説明

ガス流中の微粒子状物質を減少させるための方法およびシステム

ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるための方法およびシステムを提供する。主題のシステムは、ガス流中の微粒子状物質の排出量を減少させる触媒を含む。主題のシステムの実施形態はまた、ガス流中の微粒子状物質前駆体の排出量も減少させる。いくつかの場合では、主題のシステムおよび方法は、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の減少を促進する吸着剤を含む。主題の方法およびシステムは、ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させることが所望される様々な用途において、使用を見出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流中の微粒子状物質を減少させるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子状物質は、ガス中に懸濁された固体または液体の微細粒子であり、第1の形態または第2の形態として発生し得る。第1の微粒子状物質は、大気中へ直接放出される炭化水素、煙、粉塵等の粒子である。第2の微粒子状物質、または微粒子状物質前駆体は、他の汚染物質と反応し微粒子状物質を形成する排出物(NO、硫黄、アンモニア等)である。車両、発電所、および種々の工業プロセスにおいて化石燃料を燃焼する等の活動は、相当量の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体を生成する。いわゆる細粒(例えば、直径が2.5μmより小さい、すなわち、PM2.5、または直径が1μmよりも小さい、すなわち、PMである微粒子状物質)、および超微粒子(UFPまたはUP、例えば、直径が0.1μmよりも小さい微粒子状物質)等の、直径が10μmより小さい(例えば、PM10)微粒子状物質の排出物は、呼吸器系に吸入、および蓄積され得るため、健康上の懸念を提起し得る。微粒子状物質の吸入は、心疾患、変質した肺機能、および肺癌等の健康被害に関連付けられる。したがって、内燃エンジン、レシプロ内燃タービン、事業用ボイラー、工業ボイラー等からの燃焼ガス流等の、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体を減少させるためのシステムの開発への継続的な関心が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるための方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
主題の方法およびシステムは、ガス流中の微粒子状物質量を減少させる触媒を含む。主題のシステムの実施形態はまた、ガス流中の微粒子状物質前駆体の排出量を減少させ得る。いくつかの場合では、主題のシステムおよび方法は、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の減少を促進する吸着剤(sorber)を含む。主題の方法およびシステムは、ガス流から微粒子状物質排出の減少が所望される、様々な用途における使用が見出される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるための、主題のシステムの実施形態を示す略図。
【図2】ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるための、主題のシステムの実施形態を示す図。
【図3】ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるための、主題のシステムの実施形態を表す図。再生ガス流の流れが示される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるための方法およびシステムが提供される。主題のシステムは、ガス流中の微粒子状物質の排出量を減少させる触媒を含む。主題のシステムの実施形態はまた、ガス流中の微粒子状物質前駆体の排出量も減少させることができる。いくつかの場合では、主題のシステムおよび方法は、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の減少を促進させる吸着剤を含む。主題の方法およびシステムは、ガス流からの微粒子状物質排出の減少が所望される、様々な用途における使用を見出す。
【0007】
いくつかの場合では、システムおよび方法は、ガス流中の、凝縮炭化水素等の微粒子状物質の量を減少させる。システムおよび方法はまた、ガス流中の、二酸化硫黄(SO)および三酸化硫黄(SO)等の微粒子状物質前駆体の量も減少させる。
【0008】
本方法は、ガス流を触媒に接触させるステップであって、ガス流中の微粒子状物質が、30%以上減少させられるステップと、ガス流中の微粒子状物質が減少したことを報告するステップと、を含む。主題の方法における使用を見出す主題のシステムの付加的態様を、以下でより詳細に説明する。
【0009】
いくつかの場合では、主題の方法はさらに、ガス流が排出トラップを通って流れる際に、ガス流のガス毎時空間速度を調整するステップを含む。ガス毎時空間速度は、ガス流中の微粒子状物質および/または微粒子状物質前駆体の濃度に基づいて調整することができる。例えば、ガス毎時空間速度は、ガス流中の硫黄酸化物の濃度に基づいて調整することができる。
【0010】
ある実施形態では、主題の方法はさらに、ガス流中の微粒子状物質が減少させられた量を確認することを含む。ガス流中の微粒子状物質の量は、米国環境保護局(EPA)方法5(連邦規則集第40編第60部、別表A−3を参照されたく、http://www.epa.gov/ttn/emc/promgate.htmlでオンライン利用可能)、米国環境保護局(EPA)方法201A(連邦規則集第40編第51部、別表Mを参照されたく、http://www.epa.gov/ttn/emc/promgate.htmlでオンライン利用可能)、米国環境保護局(EPA)202(連邦規則集第40編第51部、別表Mを参照されたく、http://www.epa.gov/ttn/emc/promgate.htmlでオンライン利用可能)等を含むが、これらに限定されない、種々の試験プロトコルを使用することにより確認し得る。
【0011】
実施形態はまた、触媒式排出トラップを有するシステムも含む。該排出トラップは、触媒を含み、ガス流がトラップを通って流れる際に、ガス流が該触媒と接触するように構成される。ガス流中の微粒子状物質が、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、もしくは98%以上を含む、50%以上等の30%以上、減少し得る。ある実施形態では、システムは、使用者へ結果を出力するための微粒子状物質インジケータをさらに含み、ここで、結果はガス流中の微粒子状物質が減少させられた量である。
【0012】
主題のシステムは、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体を減少させることにおいて使用を見出す。いくつかの場合では、微粒子状物質は、炭化水素を含む。これらの場合では、該触媒は、炭化水素を酸化するように構成される。いくつかの場合では、微粒子状物質は、SOおよびSOを含む。これらの場合では、触媒は、SOをSOへ減少させるように構成される。主題のシステムの態様はまた、アンモニアまたはアンモニア前駆体がガス流に添加されないシステムも含む。
【0013】
システムは、微粒子状物質が、10μmまたはそれ以下の平均直径を有する微粒子状物質の排出を減少させるように構成され得る。いくつかの場合では、システムは、微粒子状物質が2.5μmまたはそれ以下の平均直径を有する、微粒子状物質の排出を減少させる。例えば、システムは、微粒子状物質が1μmまたはそれ以下の平均直径を有する、微粒子状物質の排出を減少し得る。
【0014】
ある場合では、ガス流は、レシプロ内燃エンジン、内燃タービン、事業用ボイラー、および工業ボイラー等を含むが、それらに限定されない燃焼源からのガス排出流である。
主題のシステムのある実施形態は、触媒が、白金を含有する触媒である触媒を含む。触媒式排出トラップはさらに、吸着剤を含み、いくつかの場合では、吸着剤は、KCO、BaCO、炭酸等の組み合わせを含むが、それらに限定されない炭酸を含む。触媒式排出トラップはさらに、ウォッシュコートを含み、いくつかの場合では、ウォッシュコートは、アルミナ、チタニア等を含むが、それらに限定されない。
【0015】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、当然変形可能であることを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され得るため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0016】
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に定めない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値、その範囲の上下限間、ならびにその特定範囲内のいずれの他の特定された値または介在値も、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。これらの小さな範囲の上下限は、その小さな範囲内に独立して含まれ得、また、本発明の範囲内にも包含され得、特定範囲中のいずれかの具体的に除外された制限を条件とする。特定範囲が、1つまたは双方の制限を含む場合、どちらか一方を除外する範囲、またはそれらの双方を含む制限の範囲がまた、本発明において含まれる。
【0017】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および学術用語は、本発明の属する技術分野における当業者により、一般的に理解されているものと同一の意味を有する。本明細書に説明されるものと同様または同等であるいずれの方法および材料も、実践において、または本発明の試験のために使用することができるが、代表的な例示的方法および材料が説明される。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に定めない限り、複数形の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、いずれの任意的要素も除外するように書かれ得ることもさらに留意されたい。したがって、この記載は、特許請求の範囲の要素の記述と関連して、「ただ(solely)」、「のみ(only)」等の排他的用語の使用、もしくは否定的制限の使用のため、先行記載としての役割を果たすことを意図する。
【0019】
本明細書に説明および例示される各個々の実施形態は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれの特徴からも独立し得る、または組み合わせ得る、個別の要素および特徴を有することが、本開示を読むことにより、当業者に明らかとなるであろう。いずれの記載される方法も、記載される事象の順序、もしくは論理的に可能であるいずれの他の順序でも実行することができる。
【0020】
本明細書に記載されるすべての刊行物および特許は、あたかも各個別の刊行物または特許が、参照することにより組み込まれると具体的かつ独立して示されているかのように、参照することにより本明細書に組み込まれ、引用される刊行物と関連して方法および/または材料を開示および説明するために、参照することにより本明細書に組み込まれる。いずれの刊行物の引用も、出願日に先立つその開示のためであり、本発明が、先願発明のために、かかる刊行物を先行する権利を有しないことを承認するものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日と異なる場合があり、独立して確認される必要が有り得る。
