説明

カメラ本体および撮像装置

【課題】ミラーボックス装置が搭載されていないカメラ本体において、シャッターユニットの破損を防止する。
【解決手段】被写体の光学像を形成するレンズユニットを装着可能なミラーレスタイプのカメラ本体100は、レンズユニット200を装着可能なボディマウント150と、被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子110と、ボディマウント150と撮像素子110との間に配置されレンズユニット200と撮像素子110との間の光路を遮断可能に設けられたシャッターユニット190と、を備える。シャッターユニット190は、レンズユニット200がボディマウント150から取り外されている場合、カメラ本体100への電力の供給が停止する前に開口状態にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、レンズユニットを装着可能なカメラ本体およびそれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置として、例えば交換レンズ式のデジタルカメラが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載のカメラは、レンズユニットと、カメラ本体と、を備えている。このカメラ本体は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーなどの撮像素子と、レンズユニットと撮像素子との間に配置されたミラーボックス装置と、を有している。ミラーボックス装置はレンズユニットを通った光をCCDイメージセンサーまたはプリズムのいずれかに導く。プリズムに導かれた光はプリズムによってファインダに導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−127836号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、従来の交換レンズ式のデジタルカメラでは、ミラーボックス装置を備えているため、カメラ本体の小型化が困難である。
そこで、本願の発明者らは、ミラーボックス装置を有しない新しい交換レンズ式のデジタルカメラを開発している。ミラーボックス装置を省略することでカメラ本体の小型化が可能となる。
【0005】
しかし、ミラーボックス装置をカメラ本体に搭載しない場合に、新たな問題が生じることを発明者らは見出した。具体的には、レンズユニットを装着する際にボディマウント内にレンズユニットが傾いた状態で進入するおそれがあるが、カメラ本体にミラーボックス装置が搭載されていない場合、ボディマウントの近くに配置されたシャッターユニット等の部品が破損するおそれがある。
【0006】
ここに開示された技術は、信頼性の高い小型のカメラ本体および撮像装置を提供することができる。
ここに開示されたカメラ本体は被写体の光学像を形成するレンズユニットを装着可能である。このカメラ本体は、ボディマウントと、撮像素子と、シャッターユニットと、シャッター制御部と、を備えている。ボディマウントはレンズユニットを装着可能である。撮像素子は被写体の光学像を電気信号に変換する。シャッターユニットは、ボディマウントと撮像素子との間に配置されており、レンズユニットと撮像素子との間の光路を遮断可能に設けられている。シャッターユニットは電力の供給が停止している状態で開口状態を保持する。
【0007】
このカメラ本体では、電力の供給が停止している状態でシャッターユニットが開口状態を保持するので、電力の供給が停止された状態でシャッターユニット190の開口状態が保持され、シャッターユニット190の破損を防止することができる。これにより、ミラーボックス装置が搭載されていない場合でも、シャッターユニットの破損を防止することができ、信頼性を保ちつつ小型化が可能となる。また、このカメラ本体とレンズユニットとを備えた撮像装置も、同様の効果が得られる。
【0008】
ここで、カメラ本体および撮像装置としては、静止画のみ撮影可能な装置、動画のみ撮影可能な装置、および静止画および動画を撮影可能な装置が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】デジタルカメラ1の斜視図
【図2】カメラ本体100の斜視図
【図3】デジタルカメラ1のブロック図
【図4】デジタルカメラ1の概略断面図
【図5】カメラ本体100の背面図
【図6A】シャッターユニット190の閉口状態の模式図
【図6B】シャッターユニット190の開口状態の模式図
【図6C】シャッターユニット190の走行準備状態の模式図
【図6D】シャッターユニット190の走行中の模式図
【図7】レンズユニット200の挿入状態を説明するための図
【図8A】ボディマウント150およびその周辺の平面図
【図8B】カメラ本体300の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
(1:構成)
(1−1:デジタルカメラの概要)
図1〜図3に示すように、第1実施形態に係るデジタルカメラ1は、カメラ本体100と、カメラ本体100に装着可能なレンズユニット200と、を備えている。
【0011】
一眼レフレックスカメラとは異なり、カメラ本体100は、ミラーボックス装置を有していないので、一眼レフレックスカメラに比してフランジバックが短い。また、フランジバックを短くすることで、カメラ本体100を小型化することができる。さらに、フランジバックを短くすることで、光学系の設計の自由度が高まるので、レンズユニット200を小型化することができる。
なお、説明の便宜のため、デジタルカメラ1の被写体側を前、撮像面側を後ろまたは背、デジタルカメラ1の通常姿勢(以下、横撮り姿勢ともいう)における鉛直上側を上、鉛直下側を下ともいう。
【0012】
(1−2:カメラ本体の構成)
図4および図5に示すように、カメラ本体100は、主に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー110と、CMOS回路基板113と、カメラモニタ120と、操作部130と、カメラコントローラー140を含むメイン回路基板142と、ボディマウント150と、電源160と、カードスロット170と、電子ビューファインダー180と、シャッターユニット190と、光学的ローパスフィルタ114と、振動板115と、外装部材101と、を備えている。
【0013】
カメラ本体100には、前から順に、ボディマウント150、シャッターユニット190、振動板115、光学的ローパスフィルタ114、CMOSイメージセンサー110、CMOS回路基板113、メイン回路基板142およびカメラモニタ120が配置されている。
CMOSイメージセンサー110は、レンズユニット200により形成される被写体の光学像(以下、被写体像ともいう)を電気信号に変換することで被写体の画像データを生成する。生成された画像データは、CMOS回路基板113のADコンバーター111(後述)でデジタル化される。ADコンバーター111でデジタル化された画像データは、カメラコントローラー140で様々な画像処理が施される。ここで言う様々な画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理等である。
【0014】
CMOSイメージセンサー110は、タイミング発生器112で生成されるタイミング信号に基づいて動作する。CMOSイメージセンサー110は、CMOS回路基板113の制御により、静止画データおよび動画データの取得を行うことができる。取得された動画データはスルー画像の表示にも用いられる。
ここで、スルー画像とは、動画データのうちメモリーカード171に記録されない画像である。スルー画像は、主に動画であり、動画または静止画の構図を決めるためにカメラモニタ120および電子ビューファインダー180(以下、EVFとも言う)に表示される。
【0015】
なお、CMOSイメージセンサー110は被写体の光学像を撮像して電気的な画像信号に変換する撮像素子の一例である。撮像素子は、CMOSイメージセンサー110やCCDイメージセンサー等の光電変換素子を含む概念である。
CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110を駆動制御する回路基板である。また、CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110から出力される画像データに所定の処理を施す回路基板であり、図3に示すように、タイミング発生器112およびADコンバーター111を含む。CMOS回路基板113は、撮像素子を駆動制御し、撮像素子から出力される画像データにAD変換等の所定の処理を施す撮像素子回路基板の一例である。
【0016】
カメラモニタ120は、例えば液晶ディスプレイであり、表示用画像データを画像として表示する。表示用画像データは、画像処理された画像データや、デジタルカメラ1の撮影条件、操作メニュー等を画像として表示するためのデータ等であり、カメラコントローラー140で生成される。カメラモニタ120は、動画も静止画も選択的に表示可能である。
【0017】
