説明

ガス遮断装置

【課題】通信線上に複数の機器が接続された状態であっても、通信線の正確な短絡有無判定を実施することができるガス遮断装置を提供すること。
【解決手段】流量検出部31、流量算出部32、異常流量判定部33、弁駆動部34、弁35、異常報知部36、外部通信部37、短絡検出部38、短絡解除検出部39、外部操作入力部40、第2外部通信部41とを備え、短絡検出部38で短絡有無判定中に他の機器間通信を輻輳状態として切り分けることで、短絡有無判定の結果として反映しないことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス遮断装置に接続されている通信線上に複数の機器が接続されている場合において、通信線が短絡した場合には自動的に通信を停止し、短絡が解除された場合には自動的に通信を再開させることで、通信線の状態に合わせて無駄な通信を行わないようにするものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のガス遮断装置は、図4に示すようにガス遮断装置と機器(T−NCU)とを接続していた。また図5に示すように、Tr1〜4を所定の組合せにすることで電圧レベル検出回路21で変換された電圧値信号が正常時の電圧値信号と一致していなかった場合には、通信ライン3a、3cの結線状態が少なくとも断線および短絡の一方の状態であることを検出できるように構成したものもあった。そしてガス遮断装置には通信線の短絡判定を実施し、短絡状態であると判定した場合にはセンタ装置に自動的にリトライ通信することを中止していた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3468904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では図4に示すように通信線上には1つの機器(T−NCU)のみが接続されたものが例示されており、複数機器を接続した場合については開示されていない。従って、通信線上に複数の機器を接続した状態では正確な短絡検出ができないという課題を有していた。
【0004】
例を示すと、ガス遮断装置と機器A、機器Bが同一の通信線に接続されている状態において、特許文献1に開示されている内容に基づくと、ガス遮断装置が通信線をチェックして通信が行われていないと判断したのち短絡有無の判定を開始する。ところが、ガス遮断装置の短絡有無判定の処理はガス遮断装置と機器(T−NCU)が通信していない時のみを想定しているため、ガス遮断装置以外の機器は通信可能状態であると推定される。従って短絡判定を終了する前に機器Aと機器Bの間で機器間通信が行われる可能性がある。しかしながら、特許文献1には短絡判定中に機器間通信が開始された場合に関することは開示されていない。一方、電圧レベル検出回路でA点の電圧を判定することが開示されている。この電圧レベル検出回路の判定を実現するにはA/D変換を用いることが一般的に考えられる。しかしながらA/D回路を用いると機器Aと機器Bの通信信号レベルが平準化される傾向があり、短絡判定中の機器間通信の通信データの内容によっては平準化された電圧レベルが判定閾値を超えたり超えなかったりすることで断線や短絡と誤判定されることが推定される。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、短絡判定時に機器Aと機器Bの機器間通信の有無を直接判定して、機器Aと機器Bの機器間通信を検出した場合には短絡判定を中止することで、複数の機器が通信線上に接続されている状態でも正確な短絡判定を実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために本発明のガス遮断装置は、短絡検出部において通信線Aのオープン状態、ショート状態、輻輳状態を区別するものである。
【0007】
これによって、ガス遮断装置と機器Aと機器Bが同一の通信線に接続されている状態で
も、機器Aと機器Bの機器間通信がガス遮断装置の短絡有無判定と重なり輻輳している場合を切り分け、輻輳状態を検出した場合には短絡有無判定の結果には反映させないことが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス遮断装置は、同一通信線上にガス遮断装置と機器A、機器Bの複数の機器が繋がれている状態であっても、ガス遮断装置の短絡有無判定時にガス遮断装置以外の機器が相互に通信している場合を検出することができる。