説明

オープンショーケース

【課題】ショーケース本体の外部の気流の影響によるショーケース収容空間内の温度上昇を抑制し、省エネ性の高いオープンショーケースを得る。
【解決手段】収容空間13内の温度が所定値で安定した状態で庫内ファン20の送風量を一時的に増大させ、このとき、吸込温度Tiが上昇した場合には庫内ファン20の送風量を減少させ、吸込温度Tiが低下した場合には庫内ファン20の送風量を増大させることにより、冷却手段の冷却負荷がより小さくなるように庫内ファン20の送風量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放型のオープンショーケースに関し、特にショーケース本体の開放面でエアカーテンを形成するオープンショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーやコンビニエンスストア等に設置されて飲料や食品等を貯蔵陳列する開放型のオープンショーケースが知られている。
このようなオープンショーケースは、例えば、一面が開放されたショーケース本体の収容空間の内壁に互いに向かい合うように配置された吹出口と吸込口を備えていて、吹出口から吹き出された冷却空気を吸込口に吸い込んで、開放面にエアカーテンを形成している。そして、このエアカーテンにより、オープンショーケースの外部の空気が開放面を通じて収容空間内に流入するのを抑制し、ショーケース本体内の冷却効果の向上を図っている。
【0003】
このような開放型のオープンショーケースでは、エアカーテンによって外部の空気の侵入を防ぐことが、省エネ性の向上に大きく寄与する。ところが、例えばスーパーやコンビニエンスストア等においては、オープンショーケースの周囲に設置された空調機からショーケース本体の開放面へ空気が吹き出されるようなことがある。このようなオープンショーケースの周囲の気流があると、開放面のエアカーテンが崩れてしまうことがある。その結果、ショーケース本体の外側の空気が収容空間内に流入してしまい、このオープンショーケースの省エネ性が損なわれてしまうという問題が生じうる。
【0004】
そこで、エアカーテンが崩れてしまうのを抑制するために、ショーケース本体の収容空間であって開放面の近傍に設けた庫内温度センサによりショーケース本体の収容空間内の温度を検出し、この庫内温度センサが検出した庫内温度が最適庫内温度に近づくように庫内ファンの送風量を変更する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−164209号公報(第14頁、第15頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1によれば、検出した庫内温度に基づいて庫内ファンの送風量を増大あるいは減少させている。
しかし、エアカーテンの風速が過大であると、エアカーテン自らが開放面の外側の気流を巻き込んでしまい、結果的に外側の空気を収容空間内に流入させてしまうこととなる。そうなると、オープンショーケースの冷却能力に対して冷却負荷(すなわち、外側の空気の侵入量)が増大し、収容空間内の冷却の省エネ性が損なわれてしまう。従来は、このようなエアカーテン自身によるオープンショーケース外側の空気の巻き込みについては考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ショーケース本体の外部の気流の影響によるショーケース収容空間内の温度上昇を抑制し、省エネ性の高いオープンショーケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るオープンショーケースは、一面を開放面とした収容空間と、空気の吸込口及び吹出口と、前記吸込口から吹出口に至る循環通路とを備えたショーケース本体と、前記循環通路内の空気を送風する送風手段と、前記循環通路内の空気を冷却する冷却手段と、前記収容空間内の温度を検出する収容空間温度検知手段と、前記吸込口の温度である吸込温度を検出する吸込温度検知手段と、前記送風手段の送風量を制御する制御手段と、を備え、前記吹出口から吹き出した空気を前記吸込口から吸い込んで前記収容空間の開放面にエアカーテンを形成するオープンショーケースであって、前記制御手段は、前記収容空間内の温度が所定値で安定した状態で前記送風手段の送風量を一時的に増大させ、このとき、前記吸込温度が上昇した場合には前記送風手段の送風量を減少させ、前記吸込温度が低下した場合には前記送風手段の送風量を増大させることにより、前記冷却手段の冷却負荷がより小さくなるように前記送風手段の送風量を制御するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るオープンショーケースは、収容空間内の温度が所定値で安定した状態で送風手段の送風量を一時的に増大させる。そして、送風量を一時的に増大させたときに吸込温度が上昇した場合には、送風手段の送風量を減少させるので、エアカーテンが巻き込む外部空気の量を低減することができる。また、送風量を一時的に増大させたときに吸込温度が低下した場合には、送風手段の送風量を増大させるので、より強固なエアカーテンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1を示す別置型のオープンショーケースの概略図である。
【図2】実施の形態1を示す内蔵型のオープンショーケースの概略図である。
【図3】実施の形態1に係る庫内ファンの制御動作を示すフローチャートである。
【図4】庫内ファンの送風量に対する冷却能力、冷却負荷、収容空間内温度の関係を示す概略図である。
【図5】庫内ファンの送風量に対する冷却能力、冷却負荷を冷却阻害要因別に示す概略図である。
【図6】実施の形態2に係るオープンショーケースの概略図である。
【図7】実施の形態2に係る庫内ファンの制御動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態3に係るオープンショーケースの概略図である。