図5に示すように、カメラモニタ120はカメラ本体100の背面に配置されている。カメラモニタ120はカメラ本体100のどこに配置されていてもよい。カメラモニタ120は、外装部材101に対する表示画面の角度が変更可能である。具体的には図1、図2および図5に示すように、カメラ本体100は、外装部材101とカメラモニタ120とを回転可能に連結するヒンジ121を有している。ヒンジ121は、横撮り姿勢の状態で背面側から見てカメラ本体100の左端に配置されている。ヒンジ121は、横撮り姿勢の状態で鉛直方向に平行に配置される第1回転軸と、横撮り姿勢の状態で水平面に平行に配置される第2回転軸と、を有している。第1および第2回転軸周りにカメラモニタ120を回転させることで、カメラモニタ120の外装部材101に対する姿勢を自在に変えることができる。
【0018】
なお、カメラモニタ120はカメラ本体100に設けられた表示部の一例である。表示部としては、他にも、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。また、表示部は、カメラ本体100の背面でなく、側面や上面等、他の場所に設けてもよい。
電子ビューファインダー180は、カメラコントローラー140で生成された表示用画像データを画像として表示する。EVF180は、動画も静止画も選択的に表示可能である。また、EVF180とカメラモニタ120とは、同じ内容を表示する場合と、異なる内容を表示する場合とがあり、ともにカメラコントローラー140によって制御される。EVF180は、画像等を表示するEVF用液晶モニタ181と、EVF用液晶モニタ181の表示を拡大するEVF用光学系182と、ユーザーが目を近づける接眼窓183と、を有している。
【0019】
なお、EVF180もまた、表示部の一例である。カメラモニタ120と異なる点は、ユーザーが目を近づけて見ることにある。構造上の相違点は、EVF180が接眼窓183を有するのに対してカメラモニタ120は接眼窓183を有しない点である。
また、EVF用液晶モニタ181は、透過型液晶の場合はバックライト(不図示)を、反射型液晶の場合はフロントライト(不図示)を設けることで表示輝度を確保する。EVF用液晶モニタ181は、EVF用モニタの一例である。EVF用モニタは、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。有機ELのような自発光デバイスの場合は、照明光源は必要ない。
【0020】
操作部130は、ユーザーによる操作を受け付ける。具体的には図1および図2に示すように、操作部130は、ユーザーによるシャッター操作を受け付けるレリーズ釦131と、カメラ本体100の上面に設けられた回転式のダイアルスイッチである電源スイッチ132と、を有している。レリーズ釦131はユーザーによるシャッター操作を受け付ける。電源スイッチ132は、第1の回転位置で電源がOFFとなり、第2の回転位置で電源がONとなる。操作部130は、ユーザーによる操作を受け付けることができればよく、ボタン、レバー、ダイアル、タッチパネル等を含む。電源スイッチ132は電源の切り替えを操作するための電源操作部の一例である。
【0021】
カメラコントローラー140は、メイン回路基板142上に配置されており、CMOSイメージセンサー110等の各部を含むカメラ本体100全体を制御する。カメラコントローラー140は、操作部130と電気的に接続されており、操作部130から操作信号が入力される。カメラコントローラー140は、制御動作や画像処理動作の際に、DRAM141をワークメモリとして使用する。
【0022】
また、カメラコントローラー140は、レンズユニット200を制御するための信号を、ボディマウント150およびレンズマウント250を介してレンズコントローラー240に送信し、レンズユニット200の各部を間接的に制御する。また、カメラコントローラー140は、ボディマウント150およびレンズマウント250を介して、レンズコントローラー240から各種信号を受信する。すなわち、カメラコントローラー140は、デジタルカメラ1全体を制御する。カメラコントローラー140はボディ制御部の一例である。
【0023】
カメラコントローラー140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有しており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで様々な機能を実現し得る。
例えば、図3に示すように、カメラコントローラー140は、電力の供給が停止している状態でシャッターユニット190が開口状態を保持するように、シャッターユニット190を制御するシャッター制御部145を有している。シャッター制御部145がこのようにシャッターユニット190を制御することで、電源160からの電力の供給が停止した状態でシャッターユニット190の開口状態を保持することができる。
【0024】
また、シャッター制御部145は、例えば、レンズユニット200がボディマウント150から取り外されている状態でシャッターユニット190が開口状態を保持するようにシャッターユニット190を制御する。さらに、シャッター制御部145は、再生モードでシャッターユニット190が開口状態を保持するようにシャッターユニット190を制御する。
【0025】
さらに、図3に示すように、カメラコントローラー140は、レンズユニット200がカメラ本体100(より詳細には、ボディマウント150)に装着されているか否かを検知するレンズ検知部146を有している。具体的には、レンズユニット200がカメラ本体100に装着されると、カメラコントローラー140とレンズコントローラー240との間で信号の送受信が行われる。レンズ検知部146は、信号の送受信に基づいてレンズユニット200が装着されているか否かを判定する。前述のシャッター制御部145は、レンズ検知部146の検知結果に基づいてシャッターユニット190を制御する。具体的には、シャッター制御部145は、レンズユニット200がボディマウント150から取り外されている場合にシャッターユニット190が開口状態を保持するようにシャッターユニット190を制御する。
【0026】
なお、シャッター制御部145はカム部材190Uの回転位置をシャッターモーター199の駆動信号をカウントすることで把握し得る。これにより、シャッター制御部145はシャッターユニット190の状態(図6A、図6B、図6Cのいずれかの状態)を認識することができる。
カードスロット170は、メモリーカード171を装着可能である。カードスロット170は、カメラコントローラー140からの制御に基づいて、メモリーカード171を制御する。具体的には、カードスロット170は、メモリーカード171に画像データを格納し、メモリーカード171から画像データを出力する。例えば、カードスロット170は、メモリーカード171に動画データを格納し、メモリーカード171から動画データを出力する。
【0027】
メモリーカード171は、カメラコントローラー140が画像処理により生成した画像データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、非圧縮のRAW画像ファイルや圧縮されたJPEG画像ファイル等を格納できる。また、カードスロット170を介して、予め内部に格納された画像データまたは画像ファイルをメモリーカード171から出力できる。メモリーカード171から出力された画像データまたは画像ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した画像データまたは画像ファイルを伸張などして表示用画像データを生成する。
【0028】
メモリーカード171は、さらに、カメラコントローラー140が画像処理により生成した動画データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、動画圧縮規格であるH.264/AVCに従って圧縮された動画ファイルを格納できる。また、カードスロット170を介して、予め内部に格納された動画データまたは動画ファイルをメモリーカード171から出力できる。メモリーカード171から出力された動画データまたは動画ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した動画データまたは動画ファイルに伸張処理を施し、表示用動画データを生成する。
【0029】
なお、メモリーカード171は撮像素子により生成された電気信号を記録する記録部の一例である。記録部は、メモリーカード171のようにカメラ本体100に装着可能なメモリでもよく、デジタルカメラ1に搭載されているメモリでもよい。
電源160は、デジタルカメラ1の各部に電力を供給する。電源160は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また、電源160は、電源コード等を介してデジタルカメラ1に電力を供給する外部電源であってもよい。
【0030】
