説明

クーラント装置

【課題】単純な構成で省スペース化の図れるクーラント装置を提供する。
【解決手段】上面にダーティ液の流入口11が開口した箱状のケーシング14と、このケーシング14内において流入口11の下方に配置されたドラム型フィルター20と、このドラム型フィルター20の下方に配置され、ドラム型フィルター20で分離された切粉を回収する切粉タンク40と、ドラム型フィルター20の内側に配置され、ドラム型フィルター20を透過したクーラントを回収する一次クリーンタンク30と、ドラム型フィルター20の外側に配置され、一次クリーンタンク30よりも下方において一次クリーンタンク30から流されるクーラントを貯留する二次クリーンタンク31と、一次クリーンタンク30から二次クリーンタンク31へ流されるクーラントの水流を利用してドラム型フィルター20を回転させる駆動機構と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラントにワーク加工中に発生した切粉が混ざったダーティ液から、切粉を分離するクーラント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクーラント装置は、ダーティ液の貯槽内からその斜め上方に位置する切粉の排出口へと架け渡されたコンベアチェーンに、ダーティ液を掻き上げる掻上げ板が設けられて構成されているものが一般的であった。このようなクーラント装置では、掻上げ板が貯槽底部から排出口へと移動する方向にコンベアチェーンを回転させることで、掻上げ板が傾斜部分で切粉を掻き上げつつクーラントを落下させて切粉とクーラントとを分離し、排出口から切粉のみを排出するようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−177713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のクーラント装置では、掻上げ板や排出口の形状が複雑で掻上げ角度の調整に細かい精度が必要であり、また、コンベアチェーンは、貯槽内の水平部分と斜め上方に傾斜する傾斜部分とが必要となり水平方向に広い設置スペースを必要とするといった問題があった。さらに、コンベアチェーンは大きい負荷で常時駆動させなければならず、駆動機構の大型化を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は前記の問題を解決するために案出されたものであって、単純な構成で省スペース化の図れるクーラント装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、クーラントにワーク加工中に発生した切粉が混ざったダーティ液から、前記切粉を分離するクーラント装置であって、上面に前記ダーティ液の流入口が開口した箱状のケーシングと、このケーシング内において前記流入口の下方に配置されたドラム型フィルターと、このドラム型フィルターの下方に配置され、前記ドラム型フィルターで分離された切粉を回収する切粉タンクと、前記ドラム型フィルターの内側に配置され、前記ドラム型フィルターを透過したクーラントを回収する一次クリーンタンクと、前記ドラム型フィルターの外側に配置され、前記一次クリーンタンクよりも下方において前記一次クリーンタンクから流される前記クーラントを貯留する二次クリーンタンクと、前記一次クリーンタンクから前記二次クリーンタンクへ流される前記クーラントの水流を利用して前記ドラム型フィルターを回転させる駆動機構と、を備えたことを特徴とするクーラント装置である。
【0007】
このような構成によれば、流入口から流入したダーティ液は、ドラム型フィルター上に落下し、そこで切粉はドラム型フィルター上に残留してクーラントのみがフィルターを透過して、切粉とクーラントとに分離される。クーラントは、ドラム型フィルターの内側の一次クリーンタンクに落下した後、二次クリーンタンクに流されて貯留され、切粉は、一次クリーンタンクから二次クリーンタンクへ流されるクーラントの水流を利用してドラム型フィルターを回転させることで、下方の切粉タンクに落下して回収される。このように本発明によれば、従来と比較して単純な構成でダーティ液から切粉を分離することができ、装置の省スペース化を図ることができる。特に、クーラントの水流を利用してドラム型フィルターを回転させているので、回転駆動機構を別途設けなくて済む。これによって、より一層の構成の単純化および省スペース化を図ることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、駆動機構の回転軸に、オイルスキマーの駆動軸が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のクーラント装置である。
【0009】
このような構成によれば、オイルスキマーの回転駆動機構を別途設けなくて済むので、さらなる構成の単純化および省スペース化を図ることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記流入口に、前記ダーティ液の重量によって下方に回動するとともにその先端が前記ドラム型フィルターの外周面に当接する回動カバーを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクーラント装置である。
