説明

カップホルダ

【課題】取付箇所の自由度を高めることができるとともに、脚に孔あけ加工等を施すことなく容易に取り付けることのできるカップホルダを提供する。
【解決手段】外縁C5にフランジ部C61、C62、C63、C64を有してなり所要の間隔を空けて配置された複数の脚C1と、これら脚C1間に設けられた座C2とを具備してなる椅子Cに取り付けられるカップホルダH1であって、カップPを保持するためのホルダ本体1と、このホルダ本体1を支持するホルダ支持部材2と、このホルダ支持部材2を脚C1に加工を施すことなく前記フランジ部C61、C62、C63、C64を利用して当該脚C1の外縁C5部分に取り付ける取付機構3とを具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタジアム等に設置される椅子に好適に使用することができるカップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジアム等に設置される椅子として、所要の間隔を空けて配置された複数の脚と、これら脚間に設けられた座及び背凭れとを具備してなるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、これらの椅子においては、各着座者がそれぞれ利用することができるカップホルダを増設したいという要望がある。ところが、既に設置されている椅子にカップホルダを後発的に取り付けるのには制約が多い。例えば、背凭れの背面に後列の着座者が利用するためのカップホルダを取り付けると、前後の椅子間に形成されている通路の幅が狭くなるという不具合が生じる。また、脚等にボルト孔を穿設してカップホルダを取り付けると、取付作業に多大な工数を要するという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−187338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、取付箇所の自由度を高めることができるとともに、脚に孔あけ加工等を施すことなく容易に取り付けることのできるカップホルダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係るカップホルダは、外縁にフランジ部を有してなり所要の間隔を空けて配置された複数の脚と、これら脚間に設けられた座とを具備してなる椅子に取り付けられるものであって、カップを保持するためのホルダ本体と、このホルダ本体を支持するホルダ支持部材と、この支持部材を脚に加工を施すことなく前記フランジ部を利用して当該脚の外縁部分に取り付ける取付機構とを具備してなることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、フランジ部を利用して取り付けるようにしているので、取付箇所の自由度を高めることができるとともに、脚に孔あけ加工等を施すことなく容易に取り付けることができる。
【0008】
前記脚が、起立面から片持ち的に突出させたもので、その外縁のうち少なくとも下縁に前記フランジ部が形成されている場合の好適な取付機構としては、前記脚の外縁近傍においてフランジ部よりも内側を挟持する対をなす側面挟持部と、これら側面挟持部によりホルダ支持部材が脚に取り付けられた状態で前記脚の外縁に当接してホルダ支持部材の前後方向の回動を規制する外面当接部とを具備してなるものが挙げられる。
【0009】
前記側面挟持部及び外面当接部の好適な一例としては、それぞれ脚に密着する弾性表面層を備えたものが挙げられる。
【0010】
前記取付機構は、ホルダ支持部材に設けられた一方の側面挟持部と、前記ホルダ支持部材に対面配置された対面部材に設けられた他方の側面挟持部と、前記脚の外側に位置させて前記ホルダ支持部材と前記対面部材との間に配置された外面当接部とを備え、この外面当接部に前記ホルダ支持部材及び対面部材を緊締結合することにより、前記両側面挟持部を脚の側面に圧接させるようにしたものであることが好ましい。
【0011】
