コンバインの刈取装置
【課題】左上部搬送装置を容易に着脱可能とする構成を有するコンバインの刈取装置を提供する。
【解決手段】走行機体1の前方に配置した刈取部3に、穀稈引起し装置13により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレーム74により左右の上部搬送装置28・29を連結し、該左右の上部搬送装置28・29と下部搬送装置25・27からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置30とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置28をユニットとして脱着可能に構成した。
【解決手段】走行機体1の前方に配置した刈取部3に、穀稈引起し装置13により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレーム74により左右の上部搬送装置28・29を連結し、該左右の上部搬送装置28・29と下部搬送装置25・27からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置30とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置28をユニットとして脱着可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取装置、特に右上部搬送装置から左上部搬送装置への動力伝達機構の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンバインにおいては、その前部に設けられた刈取前処理装置に、圃場に植立した未刈穀稈を引起すための穀稈引起し装置と、刈刃装置にて刈り取られた刈取穀稈を後方に向けて搬送するための穀稈搬送装置とが備えられており、前記穀稈搬送装置は穀稈の根元部を挟持して搬送する下部搬送装置と穂先部を搬送する上部搬送装置によって構成されている。
前記上部搬送装置は三条刈り及び四条刈りのコンバインにおいては、長さの長い主搬送体と長さの短い副搬送体とで構成されており、前記主搬送体と副搬送体とが平面視で略「ハ」字形に配置されている。前記副搬送体の駆動は、下部搬送装置より動力が伝達されることによって行われており、前記副搬送体は吊りフレーム等によって主搬送体に固定されていた。
【特許文献1】特開2000−092954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構造では、左上部搬送装置を吊りフレームから着脱する際に、部品ごとに着脱を行わなければならず、手間がかかっていた。また、組み立て過程においてもそれぞれの部品ごとにくみ上げていかなければならないため、工程が複雑化していた。
そこで本発明は斯かる課題に鑑み、左上部搬送装置を容易に着脱可能とする構成を有するコンバインの刈取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、走行機体の前方に配置した刈取部に、穀稈引起し装置により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレームにより左右の上部搬送装置を連結し、該左右の上部搬送装置と下部搬送装置からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置をユニットとして脱着可能に構成したものである。
【0006】
請求項2においては、前記左上部搬送装置は、上板及び下板からなるケースと、該ケース内に収納される駆動スプロケットと、従動スプロケットと、該両スプロケット間に巻回されるタイン付のチェーン等よりなり、前記駆動スプロケットは、内部にスプラインを形成した中空の駆動軸上に固設され、該駆動軸は下板に軸受を介して回転自在に支持する構成としたものである。
【0007】
請求項3においては、前記駆動軸に前記吊りフレームより突出した伝動軸をスプライン嵌合可能に構成するとともに、前記吊りフレームの先端に縁部を形成し、該縁部と前記上ケースとをボルトにより固定したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、圃場における刈取作業時に、左上部搬送装置28に作物の詰まり等の不具合が発生した場合に、左上部搬送装置28を外して掃除等を容易に行うことが可能である。また、部品の交換等も容易に行える。
【0010】
請求項2においては、ユニット化によって、駆動スプロケット101の傾きなどの不安定だった箇所がケース107内で一体に収まるために、組み立て時に安定する。
【0011】
請求項3においては、吊りフレーム74からの駆動力の伝達をスプライン嵌合することにより確実に行い、またボルト105aを取り外すことにより、ユニットごと吊りフレーム74より分離することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの正面図である。図4は刈取装置の前方斜視図、図5は刈取装置の側面図、図6は刈取装置の動力伝達機構を表したスケルトン図、図7は右上部搬送装置及び左上部搬送装置の斜視図、図8は右上部搬送装置の斜視一部断面図、図9は吊りフレームの斜視一部断面図、図10は第二駆動パイプと第三駆動パイプの接合部を表した側面一部断面図、図11は第三駆動パイプと左上部搬送入力パイプの接合部を表した側面一部断面図、図12は左上部搬送装置の斜視図、図13は左上部搬送装置の側面一部断面図である。
【0013】
まず、図1乃至図3を用いて本発明にかかるコンバインの全体的な構成について説明する。
本実施形態における三条刈り用のコンバインは、左右一対の走行クローラ2、2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取装置3が単動式の油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェーン6付きの脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯溜する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。本実施形態では、脱穀装置5が走行機体1の進行方向左側に、穀粒タンク7が走行機体1の進行方向右側に配置されている。穀粒タンク7は、走行機体1の後部に設けられた縦軸(実施形態では排出オーガ8の縦オーガ筒9、図1及び図2参照)回りに水平回動可能に構成されている。刈取装置3と穀粒タンク7との間には、操向レバーや運転座席等を有する運転部10が設けられている。運転部10の下方には、動力源としてのエンジン11が配置されている。刈取装置3にて刈り取られた刈取穀稈はフィードチェーン6に受け継ぎ搬送され、脱穀装置5にて脱穀処理される。
【0014】
脱穀装置5における扱室には扱胴17を収納し、その下方にはチャフシーブ等による揺動選別を行うための揺動選別機構(図示せず)と、唐箕ファンによる風選別を行うための風選別機構(図示せず)が配置されている。これら両選別機構にて選別されて一番受け樋(図示せず)に集められた穀粒は、一番コンベヤ及び揚穀コンベヤ(図示せず)を介して穀粒タンク7に集積される。穀粒タンク7の一番物は排出オーガを介して機外に搬出される。
【0015】
なお、フィードチェーン6の後端から排稈チェーン18(図2参照)に受け継がれた排稈は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は排稈カッタ(図示せず)にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方に排出される。
【0016】
次に、図4及び図5を参照しながら、刈取装置について説明する。
【0017】