【0011】
このような構成によれば、回動カバーによって、流入口とドラム型フィルターとを架け渡す壁面が形成されるので、ドラム型フィルター上に落下するダーティ液が飛び散っても、ドラム型フィルターの下方に落下するのを防止でき、クーラントをクリーンタンクに確実に回収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クーラント装置において、単純な構成で省スペース化を図ることができるといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るクーラント装置を示した一部破断斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図3のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るクーラント装置を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、かかるクーラント装置をワーク加工室エリアの下方にベッドがないベッドレスタイプの工作機械に設置した場合を例にあげて説明する。
【0015】
工作機械は、ワークの加工を行う加工ユニットと、ワークの加工中に生じる切粉とクーラントが混ざったダーティ液を回収して、切粉とクーラントを分離して、ワーク加工室エリアにクーラントを循環させるクーラント装置と、工作機械の動作を制御する制御ユニットとを備えている。
【0016】
ベッドレスタイプの工作機械によれば、通常の工作機械ではコラムの下部に設けられていたベッドがないので、ワーク加工室エリアの下方にベッドが突出せず、クーラント装置の設置スペースを上下方向において、通常の工作機械よりも大きく確保することができる。
【0017】
図1および図2に示すように、クーラント装置10は、ワーク加工室エリアの下部空間に配置されるものであって、ワーク加工室エリアに対向する、ダーティ液の流入口11が上面に開口して形成されたケーシング14を備えている。流入口11の周囲は、流入口11に向かってダーティ液が流れるように漏斗状に傾斜して形成されている。流入口11の下方には、円筒状に形成されたドラム型フィルター20が設けられている。また、ドラム型フィルター20の内側には、その上部20aを透過したクーラントを回収する一次クリーンタンク30が設けられている。ドラム型フィルター20の外側で、一次クリーンタンク30の斜め下方には、二次クリーンタンク31(図1および図4参照)が設けられている。一次クリーンタンク30で回収されたクーラントは、二次クリーンタンク31へと流される。ドラム型フィルター20の下方には、ドラム型フィルター20で分離された切粉を回収する切粉タンク40が設けられている。
【0018】
ドラム型フィルター20は、例えば、ステンレス等の金属製メッシュ、もしくは薄板の枠体に布状フィルターを張り合わせたもの等から構成されており、目の粗さは、例えば♯40メッシュである。ドラム型フィルター20は、帯状に形成された金属製メッシュの長手方向両端を互いに接続することで円筒状に形成されている。ドラム型フィルター20の内部には回転軸21が設けられており、その軸長方向一端(図1中、右上側)で、スポーク(図示せず)等を介して、ドラム型フィルター20と回転軸21とが連結されている。
【0019】
図1および図3に示すように、回転軸21の軸長方向他端(図1中、左下側)には、一次クリーンタンク30から二次クリーンタンク31へ流されるクーラントの水流を受ける水車型のギヤ22が設けられている。回転軸21は、ドラム型フィルター20の軸長方向端部よりも外側に延出して形成されており、ギヤ22は、ドラム型フィルター20の外側に位置している。ギヤ22は、放射状に配置された複数の羽根22aと、羽根22aの幅方向両側を押さえる一対の押さえ板22b,22bとを備えて構成されている。このギヤ22の羽根22aでクーラントの水流を受けて、回転軸21を回転させるようになっている。このギヤ22が、一次クリーンタンク30から二次クリーンタンク31へ流されるクーラントの水流を利用してドラム型フィルター20を回転させる駆動機構を構成する。
【0020】
なお、クーラントの使用量が少なく、ギヤ22のみではドラム型フィルター20の回転駆動が難しい場合には、補助的にドラム型フィルター20を回転させるためのモータを設けたり、外部から手動でドラム型フィルター20を回転させたりするように構成してもよい。
【0021】
ドラム型フィルター20では、ワークの加工時に、上部20aにダーティ液が落下して、載置されることで、クーラントはドラム型フィルター20を透過して下方に落下し、切粉はドラム型フィルター20上に残置する。ドラム型フィルター20上の切粉は、ドラム型フィルター20が回転することによって、下方に落下し切粉タンク40(図2および図4参照)に回収される。
【0022】
