説明

ガス用ソケット

【課題】 ソケットの接続筒の当接面とこれに押圧接触するプラグのテーパ面との間に塵埃等に起因する隙間が発生し、その隙間からガスが漏れたとしても、ソケットの外部にガスが漏れることを防止することができるガス用ソケットを提供する。
【解決手段】本体部2Aの右端部内周面には、当該内周面とプラグ10の外周面との間を気密に封止する第1シール部材21を設ける。本体部2Aの右端部外周面には、当該外周面と操作筒5の内周面との間を気密に封止する第2シール部材22を設ける。操作筒5の外周面には、当該外周面とカバー部2Bの内周面との間を気密に封止する第3シール部材23を設ける。本体部2Aの外周面には、当該外周面とカバー部2Bの内周面との間を気密に封止する第4シール部材24を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば日本工業規格に規定されたガス用迅速継手のプラグが接続されるガス用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガス用ソケットは、下記非特許文献1に記載されているように、貫通孔を有するソケット本体と、貫通孔内の一端部に待機位置と接続位置との間を移動可能に設けられた接続筒と、この接続筒を接続位置から待機位置に向かって付勢する第1コイルばね(第1付勢部材)と、ソケット本体の一端部外周に解除位置と係合位置との間を移動可能に設けられた操作筒と、この操作筒を解除位置から係合位置に向かって付勢する第2コイルばね(第2付勢部材)とを備えている。ソケット本体の一端部には、その外周面から貫通孔の内周面まで貫通する収容孔が形成されている。この収容孔には、球体(係合部材)が移動可能に収容されている。この球体は、その外径が収容孔の長さより大径であり、接続筒が待機位置に位置しているときには、内側の端部が接続筒の外周面に接触し、外側の端部がソケット本体の外周面から外部に突出している。そして、ソケット本体から突出した球体の外側の端部が操作筒に係合することにより、操作筒が第2コイルばねの付勢力に抗して解除位置に位置させられている。
【0003】
接続筒が待機位置に位置し、かつ操作筒が解除位置に位置した状態において、貫通孔にプラグを挿入すると、プラグの先端面が接続筒に突き当たり、接続筒を第1コイルばねの付勢力に抗して待機位置から接続位置へ移動させる。接続筒が接続位置に達すると、球体がプラグの外周面に形成された係合凹部と対向する。すると、球体が第2コイルばねの付勢力により操作筒を介して内側へ移動させられて係合凹部に係合する。これと同時に、操作筒が解除位置から係合位置まで移動させられる。係合位置に移動した操作筒は、球体が収容孔内を外側へ移動することを阻止し、球体が係合凹部に係合した状態を維持する。この結果、プラグがソケットに脱出不能に接続される。プラグがソケットに接続された状態において、操作筒を係合位置から解除位置まで移動させると、球体が外側へ移動可能になり、プラグがソケットから抜き出し可能になる。
【0004】
プラグがソケットに接続された状態においては、プラグの内部が接続筒を介して貫通孔に連通する。この結果、プラグの内部から貫通孔へ、あるいは貫通孔からプラグの内部へガスが供給される。
【0005】
【非特許文献1】日本工業規格 ガス機器用迅速継手(JIS S 2135)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のガス用ソケットにおいては、互いに突き当たる接続筒及びプラグの各先端面に塵埃が付着していると、先端面間に微小の隙間が生じ、その隙間からガスが漏れる。そして、そのガスがソケットから外部に漏れ出てしまう。