説明

ウェルプレート成形用金型の製造方法、ウェルプレート成形用金型、それを用いたウェルプレート成形方法およびウェルプレート

【課題】比較的簡易に、多数の微小ウェルを有するウェルデバイスの成形に用いられる金型を製造する方法を提供すること。
【解決手段】直線状に整列した複数の多角柱形状凸部を有して成るウェルプレート成形用金型を製造する方法であって、(i)金型基材の面に対して、相互に平行に整列した複数の溝Aを形成する工程、および、(ii)複数の溝Aと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Bを金型基材の前記面に形成する工程、および、(iii)複数の溝Aおよび複数の溝Bと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Cを金型基材の前記面に形成する工程を含んで成る製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ分野・医療分野の計測または検査等に用いるウェルプレートを成形するための金型の製造方法に関する。より詳細には、多数の検体の測定を一度に行うシステムに必要とされる「微小ウェルを多数備えたデバイス」を成形する金型の製造方法に関する。また、本発明は、そのような製造方法で得られるウェルプレート成形用金型に関すると共に、かかる金型を用いたウェルプレートの成形方法、および、かかる成形方法から得られるウェルプレートにも関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ分野・医療分野の計測または検査等においては、多数の検体を自動測定するデバイスとして、96〜1536個の円柱形状の穴(即ちウェル)を備えたウェルプレート(プレート面寸法:約80mm×約120mm)が用いられている。特に最近の傾向としては、遺伝子解析等の用途が増えてきており、更に多数の微小ウェルを備えたウェルプレートが望まれている。
【0003】
しかしながら、ウェルの個数が相当に多くなり、これに伴って個々のウェルが微細化すると、切削などの通常の機械加工による金型製作は難しくなってしまう。特に、「ミクロンオーダーの微小ウェルを数多く備えたウェルプレート」の成形に用いる金型を製作するのは容易ではない。また、かかる金型の製作が可能であったとしても、手間およびコストの点から決して効率的とはいえない。例えば1万個のウェルに対応したウェルプレート成形用金型を製作するには、ウェルに相当する突起形状(=凸部)を一つ一つ切削加工しなければならず、膨大な時間を要する。その結果、金型のコストが上がってしまい、最終製品たるウェルプレートのコストが高くなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の課題は、「多数の微小ウェルを備えたデバイス」の成形に用いられる金型を比較的簡易に製造する方法を提供することであり、また、そのような金型を用いたウェルプレート成形方法を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、直線状に整列した複数(特に多数)の多角柱形状凸部(好ましくは正多角柱形状凸部)を有して成るウェルプレート成形用金型を製造する方法であって、
(i)金型基材の面に対して、相互に平行に整列した複数の溝Aを形成する工程、および
(ii)複数の溝Aと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Bを金型基材の前記面に形成する工程
を含んで成る製造方法が提供される。本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法は、「相互に平行に整列した複数の直線状の溝」の作成を繰り返し行うことによって、「複数(特に多数)の多角柱形状凸部」を有して成る金型を簡易に製造できることを特徴としている。
【0006】
本明細書にいう「ウェルプレート」とは、一般にバイオ分野または医療分野等で計測または検査等の用途に用いられる「複数の“くぼみ”を有するデバイスまたは部材」を意味しており、その全体的な外観形態は「プレート状」に限定されるものでなく、その厚さによっては「シート状」または「チップ状」となり得るものである。ちなみに、「ウェルプレート」は、その有する形態などに応じて、マイクロウェルプレート、マイクロプレート、ディープウェルプレート、シャローウェルプレート、マルチウェルプレートまたはマイクロタイタープレート等とも呼ばれるものである。また、ウェルプレートに対して蓋を設けたり、ウェルプレート同士を積層したりしてもよく、その際にそれらの間にスペーサー等を介してもよい。さらに他の部材を付加的に組み合わせてもよい。
【0007】
本明細書でいう「金型基材」とは、金型製作に際して加工が施される基材を実質的に意味しており、「金型基材の面」とは、ウェルプレート成形に際してウェルの造形に資することになる面(いわゆる「転写面」)を実質的に意味している。
【0008】
