エンコーダ
【課題】 微少な移動量を検出でき、検出能力が低下しないエンコーダを提供する。
【解決手段】 光源2と、光源2からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子3と、光源2と受光素子3との間に固定した、定ピッチTのスリット4の列が設けられた固定スケール5と、光源2と受光素子3との間で被検物と共に移動し、固定スケール5と同じピッチTのスリット6の列を有する移動スケール7とからなるエンコーダ1であって、光源2と固定スケール5または移動スケール7との間と、受光素子2と固定スケール5または移動スケール7との間との少なくともいずれかに、光を透過する透過開口8,10を設けた開口板9,11を有する。
【解決手段】 光源2と、光源2からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子3と、光源2と受光素子3との間に固定した、定ピッチTのスリット4の列が設けられた固定スケール5と、光源2と受光素子3との間で被検物と共に移動し、固定スケール5と同じピッチTのスリット6の列を有する移動スケール7とからなるエンコーダ1であって、光源2と固定スケール5または移動スケール7との間と、受光素子2と固定スケール5または移動スケール7との間との少なくともいずれかに、光を透過する透過開口8,10を設けた開口板9,11を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に移動量を検出するエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レンズにより平行な光線を発する光源と、光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する光検出器(受光素子)と、光源と受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダが記載されている。
【特許文献1】特開平08−54258号公報
【0003】
点光源とレンズを用いれば、特許文献1のように平行な光線が得られる。しかし、実際の微少量を検出するエンコーダにおいて、発光ダイオード(LED)などで構成される光源は、無視できない面積から拡散光を発する平面状の光源であり、レンズによって平行光線を得ることは困難である。
【0004】
図17に平面光源を用いた従来のエンコーダ31を示す。従来のエンコーダ31は、発光ダイオード32と、発光ダイオード32に正対して受光した光の強度に比例した電流を出力するフォトダイオード(PD)33と、所定のピッチTで1/2ピッチ(1/2T)幅のスリット34の列が設けられた格子状の固定スケール35と、固定スケール35と同じピッチTで同じ幅のスリット36の列が設けられた移動量を測定すべき被検物と共に移動する移動スケール37とからなっている。
【0005】
仮に発光ダイオード32が理想的な平行光線を発生すると仮定すると、移動スケール37が固定スケール35と1/2ピッチずれた状態では発光ダイオード32が発した光は全て遮光され、フォトダイオード33は光を受光しないので出力が0になる。移動スケール37を移動すると、移動スケール37の位相が固定スケール35と一致するまでは移動量に比例してフォトダイオード33に到達する光量が増加し、さらに移動すると、フォトダイオードに到達する光量が移動量に反比例して減少する。つまり、理想的には、エンコーダ31の出力は、図18のグラフに破線で示すように、最小値0で周期がスリット34,36のピッチTに一致する三角波になる。
【0006】
しかしながら、実際の発光ダイオード32は、斜め方向にも光を発生しており、図17に矢印で示すように、移動スケール37が固定スケール35と1/2Tずれた状態でも、斜め方向の光がフォトダイオード33に到達する。また、発光ダイオード32は、幅が2.5Tあり、一端は固定スケール35のスリット34の中央に正対しているが、他端はスリット34が設けられていない部分の中央に正対しているので、エンコーダ31は、事実上、幅1/4Tのスリットが設けられているのと同じである。幅1/4Tのスリットは、幅1/2Tのスリット34を透過する光とピーク位置が1/8Tずれた台形波形を主とする光量の光を透過するため、フォトダイオード33全体の出力に歪みを与える。このため、出力波形は、図18に示すように、非対称な歪んだ波形となるので移動スケール37の位置を容易に算出することができない。
【0007】
さらに、斜め方向にフォトダイオード33に到達する光量は、固定スケール35と移動スケール37との間隔が大きくなるほど多くなるが、固定スケール35と移動スケール37とは相対移動するので、間隔を0にすることは不可能であり、固定スケール35と移動スケール37との隙間の個体差によるバラツキが発光ダイオード32やフォトダイオード33の幅に比べて無視できない大きさになり、演算によって波形を補正するのは不可能である。
【0008】
このようなエンコーダ31では、出力を閾値と比較して出力が閾値を越えるたびに、移動スケール37の位置を表す値を一定量増減する。つまり、スリット34の1ピッチ分の長さTが検出できる最小単位になり、加工上の制約から十分に分解能を高くできないという問題がある。さらに、発光ダイオード32が発する光量やフォトダイオード33の受光量に対する出力は、環境温度によって変動したり経年変化する。このため、図18に示すように、フォトダイオード33の出力が低下したとき、ピーク時においても設定した閾値を越えなくなり、移動スケール37の移動を検出できないという問題が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、微少な移動量を検出でき、検出能力が低下しないエンコーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明によるエンコーダの第1の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との少なくともいずれかに、光を透過する透過開口を設けた開口板を有するものとする。
【0011】
この構成によれば、開口板が光源から受光素子に達することができる光の経路を制限して、斜め方向に受光素子に到達しようとする光を遮光するので、受光素子の出力が理想的な三角波に近い波形になる。
【0012】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との両方に、それぞれ、前記開口板を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、光源側と受光素子側の両方で光の経路を制限するので、斜め方向の光を遮断する能力が高く、より線形性の高い出力が得られる。
【0014】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間とのいずれか一方に、前記開口板を2つ以上有してもよい。
【0015】
この構成によれば、光源や受光素子と共に取り付ける開口板と、固定スケールに対して高精度に取り付ける開口板とを設けることで、斜め方向の光を効果的に遮断して線形性の高い出力が得られる。
【0016】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、前記スリットのピッチの整数倍の幅であってもよい。
【0017】
この構成によれば、有効な光の経路の両端に実質的に幅の狭いスリットができても、両端のスリットを通過した光量を足し合わせれば、正規のスリットピッチに一致する三角波になる。このため、出力波形に歪みが生じないので、開口板の取付位置によって出力の線形性が損なわれることがない。
【0018】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、両端が前記固定スケールの前記スリットの端部に正対してもよい。
【0019】
この構成によれば、有効な光の経路が被検物の移動方向前後に対称になり、出力波形に歪みが生じない。
【0020】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口が設けられた前記開口板は、前記固定スケールに固定されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、透過開口の位置が正確に定められるので、エンコーダの出力が設計通りに線形性が高いものになる。
【0022】
また、本発明による第2の態様のエンコーダは、光源と、定ピッチのスリットの列を有する固定スケールと、被検物と共に移動し、前記スリットの列と同じピッチの光を反射する反射部の列が設けられた移動スケールと、前記光源から発せられ、前記スリットを通過して前記反射部で反射した光を受光し、受光した光の強度を検出する受光素子とからなるエンコーダであって、前記光源と前記固定スケールの間と、前記移動スケールと前記受光素子の間との少なくともいずれかに、部分的に開口した開口板を有するものとする。
【0023】
この構成によれば、移動スケールの一方に構成要素がない反射型の移動スケールであるので、移動スケールを直接被検物に固定できる。また、開口板によって光源と受光素子との中央で反射する光以外の経路を遮断するので線形性の高い出力が得られる。
【0024】
また、本発明の第1および第2の態様のエンコーダにおいて、前記透過開口の前記被検物の移動方向の幅は、前記光源および前記受光素子の少なくともいずれかの幅より狭くてもよい。
【0025】
この構成によれば、光源と受光素子との間の光の経路を被検物の移動方向に制限するので、被検物の移動方向に直角でない斜め方向の光を遮断して、線形性の高い出力が得られる。
【0026】