【図9】実施の形態3に係る庫内ファンの制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係るオープンショーケース100は、スーパーやコンビニエンスストア等に設置されて飲料や食品等を貯蔵陳列する開放型のオープンショーケースである。このオープンショーケース100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷凍装置を実現している。
【0012】
[オープンショーケースの構成]
図1は、実施の形態1に係るオープンショーケース100の主要部を示す概略図である。図1に示すように、オープンショーケース100は、ショーケース本体1と、室外ユニット2とを備えており、ショーケース本体1と室外ユニット2とが連絡配管3により接続されている。ショーケース本体1内には冷却回路22が収容されるとともに室外ユニット2には室外回路30が収容されていて、室外回路30に冷却回路22が接続されることで、冷媒回路が構成されている。この冷媒回路の内部に充填された冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが実現される。
【0013】
図1で示したオープンショーケース100は、室外ユニット2とショーケース本体1が分離されたいわゆる別置型のものであるが、いわゆる内蔵型のものとしてもよい。図2は、内蔵型のオープンショーケース100を説明する図である。図2では、室外回路30がショーケース本体1内に収納されているが、他の構成要素は図1と同様である。なお、本実施の形態1及びこれ以降の実施の形態では、オープンショーケース100が別置型であるものとして説明する。
【0014】
室外ユニット2の室外回路30には、圧縮機31と、室外熱交換器32と、レシーバ33とが順に接続されている。また、室外ユニット2には、室外熱交換器32に室外空気を送るための室外ファン34が設けられている。
【0015】
圧縮機31は、可変容量式、または固定容量式の圧縮機である。可変容量式である場合、インバータの出力周波数に応じて圧縮機31の電動機の回転速度を切り換え、その運転容量を変更することができる。固定容量式である場合、圧縮機31の電動機の回転速度は一定であるが、圧縮機31の始動と停止とを制御することで冷媒回路の冷却量を変更可能である。このように構成された圧縮機31の吐出側は、室外熱交換器32に接続されている。
【0016】
室外熱交換器32は、熱源側の熱交換器を構成しており、本発明の放熱器に相当する。室外熱交換器32では、室外ファン34が送風する室外空気と、室外熱交換器32内を流れる冷媒とが熱交換する。
【0017】
レシーバ33は、冷媒回路内の余剰冷媒を一時的に貯留可能な密閉可能な容器で構成されている。レシーバ33の頂部は、室外熱交換器32の出口側に接続されている。
【0018】
ショーケース本体1に収容された冷却回路22の流入端は、液側連絡配管3aを介してレシーバ33と接続されている。また、冷却回路22の流出端は、連絡配管3bを介して圧縮機31と接続されている。この冷却回路22は、流入側から順に膨張弁24と、冷却熱交換器23とが接続されている。膨張弁24は、本発明の絞り装置に相当する。
【0019】
冷却熱交換器23は、利用側の熱交換器を構成している。冷却熱交換器23では、庫内ファン20(後述する)が送風するショーケース本体1内の空気(庫内空気)と、冷却熱交換器23内を流れる冷媒とが熱交換する。
【0020】
ショーケース本体1は、全体として箱状に構成されており、その一面には開放面14が形成されている。本実施の形態では、開放面14はショーケース本体の前面側に設けられている。ショーケース本体1の内部には冷却対象となる生鮮食品等を収納可能な収容空間13が形成されている。この収容空間13には、生鮮食品等を陳列するための複数の陳列棚12が、上下方向に配列されて取り付けられている。また、ショーケース本体1の開放面14の上側周縁に沿って開口する吹出口16が形成され、開放面14の下側周縁に沿って開口する吸込口17が形成されている。
吹出口16は、収容空間13に臨むようにして、下側に向かって開口している。吸込口17は、収容空間13に臨むようにして、上側に向かって開口している。つまり、吹出口16と吸込口17は、開放面14の内側において、互いに向かい合うように形成されている。
【0021】
ショーケース本体1には、吸込口17から吹出口16に至る循環通路15が設けられている。循環通路15は、収容空間13とは区画された通路である。本実施の形態1では、循環通路15は、収容空間13を囲む下側壁面、後側壁面、及び上側壁面に沿うようにして設けられていて、その縦断面が「コ」字状となっている。循環通路15には、冷却熱交換器23と庫内ファン20が設けられている。
【0022】
庫内ファン20は、循環通路15内の空気を送風するものであり、本発明の送風手段に相当する。庫内ファン20は、ファン(羽根)を回転させるモータの回転速度を調節可能ないわゆるインバータ式のものである。庫内ファン20のモータの回転速度を制御することにより、循環通路15内の送風量を制御可能になっている。
【0023】
循環通路15において、吹出口16の近傍には吹出温度センサ18が設けられ、吸込口17の近傍には吸込温度センサ19が設けられている。
吹出温度センサ18は、吹出口16から吹き出される吹出空気の温度(吹出温度To)を検知可能である。
吸込温度センサ19は、吸込口17から吸い込まれる吸込空気の温度(吸込温度Ti)を検知可能である。
【0024】
制御手段21は、吹出温度センサ18、吸込温度センサ19、及び図示しない冷却温度設定手段からの出力に基づいて、圧縮機31の運転状態、膨張弁24の開度、室外ファン34の送風量、及び庫内ファン20の送風量を制御する。なお、制御手段21による具体的な制御については後述する。制御手段21は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