本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法は、工程(iii)として、複数の溝Aおよび複数の溝Bと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Cを金型基材の前記面(即ち、転写面となる面)に形成する工程を更に含んで成ることが好ましい。この場合、複数の溝Bが複数の溝Aに対して時計回りに0°(0°を除く)〜90°回転した向き/位置関係となるように複数の溝Bを複数の溝Aに交差させると共に、複数の溝Cが複数の溝Bに対して時計回りに0°(0°を除く)〜90°(90°を除く)回転した向き/位置関係となるように複数の溝Cを複数の溝Aおよび複数の溝Bに交差させることが好ましく、それによって、直線状に整列した複数の六角柱形状凸部を形成できる。特に、複数の溝Bが複数の溝Aに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Bを複数の溝Aに交差させ、かつ、複数の溝Cが複数の溝Bに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Cを複数の溝Aおよび複数の溝Bに交差させる場合では、直線状に整列した複数の正六角柱形状凸部を形成することができる。尚、回転させる方向は、「時計回り」に限定されるものではなく、「反時計回り」であっても本発明の態様および効果の点では実質的な相違がないことに留意されたい。
【0009】
本発明では、上述の製造方法によってウェルプレート成形用金型が提供される。かかる金型は、直線状に整列した複数(特に多数)の多角柱形状凸部を有して成り、隣接する多角柱形状凸部の間の溝部分が直線状になっていることを特徴としている。特に、複数の溝Bが複数の溝Aに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Aと複数の溝Bとが交差し、かつ、複数の溝Cが複数の溝Bに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Bと複数の溝Cとが交差する場合では、多角柱形状凸部が正六角柱形状を有し得る。
【0010】
更に、本発明では、上述の金型を用いたウェルプレートの製造方法も提供される。かかる製造方法では、上述のウェルプレート成形用金型に対して原料樹脂を供給し、金型の多角柱形状凸部の型/形状を原料樹脂に転写することによって多角柱形状凸部に相補的な形状のウェルを複数形成することを特徴としている。特に好適な態様では、射出成形法、インプリント法またはナノインプリント法によって上記転写を行う。
【0011】
更に、本発明では、上述のウェルプレートの製造方法によって得られるウェルプレートも提供される。かかるウェルプレートは、直線状に整列した複数(特に多数)の多角柱形状ウェルを有して成り、隣接するウェルの間のウェル壁部が直線状に整列していることを特徴としている。特に、ウェルプレートの製造方法に用いる金型が「複数の溝Bが複数の溝Aに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Bが複数の溝Aと交差し、かつ、複数の溝Cが複数の溝Bに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Cが複数の溝Aおよび複数の溝Bと交差する」条件で製造されたものである場合、即ち、用いられる金型の転写面に「直線状に整列した複数(特に多数)の六角柱形状凸部(好ましくは正六角柱形状凸部)」が設けられている場合、ウェルプレートのウェルが六角柱形状(好ましくは正六角柱形状)を有することになる。
【0012】
尚、上述の「ウェルプレート成形用金型の製造方法」、「ウェルプレート成形用金型」、「ウェルプレート成形用金型を用いるウェルプレートの製造方法」および「ウェルプレート」は、全て「金型製作に際して、相互に平行に整列した複数の溝を向きを変えて数回重ね合わせて形成する」という「特別な技術的特徴」に起因して為されたものであり、これらの発明は、単一の一般的発明概念を形成する連関した技術的関係を有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、微小ウェルを多数有するウェルプレートを比較的簡易に得ることができる。つまり、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法では、相互に平行に整列した複数の溝を向きを変えて数回形成することによってウェルの造形に資する凸部を多数形成するので、金型をより簡易に製造することができ、結果的に金型のコストを低減させることができる。
【0014】
一般的に、ウェルプレートのウェル形成領域が大きくなると、実際の用途においてウェルプレートの取り扱いが不便になる。従って、ウェルの数を大量に増やす場合にはウェルの大きさを小さく微細にするのが一般的に好ましいとされるが、このようにウェルが微細になると本発明の効果が特に顕著となる。例えば、形成される各ウェルの開口径が概ね1mm以下の場合に本発明の効果が顕著となり得、開口径が概ね0.5mm以下では更に顕著となり得る。これは、金型製作に際して多数の微細ウェルに対応するように短く深い溝を個々に切削加工するのは一般的に困難であるところ、本発明では、金型の転写面となる面に長い直線状の溝を加工することによって微細ウェルに対応した多数の凸部を簡易に作成できることに起因している。換言すれば、本発明における金型製作は、複雑な形状の加工を伴わず、直線状の溝の加工のみを行うので、加工が非常に容易であるといえる。
【0015】
また、例えば80mm×120mmの面に1万個の六角柱形状ウェルを備えたウェルプレートを製造する場合、わずか340本程度の溝を金型基材の転写面に加工するだけで、ウェルの造形に資する1万個の凸部を備えた金型を簡易に製作することができ、かかる凸部を1つ1つ機械加工する場合と比べて加工回数を相当に減らすことができる。
【0016】
このように、本発明では、ウェルプレート成形用金型を低コストで製作できるので、結果的に、製品たるウェルプレートのコストを下げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明をより詳細に説明する。まず、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法およびそれによって得られる本発明のウェルプレート成形用金型について説明を行い、その後、本発明のウェルプレート製造方法およびそれによって得られるウェルプレートについて説明を行う。