ところが、従来のガス用ソケットは、このような事態に対して何等の対策も施されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するために、貫通孔を有するソケット本体と、このソケット本体の一端側に位置する上記貫通孔の内部に待機位置とこの待機位置に対して上記ソケット本体の他端側に離間した接続位置との間を移動可能に設けられた接続筒と、この接続筒を上記接続位置から上記待機位置に向かって付勢する第1付勢部材と、上記ソケット本体の一端部外周に解除位置とこの解除位置に対して上記ソケット本体の一端側に離間した係合位置との間を移動可能に設けられた操作筒と、この操作筒を上記解除位置から上記係合位置に向かって付勢する第2付勢部材とを備え、上記ソケット本体の一端部には、その外周面から上記貫通孔の内周面まで貫通する収容孔が形成され、この収容孔には、長さが収容孔より長い係合部材が収容孔の長手方向へ移動可能に設けられ、上記接続筒が上記待機位置に位置しているときには、上記接続筒の外周面が上記係合部材の内側の端部に接触することによって上記係合部材の外側の端部が上記収容孔から外側に突出させられ、この外側に突出した上記係合部材の外側の端部が上記操作筒に係合することによって上記操作筒が上記解除位置に位置させられるガス用ソケットにおいて、上記収容孔より上記ソケット本体の一端側に位置する上記貫通孔の内周面に環状の第1シール部材が設けられ、上記収容孔より上記ソケット本体の一端側に位置する上記ソケット本体と上記操作筒との間にそれらの間を封止する第2シール部材が設けられ、上記収容孔より上記ソケット本体の他端側に位置する上記ソケット本体と上記操作筒との間にそれらの間を封止する第3シール部材が設けられていることを特徴としている。
この場合、上記ソケット本体が、上記貫通孔が形成された本体部と、この本体部の他端部外周に設けられた筒状をなすカバー部とを有し、上記操作筒と上記カバー部との間に上記第2付勢部材が設けられ、上記ソケット本体の他端側に位置する上記操作筒の端部及び上記第2付勢部材が上記ソケット本体の一端側に位置する上記カバー部の端部によって覆われ、上記第3シール部材が、上記本体部の外周面と上記操作筒の内周面との間と、上記カバー部の内周面と上記操作筒の外周面との間とのいずれか一方に設けられていることが望ましい。
上記カバー部が上記本体部と別体に形成され、上記ソケット本体の他端側に位置する上記カバー部の端部が上記本体部の他端部外周に嵌合され、上記本体部と上記カバー部との嵌合部に当該嵌合部を封止する第4シール部材が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、接続筒とプラグとの先端面間からガスが漏れたとしても、そのガスがソケットの内部から外部へ漏れ出ることを第1、第2及び第3シール部材が阻止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図5は、この発明の第1実施の形態を示す。図1及び図2に示すように、この実施の形態のガス用ソケット1は、ソケット本体2、接続筒3、第1コイルばね(第1付勢部材)4、操作筒5及び第2コイルばね(第2付勢部材)6を主な構成要素としている。
【0010】
ソケット本体2は、本体部2A及びカバー部2Bを有している。本体部2Aの内部には、貫通孔2aが形成されている。貫通孔2aは、装着孔2b及び取付孔2cを有している。装着孔2bは、その一端部(図1において右端部;以下、左右は各図における左右を意味するものとする。)が開口し、他端部が本体部2Aの左端部に形成された底部2dによって閉じられている。取付孔2cは、底部2dを貫通しており、その右端部が装着孔2bの左端部と連通し、左端部が本体部2Aの外面に開口している。取付孔2cには、接続管7の右端部が回転可能に嵌合されている。接続管7の取付孔2cから突出した左端部には、ゴム管等からなるガス管(図示せず)が接続され、このガス管を介してガス機器が接続される。装着孔2bは、本体部2Aを貫通するように形成してもよい。その場合には、取付孔2cが形成されず、装着孔2bがそのまま貫通孔2aになる。そして、装着孔2bの左端部に接続管7が取り付けられる。
【0011】