また、本発明の第1および第2の態様のエンコーダにおいて、前記固定スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットが設けられ、或いは、前記移動スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットまたは前記反射部が設けられ、それぞれ、いずれかの前記スリットの列を通過、或いは、いずれかの前記反射部の列で反射した光を検出する2つの前記受光素子を有してもよい。
【0027】
この構成によれば、2つの受光素子の出力は、90°位相がずれたものになり、2つの出力から、リサージュ図形を描くなどして、移動スケールがいずれの方向に移動しているかを導出することができる。
【0028】
また、本発明の第1および第2の態様のエンコーダにおいて、前記受光素子の出力を閾値処理して2値化し、2値化した出力が変化するたびに前記被検物の位置を表す数値を前記スリットの1/2ピッチの長さに相当する値だけ増減する演算を行ってもよい。
【0029】
この構成によれば、単純な2値化によってもスリットの1/2ピッチ(1/2T)の最小検出能力を得られる。
【0030】
また、本発明によるエンコーダの第3の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きく開口した透過部を有し、前記光の経路が前記透過部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットするものとする。
【0031】
この構成によれば、透過部が光源から受光素子に至る光の経路を遮らないとき、光の経路にスリットがあるときにと容易に区別できる出力が得られる。この出力が得られる位置を原点と、光源と受光素子の出力ゲインの増減を相殺するように基準値を補正して、被検物の位置を正しく検出できる。
【0032】
また、本発明によるエンコーダの第4の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きい範囲に透過性の部分がない遮蔽部を有し、前記光の経路が前記遮蔽部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットするものとする。
【0033】
この構成によれば、遮蔽部によって光源から受光素子に至る光の経路が移動スケールによって完全に遮られた状態で連続的な出力が得られるので、この出力を基に、光源と受光素子の出力ゲインの増減を相殺するように基準値を補正して、被検物の位置を正しく検出できる。
【0034】
また、本発明によるエンコーダの第5の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記受光素子の出力を閾値と比較して2値化し、前記移動スケールが等速移動しているときに、前記2値の出力時間が等しくなるように前記閾値を変更するものとする。
【0035】
この構成によれば、被検物を移動させる駆動手段が定常状態で駆動しているときに、エンコーダの出力が閾値以上となる時間と、閾値以下となる時間が等しくなるように閾値の値を変更するので、エンコーダのゲインが低下したときも、出力が閾値と等しくなる移動スケールの位置は、スリットのピッチTの1/2毎の位置になる。このため、光源や受光素子のゲインの変化によって検出する位置が変化しない。
【0036】
また、本発明によるエンコーダの第6の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記最小値と最大値の間の1つ以上の中間値を設定し、前記受光素子の出力値を前記最小値、前記最大値および前記中間値と比較して、前記スリットのピッチより小さい長さに相当する値を算出するものとする。
【0037】
この構成によれば、受光素子の出力の最大値と最小値とを記憶して、両者の等分点などの中間値を設定し、中間値との比較において移動スケールの位置を算出することで、スリットのピッチよりも小さな移動量を検出できる。
【0038】
また、本発明によるエンコーダの第6の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記受光素子の出力値から前記最小値を引いた値を前記最大値と前記最小値の差分で除して、前記スリットのピッチ未満の長さに相当する値を算出するものとする。
【0039】
この構成によれば、移動スケールの位置と受光素子の出力の最大値と最小値との間を直線近似して、移動スケールの移動量を連続的に算出できる。
【0040】
また、本発明によるエンコーダの第8の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で駆動装置に駆動される被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、駆動装置の入力または出力を基に前記被検物の位置を表す値を算出し、前記受光素子の出力が最小値または最大値となったとき、前記算出した位置を前記スリットのピッチの1/2の整数の位置に相当する値に補正するものとする。
【0041】
この構成によれば、移動スケールを駆動する駆動装置の入力または出力から移動スケールの位置を算出しながら、受光素子の出力が最大または最小になったときに、算出した移動スケールの位置をスリットピッチに合わせて補正するので、スリットピッチ未満の位置検出においては、受光素子が受光する光量の歪みに関係なく直線的な位置を算出でき、スリットピッチ以上の位置検出においては、スリットピッチ毎に誤差を補正して正確な位置を算出できる。
【0042】
また、本発明の第1から第8の態様のエンコーダにおいて、前記固定スケールおよび前記移動スケールを柔軟な材料で構成すれば位置を検出する被検物に対する適応性が高く、前記固定スケールおよび前記移動スケールは、ステンレス材料をエッチング加工またはプレスによる打抜き加工して容易に形成することもでき、透過性のプラスチックフィルムに塗布した感光材料を感光して透過開口を有する遮光層を設けることでも容易に形成できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明のエンコーダは、光源からの光の経路を制限する開口板によって被検物の移動量に対して線形な出力を得ることができ、出力信号を処理する基準値を補正したり演算を補正するので、環境変化や経時変化による検出能力の変動がなく、微少な移動量を算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のエンコーダ1の分解斜視図である。エンコーダ1は、光源である発光ダイオード2と、発光ダイオード2に正対して受光した光の強度に比例した電流を出力する受光素子であるフォトダイオード3との間に、スリット4の列が設けられた固定スケール5が固定され、被検物と共に矢印方向に移動するスリット6の列が設けられた移動スケール7が配置され、発光ダイオード2と固定スケール5との間に、透過開口8が設けられた第1開口板9が固定され、移動スケール7とフォトダイオード3との間に、透過開口10が設けられた第2開口板11が固定されている。固定スケール5および移動スケール7は、例えばステンレス板をエッチング或いはプレスによる打抜き加工してスリット4,6の列を形成したものである。ここで、固定スケール5と移動スケール7との位置は逆であってもよい。
【0045】
図2は、エンコーダ1の断面を示す。固定スケール5のスリット4および移動スケール7のスリット6は、同じピッチTで並んで設けられた幅1/2Tの貫通穴である。第1開口板9および第2開口板11の透過開口8,10は、移動スケール7の移動方向にTの幅を有しており、中心が固定スケール5の1つのスリット4の中心に一致している。
【0046】
続いて以上の構成のエンコーダ1の出力特性と位置の算出方法について説明する。
図2に矢印で示すように、第1開口板9および第2開口板11によって発光ダイオード2からフォトダイオード3に到達可能な光の経路は、透過開口8と透過開口10を共に貫通する経路に限られる。このため、発光ダイオード2からフォトダイオード3を固定スケール5および移動スケール7のスリット4,6を通して斜め方向に見通すことができる経路の多くは、第1開口板9および第2開口板11で遮られ、ほぼ移動スケール7の移動方向に垂直な方向の光だけがフォトダイオード3に到達することができる。固定スケール5および移動スケール7を移動スケール7の移動方向に垂直な方向に見通すことができる面積、つまり、スリット4とスリット6の重なり合う面積は、移動スケール7の位相が固定スケール5の位相と同じときに最大であり、移動スケール7が固定スケール5に対して1/2Tだけずれているときに0になる。
【0047】
フォトダイオード3の出力は、図3に示すように、移動スケール7の位置に対して三角波に近い曲線を描く。発光ダイオード2から発せられてフォトダイオード3に到達する光量に比例するが、僅かながら斜め方向の光のフォトダイオード3に到達するので完全な三角波にはなっていないが、破線で示した第1開口板9および第2開口板11がない場合の出力波形に比べると、最大値の前後に対称な歪みのない波形であり、線形性の高い増減を周期的に繰り返している。よって、エンコーダ1は、フォトダイオード3の出力の最小値と最大値を記憶し、フォトダイオード3の出力値から最小値を引いた値を出力の最大値と最小値の差分で除して、ピッチT未満の長さに相当する値を算出する線形近似を行って移動スケール7の位置を精度よく算出することができる。
【0048】
また、図4に示すように、移動スケール7の位置を算出するにあたり、フォトダイオード3の出力の最大値Pmaxと最小値Pminとを記憶し、最大値Pmaxと最小値Pminを4等分する出力値を中間値Pq1,Pq2,Pq3として設定し、出力を最大値Pmax、最小値Pminおよび中間値Pq1,Pq2,Pq3と比較して、出力の1周期を8つに区分し、移動スケール7の移動距離1/8Tに相当するものとしてもよい。また、中間値は等分点でなくともよく、予め波形が分かっている場合は実際の移動距離に合致する比で最大値Pmaxと最小値Pminを分ける値に定めてもよい。