【0021】
主題発明のさらなる説明において、主題の方法の実施形態は、まずより詳細に説明され、主題の方法が使用を見出す、システムの実施形態の概説が後に続く。
方法
ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるための方法およびシステムが提供される。いくつかの例では、該方法はまた、ガス流からの微粒子状物質前駆体の排出も減少させる。主題の方法の実施形態は、ガス流を触媒に接触させることを含む。いくつかの場合では、ガス流中の微粒子状物質が、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、もしくは98%以上を含む50%以上等の30%以上、減少され得る。ガス流中の微粒子状物質前駆体の量がまた、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、もしくは98%以上を含む50%以上等の30%以上、減少され得る。
【0022】
加えて、方法は、ガス流中の微粒子状物質が減少させられたことを報告することを含む。ある例では、該報告は、ガス流中の微粒子状物質が減少させられたことを音声および/または視覚信号等の表示で、使用者に提供することを含む。報告は、ガス流中の微粒子状物質が減少させられたことを表示することを含み得る。いくつかの場合では、ガス流中の微粒子状物質の量が表示される。所望の場合、ガス流中の微粒子状物質の減少量が表示され得る。
【0023】
ある実施形態では、主題のシステムは、第1の触媒を伴う第1の触媒式排出トラップ、および第2の触媒を伴う第2の触媒式排出トラップを含む。主題の方法は、ガス流を、第1の触媒式排出トラップおよび第2の触媒式排出トラップに接触させることを含み得る。加えて、第2の排出トラップは、第1の排出トラップより上流へ位置され得る。「上流」は、ガス流等の流体流の源に隣接し位置することを意味する。「下流」は、流体流の源より遠位に位置することを意味する。対応して、いくつかの場合では、主題の方法は、第2の排出トラップにガス流を接触させ、続いてガス流を、第1の排出トラップに接触させることを含む。他の実施形態では、第1の排出トラップが、第2の排出トラップより上流に位置される。対応して、これらの場合では、主題の方法は、ガス流を、第1の排出トラップに接触させ、続いて第2の排出トラップにガス流を接触させることを含む。
【0024】
加えて、主題のシステムのある実施形態は、排出トラップのガス毎時空間速度が、毎時1,000〜毎時100,000を含む毎時200〜毎時150,000等の毎時200〜毎時300,000までの範囲であることを含む。システムが第1の排出トラップおよび第2の排出トラップを含む実施形態では、トラップのガス毎時空間速度は、実質的には同一である。他の場合では、第1および第2の排出トラップのガス毎時空間速度は異なり得る。例えば、第1の排出トラップのガス毎時空間速度は、毎時10,000〜毎時35,000を含む毎時3,000〜毎時50,000等の毎時200〜毎時100,000までの範囲で有り得る、例えば、毎時20,000〜毎時35,000である。いくつかの場合では、第2の排出トラップ範囲のガス毎時空間速度は、毎時10,000〜毎時100,000を含む毎時1,000〜毎時100,000等の毎時200〜毎時300,000までの範囲である、例えば毎時30,000〜毎時90,000、もしくは毎時60,000〜毎時90,000である。
【0025】
ある実施形態では、方法は、ガス流中の微粒子状物質の量に基づき、ガス毎時空間速度を調整するためのステップをさらに含む。いくつかの例では、方法はさらに、ガス流中の微粒子状物質前駆体の量に基づき、ガス毎時空間速度を調整するためのステップを含む。いくつかの場合では、方法は、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の量に基づき、ガス毎時空間速度を調整するためのステップを含む。ある量(例えば、乾燥標準立方フィート当たり0.001粒子(gr/dscf)以上、乾燥標準立方メートル当たり0.0353粒子(gr/dsm))、ガス流中の微粒子状物質および/または微粒子状物質前駆体の濃度が上昇する場合、次いで方法は、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の、より効率的な減少を促進するため、ガス流のガス毎時空間速度を減少させることを含み得る。反対に、ある量(例えば、0.001gr/dscf(0.0353gr/dsm)以上)、ガス流中の微粒子状物質および/または微粒子状物質前駆体の濃度が減少した場合、次いで、該方法は、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の効率的な減少を、なお維持すると同時に、ガス流のガス毎時空間速度を上昇させることを含み得る。ある実施形態では、微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の排出における減少の目標値が所望される。方法は、微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の排出における減少の目標値が達成できるように、ガス流のガス毎時空間速度を調整することを含み得る。
【0026】
ある例では、方法は、ガス流中の硫黄酸化物の濃度に基づき、ガス流のガス毎時空間速度を調整することを含む。例えば、ガス流中の硫黄酸化物の量が上昇する場合、次いで、方法は、ガス流のガス毎時空間速度を減少させることを含み得る。いくつかの場合では、ガス流のガス毎時空間速度の減少は、ガス流中の硫黄酸化物の濃度を、所望の目標値で、またはそれ以下で、維持することを促進する。代替的に、ガス流中の硫黄酸化物の量が減少する場合、次いで、方法は、ガス流中のガス毎時空間速度を上昇させることを含み得る。所望の場合、ガス流のガス毎時空間速度は、ガス流中の硫黄酸化物の濃度を所望の目標値で、またはそれ以下で、維持すると同時に、上昇させられ得る。
【0027】
ある実施形態では、方法は、ガス流を、ガス流の源からのガス流の温度を調整すること無しで、触媒に接触させることを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、該触媒にガス流を接触させる前に、ガス流の温度を調整することを含む。触媒より上流のガス流の温度が、所望の温度または温度の範囲よりも高い場合、次いで、該調整は、ガス流の温度を、所望の温度または温度の範囲に減少させることを含む。例えば、ガス流の温度を減少させることは、ガス流の圧力を減少させること、熱交換器にガス流を接触させること等を含むが、それらに限定されない。触媒より上流のガス流が、所望の温度または温度の範囲よりも低い場合、調整することは、ガス流の温度を、所望の温度または温度の範囲まで高めることを含む。例えば、ガス流の温度を高めることは、ガス流の圧力を上昇させること、熱交換器にガス流を接触させること等を含むが、それらに限定されない。いくつかの例では、ガス流の温度は、200℃〜450℃を含む150℃〜500℃等の50℃〜550℃までの範囲で有り得る、例えば260℃〜400℃である。ある例では、方法は、これらの範囲内に温度が降下するように、初期ガス流の温度を調節することを含む。
【0028】
主題の方法のさらなる実施形態では、ガス流中の微粒子状物質が減少させられた量を確認するためのステップは、微粒子状物質および/または微粒子状物質前駆体の存在、または不在に対し、ガス流を試験することを含む。いくつかの例では、該確認は、サンプルプローブ、加熱サンプルライン、加熱フィルタ、および一連のインピンジャーを含む米国環境保護局(EPA)方法5(連邦規則集第40編第60部、別表A−3を参照されたく、http://www.epa.gov/ttn/emc/promgate.htmlでオンライン利用可能)を使用し、ガス流を試験することを含む。ある場合では、該確認は、測定における粗微粒子状物質の量を減少させる慣性分離装置を含む、米国環境保護局(EPA)方法201A(連邦規則集第40編第51部、別表Mを参照されたく、http://www.epa.gov/ttn/emc/promgate.htmlでオンライン利用可能)を使用し、ガス流を試験することを含む。いくつかの場合では、確認は、凝縮無機化合物および凝縮有機化合物を試験するように構成され得る、米国環境保護局(EPA)方法202(連邦規則集第40編第51部、別表Mを参照されたく、http://www.epa.gov/ttn/emc/promgate.htmlでオンライン利用可能)を使用し、ガス流を試験することを含む。
【0029】
ある実施形態では、主題の方法は、実時間でガス流中の微粒子状物質の量を測定することを含む。本明細書で使用される「実時間で測定」および「実時間測定」という用語は、互換可能であり、パラメータが発生する際、またはそのすぐ後、パラメータを測定することを指す。いくつかの場合では、主題の方法およびシステムは、ガス流中の微粒子状物質の量の連続的実時間測定を提供する。
【0030】
ある実施形態では、該方法は、触媒式排出トラップを再生することを含む。所望の場合、再生は、吸着剤を再生することを含む。再生は、再生ガス流に吸着剤を接触させることを含み得る。いくつかの場合では、再生ガス流に吸着剤を接触させる前、ガス排出流の流れから吸着剤が実質的に除去される。該吸着剤は、ガス排出流の流れから実質的に除去され得る。「実質的」とは、98%以上を含む95%以上等の、80%以上、85%以上、90%以上を意味し、例えば、99%以上のガス排出流の流れを、排出トラップに接触させることを防ぐ。所望の場合、ガス排出流の流れから触媒式排出トラップを除去することは、ガス排出流の流れを運ぶ導管から、触媒式排出トラップを除去することを含む。例えば、触媒式排出トラップは、ガス排出流の流れから、触媒式排出トラップを直線平行移動(例えば、滑走、隆起、降下等)、または回転(例えば、ルーバー状に回転、片持ち梁状に回転等)させることにより、ガス排出流の流れを運ぶ導管から除去され得る。
【0031】
ある例では、ガス排出流の流れから触媒式排出トラップを除去することは、ガス排出流の流れから触媒式排出トラップを実質的に分離することを含む。分離は、例えば、触媒式排出トラップから上流に位置する第1の流量調整器を閉めること、および触媒式排出トラップから下流に位置する第2の流量調整器を閉めることによって、達成することができる。流量調整器は、ダンパー、弁等を含むが、それらに限定されない。いくつかの場合では、流量調整器は、ダンパーである。所望の場合、方法は、触媒式排出トラップから上流に位置する上流ダンパーを閉めることと、触媒式排出トラップから下流に位置する下流ダンパーを閉めることと、を含む。ある例では、再生ガス流の流れは、ガス排出流の流れと同方向にある。代替として、再生ガス流の流れは、ガス排出流の流れと逆方向で有り得る。再生ガス流は、ガス排出流の流速よりも遅い流速を有し得る。例えば、再生ガス流の流速は、ガス排出流の流速の5%以下または1%以下を含む10%以下等の、ガス排出流の流速の25%以下で有り得る。
【0032】
いくつかの場合では、再生ガス流は、ガス流を減少させることを含む。「ガス流を減少させる」は、還元ガス流と接触する、1つ以上の化合物が減少され得るように、ガス流が還元性雰囲気を提供することを意味する。例えば、以下で説明されるように、吸着剤は、ガス排出流からNO等の微粒子状物質前駆体の吸着を促進し得る。いくつかの場合では、吸着剤は、NOがガス排出流から吸着する際、KNOおよびKNOに転換し得るKCOを含む。吸着剤の再生は、KNOおよびKNOから、KCOを再生することを含み得る。ある例では、吸着剤の再生が、以下の反応により発生することができる。
【0033】