本体部2Aの周壁部の右端部には、外周面から装着孔2bの内周面まで貫通する収容孔2eが形成されている。収容孔2eは、一つだけ形成してもよいが、通常は複数形成され、各収容孔が本体部2Aの周方向へ等間隔に配置される。収容孔2eには、球体(係合部材)8が挿入されている。球体8の外径(収容孔2eの長手方向における長さ)は、収容孔2eの内径とほぼ同一に設定されている。したがって、球体8は、左右方向及び本体部2Aの周方向へはほとんど移動不能であるが、収容孔2eの長手方向、つまり本体部2Aの径方向へは移動可能である。しかも、球体8の外径は、収容孔2eの長さ、換言すれば本体部2Aの周壁部の収容孔2eが形成された部分の厚さより大径に設定されている。したがって、本体部2Aの径方向内側における球体8の端縁が装着孔2bの内周面上に位置すると、球体8の外側の端部が本体部2Aの外周面から外側に突出し、球体8の外側の端縁が本体部2Aの外周面上に位置すると、球体8の内側の端部が収容孔2bの内周面から内側に突出する。ただし、収容孔2bの内側の端部の内径が球体8の外径より若干小径になっているので、球体8が収容孔2bから内側に抜け出ることはない。球体8に代えて、収容孔2eの長手方向の両端部が半円状をなす軸部材を用いてもよい。
【0012】
カバー部2Bは、円筒状をなしており、その内部の左側には小径孔部2fが形成され、右側には大径孔部2gが形成されている。小径孔部2fは、本体部2Aの左端部外周面に嵌合固定されている。したがって、カバー部2Bは、製造上可能であるならば、本体部2Aと一体に形成してもよい。大径孔部2gは、本体部2Aの外径より大径であり、大径孔部2gの内周面と本体部2Aの外周面との間には、環状の隙間Sが形成されている。
【0013】
装着孔2bの内部には、接続筒3が挿入されている。接続筒3は、円筒部3A、保持筒部3B及び当接リング3Cを有している。円筒部3Aの右端部外周面には、保持筒部3Bが嵌合固定されている。保持筒部3Bの外周面は、装着孔2bの内周面に摺動可能に接触している。本体部2Aの底部2dには、内筒部2hがその軸線を装着孔2bの軸線と一致させて形成されている。この内筒部2hの外周面には、円筒部3Aの左端部が摺動可能に嵌合している。このようにして接続筒3が装着孔2bに摺動可能に設けられている。内筒部2hの外周面と本体部2Aの内周面との間は、シール部材9によって封止されている。
【0014】
円筒部3Aの右端部外周面と保持筒部3Bの右端部内周面との間には、当接リング3Cが挟持固定されている。当接リング3Cは、比較的硬質のゴム等からなるものであり、その軸線を円筒部3Aの軸線(=装着孔2bの軸線)と一致させて配置されている。当接リング3Cの先端面と内周面との交差部には、環状の当接面3aが形成されている。この当接面3aは、その軸線を当接リング3Cの軸線と一致させて配置されており、断面略四半分の円弧状に形成されている。当接面3aは、右方へ向かって拡径するようにテーパ状に形成してもよい。
【0015】
装着孔2bの内部には、第1コイルばね4が収容されている。第1コイルばね4は、その右端部が円筒部3Aに突き当たり、左端部が底部2dに突き当たっており、接続筒3を右方へ付勢している。円筒部3Aの左端部外周面には、環状突出部3bが形成されている。この環状突出部3bが、装着孔2bの内周面に形成された係合突起2iに突き当たると、それ以上接続筒3が右方へ移動することができなくなって停止する。このときの接続筒3の位置が待機位置である。接続筒3が待機位置に位置しているときには、保持筒部3Bの外周面が球体8の内側の端縁に接触し、当該端縁を装着孔2bの内周面上に位置させる。この結果、球体8の外側の端部が、本体部2Aの外周面から外側へ突出する。待機位置から左方へ所定距離だけ離間した図2に示す位置が、接続位置である。接続筒3が接続位置に位置すると、接続筒3全体が球体8から左方へ離間する。この結果、球体8が本体部2Aの径方向内側へ移動可能になり、球体8の内側の端部が装着孔2bの内周面から内側に突出する。
【0016】