【0049】
続いて、図5に、本発明の第2実施形態のエンコーダ1aの断面を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。エンコーダ1aは、透過性の柔軟なプラスチックフィルム12からなる移動スケール13を有している。移動スケール13は、プラスチックフィルム12の表面に塗布した感光材料を感光させて定着した遮光層14を有し、遮光層14は感光する際にピッチTで幅1/2Tのマスキングをすることで開口したスリット15が形成されている。遮光層14は、また、エンコーダ1aの第1開口板9および第2開口板11の透過開口8および10は、移動スケール13の移動方向の幅が2.5Tである。さらに、エンコーダ1aは、固定スケール5の発光ダイオード2側の表面に移動方向の幅2Tの透過開口16を有する第3開口板17が貼着されている。第3開口板17は、透過開口16の端部が固定スケール5のスリット4の端部に一致するように固定されている。
【0050】
以上の構成からなるエンコーダ1aの出力特性と移動スケール13の位置の算出方法とを説明する。第3開口板17の透過開口16は、固定スケール5のスリット4と両端が一致しているので、固定スケール5のスリット4の有効幅はすべて1/2Tであり、移動スケール13のスリット15と重なり合う面積が移動スケール13の位置に対して一定の割合で増加、減少を繰り返す。このため、図6に示すように、フォトダイオード3の出力は、ピークの両側に対称な周期的な波形を示す。エンコーダ1aでは、固定スケール5に第3開口板17を貼着するので、両者の位置関係がずれないように組み立てることができる。このため、透過開口16の幅が(n+1/2)Tであれば、組立誤差により1/2Tより有効幅の狭いスリット4ができることがなく、ピークの前後に対象な出力波形が得られる。
【0051】
図7は、フォトダイオード3の出力と閾値の関係を示す。エンコーダ1aは、フォトダイオード3の出力を閾値と比較して出力を2値化する。そして2値化した出力の値が変化するたびに、移動スケール13の位置を表す数値を1/2Tに相当する値だけ増減する。また、エンコーダ1aは、移動スケール13が固定された被検物(不図示)を駆動する駆動装置(不図示)の出力または駆動装置への入力から、被検物が1周期以上の距離を定常状態に駆動されていることを検知し、その際の出力が閾値以上である時間THと、出力が閾値以下である時間TLとが同じ時間になるように閾値を補正する。よって、図示するように出力が低下したときは、閾値も低く設定される。このように、補正した閾値で出力を2値化することで、発光ダイオード2やフォトダイオード3のゲインに拘わらず、移動スケール13の1/2Tの移動を正確に検出できる。
【0052】
また、出力波形の凸部と凹部との幅に大きな差がある場合、THとTLを同じにすると出力波形の傾きが小さいときに閾値と交差することになるので検出精度が低くなるので、THとTLとの比を適切な値に維持するように閾値を補正するとよい。また、THは、出力が閾値と交差してから最大になるまでまたは出力が最大になってから閾値と交差するまでの時間を計測することで1/2THが計測でき、同様に、最小値と閾値との間の時間を計測した1/2TLとの比を適切な値にするように閾値を補正してもよい。
【0053】
さらに、フォトダイオード3の出力波形のピークが尖鋭な場合、出力が最大値または最小値であることを検出して、移動スケール13の位相が固定スケール5と一致または1/2Tずれていることを正確に検知可能である。このような場合、エンコーダ1aは、被検物を駆動する駆動装置への入力や出力パルスなどから、移動スケール13の位置を算出し、フォトダイオード3の出力の尖鋭なピーク(最大値または最小値)を検知したときに、算出した移動スケール13の位置を表す値を固定スケール5と一致する値または1/2Tずれている値に補正することで、微少な移動量を算出できるとともに、大きく移動したときにも検出精度を維持することができる。
【0054】
また、図8に、本発明の第3実施形態のエンコーダ1bを示す。本実施形態についても、第1実施形態と異なる構成要素のみ説明する。エンコーダ1bは、移動スケール7の端部に、透過開口8および透過開口10よりも十分に大きな面積を有していてスリット4や他の透過性の部分のない遮蔽部18と、透過開口8および透過開口10よりも十分に大きく開口した透過部19とが設けられている。
【0055】
このエンコーダ1bのフォトダイオード3の出力波形を図9に示し、遮蔽部18および透過部19の機能を説明する。第1開口板9の透過開口8および固定スケール5のスリット4を通過した光が移動スケール7によって遮断されずにすべて透過部19を通過するとき、フォトダイオード3の出力は、(通常、出力回路が反転増幅器を構成しているので)最小値Poを示し、すべて遮蔽部18で遮断されるとき、フォトダイオード3の出力は最大値Pcを示す。
【0056】
光路が遮蔽部18で遮断されるときには斜め方向の光もフォトダイオード3に到達することができないので、最大値Pcは、スリット6が光路上にある時のピーク値よりも大きな値になる。同様に、最小値Poも、スリット6が光路上にある時の最小値よりも小さな値になる。このため、最大値Pcまたは最小値Poをとる位置をエンコーダ1bの原点に設定することで、移動スケール13の位置を算出できる。図9において、最大値Pcを検出したとき、移動スケール13の位置を表す値を0にリセットする。最大値Pcを検出してから、出力が最初に閾値を下回るまでの移動距離は一定であるので、出力が最初に閾値より低くなったときに移動スケール13の位置を表す値に所定の値を加算する。また、エンコーダ1bにおいて、最小値Poを検出して移動スケール13の位置を表す値をリセットしてもよい。
【0057】
図10に本発明の第4実施形態のエンコーダ1cを示す。本実施形態は、図8のエンコーダ1bの遮蔽部18と透過部19を入れ替えたものである。このエンコーダ1cの出力は、図11に示す波形を描く。エンコーダ1cでは、最小値Poを検出して移動スケール13の位置を表す値をリセットするようになっている。
【0058】
また、図12に、本発明の第5実施形態のエンコーダ1dを示す。本実施形態についても、第1実施形態と異なる構成要素のみ説明する。エンコーダ1dは、2列のスリット6a,6bが設けられた移動スケール7’を有し、スリット6a,6bの両列は互いに1/4ピッチ(1/4T)だけ移動スケール7’の移動方向にずれて配置されている。第1開口板9’には、2つの透過開口8a,8bがスリット6a,6bの両列に対応して移動スケール7’の移動方向と直角に並んで設けられている。第2開口板11’にも、同様に2つの透過開口10a,10bが設けられている。そして、透過開口8aおよびと透過開口10aを通過した光を受光するフォトダイオード3aと、透過開口8bおよびと透過開口10bを通過した光を受光するフォトダイオード3bとが並んで設けられている。
【0059】
このエンコーダ1dのフォトダイオード3aの出力Paとフォトダイオード3bの出力Pbとの波形を図13に示す。図示するように、スリット6aとスリット6bとが1/4Tずれているために、出力Paと出力Pbとは、位相が1/4周期ずれた波形を描く。両出力Pa,Pbの値の変化をリサージュ図形に示すと、図14のようになり、その回転方向から、移動スケール7’がいずれの方向に移動しているかを判別することができる。
【0060】
また、図15に示す第6実施形態のエンコーダ1eのように、図12のエンコーダ1dの固定スケール5と移動スケール7に換えて、スリット4aの列と1/4ピッチずれたスリット4bの列とを有する固定スケール5’と1列のスリット6を設けた移動スケール7とによっても、図13と同様の出力Pa,Pbが得られ、移動スケール7の移動方向を検出できる。また、本実施形態の第2開口板11のように、透過開口10を1つだけ設けても、移動スケール7の移動方向に光の経路を制限する機能を果たすことができる。同様に、第1開口板9’の透過開口8a,8bが一体であってもよい。
【0061】
図16は、本発明の第7実施形態の反射型エンコーダ21を示す。反射型エンコーダ21は、発光ダイオード22とフォトダイオード23とが同一平面上に配置され、一定ピッチのスリット24の列が設けられた固定スケール25と、例えばプラスチック基材26の表面にスリット24と同じピッチで金属を蒸着して鏡面を形成した反射部27の列が設けられ、被検物と共に移動する移動スケール28と、発光ダイオード22およびフォトダイオード23と固定スケール25との間に固定され、2つの透過開口29が設けられた開口板30とからなる。プラスチック基材26は光を透過するものでも殆どを吸収するものでもよい。また、移動スケール28は、一定のピッチで光を反射するものであればよく、鏡面を有する基材に定ピッチのスリットを設けて構成することもできる。
【0062】
反射型エンコーダ21は、発光ダイオード22からフォトダイオード23に至る光の経路を、開口板30により発光ダイオード22とフォトダイオード23の中心に正対する位置で移動スケール28によって反射する経路に制限することで、移動スケール28の位置に対して線形性の高いフォトダイオード23の出力が得られる。この反射型エンコーダ21は、移動スケール28の片側に構成要素がないので、被検物の表面に、移動スケール28を直接貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図2】図1のエンコーダの断面図。
【図3】図1のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図4】図3の出力に対して設定する中間値を示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態のエンコーダの断面図。
