説明

カメラ

【課題】電源投入後、バッテリチェックを速やかに行い、迅速に起動させる。
【解決手段】電源OFFに設定されると、バッテリの電圧値Vfを検出し、時刻t1を検出する。電源OFF状態から電源ONに設定されると、時刻t2、カメラの動作環境における温度Tを検出し、電源OFFから電源ONまでの経過時間(Δt)を算出する。そして、放電曲線Cおよび電源OFF時の電圧値Vf、経過時間Δtから、電源ON設定時の電圧値Vdを算出し、電圧値Vfが初期起動に必要な限界電圧値Vlより大きい場合、起動動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、あるいは撮影機能を備えた携帯電話などの撮影装置に関し、特に、電源投入後の初期起動時におけるバッテリチェックに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、ボタン操作によって電源が投入されると、ROM等のメモリに格納されているプログラムが読み出され、レンズ、CCD等の初期駆動、着脱自在に装着されるメモリカードの情報取得といった起動動作が行われ、その後撮影可能な状態になる。電源投入後できるだけ早く撮影を可能にするため、例えば、撮像系の起動に必要なプログラムだけを初めに読み出し、メモリカードの情報取得などそれ以外の動作に必要なプログラムをその後起動させたりすることが可能である(特許文献1参照)。一方、撮影可能な状態にするためにはレンズ、CCDを含む撮像系、回路等を駆動する必要があることから、電源投入直後には、バッテリの残量電圧がチェックされる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−189165号公報
【特許文献2】特開2006−3501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バッテリチェックには、電圧を適当な負荷に実際に入力させて検出する必要があり、電源投入後から撮影動作が可能となるまでの時間が長くなり、シャッターチャンスを逃すことにつながる。しかしながら、レンズ等の駆動を開始した後にバッテリの寿命によってカメラ動作が停止することを防ぐため、バッテリチェックを起動時に省くことはできない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のカメラは、電源が投入されてから所定の起動動作を経て撮影可能な状態となるカメラであって、バッテリチェックを短時間で行うことができるカメラであり、あらかじめ電源OFF時にバッテリチェックを行い、電源ON時にはバッテリの放電曲線特性を利用して残量電圧を直接検出することなくバッテリチェックを可能にする。
【0005】
本発明のカメラは、電源を供給するバッテリと、電源OFFに設定されると、前記バッテリの残量電圧を検出するバッテリ残量検出手段と、電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出する時間検出手段と、検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出するバッテリ残量算出手段とを備える。
【0006】
バッテリの放電曲線は、一般的には、途中までは漸近的に残量電圧が減少し、寿命近くなると急激に減少する曲線であり、時間と電圧の関数として表される。したがって、電源OFF時のバッテリ残量電圧と、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出することによって、電源ON時のバッテリ残量電圧が正確に推定される。放電曲線特性のデータは、あらかじめカメラのメモリに記憶させておけばよい。経過時間については、例えば、タイマーを備えたカメラでは、リアルタイムの時刻を電源OFF、ON時に計測して経過時間を計測すればよい。
【0007】
そして本発明のカメラは、算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させる起動制御手段を備える。ここで、撮影可能にするための起動動作としては、例えば、撮影光学系を初期状態の位置まで駆動させる初期動作があり、デジタルカメラの場合には、撮像素子の初期駆動、信号処理回路の初期駆動、液晶などのモニタの表示動作、やパラメータの初期設定がある。さらに、画像データをメモリカードなど着脱自在に装着される記録媒体に記録する場合には、記録媒体のデータ空き容量、記録可能なアドレス領域などの情報を取得する動作も起動時に行う場合もある。起動動作内容に従って定められる限界電圧に従い、算出されたバッテリ残量電圧に基づいてバッテリチェックが実行される。初期起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、実際に起動させることが可能か否か判断するため、前記バッテリ残量検出手段が前記バッテリの残量電圧を検出するのが望ましい。実際に計測して起動可能と判断すれば、起動動作を実行させればよい。
【0008】
バッテリは温度によっても放電曲線特性が異なる。したがって、電源OFFに設定されると、前記カメラの動作環境における温度を検出する温度検出手段を設けるのが望ましい。この場合、バッテリ残量算出手段は、検出された温度に合ったバッテリの放電曲線特性から、前記バッテリの残量電圧を算出すればよい。
【0009】
バッテリ交換があった場合には、バッテリ残量検出手段が、バッテリ交換時に交換されたバッテリの残量電圧を検出するのが望ましい。前記時間検出手段は、バッテリ交換時から電源ON設定時までの経過時間を検出すればよい。また、メモリカード等の着脱自在な記録媒体が交換された場合においても、前記バッテリの残量電圧を検出するのが望ましい。時間検出手段は、前記記録媒体の交換時から電源ON設定時までの経過時間を検出する。
【0010】