【0025】
[動作概要]
このように構成されたオープンショーケース100の冷却運転動作について説明する。オープンショーケース100は、収容空間13内に収容された被冷却物の冷蔵運転や冷凍運転を行う。冷蔵運転と冷凍運転を合わせて冷却運転と称する。
冷却運転時には、制御手段21により、圧縮機31、室外ファン34、及び庫内ファン20が運転状態となるとともに、膨張弁24の開度が適宜調整される。制御手段21は、収容空間13内の空気温度(以下、収容空間内温度)が、図示しない温度設定手段により設定された目標温度となるよう、各部の制御を行う。
【0026】
ここで、収容空間内温度の検出は、吹出温度センサ18と吸込温度センサ19の少なくとも一方の出力値に基づいて行うことができる。このようにすることで、前述の特許文献1のように収容空間13内の空気温度を検出する複数の温度センサを別途設ける必要がないので、センサ数を減らすことができてコスト削減に資する。
例えば、吹出温度センサ18が検出した吹出温度Toと、吸込温度センサ19が検出した吸込温度Tiの平均値を、収容空間内温度とすることができる。このようにすることで、吹出口16近傍と吸込口17近傍の空気の温度差がある場合でも、精度良く収容空間内温度を検出することができる。この場合、吹出温度センサ18及び吸込温度センサ19が、本発明の収容空間温度検知手段に相当する。
【0027】
また、例えば、吹出温度センサ18が検出した温度を、収容空間13の空気温度としてもよい。この場合、吹出温度センサ18が、本発明の収容空間温度検知手段に相当する。このようにすると、吸込温度センサ19を設ける必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
また、例えば、吸込温度センサ19が検出した温度を、収容空間13の空気温度としてもよい。この場合、吸込温度センサ19が、本発明の収容空間温度検知手段に相当する。このようにすると、吹出温度センサ18を設ける必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
【0028】
なお、図示しないが、収容空間13の収容空間内温度を検出する専用の温度センサを、吹出温度センサ18や吸込温度センサ19とは別に設けて収容空間内温度を検出してもよい。
【0029】
冷却運転時において、圧縮機31から吐出された冷媒は、室外熱交換器32を流れる。室外熱交換器32においては、室外ファン34により送風される外気に対して冷媒が放熱し、冷媒は凝縮する。室外熱交換器32で凝縮した冷媒は、レシーバ33を経て、室外回路30から流出する。この冷媒は、液側連絡配管3aを通って冷却回路22へ流入する。
冷却回路22に流入した冷媒は、膨張弁24を通過する際に減圧され、その後、冷却熱交換器23へ流入する。
【0030】
ここで、冷却熱交換器23が設置された循環通路15では、庫内ファン20が運転状態であり、空気が送風されている。
このため、冷却熱交換器23では、冷媒が、循環通路15を流れる空気から吸熱して蒸発する。その結果、循環通路15を流れる空気が冷却される。
【0031】
循環通路15で冷却された空気は、吹出口16から収容空間13内へ吹き出される。この吹出口16から吹き出された空気は、庫内ファン20の駆動により生じる吸引力により、吸込口17へ吸引される。つまり、吹出口16から吹き出されて吸込口17に吸引され、開放面14を覆う気流(エアカーテン5)が形成される。この際、吹出空気の冷気が、収容空間13内の空気へ付与され、収容空間13内に陳列された生鮮食品等が冷やされる。また、オープンショーケース100の開放面14を覆う気流(エアカーテン5)が、ショーケース本体1の外側の空気が開放面14を通じて収容空間13内へ流入するのを抑制する。
吸込口17に吸い込まれた空気は、庫内ファン20の駆動により循環通路15を流れ、再び冷却熱交換器23で冷却される。
【0032】
圧縮機31が固定容量式の圧縮機である場合、制御手段21は、圧縮機31の始動と停止を切換制御する。また、圧縮機31が可変容量式の圧縮機である場合、制御手段21は、出力周波数を制御して圧縮機31の電動機の回転速度を切り換える。
また、制御手段21は、膨張弁24の開度を調節する。
このように圧縮機31及び膨張弁24を制御することで、オープンショーケース100の冷媒回路を流れる冷媒循環量を調整し、冷却熱交換器23の冷却能力を制御する。
【0033】
[庫内ファンの制御]
上述した冷却運転においては、ショーケース本体1の開放面14を覆うエアカーテン5を形成して収容空間13内の冷却を行うわけだが、外部気流の影響によりエアカーテン5の形成が阻害されてしまう場合がある。ここで、外部気流とは、ショーケース本体1の外側から開放面14に向かう気流をいう。具体的には、例えばオープンショーケース100の設置場所(スーパーやコンビニエンスストア等)の空調を行う空調機から、ショーケース本体1の開放面14に向かって吹き出される空気流が挙げられる。このようなショーケース本体1の開放面14に向かう気流(外部気流)が生じると、この外部気流によってエアカーテン5が崩れてしまうことがある。
また、外部気流が生じていない場合であっても、エアカーテン5の風速が過大であると、エアカーテン5を形成する空気が開放面14の外部の空気を過剰に巻き込んでしまうことがある。
【0034】
このように、外部気流や外部空気の巻き込みが発生すると、開放面14を通じてショーケース本体1の外部の空気が収容空間13内へ侵入してしまう。そうすると、オープンショーケース100の冷却負荷が増大し、省エネ性が損なわれてしまう。
そこで、本実施形態に係るオープンショーケース100では、上述したような外部気流の影響や外部空気の巻き込みによる冷却負荷の変化を考慮して、庫内ファン20の送風量の制御を行う。
【0035】