【図6】図5のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図7】図6の出力の変化と閾値の補正を示すグラフ。
【図8】本発明の第3実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図9】図8のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図10】本発明の第4実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図11】図10のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図12】本発明の第5実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図13】図12のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図14】図12のエンコーダの出力のリサージュ図形。
【図15】本発明の第6実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図16】本発明の第7実施形態のエンコーダの断面図。
【図17】従来のエンコーダの断面図。
【図18】図17のエンコーダの出力波形を示すグラフ。
【符号の説明】
【0064】
1 エンコーダ
2 発光ダイオード(光源)
3 フォトダイオード(受光素子)
4 スリット
5 固定スケール
6 スリット
7 移動スケール
8 透過開口
9 第1開口板
10 透過開口
11 第2開口板
12 プラスチックフィルム
13 移動スケール
14 遮光層
16 透過開口
17 第3開口板
18 遮蔽部
19 透過部
T ピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に移動量を検出するエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レンズにより平行な光線を発する光源と、光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する光検出器(受光素子)と、光源と受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダが記載されている。
【特許文献1】特開平08−54258号公報
【0003】
点光源とレンズを用いれば、特許文献1のように平行な光線が得られる。しかし、実際の微少量を検出するエンコーダにおいて、発光ダイオード(LED)などで構成される光源は、無視できない面積から拡散光を発する平面状の光源であり、レンズによって平行光線を得ることは困難である。
【0004】
図17に平面光源を用いた従来のエンコーダ31を示す。従来のエンコーダ31は、発光ダイオード32と、発光ダイオード32に正対して受光した光の強度に比例した電流を出力するフォトダイオード(PD)33と、所定のピッチTで1/2ピッチ(1/2T)幅のスリット34の列が設けられた格子状の固定スケール35と、固定スケール35と同じピッチTで同じ幅のスリット36の列が設けられた移動量を測定すべき被検物と共に移動する移動スケール37とからなっている。
【0005】
仮に発光ダイオード32が理想的な平行光線を発生すると仮定すると、移動スケール37が固定スケール35と1/2ピッチずれた状態では発光ダイオード32が発した光は全て遮光され、フォトダイオード33は光を受光しないので出力が0になる。移動スケール37を移動すると、移動スケール37の位相が固定スケール35と一致するまでは移動量に比例してフォトダイオード33に到達する光量が増加し、さらに移動すると、フォトダイオードに到達する光量が移動量に反比例して減少する。つまり、理想的には、エンコーダ31の出力は、図18のグラフに破線で示すように、最小値0で周期がスリット34,36のピッチTに一致する三角波になる。
【0006】
しかしながら、実際の発光ダイオード32は、斜め方向にも光を発生しており、図17に矢印で示すように、移動スケール37が固定スケール35と1/2Tずれた状態でも、斜め方向の光がフォトダイオード33に到達する。また、発光ダイオード32は、幅が2.5Tあり、一端は固定スケール35のスリット34の中央に正対しているが、他端はスリット34が設けられていない部分の中央に正対しているので、エンコーダ31は、事実上、幅1/4Tのスリットが設けられているのと同じである。幅1/4Tのスリットは、幅1/2Tのスリット34を透過する光とピーク位置が1/8Tずれた台形波形を主とする光量の光を透過するため、フォトダイオード33全体の出力に歪みを与える。このため、出力波形は、図18に示すように、非対称な歪んだ波形となるので移動スケール37の位置を容易に算出することができない。
【0007】
さらに、斜め方向にフォトダイオード33に到達する光量は、固定スケール35と移動スケール37との間隔が大きくなるほど多くなるが、固定スケール35と移動スケール37とは相対移動するので、間隔を0にすることは不可能であり、固定スケール35と移動スケール37との隙間の個体差によるバラツキが発光ダイオード32やフォトダイオード33の幅に比べて無視できない大きさになり、演算によって波形を補正するのは不可能である。
【0008】
このようなエンコーダ31では、出力を閾値と比較して出力が閾値を越えるたびに、移動スケール37の位置を表す値を一定量増減する。つまり、スリット34の1ピッチ分の長さTが検出できる最小単位になり、加工上の制約から十分に分解能を高くできないという問題がある。さらに、発光ダイオード32が発する光量やフォトダイオード33の受光量に対する出力は、環境温度によって変動したり経年変化する。このため、図18に示すように、フォトダイオード33の出力が低下したとき、ピーク時においても設定した閾値を越えなくなり、移動スケール37の移動を検出できないという問題が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、微少な移動量を検出でき、検出能力が低下しないエンコーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明によるエンコーダの第1の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との少なくともいずれかに、光を透過する透過開口を設けた開口板を有するものとする。
【0011】
この構成によれば、開口板が光源から受光素子に達することができる光の経路を制限して、斜め方向に受光素子に到達しようとする光を遮光するので、受光素子の出力が理想的な三角波に近い波形になる。
【0012】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との両方に、それぞれ、前記開口板を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、光源側と受光素子側の両方で光の経路を制限するので、斜め方向の光を遮断する能力が高く、より線形性の高い出力が得られる。
【0014】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間とのいずれか一方に、前記開口板を2つ以上有してもよい。
【0015】
この構成によれば、光源や受光素子と共に取り付ける開口板と、固定スケールに対して高精度に取り付ける開口板とを設けることで、斜め方向の光を効果的に遮断して線形性の高い出力が得られる。
【0016】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、前記スリットのピッチの整数倍の幅であってもよい。
【0017】
この構成によれば、有効な光の経路の両端に実質的に幅の狭いスリットができても、両端のスリットを通過した光量を足し合わせれば、正規のスリットピッチに一致する三角波になる。このため、出力波形に歪みが生じないので、開口板の取付位置によって出力の線形性が損なわれることがない。
【0018】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、両端が前記固定スケールの前記スリットの端部に正対してもよい。
【0019】
この構成によれば、有効な光の経路が被検物の移動方向前後に対称になり、出力波形に歪みが生じない。
【0020】
また、本発明の第1の態様のエンコーダにおいて、前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口が設けられた前記開口板は、前記固定スケールに固定されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、透過開口の位置が正確に定められるので、エンコーダの出力が設計通りに線形性が高いものになる。
【0022】
また、本発明による第2の態様のエンコーダは、光源と、定ピッチのスリットの列を有する固定スケールと、被検物と共に移動し、前記スリットの列と同じピッチの光を反射する反射部の列が設けられた移動スケールと、前記光源から発せられ、前記スリットを通過して前記反射部で反射した光を受光し、受光した光の強度を検出する受光素子とからなるエンコーダであって、前記光源と前記固定スケールの間と、前記移動スケールと前記受光素子の間との少なくともいずれかに、部分的に開口した開口板を有するものとする。
【0023】
この構成によれば、移動スケールの一方に構成要素がない反射型の移動スケールであるので、移動スケールを直接被検物に固定できる。また、開口板によって光源と受光素子との中央で反射する光以外の経路を遮断するので線形性の高い出力が得られる。