また電圧レベル検出回路を必要としない平易な回路構成で実現できるため消費電流を減らすことが可能となり、なおかつ安価にでき、省電力と利便性の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、ガス通路内を通過するガス流量に対応して流量信号を出力する流量検出部と、前記流量検出部の前記流量信号を受け取ると流量を算出する流量算出部と、前記流量算出部の前記流量を取得すると予め保持している異常判定流量と比較して、異常の有無を判定し異常であると判定した場合には弁閉駆動信号と異常情報信号とを出力する異常流量判定部と、前記異常流量判定部の前記弁閉駆動信号を受け取ると閉栓信号を出力する弁駆動部と、前記弁駆動部の前記閉栓信号を受け取るとガス通路を閉栓する弁と、前記異常流量判定部の前記異常情報信号を受け取ったときに、短絡検出部の短絡信号を受け取っていれば異常情報通信要求信号を出力せず、前記短絡検出部の前記短絡信号を受け取っていなければ前記異常情報通信要求信号を出力する異常報知部と、前記異常報知部の前記異常情報通信要求信号を受け取ると通信線Aに異常通報信号を出力する外部通信部と、定期的に前記通信線Aの短絡の有無を確認し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力する前記短絡検出部とを備えることにより、前記短絡検出部が前記通信線Aの短絡の有無を判定することで、短絡状態中において無駄に実施されていた機器への通信や、当該通信失敗時に所定の間隔で自動的に実施されていたリトライ通信を停止することができる。
【0010】
第2の発明は、短絡検出部から短絡信号を受け取ると定期的に通信線Aが短絡状態でないことの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号を出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する短絡解除検出部と、前記短絡解除検出部の前記短絡解除信号を受け取ると、定期的に前記通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する前記短絡検出部と、異常流量判定部の異常情報信号を受け取ったとき、直前に前記短絡検出部の前記短絡信号を受け取っていれば異常情報通信要求信号を出力せず、直前に前記短絡解除検出部の前記短絡解除信号を受け取っていれば前記異常情報通信要求信号を出力する異常報知部とを備えることにより、前記短絡解除検出部にて前記通信線Aが短絡状態になったあと短絡状態が修理されて直っているかを定期的に確認して、短絡状態が修理されていると判定した場合には通信再開の許可を自動的に実施することができる。
【0011】
第3の発明は、外部操作による入力を検出すると短絡判定要求信号を出力する外部操作入力部と、前記外部操作入力部の前記短絡判定要求信号を受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中ではないとしていた場合には、直ちに前記通信線Aの短絡状態の有無を確認し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号を出力する。あるいは定期的に前記通信線Aの短絡の有無を確認し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力する短絡検出部とを備えることにより、定期的に実施されるタイミングとは別に任意タイミングで外部操作入力を受付けると直ちに短絡状態の有無の判定を実施することができる。
【0012】
第4の発明は、外部操作による入力を検出すると短絡判定要求信号を出力する外部操作入力部と、前記外部操作入力部の前記短絡判定要求信号を受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中であるとしていた場合には、直ちに前記通信線Aの短絡状態でないことの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号を出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する。あるいは短絡検出部から短絡信号を受け取ると定期的に前記通信線Aが短絡状態でないことの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号を出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する短絡解除検出部と、前記外部操作入力部の前記短絡判定要求信号を受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中でないとしていた場合には、前記通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する。あるいは前記短絡解除検出部の前記短絡解除信号を受け取ると、定期的に前記通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する前記短絡検出部とを備えることにより、定期的に実施されるタイミングとは別に任意タイミングで外部操作入力を受付けると直ちに短絡状態の有無判定を実施することができる。