図3は、実施の形態1に係る庫内ファン20の制御動作を説明するフローチャートである。図4は、庫内ファン20の送風量に対する冷却負荷P、冷却能力Q、及び収容空間内温度Rの関係を示す概略図である。以下、図4を参照しつつ、図3に沿って庫内ファン20の送風量の制御について説明する。
【0036】
まず、収容空間13の収容空間内温度を検出する(S1)。収容空間内温度は、上述のように、吹出温度センサ18が検知する吹出温度Toと吸込温度センサ19が検知する吸込温度Tiの少なくとも一方に基づいて検出することができる。
次に、検出した収容空間内温度が、予め定められた目標温度に対して誤差の範囲内にあるかどうか判断する(S2)。なお、この目標温度は、予め設定された温度であってもよいし、ユーザが任意に設定した温度であってもよい。
【0037】
収容空間内温度が目標温度に対して誤差の範囲内にある場合、すなわち、収容空間内温度が目標温度にほぼ等しい場合には(S2:Yes)、庫内ファン20の送風量を変化させることなくリターンする。
図4に示すように、図4のグラフ上段に示す冷却負荷Pと冷却能力Qが同等の場合に、グラフ下段に示す収容空間内温度Rを所定の目標温度に維持することができる。このため、収容空間内温度が目標温度にほぼ等しい場合には、冷却負荷と冷却能力がほぼ同等であると判断できるので、庫内ファン20の現在の送風量を維持するようにしている。
【0038】
一方、収容空間内温度が目標温度に対して誤差の範囲外にある場合、すなわち、収容空間内温度が目標温度から離れている場合には(S2:No)、ステップS3へ進む。そして、収容空間内温度が、目標温度に対して誤差として許容可能な最小値(目標温度−α)より小さいか否か、すなわち、収容空間内温度が目標温度に対して低すぎるか否かを判断する(S3)。
【0039】
収容空間内温度が「目標温度−α」より小さい場合(S3:Yes)、すなわち目標温度に対して収容空間内温度が低い場合は、開放面14にエアカーテン5が十分に形成されていて、図4に示すように冷却負荷よりも冷却能力の方が高い状態であるといえる(図4のR2、P2、Q2)。
そこで、このような場合には、制御手段21が庫内ファン20のモータの回転速度を所定量だけ減少変化させることにより、送風量を減少させる(S4)。このようにすることで、エアカーテン5を維持したまま、同時に冷却能力を低減させ、適正な収容空間内温度に保つことができる。このように庫内ファン20のモータの回転速度を所定量だけ減少変化させると、庫内ファン20のモータと圧縮機31の動力を軽減できるので、オープンショーケース100の運転能力を低減することができる。
【0040】
一方、収容空間内温度が「目標温度−α」以上である場合(S3:No)、すなわち、目標温度に対して収容空間内温度が高い場合は、ステップS5に進む。そして、庫内ファン20のモータの現在の回転速度が予め定められた上限値であるか否か確認することにより、庫内ファン20の送風量が最大であるか否か判断する(S5)。
【0041】
庫内ファン20の送風量が最大でない場合は(S5:No)、図4に示すように冷却能力よりも冷却負荷の方が高い状態であるといえる(図4のR1、P1、Q1)。そこで、このような場合には、制御手段21が庫内ファン20のモータの回転速度を所定値だけ増大変化させることにより、送風量を増大させる(S7)。このようにすると、吸込口17の吸込空気の風速及び吹出口16の吹出空気の風速が大きくなるので、開放面14においてより強固なエアカーテン5が形成され、これにより外部気流の影響を低減でき、冷却負荷を減少させることができる。また、庫内ファン20のモータの回転速度を増大変化させることにより冷却熱交換器23における風速が増大するため、冷却熱交換器23における冷却能力を向上させることができる。すなわち、庫内ファン20の送風量を増大させることで、エアカーテン5の強化による冷却負荷の低減と、冷却熱交換器23における風速増大による冷却能力の増大を同時に実現している。このため、例えば外部気流の風速が比較的大きいような条件下であっても、より強化されたエアカーテン5により収容空間13内への外部空気の侵入を抑制できる。その結果、収容空間内温度を低下させることができる。
【0042】
庫内ファン20のモータの回転速度が上限値である場合には(S5:Yes)、制御手段21は庫内ファン20のモータの回転速度を所定値に減少させることにより、所定の送風量に減少させる(S6)。
【0043】
ここで、ステップS6の処理を行う理由を説明する。
上述したように、目標温度に対して収容空間内温度が高い場合には、収容空間内温度を低下させるべく庫内ファン20の送風量を増大させてエアカーテン5の風速を増大させるのだが(図3のステップS7参照)、冷却負荷に対してエアカーテン5の風速が過大になると、外部空気の巻き込みが増加してしまう。エアカーテン5の風速が過大の状態で更に庫内ファン20のモータの回転速度を増大させると、更に外部空気を巻き込むこととなり、収容空間内温度はより上昇してしまう。最終的には、庫内ファン20のモータは最大速度となり、収容空間内温度は目標温度よりも高い温度で安定することとなる。
【0044】
すなわち、目標温度に対して収容空間内温度の方が高い状態にあるときというのは、エアカーテン5が崩れているために冷却負荷が冷却能力より大きくなっている場合と(図4のR1、P1、Q1)、外部空気の巻き込み量が多いために冷却負荷が冷却能力より大きくなって収容空間内温度が発散している場合とがある(図4の網掛け部分、R3、P3、Q3)。
【0045】
そこで、本実施の形態1ではステップS6において、庫内ファン20の送風量が最大である場合には、モータの回転速度を低下させることにより庫内ファン20の送風量を所定風量に低下させて所定時間運転する。この所定風量とは、エアカーテン5による外部空気の巻き込みが発生している場合にはこれを解消可能な程度の送風量であり、予め定めておくことができる。
【0046】
