなどは、吸収体28により保持される。
【0024】
キャップ2には、穴27が形成されている壁36が設けられ、通常状態では穴27をふさぐ弁24が取り付けられている。また、キャップ2の内周部には、プリンタ本体1に密着しているパッキン30が設けられているため、キャップ2を移動することにより、印字ヘッド31のフェイス面の空間に負圧を発生させることができる。逆に、キャップ2を移動させた場合、弁24が動き、穴27が開放されるため負圧は発生しない。
【0025】
プリンタ本体1には、インクを吐出するための印字ヘッド31、この印字ヘッド31へインクを供給するためのインクタンク33が設けられている。印字ヘッド31は、1インチあたり360個でプリンタ本体1の長手方向にトータル1200個のノズルを有している。印字ヘッド31への吐出信号の制御や外部からの信号の授受を司るPCB32と電気エネルギーを印字ヘッド31やPCB32へ供給するための電源(バッテリ)34もプリンタ本体1に設けられている。
【0026】
プリンタ本体1は、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)などのプラスチック材でできており、ツメが一体的に設けられている。これらのツメは、携帯時にはガイドレール7をホールドするように構成されているが、印字時にはガイドレール7をツメから取り外し、キャップ2をプリンタ本体1のツメ側へ被せて使用する。
【0027】
図3は、本発明のプリンタ本体の制御系に関するブロック図である。
プリンタ本体1の制御系は、電源部201とI/F制御部202とラインヘッド部203と各種センサとから構成されている。
【0028】
電源部201は、プリンタ本体1の主電源であり、ACもしくはニッカド電源で知られる2次電池からの電力供給をI/F制御部202とラインヘッド部203に供給する。電源部201は、ラインヘッド部203に対して12V、I/F制御部202に対して5Vをそれぞれ供給している。
【0029】
I/F制御部202は、実際に印字を行うラインヘッド部203と送り手であるホスト間の通信(データの授受)を補佐するためにデータのバッファリングやホストとの制御のやり取り、通信制御、省電力制御、ユーザインターフェースである外部スイッチや表示(本発明ではLED)に対しての制御やプリンタの速度を検出する制御を行う。I/F制御部202は、主にI/O制御回路204と、主制御を行うマイクロプロセッサ(CPU)205と、主制御を行うためのメモリーとして不揮発性メモリであるROM206と、読み書き可能なメモリであるRAM207と、発振器である208及び209と、ラインヘッド部203間の信号をバッファリングするヘッドI/F210等とから構成されている。
【0030】
さらに、I/F制御部202は、電源制御及びオフライン制御用のスイッチ(Error SW)211と、ネットワークの状態や電源状態、プリンタのステータスを表示できるLED212などが設けられている。
【0031】
これらの制御は全てI/O制御回路204によって行われる。また、エンコーダ213の磁気信号を読みとり、プリンタ本体1の速度と移動量を検出するためのセンサ(図示せず)と、検出パルスを増幅するバッファ214も設けられている。さらに、プリンタ本体1の位置を決めることの出来るホームポジションセンサ(図示せず)も設けられている。
【0032】
制御用ROM206には、ホストとの通信を行うためのプロトコル制御や速度検出制御など各種制御プログラムが格納されている。主制御を行うマイクロプロセッサ(CPU)205は、制御用ROM206のコードを実行処理する。制御プログラムには、省電力制御も含まれており、プリンタ本体1の状態によって省電力モードに移行して復帰ができる。これは、プリンタ本体1のクロックの変更や停止も制御する。
【0033】
制御用ROM206のコードに従って主制御を行うマイクロプロセッサ(CPU)205は、外部とのインターフェース(ホスト間)を行うのに、赤外線通信を行うIRDAモジュール215を通じて行う。IRDAモジュール215を通じて送られてくる印字コマンドやデータのやり取りは、非同期通信で送信信号Txと受信信号Rxで制御する。CPU205は、あらかじめ決められたプロトコルに従ってホストと通信が出来る。
【0034】
また、読み書き可能なメモリであるRAM207は、レジスタとして用いるワーク領域や印字データを格納するためのデータバッファ、インターフェースからの制御用バッファなどの領域を有するメモリである。I/O制御回路204は、順次ドットイメージであるデータをRAM207から読み出し、適時にヘッドI/F210を制御することによって印字データをラインヘッド部203に送る。
【0035】
ヘッドI/F210は、電源である5Vをラインへッド部203に供給する。また、ヘッドI/F210は印字データおよびラインヘッド部203と制御用のデータをやり取りするためのデータ信号と、データ信号を制御するための制御信号からなる各種信号でラインへッド部203と接続されている。