【0013】
第5の発明は、異常流量判定部の異常情報信号を受け取ったときに、短絡検出部の短絡信号を受け取っていれば異常情報通信要求信号を出力せず通信線Aが短絡中である情報を付加した第2異常情報通信要求信号を出力し、前記短絡検出部の前記短絡信号を受け取っていなければ前記異常情報通信要求信号を出力し前記通信線Aが短絡中である情報を付加した前記第2異常情報通信要求信号を出力しない異常報知部と、前記異常報知部の前記第2異常情報通信要求信号を受け取ると通信線Bに第2異常通報信号を出力する第2外部通信部とを備えることにより、前記通信線Aが短絡状態中である場合に前記通信線Bにて報知することができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるガス遮断装置の機能ブロック図を示すものである。
【0016】
図1において、流量検出部31は、ガス通路内を通過するガス流量(例えば、ガス通路内に対向した超音波センサを取り付け超音波の伝搬時間の違いからガス流量を検知してもよいし、ガス通路内にガスが流れる経路を作成しガスが経路を流れるときに発生する振動からガス流量を検知してもよいし、ガスの通過量を計量し一定の通過量に達する毎にガス流量として検出するようにしても同様の効果が得られる。)に対応して流量信号Aを出力する。
【0017】
流量算出部32は、流量検出部31の流量信号Aを受け取ると流量B(例えば、予め保持している流量信号Aに対する重み付けを持たせた係数を流量信号Aに掛けて流量Bを算出してもよい)を算出する。
【0018】
異常流量判定部33は流量算出部32の流量Bを取得すると予め保持している異常判定流量と比較して、異常の有無を判定し異常(例えば、流量Bがガス遮断装置の許容している最大ガス使用量をオーバした場合や、流量Bから導き出された任意のガス使用量毎に定められた使用可能時間をオーバする場合に異常と判定する)であると判定した場合には弁閉駆動信号Cと異常情報信号E(例えば、使用可能時間がオーバした情報)とを出力する。
【0019】
弁駆動部34は異常流量判定部33の弁閉駆動信号Cを受け取ると閉栓信号Dを出力し、外部通信部37より弁開駆動信号Jを受け取る開栓信号Kを出力する。弁35は弁駆動部34の閉栓信号Dを受け取るとガス通路を閉栓し、開栓信号Kを受け取るとガス通路を開栓する。
【0020】
異常報知部36は異常流量判定部33の異常情報信号Eを受け取ったときに、短絡検出部38の短絡信号Hを受け取っていれば異常情報通信要求信号F(例えば、使用可能時間がオーバした情報で通信するように要求する)を出力せず、短絡検出部38の短絡信号Hを受け取っていなければ異常情報通信要求信号Fを出力する。
【0021】
外部通信部37は異常報知部36の異常情報通信要求信号Fを受け取ると通信線Aに異常通報信号G(例えば、使用可能時間がオーバした情報を付加した電文)を出力する。図2に示すように通信線に異常通報信号Gが出力されると、例えば機器BがT―NCU(無線機等の通信を中継する装置でも同等の効果が得られる)であった場合、電話回線等の公共の通信回線(専用通信回線やインターネット等の通信インフラであれば同等の効果が得られる)を介して、ガス遮断装置を監視しているセンタ装置に報知される。センタ装置が報知されてきた異常通報信号Gを解析し、問題が解決されれば(例えば、ガスユーザがファンヒータを長時間使用していたので報知されたが、ガスユーザに問い合わせた結果ファンヒータの使用を停止した場合等)センタ装置からガス遮断装置に開栓指示信号を送信し、外部通信部37から弁開駆動信号Jを出力させて遠隔からガス遮断装置を開栓操作できる。
【0022】
また例えば、外部通信部37は図2のシステム構成図に示すように同一の通信線上にガス遮断装置と機器Aと機器Bが接続され各々の装置が他の装置と自由に機器間通信(例えばガス遮断装置と機器A、ガス遮断装置と機器B、機器Aと機器Bのように全ての組合せ)ができるようにするために、例えば、通信データの先頭や任意の場所に機器の識別コードを入れることで同一通信線上に様々な機器間通信が通信されていても相互に識別することができるようになる。
【0023】
短絡検出部38は定期的(例えば、短絡が発生する可能性は低いため1日1回でも良いし、必要にあわせて間隔を長短してもよい。また機器間通信が行われた場合に一定期間後としてもよい。あるいは定期的ではなくガス遮断装置が通信を実施しようとする直前でも同等の効果が得られる)に通信線Aの短絡の有無を確認する。
【0024】