【0024】
また、本発明の第1および第2の態様のエンコーダにおいて、前記透過開口の前記被検物の移動方向の幅は、前記光源および前記受光素子の少なくともいずれかの幅より狭くてもよい。
【0025】
この構成によれば、光源と受光素子との間の光の経路を被検物の移動方向に制限するので、被検物の移動方向に直角でない斜め方向の光を遮断して、線形性の高い出力が得られる。
【0026】
また、本発明の第1および第2の態様のエンコーダにおいて、前記固定スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットが設けられ、或いは、前記移動スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットまたは前記反射部が設けられ、それぞれ、いずれかの前記スリットの列を通過、或いは、いずれかの前記反射部の列で反射した光を検出する2つの前記受光素子を有してもよい。
【0027】
この構成によれば、2つの受光素子の出力は、90°位相がずれたものになり、2つの出力から、リサージュ図形を描くなどして、移動スケールがいずれの方向に移動しているかを導出することができる。
【0028】
また、本発明の第1および第2の態様のエンコーダにおいて、前記受光素子の出力を閾値処理して2値化し、2値化した出力が変化するたびに前記被検物の位置を表す数値を前記スリットの1/2ピッチの長さに相当する値だけ増減する演算を行ってもよい。
【0029】
この構成によれば、単純な2値化によってもスリットの1/2ピッチ(1/2T)の最小検出能力を得られる。
【0030】
また、本発明によるエンコーダの第3の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きく開口した透過部を有し、前記光の経路が前記透過部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットするものとする。
【0031】
この構成によれば、透過部が光源から受光素子に至る光の経路を遮らないとき、光の経路にスリットがあるときにと容易に区別できる出力が得られる。この出力が得られる位置を原点と、光源と受光素子の出力ゲインの増減を相殺するように基準値を補正して、被検物の位置を正しく検出できる。
【0032】
また、本発明によるエンコーダの第4の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きい範囲に透過性の部分がない遮蔽部を有し、前記光の経路が前記遮蔽部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットするものとする。
【0033】
この構成によれば、遮蔽部によって光源から受光素子に至る光の経路が移動スケールによって完全に遮られた状態で連続的な出力が得られるので、この出力を基に、光源と受光素子の出力ゲインの増減を相殺するように基準値を補正して、被検物の位置を正しく検出できる。
【0034】
また、本発明によるエンコーダの第5の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記受光素子の出力を閾値と比較して2値化し、前記移動スケールが等速移動しているときに、前記2値の出力時間が等しくなるように前記閾値を変更するものとする。
【0035】
この構成によれば、被検物を移動させる駆動手段が定常状態で駆動しているときに、エンコーダの出力が閾値以上となる時間と、閾値以下となる時間が等しくなるように閾値の値を変更するので、エンコーダのゲインが低下したときも、出力が閾値と等しくなる移動スケールの位置は、スリットのピッチTの1/2毎の位置になる。このため、光源や受光素子のゲインの変化によって検出する位置が変化しない。
【0036】
また、本発明によるエンコーダの第6の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記最小値と最大値の間の1つ以上の中間値を設定し、前記受光素子の出力値を前記最小値、前記最大値および前記中間値と比較して、前記スリットのピッチより小さい長さに相当する値を算出するものとする。
【0037】
この構成によれば、受光素子の出力の最大値と最小値とを記憶して、両者の等分点などの中間値を設定し、中間値との比較において移動スケールの位置を算出することで、スリットのピッチよりも小さな移動量を検出できる。
【0038】
また、本発明によるエンコーダの第6の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記受光素子の出力値から前記最小値を引いた値を前記最大値と前記最小値の差分で除して、前記スリットのピッチ未満の長さに相当する値を算出するものとする。
【0039】
この構成によれば、移動スケールの位置と受光素子の出力の最大値と最小値との間を直線近似して、移動スケールの移動量を連続的に算出できる。
【0040】
また、本発明によるエンコーダの第8の態様は、光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、前記光源と前記受光素子との間で駆動装置に駆動される被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、駆動装置の入力または出力を基に前記被検物の位置を表す値を算出し、前記受光素子の出力が最小値または最大値となったとき、前記算出した位置を前記スリットのピッチの1/2の整数の位置に相当する値に補正するものとする。
【0041】
この構成によれば、移動スケールを駆動する駆動装置の入力または出力から移動スケールの位置を算出しながら、受光素子の出力が最大または最小になったときに、算出した移動スケールの位置をスリットピッチに合わせて補正するので、スリットピッチ未満の位置検出においては、受光素子が受光する光量の歪みに関係なく直線的な位置を算出でき、スリットピッチ以上の位置検出においては、スリットピッチ毎に誤差を補正して正確な位置を算出できる。
【0042】
また、本発明の第1から第8の態様のエンコーダにおいて、前記固定スケールおよび前記移動スケールを柔軟な材料で構成すれば位置を検出する被検物に対する適応性が高く、前記固定スケールおよび前記移動スケールは、ステンレス材料をエッチング加工またはプレスによる打抜き加工して容易に形成することもでき、透過性のプラスチックフィルムに塗布した感光材料を感光して透過開口を有する遮光層を設けることでも容易に形成できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明のエンコーダは、光源からの光の経路を制限する開口板によって被検物の移動量に対して線形な出力を得ることができ、出力信号を処理する基準値を補正したり演算を補正するので、環境変化や経時変化による検出能力の変動がなく、微少な移動量を算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のエンコーダ1の分解斜視図である。エンコーダ1は、光源である発光ダイオード2と、発光ダイオード2に正対して受光した光の強度に比例した電流を出力する受光素子であるフォトダイオード3との間に、スリット4の列が設けられた固定スケール5が固定され、被検物と共に矢印方向に移動するスリット6の列が設けられた移動スケール7が配置され、発光ダイオード2と固定スケール5との間に、透過開口8が設けられた第1開口板9が固定され、移動スケール7とフォトダイオード3との間に、透過開口10が設けられた第2開口板11が固定されている。固定スケール5および移動スケール7は、例えばステンレス板をエッチング或いはプレスによる打抜き加工してスリット4,6の列を形成したものである。ここで、固定スケール5と移動スケール7との位置は逆であってもよい。
【0045】
図2は、エンコーダ1の断面を示す。固定スケール5のスリット4および移動スケール7のスリット6は、同じピッチTで並んで設けられた幅1/2Tの貫通穴である。第1開口板9および第2開口板11の透過開口8,10は、移動スケール7の移動方向にTの幅を有しており、中心が固定スケール5の1つのスリット4の中心に一致している。
【0046】
続いて以上の構成のエンコーダ1の出力特性と位置の算出方法について説明する。
図2に矢印で示すように、第1開口板9および第2開口板11によって発光ダイオード2からフォトダイオード3に到達可能な光の経路は、透過開口8と透過開口10を共に貫通する経路に限られる。このため、発光ダイオード2からフォトダイオード3を固定スケール5および移動スケール7のスリット4,6を通して斜め方向に見通すことができる経路の多くは、第1開口板9および第2開口板11で遮られ、ほぼ移動スケール7の移動方向に垂直な方向の光だけがフォトダイオード3に到達することができる。固定スケール5および移動スケール7を移動スケール7の移動方向に垂直な方向に見通すことができる面積、つまり、スリット4とスリット6の重なり合う面積は、移動スケール7の位相が固定スケール5の位相と同じときに最大であり、移動スケール7が固定スケール5に対して1/2Tだけずれているときに0になる。
【0047】
フォトダイオード3の出力は、図3に示すように、移動スケール7の位置に対して三角波に近い曲線を描く。発光ダイオード2から発せられてフォトダイオード3に到達する光量に比例するが、僅かながら斜め方向の光のフォトダイオード3に到達するので完全な三角波にはなっていないが、破線で示した第1開口板9および第2開口板11がない場合の出力波形に比べると、最大値の前後に対称な歪みのない波形であり、線形性の高い増減を周期的に繰り返している。よって、エンコーダ1は、フォトダイオード3の出力の最小値と最大値を記憶し、フォトダイオード3の出力値から最小値を引いた値を出力の最大値と最小値の差分で除して、ピッチT未満の長さに相当する値を算出する線形近似を行って移動スケール7の位置を精度よく算出することができる。