【0018】
本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法は、直線状に整列した複数の多角柱形状凸部を有して成る金型を製造する方法である。例えば、遺伝子解析、発現解析、蛋白解析、抗原・抗体反応解析または細胞解析等の用途に用いるウェルプレートを成形するための金型を製造する場合、多角柱形状凸部の数は、好ましくは2500〜1億個、より好ましくは1万〜5千万個、更に好ましくは5万〜1千万個となり得る。
【0019】
まず、工程(i)では、図1(a)に示すように、相互に平行に整列した複数の溝Aが金型のキャビティ基材「即ち、上述の「金型基材」のことであり、以下では「金型キャビティ基材」とも称す」の面に形成される。用いられる金型キャビティ基材は、加工が施されることにより金型を形作ることができるものであれば、いずれの材料および形状から成るものであってもよい。例えば、工業製品の金型材料として一般的に用いられる合金工具鋼、プリハードンド鋼高合金工具鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、鋳鋼、高速度工具鋼または超硬合金などの材料から成る平板またはブロック部材を金型キャビティ基材として用いることができる。尚、金型キャビティ基材として、市販されている金型用の標準部品(例えば日本工業規格JISに基づいた標準部品)を用いてもよい。例えば図3に示すような平板またはブロック状の金型キャビティ基材の場合、ウェルプレート1枚分の金型キャビティ基材のサイズは、特に制限するわけではないが、横長さL5mm〜300mm、縦長さW5mm〜250mm、厚さT5mm〜100mmであることが好ましい。なお、特定の範囲内にのみ溝を形成し、周囲に平坦部や別の構造を設ける場合には、溝加工する領域を有する部材aを作製すると共に、かかる部材aに相当するサイズの穴を備えた部材bを別途作製し、部材aを「入れ子」として、その周囲に部材bを組み合わせて設けてもよい。
【0020】
「相互に平行に整列した複数の溝A」の形成には、切削加工、研削加工、放電加工またはレーザー加工など、工業製品の金型製作に一般的に用いられている加工法を用いてよい。例えば、円盤形状の外周刃が回転する研削工具(例えば、半導体ウエハなどの被加工物をダイ状に切断するのに用いられる「ダイサー」または「スライサー」などと呼ばれる機器/工具)を用いて溝Aを形成することができる(図4参照)。また、バイトまたはエンドミル等の切削工具を用いても溝Aを形成することができる。尚、必要に応じて、溝加工に際して生じ得るバリなどを除去すべく研磨処理などの仕上げ加工を行ってもよい。
【0021】
溝Aは、相互に平行に整列して複数形成されるが、ここでいう「相互に平行に整列」とは、複数の溝が規則正しく同様に並んでいる態様を実質的に意味しており、「平行」が好ましいものの、平行から僅かにずれた態様であってもかまないことに留意されたい。形成する溝Aの個数は、特に制限はないが、好ましくは50〜10000本程度、より好ましくは100〜7000本程度、更に好ましくは200〜3000本程度である。
【0022】
形成する溝の断面形状には、特に制限はなく、例えば、溝Aが図5(a)に示すような角溝であってよい。尚、金型はウェルプレート成形に繰り返して使用され、離型性に優れたものであることが望まれるので、溝Aが図5(b)に示すようなテーパー/勾配付き溝であってもよく、浅い形状が望ましい場合等には大きな勾配の溝であってもよい。テーパー付き溝の場合、図5(b)に示す角度α(即ち、いわゆる「抜き勾配」)は、好ましくは0.1°〜80°であり、より好ましくは1°〜65°であり、更に好ましくは5°〜35°である。特に、形成すべきウェルの個数が多く(即ち、金型の多角柱形状凸部の個数が多く)、離型時の抵抗(即ち、金型と成形されたウェルプレートとの間の摩擦抵抗)が大きくなる場合では、角度αを大きくすることによって、抜き抵抗を減じることができる。
【0023】
形成する溝の深さGは、好ましくは1μm〜2mm、より好ましくは2〜500μm、更に好ましくは5〜100μmである(図5参照)。また、形成される溝の幅Gは、好ましくは10μm〜1mm、より好ましくは15〜500μm、更に好ましくは20〜300μmである(図5参照)。尚、かかる溝の幅Gの下限値については、溝形成に用いる工具(以下では「溝形成工具」ともいう)の性能に依存し、例えば、ダイサーまたはスライサーなどと呼ばれる研削工具を使用する場合、円盤形状の外周刃に依存している。形成される複数の溝において隣接する溝間隔Gsp(図1(a)参照)は、好ましくは10μm〜1mm、より好ましくは15〜500μm、更に好ましくは20〜300μmである。尚、かかる溝間隔については、図1(a)に示すように、隣接する溝の間隔がどれも実質的に同じであることが好ましい。溝の長さGは、「金型キャビティ基材の面の寸法」および「溝の向き」等に依存するものであり、特に限定できるものではないが、例を挙げると、図1(a)に示すように「金型キャビティ基材の面」を横断すべく「金型キャビティ基材の面」の一方の端部付近から対向する他方の端部付近にまで延在する長さが好ましい。尚、後述で詳細に説明するが、特に直線状に整列した複数の六角柱形状凸部(好ましくは正六角柱形状凸部)を形成する場合、溝幅Gが「隣接する溝の間隔Gsp」の1/2以上となることが好ましい(図1(a)参照)。
【0024】