刈取装置3は、脱穀装置5の前方に位置する刈取架台(図示せず)に対して回動可能に軸支された横長の刈取入力パイプ35(図1、図4及び図5参照)回りに上下回動可能に構成されている。刈取入力パイプ35の中途部には、前方斜め下向きに延びる縦伝動パイプ36が設けられている。該縦伝動パイプ36の中途部と走行機体1の前端部とが、単動式の油圧シリンダ4を介して連結されている。
【0018】
縦伝動パイプ36の先端部(下端部)には、横長の横伝動パイプ37が設けられている。該横伝動パイプ37には、前向きに突出する4本の刈取フレーム38が横伝動パイプ37の長手方向に沿って適宜間隔で並設されている。該刈取フレーム38群の下方には、バリカン式の刈刃装置12が設けられている。各刈取フレーム38の先端部には分草体15が突設されている。
【0019】
また、横伝動パイプ37には、刈り取り条数に合わせて3つの支持パイプとしての中及び左及び右の引起し駆動パイプ39a、39b、39cが前方斜め上向きに延びるように立設されている。当該中及び左及び右の引起し駆動パイプ39a、39b、39c群は、横伝動パイプ37の長手方向(走行機体1の横幅方向)に沿って適宜間隔で並んでいる。中及び左及び右の引起し駆動パイプ39a、39b、39cの各先端部には、圃場に植立した未刈穀稈を引き起こすための穀稈引起し装置13が取り付けられている。本実施形態では、刈取装置3の前部に三条分の穀稈引起し装置13が備えられている。穀稈引起し装置13とフィードチェーン6の前端部との間には、穀稈搬送装置14が配置されている。
【0020】
穀稈引起し装置13は、分草体15を介して取り込んだ未刈穀稈を起立させる引起しタイン21を有する横回し型穀稈引起しケース22を備え、これら各穀稈引起しケース22の後方下部にはスターホイル23及び掻き込みベルト24が配置されている。該スターホイル23及び掻き込みベルト24は、これらの組に対応する引起しタイン21にて引き起こされた未刈穀稈の根元部を後方に掻き込むためのものである。これらスターホイル23及び掻き込みベルト24にて掻き込まれた未刈穀稈の根元部がバリカン式の刈刃装置12にて切断される。
【0021】
穀稈搬送装置14は、右二条分の刈取穀稈を左斜め後方に搬送する右下部搬送チェーン25と、左一条分の刈取穀稈を右斜め後方に搬送してその根元部を右下部搬送チェーン25の送り終端位置近傍に合流させる左下部搬送チェーン27と、右二条分の刈取穀稈の穂先部を左斜め後方に搬送する右上部搬送タイン29a(右上部搬送装置29)と、左一条分の刈取穀稈の穂先部を右斜め後方に搬送して右上部搬送タイン29aに合流させる左上部搬送タイン28a(左上部搬送装置28)と、右下部搬送チェーン25の送り終端位置近傍にて合流した3条分の刈取穀稈の根元部をフィードチェーン6に受け継ぎ搬送するための縦搬送チェーン30とにより構成されている。縦搬送チェーン30に送られた三条分の刈取穀稈の根元部は、その後フィードチェーン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この刈取穀稈の穂先部が脱穀装置5における扱室内の扱胴17にて脱穀される。
【0022】
次に、縦搬送チェーン30及び右上部搬送タイン29aの駆動伝達機構について図6及び図8を用いて説明する。
【0023】
エンジン11から刈取装置3に向けての動力は、扱胴入力軸や刈取変速機構(いずれも図示せず)及び刈取入力プーリ40等を介して、まず刈取入力パイプ35に内装された刈取入力軸41に伝達される。刈取入力軸41に伝達された動力は、縦伝動パイプ36内の縦伝動軸42を介して横伝動パイプ37内の横伝動軸43に伝達され、次いで、横伝動軸43から、右及び中及び左の引起し駆動パイプ39a、39b、39cに内装された右及び中及び左の引起し伝動軸44a、44b、44cと、刈刃駆動軸45とに動力伝達される。右及び中及び左の引起し伝動軸44a、44b、44cに伝達された動力は、右及び中及び左の引起し入力軸46a、46b、46c及びこれに連結された引起しスプロケット47を介して、穀稈引起し装置13の各引起しタイン21を駆動させる。刈刃駆動軸45に伝達された動力は刈刃装置12を駆動させる。
【0024】
左及び右の引起し伝動軸44c、44aからは、隣接する右及び中及び左の引起し伝動軸44a、44b、44cの間に配置された左右の下部搬送駆動軸48にも動力が分岐して伝達される。左の下部搬送駆動軸48に伝達された動力は、これに連結された駆動スプロケット49を介して、穀稈搬送装置14の左下部搬送チェーン27、穀稈引起し装置13における左側のスターホイル23及び掻き込みベルト24を駆動させる。右下部搬送駆動軸48に伝達された動力は、これに連結された駆動スプロケット49を介して、穀稈搬送装置14の右下部搬送チェーン25、穀稈引起し装置13における右側と中央とのスターホイル23及び掻き込みベルト24を駆動させる。
【0025】
また、前記刈取入力軸41に伝達された動力は、チェーン33を介して前記刈取入力軸41と平行に設けられた縦搬送駆動軸50に貫設された入力スプロケット34に伝達される。該縦搬送駆動軸50からはベベルギヤ51を介して縦搬送入力軸52に動力を伝達する。該縦搬送入力軸52は前記ベベルギヤ51と噛合するベベルギヤ53を中途部に貫設して上下方向に延びて設けられており、下方の端部には縦搬送装置30を駆動するための縦搬送スプロケット54が嵌設されている。また、上方の端部には右上部搬送タイン29aを駆動するための右上部搬送スプロケット56がスプライン嵌合などにより相対回動不能に嵌設されている。従って、右上部搬送タイン29aと縦搬送装置30とは同期して駆動される。なお、本実施例で示したチェーン33と入力スプロケット34を、ベルトとプーリを用いた伝達機構に置き換えることは可能であり、本実施例で示す他のチェーン、スプロケットについても同様に置き換えることは可能である。
【0026】
前記右上部搬送スプロケット56から、左上部搬送装置28へと動力を伝達している。すなわち、図7及び図8に示すように、右上部搬送スプロケット56の中心に中空状に形成されたボス部56aの上部軸孔56bに、回動軸57がスプライン嵌合などにより相対回転不能に貫設されており、駆動スプロケット58は前記回動軸57にスプライン嵌合などにより相対回転不能に嵌設されており、前記回動軸57は上部チェーンケース60に軸受等を介して固定されている。前記駆動スプロケット58と入力スプロケット59の間にはチェーン61が巻回されており、該入力スプロケット59の中心には第一駆動軸71が相対回転不能に貫設されている。
【0027】
前記駆動スプロケット58、入力スプロケット59及びチェーン61は上部チェーンケース60に内装されている。該上部チェーンケース60は軸受62を介して前記駆動スプロケット58を回動可能に支持しており、前記回動軸57は上部チェーンケース60へ貫設している。
該上部チェーンケース60は通常時にはボルト63により、下方の右上部搬送装置29に固定されている。このような構成によって、右上部搬送装置29の右上部搬送タイン29aを交換する際には、ボルト63を外して前記駆動スプロケット58と回動軸57を上方にずらすことにより、スプライン嵌合された回動軸57をボス部56aから抜くことができる。つまり、右上部搬送装置29から上部チェーンケース60を取り外すことができ、後述する伝動パイプ71a・72a・73a及び左上部搬送装置28を外して、右上部搬送装置29のメンテナンス等が可能となる。具体的には、右上部搬送装置29の上方のスペースを確保することが可能なので、カバーを外して容易に右上部搬送タイン29aやスプロケット等をメンテナンスすることが可能となる。
【0028】
前記入力スプロケット59の中心には第一駆動軸71がスプライン嵌合などにより相対回転不能に貫設されている。該第一駆動軸71は後述する第二駆動軸72、第三駆動軸73等を介して左上部搬送装置28へ駆動を伝達する。前記第一駆動軸71、第二駆動軸72、第三駆動軸73は後述する第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a、第三駆動パイプ73a等からなる吊りフレーム74に内設されている。
【0029】