KNO+KNO+CO+4H→KCO+4HO+N

KNO+KNO+CH→2KOH+N+CO+HO→KCO+N+2H

ある実施形態では、再生ガス流は、天然ガス、合成ガス、メタン、プロパン、ディーゼル燃料、その混合物等を含むが、それらに限定されない炭化水素を含む。炭化水素は、メタン、CHを含み得る。再生ガス流は、1%〜15%のCH、1%〜10%のCHを含む1%〜20%のCH等の0.5%〜25%のCHを含み得る、例えば1%〜5%のCHである。いくつかの場合では、再生ガス流は、水素を含む。再生ガス流は、2%〜4%のHを含む1%〜5%のH等の1%〜10%のHを含み得る。再生ガス流は、触媒式排出トラップと接触する前に混合され得る。いくつかの実施形態では、炭化水素の流れおよび蒸気の流れが、吸着剤に再生ガス流を接触させる前に再生ガス流を提供するため混合される。
【0034】
ある例では、方法は、混合ステップの前に、炭化水素流中の硫黄の濃度を減少させることを含む。炭化水素流中の硫黄の濃度は、硫黄トラップ、硫黄スクラバ等に、炭化水素流を接触させることによって減少させられ得る。いくつかの場合では、再生ガス流中の硫黄の濃度は、30ppm以下を含む50ppm以下等の100ppm以下である、例えば、20ppm以下、または10ppm以下である。
【0035】
いくつかの例では、該方法は、触媒式排出トラップに再生ガス流を接触させる前に、再生ガス流中の炭化水素をHに転換することを含む。炭化水素をHに転換することは、炭化水素をHに再編成させる蒸気を含み得る。CH等の炭化水素をHへと変化させる蒸気の再編成は、以下の反応により実行され得る。
【0036】

CH+2HO→CO+4H(理論)

CH+100HO→CO+4H+98HO(搬送ガスとして蒸気を伴う)

再生ガス流はさらに、蒸気等の水を含み得る。該蒸気は、加熱蒸気で有り得る。例えば、蒸気は、400℃〜500℃を含む250℃〜550℃等の150℃〜600℃までの範囲を有し得る。いくつかの場合では、蒸気は、450℃の温度を有する。蒸気は、90kPa〜110kPaを含む75kPa〜125kPa等の50kPa〜150kPaまでの範囲である圧力を有し得る。ある例では、蒸気は、100kPaの圧力を有する。ある実施形態では、蒸気は、1,000lb(450kg)/時間〜7,000lb(3150kg)/時間を含む750lb(338kg)/時間〜8,000lb(3600kg)/時間等の500lb(225kg)/時間〜10,000lb(4500kg)/時間までの範囲である流速を有する。炭化水素の流速は、120標準立方フィート毎時(scfh)(3.396標準立方メートル毎時(smh))〜800scfh(22.64(smh))を含む100scfh(2.83(smh))〜1,000scfh(28.3(smh))等の50scfh(1.42(smh))〜1,500scfh(42.5(smh))までの範囲で有り得る。いくつかの場合では、蒸気流速と炭化水素流速との比率は、7:1〜9:1を含む5:1〜10:1等の2:1〜15:1までの範囲である。所望の場合、蒸気流速と炭化水素流速との比率は、8.5:1である。
【0037】
いくつかの場合では、吸着剤は、ガス排出流からSOを吸着するように構成される。ある例では、SOが、SOへと酸化され、吸着剤により吸着され得る。ガス排出流からのSOの吸着は、SO吸着剤複合体を形成するため、以下の反応により、発生し得る。
【0038】