図3は通信・短絡判定を示す概略図であるが、図3(a)はガス遮断装置の通信・短絡判定構成を記述したもので、図示してはいないが機器側も同じ通信回路構成で接続されていて、機器側の送信イネーブルが通信線を介してCN1に接続されている。
【0025】
例えば、図2に示すように同一の通信線に接続されているガス遮断装置から機器Aに通信をしようとした場合は、図3のガス遮断装置側のマイコン端子である送信イネーブル端子(OUT1)をHighレベルからLowレベルにすることで送信イネーブルの出力を行うと、トランジスタTr10がONしてCN1がHighレベルとなる。そして送信出力端子(OUT2)をHigh/Lowに切替えることでトランジスタTr12がON/OFFして機器A側に通信データを送信することができる。
【0026】
逆に機器Aからガス遮断装置に通信をしようとした場合は、機器A側の送信イネーブル端子(OUT1に対応)をHighレベルからLowレベルにすることで通信線を介してCN1がHighレベルとなり、機器A側の送信出力端子(OUT2に対応)をHigh/Lowして通信データを送信してくることで、CN1を介してガス遮断装置側のトラン
ジスタTr11がON/OFFすることとなり、受信入力端子(IN1)にLow/Highが入力され通信データを取得ことができる構成になっている。
【0027】
しかしながら、通信線Aが短絡(CN1とCN2間およびその延長線上の通信線のいづこか、あるいは機器側の回路上でショートしている状態)しているとCN1はCN2を通してGNDに落ちるので常にLowレベルとなり、ガス遮断装置側のトランジスタTr11がOFFとなるため、受信入力端子(IN1)は常にHighレベル(電源電圧)になる。なお機器A側からの通信が行われていない場合も、機器A側の送信イネーブルが出力されていないので同様にガス遮断装置側の受信入力端子(IN1)は常にHighレベルとなる。さらに機器A側からの通信が行われている場合は、機器A側の送信イネーブルが出力されるがCN1はCN2を通してGNDに落ちるのでCN1は常にLowレベルになり、ガス遮断装置側の受信入力端子(IN1)は常にHighレベルとなる。このため機器Aの通信の有無では通信線Aが短絡しているかはわからい構造になっている。
【0028】
従って、通信線Aの短絡を検出するためには、短絡していない状態であればガス遮断装置側の送信イネーブル(OUT1)をLowレベルにすることでCN1がHighレベルになることを判定条件とし、短絡していなければ(オープン状態)図3(b)に示すような波形(送信イネーブル(OUT1)をlowレベルにするとトランジスタTr10がONし、トランジスタTr11もONとなり、受信入力(IN1)がLowレベルとなる)となり、短絡していれば(ショート状態)図3(c)に示すような波形(送信イネーブル(OUT1)をlowレベルにするとトランジスタTr10がONするが、CN1はCN2を通してGNDに落ちLowレベルとなり、トランジスタTr11はOFFとなるため、受信入力(IN1)がHighレベルとなる)となることで短絡の有無を検出することが可能となる。
【0029】
ところで、通信線Aが短絡していない状態でガス遮断装置が短絡有無を判定している最中に図2に示すように機器Aから機器Bへと機器間通信を実施されると、ガス遮断装置と機器Aの両方が送信イネーブルを出力することになり、かつ機器A側の送信出力端子がHigh/Lowするため、図3(d)に示すような波形(輻輳状態)となって、ガス遮断装置の受信入力端子(IN1)に入力される。よってガス遮断装置は自身が送信イネーブルを出力(例えば、機器との通信を開始させないくらいの短時間にすることで、機器からの応答通信が発生しないようにする)している間中、入力端子(IN1)の入力がHighレベル固定か、またはLowレベル固定でなければ機器間通信が行われたことが検出可能となり、機器間通信を検出するとその回の短絡判定を中止(機器間通信が行われているのであれば短絡していないと判断できるため。あるいは、機器間通信そのものを受信し正しい通信であることを判定していないので、半短絡状態でチャタリングが入っているものと考え所定の短い間隔後(例えば1分後)に再度短絡有無判定を実施してもよい)することで、輻輳状態を取り除き正確に短絡の有無を判定することができる。
【0030】
通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号H(例えば、パルス状の信号でも良いし、短絡が継続している間中出力するようにしても同等の効果が得られる)を出力する。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては短絡検出部38で輻輳状態を除いた通信線Aの短絡の有無を判定することができ、短絡状態中は異常報知部36が異常情報通信要求信号Fを出力しないので無駄に実施されていた機器(センタ装置)への通信や、当該通信失敗時に所定の間隔(例えば、5分毎)で自動的に実施されていたリトライ通信を停止することができる(また同一の通信線上の機器にも短絡検出機能は必要な機能である)。