【0036】
方向(Direction)センサは、テーブルに印刷状態にしたプリンタ本体1を設置したときに、スキャン方向を検出するセンサである。この方向センサは、ローラ4に連動している。印字方向にプリンタ本体1がスキャンしているとき、方向センサは、電気的にハイを、逆方向の場合ロウを出力するものとする。
【0037】
図4は、プリンタの状態遷移を示す図である。
本発明のプリンタは、以下に説明するように、主に10種類の状態があり、プリンタはいずれかの状態にあり、条件によって状態を遷移する。各状態についての説明と代表的な遷移条件を説明する。
【0038】
オフ状態401は、プリンタ本体1に電源が供給されていない状態で、かつプリンタ本体1にキャリッジが装着されていない状態である。キャリッジが装着されて電源がONするとパワー状態402に遷移する。このパワーON状態402は、電源が供給されて、プリンタ本体1がリセット状態にある。電源が安定してリセットが解除されると、初期化状態403に遷移する。
【0039】
初期化状態403からエラー状態411までの状態は、動作状態410であり、リセットを受けると以下の状態はすべて初期化状態に遷移する。
【0040】
初期化状態403は、メモリや各種レジスタ等のチェックやインターフェースの初期化を行っている。プリンタ本体1が正常に設置されていて、ホームポジションを一定期間以内に検出できたときは、スタンバイ状態404に遷移する。一方、検出できなかったときは、ユーザによってキャリッジが動かされるまで(移動があるまで)省電力状態であるサスぺンド0状態405に遷移する。また、エラーがあった場合はエラー状態411に遷移する。
【0041】
サスぺンド0状態405は省電力状態であり、ユーザによってキャリッジが動かされると初期化状態403に戻る。スタンバイ状態404は、印字コマンドをホストから送られてくるまで待機している状態で、通信イベントが一定期間無いと省電力状態であるサスぺンド0状態405に遷移し、省電力モードに移行する。また、通信イベントを検出した場合、サスペンド1状態407に移行する。
【0042】
サスぺンド1状態407は省電力状態であり、通信イベントを検出した場合に、サスペンド0状態405に戻る。印字状態406は、印字コマンドに従ってデータをバッファリングし、エンコーダ213によるパルスに従って、データおよび同期信号をラインヘッド部203に送って、印字している状態である。プリンタ本体1が一定期間ユーザによって動かされないと、省電力状態のサスぺンド2状態409に移行する。正常終了もしくは印字エラーがあった場合は、それぞれスタンバイ状態404もしくはエラー状態411に遷移する。
【0043】
サスぺンド2状態409は省電力状態であり、ユーザによってキャリッジが動かされるとサスペンド1状態407に戻る。エラー状態411は、各種エラー状態を判断処理する状態で、条件によって初期化状態403もしくは省電力状態のサスぺンド2状態409に移行する。サスぺンド2状態409は省電力状態であるが、エラー状態であるので、電源がオフもしくはリセットされるまで抜けだせない。
【0044】
図5は、本実施例の初期化状態の制御フローチャートを示す図である。
プリンタ本体1のリセットが解除されると、ステップ421でプリンタ本体1のシステムチェツクを行う。ステップ422では、メモリや各種レジスタ等のチェツクやインターフェースの初期化を行う。ステップ423では、CPU205内にあるサスぺンド移行を検出するためのタイマーを起動する。ステップ424で、現在の処理状態を記録するために、ワーク領域に設けたフラグStatus Flagをinitialとセットする。
【0045】
ステップ425では、プリンタ本体1がホームポジションにあるかどうかをセンサの状態を見ることによって判断している。ホームポジションにある場合、ステップ426に進み、ホームポシションにない場合、ステップ429へ進む。ステップ426では、先にセットしたタイマーをオフおよびクリアする。ステップ427で、CPU205は、これから印字ポジションにプリンタ本体1がデータ受信可能であることを、LED212を点灯させてユーザに知らせる。また、ステップ428では、IRDAモジュール215を通じてホストにデータを送り、印字可能状態を示すデータをセットしてスタンバイ状態404に移行する。
【0046】
一方、ステップ429では、ホームポジションを一定期間以内に検出できるまで、先に設定したタイマーがあらかじめ決めてある時間だけループさせている。設定時間を越えたときステップ430に進む。ステップ430では、ユーザによってキャリッジが動かされたときを復帰条件とするようにレジスタをセットする。さらにステップ431では、レジスタ退避などの一連の省電力状態移行の処理を行いサスぺンド0状態405に遷移する。