SO+1/2O+吸着剤→SO吸着剤

吸着剤の再生は、SO吸着剤複合体から吸着剤を再生することを含み得る。ある例では、吸着剤の再生は、以下の反応より、発生できる。
【0039】

SO吸着剤+H→吸着剤+SO+H

所望の場合、再生されたSOは、硫黄トラップ、硫黄スクラバ等に再生ガス流を接触させることにより、再生ガス流から除去される。再生ガス流からSOを除去することは、ある例では、使用された再生ガスの容積が、排出トラップに接触したガス排出流の容積よりも小さいため、ガス流からのSOのより効率的な除去が、促進され得る。
システム
ガス流からの微粒子状物質の排出を減少させるためのシステムが提供される。主題のシステムの実施形態は、触媒、すなわち触媒式排出トラップを含む、少なくとも1つの排出トラップを含む。触媒式排出トラップは、ガス流がトラップを通って流れる際、触媒にガス流が接触するように構成される。いくつかの場合では、触媒式排出トラップは、ガス流中で微粒子状物質を、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または98%以上を含む50%以上等の30%以上、減少する。触媒式排出トラップは、ガス流中で微粒子状物質前駆体を、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または98%以上を含む50%以上等の30%以上、減少する。
【0040】
ある実施形態では、主題のシステムはまた、微粒子状物質インジケータを含む。所望の場合、微粒子状物質インジケータは、ガス流中の微粒子状物質の量を、使用者へ報告する。いくつかの場合では、微粒子状物質インジケータは、微粒子状物質が減少させられたことを使用者へ報告する。微粒子状物質インジケータは、結果を使用者へ出力する。該結果は、ガス流中の微粒子状物質が減少させられた量を含み得る。
【0041】
主題のシステムの実施形態では、ガス流中の種々の微粒子状物質を捕獲、およびその量の減少を提供する。ある実施形態では、主題のシステムは、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の減少を提供する。システムは、粒子状物質の量を減少させるように構成され得、微粒子状物質は、10μm以下の平均直径を有する。いくつかの場合では、システムが、粒子状物質の量を減少させるように構成され、微粒子状物質は、2.5μm以下の平均直径を有する。加えて、該システムは、粒子状物質の量を減少させるように構成され、微粒子状物質は、1μm以下の平均直径を有する。
【0042】
ある実施形態では、主題のシステムは、ガス流の源を含む。加えて、システムは、ガス流の流れを運ぶように構成された導管を含み得る。ガス流は、粒子状物質を含み得る。いくつかの場合では、ガス流は、エンジン、燃焼エンジン、レシプロ内燃エンジン、内燃タービン、事業用ボイラー、工業ボイラー等を含むが、それらに限定されない燃焼源からの排出流である。いくつかの場合では、ガス流は、例えば、三酸化硫黄(SO)、二酸化硫黄(SO)等の硫黄酸化物を含むが、それらに限定されない、炭化水素(例えば、凝縮炭化水素)、および微粒子状物質前駆体等の微粒子状物質を含む、燃焼ガス流である。
【0043】
上述のように、燃焼源は、タービンであり得る。ある実施形態では、主題のシステムは、タービンからのガス排出流が、例えば、ガス流が排出トラップを通って流れる際、3インチ(76.2mm)HO以下である、5インチ(127mm)HO以下を含む10インチ(254mm)HO以下等の15インチ(381mm)HO以下の圧力低下を有するように構成される。他の実施形態では、主題のシステムが、内燃エンジンからのガス排出流が、例えば、ガス流が排出トラップを通り流れる際、5psi(34470Pa)以下を含む10psi(68940Pa)以下である25psi(172350Pa)以下を含む50psi(344700Pa)以下等の100psi(689400Pa)以下の圧力低下を有するように、構成される。
【0044】
ある実施形態では、該システムは、ガス流を運ぶ導管中に位置する触媒式排出トラップを含む。ある例では、ガス流は、触媒にガス流が接触する排出トラップを含むシステムを通って流れる。いくつかの場合では、排出トラップは、毎時1,000〜毎時100,000を含む毎時200〜毎時150,000等の毎時200〜毎時300,000までの範囲であるガス毎時空間速度に対応するように構成される。例えば、排出トラップは、毎時10,000〜毎時35,000を含む毎時3,000〜毎時50,000等の毎時200〜毎時100,000までの範囲であるガス毎時空間速度に対応するように構成され得る、例えば、毎時20,000〜毎時35,000である。いくつかの場合では、排出トラップは、毎時10,000〜毎時100,000を含む毎時1,000〜毎時100,000等の毎時200〜毎時300,000、までの範囲であるガス毎時空間速度に対応するように構成される、例えば、毎時30,000〜毎時90,000、または毎時60,000〜毎時90,000である。
【0045】
ある実施形態では、該システムは、制御装置を含む。制御装置は、ガス流のガス毎時空間速度を制御するように構成され得る。所望の場合、該制御装置は、ガス流の微粒子状物質および/または微粒子状物質前駆体組成物により、ガス流のガス毎時空間速度を調整するように構成される。例えば、ガス流中の微粒子状物質および/または微粒子状物質前駆体の濃度は、特定の量(例えば、0.001gr/dscf(0.0353gr/dsm)以上)上昇し、次いで制御装置は、ガス流のガス毎時空間速度を減少させ得る。いくつかの場合では、ガス流のガス毎時空間速度を減少させることは、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体のより効率的な減少を促進する。反対に、ガス流中の微粒子状物質および/または微粒子状物質前駆体の濃度が、特定の量(例えば、0.001gr/dscf(0.0353gr/dsm)以上)減少する場合、制御装置は、ガス流のガス毎時空間速度を上昇させ得る。いくつかの場合では、排出トラップが、ガス流中の微粒子状物質および微粒子状物質前駆体の効率的な減少をなお維持すると同時に、ガス流のガス毎時空間速度が上昇させられる。
【0046】
幾つかの実施形態において、コントローラは触媒排出トラップの再生を制御するように構成される。コントローラは排出トラップより下流に位置されるセンサから入力を受け取ることがある。センサはガス流における一つ以上の排出濃度を検知するように構成され、例として微粒子状物質、微粒子状物質の前駆体、NO、SO、炭化水素等が挙げられるがそれらに限られない。幾つかの場合において、システムは並行に配置される2つ以上の排出トラップを含む。各排出トラップは、その排出トラップより下流に位置されるセンサを有してもよく、それによって各排出トラップより下流の箇所にて他の排出トラップと別に、ガス流における一つ以上の排出濃度を検知可能である。希望に応じて、コントローラはガス流における一つ以上の排出濃度を閾値と比較するように構成される。幾つかの場合において、ガス流における一つ以上の排出濃度が閾値より高い場合、コントローラは排出が閾値を超えた排出トラップの再生を開始させる。それとも、コントローラは、希望の時間で排出トラップがガス排出流と接触した後に、排出トラップを再生するように構成されても良い。
【0047】
対象システムの触媒排出トラップは触媒を含む。幾つかの実施形態において触媒は基板に塗布される。排出トラップは、さらに、同じく基板に塗布される吸着体を含み得る。幾つかの実施形態においては、触媒および吸着体が基板上で均一に分散される。幾つかの場合において、排出トラップは、さらに、同じく基板に塗布されるウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは、最初に基板に塗布され、その後、存在する場合は触媒および吸着体も塗布される。別の場合においては、最初にウォッシュコートおよび触媒が組み合わせられ、それから基板に塗布され、存在する場合は、吸着体も塗布される。
【0048】
幾つかの実施形態において、対象システムは一つ以上の触媒排出トラップを含む。これらのトラップは直列または並列に配置してもよい。例えば、システムは第1の触媒を含む第1の排出トラップおよび第2の触媒を含む第2の排出トラップを含み得る。幾つかの場合において、第1の排出トラップおよび第2の排出トラップが直列に配置される。第1の排出トラップは第2の排出トラップの上流に位置してもよい。別の実施形態においては、第2の排出トラップが第1の排出トラップの上流に位置される。ガス流は最初に上流の排出トラップを介し流れ、次にいずれかの下流の排出トラップを介し流れる。幾つかの場合において、ガス流は最初に上流の排出トラップ内の触媒に接触し、次に下流の排出トラップ内の触媒に接触する。
【0049】
幾つかの実施形態において、触媒排出トラップは直列かつ並列に配置され、それによってガス流は2つ以上の並列となる行の排出トラップを介し流れ、各行は1つ以上の直列となる排出トラップを含む。幾つかの場合において、前述の1つ以上のトラップの全ては触媒、吸着体およびウォッシュコートの同一の組成を含む。別の場合においては、前述の1つ以上のトラップは触媒、吸着体およびウォッシュコートの異なる組成を含む。例えば、第1のトラップおよび第2のトラップは直列に配置してもよく、第1のトラップは触媒、吸着体およびウォッシュコートの第1の組成を含み、第2のトラップは触媒、吸着体およびウォッシュコートの同一の組成を含む。別の実施例においては、第1のトラップおよび第2のトラップは直列に配置してもよく、第1のトラップは触媒、吸着体およびウォッシュコートの第1の組成を含み、第2のトラップは触媒、吸着体およびウォッシュコートの異なる組成を含む。以下、触媒、吸着体およびウォッシュコートの実施形態がより詳細に説明される。
【0050】
幾つかの実施形態において、システムは触媒排出トラップの再生を可能にするように構成される。例えば、システムは吸着体の再生を可能にするように構成されることがある。上記のように、触媒排出トラップはガス排出流の流れから実質的に取り除いても良い。希望に応じて、触媒排出トラップは、ガス排出流の流れを運搬する導管から触媒排出トラップを取り除くことによって、ガス排出流の流れから取り除いてもよい。幾つかの場合において、触媒排出トラップはガス排出流の流れから実質的に分離してもよい。つまり、システムは分離可能な触媒排出トラップを含み得る。分離可能な触媒排出トラップの実施形態はガス排出流が触媒排出トラップに接触することが実質的にないように構成されてもよい。その代わりに、分離可能な触媒排出トラップは、再生ガス流が触媒排出トラップを介し流れると再生ガス流が吸着体に接触するように構成されてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態において、分離可能な触媒排出トラップは、分離可能な触媒排出トラップをガス排出流の流れから実質的に分離するように構成される1つ以上の流量調整器を含む。希望に応じて、分離可能な触媒排出トラップは、触媒排出トラップの触媒および吸着体の上流に位置される第1の流量調整器および触媒排出トラップの触媒および吸着体の下流に位置される第2の流量調整器を含む。流量調整器は、ダンパー、弁等を含み得るが、それらに制限されない。幾つかの場合において、流量調整器がダンパーである。システムの実施形態は触媒排出トラップをガス排出流の流れから実質的に分離するように構成される1つ以上のダンパーを含み得る。例えば、システムは、触媒排出トラップの上流に位置され、閉鎖位置時にガス排出流から排出トラップを実質的に密閉するように構成される上流ダンパーを含み得る。さらに、システムは、触媒排出トラップの下流に位置され、閉鎖位置時にガス排出流の流れから排出トラップを実質的に密閉するように構成される下流ダンパーを含み得る。