本発明の撮影起動動作制御装置は、電源OFFに設定されると、バッテリの残量電圧を検出するバッテリ残量検出手段と、電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出する時間検出手段と、検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出するバッテリ残量算出手段と、算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影を可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させる起動制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、電源OFFに設定されると、バッテリの残量電圧を検出するバッテリ残量検出手段と、電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出する時間検出手段と、検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出するバッテリ残量算出手段と、算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影を可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させる起動制御手段とを機能させることを特徴とする。
【0012】
本発明の撮影起動動作制御方法は、電源OFFに設定されると、バッテリの残量電圧を検出し、電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出し、検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出し、算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影を可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源投入後バッテリチェックを速やかに行うことができ、迅速に起動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態であるデジタルスチルカメラについて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態であるデジタルスチルカメラの斜視図である。コンパクト型カメラであるデジタルスチルカメラ10は、本体10Aと本体10Aの前面に装着されるレンズ鏡筒10Bを備え、レンズ鏡筒10Bは本体10Aから前方へ自在に突出する。
【0016】
デジタルスチルカメラ10の上面10Uには、レリーズボタン14、パワーボタン15が設けられており、カメラ10の背面10Kには、ファインダの接眼部12、液晶モニタ16、リターンボタン19、十字型の設定ボタン20、決定ボタン21、ズームレバー22が設けられている。また、デジタルカメラ10の側面10Sには、メモリカード挿入用のカードスロット11が形成されており、カメラ10の前面にはストロボ(図示せず)が設けられている。
【0017】
ズームレバー22は、撮影光学系をズーム動作させる場合に操作され、ユーザによって撮影範囲、構図が決定される。設定ボタン20、決定ボタン21は、様々なモードを選択、決定するために操作され、撮影モード、再生モード、メニューモードのうちいずれか1つのモードを設定する時や、複数の撮影モードの中から選択する場合、さらに、撮影条件等を設定変更する場合に操作される。パワーボタン15の押下によって電源がON状態になると、後述するように、カメラの初期動作(起動動作)が実行される。具体的には、レンズ鏡筒10B内の撮影光学系(ここでは図示せず)が初期駆動され、カメラ本体10A内に収容されていた撮影光学系がレンズ鏡筒10Bとともに前方へ繰り出される。リターンボタン19は、モード設定時において前画面に戻る場合に操作される。
【0018】
図2は、デジタルスチルカメラ10のブロック図である。
【0019】
システムコントロール回路50はデジタルカメラ10の動作を制御し、カメラ動作を実行するためのプログラムがROM50Cにあらかじめ格納されている。メインCPU50Aは電源ON状態においてカメラ動作を制御し、サブCPU50Bは、電源OGFF状態においてカメラを制御する。メインスイッチ32、半押しスイッチ34、全押しスイッチ36、設定操作スイッチ38などがシステムコントロール回路50に接続されている。
【0020】
パワーボタン15に対する操作によって電源がONになると、メインスイッチ32がON状態になり、各回路へバッテリ68から電源が供給される。半押しスイッチ34、全押しスイッチ36は、レリーズボタン14の半押し、全押しをそれぞれ検出する。設定操作スイッチは、設定ボタン、決定ボタン21等に対する操作を検出する。
【0021】
撮影モードが設定された場合、動画像を表示するための処理動作が実行される。撮影光学系13を通った光が絞り28A、シャッタ28Bを介してCCD40に到達する。これにより、被写体像がCCD40に形成され、光電変換によって被写体像に応じたアナログ画像信号が発生する。画像信号はCCD40から所定時間間隔で順次読み出される。
【0022】
CCD40から読み出されたアナログ画像信号は、アンプ回路(図示せず)において増幅され、A/D変換器(図示せず)においてデジタル信号に変換される。SDRAM49に接続された画像処理回路46は、DSP(Digital Signal Processor)として構成されており、そこでは、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理など様々な処理がデジタル画像信号に対して施される。
【0023】