係合突起2iは、次の構成が採用されることにより、本体部2Aの径方向へ変位可能になっている。すなわち、図3〜図5に示すように、本体部2Aの周壁部には、本体部2Aの軸線に沿って互いに平行に延びる二つの平行部と、この平行部の右端部間に設けられた連結部とからなる略「U」字状のスリット2jが形成されている。このスリット2jによって囲まれる舌片部2kは、その右端部が左端部を中心として本体部2Aの径方向へ回動するように弾性変形可能である。しかも、係合突起2iは、舌片部2kのうちの、スリット2jの連結部に隣接する右端部に配置されている。これにより、係合突起2iが本体部2Aの径方向へ変位可能になっている。接続筒3を装着孔2bの右端開口部から挿入すると、環状突出部3bが係合突起2iに突き当たる。そして、係合突起2iを径方向外側へ変位させつつ通過する。環状突出部3bが係合突起2iを通過すると、係合突起2iが元の位置まで弾性的に復帰変位する。したがって、接続筒3が第1コイルばね4によって右方へ移動させられると、環状突出部3bが係合突起2iに突き当たる。ここで、環状突出部3bが係合突起2iを通過するまで接続筒3が装着孔2bに挿入された後には、カバー部2Bが本体部2Aの外周面に外挿され、カバー部2Bの小径孔部2fが環状突出部3bに対応する本体部2Aの外周面に嵌合する。したがって、カバー部2Bが本体部2Aに嵌合固定された後は、係合突起2iが外側へ変位することがなきない。よって、接続筒3は、環状突出部3bが係合突起2iに突き当たることによって待機位置から右方へ移動することが阻止され、待機位置において確実に停止される。
【0017】
本体部2Aの右端部外周面には、操作筒5が外挿されている。操作筒5の左端部は、環状の隙間S内に挿入されている。操作筒5の左端面とカバー部2Bとの間の隙間S内には、第2コイルばね6が収容されている。この第2コイルばね6により、操作筒5が右方へ付勢されている。
【0018】
操作筒5の内部の左端部には、小径孔部5aが形成され、右端部には大径孔部5bが形成されている。小径孔部5aと大径孔部5bとの間には、右方へ向かって拡径するテーパ孔状の係合部5cが形成されている。小径孔部5aは、本体部2Aの外周面に摺動可能に嵌合されている。大径孔部5bは、本体部2Aの右端部外周面に形成された大径部2lに摺動可能に嵌合されている。このようにして、操作筒5が本体部2Aにその軸線方向へ移動可能に設けられている。係合部5cは、図1に示すように、接続筒3が待機位置に位置しているときには、第2コイルばね6の付勢力によって球体8の外側の端部に突き当てられている。係合部5cが球体8に突き当たることにより、操作筒5が停止させられている。このときの操作筒5の位置が解除位置である。その一方、図2に示すように、接続筒3が接続位置に移動して、球体8が内側へ移動可能になると、係合部5cが第2コイルばね6の付勢力によって球体8を内側へ移動させる。勿論、これと同時に操作筒5が右方へ移動させられる。係合部5cが大径部2lに突き当たると、操作筒5がそれ以上右方へ移動することができなって停止する。このときの操作筒5の位置が係合位置である。操作筒5が係合位置に位置すると、小径孔部5aの内周面が球体8の外側の端縁に接触し、球体8の内側の端部を装着孔2bの内周面から突出させる。
【0019】
次に、ソケット1に接続されるプラグ10について説明すると、プラグ10は、ストレートな円筒状をなす挿入筒部11を有している。この挿入筒部11は、装着孔2bの内径とほぼ同一の外径を有しており、装着孔2bに挿脱可能である。挿入筒部11の先端面には、先細りのテーパ面12が形成されている。このテーパ面12は、挿入筒部11を装着孔2bに所定の位置まで挿入すると、当接面3aに環状に押圧接触する。テーパ面12と当接面3aとが環状に押圧接触することにより、プラグ10の内部と接続筒3の内部とが気密に連通する。テーパ面12が当接面3aに突き当たった状態において、挿入筒部11を装着孔2b内にさらに挿入すると、接続筒3が第1コイルばね4の付勢力に抗して待機位置から接続位置に向かって移動させられる。