その後は、再び、図3のステップS1から開始する収容空間内温度に基づく送風量の制御を行う。なお、庫内ファン20の送風量が最大である場合に、一旦モータの回転速度を低下させた後、再び収容空間内温度に基づいて送風量の制御を行うことを、本書では「再制御」と称する。このような再制御を行うことで、エアカーテン5の風速が過大であるために外部空気を巻き込んでいる状態を解消することができ、エアカーテンの風速を適切な状態に制御することができる。
【0047】
なお、上記のような庫内ファン20の制御は、収容空間内温度の出力信号に対応するように庫内ファン20のモータの回転速度を変更するものであってもよいし、例えば収容空間内温度と庫内ファン20の送風量との関係が予め記憶されたデータベースを用いて、収容空間内温度に対応させて庫内ファン20の回転速度を段階的に変更するものであってもよい。
【0048】
次に、庫内ファン20の最大送風量について説明する。
オープンショーケース100の冷却負荷は、外部気流の流入量によって変動し、また、冷却能力は、循環通路15内や冷却熱交換器23への着霜量によって変動する。図5は、外気流入量と冷却負荷の関係及び、着霜量と冷却能力の関係を説明する図である。図5に示すように、外部気流の流入量が多くなるほど冷却負荷が大きくなり、着霜量が多くなるほど通風抵抗が増大して冷却能力が低下する。すなわち、外部気流の流入量と着霜量は、収容空間13の冷却阻害要因であるといえる。
そこで、本実施の形態1では、外部気流の流入量と着霜量ともに最大となる状態を想定し、この状態において必要となる庫内ファン20のモータ回転速度を庫内ファン20のモータ回転速度の上限値として設定することにより、最大送風量を設定する。このようにすることで、収容空間内温度を目標温度に近づけるために庫内ファン20のモータ回転速度を増大方向に制御した場合でも、エアカーテン5の風速過大による外部空気の巻き込みを低減できる。
【0049】
さらに、庫内ファン20の送風量及び冷却熱交換器23の性能は、想定される冷却阻害要因が最大の場合でも、十分に収容空間13を冷却可能であるものとする。このようにすることで、庫内ファン20のモータの回転速度が上限値の状態であるときに収容空間内温度が目標温度より高いときには、エアカーテン5の風速が過大であるために外部空気の巻き込みが発生していると判断できる。
【0050】
以上のように、本実施の形態1によれば、収容空間内温度に応じて庫内ファン20の送風量を制御するようにし、収容空間内温度が目標温度より高い場合には送風量を増大させるようにした。このようにすることで、エアカーテン5の風速を増大させることができるので、外部空気の侵入を防いで冷却負荷を低減させることができるとともに、冷却熱交換器23における風速を増大させて冷却能力を向上させることができる。このため、省エネ性を確保しつつ、収容空間13内の温度を適切に制御することができる。
【0051】
また、本実施の形態1では、収容空間内温度が目標温度より高い場合であって庫内ファン20の送風量が最大である場合には、一旦モータの回転速度を低下させた後、再び収容空間内温度に基づいて送風量の制御を行うようにした。このような再制御を行うことで、庫内ファン20の風量が過大であるために外部空気の巻き込みが発生して収容空間内温度が高くなっている場合に、外部空気の巻き込みを解消して収容空間13内の温度上昇を抑制することができ、オープンショーケース100の省エネ性を高めることができる。
【0052】
また、本実施の形態1では、ショーケース本体1の外部から収容空間13内へ流入する外気量の予測最大値と、循環通路15または冷却熱交換器23への着霜量の予測最大値とに基づいて、庫内ファン20の最大送風量(モータの回転速度の上限値)を設定した。そして、この庫内ファン20の最大送風量以下の範囲で、庫内ファン20を動作させるようにした。このため、収容空間内温度を目標温度に近づけるために庫内ファン20のモータ回転速度を増大方向に制御した場合でも、エアカーテン5の風速過大による外部空気の巻き込みを低減できる。
【0053】
また、本実施の形態1によれば、庫内ファン20を標準化した様々な容量のオープンショーケースをシリーズ展開することができる。庫内ファン20を標準化(共通化)して容量の異なるオープンショーケースを構成すると、小容量のオープンショーケースでは収容空間13に対して庫内ファン20の送風量が大きすぎるためにエアカーテン5の風速が過大となることも考えられる。
しかし、上述のように庫内ファン20の送風量を再制御し、または庫内ファン20の送風量に上限値を設けることで、エアカーテン5の風速を適正に保ちやすい。したがって、収容空間の冷却と高い省エネ性を実現しつつ、庫内ファン20を標準化した様々な容量のオープンショーケースをシリーズ展開することができる。
【0054】
なお、圧縮機の制御方式を限定するものではないが、本実施の形態1に係る庫内ファン20の制御動作は、冷却熱交換器における蒸発温度に基づいて始動/停止が制御される固定容量式の圧縮機、または、冷却熱交換器における蒸発温度に基づいて容量制御される可変容量式の圧縮機を用いる場合に効果的である。
【0055】
すなわち、一般的に、オープンショーケース100の冷却負荷は外部気流の影響で変化し、冷却能力は冷却熱交換器や循環通路に付着する霜の量によって変化する。外部気流、すなわち冷却負荷は、例えば空調機などの送風に影響されるため一定ではない。また、冷却熱交換器や循環通路に付着する霜の量も時間経過とともに増加するものである。このように、環境変化により冷却負荷や冷却能力が変動する。
そうすると、オープンショーケース100の圧縮機が、冷却熱交換器の蒸発温度に基づいて制御されるタイプのもの(すなわち、収容空間内温度に基づいて運転制御されないタイプのもの)である場合、冷却熱交換器の蒸発温度が一定となっていても、上述したような環境変化の影響を受けて収容空間内温度が変動しうる。
しかし、本実施の形態1によれば、収容空間内温度が目標温度となるよう庫内ファン20が制御されるので、上述したような環境変化が生じた場合でも、適切な収容空間内温度を維持することができる。
【0056】
実施の形態2.