【0048】
また、図4に示すように、移動スケール7の位置を算出するにあたり、フォトダイオード3の出力の最大値Pmaxと最小値Pminとを記憶し、最大値Pmaxと最小値Pminを4等分する出力値を中間値Pq1,Pq2,Pq3として設定し、出力を最大値Pmax、最小値Pminおよび中間値Pq1,Pq2,Pq3と比較して、出力の1周期を8つに区分し、移動スケール7の移動距離1/8Tに相当するものとしてもよい。また、中間値は等分点でなくともよく、予め波形が分かっている場合は実際の移動距離に合致する比で最大値Pmaxと最小値Pminを分ける値に定めてもよい。
【0049】
続いて、図5に、本発明の第2実施形態のエンコーダ1aの断面を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。エンコーダ1aは、透過性の柔軟なプラスチックフィルム12からなる移動スケール13を有している。移動スケール13は、プラスチックフィルム12の表面に塗布した感光材料を感光させて定着した遮光層14を有し、遮光層14は感光する際にピッチTで幅1/2Tのマスキングをすることで開口したスリット15が形成されている。遮光層14は、また、エンコーダ1aの第1開口板9および第2開口板11の透過開口8および10は、移動スケール13の移動方向の幅が2.5Tである。さらに、エンコーダ1aは、固定スケール5の発光ダイオード2側の表面に移動方向の幅2Tの透過開口16を有する第3開口板17が貼着されている。第3開口板17は、透過開口16の端部が固定スケール5のスリット4の端部に一致するように固定されている。
【0050】
以上の構成からなるエンコーダ1aの出力特性と移動スケール13の位置の算出方法とを説明する。第3開口板17の透過開口16は、固定スケール5のスリット4と両端が一致しているので、固定スケール5のスリット4の有効幅はすべて1/2Tであり、移動スケール13のスリット15と重なり合う面積が移動スケール13の位置に対して一定の割合で増加、減少を繰り返す。このため、図6に示すように、フォトダイオード3の出力は、ピークの両側に対称な周期的な波形を示す。エンコーダ1aでは、固定スケール5に第3開口板17を貼着するので、両者の位置関係がずれないように組み立てることができる。このため、透過開口16の幅が(n+1/2)Tであれば、組立誤差により1/2Tより有効幅の狭いスリット4ができることがなく、ピークの前後に対象な出力波形が得られる。
【0051】
図7は、フォトダイオード3の出力と閾値の関係を示す。エンコーダ1aは、フォトダイオード3の出力を閾値と比較して出力を2値化する。そして2値化した出力の値が変化するたびに、移動スケール13の位置を表す数値を1/2Tに相当する値だけ増減する。また、エンコーダ1aは、移動スケール13が固定された被検物(不図示)を駆動する駆動装置(不図示)の出力または駆動装置への入力から、被検物が1周期以上の距離を定常状態に駆動されていることを検知し、その際の出力が閾値以上である時間THと、出力が閾値以下である時間TLとが同じ時間になるように閾値を補正する。よって、図示するように出力が低下したときは、閾値も低く設定される。このように、補正した閾値で出力を2値化することで、発光ダイオード2やフォトダイオード3のゲインに拘わらず、移動スケール13の1/2Tの移動を正確に検出できる。
【0052】
また、出力波形の凸部と凹部との幅に大きな差がある場合、THとTLを同じにすると出力波形の傾きが小さいときに閾値と交差することになるので検出精度が低くなるので、THとTLとの比を適切な値に維持するように閾値を補正するとよい。また、THは、出力が閾値と交差してから最大になるまでまたは出力が最大になってから閾値と交差するまでの時間を計測することで1/2THが計測でき、同様に、最小値と閾値との間の時間を計測した1/2TLとの比を適切な値にするように閾値を補正してもよい。
【0053】
さらに、フォトダイオード3の出力波形のピークが尖鋭な場合、出力が最大値または最小値であることを検出して、移動スケール13の位相が固定スケール5と一致または1/2Tずれていることを正確に検知可能である。このような場合、エンコーダ1aは、被検物を駆動する駆動装置への入力や出力パルスなどから、移動スケール13の位置を算出し、フォトダイオード3の出力の尖鋭なピーク(最大値または最小値)を検知したときに、算出した移動スケール13の位置を表す値を固定スケール5と一致する値または1/2Tずれている値に補正することで、微少な移動量を算出できるとともに、大きく移動したときにも検出精度を維持することができる。
【0054】
また、図8に、本発明の第3実施形態のエンコーダ1bを示す。本実施形態についても、第1実施形態と異なる構成要素のみ説明する。エンコーダ1bは、移動スケール7の端部に、透過開口8および透過開口10よりも十分に大きな面積を有していてスリット4や他の透過性の部分のない遮蔽部18と、透過開口8および透過開口10よりも十分に大きく開口した透過部19とが設けられている。
【0055】
このエンコーダ1bのフォトダイオード3の出力波形を図9に示し、遮蔽部18および透過部19の機能を説明する。第1開口板9の透過開口8および固定スケール5のスリット4を通過した光が移動スケール7によって遮断されずにすべて透過部19を通過するとき、フォトダイオード3の出力は、(通常、出力回路が反転増幅器を構成しているので)最小値Poを示し、すべて遮蔽部18で遮断されるとき、フォトダイオード3の出力は最大値Pcを示す。
【0056】
光路が遮蔽部18で遮断されるときには斜め方向の光もフォトダイオード3に到達することができないので、最大値Pcは、スリット6が光路上にある時のピーク値よりも大きな値になる。同様に、最小値Poも、スリット6が光路上にある時の最小値よりも小さな値になる。このため、最大値Pcまたは最小値Poをとる位置をエンコーダ1bの原点に設定することで、移動スケール13の位置を算出できる。図9において、最大値Pcを検出したとき、移動スケール13の位置を表す値を0にリセットする。最大値Pcを検出してから、出力が最初に閾値を下回るまでの移動距離は一定であるので、出力が最初に閾値より低くなったときに移動スケール13の位置を表す値に所定の値を加算する。また、エンコーダ1bにおいて、最小値Poを検出して移動スケール13の位置を表す値をリセットしてもよい。
【0057】
図10に本発明の第4実施形態のエンコーダ1cを示す。本実施形態は、図8のエンコーダ1bの遮蔽部18と透過部19を入れ替えたものである。このエンコーダ1cの出力は、図11に示す波形を描く。エンコーダ1cでは、最小値Poを検出して移動スケール13の位置を表す値をリセットするようになっている。
【0058】
また、図12に、本発明の第5実施形態のエンコーダ1dを示す。本実施形態についても、第1実施形態と異なる構成要素のみ説明する。エンコーダ1dは、2列のスリット6a,6bが設けられた移動スケール7’を有し、スリット6a,6bの両列は互いに1/4ピッチ(1/4T)だけ移動スケール7’の移動方向にずれて配置されている。第1開口板9’には、2つの透過開口8a,8bがスリット6a,6bの両列に対応して移動スケール7’の移動方向と直角に並んで設けられている。第2開口板11’にも、同様に2つの透過開口10a,10bが設けられている。そして、透過開口8aおよびと透過開口10aを通過した光を受光するフォトダイオード3aと、透過開口8bおよびと透過開口10bを通過した光を受光するフォトダイオード3bとが並んで設けられている。
【0059】
このエンコーダ1dのフォトダイオード3aの出力Paとフォトダイオード3bの出力Pbとの波形を図13に示す。図示するように、スリット6aとスリット6bとが1/4Tずれているために、出力Paと出力Pbとは、位相が1/4周期ずれた波形を描く。両出力Pa,Pbの値の変化をリサージュ図形に示すと、図14のようになり、その回転方向から、移動スケール7’がいずれの方向に移動しているかを判別することができる。
【0060】
また、図15に示す第6実施形態のエンコーダ1eのように、図12のエンコーダ1dの固定スケール5と移動スケール7に換えて、スリット4aの列と1/4ピッチずれたスリット4bの列とを有する固定スケール5’と1列のスリット6を設けた移動スケール7とによっても、図13と同様の出力Pa,Pbが得られ、移動スケール7の移動方向を検出できる。また、本実施形態の第2開口板11のように、透過開口10を1つだけ設けても、移動スケール7の移動方向に光の経路を制限する機能を果たすことができる。同様に、第1開口板9’の透過開口8a,8bが一体であってもよい。
【0061】
図16は、本発明の第7実施形態の反射型エンコーダ21を示す。反射型エンコーダ21は、発光ダイオード22とフォトダイオード23とが同一平面上に配置され、一定ピッチのスリット24の列が設けられた固定スケール25と、例えばプラスチック基材26の表面にスリット24と同じピッチで金属を蒸着して鏡面を形成した反射部27の列が設けられ、被検物と共に移動する移動スケール28と、発光ダイオード22およびフォトダイオード23と固定スケール25との間に固定され、2つの透過開口29が設けられた開口板30とからなる。プラスチック基材26は光を透過するものでも殆どを吸収するものでもよい。また、移動スケール28は、一定のピッチで光を反射するものであればよく、鏡面を有する基材に定ピッチのスリットを設けて構成することもできる。
【0062】