【0032】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2におけるガス遮断装置も図1の機能ブロック図を用いて説明するが、外部操作入力部40と第2外部通信部41は実施の形態2には含まれないため除外して考える。
【0033】
短絡解除検出部39は、短絡検出部38から短絡信号Hを受け取ると定期的(例えば、短絡状態が解除されるには工事が必要なため1日1回でも良いし、必要にあわせて間隔を長短してもよい。)に通信線Aが短絡状態でないことの確認動作(短絡状態でないことの確認動作とは「短絡していなければ(オープン状態)図3(b)に示すような波形(送信イネーブル(OUT1)をlowレベルにするとトランジスタTr10がONし、トランジスタTr11もONとなり、受信入力(IN1)がLowレベルとなる)となる。」ことを指し、以降の実施形態における説明においても、短絡状態でないことの確認動作と呼称する)を開始し、前記通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号Iを出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する。
【0034】
短絡検出部38は短絡解除検出部39の短絡解除信号Iを受け取ると、定期的(例えば、短絡が発生する可能性は低いため1日1回でも良いし、必要にあわせて間隔を長短してもよい。また機器間通信が行われた場合に一定期間後としてもよい。あるいは定期的ではなくガス遮断装置が通信を実施しようとする直前でも同等の効果が得られる)に通信線Aの短絡状態であることの確認動作(短絡状態であることの確認動作とは「短絡していれば(ショート状態)図3(c)に示すような波形(送信イネーブル(OUT1)をlowレベルにするとトランジスタTr10がONするが、CN1はCN2を通してGNDに落ちLowレベルとなり、トランジスタTr11はOFFとなるため、受信入力(IN1)がHighレベルとなる。」ことを指し、以降の実施形態における説明においても、短絡状態であることの確認動作と呼称する)を開始し、通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号Hを出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する。
【0035】
異常報知部36は異常流量判定部33の異常情報信号Eを受け取ったとき、(短絡信号Hか短絡解除信号Iのどちらか一方が出力されるので)直前に短絡検出部38の短絡信号Hを受け取っていれば(すなわち、実際の通信線Aの現在の状態ではなくガス遮断装置が保持している状態が短絡状態であれば)異常情報通信要求信号Fを出力せず、直前に短絡解除検出部39の短絡解除信号Iを受け取っていれば(すなわち、実際の通信線Aの現在の状態ではなくガス遮断装置が保持している状態が短絡状態でなければ)異常情報通信要求信号Fを出力する。
【0036】
以上のように、本実施の形態においては、短絡解除検出部39にて通信線Aが短絡状態になったあと短絡状態が修理されて直っているかを(例えば、落雷により電話回線を介してT−NCUが故障し、通信線Aが短絡状態になった場合、T−NCUを交換することで短絡状態を直すことができる)定期的に確認することで、短絡状態が修理されていると判定した場合には通信再開の許可を自動的(図2に示すように、同一の通信線にガス遮断装置と機器A、機器B等の複数台の機器が接続されていたときに、例えば機器Bが落雷により故障したT−NCUとし、ガス遮断装置と同じ短絡解除判定処理を機器Aが持っていなかった場合、ガス遮断装置も機器Aも短絡状態となるが、T−NCUが交換され短絡状態でなくなったあとも自動的に復帰する機能のない機器Aは短絡状態を継続することとなる。このため、何らかの手段で機器Aが保持している状態である短絡状態を解除する必要があるが、T−NCUを交換した工事者が機器Aの存在について認識していなかったり、T−NCUから離れて設置されていたため解除し忘れた場合を想定すると、自動的に短絡状態の解除検知機能を持つことは通信線に複数台接続されている状況においては有効な機能となり、機器側にも必要な機能である)に実施することができる。
【0037】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3におけるガス遮断装置も図1の機能ブロック図を用いて説明するが、短絡解除検出部39と第2外部通信部41は実施の形態3には含まれないため除外して考える。
【0038】