図2および図4に示すように、切粉タンク40は、上部が開口した箱状で、ドラム型フィルター20の下方全体を覆うように形成されている。切粉タンク40は、ドラム型フィルター20の下方でクーラント装置10の外部に引き出し可能に設けられている。
【0023】
図1および図2に示すように、ドラム型フィルター20の上方に位置する流入口11には、ダーティ液の重量によって下方に回動するとともにその先端がドラム型フィルター20の外周面に当接する回動カバー12が設けられている。流入口11は、矩形を呈しており、ドラム型フィルター20の軸長方向と直交する水平方向両端で互いに対向する辺に回動カバー12,12がそれぞれ設けられている。回動カバー12は、矩形のプレートにて構成されており、その一辺が、バネヒンジ13(図2参照)を介して流入口11の互いに対向する各辺に回動可能に支持されている。バネヒンジ13は、ダーティ液が流れず荷重がかからない状態では、回動カバー12を水平状態(図2中、二点鎖線にて示す状態)に保つように構成されている。バネヒンジ13のバネ力は、回動カバー12上にダーティ液が流れると、その重量によって回動カバー12が下方に回動する程度の付勢力に設定されている。回動カバー12は、下方に回動したときに、その下端部が、ドラム型フィルター20の外周面に当接する(図2中、実線にて示す状態)長さを有している。
【0024】
図1および図4に示すように、流入口11の周縁のドラム型フィルター20の軸長方向両端には、壁面14a,14bがそれぞれ近接して設けられている。ドラム型フィルター20の軸長方向一端(図1中、右上側)側に位置する壁面14aは、クーラント装置10のケーシング14の一部にて構成されており、クーラント装置10の下部まで延在して形成されている。ドラム型フィルター20の軸長方向他端(図1中、左下側)側に位置する壁面14bは、クーラント装置10の上端から垂れ下がった垂壁状に形成され、ダーティ液の落下部分をカバーするとともに、一次クリーンタンク30から延出するパイプ36等に干渉しないように構成されている。
【0025】
図2に示すように、ドラム型フィルター20の側方には、ドラム型フィルター20の外周面に付着した切粉を剥がすスクレーパー24が近接して設けられている。スクレーパー24は、ドラム型フィルター20の軸長方向長さと同等の長さを有している。スクレーパー24は、ドラム型フィルター20の表面が上に向かって回転する部分に設けられている。スクレーパー24は、その先端がドラム型フィルター20の表面に近接しており、ドラム型フィルター20の表面に付着した切粉を掻き落として落下させる。スクレーパー24は、切粉タンク40の開口部上方に配置されており、掻き落とされた切粉は、切粉タンク40に回収される。なお、スクレーパー24の設置位置は、前記位置に限定されるものではない。
【0026】
一方、ドラム型フィルター20の内側には、ドラム型フィルター20の外周面に付着した切粉を内側から吹き飛ばすエアブロー装置25が設けられている。エアブロー装置25は、回転軸21の下方に設けられたブロー管26と、ブロー管26に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段(図示せず)とを備えて構成されている。ブロー管26には、ドラム型フィルター20の軸長方向全長に亘って所定ピッチで貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔から圧縮空気が吹き出るように構成されている。貫通孔は、ブロー管26の下部に形成されており、ドラム型フィルター20の内側から下方に向けて切粉を吹き飛ばすように構成されている。吹き飛ばされた切粉は、下方の切粉タンク40に落下して回収される。
【0027】
図1乃至図4に示すように、一次クリーンタンク30は、ドラム型フィルター20の内側で、回転軸21の上方に配置されている。一次クリーンタンク30は、上部が開口した浅い箱状で、平面視長方形を呈している。この長方形の長辺は、ドラム型フィルター20の軸方向長さと同等の長さを有している。長方形の短辺は、流入口11に設けられた一対の回動カバー12,12が下方に回動してドラム型フィルター20の外周面に当接したときの、回動カバー12,12の先端間の距離よりと同等の長さあるいはそれよりも長い長さを有している。これによって、一次クリーンタンク30は、少なくともドラム型フィルター20の上部のダーティ液の落下領域の下方全体を覆うようになっている。
【0028】
ギヤ22が配置された側の、一次クリーンタンク30の側面には、二次クリーンタンク31の上方に延出するパイプ36が側面を貫通して接続されている。パイプ36の先端部は下側に屈曲して下方に向かって開口している。パイプ36の先端の開口は、二次クリーンタンク31の上方で且つ、回転軸21の端部の水車型のギヤ22の中心から偏心した羽根22aの上方に位置している。このような構成によって、一次クリーンタンク30内のクーラントは、パイプ36内を通過してその先端から流下し、ギヤ22を回転させた後に、下方の二次クリーンタンク31に流下する。
【0029】