【0020】
挿入筒部11の外周面には、断面台形状をなす係合凹部13が環状に形成されている。この係合凹部13は、接続筒3が接続位置に達するまで挿入筒部11を装着孔2bに挿入すると、球体8と対向するように配置されている。したがって、接続筒3が接続位置に達するまで挿入筒部11を装着孔2bに挿入すると、球体8の内側の端部が係合凹部13内に入り込んで係合凹部13の両側面に突き当たる。しかも、この状態では、操作筒5が係合位置に位置し、球体8が外側へ移動することを阻止している。したがって、挿入筒部11は、装着孔2bから脱出不能に係止される。このようにしてプラグ10がソケット1に接続される。プラグ10がソケット1に接続された状態においては、本体部2Aの底部2dに形成されたロッド2mがプラグ10の内部に入り込み、プラグ10の内部に設けられた弁体(図示せず)を閉位置から開位置まで移動させる。この結果、プラグ10内のガスが接続筒3内を通って内筒部2h内に流入し、さらに接続管7及びガス管を介してガス機器に供給される。プラグ10がソケット1に接続された状態において、操作筒5を係合位置から解除位置まで移動させると、球体8が外側へ移動可能になる。したがって、挿入筒部11を装着孔2bから抜き出すことができるようになり、プラグ10をソケット1から取り外すことができる。なお、プラグ10をソケット1から取り外すと、プラグ10内に設けられた弁体が開位置から閉位置に移動して、プラグ10の内部が閉じられる。
【0021】
プラグ10がソケット1に接続された状態において、仮に当接面3aとテーパ面12との間に塵埃が介在していると、それらの両面3a,12間に微小の隙間が発生し、その隙間からガスが漏れる。そして、そのガスがソケット1の外部に漏れ出てしまう。このような不具合を防止するために、このソケット1においては、Oリング等からなる第1〜第4シール部材21,22,23,24が用いられている。
【0022】
第1シール部材21は、装着孔2bの内周面の開口部近傍に設けられており、ストッパ25によって抜け止めされている。第1シール部材21は、プラグ10の接続時には、装着孔2bの内周面と挿入筒部11の外周面との間を気密に封止する。
【0023】
第2シール部材22は、大径部2lの外周面に設けられており、本体部2Aの大径部2lの外周面と操作筒5の大径孔部5bの内周面との間を気密に封止している。第2シール部材22は、大径孔部5bの内周面に設けてもよい。
【0024】
第3シール部材23は、操作筒5の外周面に設けられており、操作筒5の外周面とカバー部2Bの大径孔部2gの内周面との間を気密に封止している。第3シール部材23は、大径孔部2gの内周面に設けてもよい。
【0025】
第4シール部材24は、本体部2Aの外周面に設けられており、本体部2Aの外周面とカバー部2Bの小径孔部2fの内周面との間を気密に封止している。第4シール部材24は、小径孔部2fの内周面に設けてもよい。また、カバー部2Bが本体部2Aと一体に設けられる場合には、第4シール部材24が不要である。
【0026】
上記構成のガス用ソケット1において、プラグ10の接続時に当接面3aとテーパ面12との間からガスが漏れると、そのガスの一部は装着孔2bの内周面と挿入筒部11の外周面との間に入り込む。このガスの一部は、ガスが装着孔2bの内周面と挿入筒部11の外周面との間を通ってそのまま外部に漏れ出ようとする。しかし、第1シール部材21がこれを阻止する。また、装着孔2bの内周面と挿入筒部11の外周面との間に入り込んだガスの他の一部は、収容孔2eを通って本体部2Aの外周面と操作筒5の小径孔部5aの内周面との間に入り込む。このガスの一部は、本体部2Aの大径部2lの外周面と操作筒5の大径孔部5bの内周面との間を通って外部に漏れ出ようとする。しかし、第2シール部材22がこれを防止する。
【0027】