反射型エンコーダ21は、発光ダイオード22からフォトダイオード23に至る光の経路を、開口板30により発光ダイオード22とフォトダイオード23の中心に正対する位置で移動スケール28によって反射する経路に制限することで、移動スケール28の位置に対して線形性の高いフォトダイオード23の出力が得られる。この反射型エンコーダ21は、移動スケール28の片側に構成要素がないので、被検物の表面に、移動スケール28を直接貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図2】図1のエンコーダの断面図。
【図3】図1のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図4】図3の出力に対して設定する中間値を示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態のエンコーダの断面図。
【図6】図5のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図7】図6の出力の変化と閾値の補正を示すグラフ。
【図8】本発明の第3実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図9】図8のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図10】本発明の第4実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図11】図10のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図12】本発明の第5実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図13】図12のエンコーダのフォトダイオードの出力波形を示すグラフ。
【図14】図12のエンコーダの出力のリサージュ図形。
【図15】本発明の第6実施形態のエンコーダの分解斜視図。
【図16】本発明の第7実施形態のエンコーダの断面図。
【図17】従来のエンコーダの断面図。
【図18】図17のエンコーダの出力波形を示すグラフ。
【符号の説明】
【0064】
1 エンコーダ
2 発光ダイオード(光源)
3 フォトダイオード(受光素子)
4 スリット
5 固定スケール
6 スリット
7 移動スケール
8 透過開口
9 第1開口板
10 透過開口
11 第2開口板
12 プラスチックフィルム
13 移動スケール
14 遮光層
16 透過開口
17 第3開口板
18 遮蔽部
19 透過部
T ピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との少なくともいずれかに、光を透過する透過開口を設けた開口板を有することを特徴とするエンコーダ。
【請求項2】
前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との両方に、それぞれ、前記開口板を有することを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間とのいずれか一方に、前記開口板を2つ以上有することを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、前記スリットのピッチの整数倍の幅であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、両端が前記固定スケールの前記スリットの端部に正対すること特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口が設けられた前記開口板は、前記固定スケールに固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項7】
光源と、
定ピッチのスリットの列を有する固定スケールと、
被検物と共に移動し、前記スリットの列と同じピッチの光を反射する反射部の列が設けられた移動スケールと、
前記光源から発せられ、前記スリットを通過して前記反射部で反射した光を受光し、受光した光の強度を検出する受光素子とからなるエンコーダであって、
前記光源と前記固定スケールの間と、前記移動スケールと前記受光素子の間との少なくともいずれかに、部分的に開口した開口板を有することを特徴とするエンコーダ。
【請求項8】
前記透過開口の前記被検物の移動方向の幅は、前記光源および前記受光素子の少なくともいずれかの幅より狭いことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項9】
前記固定スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットが設けられ、或いは、前記移動スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットまたは前記反射部が設けられ、
それぞれ、いずれかの前記スリットの列を通過、或いは、いずれかの前記反射部の列で反射した光を検出する2つの前記受光素子を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項10】
前記受光素子の出力を閾値処理して2値化し、2値化した出力が変化するたびに前記被検物の位置を表す数値を前記スリットの1/2ピッチの長さに相当する値だけ増減する演算を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項11】
前記移動スケールは、最も狭い前記透過開口よりも大きく開口した透過部を有し、
前記光の経路が前記透過部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項12】
前記移動スケールは、最も狭い前記透過開口よりも大きい範囲に透過性の部分がない遮蔽部を有し、
前記光の経路が前記遮蔽部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項13】
前記受光素子の出力を閾値と比較して2値化し、
前記移動スケールが等速移動しているときに、前記2値の出力時間の比が所定の値になるように前記閾値を変更することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項14】
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記最小値と最大値の間の1つ以上の中間値を設定し、前記受光素子の出力値を前記最小値、前記最大値および前記中間値と比較して、前記スリットのピッチより小さい長さに相当する値を算出することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項15】
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記受光素子の出力値から前記最小値を引いた値を前記最大値と前記最小値の差分で除して、前記スリットのピッチ未満の長さに相当する値を算出することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項16】
前記被検物を移動させる駆動装置の入力または出力を基に前記被検物の位置を表す値を算出し、前記受光素子の出力が最小値または最大値となったとき、前記位置を表す値を前記スリットのピッチの1/2の整数倍の位置に相当する値に補正することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項17】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きく開口した透過部を有し、
前記光の経路が前記透過部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とするエンコーダ。
【請求項18】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きい範囲に透過性の部分がない遮蔽部を有し、
前記光の経路が前記遮蔽部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とするエンコーダ。
【請求項19】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記受光素子の出力を閾値と比較して2値化し、
前記移動スケールが等速移動しているときに、前記2値の出力時間の比が所定の値になるように前記閾値を変更することを特徴とするエンコーダ。
【請求項20】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記最小値と最大値の間の1つ以上の中間値を設定し、前記受光素子の出力値を前記最小値、前記最大値および前記中間値と比較して、前記スリットのピッチより小さい長さに相当する値を算出することを特徴とするエンコーダ。
【請求項21】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記受光素子の出力値から前記最小値を引いた値を前記最大値と前記最小値の差分で除して、前記スリットのピッチ未満の長さに相当する値を算出することを特徴とするエンコーダ。
【請求項22】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で駆動装置に駆動される被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
駆動装置の入力または出力を基に前記被検物の位置を表す値を算出し、前記受光素子の出力が最小値または最大値となったとき、前記算出した位置を前記スリットのピッチの1/2の整数倍の位置に相当する値に補正することを特徴とするエンコーダ。
【請求項23】
前記固定スケールおよび前記移動スケールは、柔軟な材料からなることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項24】