外部操作入力部40は外部操作による入力を検出(例えば、ガス遮断装置に設けられた復帰スイッチ(プッシュスイッチやリードスイッチ等)が押された場合。あるいはガス遮断装置に専用に設けられた短絡解除スイッチや設定器等の専用通信でも同等の効果が得られる)すると短絡判定要求信号Lを出力する。
【0039】
短絡検出部38は外部操作入力部40の短絡判定要求信号Lを受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中ではないとしていた場合には、直ちに通信線Aの短絡状態の有無を確認し、通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号Hを出力する。あるいは定期的に通信線Aの短絡の有無を確認し、通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号Hを出力する。その後、例えば工事者がガス遮断装置と機器Bと機器間通信を実施すれば短絡状態かどうかが直ぐに判断できる。
【0040】
以上のように、本実施の形態においては、定期的に実施されるタイミングとは別に任意タイミングで外部操作入力を受付けると直ちに短絡状態の有無の判定を実施する(例えば、ガス遮断装置を通信線Aに接続する作業中に通信線Aを短絡させてしまった場合、定期的に短絡有無の判定を実施するだけではガス遮断装置が直ちに短絡状態であることを検出できないため、ガス遮断装置を取り付けている工事者が短絡になっているのに気付かず作業を終了して工事現場を離れてしまうことが考えられるため、強制的に短絡有無の判定を指示することで直ぐに短絡状態を確認することができる)ことができる。
【0041】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4におけるガス遮断装置も図1の機能ブロック図を用いて説明するが、第2外部通信部41は実施の形態4には含まれないため除外して考える。
【0042】
外部操作入力部40は外部操作による入力を検出(例えば、ガス遮断装置に設けられた復帰スイッチ(プッシュスイッチやリードスイッチ等)が押された場合。あるいはガス遮断装置に専用に設けられた短絡解除スイッチや設定器等の専用通信でも同等の効果が得られる)すると短絡判定要求信号Lを出力する。
【0043】
短絡解除検出部39は外部操作入力部40の短絡判定要求信号Lを受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中であるとしていた場合には、直ちに通信線Aの短絡状態でないことの確認動作を開始し、通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号Iを出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する。
【0044】
あるいは短絡検出部38から短絡信号Hを受け取ると定期的に通信線Aが短絡状態でないことの確認動作を開始し、通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号Iを出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する。
【0045】
短絡検出部38は外部操作入力部40の短絡判定要求信号Lを受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中でないとしていた場合には、通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号Hを出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する。
【0046】
あるいは短絡解除検出部39の短絡解除信号Iを受け取ると、定期的に通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号Hを出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する。
【0047】
以上のように、本実施の形態においては、定期的に実施されるタイミングとは別に任意タイミングで外部操作入力を受付けると直ちに短絡状態の有無判定を実施する(例えば、ガス遮断装置を通信線Aに接続する作業中に通信線Aを短絡させてしまった場合、定期的に短絡有無の判定を実施するだけではガス遮断装置が直ちに短絡状態であることを検出できないため、ガス遮断装置を取り付けている工事者が短絡になっているのに気付かず作業を終了して工事現場を離れてしまうことが考えられるため、強制的に短絡有無の判定を指示することで直ぐに短絡状態を確認することができる。さらに短絡状態であることがわかり、工事者が短絡状態を直したあと本当に短絡状態でなくなったかを確認できるようにするとともに、ガス遮断装置が保持している状態が短絡状態でないとするために強制的に短絡有無の判定を指示することができる)ことができる。