処理された画像信号は一時的にフレームメモリ(図示せず)に格納され、LCDドライバ47へ送られる。LCDドライバ47は、画像信号に基づいて液晶モニタ16を駆動し、その結果、被写体像が動画像として液晶モニタ16に表示される。
【0024】
レリーズボタン14が半押しされると、被写体の明るさ、被写体との距離が露出検出器63などにおいて検出されるとともに、焦点調整のため、撮影光学系13内のフォーカシングレンズ(図示せず)がレンズ駆動モータ64によって駆動される。レリーズボタン14が全押しされると、撮影動作が実行され、絞り28A、シャッタ28Bが所定の開度で開き、被写体像がCCD40に形成されることにより、被写体像に応じた1フレーム分の画像信号がCCD40から読み出される。
【0025】
読み出された画像信号は、アンプ回路、A/D変換器、画像信号処理回路46において処理され、一時的にフレームメモリに格納される。フレームメモリから読み出された画像データには、画像信号処理回路46において圧縮処理が施され、圧縮された画像データは、カードドライバ59を介してメモリカード60に記憶される。カードドライバ59は、メモリカード60との間でデータを送受信し、メモリカード60の容量サイズ、空き容量、使用可能なアドレス領域などの情報をシステムコントロール回路50へ送信する。
【0026】
再生モードが設定された場合、ユーザによって選択された圧縮画像データがメモリカード60から読み出さる。そして、画像信号処理回路46では、画像データに対して伸張処理が施され、一時的にフレームメモリに格納される。そしてLCDドライバ47が画像信号に基づいて液晶モニタ16を駆動することにより、選択された静止画像が液晶モニタ16に再生表示される。
【0027】
バッテリ68は、システムコントロール回路50など各回路に電源を供給する。システムコントロール回路50は、バッテリ68から入力される電圧に基づいてバッテリ68の残量電圧を検出する。温度センサ64は、カメラ10の動作環境における温度を検出する。RTC(Real Time Clock)66は、時刻をリアルタイムで計測する。カメラ10の電源がOFF状態である場合、メインCPU50Aは機能せず、スリープモードに設定される。一方、サブCPU50B、RTC66、RAM50Dは、カメラ10の電源がOFF状態においても動作するように、補助電源が供給されている。
【0028】
図3、図4は、メインCPU50Aによって実行されるカメラの動作制御処理を示したフローチャートである。パワーボタン15が押下されて電源ON状態になると、開始される。図5は、バッテリ68の放電曲線特性を示した図である。
【0029】
ステップS101では、RTC66により現在の時刻が検出される。ステップS102では、温度センサ64によってカメラ内の温度が検出される。ステップS103では、電源OFF設定時に計測された時刻と、ステップS101において計測された時刻とから、電源OFFから電源ONに切り替わるまでの経過時間が算出される。ただし、電源OFF設定時に計測された時刻は、RAM50Dに記憶されている。そして、ステップS104では、バッテリ68の放電曲線特性、ステップS103において算出された経過時間、RAM50Dに格納された電源OFF設定時の残量電圧、およびステップS102において検出された温度に基づき、バッテリ68の残量電圧が算出される。
【0030】
一般的にバッテリ68の放電曲線は、図5に示すような曲線Cで表され、時間tが経過するにつれて電圧値が下がり、バッテリの寿命に近づくと、急激に電圧値が下がる。また、温度によっても放電曲線特性は変化する。ここでは、カメラの動作環境における温度Tのときの放電曲線Cとともに、温度T’(≠T)のときの放電曲線C’が表されている。放電曲線のデータは、あらかじめROM50に記憶されている。
【0031】
ステップ104では、放電曲線Cに従い、電源OFFに設定されたときの電圧値Vf、ステップS103で算出された経過時間Δt(t−t)、およびステップS102において計測された温度(ここではTとする)にから、電源ON設定時の電圧値Vdが算出される。ステップS104が実行されると、ステップS105へ進む。
【0032】
ステップS105では、算出された電圧値Vdが限界電圧値Vlより大きいか否かが判断される。限界電圧値Vlは、電源投入後の初期起動動作において、撮影動作を実行可能にするのに必要な電圧値を表す。ここでは、CCD40の初期駆動、撮影光学系13の所定位置への繰り出し動作、シャッタ28Bの所定位置への開閉動作とともに、画像信号処理回路46の起動、メモリカード60の情報取得といった動作を含む。
【0033】
ステップS105において、算出された電圧値Vdが、限界電圧値Vlより小さいと判断された場合、ステップS106へ進み、バッテリ68の電圧値が直接システムコントロール回路50によって検出される。そして、ステップS107では、測定された電圧値が限界電圧値Vlより大きいか否かが判断される。測定された電圧値が限界電圧値Vlより大きい、すなわち起動動作が可能であると判断されると、ステップS109へ進む。一方、測定された電圧値が限界電圧値Vlより小さいと判断された場合、ステップS108において、起動動作が中止される。
【0034】
一方、ステップS105において、算出された電圧値Vdが限界電圧値Vlより大きい、すなわち起動動作が可能であると判断されると、ステップS109へ進む。ステップS109では、画像処理回路46が起動され、ステップS110では、撮影光学系13、シャッタ28B、CCD40、液晶モニタ16等が初期駆動設定される。そして、ステップS111では、メモリカード60の容量サイズ、データ格納可能なアドレス領域といった情報を含むデータがシステムコントロール回路50へ送信される。ステップS111が実行されると、図4のステップS112へ進む。
【0035】
ステップS112では、パワーボタン15が押下されて電源がOFFに設定された否かが判断される。電源がOFFに設定されたと判断されると、ステップS113へ進み、後述する終了処理が実行される。一方、パワーボタン15が押下されていないと判断された場合、ステップS114へ進む。