前記ホルダ支持部材の両側に前記ホルダ本体がそれぞれ設けられているものにおいては、前記ホルダ支持部材が、各ホルダ本体間を仕切る仕切板としての役割をも担い得る形状をなしたものが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のような構成であるから、取付箇所の自由度を高めることができるとともに、脚に孔あけ加工等を施すことなく容易に取り付けることのできるカップホルダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる椅子及びカップホルダの正面図。
【図2】同実施形態の椅子及びカップホルダの平面図。
【図3】同実施形態の椅子及びカップホルダを一部省略して示す右側面図。
【図4】同実施形態のカップホルダの取り付け状態を拡大して示す斜視図。
【図5】同実施形態のカップホルダの取り付け前の状態を示す分解斜視図。
【図6】図3におけるX−X線断面図。
【図7】図6におけるY−Y線断面図。
【図8】本発明の他の実施形態の椅子及びカップホルダを一部省略して示す右側面図。
【図9】図8におけるZ−Z線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図7を参照して説明する。
【0015】
この実施形態は、屋内または屋外にあるスタジアム等に設置される椅子Cに、本発明にかかるカップホルダH1、H2を取り付けた場合のものである。
【0016】
椅子Cは、図1ないし図3に示すように、所要の間隔を空けて配置された複数の脚C1と、これら脚C1間に設けられた座C2と、前記脚C1間に設けられた背凭れC4とを具備してなる。なお、図3においては、右端側(紙面手前側)の脚、座及び背凭れ等を省略している。
【0017】
脚C1は、図1ないし図6に示すように、起立面S1から片持ち的に突出させたもので、その外縁C5のうち少なくとも下縁C51に前記フランジ部C61が形成されている。すなわち、この脚C1は、下端部を段床Sの起立面S1にボルトB1を用いて取着したもので、その上端部を肘掛部C7としている。脚C1は、アルミダイキャスト等により作られた板状のもので、その外縁C5、すなわち、下縁C51と、この下縁C51に連続する前向き縁C52と、上縁C53と、この上縁C53に連続する後向き縁C54とに、それぞれ、その板厚よりも幅の広いフランジ部C61、C62、C63、C64を有している。すなわち、図6に示すように、各フランジ部C61、C62、C63、C64の横断面は、略T字状をなしている。このフランジ部C61、C62、C63、C64は、部材からはみ出すように出っ張った部分のことであり、本実施形態においては、フランジ部C61、C62、C63、C64の厚さは一様でなく、その内側に外面に向けてテーパ(傾斜)が付けられている。
【0018】
座C2は、図1ないし図4に示すように、例えば、ブロー成形等により作られた合成樹脂製の座本体C8と、この座本体C8の基端部両側にビスB2を用いて取着した断面L字形をなす金属製の補強板C9とを具備してなる。これら両補強板C9をライジング機構C3を介して両側の脚C1にライジング動作可能に支持させている。ライジング機構C3は、座C2を倒伏位置(a)、起立位置(b)、及び退避位置(c)の間で起伏動作させるためのものであり、その構造は通常のものであるため、説明を省略する。
【0019】
背凭れC4は、図1ないし図3に示すように、例えば、ブロー成形等により作られた合成樹脂製のもので、図示しないブラケットを介して両側の脚C1に支持されている。
【0020】
このような椅子Cの所要の脚C1に、カップホルダH1、H2を取り付けている。
【0021】
カップホルダH2は、図1、図2、図4及び図5に示すように、カップPを保持するためのホルダ本体1と、このホルダ本体1を支持するホルダ支持部材2と、このホルダ支持部材2を脚C1に加工を施すことなく前記フランジ部C61を利用して当該脚C1の外縁C5部分に取り付ける取付機構3とを具備してなる。
【0022】
ホルダ本体1は、図1ないし図5に示すように、保持すべきカップPよりも浅い椀状のもので、下端底部に開口部を有している。このホルダ本体1は、合成樹脂により作られており、ホルダ支持部材2の側面21にボルト81を用いて若干前傾姿勢で止着されている。なお、このホルダ本体1には、カップP以外のもの、例えば缶またはペットボトル入りの飲食物等を保持させてもよいのはもちろんである。