前記吊りフレーム74は、図7乃至図11に示すように、正面視略逆U字状に上方を迂回するように配設されており、第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a及び第三駆動パイプ73aを第一継手87及び第二継手88によって結合しそれぞれを溶接等することにより一体に形成している。該吊りフレーム74の内部には第一駆動軸71は後述する第二駆動軸72、第三駆動軸73、ベベルギヤ81・82・83・84・85・86等の伝動機構を収納している。前記吊りフレーム74を構成する第一駆動パイプ71aの基部側の端部は前記右上部搬送装置29の上部チェーンケース60に固定されている。
【0030】
図8に示すように、前記第一駆動軸71は上方に突設しており、同様に上方に突設した第一駆動パイプ71aに内設されている。図9に示すように、第一駆動軸71はその上端部に第一ベベルギヤ81を貫設しており、該第一ベベルギヤ81からは同じく第二駆動軸72の一端部に貫設した第二ベベルギヤ82と噛合して動力を伝達する。該第一ベベルギヤ81及び第二ベベルギヤ82は第一継手87内に収容され、該第一継手87は軸受91を介して第一駆動軸71の一端を回転自在に支持し、また、軸受93を介して第二駆動軸72の一端を回転自在に支持している。そして、第一継手87は略「へ」字状になるよう構成されて、前記第一駆動パイプ71aと第二駆動パイプ72aを両パイプの成す角度が鈍角となるように連結されている。また、前記第二駆動軸72は進行方向右側から左側に横架されており、平面視で右上部搬送装置29を跨ぐ構成となっている。該第二駆動軸72は左右方向に横架した第二駆動パイプ72aに内設されている。
【0031】
図9及び図10に示すように、前記第二駆動軸72の他方の端部には、第三ベベルギヤ83が相対回転不能に嵌設されており、該第三ベベルギヤ83は同じく第三駆動軸73の一端部上に固定した第四ベベルギヤ84と噛合して第三駆動軸73へと動力を伝達する。該第三駆動軸73は下方へと延設され、第三駆動パイプ73aに内設されている。該第三ベベルギヤ83と第四ベベルギヤ84は第二継手88内に収容され、該第二継手88は軸受94を介して第二駆動軸72の他端を回転自在に支持し、また、軸受95を介して第三駆動軸73の一端を回転自在に支持している。該第二継手88は略V字状に構成され、第二駆動パイプ72aと第三駆動パイプ73aの接合部として両パイプの成す角度が鋭角となるように構成しており、折れ曲がり部外側には前記第二駆動軸72等を挿入するための挿入孔75が穿設されている。該挿入孔75には挿入後に孔を塞ぐための挿入孔蓋75aが設けられている。
【0032】
図11に示すように、前記第三駆動軸73の他方の端部上には第五ベベルギヤ85が嵌設されており、左上部搬送入力パイプ76aの一端内に収納されている。該左上部搬送入力パイプ76aの一端は略「へ」字状に曲げて形成され、この折れ曲がり部で軸受96を介して第三駆動軸73の端部を回転自在に支持し、また、軸受97を介して左上部搬送入力軸76の一端を回転自在に支持している。該左上部搬送入力軸76の一端部上に第六ベベルギヤ86を嵌設して、前記第五ベベルギヤ85と噛合し、第三駆動軸73から左上部搬送入力軸76に動力を伝達する。該左上部搬送入力軸76は左上部搬送入力パイプ76aに内設されており、該左上部搬送入力パイプ76aの一端には、フランジ部(縁部)76bが設けられており、前記第三駆動パイプ73aの端部に同じくフランジ部73bが設けられ、該フランジ部73bとフランジ部76bを合わせた状態でボルト等によって締結して固設されている。前記左上部搬送入力パイプ76aの一側には、前記第五ベベルギヤ85及び第六ベベルギヤ86を収納し、該左上部搬送入力パイプ76aの他側には、軸受98を介して前記左上部搬送入力軸76の他側を回転自在に支持している。該左上部搬送入力軸76及び左上部搬送入力パイプ76aは左上部搬送装置28に対して直角になるように設けられている。
【0033】
次に、前記第一駆動軸71、第二駆動軸72、第三駆動軸73の第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a、第三駆動パイプ73aへの組立方法について説明する。
【0034】
まず、前記第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a、第三駆動パイプ73aは第一継手87及び第二継手88を介装して溶接等によって固定されている。第一駆動軸71は、前記第一ベベルギヤ81及び軸受91を嵌設した状態で第一駆動パイプ71aの開口側(挿入孔77)から挿入する。即ち、第一ベベルギヤ81のボス部に軸受91を外嵌し、第一駆動軸71の端部に止め輪91aを嵌設して固定する。この状態で第一駆動パイプ71a内部に挿入して回動可能に支持する。他方の端部には前記軸受91と逆方向から、前記軸受91の径よりも大きな径の軸受92を嵌設して第一駆動パイプ71aに固定している。
この際、前記軸受91(第一ベベルギヤ81)は前記軸受92よりも径を小さく構成しているので、挿入の際に挿入孔77に接触することなく上方に挿入することが可能となる。前記軸受92が挿入孔77の側壁に接触した状態で止め輪92aによって回動可能に固定することにより前記第一駆動軸71は第一駆動パイプ71aに内設されることとなる。
【0035】
第二駆動軸72は、前記第二ベベルギヤ82、第三ベベルギヤ83及び軸受93・94を嵌設した状態で挿入する。即ち、前記第一ベベルギヤ81と噛合する第二ベベルギヤ82のボス部に軸受93を外嵌し、止め輪93aによって固定する。また、第二駆動軸72の端部に軸受94を止め輪94aによって固定する。この状態で第二継手に設けた挿入孔75から挿入し、第一ベベルギヤ81と第二ベベルギヤ82を噛合させる。そして、第三ベベルギヤ83を第二駆動軸72の端部上に外嵌して止め輪等で固定する。なお、軸受93の外径は軸受94の外径よりも小さくしている。また、挿入孔75は軸受93・94や第二ベベルギヤ82や第三ベベルギヤ83を挿入できる大きさとしている。
【0036】
第三駆動軸73の一端には、前記軸受95と第四ベベルギヤ84を嵌設し止め輪等により固定する。この状態で第三駆動パイプ73aの下方に位置する挿入孔78から挿入する。この際前記軸受95の径は挿入孔78より小さく構成している。そして、第三駆動軸73の他端端に、ボス部上に軸受96を外嵌した第五ベベルギヤ85が外嵌されて止め輪により固定される。そして、前記左上部搬送入力パイプ76aの一端が嵌合され、前記第三駆動パイプ73aに設けたフランジ部73bと前記左上部搬送入力パイプ76aに設けたフランジ部76bがボルト等で締結される。
そして、第六ベベルギヤ86のボス上に軸受97を固定し、左上部搬送入力パイプ76aの下方より挿入して、第六ベベルギヤ86と第五ベベルギヤ85を噛合させる。該左上部搬送入力パイプ76aの中途部には軸受98が外嵌されて左上部搬送入力パイプ76aの端部に止め輪等によって固定される。
【0037】
一方、左上部搬送装置28は前記左上部搬送入力パイプ76aにボルトなどによって締結している。
図11、図12及び図13に示すように、該左上部搬送装置28は左上部搬送入力軸76に嵌設する左上部搬送駆動スプロケット101、該左上部搬送駆動スプロケット101に対してチェーン102を介して従動的に回動する従動スプロケット103、前記左上部搬送駆動スプロケット101と従動スプロケット103との間に巻回されたチェーン102、該チェーン102上に一定間隔を空けて片持ち状態で揺動可能に支持された左上部搬送タイン28a、などからなり、外側を上板105と下板106からなる左上部搬送ケース107によって覆われて保護されている。
これらの部品は、事前に組み立てることで一体形成したユニット構成としている。
【0038】
即ち、前記左上部搬送入力パイプ76aの左上部搬送装置28側の端部にはフランジ部(縁部)76cが設けられており、該フランジ部76bには複数のボルト孔76dが穿設されている。一方、前記左上部搬送ケース107の上板105には、前記ボルト孔76dに対応して複数のボルト105aが溶接等により固設されている。前記ボルト孔76dに前記ボルト105aを貫入してナットなどで締結することにより前記左上部搬送入力パイプ76aと左上部搬送装置28が固定される。