【0036】
ステップS114では、レリーズボタン14が半押しされたか否かが判断される。レリーズボタン14が半押しされていないと判断されると、ステップS112へ戻る。一方、レリーズボタン14が半押しされたと判断された場合、ステップS115へ進み、露出値、すなわちシャッタスピードと絞り値が演算される。
【0037】
ステップS116では、合焦しているか否かが判断される、合焦していない場合、ステップS117へ進み、合焦するようにAF制御動作が実行される。合焦している場合、そのままステップS118へ進む。
【0038】
ステップS118では、レリーズボタン14が全押しされたか否かが判断される。レリーズボタン14が全押しされていないと判断されると、ステップS112へ戻る。一方、レリーズボタン14が全押しされたと判断された場合、ステップS119へ進み、絞り28A、シャッタ28Bなどが動作し、露出および撮像動作が制御される。そして、ステップS120では、画像データをメモリカード60に記録するための処理が実行される。ステップS120が実行されると、ステップS112へ戻る。
【0039】
図6は、図4のステップS113のサブルーチンである。
【0040】
ステップS201では、シャッタ28B等が電源OFF状態の位置へ戻るように駆動される。ステップS202では、バッテリ68の残量電圧のデータがリセットされる。そして、ステップS203では、バッテリ68の残量電圧(図5ではVf)がシステムコントロール回路50によって検出されるとともに、RTC66によってお時刻(図5では、t)が検出される。ステップS204では、検出された残量電圧値および時刻がRAM50Dに記録される。
【0041】
ステップS205では、画像信号処理回路46がスリープモード、すなわちOFF状態に設定される。そして、ステップS206では、サブCPU50Bを起動させる処理が行われるとともに、メインCPU50Aはスリープモードに設定される。
【0042】
図7は、サブCPUによって実行される制御処理を示したフローチャートである。
【0043】
ステップS301では、割り込み操作処理がなされたか否かが判断される。ここでは、パワーボタン15の押下による電源ONの操作、バッテリ68の交換操作、メモリカード60の交換操作などが割り込み操作と判断され、交換操作時の着脱、装着を検出する。ステップS302では、バッテリ68が交換されたか否かが判断される。ここでは、ハードウェアリセットの検出によって電池交換が判断される。
【0044】
ステップS302において、バッテリ68が交換されたと判断されると、ステップS303へ進む。ステップS303〜S305の実行は、図6のステップS202〜S204の実行と同じである。すなわち、新たに装着されたバッテリ68の残量電圧、および装着時の時刻が検出され、RAM50Dに記憶される。ステップS305が実行されると、ステップS311へ進む。
【0045】
一方、ステップS302において、バッテリ68が交換されていないと判断されると、ステップS306へ進む。ステップS306では、メモリカード60が交換されか否かが判断される。ステップS306において、メモリカード60が交換されていないと判断されると、ステップS311へ進む。
【0046】
一方、ステップS306において、メモリカード60が交換されたと判断されると、ステップS308へ進む。ステップS308〜S310の実行は、図6のステップS202〜S204の実行と同じである。すなわち、新たにメモリカード60が交換された状態でのバッテリ68の残量電圧、および交換時の時刻が検出され、RAM50Dに記憶される。
【0047】
ステップS311では、パワーボタン15の押下により電源ONに設定されたか否かが判断される。パワーボタン15が押下されていないと判断されると、ステップS301へ戻る。一方、パワーボタン15の押下により電源ONに設定されたと判断された場合、ステップS312へ進み、メインCPU50Aがスリープモード状態から起動される。
【0048】
以上のように本実施形態によれば、電源OFFに設定されると、バッテリ68の電圧値Vfが検出されるとともに、RTCによって時刻tが検出され、RAM50Dに記憶される(S203、S204)。電源OFF状態から電源ONに設定されると、時刻t、温度Tが検出され(S101、S102)、電源OFFから電源ONまでの経過時間(Δt)が算出される(S103)。そして、図5に示す放電曲線Cおよび電源OFF時の電圧値Vf、経過時間Δtから、電源ON設定時の電圧値Vdが算出され(S104)、電圧値Vfが起動動作に必要な電圧値Vlより大きい場合、起動動作を実行される(S109〜S111)。直接バッテリチェックすることなく電源投入直後のバッテリ残量が求められるため、速やかに撮影可能な状況へ移行することができる。
【0049】
電源ONに設定された場合、撮影光学系13、CCD40の初期駆動に必要なプログラムのみを最初に読み出し、その後メモリカード60の情報取得のためのプログラムを読み出すようにしてもよい。
【0050】
デジタルスチルカメラ以外のムービーカメラ、フィルムカメラにも適用可能であり、また、撮影機能付き携帯電話といった電子機器にも適用可能である。起動動作に必要なバッテリの残量電圧は、それぞれ動作環境によって定めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態であるデジタルスチルカメラの斜視図である。
【図2】デジタルスチルカメラのブロック図である。
【図3】メインCPUによって実行されるカメラの動作制御処理を示したフローチャートである。
【図4】メインCPUによって実行されるカメラの動作制御処理を示したフローチャートである。
【図5】バッテリの放電曲線特性を示した図である。
【図6】図4のステップS113のサブルーチンである。