【0023】
ホルダ支持部材2は、図1ないし図7に示すように、板状のもので、上端部22を取付機構3を介して脚C1に取り付けるとともに、下端部23の両側に前記ホルダ本体1がそれぞれ設けられている。なお、このホルダ支持部材2は、各ホルダ本体1間を仕切る仕切板としての役割をも担い得る形状をなしている。具体的には、各ホルダ本体1に保持されたカップP間に介入し得る出っ張り部24を有している。
【0024】
取付機構3は、図1及び図3ないし図7に示すように、前記脚C1の外縁C5近傍においてフランジ部C61よりも内側を挟持する対をなす側面挟持部5、6と、これら側面挟持部5、6によりホルダ支持部材2が脚C1に取り付けられた状態で前記脚C1の外縁C5に当接してホルダ支持部材2の前後方向の回動を規制する外面当接部7とを具備してなる。すなわち、この取付機構3は、ホルダ支持部材2に設けられた一方の側面挟持部5と、前記ホルダ支持部材2に対面配置された対面部材4に設けられた他方の側面挟持部6と、前記脚C1の外側に位置させて前記ホルダ支持部材2と前記対面部材4との間に配置された外面当接部7とを備えたものである。そして、この取付機構3は、この外面当接部7に前記ホルダ支持部材2及び対面部材4を緊締結合することにより、前記両側面挟持部5、6を脚C1の側面に圧接させるようにしている。具体的には、外面当接部7は、フランジ部C61の幅寸法よりも若干大きな幅を有したブロック状のもので、両端面にねじ孔71を開口させている。そして、ホルダ支持部材2に設けたボルト挿通孔25を通過させて前記ねじ孔71の一端側に螺合させた第一のボルト82と、前記対面部材4に設けたボルト挿通孔41を通過させて前記ねじ孔71の他端側に螺合させた第二のボルト83とによって、この外面当接部7に前記ホルダ支持部材2及び対面部材4を緊締結合するようになっている。そして、この緊締結合により、前記両側面挟持部5、6がホルダ支持部材2の両側面21に圧接されるようにしている。ここで、前記側面挟持部5、6及び外面当接部7は、それぞれ脚C1に密着するゴムシート等を添着することにより形成された弾性表面層51、61、72を備えたものであり、前記緊締結合が完了した場合に、側面挟持部5、6の弾性表面層51、61が弾性変形を伴ってホルダ支持部材2内の側面21に圧接される。また、緊締結合時に、外面当接部7の弾性表面層72が脚C1の外面、すなわち脚C1の外縁C5のフランジ部C61に当接されることによって、カップホルダH2をがたつきなく確実に脚C1に取り付けることができる。
【0025】
カップホルダH1は、図1ないし図3に示すように、ホルダ支持部材2の一側面21側のみにホルダ本体1を取り付けたものであり、前記カップホルダH2と同一または対応する部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
このように、本実施形態のカップホルダH1、H2は、外縁C5にフランジ部C61、C62、C63、C64を有してなり所要の間隔を空けて配置された4つの脚C1と、これら脚C1間に設けられた3つの座C2とを具備してなる椅子Cに取り付けられるものであって、カップPを保持するためのホルダ本体1と、このホルダ本体1を支持するホルダ支持部材2と、このホルダ支持部材を脚C1に加工を施すことなく前記フランジ部C61を利用して当該脚C1の外縁C5部分に取り付ける取付機構3とを具備してなるので、前後の椅子C間の通路を不当に狭くすることなく、取付箇所の自由度を高めることができるとともに、脚C1に手間のかかる孔あけ加工等を施すことなく容易に取り付けることができる。そのため、既存のスタジアム等の椅子Cにも容易に取り付けることができる。
【0027】
特に、金属製の板状の脚C1に設けられたフランジ部C61は、本来曲げ剛性を向上させ強度を保つためのものであるが、このフランジ部C61を有効に利用して、カップホルダH1、H2を離脱不能に取り付けることができる。そのため、カップホルダH1、H2を最低限の部品点数で、しっかりと取り付けることができる。また、脚全体を掴み持つようにカップホルダを取り付けるものと比べて、取付機構3を小型化することができる。さらに、脚C1にカップホルダH1、H2取り付けのための穿孔作業等を行うことがないため剛性を保つことができる。