また、収容孔2eを通って本体部2Aの外周面と操作筒5の小径孔部5aの内周面との間に入り込んだガスの他の一部は、隙間Sに流入する。隙間S内には、当接面3aとテーパ面12との間から漏れ出たガスの他の一部が、装着孔2bの内周面と操作筒3の外周面との間を通り、さらにスリット2jを通って流入する。隙間S内に流入したガスの一部は、カバー部2Bの大径孔部2gの内周面と操作筒5の外周面との間を通って外部に漏れ出ようとする。しかし、第3シール部材23がこれを防止する。隙間S内に流入したガスの他の一部は、本体部2Aの外周面とカバー部2Bの小径孔部2fの内周面との間を通って外部に漏れ出ようとする。しかし、第4シール部材24がこれを阻止する。
【0028】
このように、ガス用ソケット1においては、仮に当接面3aとテーパ面12との間からガスが漏れ出たとしても、そのガスがソケット1の外部に漏れ出ること第1〜第4シール部材21〜24が防止する。したがって、ガス漏れによる重大な事故が発生することを未然に防止することができる。
【0029】
図6及び図7は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態のガス用ソケット1′は、ガス機器(図示せず)に設けられたプラグ10にガスを供給するものであり、ソケット1′とプラグ10との間におけるガスの流通方向が上記実施の形態と逆になっている。これに対応して、このソケット1′の構成が、上記実施の形態と次の点において相違している。以下、この相違点についてのみ説明し、上記実施の形態と同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】

このソケット1′においては、装着孔2bが本体部2Aを貫通しており、装着孔2bがそのまま貫通孔2aになっている。ただし、この点は、ガスの流通方向とは無関係であるので、上記の実施の形態と同様に、貫通孔2aを装着孔2bと取付孔2cとによって構成してもよい。装着孔2bの左端部には、接続管7′が気密に嵌合固定されている。接続管7′には、一次側(供給側)のガス管が接続される。したがって、装着孔2bの左端部には、ガスが供給される。

【0031】
装着孔2bの内周面の中間部には、環状突出部2nが形成されている。この環状突出部2nの左方を向く端面には、左方へ向かって拡径するテーパ状の弁座2oが形成されている。この弁座2oにより、装着孔2bの内部が左側の上流部と右側の下流部とに区分されている。
【0032】
また、このガス用ソケット1′においては、接続筒3に代えて弁体(接続筒)3′が用いられている。弁体3′は、円筒部3A、保持筒部3B及び当接リング3Cに加えて後述するスライド筒部3Dを有している。円筒部3Aの左端部外周面には、Oリング等からなるシール部材3cが設けられている。このシール部材3cが第1コイルばね4によって弁座2oに当接させられると、つまり弁体3′が弁座2oに着座させられると、装着孔2bの内周面と弁体3′の外周面との間がシール部材3cによって封止される。しかも、円筒部3Aの左端部が底部3dによって閉じられている。したがって、弁体3′が弁座2oに着座すると、貫通孔2aの上流部と下流部との間が封止される。弁体3′が弁座2oに着座したときの弁体3′の位置が待機位置である。
【0033】
弁体3′の周壁部には、これを径方向に貫通する窓孔3eが形成されている。この窓孔3eは、シール部材3cより右側(下流側)に配置されており、弁体3′が弁座2oに着座しているときには、弁座2oより下流側に位置しており、装着孔2bの上流部と下流部とが弁体3′の内部を介して連通することはない。しかし、図7に示すように、装着孔2bにプラグ10の挿入筒部11が挿入され、弁体3′が開位置(接続位置)まで移動させられると、窓孔3eが弁座2oより上流側に位置し、装着孔2bの上流部と対向する。この結果、弁体3′の内部が、装着孔2bの上流部と窓孔3eを介して連通し、弁体3′の内部にガスが流入する。弁体3′内に流入したガスは、プラグ10内を通ってガス機器に供給される。
【0034】