ボディマウント150は、レンズユニット200を装着可能であり、レンズユニット200が装着された状態でレンズユニット200を保持する。ボディマウント150は、レンズユニット200のレンズマウント250と機械的および電気的に接続可能である。ボディマウント150とレンズマウント250とを介して、カメラ本体100とレンズユニット200との間で、データおよび/または制御信号を送受信可能である。具体的には、ボディマウント150とレンズマウント250とは、カメラコントローラー140とレンズコントローラー240との間で、データおよび/または制御信号を送受信する。ボディマウント150は、電源160から受けた電力を、レンズマウント250を介してレンズユニット200全体に供給する。
【0031】
具体的には、ボディマウント150は、ボディマウントリング151と、ボディマウント接点保持部152と、を含む。ボディマウントリング151は、レンズユニット200を嵌め込み可能な環状の部材であり、第1開口151aを有している。レンズユニット200のレンズマウントリング251との光軸AXまわりの回転位置関係により、レンズマウントリング251がボディマウントリング151に嵌合している状態または嵌合していない状態となる。すなわち、ボディマウントリング151とレンズマウントリング251との回転位置関係が第1の状態である場合には、レンズマウントリング251はボディマウントリング151に嵌合しておらす、レンズマウントリング251はボディマウントリング151に対して光軸AXに平行な方向(以下、光軸方向ともいう)に移動可能(つまり、取り外し可能)である。
【0032】
また、第1の状態でレンズマウントリング251をボディマウントリング151に挿入し、レンズマウントリング251をボディマウントリング151に対して回転させると、レンズマウントリング251はボディマウントリング151に嵌合する。このときのボディマウントリング151とレンズマウントリング251との回転位置関係を第2の状態とすると、回転位置関係が第2の状態の場合、ボディマウントリング151はレンズユニット200を機械的に保持する。ボディマウントリング151がレンズユニット200を機械的に保持するため、ボディマウントリング151はある程度の強度が要求される。したがって、ボディマウントリング151は、金属で形成されているのが好ましい。
【0033】
ボディマウント接点保持部152は、ボディマウントリング151とシャッターユニット190との間に配置されており、複数の電気接点153を有する。レンズユニット200がボディマウント150に装着されている状態で、複数の電気接点153は、レンズマウント250が有する複数の電気接点253とそれぞれ接触している。ボディマウント150の電気接点153とレンズマウント250の電気接点253とが接触している状態で、ボディマウント150とレンズマウント250とは電気的に接続可能となっている。また、ボディマウント150の電気接点153とレンズマウント250の電気接点253とを介してカメラ本体100とレンズユニット200との間で電力の供給、データおよび制御信号の送受信が行われる。
【0034】
図2に示すように、ボディマウント接点保持部152は、第2開口152aを有する。第2開口152aの内径は、ボディマウントリング151の第1開口151aの内径よりも小さい。ボディマウント接点保持部152はレンズユニット200のカメラ本体100への進入を防止する保護部材の一例である。
シャッターユニット190は、いわゆるフォーカルプレーンシャッターであり、ボディマウント150とCMOSイメージセンサー110との間に配置される。シャッターユニット190は、レンズユニット200とCMOSイメージセンサー110との間の光路を遮断可能に設けられており、開口状態および閉口状態をとり得るシャッター機構198と、シャッター機構198を駆動するシャッターモーター199(シャッター駆動部の一例)と、を有している。シャッター機構198は、主に、後幕190Aと、先幕190Bと、開口部190Dを有するシャッター保持枠190Cと、を有する。シャッターモーター199は、例えばステッピングモータであり、カメラコントローラー140のシャッター制御部145により制御される。
【0035】
シャッターユニット190は、電力が供給されていない状態で機械的に開口状態を保持可能であり、カメラ本体100の電源の供給が停止した状態で機械的に開口状態が保持されるようにカメラコントローラー140により制御される。ここで、開口状態を機械的に保持するとは、電気の力を使わずに開口状態を保持するという概念である。開口状態を機械的に保持する具体的構成としては、例えば、先幕および後幕を開口状態に対応する位置で特定の部材を用いて保持する構成や、先幕および後幕を開口状態に対応する位置で永久磁石の磁力によって保持する構成が挙げられる。
【0036】
以下、シャッターユニット190の実施形態の一例を図6Aから図6Dを用いて説明する。図6Aは、シャッターユニット190の閉口状態(第2状態の一例)の模式図である。図6Bは、シャッターユニット190の開口状態(第1状態の一例)の模式図である。図6Cは、シャッターユニット190の走行準備状態の模式図である。図6Dは、シャッターユニット190の走行中の模式図である。
【0037】
まず、図6Aを用いて閉口状態を説明する。後幕190Aは第1バネ190Eによって、上方向、すなわち開口部190Dから退避する方向に引っ張られている。また、先幕190Bは第2バネ190Fによって、上方向、すなわち開口部190Dを遮蔽する方向に引っ張られている。後幕走行部材190Gには、第1吸着片190Hが取り付けられている。また、後幕走行部材190Gは、上下方向に移動可能であり、第3バネ190Iによって下方向に付勢されている。先幕走行部材190Jには、第2吸着片190Kが取り付けられている。また、先幕走行部材190Jは、上下方向に移動可能であり、第4バネ190Lによって下方向に付勢されている。第3バネ190Iは第1バネ190Eよりもバネ係数が大きい。また、第4バネ190Lは第2バネ190Fよりもバネ係数が大きい。第1バネ190E、第2バネ190F、第3バネ190Iおよび第4バネ190Lは、例えば、シャッター保持枠190Cに取り付けられている。
【0038】
第1電磁コイル190Mと第1吸着片190Hとが接触し、かつ、第2電磁コイル190Nと第2吸着片190Kとが接触した状態で、第1電磁コイル190Mおよび第2電磁コイル190Nに通電すると、電磁力により第1電磁コイル190Mに第1吸着片190Hが吸着され、第2電磁コイル190Nに第2吸着片190Kが吸着される。第1電磁コイル190Mおよび第2電磁コイル190Nは、例えば、シャッター保持枠190Cに取り付けられている。閉口状態(図6A)では、第1電磁コイル190Mおよび第2電磁コイル190Nに通電していない。
【0039】
後幕190Aと先幕190Bは上下方向に移動可能である。後幕190Aには第1当接部190Pが設けられており、先幕190Bには第2当接部190Qが設けられている。後幕走行部材190Gの下部と第1当接部190Pの上部は接触するようになっている。第1当接部190Pの上下の移動範囲の上端は後幕走行部材190Gの位置によって決まる。
【0040】
チャージ部材190Rは、上下方向に移動可能に設けられており、第5バネ190Sによって下方向に引っ張られている。チャージ部材190Rは第1ピン190Tを有しており、第1ピン190Tは、カム部材190Uによって駆動されるチャージレバー190Vと当接している。カム部材190Uはシャッターモーター199によって回転駆動される。閉口状態(図6A)でのカム部材190Uの回転位置を閉口位置PAとする。カム部材190Uが閉口位置PAの状態ではカム部材190Uがチャージレバー190Vの第2ピン190Wに力を与えていないため、この状態ではチャージ部材190Rおよびチャージレバー190Vは第5バネ190Sによって下側に引っ張られている。
【0041】
チャージ部材190Rは後幕走行部材190Gの下部および先幕走行部材190Jの下部と接触可能である。閉口状態(図6A)では、チャージ部材190Rが下側にあるため、第3バネ190Iおよび第4バネ190Lの弾性力によって、後幕190Aおよび先幕190Bは下側に引っ張られる。この結果、後幕190Aは第1バネ190Eの弾性力に対抗して開口部190Dを遮蔽し、先幕190Bは第2バネ190Fの弾性力に対抗して開口部190Dから下側に退避する。
【0042】
チャージ部材190Rの第3ピン190Xは、回転レバー190Yの案内スリット192に挿入されている。回転レバー190Yは回転軸191がシャッター保持枠190Cに支持されているため、回転レバー190Yはシャッター保持枠190Cに対して回転可能となっている。チャージ部材190Rが上下に移動すると、第3ピン190Xが案内スリット192に案内され、その結果、チャージ部材190Rの上下運動に応じて回転レバー190Yが回転する。
【0043】
回転レバー190Yの案内スリット192と反対側の自由端部190Zは、上下方向に第3ピン190X側の端部と反対側に動く。自由端部190Zが先幕190Bの第2当接部190Qの上部と接触可能な軌跡を描くように回転レバー190Yは構成されている。閉口状態(図6A)では、自由端部190Zは上に位置しているので、先幕190Bの第2当接部190Qは自由端部190Zと接触していない。
このように、シャッターユニット190は、閉口状態(図6A)を機械的に保持できる。
【0044】