前記上部搬送駆動スプロケット101は中心部にボス状の駆動軸111に嵌設しており、該駆動軸111の軸心部には左上部搬送入力軸76の端部がスプライン嵌合などにより相対回転不能に嵌挿される。前記駆動軸111の下端は軸受112に嵌挿されて回転自在に支持され、該軸受112は下板106に固定されている。つまり、駆動スプロケット101は左上部搬送ケース107の底板106に設けた軸受112によって支持されている。
こうして、前記ナットを外すことにより左上部搬送装置28は左上部搬送入力パイプ76a及び左上部搬送入力軸76から下方へ引き抜いて取り外すことが可能となる。
なお、前記駆動軸111と左上部搬送入力軸76の嵌合手段については、スプライン嵌合に限定せず、例えば四角穴と四角軸、キー溝とキーといった嵌合手段を使用することも可能である。
【0039】
以上のように、走行機体1の前方に配置した刈取部3に、穀稈引起し装置13により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレーム74により左右の上部搬送装置28・29を連結し、該左右の上部搬送装置28・29と下部搬送装置25・27からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置30とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置28をユニットとして脱着可能に構成した。
このように構成することにより、圃場における刈取作業時に、左上部搬送装置28に作物の詰まり等の不具合が発生した場合に、左上部搬送装置28を外して掃除等を容易に行うことが可能である。また、部品の交換等も容易に行える。
【0040】
また、前記左上部搬送装置28は、上板105及び下板106からなるケース107と、該ケース107内に収納される駆動スプロケット101と、従動スプロケット103と、該両スプロケット101・103間に巻回されるタイン付のチェーン102等よりなり、前記駆動スプロケット101は、内部に相対回転不能とするための嵌合面を形成した中空の駆動軸111上に固設され、該駆動軸111は下板106に軸受を介して回転自在に支持する構成とした。
このように構成することにより、ユニット化によって、駆動スプロケット101の傾きなどの不安定だった箇所がケース107内で一体に収まるために、組み立て時に安定する。
【0041】
また、前記駆動軸111に前記吊りフレーム74より突出した伝動軸76を相対回転不能に嵌合させるとともに、前記吊りフレーム74の先端に縁部76cを形成し、該縁部76cと前記上ケース107とをボルト105aにより固定した。
このように構成することにより、吊りフレーム74からの駆動力の伝達をスプライン嵌合することにより確実に行い、またボルト105aを取り外すことにより、ユニットごと吊りフレーム74より分離することが可能となる。
【0042】
以上のように、走行機体1の前方に配置した刈取部3に、下部搬送装置25・27からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置30と、穀稈引起し装置13により引き起こした穂先側を搬送する左右の上部搬送装置28・29を、一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、右上部搬送装置29(操縦席側)と左上部搬送装置28(フィードチェーン側)とをパイプで逆U字状に構成した吊りフレーム74により連結し、該パイプ状フレーム内に右上部搬送装置29から左上部搬送装置28に動力を伝達する伝動機構を設けた。
このように構成することにより、左上部搬送装置28が縦搬送装置30及び右上部搬送装置29と一体に回動できるため、作物の稈長の変化に対応することが可能となる。また、右上部搬送装置29と左上部搬送装置28の一体回動が可能となる。
【0043】
以上のように、前記吊りフレーム74は、右上部搬送装置29から立ち上がるパイプの上端から突出される上向きの第一パイプ71aと、該第一パイプ71aの上端に接続された略横向きの第二パイプ72aと、該第二パイプ72aの先端に接続された下向きの第三パイプ73aと、これらのパイプを接続する継手87、88によって一体に形成されており、各パイプの内部に駆動軸71・72・73を通し、左上部搬送装置28を駆動させる駆動手段を設けた。
このように構成することにより、吊りフレーム74の内部に駆動手段を内蔵することにより、駆動手段が保護される。また、継手内部にベベルギヤ81・82・83・84・85・86を配置して伝動軸に動力を伝えることによりフレキシブル伝動軸を使用する場合に比べてコストを抑制できるとともに耐久性に優れている。
【0044】
また、前記3つのパイプ71a、72a、73aを二つの継手87、88により連結して吊りフレーム74を構成し、第一の継手87を鈍角でパイプを接続する略「へ」字状に構成し、第二の継手88を鋭角でパイプを接続する略V字状に構成し、第二の継手88の折れ曲がり部にパイプ72aに伝動軸72を挿入するための開口部を形成した。
このように構成することにより、Uパイプの中に駆動軸、ベベルギヤ、軸受を差し込むのが容易となる。つまり、駆動軸、ベベルギヤ、軸受を組み付けておいた状態(仕組)で、「へ」字状の第一の継手には両側の開口部から挿入して、ギヤ同士を噛合させることができる。第二継手には一方の軸仕組を挿入し、他方はもう一方の開口から挿入してベベルギヤを噛合させることができる。
【0045】
また、前記吊りフレーム74の基部側端は前記右上部搬送装置29の上部チェーンケース60に取り外し可能に固定した。
このように構成することにより、右上部搬送装置29と左上部搬送装置28の一体回動が可能となる。また、吊りフレーム等を一体的に外してメンテナンス等が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】コンバインの正面図。
【図4】刈取装置の前方斜視図。
【図5】刈取装置の側面図。
【図6】刈取装置の動力伝達機構を表したスケルトン図。
【図7】右上部搬送装置及び左上部搬送装置の斜視図。
【図8】右上部搬送装置の斜視一部断面図。
【図9】吊りフレームの斜視一部断面図。
【図10】第二駆動パイプと第三駆動パイプの接合部を表した側面一部断面図。
【図11】第三駆動パイプと左上部搬送入力パイプの接合部を表した側面一部断面図。
【図12】左上部搬送装置の斜視図。
【図13】左上部搬送装置の側面一部断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 走行機体
3 刈取装置
13 穀稈引起し装置
28 左上部搬送装置
29 右上部搬送装置
71 第一駆動軸
72 第二駆動軸
73 第三駆動軸
74 吊りフレーム
75 挿入孔
76 左上部搬送入力軸
101 左上部搬送駆動スプロケット
107 左上部搬送ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取装置、特に右上部搬送装置から左上部搬送装置への動力伝達機構の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンバインにおいては、その前部に設けられた刈取前処理装置に、圃場に植立した未刈穀稈を引起すための穀稈引起し装置と、刈刃装置にて刈り取られた刈取穀稈を後方に向けて搬送するための穀稈搬送装置とが備えられており、前記穀稈搬送装置は穀稈の根元部を挟持して搬送する下部搬送装置と穂先部を搬送する上部搬送装置によって構成されている。
前記上部搬送装置は三条刈り及び四条刈りのコンバインにおいては、長さの長い主搬送体と長さの短い副搬送体とで構成されており、前記主搬送体と副搬送体とが平面視で略「ハ」字形に配置されている。前記副搬送体の駆動は、下部搬送装置より動力が伝達されることによって行われており、前記副搬送体は吊りフレーム等によって主搬送体に固定されていた。