【0052】
上流ダンパーおよび下流ダンパーが閉鎖位置にある場合、触媒排出トラップはガス排出流の流れから実質的に密閉されることがある。吸着体を触媒排出トラップがガス排出流の流れから実質的に分離される後に再生ガス流に接触させてもよい。上記のように、システムは2つ以上の並列となる排出トラップの行を含んでもよく、各行は直列となる1つ以上の排出トラップを含む。排出トラップの並列となる各行はそれぞれの導管に位置してもよい。幾つかの場合において、システムは、前述の排出トラップの2つ以上の並列となる各行に対して上流ダンパーおよび下流ダンパーを含む。排出トラップの各行に対する上流ダンパーおよび下流ダンパーは、独立して制御し得る。希望に応じて、排出トラップの各行は、他の排出トラップの行と別に、ガス排出流の流れから独立して実質的に分離し得る。幾つかの場合において、システムは、他の排出トラップの行と別に、排出トラップの各行を独立して再生するように構成される。ガス排出流の流れは再生ガス流と接触していない排出トラップによって維持可能である。
【0053】
幾つかの実施形態において、ダンパーは一枚以上のダンバー羽根を含む。ダンパー羽根は、ダンパー羽根を開放位置から閉鎖位置に移動可能であるように軸の周りに回転する、または互いにその反対のように構成されてもよい。例えば、ダンパーは、単羽根ダンパー、バタフライダンパー、多羽根ダンパー等として構成されてもよい。開放位置において、ダンパー羽根の断面積はガス流の流れに対して実質的に最小化されてもよい。代替的に、閉鎖位置において、ダンパー羽根の断面積はガス流に対して実質的に最大化されてもよい。ダンパー羽根が閉鎖位置にある場合、ダンバー羽根はガス排出流の流れから排出トラップを実質的に密閉することがある。
【0054】
幾つかの場合において、ダンパー羽根は使用時に変形に対して耐性があるように構成される。例えば、ダンパー羽根は、例として数週間、数ヶ月および数年間で実質的な変形がない場合のように、使用の長期間に渡って変形に対して耐性があるように構成されてもよい。幾つかの場合において、変形に対して耐性があるダンパー羽根は、使用の長期間に渡ってダンパーを開放したり閉鎖したりする多数のサイクルの場合でもしっかりとした密閉を維持することを可能にする。ダンパー羽根は平面ダンパー羽根として構成されるか、または三角、正方形、長方形、台形等の形状の断面を有するように構成されてもよい。ダンパー羽根は高温度、腐食気体、腐食液体等の厳しい条件に露出させられても実質的な構造劣化、分解、または腐食はないことがある。幾つかの場合において、ダンパー羽根はステンレス鋼等からなる。
【0055】
幾つかの実施形態において、システムはダンパーに操作的に接続されるアクチュエータを含む。アクチュエータは状況によって様々な方法で駆動させられてもよい。例えば、アクチュエータは空気圧式アクチュエータ、油圧アクチュエータ、電動アクチュエータ等であってもよい。アクチュエータは、上記詳細な説明のような方法でダンパーを移動させるように構成されても良い。
【0056】
希望に応じて、システムは1つ以上のシールを有する。シールは、ガス排出流の流れから分離可能な触媒排出トラップを実質的に密閉するように構成されても良い。幾つかの実施形態において、シールは、流量調整器上に位置され、ガス排出流の流れから流量調整器を実質的に密閉するように構成されても良い。幾つかの場合において、シールは、例えばダンバーの周囲に、ダンパー上に位置される。シールは、ダンパーが閉鎖位置にある場合にダンパーが導管の横壁に接触する箇所で導管の横壁に位置されてもよい。幾つかの場合において、シールはダンパーが閉鎖位置にある場合にガス排出流の流れから触媒排出トラップを実質的に密閉するようにダンパーの周りに実質的にしっかりとした密閉を維持することを可能にする。つまり、シールはダンパーが閉鎖位置にある場合にダンパーを介しガス流の漏出が実質的にないことを可能にすることがある。希望に応じて、シールは柔軟なシールである。幾つかの場合において、柔軟なシールは実質的にしっかりとした密閉を維持することを可能にする。対象のシステムに有用なシールは高温度、腐食気体、腐食液体等の厳しい条件に露出させられても実質的な構造劣化、分解、または腐食はないことがある。シールの実施形態は金属シールを含み、例えばInconel(登録商標)金属シール(Huntington,WV製)を挙げるがそれに限られない。
【0057】
幾つかの実施形態において、システムは再生ガス流の源を含む。上記のように、再生ガス流は炭化水素および蒸気を含むことがある。幾つかの場合において、再生ガス流の源は炭化水素改質装置を含む。炭化水素改質装置は、炭化水素をHに蒸気改質するように構成されてもよい。幾つかの場合において、炭化水素は上記のようにCHを含むことがある。炭化水素改質装置は、150°C〜600°Cの範囲内の温度に対応するように構成され、例えば400°C〜500°Cを含み、250°C〜550°Cとしてもよい。炭化水素改質装置は、50kPa〜150kPaの範囲内の圧力に対応するように構成され、例えば90kPa〜110kPaを含み、75kPa〜125kPaとしてもよい。
【0058】
対象のシステムは、さらに一つ以上の送風機を含んでも良い。送風機はシステムを通りガス流の移動を可能にすることがある。幾つかの実施形態において、送風機はシステムを通り再生ガス流の移動を可能にする。送風機は排出トラップの上流に位置してもよい。送風機はシステムを通り再生ガス流を押すように構成されてもよい。例えば、送風機はシステムを通り再生ガス流を下流へ押すように構成されてもよい。幾つかの実施形態において、対象のシステムは一つ以上の排気装置を含む。排気装置はシステムを通りガス流の移動を可能にすることがある。幾つかの場合において、排気装置はシステムを通り再生ガス流の移動を可能にする。排気装置は排出トラップの下流に位置してもよい。排気装置はシステムを通り再生ガス流を引くように構成されてもよい。例えば、排気装置はシステムを通り再生ガス流を下流へ引くように構成されてもよい。幾つかの実施形態において、システムは「プッシュプル」ガス分布システムを含む。プッシュプルガス分布システムは触媒排出トラップの上流に位置される送風機および触媒排出トラップの下流に位置される排気装置を含んでも良い。幾つかの場合において、プッシュプルガス分布システムはシステムを通りガス流の移動を可能にする。例えば、プッシュプルガス分布システムはシステムを通り再生ガス流の移動を可能にしてもよい。プッシュプルガス分布システムは、触媒排出トラップに渡ってガス流の均一分布も可能にしてもよい。幾つかの場合において、プッシュプルガス分布システムは、触媒排出トラップに渡って再生ガス流の均一分布も可能にしてもよい。
【0059】
希望に応じて、プッシュプルガス分布システムはガス排出流の反対方向にシステムを通り再生ガス流を移動させるように構成される。例えば、システムはガス排出流の源に対して上流(つまりガス排出流の源に近位)から下流(つまりガス排出流の源に遠位)への方向にガス排出流の流れを提供するように構成されてもよい。システムはガス排出流の源に対して下流から上流への方向に再生ガス排出流の流れを提供するように構成されてもよい。つまり、システムは再生ガス排出流の源に対して上流(つまり再生ガス排出流の源に近位)から下流(つまり再生ガス排出流の源に遠位)への方向に再生ガス排出流の流れを提供するように構成されてもよい。
【0060】
対象システムの一実施形態を図1に示す。システムは並行に配置される触媒排出トラップ110を含む。ガス排出流120は燃焼発生源から第1のダクト140を介し、出口130から流れる。ガス排出流は第1の熱交換器150に接触する。希望に応じて、第1の熱交換器150はガス排出流からの熱を第1のボイラー170からの蒸気に伝達するように構成される。第1の熱交換器150と接触してから、ガス排出流120は第2のダクト160を通過する。それからガス排出流120は第1のボイラー170に接触する。幾つかの実施形態において、第1のボイラー170はガス排出流120から熱を水等の流体に伝達するように構成される。それからガス排出流120は触媒排出トラップ110に接触する。システムは触媒排出トラップ110の下流に位置される第2の熱交換器190をさらに含んでも良い。第2の熱交換器190は触媒排出トラップ110の下流にあるガス流から熱を水等の流体に伝達するように構成される。希望に応じて、第2の熱交換190は第1のボイラー170に使用される水等の流体を予熱するように構成される。それからガス流はシステムから、または希望に応じて、後の下流排出管理システムへ流れる。
【0061】
ガス排出流中の粒子物質を減少させる一実施形態の対象システムが図2に示される。図2に示されるように、システムは導管201および202の夫々に位置される2つの並行となる排出トラップの行を含む。排出トラップをガス排出流203と接触させてもよい。導管201および202は夫々に直列となる4つの排出トラップを含んでもよい。幾つかの実施形態において、導管201にある3つの下流排出トラップ204は第1の触媒を含み、導管201にある上流排出トラップ205は第2の触媒を含む。第1の触媒および第2の触媒の組成が異なってもよい。同様に、導管202にある3つの下流排出トラップ214は第1の触媒を含み、導管202にある上流排出トラップ215は第2の触媒を含んでもよい。システムは入口分離ダンパー206および出口分離ダンパー207も含む。導管202の入口分離ダンパーおよび出口分離ダンパーは双方とも開放位置にあるのでガス排出流203は排出トラップ215および214に接触可能である。導管201の入口分離ダンパーおよび出口分離ダンパーは双方とも閉鎖位置にあるので、排出トラップ204および205はガス排出流の流れから分離され、排出トラップ204および205は再生ガス流と接触可能である(図3参照)。図2には、再生ガス入口208および再生ガス出口209も示す。再生ガス流は再生ガス入口208を介し流れ分布バッフル211を含むプレナム210へ流れる。プレナム210および流れ分布バッフル211は排出トラップに渡って再生ガス流の均一分布を可能にする。再生ガス流はプレナム210から導管201へ流れ、排出トラップ204および205に接触し、再生ガス出口209を介し導管201から流れ出る。各導管は専用の入口分離ダンパー、出口分離ダンパーおよび再生ガス流を分布するシステムを有し、それによって排出トラップ204および205は排出トラップ214および215と別に独立して再生可能となる。
【0062】