次に、図6Bを用いて開口状態を説明する。閉口状態(図6A)から、カム部材190Uがシャッターモーター199によって右回りに回転すると、カム部材190Uが第2ピン190Wを押圧し、チャージレバー190Vが左回りに回転する。このとき、チャージレバー190Vとチャージ部材190Rの第1ピン190Tが接触しているため、チャージ部材190Rは第5バネ190Sの弾性力に抗して上方向に移動する。そして、チャージ部材190Rが後幕走行部材190Gの下部および先幕走行部材190Jの下部に接触し、後幕走行部材190Gおよび先幕走行部材190Jがチャージ部材190Rを介してチャージレバー190Vにより上方向に押し上げられる。すると、第1バネ190Eおよび第2バネ190Fの弾性力によって後幕190Aの第1当接部190Pは後幕走行部材190Gの下部に接触した状態で上方向へと移動し、先幕190Bの第2当接部190Qは先幕走行部材190Jの下部に接触した状態で上方向へと移動する。
【0045】
チャージ部材190Rが上へ移動すると、同時に回転レバー190Yは右回りに回転し、ある程度チャージ部材190Rの上への移動が進むと、回転レバー190Yの自由端部190Zが先幕190Bの第2当接部190Qと接触し、先幕190Bは回転レバー190Yにより下方向へ押し戻される。カム部材190Uが図6Bに示す位置(開口位置PB)まで回転して停止すると、各部材も図6Bに示す状態となる。
【0046】
図6Bに示す状態では、チャージ部材190Rに第5バネ190S、第3バネ190Iおよび第4バネ190Lの弾性力が作用しているが、チャージレバー190Vの第2ピン190Wがカム部材190Uの回転中心と同心のカム面に乗り上げるため、チャージレバー190Vからカム部材190Uに作用する力でカム部材190Uは回転しない。このため、シャッターモーター199に通電しなくても、カム部材190Uおよび第2ピン190Wは図6Bに示す状態を保持し、チャージ部材190Rは上に位置した状態で保持される。
【0047】
この結果、先幕走行部材190Jおよび後幕走行部材190Gはチャージ部材190Rによって上に位置した状態で保持される。このとき、第1吸着片190Hは第1電磁コイル190Mに押し付けられた状態で保持され、第2吸着片190Kは第2電磁コイル190Nに押し付けられた状態で保持される。第1電磁コイル190Mおよび第2電磁コイル190Nには通電していなくても、これらの状態が保たれる。
【0048】
また、後幕190Aは、第1バネ190Eの弾性力によって、上の位置、すなわち、開口部190Dから退避した位置で保持される。また、回転レバー190Yの自由端部190Zが下に位置した状態で保持されるため、先幕190Bは自由端部190Zによって下の位置、すなわち、開口部190Dから退避した位置で保持される。つまり、上記の各部材の状態が機械的に保持されることで、シャッターユニット190の開口状態(図6B)が機械的に保持され、CMOSイメージセンサー110への光路が開かれる。
このように、カム部材190Uを図6Bに示す開口位置PBまで回転駆動することで、シャッターユニット190は電力の供給がなくても開口状態(図6B)を機械的に保持できる。
【0049】
次に、図6Cを用いて走行準備状態を説明する。ユーザーがカメラ本体100のレリーズ釦131を押し込むと、第1電磁コイル190Mおよび第2電磁コイル190Nが通電され、第1電磁コイル190Mが第1吸着片190Hを吸着し、第2電磁コイル190Nが第2吸着片190Kを吸着する。その後、カム部材190Uが右方向に回転し図6Cに示す位置(走行準備位置PC)まで駆動されると、チャージレバー190Vおよびチャージ部材190Rの機械的な保持が解除され、チャージレバー190Vが右回りに回転する。チャージレバー190Vが右回りに回転すると、チャージ部材190Rは第5バネ190Sの弾性力によって下側に移動する。このとき、第1電磁コイル190Mおよび第2電磁コイル190Nの吸着力によって後幕走行部材190Gおよび先幕走行部材190Jは上に位置した状態を保つ。さらに、第1バネ190Eの力によって後幕190Aの開口状態が保持される。
【0050】
一方で、チャージレバー190Vの回転に伴い、回転レバー190Yは左回りに回転し、自由端部190Zおよび第2当接部190Qの接触が解除される。この結果、先幕190Bは第2バネ190Fの弾性力によって第2当接部190Qが先幕走行部材190Jと接触する位置まで上昇する。すなわち、先幕190Bは開口部190Dを遮蔽する。第2当接部190Qが先幕走行部材190Jと接触すると、先幕190Bは閉口位置で停止し、遮蔽状態を保持する。このとき、チャージ部材190Rは、後幕走行部材190Gおよび先幕走行部材190Jの下方向の走行経路から退避している。
【0051】
次に、図6Dを用いて走行中の状態を示す。走行中にはカム部材190U、チャージレバー190V、チャージ部材190Rおよび回転レバー190Yの動きに変化はない。走行準備状態(図6C)から、第2電磁コイル190Nへの通電を遮蔽すると、第2電磁コイル190Nと第2吸着片190Kとの間に作用する吸着力が解除される。すると、先幕190Bにかかる第2バネ190Fの上方向の弾性力よりも、先幕走行部材190Jを介して先幕190Bに作用する第4バネ190Lの下方向の弾性力の方が大きいので、先幕190Bは下方向に走行し、その結果、開口部190Dが開口する。
【0052】
先幕190Bが走行を開始した後(つまり、第2電磁コイル190Nへの通電を遮蔽した後)、第1電磁コイル190Mへの通電を遮蔽すると、第1電磁コイル190Mと第1吸着片190Hとの吸着力が解除される。すると、後幕190Aに作用する第1バネ190Eの上方向の弾性力よりも、後幕走行部材190Gを介して後幕190Aに作用する第3バネ190Iの下方向の弾性力の方が大きいので、後幕190Aは下方向に走行し、その結果、開口部190Dが後幕190Aにより遮蔽される。先幕190Bと後幕190Aとは隙間Sを維持したまま走行する。移動が完了すると、閉口状態(図6A)になる。
【0053】
先幕190Bおよび後幕190Aの走行中、先幕190Bおよび後幕190Aの間に形成された隙間Sを通った光がCMOSイメージセンサー110に入射する。先幕190Bおよび後幕190Aの走行により、隙間Sが上から下に移動し、CMOSイメージセンサー110全体が露光される。隙間Sの寸法を適宜調整することでCMOSイメージセンサー110の露光時間を制御することが可能となっている。具体的には、先幕190Bの保持の解除から後幕190Aの保持の解除までの時間を露光したい時間に設定することで、所望の露光時間でCMOSイメージセンサー110を露光できる。
【0054】
再び静止画撮影モードやCMOSイメージセンサー110による動画の撮影を行う場合は、遮光状態(図6A)からカム部材190Uを開口位置PBまで回転して開口状態(図6B)に移行する。
なお、上述の構成は、開口状態を機械的に保持するシャッターユニットの一例である。また、カム部材190U、チャージレバー190V、チャージ部材190R、回転レバー190Yおよび第1バネ190E等は、シャッターユニット190の開口状態を保持するメカロック機構の一例である。
【0055】
光学的ローパスフィルタ114は、被写体光の高周波成分を取り除く。具体的には、光学的ローパスフィルタ114は、CMOSイメージセンサー110の画素のピッチよりも荒い解像度となるようにレンズユニット200により形成される被写体像を分離する。一般的にCMOSイメージセンサー等の撮像素子は、各画素にベイヤー配列と呼ばれるRGB色のカラーフィルターやYCM色の補色カラーフィルターが配されている。従って、1画素に解像してしまうと偽色が発生するばかりでなく、繰り返しパターンの被写体では醜いモアレ現象が発生する。さらに光学的ローパスフィルタ114には、赤外光をカットするためのIrカットフィルタ機能も併せ持たせている。
【0056】
振動板115は、レンズユニット200からCMOSイメージセンサー110までの光路上に配置されており、CMOSイメージセンサー110よりも前(被写体側)に配置されている。振動板115は、CMOSイメージセンサー110への埃の付着を防ぎ、さらに、自身に付着した埃を振動により振り落とす。具体的には、振動板115は、外装部材101に支持されたベース枠(図示せず)と、透明の薄い保護シート115bと、保護シート115bに振動を付与する圧電素子(図示せず)と、を有している。圧電素子に交流電圧を印加して圧電素子を振動させることで、ベース枠に対して保護シート115bを振動させる。
【0057】
図2および図4に示すように、保護シート115bは、レンズユニット200が取り外されている状態でシャッターユニット190の開口部190Dから外部に露出する露出領域A1を有している。露出領域A1の前面(被写体側の面)には、防曇層が形成されている。具体的には、露出領域A1には酸化チタン等の透明な光触媒が塗布されている。この光触媒は可視光を透過する。
【0058】
なお、防曇層は、光学的ローパスフィルタ114の前面、または、CMOSイメージセンサー110の前面にも形成してもよい。レンズユニット200からCMOSイメージセンサー110までの光路に配置されレンズユニット200からの光を透過する部材のうち、最も前方に配置される部材の前面に防曇層を設けるのが好ましい。本実施形態では、レンズユニット200からの光を透過する部材のうち、防曇層が形成された振動板115が最も前方に配置されているので、シャッターユニット190が開口状態であっても、ボディマウント150から進入した唾液等の水分または油分等が、光触媒である酸化チタンにより振動板115の表面から容易に除去できる。