弁体3′が開位置に移動すると、弁体3′の外周面と環状突出部2nの内周面との間に隙間が形成され、その隙間を通って装着孔2bの上流部内のガスが下流部に流入する。しかし、装着孔2bの下流部の内周面と弁体3′の外周面との間には、Oリング等からなるシール部材41が設けられており、それらの間がシール部材41によって封止されている。したがって、貫通孔2aの内周面と弁体3′の外周面との間を通ってガスがソケット1′から外部に漏れ出ることはない。
【0035】
スライド筒部3Dは、円筒部3Aの右端部外周に円筒部3Aの軸線方向へ摺動可能に設けられている。スライド筒部3Dの外周には、保持筒部3Bが嵌合固定されており、保持筒部3Bの右端部内周とスライド筒部3Dの右端部外周とによって当接リング3Cが挟持固定されている。
【0036】
スライド筒部3Dは、円筒部3Aに対しその軸線方向へ図6に示す初期位置と図7に示す封止位置との間を移動可能であり、付勢部材たる第3コイルばね42によって封止位置から初期位置へ向かって付勢されている。第3コイルばね42の付勢力は、第1コイルばね4の付勢力により弱く設定されている。したがって、貫通孔2aにプラグ10が挿入されてそのテーパ面12が当接面3aに突き当たると、円筒部3Aが停止状態を維持する一方、スライド筒部3D、保持筒部3B及び当接リング3Cが円筒部3Aに対して初期位置から左方へ移動する。スライド筒部3Dが封止位置に達するまでプラグ10が貫通孔2aに挿入されると、プラグ10の先端面のうちのテーパ面12より内側に位置する部分が円筒部3Aの右端面に環状に押圧接触する。したがって、プラグ10を貫通孔2aにさらに挿入すると、弁体3′全体が第1コイルばね4の付勢力に抗して待機位置から開位置まで移動する。弁体3′が開位置に移動すると、上記の実施の形態と同様にしてプラグ10がソケット1′に脱出不能に接続される。接続時には、プラグ10のテーパ面12が当接面3aに押圧接触するのみならず、プラグ10の先端面が円筒部3Aの右端面に押圧接触するので、プラグ10と弁体3との間をより高度に封止することができる。しかも、仮に当接リング3Cが熱や洗剤等によって劣化したとしても、円筒部3Aが熱や洗剤に対して劣化しにくい材質、例えば金属やポリアセタールによって構成されているので、当接リング3Cの劣化によるガス漏れを防止することができる。
【0037】

なお、プラグ10を貫通孔2aから抜き出すと、プラグ10の抜き出し移動に伴ってまず円筒部3Aが右方へ移動する。そして、シール部材3cが弁座2oに突き当たると、円筒部3Aが停止する。その後、スライド筒部3Dが封止位置から初期位置まで移動して停止する。この結果、弁体3′全体が待機位置に位置する。

【0038】
また、この実施の形態においては、第3シール部材23が本体部2Aの外周面の、収容孔2eより左側に位置する部分に配置されている。したがって、収容孔2eを通って本体部2Aの外周面と操作筒5の小径孔部5aの内周面との間に流入したガスが隙間Sに流入することがない。しかも、この実施の形態では、スリット2jが形成されていないので、スリット2jを通って隙間Sにガスが流入することもない。したがって、本体部2Aの左端部外周面とカバー部2Bの小径部2fの内周面と間には、第4シール部材24が設けられていない。ただし、この実施の形態においても、第3シール部材23をカバー部2Bの大径孔部2gの内周面と操作筒5の外周面との間に設けてもよい。その場合には、隙間S内にガスが流入するので、本体部2Aの左端部外周面とカバー部2Bの小径部2fの内周面と間には、第4シール部材24が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の第1実施の形態を、プラグが装着されていない状態で示す断面図である。
【図2】同実施の形態を、プラグが装着された状態で示す断面図である。
【図3】同実施の形態において用いられている本体部を示す平面図である。