工程(ii)では、複数の溝Aと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Bが金型キャビティ基材の面に形成される(図1(b)参照)。形成される複数の溝Bは、その向き(延在方向)が溝Aの向きと異なること以外は、溝Aと同様であることが好ましい。即ち、溝Bの加工法、個数、断面形状、抜き勾配、溝深さ、溝幅、溝間隔、溝長さ、隣接する溝の間隔と溝幅との関係などが溝Aと同様であることが好ましい。なお、必要に応じて、溝Bを溝Aと異なるように形成してもよいが、同じ操作を溝Aおよび溝Bの形成に用いる方が簡易であり、時間的およびコスト的にも好ましいので、その点を重視すると溝Bの仕様は溝Aの仕様と同じが好ましい。
【0025】
複数の溝Bを複数の溝Aに対して交差させるには、溝形成工具と金型キャビティ基材とを相対的に回転させ、その後、複数の溝Bを形成することによって行うことが好ましい。例えば、工程(i)の後、溝形成工具の向きはそのままで、金型キャビティ基材を0°(0°を含まず)〜180°(180°を含まず)時計回りまたは反時計回りに回転させることによって、溝形成工具と金型キャビティ基材とを相対的に回転させることができる。
【0026】
以上の工程(i)および工程(ii)を実施することによって、図6に示すような四角柱形状凸部(好ましくは菱形柱状凸部)を複数有した金型を得ることができる。かかる金型は、図示するように、直線状に整列した複数の四角柱形状凸部を有して成り、隣接する四角柱形状凸部の間の溝部分が直線状に形成されていることを特徴とする。尚、溝Aおよび溝Bをテーパー付き溝として形成した場合、四角柱形状凸部(即ち、多角柱形状凸部)は、頂部から底部に向かって徐々に拡がるテーパー形状を有している。
【0027】
本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法では、工程(i)および工程(ii)に引き続いて、工程(iii)として、複数の溝Aおよび複数の溝Bと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Cを金型キャビティ基材の面(即ち「転写面」)に形成する工程を更に含むことが好ましい(図1(c)参照)。この場合、形成する複数の溝Cは、その向き(延在方向)が溝Aの向きおよび溝Bの向きと異なること以外は、溝Aおよび/または溝Bと同様であることが好ましい。即ち、溝Cの加工法、個数、断面形状、抜き勾配、溝深さ、溝幅、溝間隔、溝長さ、隣接する溝の間隔と溝幅との関係などが溝Aおよび/または溝Bと同様であることが好ましい。なお、必要に応じて、溝Cを溝Aおよび/または溝Bと異なるように形成してもよいが、同じ操作を溝A、溝Bおよび溝Cの形成に用いる方が簡易であり、時間的およびコスト的にも好ましいので、その点を重視すると溝Cの仕様は溝Aおよび溝Bの仕様と同じが好ましい。
【0028】
工程(ii)と同様、複数の溝Cを複数の溝Aおよび溝Bに対して交差させるには、溝形成工具と金型キャビティ基材とを相対的に回転させ、その後、複数の溝Cを形成することによって行うことが好ましい。例えば、工程(ii)の後、溝形成工具の向きはそのままで、金型キャビティ基材を時計回りまたは反時計回りに回転させることによって、溝形成工具と金型キャビティ基材とを相対的に回転させることができる。
【0029】
尚、複数の溝Bが複数の溝Aに対して時計回り(右回り)に0°(0°を除く)〜90°回転した向きとなるように複数の溝Bを複数の溝Aと交差させ、また、複数の溝Cが複数の溝Bに対して時計回りに0°(0°を除く)〜90°(90°を除く)回転した向きとなるように複数の溝Cを複数の溝Aおよび複数の溝Bと交差させることが好ましい。これによって、六角柱形状凸部を金型の転写面に形成することができる。特に、図1(a)〜図1(c)に示すように、複数の溝Bが複数の溝Aに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Aと複数の溝Bとを交差させ、また、複数の溝Cが複数の溝Bに対して時計回りに60°回転した向きとなるように複数の溝Bと複数の溝Cとが交差させることによって、図2および図7に示すように、六角柱形状凸部または正六角柱形状凸部を複数備えた金型を得ることができる。つまり、各凸部の横断面の頂角の各々が約120°(例えば120°±10°または120°±5°)となった金型を得ることができる。かかる金型も、上述の四角柱形状凸部を有する金型と同様、直線状に整列した複数の六角柱形状凸部を有して成り、隣接する六角柱形状凸部の間の溝部分が直線状に形成されていることを特徴とする(図7参照)。尚、溝A、溝Bおよび溝Cをテーパー付き溝として形成した場合、六角柱形状凸部(即ち、多角柱形状凸部)は、頂部から底部に向かって(徐々に)拡がるテーパー/勾配形状を有している。
【0030】
ここで、正六角柱形状凸部を有する金型を用いてウェルプレートを成形した場合では、得られるウェルが正六角柱形状となるが、かかる正六角柱形状のウェルは、比較的円柱形に近い対称性を有する形状であって、各頂角が鈍角であることから、ウェル内に含まれる検体溶液などに対して不均一性の悪影響は生じにくい(具体的にいえば、例えば検体溶液のウェルへの流し込みに際する不均一や、ウェル内での検体溶液の攪拌の不均一が生じにくい)。この点を踏まえると、本発明では、金型製作に際して相互に平行な溝を3種類角度を変えて重ね合わせて形成するだけで、常套の「円柱形状の微小ウェルを多数備えたウェルプレート」と性能の点で実質的に遜色のないウェルプレートを比較的簡易に得ることができるといえる。
【0031】