【0059】
具体的には、酸化チタンに光が当ることにより、電子が飛び出し、強力な酸化力が発生する。この強力な酸化力を持った表面が、空気中の水酸化物イオンから電子を奪い、水酸化物イオンは非常に不安定な水酸化ラジカルとなる。水酸化ラジカルもまた強力な酸化力を持つため、近くにある有機物から電子を奪い、有機物は二酸化炭素と水分となり、空気中に放出される。また、振動板115を振動させることによりその効果はさらに顕著なものとなる。さらに、光触媒としては、酸化チタンのような紫外線を吸収するものや、赤外線を吸収するものが好ましい。これらは可視光を透過するため、CMOSイメージセンサー110に到達する可視光の減少を抑えることができる。
【0060】
(1−3:レンズユニットの構成)
レンズユニット200は、光学系とレンズコントローラー240とレンズマウント250と絞りユニット260とレンズ筒290とを備える。レンズユニット200の光学系はズームレンズ210、OISレンズ220、および、フォーカスレンズ230を含む。光学系は、レンズ筒290の内部に収容されている。また、レンズ筒の外部には、ズームリング213とフォーカスリング234とOISスイッチ224とが設けられている。
【0061】
ズームレンズ210は、レンズユニット200の光学系で形成される被写体の光学像(以下、被写体像ともいう)の倍率、すなわち、光学系の焦点距離を変化させるためのレンズである。ズームレンズ210は、1枚または複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、光学系の第1レンズ群L1と第2レンズ群L2とを含む。ズームレンズ210が光軸AXと平行な方向に移動することにより、光学系の焦点距離が変化する。
【0062】
ズームリング213は筒状の部材であり、レンズ筒290の外周面で回転可能である。駆動機構211は、ユーザーによりズームリング213が操作されると、当該操作をズームレンズ210に伝え、ズームレンズ210を光学系の光軸AX方向に沿って移動させる。
検出器212は、駆動機構211における駆動量を検出する。レンズコントローラー240および/またはカメラコントローラー140は、この検出器212における検出結果を取得することにより、光学系における焦点距離を把握することができる。また、レンズコントローラー240および/またはカメラコントローラー140は、この検出器212における検出結果を取得することにより、ズームレンズ(L1,L2等)のレンズユニット200内での光軸AX方向の位置を把握することができる。なお、駆動機構211は、ズームレンズ210を光軸AX方向に沿って移動できればよい。例えば、駆動機構211は、ズームリング213等の操作部の回転位置に従ってモータ等の駆動力発生部からの駆動力をズームレンズ210に伝え、ズームレンズ210をズームリング213の回転位置に対応する光軸AX方向の位置に移動するものであってもよい。
【0063】
OISレンズ220は、レンズユニット200の光学系で形成される被写体像のぶれを補正するためのレンズである。OISレンズ220は、1枚または複数枚のレンズで構成される。アクチュエータ221は、OIS用IC223からの制御を受けて、光学系の光軸AXに垂直な面内でOISレンズ220を駆動する。
アクチュエータ221は、例えば、マグネットと平板コイルとで実現可能である。位置検出センサー222は、光学系の光軸AXに垂直な面内におけるOISレンズ220の位置を検出するセンサーである。位置検出センサー222は、例えば、マグネットとホール素子で実現可能である。OIS用IC223は、位置検出センサー222の検出結果およびジャイロセンサーなどのぶれ検出器の検出結果に基づいて、アクチュエータ221を制御する。OIS用IC223は、レンズコントローラー240からぶれ検出器の検出結果を得る。また、OIS用IC223は、レンズコントローラー240に対して、光学的像ぶれ補正処理の状態を示す信号を送信する。
【0064】
なお、OISレンズ220は、ぶれ補正部の一例である。デジタルカメラ1のぶれによって生じる被写体像のぶれを補正する手段として、CCDからの画像データに基づいて補正した画像データを生成する電子式ぶれ補正を適用してもよい。また、デジタルカメラ1のぶれによって生じるCMOSイメージセンサー110と被写体像との相対的なぶれを小さくする手段として、CMOSイメージセンサー110を光学系の光軸AXと平行な垂直な面内で駆動する構成としてもよい。
【0065】
OISスイッチ224は、OISを操作するための操作部の一例である。OISスイッチ224をOFFにするとOISレンズ220は動作しない。OISスイッチ224をONにするとOISレンズ220は動作可能となる。
フォーカスレンズ230は、光学系がCMOSイメージセンサー110上に形成する被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ230は、1枚または複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、光学系の光軸AXと平行な方向に移動することにより被写体像のフォーカス状態を変化させる。
【0066】
フォーカスモータ233は、レンズコントローラー240の制御に基づいて、フォーカスレンズ230が光学系の光軸AXに沿って進退するよう駆動する。これにより、光学系によりCMOSイメージセンサー110上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させることができる。フォーカスモータ233は、ズームレンズ210の駆動から独立してフォーカスレンズ230を駆動することができる。具体的には、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2を基準に、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動する。言い換えると、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2とフォーカスレンズ230との光軸AX方向の相対距離を変更可能である。フォーカスレンズ230とフォーカスモータ233とは第2レンズ群L2とともに光軸AX方向に移動する。従って、ズーム動作により第2レンズ群L2が光軸AX方向に移動すると、フォーカスレンズ230およびフォーカスモータ233も光軸AX方向に移動する。また、第2レンズ群L2が光軸AX方向に静止している状態でも、フォーカスモータ233は第2レンズ群L2を基準に、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動することができる。フォーカスモータ233は、DCモータやステッピングモータ、サーボモータ、超音波モータなどによって実現できる。
【0067】
相対位置検出器231および絶対位置検出器232は、フォーカスレンズ230の駆動状態を示す信号を生成するエンコーダである。相対位置検出器231は、磁気スケールと磁気センサーとを有し、磁気の変化を検出し磁気の変化に応じた信号を出力する。磁気センサーは、例えばMRセンサーである。絶対位置検出器232は、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の原点位置を検出する原点検出器である。絶対位置検出器232は、例えばフォトセンサである。レンズコントローラー240は、絶対位置検出器232からの信号によりフォーカスレンズ230が原点にあることを認識する。このとき、レンズコントローラー240は、内部に設けたカウンタ243の値をリセットする。このカウンタ243は、相対位置検出器231から出力される信号により磁気変化の極値をカウントする。これにより、レンズコントローラー240は、絶対位置である原点位置からの相対位置を検出することにより、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を把握可能である。また、上述のとおり、レンズコントローラー240は、第2レンズ群L2のレンズユニット200内での光軸AX方向の位置を把握可能である。従って、レンズコントローラー240は、フォーカスレンズ230のレンズユニット200内での光軸AX方向の位置を把握可能である。
【0068】
絞りユニット260は、光学系を透過する光の量を調整する光量調整部材である。絞りユニット260は、光学系を透過する光の光線の一部を遮蔽可能な絞り羽根と、絞り羽根を駆動しその遮蔽量を変更して光量を調整する絞り駆動部とを有する。カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110が受けた光の量、静止画撮影を行うのか動画撮影を行うのか、絞り値が優先的に設定される操作がされているか等に基づいて、絞りユニット260に動作を指示する。
【0069】
レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140からの制御信号に基づいて、OIS用IC223やフォーカスモータ233などのレンズユニット200の各部を制御する。また、検出器212、OIS用IC223、相対位置検出器231、絶対位置検出器232などから信号を受信して、カメラコントローラー140に送信する。レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140との送受信を、レンズマウント250およびボディマウント150を介して行う。レンズコントローラー240は、制御の際、DRAM241をワークメモリとして使用する。また、フラッシュメモリ242は、レンズコントローラー240の制御の際に使用するプログラムやパラメータを保存する。
【0070】
(1−4:構成上の特徴)
カメラ本体100は、ミラーボックス装置を有していない。そして、フランジバックを短くすることが可能となり、カメラ本体100を小型化することが可能である。さらに、フランジバックが短いため、光学系の設計の自由度が増し、レンズユニット200の小型化が可能である。したがって、デジタルカメラ1の小型化が可能である。
【0071】
しかし、ミラーボックス装置が省略されている場合、ボディマウント150付近にシャッターユニット190などの部品が配置されるので、ボディマウント150内にレンズユニット200が傾いた状態で進入することにより、これらの部品が破損するおそれがある。
図7は、レンズユニット200の装着時の状態の一例を示す。破線の仮想円C1は、レンズユニット200の外径と同じ大きさの円である。仮想円C1は、ボディマウントリング151の第1開口151aと2点P1およびP2で接触している。この状態で、仮想円C1は、カメラ本体100に入り込む可能性がある。仮想円C1は、レンズユニット200がボディマウントリング151と接触する2点P1およびP2を結ぶ線がボディマウントリング151の第1開口151aの中心を通る場合に最もカメラ本体100に入り込む。また、仮想円C1の径が小さいほど、仮想円C1はカメラ本体100に入り込む。
【0072】
レンズユニット200をボディマウントリング151に対して傾けた状態でボディマウントリング151に接触するようにすると、レンズユニット200の一部がカメラ本体100の内部に入り込む。図7に示す状態では、レンズユニット200は、点Pを通り紙面に直交する線がボディマウントリング151の第1開口151aと交わる2点で、ボディマウントリング151と接触している。そして、この2点での接触状態を維持したままレンズユニット200を傾けると、レンズユニット200が点P2と接触する。この状態で、レンズユニット200はカメラ本体100に最も入り込む。このように、レンズユニット200は、傾いた状態でボディマウントリング151に接触するとカメラ本体100の内部に入り込む。
【0073】
デジタルカメラ1では、カメラ本体100の小型化に伴いレンズユニット200も小型化されているので、レンズユニット200の外径が小さくなり(つまり、仮想円C1が小さくなり)、レンズユニット200がカメラ本体100に入り込む量が大きくなりやすい。また、カメラ本体100はフランジバックを小さくできるため、ボディマウント150付近に部品を配置しやすくなり、この結果、レンズユニット200とカメラ本体100の内部の部材が干渉しやすくなる。特に、シャッターユニット190は、後幕190Aまたは先幕190Bの強度が弱く、破損しやすい。さらに、レンズユニット200は外部にOISスイッチ224のような突出した操作部を設けることもある。このような部材が図7のようにカメラ本体100の内部に入り込むことも考えられる。
【0074】
そこで、シャッターユニット190は、電源160からの電力の供給が停止した状態で開口状態を保持できるようになっている。具体的には、シャッターユニット190は、メカロック機構を有しており、電源160からの電力の供給が停止した状態で機械的に開口状態が保持されるようにカメラコントローラー140によって制御される。したがって、電力の供給が停止している状態でシャッターユニット190は開口状態を保持しており、電源160からの電力の供給が停止した状態でレンズユニット200が交換されるような場合に、誤ってレンズユニット200がカメラ本体100の内部に侵入したとしても、シャッターユニット190(特に後幕190Aまたは先幕190B)の破損を防止できる。
【0075】
また、図7のレンズユニット200の位置は、ボディマウント接点保持部152がない場合のカメラ本体100への進入状態を示しているが、シャッターユニット190よりも先にボディマウント接点保持部152がレンズユニット200と干渉するので、レンズユニット200がシャッターユニット190と接触するのを防止できる。
また、ボディマウント接点保持部152の第2開口152aの内径がボディマウントリング151の第1開口151aの内径よりも小さいので、レンズユニット200が内部に進入するのをより確実に防止することができ、シャッターユニット190の破損をより確実に防止できる。
【0076】
なお、シャッターユニット190の開放を保持することにより、レンズユニット200からCMOSイメージセンサー110までの光路に配置されるレンズユニット200からの光を透過する部材のうち、最も前方に配置される部材の前面に唾液等の水分または油分等が付着する可能性があるが、振動板115の前面に防曇層を設けることによりこの問題を低減している。
【0077】
(2:動作)
(2−1:静止画撮影動作)
操作部130の操作により、静止画撮影モードが選択されると、カメラコントローラー140は、動画撮影を行うようにCMOSイメージセンサー110を制御する。撮影された動画は、カメラモニタ120またはEVF180に表示される。このとき、動画はメモリーカード171には記録されない。ユーザーは、カメラモニタ120またはEVF180によって構図を決定する。AE制御およびAF制御は、CMOSイメージセンサー110から出力される画像データに基づいて行われる。このとき、シャッターユニット190は、開口状態を機械的に保持する。具体的には、後幕190Aが開口状態(図6B)に対応する位置で機械的に保持される。
【0078】
レリーズ釦131が操作されると、シャッターユニット190を上述のように駆動し、走行準備状態(図6C)を経て後幕190Aおよび先幕190Bを走行し(図6D)、CMOSイメージセンサー110を露光する。このとき、CMOSイメージセンサー110により画像データが取得される。カメラコントローラー140は画像データに所定の画像処理を施し、画像データまたは動画データをメモリーカード171に記録する。その後、カメラコントローラー140のシャッター制御部145は、シャッター機構198の開口状態が機械的に保持されるようにシャッターユニット190のシャッターモーター199を制御する。具体的には、シャッター制御部145で生成される制御信号に基づいてシャッターモーター199によりカム部材190Uが図6Bに示す開口位置PBまで回転駆動され、図6Bに示す開口状態が機械的に保持される。これにより、静止画撮影モードの途中で電源160からの電力の供給が停止されても、電力の供給が停止している状態でシャッターユニット190の開口状態を保持することができ、レンズユニット200がカメラ本体100から取り外されている状態でシャッターユニット190の先幕190Bおよび後幕190Aが破損するのを防止できる。
【0079】
(2−2:動画撮影動作)
操作部130の操作により、動画撮影モードが選択されると、カメラコントローラー140は、動画撮影を行うようにCMOSイメージセンサー110を制御する。撮影された動画は、カメラモニタ120またはEVF180に表示される。このとき、動画はメモリーカード171には記録されない。ユーザーは、カメラモニタ120またはEVF180によって構図を決定する。AE制御およびAF制御は、CMOSイメージセンサー110から出力される画像データに基づいて行われる。
【0080】
操作部130が操作され動画記録の開始が指示されると、カメラコントローラー140はCMOSイメージセンサー110から出力される動画データに所定の処理を施し、動画データまたは動画ファイルをメモリーカード171に記録する。操作部130が操作され動画記録の停止が指示されると、カメラコントローラー140は動画データまたは動画ファイルの記録を停止する。
【0081】
動画撮影モードでは、カメラコントローラー140のシャッター制御部145は、シャッター機構198の開口状態が機械的に保持されるようにシャッターユニット190のシャッターモーター199を制御する。具体的には、シャッター制御部145で生成される制御信号に基づいてシャッターモーター199によりカム部材190Uが図6Bに示す開口位置PBまで回転駆動され、図6Bに示す開口状態が機械的に保持される。これにより、動画撮影モードの途中で電源160からの電力の供給が停止されても、電力の供給が停止している状態でシャッターユニット190の開口状態を保持することができ、レンズユニット200がカメラ本体100から取り外されている状態でシャッターユニット190の先幕190Bおよび後幕190Aが破損するのを防止できる。
【0082】
(2−3:再生動作)