【図4】図3のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図3のY矢視図である。
【図6】この発明の第2実施の形態を、プラグが装着されていない状態で示す断面図である。
【図7】同実施の形態を、プラグが装着された状態で示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ガス用ソケット
1′ ガス用ソケット
2 ソケット本体
2A 本体部
2B カバー部
2a 貫通孔
2b 装着孔(貫通孔)
2c 取付孔(貫通孔)
2e 収容孔
3 接続筒
3′ 弁体(接続筒)
4 第1コイルばね(第1付勢部材)
5 操作筒
6 第2コイルばね(第2付勢部材)
8 球体(係合部材)
21 第1シール部材
22 第2シール部材
23 第3シール部材
24 第4シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有するソケット本体と、このソケット本体の一端側に位置する上記貫通孔の内部に待機位置とこの待機位置に対して上記ソケット本体の他端側に離間した接続位置との間を移動可能に設けられた接続筒と、この接続筒を上記接続位置から上記待機位置に向かって付勢する第1付勢部材と、上記ソケット本体の一端部外周に解除位置とこの解除位置に対して上記ソケット本体の一端側に離間した係合位置との間を移動可能に設けられた操作筒と、この操作筒を上記解除位置から上記係合位置に向かって付勢する第2付勢部材とを備え、上記ソケット本体の一端部には、その外周面から上記貫通孔の内周面まで貫通する収容孔が形成され、この収容孔には、長さが収容孔より長い係合部材が収容孔の長手方向へ移動可能に設けられ、上記接続筒が上記待機位置に位置しているときには、上記接続筒の外周面が上記係合部材の内側の端部に接触することによって上記係合部材の外側の端部が上記収容孔から外側に突出させられ、この外側に突出した上記係合部材の外側の端部が上記操作筒に係合することによって上記操作筒が上記解除位置に位置させられるガス用ソケットにおいて、
上記収容孔より上記ソケット本体の一端側に位置する上記貫通孔の内周面に環状の第1シール部材が設けられ、上記収容孔より上記ソケット本体の一端側に位置する上記ソケット本体と上記操作筒との間にそれらの間を封止する第2シール部材が設けられ、上記収容孔より上記ソケット本体の他端側に位置する上記ソケット本体と上記操作筒との間にそれらの間を封止する第3シール部材が設けられていることを特徴とするガス用ソケット。
【請求項2】
上記ソケット本体が、上記貫通孔が形成された本体部と、この本体部の他端部外周に設けられた筒状をなすカバー部とを有し、上記操作筒と上記カバー部との間に上記第2付勢部材が設けられ、上記ソケット本体の他端側に位置する上記操作筒の端部及び上記第2付勢部材が上記ソケット本体の一端側に位置する上記カバー部の端部によって覆われ、上記第3シール部材が、上記本体部の外周面と上記操作筒の内周面との間と、上記カバー部の内周面と上記操作筒の外周面との間とのいずれか一方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス用ソケット。
【請求項3】
上記カバー部が上記本体部と別体に形成され、上記ソケット本体の他端側に位置する上記カバー部の端部が上記本体部の他端部外周に嵌合され、上記本体部と上記カバー部との嵌合部に当該嵌合部を封止する第4シール部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のガス用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−60115(P2010−60115A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228865(P2008−228865)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】