図1(a)〜図1(c)および図2に示される態様は、10本×3=30本の溝加工で六角柱形状凸部を61個形成する態様(即ち、成形されたウェルプレートではウェルが61個存在する態様)である。かかる態様では、必要な溝の数は、形成される六角柱形状凸部の数(即ち六角柱形状ウェルの数)の約半分である。しかしながら、本発明では、上記態様にて(n×3)本の溝を形成すると、[n(n−2)×3/4+1]個の六角柱形状凸部(即ち六角柱形状ウェル)を形成することができるため、形成すべき六角柱形状凸部(即ち六角柱形状ウェル)の数を増やせば増やすほど必要な溝の本数が相対的に少なくなる。特に、nの値が大きければ、六角柱形状凸部(即ち六角柱形状ウェル)の個数≒(n×3/4)個となることを踏まえると、六角柱形状凸部(即ち六角柱形状ウェル)を例えば1万個製作する場合、必要な溝が約346本(ウェルの個数に対して約3.5%の値)でよく、六角柱形状凸部(即ち六角柱形状ウェル)を例えば10万個製作する場合、必要な溝が約1095本(ウェルの個数に対して約1.1%の値)でよい。従って、必要となる六角柱形状凸部(即ち六角柱形状ウェル)の個数が多くなればなるほど、ウェルプレート成形用金型、ひいては、ウェルプレートをより低コストで製作することができる。
【0032】
尚、工程(iii)を実施する場合、隣接する溝の間隔と溝幅との関係については、溝幅Gが「隣接する溝の間隔Gsp」の1/2以上となることが特に好ましい。この理由は次の通りである。図8に示すように、溝幅Gが「隣接する溝の間隔Gsp」の1/2以下となってしまうと、整列した六角柱形状凸部の隙間に、三角形状凸部が形成されてしまうからである(特に図8(b)を参照のこと)。換言すれば、溝幅Gが「隣接する溝の間隔Gsp」の1/2以下の場合、図8に示すように、六角柱形状凸部に隣接して溝Aと溝Bと溝Cとで囲まれた領域に三角形状の「加工残り」が生じてしまい、六角柱形状凸部のみが存在した金型を得ることができなくなってしまう。それゆえ、かかる金型を用いてウェルプレートを成形したとしても、異なる形状のウェルが並存したウェルプレートが出来上がることになり、ウェルプレートとして好ましくない。尚、「溝幅Gが隣接する溝の間隔Gspの1/2以上である」とは、ウェルプレートの視点からみると、「ウェル壁部の厚さがウェル径の1/2以上となる」ことを実質的に意味している。
【0033】
次に、本発明のウェルプレート製造方法およびそれによって得られるウェルプレートについて説明を行う。本発明のウェルプレート製造方法は、上述の本発明のウェルプレート成形用金型を用いて、ウェルプレートを製造する方法である。即ち、「直線状に整列した複数の多角柱形状凸部を有して成り、隣接する多角柱形状凸部の間の溝部分が直線状に形成されているウェルプレート成形用金型」に対して原料樹脂を供給し、多角柱形状凸部に相補的な形状のウェルを形成することを特徴としている。好ましくは、射出成形法、インプリント法またはナノインプリント法によってウェルプレートを製造する。尚、ここでいう「インプリント法」は、原料となる材料または基材を金型に押し付けることによって、金型の凸部の型/形状をかかる材料または基材に写し取る成形法を意味しており、「ナノインプリント法」とは、ナノオーダーまたはミクロンオーダーの凸部の型/形状を写し取るインプリント法を意味している。
【0034】
用いる原料樹脂は、特に制限されるものではなく、例えば一般の転写方式の成形において使用される樹脂を利用することができる。この場合、形成されるウェル形状、ウェルプレート形状、成形手法、アプリケーション等の種々の条件に応じて最適な樹脂を適宜選択すればよい。一般的には、型の転写時において良好な流動性を有すると共に、離型時に成形品が割れることなく容易に金型から離型できる樹脂が望ましいといえる。例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂およびUV硬化樹脂から成る群から選択される少なくとも1種以上の樹脂を原料樹脂(硬化前にはモノマーまたはオリゴマーであるものも含む)として用いることができる。
【0035】
例えば、射出成形法によってウェルプレートを製造(成形)する場合には、次の通りとなる。まず、図9に示すように、「金型(本発明のウェルプレート成形用金型、溝形成した入れ子部材)100a」と「金型(本発明のウェルプレート成形用金型、周囲部材)100b」と「金型200」との組合せを有して成る射出成形装置を用意する(図11には、本発明のウェルプレート成形用金型の「入れ子部材100a」と「周囲部材100b」との組合せを展開した態様を斜視図により模式的に示す)。もちろん「入れ子」構造とはせずに一体構造の金型を用いてもよい。次いで、加熱により溶融させた原料樹脂を、射出ゲート201を介してウェルプレート成形用金型100a/bと金型200との隙間に流し込む(即ち、射出充填を行う)。次いで、金型100a/bと金型200からの冷却によって原料樹脂を硬化させ、固化させる(例えば金型に対して冷却水を供することによって冷却を行う)。原料樹脂が固化した後は、成形品の離型を行う。例えば、図10に示すように、金型100a/bを動かして、必要であれば突き出しピンで押し出すことによって、固化により成形された「ランナー部分300aを備えたウェルプレート300」を離型させる。最終的には、ランナー部分300aを切断除去することによって、ウェルプレート300を得ることができる。
【0036】
インプリント法またはナノインプリント法によってウェルプレートを製造する場合には、「ホットエンボス成形法(2T法)」または「UV硬化樹脂成形法(2P法)」などを用いてもよい。「ホットエンボス成形法(2T法)」では、加熱することによって軟らかくなったウェルプレート基材を金型に押し付け、金型の多角柱形状凸部の型/形状をウェルプレート基材に転写することによって、ウェルプレートが製造される。また、「UV硬化樹脂成形法(2P法)」では、UV硬化樹脂から成るウェルプレート基材を金型に押し付け、金型の多角柱形状凸部の型/形状をウェルプレート基材に転写した後、紫外線を照射してUV硬化樹脂を硬化させることによってウェルプレートが製造される。