二次クリーンタンク31は、ドラム型フィルター20の斜め下方で、切粉タンク40の側方に並んで配置されている。二次クリーンタンク31は、上部が開口した箱状を呈し、パイプ36から流下したクーラントを受ける。二次クリーンタンク31は、一次クリーンタンク30よりも大きい容量に形成されており、クーラントを貯留するものである。二次クリーンタンク31には、クーラントをワーク加工室エリアに循環させるポンプが取り付けられている。
【0030】
二次クリーンタンク31の上部には、クーラントに混入した駆動油等の浮上油を回収するオイルスキマー32が設けられている。オイルスキマー32は、金属製または樹脂製のベルト32aをクーラント上から内部に回転させることで、表面の浮上油をベルト32aに絡め取って回収する。本実施形態では、ベルト32aの駆動軸32bは、ドラム型フィルター20の回転軸21と平行に配置されており、連結ギヤ33を介して連結されている。これによって、オイルスキマー32が、ドラム型フィルター20の回動と同時に回転駆動するようになっている。なお、ベルト32aの回転は、前記構成に限定されるものではなく、別途駆動回転機構を設けて回転させるようにしてもよい。
【0031】
図1に示すように、二次クリーンタンク31の上部には、液面計34が設けられており、タンク内のクーラント量を検知できるようになっている。さらに、二次クリーンタンク31の上部には、低圧タンク35aと中圧タンク35bが設けられており、クーラントをワーク加工室エリアに送り込む作動等に利用されている。
【0032】
次に、工作機械を用いてワークを加工する際のクーラント装置の作用を説明する。
【0033】
工作機械でワークの加工を行う際には、低圧タンク33aと中圧タンク33bによってポンプを作動させて、ワーク加工室エリアにクーラントを循環させて供給する。
【0034】
このとき、クーラントや切粉は、下方のクーラント装置10上に落下する。そして、クーラントに切粉が混ざったダーティ液は、クーラント装置10上部の傾斜部分から流入口11へと流れる。そして、流入口11の回動カバー12上にダーティ液が流れると、図2に示すように、ダーティ液の重量によって回動カバー12が下方へ回動し、ダーティ液がドラム型フィルター20の上部20aの上面に落下する。このとき、回動カバー12は、その下端がドラム型フィルター20の表面に当接して、ドラム型フィルター20の移動方向両側において、壁面を形成することになる。これと合わせて、ドラム型フィルター20の軸長方向両端には、壁面14a,14bが近接している。これによって、ドラム型フィルター20のダーティ液の落下領域の周囲は壁面で覆われることとなり、落下してきたダーティ液が飛び跳ねたとしても、ドラム型フィルター20の下方へ落下するのを防止することができる。
【0035】
そして、ドラム型フィルター20上に落下したダーティ液から、クーラントがドラム型フィルター20を透過して一次クリーンタンク30に落下する。このとき、ダーティ液は、前記したようにドラム型フィルター20の下方に落下しないので、確実に一次クリーンタンク30に回収できる。一次クリーンタンク30に落下したクーラントは、二次クリーンタンク31へと流れて貯留される。二次クリーンタンク31に貯留されたクーラントはオイルスキマー32によって、浮上油を除去されてクリーンなクーラントとなり、低圧タンク33aと中圧タンク33bによって作動されるポンプによってワーク加工室エリアへと送られる。
【0036】
クーラントが、一次クリーンタンク30から二次クリーンタンク31に流れるときに、ギヤ22を回転させて、ドラム型フィルター20を回転させる。このとき、回動カバー12の先端は、ドラム型フィルター20の外周面に当接しているが、ドラム型フィルター20の外周面が、回動カバー12の先端に対して摺動して回転する。そして、ドラム型フィルター20上で残置した切粉は、回転方向前方側に位置する回動カバー12の近傍に貯められる。その後、ワークの加工が停止すると、回動カバー12にダーティ液の荷重がかからなくなって、元の水平状態に戻る。このとき、一次クリーンタンク30内に残っているクーラントの二次クリーンタンク31への流れによって、ドラム型フィルター20が回転し、切粉が下方に落下して切粉タンク40へと回収される。
【0037】
ドラム型フィルター20から下方に落下せずに、表面に付着している切粉は、エアブロー装置25によって、下方に吹き飛ばされて、切粉タンク40へと回収される。さらに、エアブロー装置25によっても落下しなかった切粉は、下流側に設けられたスクレーパー24で掻き落とされて、切粉タンク40へと回収される。切粉タンク40内に所定量の切粉が溜まったら、切粉タンク40を外部に取り出して切粉を排出する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るクーラント装置10によれば、流入口11から流入したダーティ液は、ドラム型フィルター20上に落下し、そこで切粉はドラム型フィルター上に残留してクーラントのみがドラム型フィルター20を透過して、切粉とクーラントとに分離される。したがって、本実施形態に係るクーラント装置10は、従来の掻上げ型のコンベアと比較して、利用エネルギーが非常に小さい。また、本発明では、クーラントの水流を利用してドラム型フィルター20を回転させているので、回転駆動機構を省略することができる。また、切粉は、ドラム型フィルター20を回転させることで、下方の切粉タンク40に落下させているが、その回転負荷は非常に小さいので、クーラントの水流で得ることが可能である。したがって、本実施形態に係るクーラント装置10によれば、回転駆動機構の単純化および省エネルギー化を達成することができる。