図3はガス排出流中の粒子物質を減少させる対象システムの一実施形態の概略図である。再生ガス流310の流れパスが示される。再生ガス流310はガス排出流320の流れと反対の方向に排出トラップ315を介し流れる。図3には再生ガス出口350の下流に位置される排気装置330も示される。排気装置330は排出トラップ315を介し再生ガス流310を引っ張るように構成される。再生ガス入口340の上流に、システムは排出トラップ315を介し再生ガス流を押すように構成される送風機(非図示)も含んでもよい。システムはシステムを通り再生ガス流を分布するプッシュプルガス分布システムを含んでもよい。再生ガス分布システムは、さらに一つ以上の弁(非図示)を有してもよい。幾つかの実施形態において、再生ガス分布システムは再生ガス入口の近位に位置される入口弁を含む。再生ガス分布システムは再生ガス出口の近位に位置される出口弁も含んでもよい。弁はシステムを通り再生ガス流の流れを調整可能にしてもよい。幾つかの実施形態において、弁は実質的に液漏れに耐性があり、弁が閉鎖位置にある場合、液漏れは実質的にない。希望に応じて、弁は米国規格教会・流体制御学会ANSI/FCI 70−2−2006に定められたClass VまたはClass VIの弁座漏れ区分を有してもよい。
【0063】
幾つかの場合において、システムは人間に解読可能な形式でユーザに、データおよび/または結果を出力するためのディスプレイも含む。幾つかの場合において、システムは別の装置と通信するための通信リンクも含み、例えば有線通信リンク(例えば、USB、シリアル、イーサネット、パラレルインターフェース等)または無線通信リンク(例えば、ブルートゥース、802.11、セルラー、赤外線、RF等)を挙げるがそれに限定されない
従来の排出制御システムはNOおよびNOの排出を制御するため、アンモニアまたはアンモニアの前駆体を排気流に混合する。しかしながら、アンモニアスリップとも言われる未反応のアンモニアは、それから排気にも存在する硫黄と反応し粒子物質を生成可能である。対象システムの実施形態はアンモニアまたはアンモニア前駆体を使用しない。幾つかの実施形態において、システムはガス流をアンモニアまたはアンモニア前駆体と接触させずに粒子物質および粒子物質の前駆体の減少を可能にする。
【0064】
幾つかの実施形態において、対象システムは触媒排出トラップを含み、例としてEM、ES、SCONO、SrSCONOおよびSCOSO(全てはEmeraChem,Knoxville,Tennesseeからの市販品である)を挙げるがそれらに限定されない。幾つかの実施形態において、触媒排出トラップは下記の米特許に開示されたように組成され、夫々の開示は参照することによって本明細書に組み込まれる:6,521,196;6,479,022;6,251,347;6,037,307;5,953,911;5,762,885;5,665,321;5,650,127;5,607,650;5,599,758;および5,451,558。
基板
対象システムに使用する基板は、十分な表面積を提供し、システムに使用される触媒、ウォッシュコートおよび吸着体の塗布に対応する様々な基板の種類を含んでもよい。それに、対象システムに有用な基板は高温度、腐食気体、腐食液体等の厳しい条件に露出させられても実質的な構造劣化、分解、または腐食はないことがある。例えば、システムは50°C〜550°C、例えば150°C〜500°Cを有し、200°C〜450°Cを含み、例えば、260°C〜400°Cの温度をガス流に対応するように構成されてもよい。幾つかの実施形態において、基板は金属、例えば、ステンレス鋼、チタン等を含む。幾つかの場合において、基板は酸化物を含み、例えばAl、Si、Zr、Ca、Mg、Hf、Tiの酸化物およびそれらの組み合せ等を挙げるがそれらに限定されない。幾つかの場合において、基板はセラミックを含み、例えばコージライト、ムライト等をあげるがそれらに限定されない。
【0065】
対象システムの実施形態は多孔性構造を有する基板を含む。希望に応じて、多孔性基板はマクロ多孔性構造を有してもよい。幾つかの実施形態において、基板は平方インチにつき100セル〜600セルを有し例えば、平方インチにつき200セル〜300セルを含めて平方インチにつき200セル〜400セルを有する。希望に応じて、基板は平方インチにつき230セルを有してもよい。幾つかの場合において、基板は触媒が基板の表面に塗布された状態でガス流との接触を可能にするように構成される。幾つかの実施形態において、基板はハニカム構造を有するように構成される。
触媒
幾つかの実施形態において、排出トラップにある触媒は貴金属等の金属を含む。金属は白金族の金属、例えば白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムまたはイリジウムであってもよい。幾つかの場合において、触媒は20g/ft(706.7g/m)〜100g/ft(3533.5g/m)の分量の金属を含み、例として30g/ft(1060g/m)〜46g/ft(1625.4g/m)を含めて20g/ft(706.7g/m)〜50g/ft(1766.8g/m)を挙げる。希望に応じて、触媒は白金を含む。幾つかの場合において、触媒は白金および一つ以上の別の白金族の金属、例えばパラジウム、ロジウム、またはパラジウムおよびロジウムの組み合せを含む。幾つかの実施形態において、触媒は白金およびパラジウム、白金およびロジウム、パラジウムおよびロジウム、または、白金、パラジウムおよびロジウムを含む。幾つかの場合において、触媒は白金および50重量パーセント以下のパラジウムを含み、例えば25重量パーセント以下のパラジウムを含めて40重量パーセント以下のパラジウムを含み、例えば10重量パーセント以下のパラジウムを含む。希望に応じて、触媒は白金および50重量パーセント以下のロジウムを含み、例えば25重量パーセント以下のロジウムを含めて40重量パーセント以下のロジウムを含み、例えば10重量パーセント以下のロジウムを含む。別の場合においては、触媒は白金および50重量パーセント以下のパラジウムおよびロジウムを含み、例えば25重量パーセント以下のパラジウムおよびロジウムを含めて40重量パーセント以下のパラジウムおよびロジウムを含み、例えば10重量パーセント以下のパラジウムおよびロジウムを含む。
【0066】
幾つかの実施形態において、触媒は基板に塗布される。先ずウォッシュコートを基板に塗布し、それから触媒を塗布する。幾つかの場合において、触媒は、触媒を塗布する前にウォッシュコートを乾燥させるまたは乾燥させずに塗布される。別の場合においては、触媒およびウォッシュコートを先ず組み合わせてから基板に塗布する。
【0067】
排出トラップは燃焼ガス流において粒子物質の分量を減少するように構成されてもよく、例として炭化水素を挙げるがそれに制限されない。幾つかの場合において、触媒は酸化触媒であってもよい。希望に応じて、触媒はガス流中の炭化水素を酸化することによってガス流中の炭化水素の分量を減少する酸化触媒である。幾つかの場合において、炭化水素はCOに酸化される。幾つかの場合において、酸化触媒はSOをSOに酸化するように構成される。希望に応じて、排出トラップはガス流において粒子物質前駆体の分量を減少するように構成され、例として酸化硫黄を挙げるがそれに限定されない。幾つかの場合において、触媒は還元触媒であってもよい。幾つかの実施形態において、触媒はSOをSOに還元する還元触媒である。
【0068】
上記のように、対象システムは第1の排出トラップおよび第2の排出トラップを含んでもよい。幾つかの実施形態において、第1の排出トラップおよび第2の排出トラップにある触媒の金属負荷は実質的に同一のものである。本明細書に記載される「実質的に同一」および「実質的に同様」という用語は交換可能に用いられ、2つ以上のものまたは値が同じまたはほぼ同じということを意味し、例として98%以上同じまたは99%以上同じということを含めて95%以上同じということを挙げる。別の実施形態においては、第1の排出トラップにある触媒の金属負荷が第2の排出トラップにある触媒の金属負荷と同一ではない。例えば、上流排出トラップ(つまりガス流の源に最も近いものでありガス流が最初に通る排出トラップ)は上記のようにSOをSOに還元する触媒を含んでもよく、また下流排出トラップ(つまりガス流の源により離れたものでありガス流が次に通る排出トラップ)は上記のように炭化水素を酸化する触媒を含んでもよい。別の実施形態においては、第1の排出トラップは炭化水素を酸化する触媒を含み、第2の排出トラップはSOをSOに還元する触媒を含む。
【0069】
幾つかの実施形態において、排出トラップはさらに酸化銅を含む。希望に応じて、排出トラップは例えば0.1g/in(6.1×10g/m)〜0.5g/in(3.1×10g/m)を含めて0.01g/in(6.1×10g/m)〜1g/in(6.1×10g/m)等の0.001g/in(6.1×10g/m)〜5g/in(3.1×10g/m)範囲内の分量で酸化銅を含む。幾つかの場合において、排出トラップは0.2g/in(1.22×10g/m)で酸化銅を含む。
吸着体
対象システムの排出トラップは任意に吸着体を含む。吸着体はシステム内に粒子物質および粒子物質前駆体の保持を可能にすることがある。幾つかの場合において、吸着体に吸着される粒子物質および粒子物質前駆体は脱着される。粒子物質および粒子物質前駆体の脱着は粒子物質および粒子物質前駆体と触媒の接触を可能にすることがある。吸着体は対象システムの排出トラップに含めてもよい。吸着体はアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの組み合せを含んでもよい。吸着体はアルカリ金属炭酸塩、重炭酸アルカリ金属、アルカリ土類金属炭酸塩、重炭酸アルカリ土類金属またはそれらの組み合せであってもよい。例えば、吸着体はKCO、BaCO、NaCO、MgCO、CaCO、それらの組み合せ等を含んでもよい。幾つかの場合において、吸着体はKCOを含む。別の場合においては、吸着体がBaCOを含む。希望に応じて、吸着体はKCOおよびBaCOを含む。
【0070】
幾つかの場合において、吸着体は触媒およびウォッシュコートと実質的に同時に基板に塗布される。別の場合においては、吸着体は触媒およびウォッシュコートを基板に塗布してから基板に塗布される。排出トラップは,例えば0.1g/in(6.1×10g/m)〜0.2g/in(1.22×10g/m)等、0.1g/in(6.1×10g/m)〜0.4g/in(2.44×10g/m)を含めて0.1g/in(6.1×10g/m)〜0.6g/in(3.66×10g/m)等、0.1g/in(6.1×10g/m)〜1g/in(6.1×10g/m)範囲内の分量で吸着体を含んでもよい。幾つかの場合において、排出トラップは0.17g/in(1.04×10g/m)BaCOおよび0.17g/in(1.04×10g/m)KCOを含む。
【0071】
吸着体はガス流と反応し酸化物または水酸化物に変換されることがある。幾つかの場合において、吸着体の、例えば5モル%以下等、10モル%以下を含めて15モル%以下等、20モル%以下が酸化物または水酸化物に変換される。例えば、吸着体はKCOを含み粒子物質前駆体の吸着を可能にする。幾つかの場合において、吸着体はガス排出流からNOを吸着してもよい。例えば、NOは、吸着体により吸着可能であるNOに酸化されてもよい。ガス排出流からNOを吸着することは下記の反応により起こることがある。
【0072】