本実施の形態2は、上記実施の形態1と庫内ファン20の制御動作が異なるものである。本実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または対応する構成には同一の符号を付す。
【0057】
図6は、実施の形態2に係るオープンショーケース100Aの主要部を示す概略図である。図6に示すように、オープンショーケース100Aは、吹出温度センサを備えていない点が実施の形態1と異なる。なお、吸込温度センサ19は備えている。
【0058】
本実施の形態2では、吸込温度センサ19が検知する吸込温度Tiが、外部気流、すなわち冷却負荷変動の指標であると捉え、この吸込温度Tiに基づいて庫内ファン20を制御する。
ここで、吸込温度センサ19が検知する吸込温度Tiが、外部気流(冷却負荷)変動の指標であるとする理由を説明する。まず、吹出口16から吹き出された空気は、吸込口17に至るまでの間にその冷気を収容空間13内に伝えるから、吸込温度Tiは吹出温度Toよりも高い。そして、外部気流の侵入割合が小さくなって冷却負荷が小さくなると、吸込温度Tiは吹出温度Toにより近い温度となる。言い換えると、冷却負荷(外部気流)が小さくなると、吸込温度Tiも小さくなる。一方、収容空間内温度も冷却負荷の減少に伴って低下し、さらに、収容空間内温度の低下に伴って吸込温度Tiと吹出温度Toがともに低下する。したがって、吸込温度Tiは、冷却負荷変動の指標であるといえる。
【0059】
そこで、本実施の形態2では、庫内ファン20の送風量を、冷却負荷の指標である吸込温度Tiがより小さくなるように制御する。以下、具体的に説明する。図7は、実施の形態2に係る庫内ファン20の制御動作を説明するフローチャートである。
まず、吸込温度センサ19により、所定タイミングで吸込温度Tiを検出する(S11)。そして、吸込温度Tiの値が安定した状態となったか否か判断する(S12)。ここで、吸込温度Tiの値が安定した状態とは、所定時間続けて吸込温度Tiが同じ値をとる状態をいうが、ここでいう「同じ値」とは、計測誤差や商品の取り出しによって生じうる±1℃程度の温度変動などの所定温度差の範囲内の値を含む概念である。そして、吸込温度Tiの値が安定していなければ(S12:No)、リターンし、吸込温度Tiの値が安定すると(S12:Yes)、ステップS13へ進む。
【0060】
次に、庫内ファン20のモータの回転速度を所定値だけ増大させて送風量を増大させる(S13)。このときに増大させる送風量は、送風量を増大させたときに、吸込温度TiがステップS12における安定した状態から変化しうる程度の送風量とし、例えば、+10%程度とする。
続けて吸込温度Tiを検出し、ステップS13で庫内ファン20の送風量を増大させる前よりも吸込温度Tiが低下したか否か判断する(S14)。
【0061】
庫内ファン20の送風量を増大させたときに吸込温度Tiが低下すれば(S14:Yes)、ステップS13での庫内ファン20の送風量増大により冷却負荷が減少したということを意味する。すなわち、ステップS13以前の吸込温度Tiの値が安定した状態においては、エアカーテン5が崩れやすい状態であったと判断できる。したがって、このときには、制御手段21が庫内ファン20の送風量をステップS12の状態よりも増大変化させる(S15)。その結果、より強固なエアカーテン5が形成されて外部気流が吸込口17に吸引されにくくなり、吸込温度Tiがより小さくなる。
【0062】
なお、ステップS15において庫内ファン20の送風量を増大変化させる際には、実施の形態1で説明したのと同様に、外部気流の流入量と着霜量ともに最大となる状態を想定し、この状態において必要となる庫内ファン20のモータ回転速度を、庫内ファン20のモータ回転速度の上限値として設定する。このようにすることで、収容空間内温度を目標温度に近づけるために庫内ファン20のモータ回転速度を増大方向に制御した場合でも、エアカーテン5の風速が過大になりすぎることがない。
【0063】
一方、庫内ファン20の送風量を増大変化させたときに吸込温度Tiが上昇すれば(S14:No)、エアカーテン5の風速が過大であって外部空気を過剰に巻き込む状態であると判断できる。したがって、このときには制御手段21が庫内ファン20の送風量をステップS12の状態よりも減少変化させる(S16)。その結果、エアカーテン5が巻き込む外部空気の量を低減することができ、吸込温度Tiがより小さくなる。
【0064】
以上のように、本実施の形態2では、吸込温度Tiが安定した状態になると一時的に庫内ファン20の送風量を増大させ、このときに吸込温度センサ19によって検出される吸込温度Tiがより小さくなるように庫内ファン20の送風量を制御する。吸込温度Tiは冷却負荷の指標であるから、吸込温度Tiがより小さくなるように庫内ファン20を制御することで、ショーケース本体1の開放面14には最適なエアカーテン5の風速が維持され、同時に庫内ファン20の動力の削減が図られるために省エネに資する。
【0065】
ここで、本実施の形態2における圧縮機は、収容空間内温度に応じて運転容量を制御する可変容量式のものであることが望ましい。収容空間内温度に応じて運転容量を制御する可変容量式の圧縮機の場合、収容空間内温度は庫内ファン20の送風量にかかわらず圧縮機の運転によってほぼ一定に維持されることとなるが、上述したように庫内ファン20の送風量を制御して冷却負荷をより小さくすることにより、この冷却負荷に対して圧縮機容量を過不足なく設定すればよく、効率良く圧縮機を運転することができる。
さらに、本実施の形態2では吹出温度センサを設けないこととして説明したが、吹出温度センサを設け、吹出温度Toと吸込温度Tiの平均値を収容空間内温度としてもよい。このようにすると、収容空間内温度に応じて運転容量を制御する可変容量式の圧縮機の場合、収容空間内温度を一定にすべく運転容量が制御されるから、冷却負荷の変動に伴う吸込温度Tiの変動がより顕著に現れることとなる。したがって、庫内ファン20の送風量の制御を、より高精度に行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態2では、吸込温度Tiを冷却負荷の指標とし、吸込温度Tiがより小さくなるように庫内ファン20の送風量を制御することとして説明した。しかし、実施の形態1と同様の吹出温度センサ18を更に備え、吸込温度Tiと吹出温度Toの温度差を冷却負荷の指標とすることもできる。すなわち、理論上、冷却負荷がゼロのときに吸込温度Tiと吹出温度Toの温度差がゼロとなるから、吸込温度Tiと吹出温度Toの温度差が小さいほど冷却負荷が小さいといえる。したがって、吸込温度Tiと吹出温度Toの温度差がより小さくなるように庫内ファン20の送風量を制御しても、図7と同様の効果を得ることができる。
【0067】
実施の形態3.