【0047】
図6は、本実施例のスタンバイ状態の制御フローチヤートを示す図である。 ステップ440では、まず、CPU205内にあるサスぺンド移行を検出するためのタイマーを起動する。ステップ441では、IRDAモジュール215を通じてホストから印字データを送る旨のコマンドが送信されてきているかを判断し、受信している場合は、ステップ442で印字データサイズの設定を行って、ステップ446を実行する。ステップ446では、印字可能と判断して印字処理に移行するため、先にセットしたタイマーをオフおよびクリアするスタンバイ状態404の終了処理を行なう。
【0048】
一方、印刷設定情報を受信していない場合には、ステップ447では、印字可能と判断できるまで、先に設定したタイマーがあらかじめ決めてある時間だけループさせている。設定時間を越えたときステップ448に進む。ステップ448では、先にセットしたタイマーをオフおよびクリアし、床センサのイベント、もしくは、コマンド受信したときを復帰条件とするようにレジスタをセットする。さらに、現状ステータスのセット(Suspend Stand By)や、レジスタ退避などの一連の省電力状態移行の処理を行ってサスぺンド1状態407に遷移する。
【0049】
図7は、本実施例の印字状態の制御フローチャートを示す図である。
印字状態406の制御フローチャートは、主フローチャートと、タイマー割り込みと、図8に示すようなDirection割り込みと、図9に示すようなエンコーダ割り込みの3つの割り込み処理とからなる。
【0050】
ステップ451では、3つの割り込み(タイマ割り込み、Direction割り込み、エンコーダ割り込み)を可能とするようレジスタをセットする。また、現状の状態をワーク領域に設けたフラグStatus FlagにPrintingとセットする。ステップ452では、タイマー割り込みと、エンコーダ割り込みと、Direction割り込みをセットし、ステップ453では、送られてきた印字データをバッファリングし、印刷イメージをメモリに展開している。送られてきた印字データには、プリンタに命令するコマンドや印字データ等が含まれている。
【0051】
コマンドには、印刷データ送信コマンドと、印字解像度をパラメータに含む印字モードコマンドと、印字解像度にあわせたドット数分のライン数(ラスター数)の移動量をデータとして送るラスタースキップコマンドなどがある。
【0052】
ステップ454では、Status Flagをdata fullにセットする。ステップ455では、Status Flagが印字終了かどうかを判断し、終了であればステップ456で、タイマー割り込みと、エンコーダ割り込みと、Direction割り込みをオフにする。
【0053】
印字処理には、受信された印字データに含まれるコマンドのディスパッチ処理が行われ、その処理の一部として、印字モードコマンドの、ラスタースキップコマンドに含まれるパラメータおよびデータを利用して、筐体(本体)移動量の予測値を求め、エンコーダから得られるカレントの筐体移動量を比較する。
【0054】
次に、タイマー割り込みについて説明する。
ステップ461でタイマー割り込みをオフにする。ステップ462でタイマーをクリアし、ステップ463でサスペンド処理を行い、サウペンド2状態409へ移行する。
【0055】
図8は、Direction割り込みのフローチャートを示す図である。
ステップ465でタイマー割り込みをオフにし、ステップ466で方向センサがハイかどうかを判断する。ハイの場合には、ステップ467でStatus Flagがdata fullであれば、ステップ468で印字処理する。ステップ467でStatus Flagがその他の場合には、ステップ469でエラーフラグを方向エラーにセットし、ステップ470でタイマーをクリアして、エラー処理を行う。ステップ466で方向センサがロウであれば、ステップ471でStatus Flagを判断し、印字であればステップ469の処理を行う。Status FlagがPre Scanであれば、ステップ472でその処理を行う。
【0056】
図9は、印字処理中にエンコーダ割り込みが発生したときのフローチャートを示す図である。
まず、ステップ481で、Status FlagがPre Scanであれば、ステップ482でStepに1を加算し、ステップ483で、加算されたStepが紙設定値以上であるかどうかを判断し、設定値を超えていれば、ステップ484でStep Flagを1にする。ステップ481でStatus Flagがdata fullであれば、ステップ485で印字状態かどうかを判断し、印字状態であれば、ステップ486で印字プロセスを実行する。ステップ487で印字データがなくなれば、ステップ488でStatusFlagを印字終了にセットする。ステップ481でStatus Flagがその他であれば、ステップ490でその他の処理を実行する。