【0048】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5におけるガス遮断装置も図1の機能ブロック図を用いて説明する。
【0049】
異常報知部36は異常流量判定部33の異常情報信号Eを受け取ったときに、短絡検出部38の短絡信号Hを受け取っていれば異常情報通信要求信号F(例えば、使用可能時間がオーバした情報で通信するように要求する)を出力せず、通信線Aが短絡中である情報を付加した第2異常情報通信要求信号M(例えば、使用可能時間がオーバした情報と信線Aが短絡中である情報をミックスした通信をするように要求する)を出力する。短絡検出部38の短絡信号Hを受け取っていなければ異常情報通信要求信号Fを出力し、通信線Aが短絡中である情報を付加した第2異常情報通信要求信号Mを出力しない。
【0050】
第2外部通信部41は異常報知部36の第2異常情報通信要求信号Mを受け取ると通信線B(通信線Aとは独立したもの)に第2異常通報信号Nを出力(通信プロトコルは通信線Aと同じものでも、異なるものでもよい)する。
【0051】
以上のように、本実施の形態においては、今まで短絡したことは、そもそも通信できないためガス遮断装置を監視しているセンタ装置に報知することができなかったが、通信線Aが短絡状態中である場合に通信線Bにて報知することで短絡状態をセンタ装置等に報知することができるようになる。なお、通信線Aと通信線Bの短絡状態が逆の場合は異常報知部36の異常情報通信要求信号Fと第2異常情報通信要求信号Mは短絡状態に合わせて出力の有無は逆の組合せとなる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかるガス遮断装置は従来では通信線に複数の機器が接続されたときに、正確な短絡有無判定が実施できなかったものを、短絡有無判定中に発生した機器間通信を輻輳状態として切り分けて短絡有無判定の結果として反映しないことにより、正確な短絡有無判定を実施することができ、電圧レベル検出回路を必要としない平易な回路にて実現することで電池の消耗を抑え、かつ安価にすることが可能となり、省電力と利便性とを確保することができるので機器側にも、さらにガスを電気や水等に置き換えれば、電気メータや水道メータ等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態におけるガス遮断装置の機能ブロック図
【図2】同ガス遮断装置のシステム構成図
【図3】同ガス遮断装置の通信・短絡判定を示す概略図
【図4】従来のガス遮断装置のシステム構成図
【図5】従来のガス遮断装置の通信・短絡判定構成図
【符号の説明】
【0054】
31 流量検出部
32 流量算出部
33 異常流量判定部
34 弁駆動部
35 弁
36 異常報知部
37 外部通信部
38 短絡検出部
39 短絡解除検出部
40 外部操作入力部
41 第2外部通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス通路内を通過するガス流量に対応して流量信号を出力する流量検出部と、前記流量検出部の前記流量信号を受け取ると流量を算出する流量算出部と、前記流量算出部の前記流量を取得すると予め保持している異常判定流量と比較して、異常の有無を判定し異常であると判定した場合には弁閉駆動信号と異常情報信号とを出力する異常流量判定部と、前記異常流量判定部の前記弁閉駆動信号を受け取ると閉栓信号を出力する弁駆動部と、前記弁駆動部の前記閉栓信号を受け取るとガス通路を閉栓する弁と、前記異常流量判定部の前記異常情報信号を受け取ったときに、短絡検出部の短絡信号を受け取っていれば異常情報通信要求信号を出力せず、前記短絡検出部の前記短絡信号を受け取っていなければ前記異常情報通信要求信号を出力する異常報知部と、前記異常報知部の前記異常情報通信要求信号を受け取ると通信線Aに異常通報信号を出力する外部通信部と、定期的に前記通信線Aの短絡の有無を確認し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力する前記短絡検出部とを備え、前記短絡検出部が前記通信線Aの短絡の有無を判定することで、短絡状態中において無駄に実施されていた機器への通信や、当該通信失敗時に所定の間隔で自動的に実施されていたリトライ通信を停止することを可能とした電池を電源とすることを特徴としたガス遮断装置。
【請求項2】