【0037】
金型製作からウェルプレート成形に至るまでを一連の工程として捉えると、本発明のウェルプレートの製造方法は、以下の工程を含んで成る:
(i)金型基材の面に対して、相互に平行に整列した複数の溝Aを形成する工程、
(ii)複数の溝Aと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Bを金型基材の前記面に形成する工程、
(iii)必要に応じて、複数の溝Aおよび複数の溝Bと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Cを金型基材の前記面に形成する工程、
(iv)前記工程(i)〜(iii)で得られた「直線状に整列した複数の多角柱形状凸部を有して成る金型」が組み込まれた成形装置を用意する工程、および
(v)原料樹脂またはウェルプレート基材を前記金型に供して、金型の多角柱形状凸部の型/形状を原料樹脂またはウェルプレート基材に転写する工程。
【0038】
上述の「本発明のウェルプレートの製造方法」で得られるウェルプレートは、直線状に整列した複数の多角柱形状ウェルを有して成り、隣接するウェルの間のウェル壁部が直線状に整列していることを特徴としている。かかるウェルプレートの多角柱形状ウェルの個数は、用いられる金型の多角柱形凸部の数に依存するが、例えば横長さL5mm〜200mm(好ましくは10mm〜100mm)、縦長さW5mm〜200mm(好ましくは10mm〜100mm)、厚さT0.1mm〜20mm(好ましくは0.5mm〜10mm)の寸法を有したウェルプレート(遺伝子解析、発現解析、蛋白解析、抗原・抗体反応解析または細胞解析等の用途に用いるウェルプレート)の場合、多角柱形状ウェルの数は、好ましくは2500〜1億個、より好ましくは1万〜5千万個、更に好ましくは5万〜1千万個となり得る。
【0039】
上記のウェルプレート成形用金型の製造方法の工程(i)および工程(ii)を実施することによって得られる「図6に示すような四角柱形状凸部(好ましくは菱形柱状凸部)を複数有した金型」を用いてウェルプレート成形すると、図12に示すように、「直線状に整列した四角柱形状(好ましくは菱形柱状)のウェルを複数有して成り、隣接するウェルの間のウェル壁部が直線状に整列しているウェルプレート」を得ることができる(特に図12ではウェル壁部が直線状に整列していることを示す点線が表されている)。
【0040】
また、上記のウェルプレート成形用金型の製造方法の工程(i)、工程(ii)および工程(iii)を実施することによって得られる「図7または図2に示すような正六角柱形状凸部を複数有した金型」を用いてウェルプレート成形すると、図13に示すように、「直線状に整列した正六角柱形状のウェルを複数有して成り、隣接するウェルの間のウェル壁部が直線状に整列しているウェルプレート」を得ることができる(特に図13ではウェル壁部が直線状に整列していることを示す点線が表されている)。
【0041】
尚、用いられる金型の多角柱形状凸部が「頂部から底部に向かって徐々に拡がるテーパー形状」を有している場合には、それに応じて、ウェルプレートの多角柱形状ウェルがテーパー形状を有している。つまり、多角柱形状ウェルの各々が、底部から開口端部に向かって徐々に拡がるテーパー形状を有している。多角柱形状ウェルがテーパー形状を有する場合、そのテーパー角度は、金型に形成された凸部の上記抜き勾配(角度α)に相当し得ることを理解されよう。
【0042】
本発明のウェルプレートは、形成されているウェルが微小ウェルであるという特徴を有している。例えば、「図12に示すように直線状に整列した複数の四角柱形状ウェル」または「図13に示すように直線状に整列した複数の正六角柱形状ウェル」の場合、ウェル径Lsec(図14参照)は、好ましくは2μm〜1mmであり、より好ましくは5μm〜500μmであり、更に好ましくは10μm〜300μmである。尚、ここでいう「ウェル径Lsec」とは、ウェルの深さ方向に直交する面でウェルを切断した場合の切断面において対向辺の間の長さを実質的に意味している。特に、テーパー形状のウェルの場合では、切断面が一番大きくなる頂部切断面(=プレート表面に位置する開口端部)における対向辺の間の長さを実質的に意味している。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることは当業者には容易に理解されよう。例えば、上述の実施態様では、四角柱形状(好ましくは菱形柱状)の凸部を多数備えた金型、即ち、四角柱形状(好ましくは菱形柱状)のウェルを多数備えたウェルプレートについて説明すると共に、六角柱形状(好ましくは正六角柱形状)の凸部を多数備えた金型、即ち、六角柱形状(好ましくは正六角柱形状)のウェルを多数備えたウェルプレートについて説明したが、「相互に平行に整列した複数の溝の向き(延在方向)を種々に変更すること」および/または「相互に平行に整列した複数の溝を更に角度を変えて形成すること」によって、凸部の形状を種々に変えることができる。換言すれば、種々の形状の多角柱凸部を多数備えた金型、即ち、種々の形状の多角柱ウェルを多数備えたウェルプレートを製造することができる。例えば、三角柱形状(好ましくは正三角柱形状)の凸部を多数備えた金型、即ち、三角柱形状(好ましくは正三角柱形状)のウェルを多数備えたウェルプレートが可能であり、更には、八角柱形状の凸部を多数備えた金型、即ち、八角柱形状のウェルを多数備えたウェルプレートなども可能である。
【0044】