【0057】
図10は、本実施例の筐体移動量とホストから送られたラスタスキップ量の比較処理のフローチャートを示す図である。
まず、印字モードコマンド処理において、そのパラメータである副走査方向の解像度X(単位dpi)のデータをメモリに保存する。まず、ステップ501では、ラスタースキップするコマンドがあるかどうか判断する。
【0058】
ステップ502では、印字解像度にあわせたドット数分のライン数(ラスター数)をスキップするコマンド処理において、コマンドパラメータのラスター数(単位dpi)を読み取り、ラスタースキップ数をラスターカウンタ1に加算し、ラスタースキップフラグをセットする。
【0059】
ステップ503では、割り込みで周期的(例えば、1msec)に監視しているエンコーダから読み取った筐体移動量L(単位inch)を保存された副走査方向の解像度X(単位dpi)のデータをもとにラスター数(L×X) (単位dpi)に変換したデータをラスターカウンタ2に格納し、ラスターカウンタ1との比較を行う。
【0060】
ステップ504では、筐体移動量をエンコーダから読み取りカウンタ2に格納されたデータをカウンタ1のデータとの差をとり、その差が正であれば、ステップ505に進み、そうでなければ、印字データの展開処理が筐体移動速度に間に合っていると判断され、ステップ506の処理エラー処理を行う。
【0061】
ステップ505において予め決められた閾値と比較する。筐体移動量をエンコーダから読み取りカウンタ2に格納されたデータをカウンタ1のデータとの差が閾値より大きければ、印字データの展開処理が筐体移動速度に間に合っていると判断され、ステップ507へ進む。間に合っている場合に、前回のカウンタ1とエンコーダのデータとの差の閾値との較処理の結果、点灯フラグセットされてLED212が点灯しているのであれば、ステップ508においてLED212を消灯させて点灯フラグをリセットする。上述した差が閾値以下になれば、印字データの展開処理が筐体移動に追いつかなくなる恐れがあると判断してステップ509に進む。
【0062】
ステップ509では、前回のカウンタ1とエンコーダのデータとの差の閾値との比較処理の結果、点灯フラグリセットされLED212が消灯しているのであれば、ステップ610でLED212を点灯させて点灯フラグをセットする。
【0063】
さらに周期タイマーによる割り込み処理でエンコーダ筐体移動量のデータを取得した場合においてもこの割り込み処理内において、ステップ504からステップ610までと同様の処理を行う。
【0064】
図11は、本実施例のエラー状態の制御フロ―チャートを示す図である。
まず、ステップ491で、エラー状態を判別する。エラーフラグが方向エラーの時、ステップ493に進み、ユーザの操作ミスと判定できるので、ホストに対してエラー通知(印字中止状態の通知)を行ない、ステップ494で再度送信をリクエストする。ステップ495では、LED212を使ってエラー状態をユーザに表示し、再度印字操作を行なう指示をして初期化状態403に戻る。ステップ491で、方向エラー以外の場合はステップ492に進み、サスぺンド処理を行なう。
【0065】
このような実施例によれば、処理が行われている印字データのラスター位置とキャリッジの移動量を認識して、印字処理が筐体移動に追いつかれる前にユーザに警告を促すことができる。
【0066】
また、図10に示した本実施例の筐体移動量とホストから送られたラスタスキップ量の比較処理において、以下のような処理を実行することも可能である。
【0067】
つまり、ステップ502では、印字解像度にあわせたドット数分のライン数(ラスター数)をスキップするコマンド処理において、コマンドパラメータのラスター数Y(単位dpi)を読み取り、ステップ503では、ラスタースキップ数印字モードコマンド処理で得られた副走査方向の解像度X(単位dpi)からラスタスキップによる筐体移動量を(X×Y)単位inchのデータとしてラスターカウンタ1に加算する。
【0068】
ステップ504では、割り込みで周期的(例えば、1msec)に監視しているエンコーダから読み取った筐体移動量L(単位inch)をラスターカウンタ2に格納し、ラスターカウンタ1との比較を行う。
【0069】
ステップ504では、カウンタ1とカウンタ2との差をとり、その差が正であれば、ステップ505に進み、そうでなければ、印字データの展開処理が筐体移動速度に間に合あわなくなっていると判断され、ステップ506に進みエラー処理を行う。
【0070】
なお、本発明は、アームに沿って移動するラインヘッド部を手動でスキャンしながら印字するプリンタについて説明したが、手動でスキャンする印字装置であれば実現可能である。また、インクジェット方式のプリンタについて説明したが他の印字方法による場合にも適用できることは明らかである。
【0071】