【特許文献1】特開2000−092954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構造では、左上部搬送装置を吊りフレームから着脱する際に、部品ごとに着脱を行わなければならず、手間がかかっていた。また、組み立て過程においてもそれぞれの部品ごとにくみ上げていかなければならないため、工程が複雑化していた。
そこで本発明は斯かる課題に鑑み、左上部搬送装置を容易に着脱可能とする構成を有するコンバインの刈取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、走行機体の前方に配置した刈取部に、穀稈引起し装置により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレームにより左右の上部搬送装置を連結し、該左右の上部搬送装置と下部搬送装置からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置をユニットとして脱着可能に構成したものである。
【0006】
請求項2においては、前記左上部搬送装置は、上板及び下板からなるケースと、該ケース内に収納される駆動スプロケットと、従動スプロケットと、該両スプロケット間に巻回されるタイン付のチェーン等よりなり、前記駆動スプロケットは、内部にスプラインを形成した中空の駆動軸上に固設され、該駆動軸は下板に軸受を介して回転自在に支持する構成としたものである。
【0007】
請求項3においては、前記駆動軸に前記吊りフレームより突出した伝動軸をスプライン嵌合可能に構成するとともに、前記吊りフレームの先端に縁部を形成し、該縁部と前記上ケースとをボルトにより固定したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、圃場における刈取作業時に、左上部搬送装置28に作物の詰まり等の不具合が発生した場合に、左上部搬送装置28を外して掃除等を容易に行うことが可能である。また、部品の交換等も容易に行える。
【0010】
請求項2においては、ユニット化によって、駆動スプロケット101の傾きなどの不安定だった箇所がケース107内で一体に収まるために、組み立て時に安定する。
【0011】
請求項3においては、吊りフレーム74からの駆動力の伝達をスプライン嵌合することにより確実に行い、またボルト105aを取り外すことにより、ユニットごと吊りフレーム74より分離することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの正面図である。図4は刈取装置の前方斜視図、図5は刈取装置の側面図、図6は刈取装置の動力伝達機構を表したスケルトン図、図7は右上部搬送装置及び左上部搬送装置の斜視図、図8は右上部搬送装置の斜視一部断面図、図9は吊りフレームの斜視一部断面図、図10は第二駆動パイプと第三駆動パイプの接合部を表した側面一部断面図、図11は第三駆動パイプと左上部搬送入力パイプの接合部を表した側面一部断面図、図12は左上部搬送装置の斜視図、図13は左上部搬送装置の側面一部断面図である。
【0013】
まず、図1乃至図3を用いて本発明にかかるコンバインの全体的な構成について説明する。
本実施形態における三条刈り用のコンバインは、左右一対の走行クローラ2、2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取装置3が単動式の油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェーン6付きの脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯溜する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。本実施形態では、脱穀装置5が走行機体1の進行方向左側に、穀粒タンク7が走行機体1の進行方向右側に配置されている。穀粒タンク7は、走行機体1の後部に設けられた縦軸(実施形態では排出オーガ8の縦オーガ筒9、図1及び図2参照)回りに水平回動可能に構成されている。刈取装置3と穀粒タンク7との間には、操向レバーや運転座席等を有する運転部10が設けられている。運転部10の下方には、動力源としてのエンジン11が配置されている。刈取装置3にて刈り取られた刈取穀稈はフィードチェーン6に受け継ぎ搬送され、脱穀装置5にて脱穀処理される。
【0014】
脱穀装置5における扱室には扱胴17を収納し、その下方にはチャフシーブ等による揺動選別を行うための揺動選別機構(図示せず)と、唐箕ファンによる風選別を行うための風選別機構(図示せず)が配置されている。これら両選別機構にて選別されて一番受け樋(図示せず)に集められた穀粒は、一番コンベヤ及び揚穀コンベヤ(図示せず)を介して穀粒タンク7に集積される。穀粒タンク7の一番物は排出オーガを介して機外に搬出される。
【0015】
なお、フィードチェーン6の後端から排稈チェーン18(図2参照)に受け継がれた排稈は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は排稈カッタ(図示せず)にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方に排出される。
【0016】
次に、図4及び図5を参照しながら、刈取装置について説明する。
【0017】
刈取装置3は、脱穀装置5の前方に位置する刈取架台(図示せず)に対して回動可能に軸支された横長の刈取入力パイプ35(図1、図4及び図5参照)回りに上下回動可能に構成されている。刈取入力パイプ35の中途部には、前方斜め下向きに延びる縦伝動パイプ36が設けられている。該縦伝動パイプ36の中途部と走行機体1の前端部とが、単動式の油圧シリンダ4を介して連結されている。
【0018】
縦伝動パイプ36の先端部(下端部)には、横長の横伝動パイプ37が設けられている。該横伝動パイプ37には、前向きに突出する4本の刈取フレーム38が横伝動パイプ37の長手方向に沿って適宜間隔で並設されている。該刈取フレーム38群の下方には、バリカン式の刈刃装置12が設けられている。各刈取フレーム38の先端部には分草体15が突設されている。
【0019】
また、横伝動パイプ37には、刈り取り条数に合わせて3つの支持パイプとしての中及び左及び右の引起し駆動パイプ39a、39b、39cが前方斜め上向きに延びるように立設されている。当該中及び左及び右の引起し駆動パイプ39a、39b、39c群は、横伝動パイプ37の長手方向(走行機体1の横幅方向)に沿って適宜間隔で並んでいる。中及び左及び右の引起し駆動パイプ39a、39b、39cの各先端部には、圃場に植立した未刈穀稈を引き起こすための穀稈引起し装置13が取り付けられている。本実施形態では、刈取装置3の前部に三条分の穀稈引起し装置13が備えられている。穀稈引起し装置13とフィードチェーン6の前端部との間には、穀稈搬送装置14が配置されている。
【0020】
穀稈引起し装置13は、分草体15を介して取り込んだ未刈穀稈を起立させる引起しタイン21を有する横回し型穀稈引起しケース22を備え、これら各穀稈引起しケース22の後方下部にはスターホイル23及び掻き込みベルト24が配置されている。該スターホイル23及び掻き込みベルト24は、これらの組に対応する引起しタイン21にて引き起こされた未刈穀稈の根元部を後方に掻き込むためのものである。これらスターホイル23及び掻き込みベルト24にて掻き込まれた未刈穀稈の根元部がバリカン式の刈刃装置12にて切断される。
【0021】