本実施の形態3は、上記実施の形態2と庫内ファン20の制御動作が異なる。実施の形態2では吸込温度Tiを冷却負荷の指標とし、吸込温度Tiがより小さくなるように庫内ファン20の送風量を制御したのに対し、本実施の形態3では、吹出温度Toを冷却負荷の指標とし、吹出温度Toがより大きくなるように庫内ファン20の送風量を制御する。
以下、実施の形態2との相違点を中心に説明する。
【0068】
図8は、実施の形態3に係るオープンショーケース100Bの主要部を示す概略図である。図8に示すように、オープンショーケース100Bは、吹出温度センサ18を備えているが吸込温度センサを備えていない点が、実施の形態2と異なる。
【0069】
本実施の形態3に係る圧縮機31は、収容空間内温度に基づいてその運転状態が制御される圧縮機である。固定容量式の圧縮機の場合には、収容空間内温度が目標温度となるよう、始動と停止が制御される。可変容量式の圧縮機の場合には、収容空間内温度が目標温度となるよう、運転容量が制御される。
なお、収容空間内温度の検出は、実施の形態1と同様に吹出温度センサ18が行ってもよいが、収容空間温度検知手段として吸込温度センサを備えてもよい。また、収容空間内温度を検出する専用の温度センサを設けてもよい。このように本実施の形態3では、収容空間内温度の検知手段及び方法を限定するものではない。
【0070】
上記のような圧縮機31を備えたオープンショーケース100では、収容空間内温度が目標温度に近づくように圧縮機31が制御されるから、収容空間内温度が目標温度よりも高い場合、すなわち冷却負荷が大きい場合には、収容空間内温度を目標温度に近づけるべく吹出温度Toが低くなる。一方、収容空間内温度が目標温度よりも低い場合、すなわち冷却負荷が小さい場合には、吹出温度Toは高くなる。このように、収容空間内温度に基づいて運転状態が制御される圧縮機31を用いた場合には、吹出温度Toが冷却負荷の指標となりうる。
【0071】
そこで、本実施の形態3では、庫内ファン20の送風量を、冷却負荷の指標である吹出温度Toがより大きくなるように制御する。以下、具体的に説明する。図9は、実施の形態3に係る庫内ファン20の制御動作を説明するフローチャートである。
まず、吹出温度センサ18により、所定タイミングで吹出温度Toを検出する(S21)。そして、吹出温度Toの値が安定した状態となったか否か判断する(S22)。吹出温度Toの値が安定した状態とは、所定時間続けて吹出温度Toが同じ値(所定誤差範囲内の値)をとる状態をいう。吹出温度Toの値が安定していなければ(S22:No)、リターンし、吹出温度Toの値が安定すると(S22:Yes)、ステップS23へ進む。
【0072】
次に、庫内ファン20のモータの回転速度を所定値だけ増大させて送風量を増大させる(S23)。このときに増大させる送風量は、送風量を増大させたときに、吹出温度ToがステップS22における安定した状態から変化しうる程度の送風量とし、例えば、+10%程度とする。
続けて吹出温度Toを検出し、庫内ファン20の送風量を増大させる前よりも吹出温度Toが低下したか否か判断する(S24)。
庫内ファン20の送風量を増大させたときに吹出温度Toが低下すれば(S24:Yes)、エアカーテン5の風速が過大であって外部空気を過剰に巻き込む状態であると判断できる。したがって、このときには制御手段21が庫内ファン20の送風量を減少変化させる(S25)。その結果、エアカーテン5が巻き込む外部空気の量を低減することができ、吹出温度Toがより高くなる。
【0073】
一方、庫内ファン20の送風量を増大変化させたときに吹出温度Toが上昇すれば(S24:No)、ステップS23での庫内ファン20の送風量増大により冷却負荷が減少したということを意味する。すなわち、ステップS23以前の吹出温度Toが安定した状態は、エアカーテン5が崩れやすい状態であったと判断できる。したがって、このときには、制御手段21が庫内ファン20の送風量を増大変化させる(S26)。その結果、より強固なエアカーテン5が形成されることとなり、外部気流が吸込口17に吸引されにくくなり、吹出温度Toがより高くなる。
【0074】
なお、ステップS26において庫内ファン20の送風量を増大変化させる際には、実施の形態1で説明したのと同様に、外部気流の流入量と着霜量ともに最大となる状態を想定し、この状態において必要となる庫内ファン20のモータ回転速度を、庫内ファン20のモータ回転速度の上限値として設定する。このようにすることで、収容空間内温度を目標温度に近づけるために庫内ファン20のモータ回転速度を増大方向に制御した場合でも、エアカーテン5の風速が過大になりすぎることがない。
【0075】
以上のように、本実施の形態3では、収容空間内温度に基づいてその運転状態が制御される圧縮機を備えたオープンショーケースにおいて、吹出温度センサ18によって検出される吹出温度Toがより大きくなるように、庫内ファン20の送風量を制御する。吹出温度Toは冷却負荷の指標であるといえるから、このように制御することで、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 ショーケース本体、2 室外ユニット、3 連絡配管、3a 液側連絡配管、3b 連絡配管、5 エアカーテン、12 陳列棚、13 収容空間、14 開放面、15 循環通路、16 吹出口、17 吸込口、18 吹出温度センサ、19 吸込温度センサ、20 庫内ファン、21 制御手段、22 冷却回路、23 冷却熱交換器、24 膨張弁、30 室外回路、31 圧縮機、32 室外熱交換器、33 レシーバ、34 室外ファン、100、100A、100B オープンショーケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面を開放面とした収容空間と、空気の吸込口及び吹出口と、前記吸込口から吹出口に至る循環通路とを備えたショーケース本体と、