操作部130の操作により、再生モードが選択されると、カメラコントローラー140はメモリーカード171から取得した画像データ、画像ファイル、動画データまたは動画ファイルを伸張して表示用画像データまたは表示用動画データを生成する。カメラモニタ120またはEVF180は表示用画像データまたは表示用動画データを表示する。
【0083】
再生モードでは、カメラコントローラー140のシャッター制御部145は、シャッターユニット190が開口状態を機械的に保持するようにシャッターユニット190を制御する。具体的には、シャッター制御部145はカム部材190Uの回転位置をシャッターモーター199の駆動信号をカウントすることで把握し得る。カム部材190Uが図6Bに示す開口位置PBからずれていれば、カム部材190Uが開口位置PBになるようにシャッター制御部145はシャッターモーター199を駆動する。なお、すでにカム部材190Uが開口位置PBであれば、シャッター制御部145はシャッターモーター199を駆動しない。
【0084】
このような制御により、再生モードにおいてシャッターユニット190に開口状態を機械的に保持させることができる。したがって、再生モードの途中で電源160からの電力の供給が停止されても、電力の供給が停止している状態でシャッターユニット190の開口状態を保持することができる。
【0085】
(2−4:その他の動作)
その他の動作モード、例えばカメラの各種設定を行うモードにおいても、基本的に、カメラコントローラー140のシャッター制御部145は、開口状態を機械的に保持するようにシャッターユニット190を制御する。したがって、不意にカメラ本体100の電源160からの電力の供給が停止されても、電源160からの電力の供給が停止した状態で、シャッターユニット190の開口状態を確実に保持することができる。
【0086】
(2−5:シャッターユニットの動作のまとめ)
上述のように、シャッターユニット190は、電源160からの電力の供給が停止した状態で開口状態を保持する。この動作は、シャッターユニット190がカメラコントローラー140によって、電源160からの電力の供給が停止する前に上述のように制御されることによって実現される。
【0087】
電源160からの電力の供給が停止した状態では、レンズユニット200がカメラ本体100から外された状態であることを検知できない。すなわち、レンズユニット200がカメラ本体100から外されてからシャッターユニット190を開口状態にすることができない場合がある。しかし、本実施形態に係るカメラ本体100は、電源160からの電力の供給が停止した状態でシャッターユニット190が開口状態であるため、レンズユニット200をカメラ本体100に装着する際にレンズユニット200がボディマウント150内に入り込むことによるシャッターユニット190の破損を低減することが可能である。
【0088】
(3:特徴)
以上に説明したデジタルカメラ1の特徴を以下にまとめる。
(1)
このカメラ本体100では、電力の供給が停止している状態でシャッターユニット190が開口状態を保持するように、電力の供給が停止する前にシャッターユニット190がシャッター制御部145により制御される。これにより、電力の供給が停止された状態でシャッターユニット190の開口状態を保持することができ、レンズユニット200がカメラ本体100から取り外されている状態でシャッターユニット190の破損を防止することができる。
また、シャッターユニット190が機械的に開口状態(図6Bに示す状態)を保持可能であるため、電力の供給が停止した状態でシャッターユニット190の開口状態を保持するのが容易となる。
【0089】
(2)
シャッターユニット190が、シャッター機構198と、シャッター機構198を駆動するシャッターモーター199と、を有している。シャッターモーター199は、機械的に開口状態が保持される第1状態(図6Bに示す状態)と、閉口状態が保持される第2状態(図6Aに示す状態)と、にシャッター機構198を駆動可能となっている。さらに、シャッター制御部145が所定の条件でシャッター機構198を図6Bに示す状態に駆動する。
【0090】
例えば、レンズ検知部146によりレンズユニット200がボディマウント150に装着されているか否かが検知され、レンズユニット200がボディマウント150から取り外されている場合に、シャッター制御部145によりシャッターユニット190が開口状態を保持するようにシャッターユニット190が制御される。より詳細には、シャッター制御部145は、レンズユニット200がボディマウント150から取り外されている場合にシャッター機構198を図6Bに示す状態に駆動するようにシャッターモーター199を制御する。このため、電源がONの状態でレンズユニット200がカメラ本体100から取り外されても、シャッターユニット190の開口状態を保持でき、シャッターユニット190の破損を防止することができる。
【0091】
また、再生モードにおいて、シャッターユニット190が開口状態を保持するようにシャッターユニット190がシャッター制御部145により制御される。より詳細には、再生モードでシャッター機構198を図6Bに示す状態に駆動するようにシャッター制御部145によりシャッターモーター199が制御される。これらの構成により、再生モードで電源がOFFになっても、シャッターユニット190の開口状態を保持できる。
【0092】
さらに、電源スイッチ132がOFFに操作された場合にシャッターユニット190が開口状態を保持するようにシャッターユニット190がシャッター制御部により制御される。より詳細には、電源スイッチ132がOFFに操作された場合にシャッター機構198を図6Bに示す状態に駆動するようにシャッター制御部145によりシャッターモーター199が制御される。これらの構成により、電源の供給が停止する前にシャッターユニット190を開口状態に切り替えることができる。
以上に説明したように、カメラ本体100であれば、シャッターユニット190の破損を確実に防止することができる。
【0093】
(3)
図2および図3に示すように、ボディマウント150リングの第1開口151aの内径よりもボディマウント接点保持部152の第2開口152aの内径が小さいため、レンズユニット200の一部がボディマウントリング151の第1開口151aからカメラ本体100の内部に侵入しても、ボディマウント接点保持部152によりレンズユニット200の侵入を防止することができ、シャッターユニット190などの部品の破損を防止できる。
【0094】
(4)
レンズユニット200がボディマウント150から取り外されている状態でシャッターユニット190が開口状態を保持している場合、CMOSイメージセンサー110やCMOSイメージセンサー110の被写体側に配置された光学的ローパスフィルタ114がホコリや唾液などの物質により汚れやすくなる。
【0095】
このカメラ本体100では、レンズユニット200からCMOSイメージセンサー110までの光路上に保護シート115bが配置されているため、CMOSイメージセンサー110および光学的ローパスフィルタ114が汚れるのを防止できる。
また、保護シート115bの露出領域A1に光触媒を含む防曇層が設けられているため、保護シート115bの汚れを抑制あるいは除去しやすくなる。さらに、防曇層は光を透過する光触媒であるため、保護シート115bの表面に防曇層を設けても被写体光を効率的にCMOSイメージセンサー110に導くことが可能となる。
【0096】
<第2実施形態>
ここでは、第1実施形態のカメラ本体100と異なる点についてのみ説明し、共通する部分の説明を省略する。なお、第1実施形態と実質的に同一の機能を有する構成については同一の符号を付す。以下、第2実施形態に係るカメラ本体300について説明する。図8Aは、ボディマウント150およびその周辺の平面図である。図8Bは、カメラ本体300の概略構成図である。
【0097】
第1実施形態のカメラ本体100は、振動板115およびその前面に防曇層を有しているが、それでもなお埃等の汚れが付着する場合がある。この場合、ユーザーがこの面を布等で拭いて汚れを落とそうとすることが考えられる。
しかし、汚れを完全に取り除くのは困難である。特に、布等を移動させた領域の端に汚れが移動し、汚れがそこに残りやすい。
【0098】
そこで、このカメラ本体300では、レンズユニット200からCMOSイメージセンサー110までの光路上に配置されレンズユニット200からの光を透過する部材のうち、最も前方に配置される部材に、汚れを残してもよい領域を設けている。
具体的には、図8Aおよび図8Bに示すように、前述の第1実施形態に比べて、ボディマウント接点保持部352の第2開口352aは、ボディマウント接点保持部152の第2開口152aに比べて大きく、シャッターユニット390の開口部390Dは、シャッターユニット190の開口部190Dに比べて大きい。このため、振動板115の保護シート115bは外部に大きく露出している。
【0099】
より詳細には、保護シート115bは、レンズユニット200が取り外されている状態でシャッターユニット390の開口部390Dから外部に露出する露出領域A11を有している。前述の露出領域A1と同様に、露出領域A11の前面(被写体側の面)には、防曇層が形成されている。具体的には、露出領域A11には酸化チタン等の透明な光触媒が塗布されている。この光触媒は可視光を透過する。露出領域A11はさらに、透過領域A12および外側領域A13を有している。