さらに、筐体移動速度と印字処理とを比較して、印字処理が追いつかなくなる危険が発生したことを知らせる警報をLED212使って通知もしくは表示したが、印字停止状態をインターフェースに通知することで、ホストでの表示可能であり、警報手段を問わないことはいうまでもない。
【0072】
また、本実施例において本発明を達成するためのソフトウエアによって表される制御プログラムを記憶した媒体からインターフェースを通じて読み出すことによっても同様の効果を奏することができることは明らかである。記憶媒体としては、ROMのほか、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、処理している印字データのラスター方向の位置と被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御するようにしたので、装置本体の移動量を検出し、ホストから送られた印字モードコマンドのパラメータの解像度とラスタースキップコマンドのパラメータの印字データに必要な移動量から印字プロセスを実行する際に、筐体移動速度と印字処理とを比較して、印字処理が追いつかなくなる危険が発生したことを通知もしくは表示することができ、手動で筐体を移動させた場合の筐体速度を印刷処理が追いつく速度に保つ目安が可能で、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリンタの印字状態を示した斜視図である。
【図2】図1におけるレバーを中央部へ移動した時の断面図である。
【図3】本発明のプリンタ本体の制御系に関するブロック図である。
【図4】プリンタの状態遷移図である。
【図5】本実施例の初期化状態の制御フローチャートを示す図である。
【図6】本実施例のスタンバイ状態の制御フローチャートを示す図である。
【図7】本実施例の印字状態の制御フローチヤートを示す図である。
【図8】本実施例のDirection割り込みの制御フローチヤートを示す図である。
【図9】印字処理中にエンコーダ割り込みが発生したときのフローチャートを示す図である。
【図10】本実施例の筐体移動量とホストから送られたラスタスキップ量の比較処理のフローチヤートを示す図である。
【図11】本実施例のエラー状態の制御フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタ本体
2 キャップ
3 レバー
4 ローラ
5,212 LED
6 スイッチ
7 ガイドレール
8 溝
9 ゴム足
10 ガイド穴
11 拍車
12,213 エンコーダ
13 記録用紙
21、22 マグネット
23 ワイパーホルダ
24 弁
25、26 切欠部
27 穴
28 吸収体
29 ワイパー
30 パッキン
31 印字ヘッド
32 PCB
33 インクタンク
34 バッテリ
35 ガイド部
36,37 壁
201 電源部
202 I/F制御部
203 ラインヘッド部
204 I/O制御回路
205 マイクロプロセッサ(CPU)
206 ROM
207 RAM
208、209 発振器
210 ヘッドI/F
211 スイッチ(Error SW)
214 バッファ
215 IRDAモジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録方法であって、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】
前記印字プロセス中に前記装置本体の位置情報と印字データから解析された位置情報とを比較し、その差分によって前記印字プロセスの処理が前記装置本体の移動速度に対して印字処理が間に合うかどうかを判断することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなかった場合に、前記印字プロセスを中止する制御を行なうことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなくなる前に警報を発して通報することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記印字プロセスの中止を実行した後に、前記装置本体の初期化を行う初期化プロセスを実行することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】