また、上記説明では、「溝Aの向きに対して時計回りに回転させた向きに溝Bが形成される」および「溝Bの向きに対して時計回りに回転させた向きに溝Cが形成される」などの表現に代表されるように「時計回りの回転」が主として前提となっているが、本発明は「反時計回りの回転」の態様であってもかまわない。例えば、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法では、複数の溝Bが複数の溝Aに対して反時計回りに0°(0°を除く)〜90°回転した向き/位置関係となるように複数の溝Bを複数の溝Aに交差させると共に、複数の溝Cが複数の溝Bに対して反時計回りに0°(0°を除く)〜90°(90°を除く)回転した向き/位置関係となるように複数の溝Cを複数の溝Aおよび複数の溝Bに交差させてもよい。
【実施例】
【0045】
本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法を実施することによって、ウェルプレート用金型を製造すると共に、かかる金型を用いて本発明のウェルプレートの製造方法を実施した。
【0046】
(金型の製造)
以下に示す製造条件で6300個の正六角柱形状凸部(高さ:35μm、対辺間距離:35μm)を有する金型を製造した。尚、相互に平行な複数の溝は、3種類角度を変えて重ね合わせて形成した(即ち、「複数の溝A」「複数の溝B」および「複数の溝C」を形成した)。

金型基材の寸法:[入れ子]横長さL8mm、縦長さW8mm、厚さT15mm
金型基材の材質:超硬材
溝の加工法:研削加工
溝加工機:ダイサー
溝Aと溝Bとの位置関係:溝Bが溝Aに対して60°時計回りに回転した向きで溝Aと溝Bとが交差
溝Bと溝Cとが位置関係:溝Cが溝Bに対して60°時計回りに回転した向きで溝Bと溝Cとが交差
・ 溝の形状:角溝
溝の本数:合計375本(溝A85本、溝B145本、溝C145本)
溝間隔:94μm
溝幅:50μm
溝長さ40mm
【0047】
得られた金型の電顕写真を図15および図16に示す。かかる電顕写真から、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法で得られる金型は、直線状に整列した複数の正六角柱形状凸部を有して成り、隣接する正六角柱形状凸部の間の溝部分が直線状に形成されていることを理解できるであろう。
【0048】
(ウェルプレートの成形)
得られた金型を用いて以下の条件で射出成形法によりウェルプレートを製造した。ウェルプレートの原料樹脂としてはポリカーボネートを用いた。その結果、6300個の正六角柱形状の微小ウェル(ウェル深さ40μm、ウェル径:44μm)が形成されたシート状のウェルプレート(ウェル形成部分:横長さL8mm、縦長さW8mm、厚さT1mm、プレート全体:横長さL76mm、縦長さW26mm、厚さT1mm)を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法では、バイオ分野・医療分野の計測または検査等に用いるデバイスのための金型を製造することができる。特に、本発明で得られる金型を用いれば、遺伝子解析、発現解析、蛋白解析、抗原・抗体反応解析または細胞解析等の用途に供される「微小なウェルを多数備えたウェルデバイス」を結果的に低コストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1(a)】図1(a)は、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法の工程を模式的に示した金型基材の上面図。
【図1(b)】図1(b)は、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法の工程を模式的に示した金型基材の上面図。
【図1(c)】図1(c)は、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法の工程を模式的に示した金型基材の上面図。
【図2】図2は、正六角柱形状凸部を有する金型を模式的に示した上面図。
【図3】図3は、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法に用いられる金型基材を模式的に示した斜視図。
【図4】図4は、溝形成に用いられるダイサーを模式的に示した斜視図。
【図5】図5は、溝の断面形状を模式的に示した図。
【図6】図6は、本発明のウェルプレート成形用金型(四角柱形状凸部を備えた金型)を示した模式的斜視図。
【図7】図7は、本発明のウェルプレート成形用金型(六角柱形状凸部を備えた金型)を示した模式的斜視図。
【図8】図8は、金型基材に形成される溝を模式的に示した上面図。
【図9】図9は、本発明のウェルプレートの製造方法において射出成形時の態様を模式的に示した図。
【図10】図10は、本発明のウェルプレートの製造方法において離型時の態様を模式的に示した図。
【図11】図11は、本発明のウェルプレート成形用金型の「入れ子部材100a」と「周囲部材100b」との組合せを展開した態様を模式的に示した斜視図。
【図12】図12は、本発明のウェルプレート(四角柱形状ウェルを備えた金型)を示した模式的斜視図。
【図13】図13は、本発明のウェルプレート(六角柱形状ウェルを備えた金型)を示した模式的斜視図。
【図14】図14は、ウェル径を示したウェルの模式的上面図。
【図15】図15は、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法を実施することによって得られた金型の電子顕微鏡写真(上面から撮影した写真)。
【図16】図16は、本発明のウェルプレート成形用金型の製造方法を実施することによって得られた金型の電子顕微鏡写真(斜視方向から撮影した写真)。
【符号の説明】
【0051】