【0100】
透過領域A12は、保護シート115bのうちレンズユニット200を通過する光が通る領域118に対応しており、レンズユニット200からCMOSイメージセンサー110までの光路上に配置されている。外側領域A13は、被写体側から見て透過領域A12よりも外側の範囲に形成されており、レンズユニット200の光路外に配置されている。このため、レンズユニット200を通過する光は外側領域A13を通過しない。つまり、透過領域A12とは異なり、外側領域A13は汚れを残してもよい領域と言える。例えば、外側領域A13の外形寸法は、透過領域A12の外形寸法よりも1mm以上大きい。なお、外側領域A13は透過領域A12の全周に設けられているが、透過領域A12の外側の一部に設けてもよい。
【0101】
このように、露出領域A11が透過領域A12の周辺部に形成された外側領域A13を有しているため、透過領域A12に付着しているホコリなどの付着物を光学的に有効でない外側領域A13まで移動させるだけで、透過領域A12を清掃することができ、保護シート115bの清掃が容易となる。
また、外側領域A13に汚れを移動しやすいように、振動板115よりも被写体側に配置される部材、本実施形態ではシャッターユニット390の開口部390Dを、被写体側から見てCMOSイメージセンサー110により画像データに変換される被写体光がシャッターユニット390内を通過する領域119よりも大きく設定している。具体的には、開口部390Dは領域119よりも外側に1mm以上大きい。なお、第2実施形態では、開口部390Dは領域119に対して全方向に大きくしているが、一部の方向にのみ大きくしてもよい。
【0102】
さらに、露出領域A11の透過領域A12と外側領域A13との境界を示す4つの印117が振動板115の保護シート115bに設けられている。ユーザーは、ボディマウントリング151からカメラ本体300の内部を見て、振動板115の汚れを布等で拭くことができる。汚れは前から見てシャッターユニット190の開口領域の近く、すなわち、前から見て透過領域A12よりも外側の範囲に残る。しかし、この部分の汚れが撮影された画像に及ぼす影響は小さい。また、印117を設けることにより、どのあたりまで清掃する必要があるのかをユーザーが認識しやすくなる。したがって、印117を参考にユーザーが透過領域A12よりも周囲の外側領域A13に汚れを移動することで、少なくとも透過領域A12の清掃を確実に行うことができる。
【0103】
なお、CMOSイメージセンサー110は所定の領域116に含まれる各画素の電荷に基づいて画像データを生成する。CMOSイメージセンサー110により画像データに変換される被写体光とは、レンズユニット200からCMOSイメージセンサー110に導かれる被写体光のうち、所定の領域116に到達する被写体光のことを意味する。
【0104】
<その他の実施の形態>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形および修正が可能である。
(A)
前述の第1および第2実施形態では、シャッターユニット190は、後幕190Aと先幕190Bとを有しているが、先幕190Bを有していないシャッターユニットでもよい。この場合、先幕190Bと同様の機能をCMOSイメージセンサー110の駆動制御により実現する。具体的には、CMOSイメージセンサー110は、各画素の電荷を上のラインから順次リセットする。そして、各ラインのリセット動作が下に移動するのを追いかけるように後幕190AがCMOSイメージセンサー110への光を上のラインから順に遮蔽する。このようにすれば、各画素は、リセットされてから入射光が遮光されるまでの期間に露光された分の電荷を蓄積する。なお、この場合においても、後幕190Aは機械的に開口状態を保持できるようにしている。
【0105】
(B)
防曇層は指紋のつきにくい多層膜ARコートなどでもよい。
(C)
前述の実施形態では、デジタルカメラ1は、カメラモニタ120およびEVF180の両方を有しているが、カメラモニタ120およびEVF180のうち一方のみを有する構成でもよい。
【0106】
(D)
前述の実施形態では、OISレンズ220を有するデジタルカメラ1を例示したが、手振れ補正機能が搭載されていないデジタルカメラであってもよい。
(E)
電気接点153は、ボディマウントリング151により保持されてもよい。例えば、電気接点153を、ボディマウントリング151の内周と外周の間に設けても良い。
【0107】
(F)
カメラ本体100およびデジタルカメラ1としては、静止画および動画を撮影可能な装置の他に、静止画のみ撮影可能な装置および動画のみ撮影可能な装置が考えられる。
また、各特徴について記載された効果を得るために、記載された特徴以外の構成は変形または削除されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、レンズユニットを装着可能なカメラ本体およびそれを備えた撮像装置に適用できる。
【符号の説明】
【0109】
1 デジタルカメラ(撮像装置の一例)
100、300 カメラ本体
110 CMOSイメージセンサー(撮像素子の一例)
111 ADコンバーター
112 タイミング発生器
113 CMOS回路基板
114 光学的ローパスフィルタ
115 振動板
115b 保護シート
117 印
120 カメラモニタ(表示部の一例)
121 ヒンジ
130 操作部
131 レリーズ釦
132 電源スイッチ(電源操作部の一例)
140 カメラコントローラー
141 DRAM
142 メイン回路基板
145 シャッター制御部
146 レンズ検知部
150 ボディマウント
151 ボディマウントリング
151a 第1開口
152 ボディマウント接点保持部
152a 第2開口
153 電気接点
160 電源
170 カードスロット
171 メモリーカード(記録部の一例)
180 電子ビューファインダー
181 EVF用液晶モニタ
182 EVF用光学系
183 接眼窓
190、390 シャッターユニット
198 シャッター機構
199 シャッターモーター(シャッター駆動部の一例)
190A 後幕
190B 先幕
190C シャッター保持枠
200 レンズユニット
250 レンズマウント
253 電気接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を形成するレンズユニットを装着可能なミラーレスタイプのカメラ本体であって、
前記レンズユニットを装着可能なボディマウントと、
前記被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子と、
前記ボディマウントと前記撮像素子との間に配置され前記レンズユニットと前記撮像素子との間の光路を遮断可能に設けられたシャッターユニットと、
を備え、
前記シャッターユニットは、前記レンズユニットが前記ボディマウントから取り外されている場合、前記カメラ本体への電力の供給が停止する前に開口状態にされる、
カメラ本体。
【請求項2】
前記電気信号を記録する記録部と、
前記電気信号を画像として表示する表示部と、
をさらに備え、
前記シャッターユニットは、前記記録部に記録された前記電気信号が前記画像として前記表示部に表示される再生モードのとき、前記開口状態にされる、
請求項1に記載のカメラ本体。
【請求項3】
電源の切り替えを操作するための電源操作部
をさらに備え、
前記シャッターユニットは、前記電源操作部がOFFに操作された場合に、前記開口状態にされる、
請求項1に記載のカメラ本体。
【請求項4】
前記シャッターユニットは、前記開口状態および閉口状態をとり得るシャッター機構と、前記シャッター機構を駆動するシャッター駆動部と、を有し、
前記シャッター駆動部は、前記開口状態を保持する第1状態と、前記閉口状態を保持する第2状態と、に前記シャッター機構を駆動する、
請求項1に記載のカメラ本体。
【請求項5】
前記レンズユニットから前記撮像素子までの光路上に配置され前記レンズユニットを通過する光が透過する保護シートをさらに備えた、
請求項1に記載のカメラ本体。
【請求項6】
前記保護シートは、前記レンズユニットが取り外されている状態で外部に露出する露出領域を有し、
前記露出領域の表面には、防曇層が設けられている、
請求項5に記載のカメラ本体。
【請求項7】
前記防曇層は、光触媒である、
請求項6に記載のカメラ本体。
【請求項8】
前記光触媒は、可視光を透過する、
請求項7に記載のカメラ本体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2012−234193(P2012−234193A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157219(P2012−157219)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2010−528605(P2010−528605)の分割
【原出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】