被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体と、該装置本体の移動量を検出する検出手段と、印字プロセスを制御する制御手段とを有し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録装置であって、前記制御手段は、処理している印字データのラスター方向の位置情報と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記装置本体を案内支持するガイド部材を備えたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記ガイド部材の長手方向に切欠溝を設け、該切欠溝に磁気的エンコーダを取り付けたことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記装置本体に前記被記録媒体と接触する回転自在な回転部材を設け、該回転部材に前記走査方向の位置を検出するセンサを設けたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
インクジェット記録装置を制御するプログラムを格納する記録媒体であって、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録し、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御するようにコンピュータを機能させるためのコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項1】
被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録方法であって、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】
前記印字プロセス中に前記装置本体の位置情報と印字データから解析された位置情報とを比較し、その差分によって前記印字プロセスの処理が前記装置本体の移動速度に対して印字処理が間に合うかどうかを判断することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなかった場合に、前記印字プロセスを中止する制御を行なうことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記判断結果により前記印字処理が前記装置本体の移動速度に対して間に合わなくなる前に警報を発して通報することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記印字プロセスの中止を実行した後に、前記装置本体の初期化を行う初期化プロセスを実行することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】
被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体と、該装置本体の移動量を検出する検出手段と、印字プロセスを制御する制御手段とを有し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録するインクジェット記録装置であって、前記制御手段は、処理している印字データのラスター方向の位置情報と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記装置本体を案内支持するガイド部材を備えたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記ガイド部材の長手方向に切欠溝を設け、該切欠溝に磁気的エンコーダを取り付けたことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記装置本体に前記被記録媒体と接触する回転自在な回転部材を設け、該回転部材に前記走査方向の位置を検出するセンサを設けたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
インクジェット記録装置を制御するプログラムを格納する記録媒体であって、被記録媒体に対してインク滴を吐出する印字ヘッドを搭載した装置本体の移動量を検出し、前記被記録媒体に沿って手動で走査しながら記録し、処理している印字データのラスター方向の位置と前記被記録媒体の走査方向の位置を監視しつつ、記録中に印字プロセスを制御するようにコンピュータを機能させるためのコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2004−42506(P2004−42506A)
【公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−204872(P2002−204872)
【出願日】平成14年7月12日(2002.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年7月12日(2002.7.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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