【0039】
さらに、クーラント装置10は、概ね、切粉タンク40が、ドラム型フィルター20の下方に設けられており、ドラム型フィルター20と二次クリーンタンク31の設置スペースがあれば済むので、装置の省スペース化を図ることができる。
【0040】
さらに、ドラム型フィルター20の回転軸21に、オイルスキマー32のベルト32aの駆動軸32bが接続されているので、オイルスキマー32の回転駆動機構を別途設けなくて済むので、より一層、クーラント装置10の構成の単純化および省スペース化を図ることができる。
【0041】
また、スクレーパー24とエアブロー装置25を設けたことによって、切粉を確実に落下させて効率よく回収することができる。さらに、ドラム型フィルター20に付着した切粉を除去できるので、ドラム型フィルター20の上部20aのダーティ液の落下位置におけるクーラントの透過率の低下を防止することができる。
【0042】
さらに、流入口11に、回動カバー12を設けたことによって、ダーティ液の落下領域の周囲に壁面が形成されるので、ドラム型フィルター20上に落下するダーティ液が、飛び散っても、ドラム型フィルター20の下方に落下するのを防止でき、クーラントを一次クリーンタンク30に確実に回収することができる。
【0043】
以上、本発明の最良の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能であるのは勿論である。例えば、本実施形態では、ベッドレスタイプの工作機械1に適用した場合を例に挙げて説明したが、ベッドを設ける通常の工作機械であっても適用可能であるのは勿論である。この場合も、クーラント装置の省スペース化を達成できるといった作用効果は得られる。
【0044】
また、本実施形態では、水車型のギヤ22の上方のパイプ36からクーラントを流して、ギヤ22を介して、クーラントの流下方向と直交する回転軸21を回転させているが、水流で回転軸21を回転させる構成はこれに限定されるものではない。例えば、プロペラ型の水車を設けて、クーラントの流下方向と平行の回転軸を回転させて、その回転力を、ギヤを介して回転軸21に伝達するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 クーラント装置
11 流入口
12 回動カバー
14 ケーシング
20 ドラム型フィルター
21 回転軸
30 一次クリーンタンク
31 二次クリーンタンク
32 オイルスキマー
32b 駆動軸
40 切粉タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーラントにワーク加工中に発生した切粉が混ざったダーティ液から、前記切粉を分離するクーラント装置であって、
上面に前記ダーティ液の流入口が開口した箱状のケーシングと、
このケーシング内において前記流入口の下方に配置されたドラム型フィルターと、
このドラム型フィルターの下方に配置され、前記ドラム型フィルターで分離された切粉を回収する切粉タンクと、
前記ドラム型フィルターの内側に配置され、前記ドラム型フィルターを透過したクーラントを回収する一次クリーンタンクと、
前記ドラム型フィルターの外側に配置され、前記一次クリーンタンクよりも下方において前記一次クリーンタンクから流される前記クーラントを貯留する二次クリーンタンクと、
前記一次クリーンタンクから前記二次クリーンタンクへ流される前記クーラントの水流を利用して前記ドラム型フィルターを回転させる駆動機構と、を備えた
ことを特徴とするクーラント装置。
【請求項2】
前記駆動機構の回転軸に、オイルスキマーの駆動軸が接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクーラント装置。
【請求項3】
前記流入口に、前記ダーティ液の重量によって下方に回動するとともにその先端が前記ドラム型フィルターの外周面に当接する回動カバーを設けた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクーラント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−158745(P2010−158745A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2610(P2009−2610)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000152675)コマツNTC株式会社 (218)
【Fターム(参考)】