短絡検出部から短絡信号を受け取ると定期的に通信線Aが短絡状態でないことの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号を出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する短絡解除検出部と、前記短絡解除検出部の前記短絡解除信号を受け取ると、定期的に前記通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する前記短絡検出部と、異常流量判定部の異常情報信号を受け取ったとき、直前に前記短絡検出部の前記短絡信号を受け取っていれば異常情報通信要求信号を出力せず、直前に前記短絡解除検出部の前記短絡解除信号を受け取っていれば前記異常情報通信要求信号を出力する異常報知部とを備え、前記短絡解除検出部にて前記通信線Aが短絡状態になったあと短絡状態が修理されて直っているかを定期的に確認して、短絡状態が修理されていると判定した場合には通信再開の許可を自動的に実施することを特徴とした請求項1記載のガス遮断装置。
【請求項3】
外部操作による入力を検出すると短絡判定要求信号を出力する外部操作入力部と、前記外部操作入力部の前記短絡判定要求信号を受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中ではないとしていた場合には、直ちに前記通信線Aの短絡状態の有無を確認し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には短絡信号を出力する。あるいは定期的に前記通信線Aの短絡の有無を確認し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力する短絡検出部とを備え、定期的に実施されるタイミングとは別に任意タイミングで外部操作入力を受付けると直ちに短絡状態の有無の判定を実施することを特徴とした請求項1のガス遮断装置。
【請求項4】
外部操作による入力を検出すると短絡判定要求信号を出力する外部操作入力部と、前記外部操作入力部の前記短絡判定要求信号を受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中であるとしていた場合には、直ちに前記通信線Aの短絡状態でないことの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号を出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する。あるいは短絡検出部から短絡信号を受け取ると定期的に前記通信線Aが短絡状態でないことの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡状態でないと判定した場合には短絡解除信号を出力し、短絡状態でないことの確認動作を停止する短絡解除検出部と、前記外部操作入力部の前記短絡判定要求信号を受け取った時点では、ガス遮断装置が通信線Aは短絡中でないとしていた場合には、前記通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前
記短絡信号を出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する。あるいは前記短絡解除検出部の前記短絡解除信号を受け取ると、定期的に前記通信線Aの短絡状態であることの確認動作を開始し、前記通信線Aが短絡していると判定した場合には前記短絡信号を出力し、短絡状態であることの確認動作を停止する前記短絡検出部とを備え、定期的に実施されるタイミングとは別に任意タイミングで外部操作入力を受付けると直ちに短絡状態の有無判定を実施することを特徴とした請求項1のガス遮断装置。
【請求項5】
異常流量判定部の異常情報信号を受け取ったときに、短絡検出部の短絡信号を受け取っていれば異常情報通信要求信号を出力せず通信線Aが短絡中である情報を付加した第2異常情報通信要求信号を出力し、前記短絡検出部の前記短絡信号を受け取っていなければ前記異常情報通信要求信号を出力し前記通信線Aが短絡中である情報を付加した前記第2異常情報通信要求信号を出力しない異常報知部と、前記異常報知部の前記第2異常情報通信要求信号を受け取ると通信線Bに第2異常通報信号を出力する第2外部通信部とを備え、前記通信線Aが短絡状態中である場合に前記通信線Bにて報知することを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項記載のガス遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−186211(P2010−186211A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28101(P2009−28101)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】