【0028】
前記脚C1は、起立面S1から片持ち的に突出させたもので、その外縁C5のうち少なくとも下縁C51に前記フランジ部C61が形成されているので、脚C1の下部にカップホルダH1、H2を取り付けることができる。そして、前記取付機構3が、前記脚C1の外縁C5近傍においてフランジ部C61よりも内側を挟持する対をなす側面挟持部5、6と、これら側面挟持部5、6によりホルダ支持部材2が脚C1に取り付けられた状態で前記脚C1の外縁C5に当接してホルダ支持部材2の前後方向の回動を規制する外面当接部7とを具備してなるものであるので、対をなす側面挟持部5、6により左右方向への移動が規制されるとともに、外面当接部7により前後方向の回転移動が規制され、しっかりとカップホルダH1、H2を保持させておくことができる。詳述すれば、前記側面挟持部5、6は、フランジ部C61を避けた薄い平板状の両側面を挟んでおり、前記外面当接部7は、脚C1の板厚よりも大きな寸法を有するフランジ部C61に面接触しているので、しっかり取り付けることができる。
【0029】
特に本実施形態においては、前記側面挟持部5、6及び外面当接部7が、それぞれ脚C1に密着する弾性表面層51、61、72を備えたものであり、弾性表面層51、61、72の弾性変形を伴って締め付けているので、取付機構3付近の外れや破損を抑制できる。具体的には、カップホルダH1、H2になんらかの外力が加わった場合にも、第一、第二のボルト82、83が緩みにくいという効果が得られる。また、ボルト82、83が多少緩んだ場合にも、外面当接部7の弾性表面層72がカップホルダH1、H2の回転を抑制するため、このカップホルダH1、H2に保持されたカップPが落下することを効果的に抑制できる。
【0030】
前記取付機構3が、ホルダ支持部材2に設けられた一方の側面挟持部5と、前記ホルダ支持部材2に対面配置された対面部材4に設けられた他方の側面挟持部6と、前記脚C1の外側に位置させて前記ホルダ支持部材2と前記対面部材4との間に配置された外面当接部7とを備え、この外面当接部7に前記ホルダ支持部材2及び対面部材4を緊締結合することにより、前記両側面挟持部5、6を脚C1の側面に圧接させるようにしたものであるので、既設の脚C1にも簡単な作業で取り付けることができる。具体的には、一方の側面挟持部5がホルダ支持部材2と一体化されているので、取付の際、この側面挟持部5を脚C1のフランジ部C61に掛け止めて仮保持しておける。さらに、外面当接部7に対するホルダ支持部材2と対面部材4の緊締結合状態を解除すれば、脚C1に変形を加えることなくカップホルダH1、H2を取り外すことができる。
【0031】
また、カップホルダH2は、前記ホルダ支持部材2の両側に前記ホルダ本体1がそれぞれ設けられているので、座席2つ分のホルダ本体1を備えたカップホルダH2を一回のホルダ支持部材2の取付作業で完了することができ、取付作業の手間を省くことができる。また、このような場合に、前記ホルダ支持部材2が、各ホルダ本体1間を仕切る仕切板としての役割をも担い得る形状をなしたものであるので、隣接する着座者同士が隣の着座者用のホルダ本体1を間違って使用したり、隣の着座者用のホルダ本体1に置かれたカップPに誤って触れるおそれがなくなる。
【0032】
また、1つの椅子Cに対してカップホルダH1とカップホルダH2を組み合わせて使用することにより、本実施形態に示したような奇数個の座C2を有する椅子Cの他にも、偶数個の座を有する椅子にも適用できる。
【0033】
また、このカップホルダH1、H2は、本実施形態に示したライジング機構C3を有する椅子Cに適用した場合であっても、脚C1の下縁C51のフランジ部C61を利用して取り付けているので、カップホルダH1、H2は座C2の回転動作に干渉することがなく、また、ホルダ本体1は、倒伏位置(a)にした座C2の下側に位置するため、着座C2者の邪魔になることもない。特に、本実施形態では、図3に示すように、起立位置(b)にある座C2の前端部とホルダ本体1の前端部とをほぼ同じ前後位置になるように配しているので、ホルダ本体1が起立位置(b)にある座C2の前側の通路に向かって大幅に突出することがない。そのため、カップホルダH1、H2をそれほど気にすることなく座C2の前側の通路を歩くことができる。