10…金型基材または金型キャビティ基材、50…ダイサー、75…ダイサーの溝形成工具、100a…金型(本発明のウェルプレート成形用金型、溝形成した入れ子部材)、100b…金型(本発明のウェルプレート成形用金型、周囲部材)、150…多角柱形状凸部、200…金型(金型100a・100bと組み合わせて用いられる金型)201…射出ゲート、300…ウェルプレート、300a…ランナー部分、350…ウェル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に整列した複数の多角柱形状凸部を有して成るウェルプレート成形用金型を製造する方法であって、
(i)金型基材の面に対して、相互に平行に整列した複数の溝Aを形成する工程、および
(ii)前記複数の溝Aと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Bを前記金型基材の前記面に形成する工程
を含んで成る製造方法。
【請求項2】
(iii)前記複数の溝Aおよび前記複数の溝Bと交差するように、相互に平行に整列した複数の溝Cを前記金型基材の前記面に形成する工程
を更に含んで成ることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記複数の溝Bが前記複数の溝Aに対して時計回りに0°(0°を除く)〜90°回転した向きとなるように前記複数の溝Bが前記複数の溝Aと交差しており、また
前記複数の溝Cが前記複数の溝Bに対して時計回りに0°(0°を除く)〜90°(90°を除く)回転した向きとなるように前記複数の溝Cが前記複数の溝Aおよび前記複数の溝Bと交差していることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記複数の溝Bが前記複数の溝Aに対して時計回りに60°回転した向きとなるように前記複数の溝Bが前記複数の溝Aと交差し、前記複数の溝Cが前記複数の溝Bに対して時計回りに60°回転した向きとなるように前記複数の溝Cが前記複数の溝Aおよび前記複数の溝Bと交差しており、前記多角柱形状凸部が六角柱形状を有することを特徴とする、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記複数の溝A、前記複数の溝Bおよび/または前記複数の溝Cにおける、溝幅が10μm〜1mmであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程(ii)において、前記溝の形成に用いる工具と前記金型基材とを相対的に回転させ、その後、前記複数の溝Bを形成することによって、前記複数の溝Bを前記複数の溝Aと交差させる、および/または、
前記工程(iii)において、前記溝の形成に用いる工具と前記金型基材とを相対的に回転させ、その後、前記複数の溝Cを形成することによって、前記複数の溝Cを前記複数の溝Aおよび前記複数の溝Bと交差させることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られるウェルプレート成形用金型であって、
直線状に整列した複数の多角柱形状凸部を有して成り、隣接する前記多角柱形状凸部の間に形成された溝部分が直線状に形成されていることを特徴とするウェルプレート成形用金型。
【請求項8】
前記多角柱形状凸部が六角柱形状を有していることを特徴とする、請求項7に記載のウェルプレート成形用金型。
【請求項9】
前記多角柱形状凸部が、頂部から底部に向かって徐々に拡がるテーパー形状を有していることを特徴とする、請求項7または8に記載のウェルプレート成形用金型。
【請求項10】
前記多角柱形状凸部の個数が2500個〜1億個であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載のウェルプレート成形用金型。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載のウェルプレート成形用金型を用いて、ウェルプレートを製造する方法であって、前記ウェルプレート成形用金型に原料樹脂を供給し、前記多角柱形状凸部の型を前記原料樹脂に転写することによって前記多角柱形状凸部に相補的な形状のウェルを形成することを特徴とするウェルプレート製造方法。
【請求項12】
射出成形法、インプリント法またはナノインプリント法によって前記転写を行うことを特徴とする、請求項11に記載のウェルプレート製造方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載のウェルプレート製造方法によって得られたウェルプレートであって、
直線状に整列した複数の多角柱形状ウェルを有して成り、隣接する前記多角柱形状ウェルの間のウェル壁部が直線状に整列していることを特徴とするウェルプレート。
【請求項14】
前記多角柱形状ウェルが六角柱形状を有していることを特徴とする、請求項13に記載のウェルプレート。
【請求項15】
前記多角柱形状ウェルのウェル径が2μm〜1mmであることを特徴とする、請求項13または14に記載のウェルプレート。
【請求項16】
前記多角柱形状ウェルの個数が2500個〜1億個であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載のウェルプレート。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−107128(P2009−107128A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278785(P2007−278785)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】