NO + 1/2 O → NO

NO + KCO → KNO + KNO + CO

幾つかの実施形態において、ガス排出流からSOを吸着することは下記の反応により起こることがある。SOは吸着体により吸着可能なSOに酸化されてもよい。
【0073】

SO + 1/2 O + 吸着体 → 吸着体−SO

ウォッシュコート
幾つかの実施形態において、対象システムの排出トラップは基板に塗布されるウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは酸化アルミニウム(例えば、アルファーアルミナ、ベータアルミナ、エータアルミナ、カイアルミナ、ガンマアルミナ、デルタアルミナ、シータアルミナ)、酸化チタン(例えば、アナターゼ型チタニア、ブルカイト型チタニア、ルチル型チタニア)等の酸化金属を含んでもよいがそれらに限定されない。幾つかの場合において、ウォッシュコートは触媒を塗布する前に基板の表面に塗布される。希望に応じて、触媒を塗布する前にウォッシュコートを乾燥させ、別の場合においては触媒を塗布する前にウォッシュコートを乾燥させない。ウォッシュコートおよび触媒は実質的に同時に基板に塗布してもよい。幾つかの場合において、ウォッシュコートは触媒と組み合わせて混合物を生成し、その混合物を基板に塗布する。混合物は様々な手法を使用し基板に塗布可能であり、例として、スラリーの塗布、吹き付け、浸漬、ゾルゲル法等を挙げるがそれらに限定されない。
【0074】
排出トラップは例えば1g/in(6.1×10g/m)〜2g/in(1.22×10g/m)等、0.5g/in(3.1×10g/m)〜2g/in(1.22×10g/m)を含めて0.1g/in(6.1×10g/m)〜3g/in(1.83×10g/m)等、0.1g/in(6.1×10g/m)〜5g/in(3.1×10g/m)範囲内の分量でウォッシュコートを含んでもよい。幾つかの場合において、排出トラップは1.6g/in(9.76×10g/m)を含む。希望に応じて、ウォッシュコートはガンマアルミナを含む。
【0075】
排出トラップの別の実施形態は、2g/in(1.22×10g/m)〜2.5g/in(1.52×10g/m)等、1g/in(6.1×10g/m)〜3g/in(1.83×10g/m)を含めて1g/in(6.1×10g/m)〜4g/in(2.44×10g/m)等、0.1g/in(6.1×10g/m)〜5g/in(3.1×10g/m)範囲内の分量でウォッシュコートを含んでもよい。幾つかの実施形態において、ウォッシュコートはアナターゼ型チタニアを含む。
【0076】
上記のように、対象システムは1つ以上の排出トラップ、例えば第1の排出トラップおよび第2の排出トラップを含んでもよい。幾つかの場合において第1の排出トラップおよび第2の排出トラップは同一のウォッシュコートを有してもよい。代替的に、第1の排出トラップおよび第2の排出トラップは異なるウォッシュコートを有してもよい。第2の排出トラップは第2の排出トラップの上流にあってもよい。この場合は、第1の排出トラップが上記のようにアルミナによるウォッシュコートを含み、第2の排出トラップが上記のようにチタニアによるウォッシュコートを含んでもよい。
有用性
本明細書で理解できるように、本開示のシステムおよび方法はガス流中の粒子物質および粒子物質前駆体の分量を減少することが望ましい様々な異なる用途に応用される。粒子物質または粒子物質前駆体を含むいかなるガス流でも対象システムおよび方法により処理可能である。例えば、対象システムおよび方法は、ガスタービン発電所、コージェネレーション発電所等を含めて発電所からのガス排出流に応用可能である。幾つかの実施形態において、本発明のシステムおよび方法は燃焼発生源からの粒子物質および粒子物質前駆体を含む排出を減少することに応用され、例としてレシプロ内燃機関、固定型内燃機関、内燃タービン、公共用ボイラー、事業用ボイラー等の燃焼機関を挙げるがそれらに限定されない。対象システムおよび方法は粒子物質および粒子物質前駆体を減少するために、これらの燃焼発生源からの燃焼ガス排出等のガス流に適用可能である。
【0077】
対象システムおよび方法はさらに、粒子物質および粒子物質前駆体排出の分量の監視および制御に応用される。上記のように、対象方法は、ガス流中の粒子物質および粒子物質前駆体の減少量を確認することを含む。粒子物質および粒子物質前駆体の減少量を確認することは燃焼発生源からのガス排出の監視を可能にする。さらに、上記のように対象方法は、ガス流中の粒子物質および粒子物質前駆体の濃度によるガス流のガス空間速度の調整を含んでもよい。幾つかの場合において、ガス流のガス空間速度の調整は、ガス流中の粒子物質および粒子物質前駆体分量の制御を可能にする。
【0078】
対象システムおよび方法は、排出トラップの圧力低下を最小化する場合にガス流中の粒子物質および粒子物質前駆体分量の減少にさらに応用される。つまり、対象システムおよび方法は入来ガス流において過度な背圧を生成せずにガス流からの粒子物質および粒子物質前駆体分量の減少に適切に活用可能である。例えば、対象システムおよび方法はタービンの燃焼ガス排出流からの粒子物質および粒子物質前駆体分量の減少に応用されてもよい。希望に応じて対象システムは、ガス流が排出トラップを通るにあたってタービンの圧力低下が、3インチ(76.2mm)以下のHO等、5インチ(127mm)以下のHOを含んで15インチ(381mm)以下のHO等、10インチ(254mm)以下のHOとなるように構成される。
【0079】
上記の開示から理解できるように、本開示は幅広い用途がある。よって、下記の実施例は説明するためとなり、本発明に対していかなる制限としても理解されることを意図されない。当業者は基本的に同一の結果を生み出すために変更または調整できる様々な重要でないパラメータを直ちに理解可能であろう。そのため、下記の実施例は当業者に対して本発明を製造し使用するための完全な開示および説明を提供するために記載され、本発明者が彼らの発明と見なすものの範囲を制限するように意図されず、また下記の実験がすべての実行された実験またはこれらの実験しかされなかった実験と表すように意図されない。記載される数字(例えば分量、温度等)の精度を確かにするように努力したが幾つかの実験誤差および偏差を考慮すべきである。他に記載されない限り、部分は重量部分であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセルシウス度であり、気圧は大気圧またはそれに近い値である。
【実施例】
【0080】
材料および方法
下記の実施例において、試験されるシステムは白金酸化触媒、アルミナによるウォッシュコートおよび炭酸カリウム吸着体を含む触媒排出トラップを含む。
(実施例1)
30MWの天然ガス使用タービンにおける粒子物質(PM)制御を試験した。本試験は、2台のパイプライン天然ガス使用のGE LM2500ガスタービンにて南海岸大気保全管理区法5.2を並行に実行した。第1のタービンは排出制御装置が備えられず、第2のタービンはリーンNOトラップが備えられた。粒子物質排出は全粒子として報告された。結果は下記表1に記載される。
【0081】
【表1】