前記循環通路内の空気を送風する送風手段と、
前記循環通路内の空気を冷却する冷却手段と、
前記収容空間内の温度を検出する収容空間温度検知手段と、
前記吸込口の温度である吸込温度を検出する吸込温度検知手段と、
前記送風手段の送風量を制御する制御手段と、を備え、
前記吹出口から吹き出した空気を前記吸込口から吸い込んで前記収容空間の開放面にエアカーテンを形成するオープンショーケースであって、
前記制御手段は、前記収容空間内の温度が所定値で安定した状態で前記送風手段の送風量を一時的に増大させ、このとき、前記吸込温度が上昇した場合には前記送風手段の送風量を減少させ、前記吸込温度が低下した場合には前記送風手段の送風量を増大させることにより、前記冷却手段の冷却負荷がより小さくなるように前記送風手段の送風量を制御する
ことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
一面を開放面とした収容空間と、空気の吸込口及び吹出口と、前記吸込口から吹出口に至る循環通路とを備えたショーケース本体と、
前記循環通路内の空気を送風する送風手段と、
前記循環通路内の空気を冷却する冷却手段と、
前記収容空間内の温度を検出する収容空間温度検知手段と、
前記吹出口の温度である吹出温度を検出する吹出温度検知手段と、
前記吸込口の温度である吸込温度を検出する吸込温度検知手段と、
前記送風手段の送風量を制御する制御手段と、を備え、
前記吹出口から吹き出した空気を前記吸込口から吸い込んで前記収容空間の開放面にエアカーテンを形成するオープンショーケースであって、
前記制御手段は、前記収容空間内の温度が所定値で安定した状態で、前記送風手段の送風量を一時的に増大させ、このとき、前記吹出温度と前記吸込温度の差が増大した場合には前記送風手段の送風量を減少させ、前記吹出温度と前記吸込温度の差が減少した場合には前記送風手段の送風量を増大させることにより、前記冷却手段の冷却負荷がより小さくなるように前記送風手段の送風量を制御する
ことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項3】
前記冷却手段は、圧縮機、放熱器、絞り装置、及び蒸発器を配管で接続した冷媒回路を備え、
前記圧縮機は、前記収容空間内の温度に基づいて運転制御される
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のオープンショーケース。
【請求項4】
一面を開放面とした収容空間と、空気の吸込口及び吹出口と、前記吸込口から吹出口に至る循環通路とを備えたショーケース本体と、
前記循環通路内の空気を送風する送風手段と、
前記循環通路内の空気を冷却する冷却手段と、
前記収容空間内の温度を検出する収容空間温度検知手段と、
前記吹出口の温度である吹出温度を検出する吹出温度検知手段と、
前記送風手段の送風量を制御する制御手段と、を備え、
前記吹出口から吹き出した空気を前記吸込口から吸い込んで前記収容空間の開放面にエアカーテンを形成するオープンショーケースであって、
前記冷却手段は、圧縮機、放熱器、絞り装置、及び蒸発器を配管で接続した冷媒回路を備え、前記圧縮機は、前記収容空間内の温度に基づいて運転制御されるものであり、
前記制御手段は、前記収容空間内の温度が所定値で安定した状態で、前記送風手段の送風量を一時的に増大させ、このとき、前記吹出温度が上昇した場合には前記送風手段の送風量を増大させ、前記吹出温度が低下した場合には前記送風手段の送風量を減少させることにより、前記冷却手段の冷却負荷がより小さくなるように前記送風手段の送風量を制御する
ことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項5】
前記ショーケース本体の外部から前記収容空間内へ流入する外部空気量の予測最大値と、前記循環通路または前記冷却手段への着霜量の予測最大値とに基づいて、前記送風手段の最大送風量を設定しておき、
前記制御手段は、前記最大送風量以下の範囲で前記送風手段の送風量を制御する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか記載のオープンショーケース。
【請求項6】
前記収容空間温度検知手段は、前記吹出口の温度である吹出温度と前記吸込口の温度である吸込温度の平均値を、前記収容空間内の温度として検出する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−225644(P2012−225644A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174133(P2012−174133)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2010−111352(P2010−111352)の分割
【原出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】