穀稈搬送装置14は、右二条分の刈取穀稈を左斜め後方に搬送する右下部搬送チェーン25と、左一条分の刈取穀稈を右斜め後方に搬送してその根元部を右下部搬送チェーン25の送り終端位置近傍に合流させる左下部搬送チェーン27と、右二条分の刈取穀稈の穂先部を左斜め後方に搬送する右上部搬送タイン29a(右上部搬送装置29)と、左一条分の刈取穀稈の穂先部を右斜め後方に搬送して右上部搬送タイン29aに合流させる左上部搬送タイン28a(左上部搬送装置28)と、右下部搬送チェーン25の送り終端位置近傍にて合流した3条分の刈取穀稈の根元部をフィードチェーン6に受け継ぎ搬送するための縦搬送チェーン30とにより構成されている。縦搬送チェーン30に送られた三条分の刈取穀稈の根元部は、その後フィードチェーン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この刈取穀稈の穂先部が脱穀装置5における扱室内の扱胴17にて脱穀される。
【0022】
次に、縦搬送チェーン30及び右上部搬送タイン29aの駆動伝達機構について図6及び図8を用いて説明する。
【0023】
エンジン11から刈取装置3に向けての動力は、扱胴入力軸や刈取変速機構(いずれも図示せず)及び刈取入力プーリ40等を介して、まず刈取入力パイプ35に内装された刈取入力軸41に伝達される。刈取入力軸41に伝達された動力は、縦伝動パイプ36内の縦伝動軸42を介して横伝動パイプ37内の横伝動軸43に伝達され、次いで、横伝動軸43から、右及び中及び左の引起し駆動パイプ39a、39b、39cに内装された右及び中及び左の引起し伝動軸44a、44b、44cと、刈刃駆動軸45とに動力伝達される。右及び中及び左の引起し伝動軸44a、44b、44cに伝達された動力は、右及び中及び左の引起し入力軸46a、46b、46c及びこれに連結された引起しスプロケット47を介して、穀稈引起し装置13の各引起しタイン21を駆動させる。刈刃駆動軸45に伝達された動力は刈刃装置12を駆動させる。
【0024】
左及び右の引起し伝動軸44c、44aからは、隣接する右及び中及び左の引起し伝動軸44a、44b、44cの間に配置された左右の下部搬送駆動軸48にも動力が分岐して伝達される。左の下部搬送駆動軸48に伝達された動力は、これに連結された駆動スプロケット49を介して、穀稈搬送装置14の左下部搬送チェーン27、穀稈引起し装置13における左側のスターホイル23及び掻き込みベルト24を駆動させる。右下部搬送駆動軸48に伝達された動力は、これに連結された駆動スプロケット49を介して、穀稈搬送装置14の右下部搬送チェーン25、穀稈引起し装置13における右側と中央とのスターホイル23及び掻き込みベルト24を駆動させる。
【0025】
また、前記刈取入力軸41に伝達された動力は、チェーン33を介して前記刈取入力軸41と平行に設けられた縦搬送駆動軸50に貫設された入力スプロケット34に伝達される。該縦搬送駆動軸50からはベベルギヤ51を介して縦搬送入力軸52に動力を伝達する。該縦搬送入力軸52は前記ベベルギヤ51と噛合するベベルギヤ53を中途部に貫設して上下方向に延びて設けられており、下方の端部には縦搬送装置30を駆動するための縦搬送スプロケット54が嵌設されている。また、上方の端部には右上部搬送タイン29aを駆動するための右上部搬送スプロケット56がスプライン嵌合などにより相対回動不能に嵌設されている。従って、右上部搬送タイン29aと縦搬送装置30とは同期して駆動される。なお、本実施例で示したチェーン33と入力スプロケット34を、ベルトとプーリを用いた伝達機構に置き換えることは可能であり、本実施例で示す他のチェーン、スプロケットについても同様に置き換えることは可能である。
【0026】
前記右上部搬送スプロケット56から、左上部搬送装置28へと動力を伝達している。すなわち、図7及び図8に示すように、右上部搬送スプロケット56の中心に中空状に形成されたボス部56aの上部軸孔56bに、回動軸57がスプライン嵌合などにより相対回転不能に貫設されており、駆動スプロケット58は前記回動軸57にスプライン嵌合などにより相対回転不能に嵌設されており、前記回動軸57は上部チェーンケース60に軸受等を介して固定されている。前記駆動スプロケット58と入力スプロケット59の間にはチェーン61が巻回されており、該入力スプロケット59の中心には第一駆動軸71が相対回転不能に貫設されている。
【0027】
前記駆動スプロケット58、入力スプロケット59及びチェーン61は上部チェーンケース60に内装されている。該上部チェーンケース60は軸受62を介して前記駆動スプロケット58を回動可能に支持しており、前記回動軸57は上部チェーンケース60へ貫設している。
該上部チェーンケース60は通常時にはボルト63により、下方の右上部搬送装置29に固定されている。このような構成によって、右上部搬送装置29の右上部搬送タイン29aを交換する際には、ボルト63を外して前記駆動スプロケット58と回動軸57を上方にずらすことにより、スプライン嵌合された回動軸57をボス部56aから抜くことができる。つまり、右上部搬送装置29から上部チェーンケース60を取り外すことができ、後述する伝動パイプ71a・72a・73a及び左上部搬送装置28を外して、右上部搬送装置29のメンテナンス等が可能となる。具体的には、右上部搬送装置29の上方のスペースを確保することが可能なので、カバーを外して容易に右上部搬送タイン29aやスプロケット等をメンテナンスすることが可能となる。
【0028】
前記入力スプロケット59の中心には第一駆動軸71がスプライン嵌合などにより相対回転不能に貫設されている。該第一駆動軸71は後述する第二駆動軸72、第三駆動軸73等を介して左上部搬送装置28へ駆動を伝達する。前記第一駆動軸71、第二駆動軸72、第三駆動軸73は後述する第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a、第三駆動パイプ73a等からなる吊りフレーム74に内設されている。
【0029】
前記吊りフレーム74は、図7乃至図11に示すように、正面視略逆U字状に上方を迂回するように配設されており、第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a及び第三駆動パイプ73aを第一継手87及び第二継手88によって結合しそれぞれを溶接等することにより一体に形成している。該吊りフレーム74の内部には第一駆動軸71は後述する第二駆動軸72、第三駆動軸73、ベベルギヤ81・82・83・84・85・86等の伝動機構を収納している。前記吊りフレーム74を構成する第一駆動パイプ71aの基部側の端部は前記右上部搬送装置29の上部チェーンケース60に固定されている。
【0030】
図8に示すように、前記第一駆動軸71は上方に突設しており、同様に上方に突設した第一駆動パイプ71aに内設されている。図9に示すように、第一駆動軸71はその上端部に第一ベベルギヤ81を貫設しており、該第一ベベルギヤ81からは同じく第二駆動軸72の一端部に貫設した第二ベベルギヤ82と噛合して動力を伝達する。該第一ベベルギヤ81及び第二ベベルギヤ82は第一継手87内に収容され、該第一継手87は軸受91を介して第一駆動軸71の一端を回転自在に支持し、また、軸受93を介して第二駆動軸72の一端を回転自在に支持している。そして、第一継手87は略「へ」字状になるよう構成されて、前記第一駆動パイプ71aと第二駆動パイプ72aを両パイプの成す角度が鈍角となるように連結されている。また、前記第二駆動軸72は進行方向右側から左側に横架されており、平面視で右上部搬送装置29を跨ぐ構成となっている。該第二駆動軸72は左右方向に横架した第二駆動パイプ72aに内設されている。
【0031】
図9及び図10に示すように、前記第二駆動軸72の他方の端部には、第三ベベルギヤ83が相対回転不能に嵌設されており、該第三ベベルギヤ83は同じく第三駆動軸73の一端部上に固定した第四ベベルギヤ84と噛合して第三駆動軸73へと動力を伝達する。該第三駆動軸73は下方へと延設され、第三駆動パイプ73aに内設されている。該第三ベベルギヤ83と第四ベベルギヤ84は第二継手88内に収容され、該第二継手88は軸受94を介して第二駆動軸72の他端を回転自在に支持し、また、軸受95を介して第三駆動軸73の一端を回転自在に支持している。該第二継手88は略V字状に構成され、第二駆動パイプ72aと第三駆動パイプ73aの接合部として両パイプの成す角度が鋭角となるように構成しており、折れ曲がり部外側には前記第二駆動軸72等を挿入するための挿入孔75が穿設されている。該挿入孔75には挿入後に孔を塞ぐための挿入孔蓋75aが設けられている。