リーンNOトラップが実装されるおよび実装されない2台の同一のガスタービンから粒子物質排出の比較。排出はg/h単位で報告される。
【0082】
気候の影響を観察するため、またリーンNO触媒トラップの老化の影響を観察するため、表1の2試験が6ヶ月間、別個に行われた。
(実施例2)
5.5MWの二元燃料ガスタービンにおけるPM制御を試験した。天然ガスにより駆動される5.5MWの二元燃料ガスタービンにて3回の一連の試験を実行した。タービンはリーンNOトラップ触媒を備え、前方に硫黄トラップ触媒を備えた。第1の試験において、触媒ユニットに触媒を設置する以前および以後に米国環境保護庁法201Aおよび米国環境保護庁法202によって試料を取得した。第2の試験および第3の試験は約12ヶ月後に実行された。表2は新たなリーンNOトラップ触媒を備えた状態で実行された試験の結果を示す。
【0083】
【表2】

新たなリーンNOトラップ触媒を備えた状態で米国環境保護庁法201Aおよび米国環境保護庁法202によって測定された粒子物質排出。排出はg/h単位で報告する。
【0084】
表3および4はリーンNO触媒の使用開始から6ヶ月後に実行された試験の結果を示す。
【0085】
【表3】

リーンNOトラップを使用し6ヶ月後に測定された粒子物質排出。排出はg/h単位で報告する。
【0086】
【表4】

リーンNOトラップを使用し6ヶ月後に測定された粒子物質排出。排出はg/h単位で報告する。
(実施例3)
200kWケロシン使用ガスタービンにおけるPM制御を試験した。排出は硫黄トラップおよびそれの後ろに置かれたリーンNOトラップ触媒を含む触媒室の前後に同時に測定された。もう一つの一連の試験は、粒子物質の低下が物理的な掃気の結果であるかを判断するためにコーティング無しの触媒基板を使用し実行された。使用した試験プロトコルは懸濁粒子物質しか測定しない米国環境保護庁法201Aであった。結果を下記表5に示す。
【0087】
【表5】

リーンNOトラップ触媒が実装されるおよび実装されない状態の粒子物質排出。排出はg/h単位で報告する。
(実施例4)
43MW天然ガス使用タービンにおけるPM制御を試験した。約50パーセント負荷にて動作中の43MW天然ガス使用タービンにて2つの試験を実行した。触媒室は硫黄トラップおよびその後ろにリーンNOトラップ触媒を含んだ。試験方法としては、試料取得に米国環境保護庁法201Aおよび米国環境保護庁法202、試料分析には南海岸大気保全管理区法5.2を用いた。結果を表6に示す。
【0088】
【表6】

43MW天然ガス使用タービンのリーンNOトラップの前および煙道にて測定された粒子物質排出。排出はg/h単位で報告する。
【0089】
上記の発明は説明および実施例によって明確な理解のために詳細に記載したが、当業者には、本発明の記載を考慮して添付された請求項の意向および範囲から離れず幾つかの変更および調整をそれに実施可能であることが直ちに理解可能であろう。
【0090】
従って、上記の記載は本発明の原理を説明するに過ぎない。当業者は、本明細書に明示的に説明されず示されないが、本発明の原理を具体化しその意向および範囲内に含まれる様々な実施態様を工夫できることが理解可能であろう。尚、本明細書に記載されたすべての実施例および条件文は、本発明の原理および発明者によりその技術の進行へ貢献された概念を読者に理解してもらうためのものであり、当該明示的に記載された実施例および条件に関する限定がないと見なすべきである。尚、本明細書に記載された本発明の原理、側面および実施形態およびそれらの特定の実施例に関する文章はその構造的に均等な物および機能的に均等な物を網羅するように意図される。さらに、当該均等物が、既知の均等物および今後開発される均等物を含み、つまり構造を問わず同一の機能を果たす開発されたいかなる要素でも含む。従って、本発明の範囲は本明細書に例として示され説明された実施形態に制限するように意図されない。その代わりに本発明の範囲および意向は添付された請求項により具体化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流中の微粒子状物質を減少させるための方法であって、前記方法は、
触媒を含む触媒式排出トラップに前記ガス流を接触させることであって、前記ガス流中の微粒子状物質が30%以上減少させられる、接触させることと、
微粒子状物質が減少したことを報告することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、第1の触媒を含む第1の触媒式排出トラップ、および第2の触媒を含む第2の触媒式排出トラップに前記ガス流を接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス流中の微粒子状物質の量に基づき、前記ガス流のパラメータを調整することをさらに含み、前記パラメータが、前記ガス流のガス毎時空間速度である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス流中の微粒子状物質が減少させられた量を確認することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒式排出トラップを再生することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再生が、触媒式排出トラップを再生ガス流と接触させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アンモニアまたはアンモニア前駆体が前記ガス流に添加されない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ガス流中の微粒子状物質を減少させるためのシステムであって、前記システムは、
微粒子状物質を含むガス流の源と、
触媒を含む触媒式排出トラップであって、前記ガス流が前記触媒式排出トラップを通って流れる際に、前記ガス流が前記触媒と接触するように構成され、前記ガス流中の微粒子状物質が30%以上減少させられる、触媒式排出トラップと、
使用者へ結果を出力するための微粒子状物質インジケータであって、前記結果が、前記ガス流中の微粒子状物質が減少させられた量である、微粒子状物質インジケータと
を備えるシステム。
【請求項9】
前記システムが、第1の触媒を含む第1の触媒式排出トラップと、第2の触媒を含む第2の触媒式排出トラップと、を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記触媒式排出トラップが、吸着剤(sorber)およびウォッシュコートをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記ガス流の前記源が、燃焼源である、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記微粒子状物質が、微粒子状物質および微粒子状物質前駆体を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記ガス流中の微粒子状物質の量に基づき、前記ガス流の前記ガス毎時空間速度を調整するように構成される制御装置をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記触媒式排出トラップが、分離可能な触媒式排出トラップを備える、請求項8に記載のシステム
【請求項15】
再生ガス流源をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
触媒式排出トラップを再生するためのシステムであって、前記システムは、
再生ガス流源と、
触媒および吸着剤を含む分離可能な触媒式排出トラップと、
前記分離可能な触媒式排出トラップを通って前記再生ガス流源から再生ガス流を移動させるように構成される、プッシュプルガス分配システムと、を備えるシステム。
【請求項17】
前記分離可能な触媒式排出トラップが、
前記触媒および前記吸着剤より上流に位置する第1の流量調整器と、
前記触媒および前記吸着剤より下流に位置する第2の流量調整器と
を備える、請求項14〜16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の流量調整器が第1のダンパーを備え、前記第2の流量調整器が第2のダンパーを備え、前記第1のダンパーおよび前記第2のダンパーは、前記分離可能な触媒式排出トラップをガス排出流の流れから分離するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記分離可能な触媒式排出トラップを、実質的に密封するように構成されたシールをさらに備える、請求項14〜18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記プッシュプルガス分配システムが、ガス排出流の流れの逆方向に、前記分離可能な触媒式排出トラップを通って前記再生ガス流を移動させるように構成される、請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−507399(P2012−507399A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534823(P2011−534823)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/062847
【国際公開番号】WO2010/051491
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511106031)エメラケム エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】EMERACHEM,LLC
【Fターム(参考)】