【0034】
次に、本発明の他の実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、以下の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。なお、図8においては、右端側(紙面手前側)の脚、座及び背凭れ等を省略している。
【0035】
本実施形態は、椅子Cの脚C1が、起立面S1から片持ち的に突出させたもので、その外縁C5のうち少なくとも前向き縁C52に前記フランジ部C62が形成されており、このフランジ部C62を利用してカップホルダH2を取り付けている。本実施形態のカップホルダH2は、主として取付機構3が前述した実施形態と異なっている。
【0036】
取付機構3は、図8及び図9に示すように、前記脚C1の外縁C5近傍においてフランジ部C62よりも内側を挟持する対をなす側面挟持部5、6と、これら側面挟持部5、6によりホルダ支持部材2が脚C1に取り付けられた状態で前記脚C1の外縁C5に当接してホルダ支持部材2の前後方向及び上下方向の回動を規制する外面当接部7とを具備してなる。すなわち、この取付機構3は、ホルダ支持部材2に設けられた一方の側面挟持部5と、前記ホルダ支持部材2に対面配置された対面部材4に設けられた他方の側面挟持部6と、前記脚C1の外側に配置された外面当接部7とを備えたものであり、本実施形態においては、前記外面当接部7を対面部材4に一体に形成している。また、対面部材4の下端部近傍には、この対面部材4とホルダ支持部材2との間に挟持される図示しない固定用カラーが設けられており、この固定用カラーにはボルト挿通孔が形成されている。
【0037】
そして、この取付機構3は、このホルダ支持部材2に対面部材4を緊締結合することにより、前記両側面挟持部5、6を脚C1の側面に圧接させるようにしている。具体的には、外面当接部7は、対面部材4の中間部分に設けられたものである。そして、対面部材4の前端に設けたボルト挿通孔41を通過させてホルダ支持部材2のねじ孔26に螺合させた第一のボルト84と、対面部材4の下端に設けた図示しないボルト挿通孔、及び、このボルト挿通孔と軸心を一致させて設けた固定用カラーのボルト挿通孔を通過させてホルダ支持部材2のねじ孔に螺合させた第二のボルト85とによって、前記ホルダ支持部材2に対面部材4を緊締結合するようになっている。そして、この緊締結合により、前記両側面挟持部5、6がホルダ支持部材2の両側面21に圧接されるようにしている。ここで、前記側面挟持部5、6及び外面当接部7は、それぞれ脚C1に密着するゴムシート等を添着することにより形成された弾性表面層51、52、61、62、72を備えたものであり、前記緊締結合が完了した場合に、側面挟持部5、6の弾性表面層51、61が弾性変形を伴ってホルダ支持部材2内の側面21に圧接される。本実施形態では、特に、弾性表面層52、62がフランジ部C62内面にも当接するようになっている。また、緊締結合時に、外面当接部7の弾性表面層72が脚C1の外面、すなわち脚C1の外縁C5のフランジ部C62に当接されることによって、カップホルダH2をがたつきなく確実に脚C1に取り付けることができる。なお、本実施形態についても、カップホルダは、ホルダ支持部材2の一側面21側のみにホルダ本体1を取り付けたものであってもよい。
【0038】
本実施形態のカップホルダH2によれば、前述した実施形態と同一またはこれに準ずる効果が得られる。
【0039】
特に、前述した実施形態と比べて、カップホルダH2を前記脚C1のより高い位置で取り付けることができるため、ホルダ支持部材2の形態を、奥行き方向にコンパクトにすることができるとともに、上下方向に大きくすることができる。そのため、出っ張り部24をより大きく形成することができ、ホルダ支持部材2が、各ホルダ本体1間を仕切る仕切板としての役割を効果的に担い得る。
【0040】
また、本実施形態では、対面部材4に一体的に外面当接部7を設けたので、部品点数を削減できるとともに、取り付け作業も容易になる。
【0041】
さらに、本実施形態では、図8に示すように、起立位置(b)にある座C2の前端部よりも前方に突出させてカップホルダH2を配しているので、着座者が立ち上がった際にカップPの存在に気づかせることができるとともに、清掃時等にホルダ本体1を確認しやすいという効果がある。