前記固定スケールおよび前記移動スケールの少なくともいずれかは、ステンレス材料をエッチング加工またはプレスによる打抜き加工して形成したことを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項25】
前記固定スケールおよび前記移動スケールの少なくともいずれかは、透過性のプラスチックフィルムからなり、
前記スリットは、前記プラスチックフィルムに塗布した感光材料を感光して設けた遮光層の透過開口であること特徴とする請求項1から22のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項1】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との少なくともいずれかに、光を透過する透過開口を設けた開口板を有することを特徴とするエンコーダ。
【請求項2】
前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間との両方に、それぞれ、前記開口板を有することを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記光源と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間と、前記受光素子と前記固定スケールまたは前記移動スケールとの間とのいずれか一方に、前記開口板を2つ以上有することを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、前記スリットのピッチの整数倍の幅であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口は、両端が前記固定スケールの前記スリットの端部に正対すること特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記被検物の移動方向の幅が最も狭い前記透過開口が設けられた前記開口板は、前記固定スケールに固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項7】
光源と、
定ピッチのスリットの列を有する固定スケールと、
被検物と共に移動し、前記スリットの列と同じピッチの光を反射する反射部の列が設けられた移動スケールと、
前記光源から発せられ、前記スリットを通過して前記反射部で反射した光を受光し、受光した光の強度を検出する受光素子とからなるエンコーダであって、
前記光源と前記固定スケールの間と、前記移動スケールと前記受光素子の間との少なくともいずれかに、部分的に開口した開口板を有することを特徴とするエンコーダ。
【請求項8】
前記透過開口の前記被検物の移動方向の幅は、前記光源および前記受光素子の少なくともいずれかの幅より狭いことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項9】
前記固定スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットが設けられ、或いは、前記移動スケールは、前記被検物の移動方向に1/4ピッチずれた2列の前記スリットまたは前記反射部が設けられ、
それぞれ、いずれかの前記スリットの列を通過、或いは、いずれかの前記反射部の列で反射した光を検出する2つの前記受光素子を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項10】
前記受光素子の出力を閾値処理して2値化し、2値化した出力が変化するたびに前記被検物の位置を表す数値を前記スリットの1/2ピッチの長さに相当する値だけ増減する演算を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項11】
前記移動スケールは、最も狭い前記透過開口よりも大きく開口した透過部を有し、
前記光の経路が前記透過部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項12】
前記移動スケールは、最も狭い前記透過開口よりも大きい範囲に透過性の部分がない遮蔽部を有し、
前記光の経路が前記遮蔽部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項13】
前記受光素子の出力を閾値と比較して2値化し、
前記移動スケールが等速移動しているときに、前記2値の出力時間の比が所定の値になるように前記閾値を変更することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項14】
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記最小値と最大値の間の1つ以上の中間値を設定し、前記受光素子の出力値を前記最小値、前記最大値および前記中間値と比較して、前記スリットのピッチより小さい長さに相当する値を算出することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項15】
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記受光素子の出力値から前記最小値を引いた値を前記最大値と前記最小値の差分で除して、前記スリットのピッチ未満の長さに相当する値を算出することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項16】
前記被検物を移動させる駆動装置の入力または出力を基に前記被検物の位置を表す値を算出し、前記受光素子の出力が最小値または最大値となったとき、前記位置を表す値を前記スリットのピッチの1/2の整数倍の位置に相当する値に補正することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項17】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きく開口した透過部を有し、
前記光の経路が前記透過部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とするエンコーダ。
【請求項18】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記移動スケールは、前記光源から前記受光素子に到達しうる光の経路よりも大きい範囲に透過性の部分がない遮蔽部を有し、
前記光の経路が前記遮蔽部内にあるときの前記受光素子の出力信号を検出して、前記被検物の位置を表す値をリセットすることを特徴とするエンコーダ。
【請求項19】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記受光素子の出力を閾値と比較して2値化し、
前記移動スケールが等速移動しているときに、前記2値の出力時間の比が所定の値になるように前記閾値を変更することを特徴とするエンコーダ。
【請求項20】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記最小値と最大値の間の1つ以上の中間値を設定し、前記受光素子の出力値を前記最小値、前記最大値および前記中間値と比較して、前記スリットのピッチより小さい長さに相当する値を算出することを特徴とするエンコーダ。
【請求項21】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
前記受光素子の出力の最小値と最大値を記憶し、前記受光素子の出力値から前記最小値を引いた値を前記最大値と前記最小値の差分で除して、前記スリットのピッチ未満の長さに相当する値を算出することを特徴とするエンコーダ。
【請求項22】
光源と、該光源からの光を受光して受光した光の強度を検出する受光素子と、
前記光源と前記受光素子との間に固定した、定ピッチのスリットの列が設けられた固定スケールと、
前記光源と前記受光素子との間で駆動装置に駆動される被検物と共に移動し、前記固定スケールと同じピッチのスリットの列を有する移動スケールとからなるエンコーダであって、
駆動装置の入力または出力を基に前記被検物の位置を表す値を算出し、前記受光素子の出力が最小値または最大値となったとき、前記算出した位置を前記スリットのピッチの1/2の整数倍の位置に相当する値に補正することを特徴とするエンコーダ。
【請求項23】
前記固定スケールおよび前記移動スケールは、柔軟な材料からなることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項24】
前記固定スケールおよび前記移動スケールの少なくともいずれかは、ステンレス材料をエッチング加工またはプレスによる打抜き加工して形成したことを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項25】
前記固定スケールおよび前記移動スケールの少なくともいずれかは、透過性のプラスチックフィルムからなり、
前記スリットは、前記プラスチックフィルムに塗布した感光材料を感光して設けた遮光層の透過開口であること特徴とする請求項1から22のいずれかに記載のエンコーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−284277(P2006−284277A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102370(P2005−102370)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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