【0032】
図11に示すように、前記第三駆動軸73の他方の端部上には第五ベベルギヤ85が嵌設されており、左上部搬送入力パイプ76aの一端内に収納されている。該左上部搬送入力パイプ76aの一端は略「へ」字状に曲げて形成され、この折れ曲がり部で軸受96を介して第三駆動軸73の端部を回転自在に支持し、また、軸受97を介して左上部搬送入力軸76の一端を回転自在に支持している。該左上部搬送入力軸76の一端部上に第六ベベルギヤ86を嵌設して、前記第五ベベルギヤ85と噛合し、第三駆動軸73から左上部搬送入力軸76に動力を伝達する。該左上部搬送入力軸76は左上部搬送入力パイプ76aに内設されており、該左上部搬送入力パイプ76aの一端には、フランジ部(縁部)76bが設けられており、前記第三駆動パイプ73aの端部に同じくフランジ部73bが設けられ、該フランジ部73bとフランジ部76bを合わせた状態でボルト等によって締結して固設されている。前記左上部搬送入力パイプ76aの一側には、前記第五ベベルギヤ85及び第六ベベルギヤ86を収納し、該左上部搬送入力パイプ76aの他側には、軸受98を介して前記左上部搬送入力軸76の他側を回転自在に支持している。該左上部搬送入力軸76及び左上部搬送入力パイプ76aは左上部搬送装置28に対して直角になるように設けられている。
【0033】
次に、前記第一駆動軸71、第二駆動軸72、第三駆動軸73の第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a、第三駆動パイプ73aへの組立方法について説明する。
【0034】
まず、前記第一駆動パイプ71a、第二駆動パイプ72a、第三駆動パイプ73aは第一継手87及び第二継手88を介装して溶接等によって固定されている。第一駆動軸71は、前記第一ベベルギヤ81及び軸受91を嵌設した状態で第一駆動パイプ71aの開口側(挿入孔77)から挿入する。即ち、第一ベベルギヤ81のボス部に軸受91を外嵌し、第一駆動軸71の端部に止め輪91aを嵌設して固定する。この状態で第一駆動パイプ71a内部に挿入して回動可能に支持する。他方の端部には前記軸受91と逆方向から、前記軸受91の径よりも大きな径の軸受92を嵌設して第一駆動パイプ71aに固定している。
この際、前記軸受91(第一ベベルギヤ81)は前記軸受92よりも径を小さく構成しているので、挿入の際に挿入孔77に接触することなく上方に挿入することが可能となる。前記軸受92が挿入孔77の側壁に接触した状態で止め輪92aによって回動可能に固定することにより前記第一駆動軸71は第一駆動パイプ71aに内設されることとなる。
【0035】
第二駆動軸72は、前記第二ベベルギヤ82、第三ベベルギヤ83及び軸受93・94を嵌設した状態で挿入する。即ち、前記第一ベベルギヤ81と噛合する第二ベベルギヤ82のボス部に軸受93を外嵌し、止め輪93aによって固定する。また、第二駆動軸72の端部に軸受94を止め輪94aによって固定する。この状態で第二継手に設けた挿入孔75から挿入し、第一ベベルギヤ81と第二ベベルギヤ82を噛合させる。そして、第三ベベルギヤ83を第二駆動軸72の端部上に外嵌して止め輪等で固定する。なお、軸受93の外径は軸受94の外径よりも小さくしている。また、挿入孔75は軸受93・94や第二ベベルギヤ82や第三ベベルギヤ83を挿入できる大きさとしている。
【0036】
第三駆動軸73の一端には、前記軸受95と第四ベベルギヤ84を嵌設し止め輪等により固定する。この状態で第三駆動パイプ73aの下方に位置する挿入孔78から挿入する。この際前記軸受95の径は挿入孔78より小さく構成している。そして、第三駆動軸73の他端端に、ボス部上に軸受96を外嵌した第五ベベルギヤ85が外嵌されて止め輪により固定される。そして、前記左上部搬送入力パイプ76aの一端が嵌合され、前記第三駆動パイプ73aに設けたフランジ部73bと前記左上部搬送入力パイプ76aに設けたフランジ部76bがボルト等で締結される。
そして、第六ベベルギヤ86のボス上に軸受97を固定し、左上部搬送入力パイプ76aの下方より挿入して、第六ベベルギヤ86と第五ベベルギヤ85を噛合させる。該左上部搬送入力パイプ76aの中途部には軸受98が外嵌されて左上部搬送入力パイプ76aの端部に止め輪等によって固定される。
【0037】
一方、左上部搬送装置28は前記左上部搬送入力パイプ76aにボルトなどによって締結している。
図11、図12及び図13に示すように、該左上部搬送装置28は左上部搬送入力軸76に嵌設する左上部搬送駆動スプロケット101、該左上部搬送駆動スプロケット101に対してチェーン102を介して従動的に回動する従動スプロケット103、前記左上部搬送駆動スプロケット101と従動スプロケット103との間に巻回されたチェーン102、該チェーン102上に一定間隔を空けて片持ち状態で揺動可能に支持された左上部搬送タイン28a、などからなり、外側を上板105と下板106からなる左上部搬送ケース107によって覆われて保護されている。
これらの部品は、事前に組み立てることで一体形成したユニット構成としている。
【0038】
即ち、前記左上部搬送入力パイプ76aの左上部搬送装置28側の端部にはフランジ部(縁部)76cが設けられており、該フランジ部76bには複数のボルト孔76dが穿設されている。一方、前記左上部搬送ケース107の上板105には、前記ボルト孔76dに対応して複数のボルト105aが溶接等により固設されている。前記ボルト孔76dに前記ボルト105aを貫入してナットなどで締結することにより前記左上部搬送入力パイプ76aと左上部搬送装置28が固定される。
前記上部搬送駆動スプロケット101は中心部にボス状の駆動軸111に嵌設しており、該駆動軸111の軸心部には左上部搬送入力軸76の端部がスプライン嵌合などにより相対回転不能に嵌挿される。前記駆動軸111の下端は軸受112に嵌挿されて回転自在に支持され、該軸受112は下板106に固定されている。つまり、駆動スプロケット101は左上部搬送ケース107の底板106に設けた軸受112によって支持されている。
こうして、前記ナットを外すことにより左上部搬送装置28は左上部搬送入力パイプ76a及び左上部搬送入力軸76から下方へ引き抜いて取り外すことが可能となる。
なお、前記駆動軸111と左上部搬送入力軸76の嵌合手段については、スプライン嵌合に限定せず、例えば四角穴と四角軸、キー溝とキーといった嵌合手段を使用することも可能である。
【0039】
以上のように、走行機体1の前方に配置した刈取部3に、穀稈引起し装置13により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレーム74により左右の上部搬送装置28・29を連結し、該左右の上部搬送装置28・29と下部搬送装置25・27からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置30とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置28をユニットとして脱着可能に構成した。
このように構成することにより、圃場における刈取作業時に、左上部搬送装置28に作物の詰まり等の不具合が発生した場合に、左上部搬送装置28を外して掃除等を容易に行うことが可能である。また、部品の交換等も容易に行える。
【0040】
また、前記左上部搬送装置28は、上板105及び下板106からなるケース107と、該ケース107内に収納される駆動スプロケット101と、従動スプロケット103と、該両スプロケット101・103間に巻回されるタイン付のチェーン102等よりなり、前記駆動スプロケット101は、内部に相対回転不能とするための嵌合面を形成した中空の駆動軸111上に固設され、該駆動軸111は下板106に軸受を介して回転自在に支持する構成とした。