【0042】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0043】
カップホルダを取り付ける椅子は、上述した実施形態のものに限られず種々変更可能である。例えば、座と背凭れとが一体に成形されているものや、背凭れを有しておらず、脚と座のみで構成されるものや、ライジング機構を有していないものであってもよい。
【0044】
脚は、起立面から片持ち的に突出させたものに限られず、水平面または傾斜面から起立させたものであってもよく、その場合には、脚の外縁のうち前向き縁に形成されたフランジ部を利用してカップホルダを取り付けるようにすればよい。また、起立面から片持ち的に突出させたものであっても、外縁の前向き縁や下縁以外の部分に形成されたフランジ部を利用してカップホルダを取り付けてもよい。
【0045】
フランジ部は、本実施形態で説明したような脚の板厚に対して両側に突出する断面視T字状のものの他に、脚の板厚に対して片側のみに突出する断面視L字状のものであってもよい。
【0046】
側面挟持部は、フランジ部の一部または全部を直接包持するようなものであってもよい。
【0047】
本実施形態では、1つの椅子に対して2種類のカップホルダを利用したが、1種類のカップホルダのみを取り付けてもよい。すなわち、ホルダ本体が座席の数と同じだけあればよく、脚と座の数によっては、片方にホルダ本体を付けたカップホルダのみで構成したり、両側にホルダ本体を付けたカップホルダのみで構成したりしてもよい。
【0048】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0049】
H1、H2…カップホルダ
1…ホルダ本体
2…ホルダ支持部材
3…取付機構
4…対面部材
5、6…側面挟持部
51、52、61、62、72…弾性表面層
7…外面当接部
C…椅子
C1…脚
C2…座
C5…外縁
C51…下縁
C61、C62、C63、C64…フランジ部
S1…起立面
P…カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁にフランジ部を有してなり所要の間隔を空けて配置された複数の脚と、これら脚間に設けられた座とを具備してなる椅子に取り付けられるカップホルダであって、
カップを保持するためのホルダ本体と、このホルダ本体を支持するホルダ支持部材と、このホルダ支持部材を脚に加工を施すことなく前記フランジ部を利用して当該脚の外縁部分に取り付ける取付機構とを具備してなることを特徴とするカップホルダ。
【請求項2】
前記脚が、起立面から片持ち的に突出させたもので、その外縁のうち少なくとも下縁に前記フランジ部が形成されており、前記取付機構が、前記脚の外縁近傍においてフランジ部よりも内側を挟持する対をなす側面挟持部と、これら側面挟持部によりホルダ支持部材が脚に取り付けられた状態で前記脚の外縁に当接してホルダ支持部材の前後方向の回動を規制する外面当接部とを具備してなるものである請求項1記載のカップホルダ。
【請求項3】
前記側面挟持部及び外面当接部が、それぞれ脚に密着する弾性表面層を備えたものである請求項2記載のカップホルダ。
【請求項4】
前記取付機構が、ホルダ支持部材に設けられた一方の側面挟持部と、前記ホルダ支持部材に対面配置された対面部材に設けられた他方の側面挟持部と、前記脚の外側に位置させて前記ホルダ支持部材と前記対面部材との間に配置された外面当接部とを備え、この外面当接部に前記ホルダ支持部材及び対面部材を緊締結合することにより、前記両側面挟持部を脚の側面に圧接させるようにしたものである請求項2または3記載のカップホルダ。
【請求項5】
前記ホルダ支持部材の両側に前記ホルダ本体がそれぞれ設けられており、前記ホルダ支持部材が、各ホルダ本体間を仕切る仕切板としての役割をも担い得る形状をなしたものである請求項1、2、3または4記載のカップホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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