【図7】サブCPUによって実行される制御処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
10 デジタルスチルカメラ
13 撮影光学系
40 CCD(撮像素子)
46 画像信号処理回路
50 システムコントロール回路
50A メインCPU
50B サブCPU
50C ROM
50D RAM
59 カードドライバ
60 メモリカード(記録媒体)
64 温度センサ
66 RTC
68 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を供給するバッテリと、
電源OFFに設定されると、前記バッテリの残量電圧を検出するバッテリ残量検出手段と、
電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出する時間検出手段と、
検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出するバッテリ残量算出手段と、
算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影を可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させる起動制御手段と
を備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記バッテリ残量検出手段が、前記バッテリの残量電圧が前記限界電圧より小さい場合、前記バッテリの残量電圧を検出することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記起動動作が、撮像素子の初期駆動、撮影光学系の初期駆動、信号処理回路の初期駆動、モニタの駆動のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
前記起動動作が、着脱自在に装着される画像データ格納可能な記録媒体の情報取得処理を含むことを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
前記時間検出手段が、電源OFF状態においても時刻を計測可能なタイマーを備えることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
電源OFFに設定されると、前記カメラの動作環境における温度を検出する温度検出手段をさらに有し、
前記バッテリ残量算出手段が、検出された温度に対応する前記バッテリの放電曲線特性から、前記バッテリの残量電圧を算出することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項7】
前記バッテリ残量検出手段が、バッテリ交換時において、交換されたバッテリの残量電圧を検出し、
前記時間検出手段が、バッテリ交換時から電源ON設定時までの経過時間を検出することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項8】
前記バッテリ残量検出手段が、着脱自在に装着される画像データ格納可能な記録媒体の交換時に、前記バッテリの残量電圧を検出し、
前記時間検出手段が、前記記録媒体の交換時から電源ON設定時までの経過時間を検出することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項9】
電源OFFに設定されると、バッテリの残量電圧を検出するバッテリ残量検出手段と、
電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出する時間検出手段と、
検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出するバッテリ残量算出手段と、
算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影を可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させる起動制御手段と
を備えたことを特徴とする撮影起動動作制御装置。
【請求項10】
電源OFFに設定されると、バッテリの残量電圧を検出するバッテリ残量検出手段と、
電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出する時間検出手段と、
検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出するバッテリ残量算出手段と、
算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影を可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させる起動制御手段と
を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
電源OFFに設定されると、バッテリの残量電圧を検出し、
電源ONに設定されると、電源OFFから電源ONまでの経過時間を検出し、
検出された経過時間および前記バッテリの放電曲線特性に基づき、電源ON設定時の前記バッテリの残量電圧を算出し、
算出された前記バッテリの残量電圧が、撮影を可能にするための起動動作に必要な限界電圧より大きい場合、起動動作を実行させることを特徴とする撮影起動動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−46179(P2008−46179A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219285(P2006−219285)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】