このように構成することにより、ユニット化によって、駆動スプロケット101の傾きなどの不安定だった箇所がケース107内で一体に収まるために、組み立て時に安定する。
【0041】
また、前記駆動軸111に前記吊りフレーム74より突出した伝動軸76を相対回転不能に嵌合させるとともに、前記吊りフレーム74の先端に縁部76cを形成し、該縁部76cと前記上ケース107とをボルト105aにより固定した。
このように構成することにより、吊りフレーム74からの駆動力の伝達をスプライン嵌合することにより確実に行い、またボルト105aを取り外すことにより、ユニットごと吊りフレーム74より分離することが可能となる。
【0042】
以上のように、走行機体1の前方に配置した刈取部3に、下部搬送装置25・27からフィードチェーン6に受け継ぐ縦搬送装置30と、穀稈引起し装置13により引き起こした穂先側を搬送する左右の上部搬送装置28・29を、一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、右上部搬送装置29(操縦席側)と左上部搬送装置28(フィードチェーン側)とをパイプで逆U字状に構成した吊りフレーム74により連結し、該パイプ状フレーム内に右上部搬送装置29から左上部搬送装置28に動力を伝達する伝動機構を設けた。
このように構成することにより、左上部搬送装置28が縦搬送装置30及び右上部搬送装置29と一体に回動できるため、作物の稈長の変化に対応することが可能となる。また、右上部搬送装置29と左上部搬送装置28の一体回動が可能となる。
【0043】
以上のように、前記吊りフレーム74は、右上部搬送装置29から立ち上がるパイプの上端から突出される上向きの第一パイプ71aと、該第一パイプ71aの上端に接続された略横向きの第二パイプ72aと、該第二パイプ72aの先端に接続された下向きの第三パイプ73aと、これらのパイプを接続する継手87、88によって一体に形成されており、各パイプの内部に駆動軸71・72・73を通し、左上部搬送装置28を駆動させる駆動手段を設けた。
このように構成することにより、吊りフレーム74の内部に駆動手段を内蔵することにより、駆動手段が保護される。また、継手内部にベベルギヤ81・82・83・84・85・86を配置して伝動軸に動力を伝えることによりフレキシブル伝動軸を使用する場合に比べてコストを抑制できるとともに耐久性に優れている。
【0044】
また、前記3つのパイプ71a、72a、73aを二つの継手87、88により連結して吊りフレーム74を構成し、第一の継手87を鈍角でパイプを接続する略「へ」字状に構成し、第二の継手88を鋭角でパイプを接続する略V字状に構成し、第二の継手88の折れ曲がり部にパイプ72aに伝動軸72を挿入するための開口部を形成した。
このように構成することにより、Uパイプの中に駆動軸、ベベルギヤ、軸受を差し込むのが容易となる。つまり、駆動軸、ベベルギヤ、軸受を組み付けておいた状態(仕組)で、「へ」字状の第一の継手には両側の開口部から挿入して、ギヤ同士を噛合させることができる。第二継手には一方の軸仕組を挿入し、他方はもう一方の開口から挿入してベベルギヤを噛合させることができる。
【0045】
また、前記吊りフレーム74の基部側端は前記右上部搬送装置29の上部チェーンケース60に取り外し可能に固定した。
このように構成することにより、右上部搬送装置29と左上部搬送装置28の一体回動が可能となる。また、吊りフレーム等を一体的に外してメンテナンス等が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】コンバインの正面図。
【図4】刈取装置の前方斜視図。
【図5】刈取装置の側面図。
【図6】刈取装置の動力伝達機構を表したスケルトン図。
【図7】右上部搬送装置及び左上部搬送装置の斜視図。
【図8】右上部搬送装置の斜視一部断面図。
【図9】吊りフレームの斜視一部断面図。
【図10】第二駆動パイプと第三駆動パイプの接合部を表した側面一部断面図。
【図11】第三駆動パイプと左上部搬送入力パイプの接合部を表した側面一部断面図。
【図12】左上部搬送装置の斜視図。
【図13】左上部搬送装置の側面一部断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 走行機体
3 刈取装置
13 穀稈引起し装置
28 左上部搬送装置
29 右上部搬送装置
71 第一駆動軸
72 第二駆動軸
73 第三駆動軸
74 吊りフレーム
75 挿入孔
76 左上部搬送入力軸
101 左上部搬送駆動スプロケット
107 左上部搬送ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前方に配置した刈取部に、穀稈引起し装置により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレームにより左右の上部搬送装置を連結し、該左右の上部搬送装置と下部搬送装置からフィードチェーンに受け継ぐ縦搬送装置とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置をユニットとして脱着可能に構成したことを特徴とするコンバインの刈取装置。
【請求項2】
前記左上部搬送装置は、上板及び下板からなるケースと、該ケース内に収納される駆動スプロケットと、従動スプロケットと、該両スプロケット間に巻回されるタイン付のチェーン等よりなり、前記駆動スプロケットは、内部に相対回転不能とするための嵌合面を形成した中空の駆動軸上に固設され、該駆動軸は下板に軸受を介して回転自在に支持する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの刈取装置。
【請求項3】
前記駆動軸に前記吊りフレームより突出した伝動軸を相対回転不能に嵌合させるとともに、前記吊りフレームの先端に縁部を形成し、該縁部と前記上ケースとをボルトにより固定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインの刈取装置。
【請求項1】
走行機体の前方に配置した刈取部に、穀稈引起し装置により引き起こした穂先側を搬送し、逆U字状に構成した吊りフレームにより左右の上部搬送装置を連結し、該左右の上部搬送装置と下部搬送装置からフィードチェーンに受け継ぐ縦搬送装置とを一体的にその後端部を中心にして上下回動可能に構成したコンバインの刈取装置であって、左上部搬送装置をユニットとして脱着可能に構成したことを特徴とするコンバインの刈取装置。
【請求項2】
前記左上部搬送装置は、上板及び下板からなるケースと、該ケース内に収納される駆動スプロケットと、従動スプロケットと、該両スプロケット間に巻回されるタイン付のチェーン等よりなり、前記駆動スプロケットは、内部に相対回転不能とするための嵌合面を形成した中空の駆動軸上に固設され、該駆動軸は下板に軸受を介して回転自在に支持する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの刈取装置。
【請求項3】
前記駆動軸に前記吊りフレームより突出した伝動軸を相対回転不能に嵌合させるとともに、前記吊りフレームの先端に縁部を形成し、該縁部と前記上ケースとをボルトにより固定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインの刈取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−330234(P2007−330234A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169416(P2006−169416)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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